熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System

熊本大学学術リポジトリ
Kumamoto University Repository System
Title
A Study on Performance Improvement of Cooperative
Wireless Communications with Adaptive Techniques
Author(s)
Marye, Yihenew Wondie
Citation
Issue date
2015-03-25
Type
Thesis or Dissertation
URL
http://hdl.handle.net/2298/32312
Right
氏
名
MARYE, Yihenew Wondie
主論文審査の要旨
本論文は,次世代無線通信技術である協調無線通信システム(Cooperative Wireless
Communications)の通信性能を向上させる技術を提案している。協調無線通信技術は,複数
の無線端末が協調したリレー(中継局)となり,仮想的にアレイアンテナを構築すること
で,空間ダイバーシチ利得を向上する通信方式である。出願者が提出した学位論文は全5
章と付録から構成されている。
第1章では,研究背景,目的および研究へのモチベーションについて述べ,本論文の章
構成について説明している。
第2章では,新しいプロトコル CDEF(CSI Directed Estimate and Forward)を提案した。
このプロトコルは通信路のチャンネル情報(CSI:Channel State Information)を利用して送
受信することにより,従来の AF(Amplify and Forward)や DF(Decode and Forward)と比
べ,通信の誤り率,瞬断率,通信速度を向上させることが分かった。
第3章では,リレーの受信状態を予測して送信を行う技術として,適応性変調技術と送
信側の CDEF-DSTC(Distributed Space-Time Coding) という符号化方法を提案し,従来の方
法と比べ,ペアワイズ誤り率が改善されたことを示した。
第4章では,リレーのマネジメントについて論じ,適応性を有するリレーの選択方法と
電力配分方法を提案している。
第5章では,各章で得られた結論と今後の研究について述べている。
以上のように,本論文では協調無線通信システムにおいて,適応技術を用いることによ
り通信のシンボル誤り率を大幅に改善し(信号雑音比 SNR=20dB のとき,およそ 1/9000
から 1/40000 に)
,瞬断率も 1/10 程度減らし,通信速度を 3 倍以上向上させた。この研究成
果は,Beyond 4G 及び 5G の無線通信に資するところが大きく,学術的及び工学的に価値の
あるものである。また,研究成果の主要部は,学術誌の論文5編(うち第一著者4編)
,及
び審査付き国際学会論文6編,国内学会論文6編としてすでに公表している。本審査委員
会は,本論文が博士(工学)の学位授与に値すると判断した。
最終試験の結果の要旨
審査委員会は,論文提出者に対して,当該論文の内容および関連の専門分野について試
問を行った。その結果,論文提出者は当該研究分野及び関連分野について十分な知識と理
解力を有し,研究遂行能力があると認めた。また,論文提出者は英文論文の著作・公表及
び国際学会での質疑応答などの実績から,十分な外国語能力があるものと判断した。本論
文は専攻の学位審査基準を満たしており,以上の結果に基づき,審査委員会は論文提出者
に対する最終試験を合格と判定した。
審査委員会は,学位論文のインターネット公表については,学術雑誌へ投稿済みかつ雑
誌出版社の方針で多重公表を禁止しているために,
「要約」のみとすることを認める。
審査委員 情報電気電子工学専攻先端情報通信工学講座 教授
趙 華安
審査委員 情報電気電子工学専攻先端情報通信工学講座 教授
有次 正義
審査委員 情報電気電子工学専攻先端情報通信工学講座 教授
松島 章
審査委員 情報電気電子工学専攻先端情報通信工学講座 准教授 福迫 武
審査委員 情報電気電子工学専攻人間環境情報講座
教授
内村 圭一