特 集 地域を潤す 農林水産品の輸出戦略 2013年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、日本の食文化が世界的に注目を 集めています。2014年の農林水産物・食品の輸出額は6117億円、前年比 11%の増加で、2年連続 で過去最高を記録しました。 こうした中、政府も「農林水産業・地域の活力創造プラン」において、農林水産物・食品の輸出額を 2020年までに1兆円とすることを目標に掲げ、 「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」を策定・ 公表し、輸出促進の司令塔として「輸出戦略実行委員会」を設置するなどの取り組みを推進しています。 今回の特集では、農林水産物の輸出促進に向けた国の取り組みを紹介するとともに、海外での 展示会などをはじめとする輸出促進に取り組む都市の事例もご紹介します。 寄稿 1 農林水産物輸出が 地域活性化に果たす役割 日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科教授 下渡敏治 寄稿 2 農林水産物・食品輸出における自治体の役割 寄稿 3 海外との経済交流の促進 寄稿 4 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)農林水産・食品事業推進課長 白石 薫 根室市長 長谷川俊輔 「果樹王国ひがしね」を海外に向け発信 〜海外マーケットにおける東根産農産物のブランド化を目指す〜 東根市長 土田正剛 寄稿 5 全国のブドウ産地が連携 オールジャパンで輸出を促進 甲州市長 田辺 篤 15 市政 SEPTEMBER 2015 しもわたり と し は る 出促進を一体的に推進するために、世界の料 国内の農業・食産業の発展・振興も図らなけ 政府の政策も相手国の要求を受け入れつつ、 ればならないという兼ね合いの問題から生じ 理界での日本食材の活用促進( Made FROM 日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科教授 下渡敏治 農林水産物輸出が 地域活性化に果たす役割 なぜ農林水産物の 輸出促進が必要なのか たものと受け止めることができる。つまり、 A/FTA)と国内の農業・食産業の振興策、 )、日本の「食文化・食産業」の海外展 Japan 開( Made BY Japan )、 日 本 の 農 林 水 産 物・ 食品の輸出促進( Made IN Japan )のいわゆる FBI戦略が推進されているが、昨年6月に グローバル・フードバリューチェーン戦略な 安倍政権が推進している経済連携協定(EP 退化に対する懸念が高まっており、政府も地 閣議決定された 「グローバル・フードバリュー 昨 年 5 月 に 公 表 さ れ た い わ ゆ る「 増 田 レ ポート」 (日本創生会議)以降、地方都市の衰 方創成に全力で取り組む姿勢を明らかにして といってよい。 減少と超高齢社会の下で、いかにして地域産 域産業の衰退をもたらす可能性がある。人口 と国内市場の縮小をもたらし、経済活動や地 ると予測されている。人口の減少は経済規模 口は2050年には9000万人台に減少す 農業・農村基本計画)といった国内対策も同 産業の規模を100兆円に拡大する(食料・ 得倍増計画(現在の4兆円を8兆円に)、③食 国際競争力向上)、②農業者・農村地域の所 えて、①農地集積によるコスト削減(農業の パートナーシップ協定(TPP)の締結を見据 業の置かれた状況を打開するための方策とし 際的なルールの下で日本の農業や地域の食産 との競争が避けられなくなる状況の中で、国 り、中長期的に見てわが国の農産物が外国産 を活性化させる重要な役割を担うものであ 市場を補完し、地域産業とりわけ農林水産業 安倍政権の成長戦略の要である「農林水産 物・食品」の輸出促進は縮小化に向かう国内 どの一連の政策は相互に補完的な関係にある いる。人口減少社会を迎えたわが国では毎年 チェーン戦略│ Made WITH Japan の推進│」 もそうしたアクションプランの一つである。 業の活性化を図るかが緊喫の課題となってい 時に推進してゆく構えである。これらの政策 て重要な意義を持つものといえる。しかし、 10 万 人 を 超 え る 人 口 が 減 少 し て お り、 現 在 る。安倍政権の成長戦略 「日本再興戦略」の一 は、グローバル化、地域経済統合(経済連携 輸出には国内出荷との兼ね合いの問題があ さらに政府は大詰めを迎えている環太平洋 環として、わが国の農業・食産業に関する政 協定、自由貿易協定)の進展という農業・食 り、どの程度の輸出が可能なのか、地域ごと 月時点)の総人 策が矢継ぎ早に打ち出されており、①わが国 産業を含めた産業の国際調整の過程で、これ に輸出可能な生産量はどれぐらいなのか、地 年 の食文化の海外普及と並行して、②食産業の まで国内問題という次元でのみ対応してきた 1億2708万人 (平成 グローバルな展開、③農林水産物・食品の輸 26 20 1 寄稿 16 SEPTEMBER 2015 市政 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 域経済の活性化にはどの程度の輸出が必要な り、 を 超 え る 多 様 な 輸 出 産 地、 輸 出 組 織 げ競争に発展するなどの悪循環に陥ってい れが昨年の6117億円という過去最高の 昔 前 に 比 べ て 大 き く 前 進 し て き て お り、 そ てきたこともあって農産物の輸出事業も一 組織が農産物輸出の知識や経験を積み重ね と も に、 地 方 自 治 体 や 民 間 で 組 織 す る 輸 出 た こ と も 事 実 で あ る。 し か し 時 間 の 経 過 と 的、 継 続 的 な 取 引 に は ほ ど 遠 い 状 態 に あ っ ト 的 な 取 引 が 多 く、 商 業 ベ ー ス に よ る 周 年 展での販売など限られた期間内でのスポッ やスーパーなどが主催する道府県産の物産 の 販 売 や、 現 地 に 出 店 し て い る 日 系 百 貨 店 場で開催される食品見本市や展示会などで に基づいた農産物輸出というよりも現地市 ケ ー ス が 多 く、 明 確 な 輸 出 目 標 や 輸 出 戦 略 限られた品目を独自に海外市場に売り込む と も 事 実 で あ る。 こ の た め、 単 一 の 産 地 が 験する地方自治体や輸出組織が多かったこ あ り、 当 初 は 農 産 物 の 輸 出 事 業 を 初 め て 経 治体で組織する輸出組織や民間団体などで 治体(道府県市町村)およびそれらの地方自 に商品を供給するだけでは安定した市場を こ と な ど が 重 要 で あ る。 た だ 単 に 現 地 市 場 輸入業者との間で良好な関係を築き上げる ⑤ 輸 入 代 理 店 の 役 割 を 重 視 し、 輸 入 代 理 店、 揃 え し、 そ れ を 切 れ 目 な く 供 給 す る こ と、 る現地の消費者に魅力的で多様な商品を品 に コ ミ ッ ト す る こ と、 ④ 豊 か さ を 増 し て い が現地市場に足を運んで現地市場に積極的 者任せにせず輸出主体である国内の事業者 る こ と、 ③ 現 地 市 場 で の 販 促 活 動 を 現 地 業 商品や生産方法など独自の商品を持ってい で あ り、 ② 海 外 の 競 争 相 手 が 持 っ て い な い させるという輸出事業者の強い信念が必要 え よ う。 農 産 物 の 輸 出 に は、 ① 輸 出 を 成 功 備えた輸出人材の育成が不可欠であるとい れ て お り、 そ れ に は セ ー ル ス マ ン シ ッ プ を ブでなおかつフレキシブルな対応が求めら 現地企業との交渉にあたってはアグレッシ ア ジ ア( 中 国 ) 人 の 嗜 好 や 商 慣 習 を 熟 知 し、 場 で 農 産 物 の 輸 出 事 業 を 成 功 さ せ る に は、 る面も見られる。 輸 出 額 に な っ て 現 れ て い る と い え よ う。 し 確 保 し そ れ を 広 げ る こ と は 不 可 能 で あ る。 が 形 成 さ れ る ま で に な っ て い る。 農 産 物 輸 国内価格の維持を目的に余剰農産物の副 次的な輸出からスタートした農産物の輸出 か し な が ら、 農 産 物 の 輸 出 事 業 は 香 港、 台 現地市場とりわけ経済発展によって沸騰す のか、あらかじめ輸出目標を明確にしておく 事 業 も、 農 林 水 産 省 や 経 済 産 業 省 な ど が 本 湾、 シ ン ガ ポ ー ル と い っ た 地 理 的 に も 日 本 るアジア新興国の消費市場には世界中から 出事業の主たる担い手は全国各地の地方自 格的な輸出事業の支援に乗り出したことも に 近 く、 制 度 面 で も 輸 出 が 比 較 的 容 易 に 行 多種多様な農産物や食品が輸出されるよう 必要がある。 あって次第に大きなうねりとなって全国各 え る 特 定 の 国・ 地 域 に 集 中 す る 傾 向 に あ り、 に な っ て お り、 市 場 の ニ ー ズ も 多 様 化 し、 何を、どこに、誰に、どのように 地 に 広 が っ て い る。 現 在、 農 産 物・ 食 品 の ややもすると限られたパイをめぐって産地 年を追うごとに消費者の嗜好やニーズも変 売るのか、輸出ターゲットを明確に 輸出産地は北海道から沖縄にまで及んでお 間 の 激 し い 市 場 争 奪 競 争 が 展 開 さ れ、 値 下 市政 SEPTEMBER 2015 17 50 海 外 市 場、 と り わ け わ が 国 の 農 産 物・ 食 品輸出の7割を占めているアジア(中国)市 今年6月に開催された国際食品展示会「Food Taipei」の様子。日本酒なども幅広く販売 れ る の か、 そ の た め に、 ど の よ う な 商 品 を、 場に適応し、市場(販路・顧客層)を広げら 化 し て い る。 い か に し て 成 長 し 変 化 す る 市 しており、国内市場一辺倒だった農産物・食 を取り巻く経済環境も一昔前とは大きく変化 で、農林水産業や食品加工業などの地域産業 うになっているといえる。グローバル化の下 である。さらに海外の食需要を取り込むには でも日本食材を提供可能な体制づくりも重要 も重要であり、世界各地の需要に応じていつ 日系企業のネットワークを活用した輸出戦略 人バイヤーを積極的に誘致して地域の産物、 ど の 程 度 の 価 格 帯 で 販 売 し、 ど の 程 度 の 利 何を、どれぐらい、どこに輸出すべきか、輸 地域の魅力を知ってもらうというインバウン 輸出というアウトバウンドの戦略だけでな 出すべき商品と輸出市場を決定し、輸出価格 ドの戦略も併せて実施する必要がある。農産 品の販売先を海外市場に切り替えることが求 を設定し、輸出チャネル、輸送手段、現地市 物輸出を成功させるには消費者の嗜好を含め 益 を 目 標 に す る の か、 現 地 で の 販 促 活 動 は に 検 討 し、 輸 出 戦 略 を 立 て る 必 要 が あ る。 場での販促活動、クレームに対する対応、代 て現地消費者の多様なニーズを的確に把握す く、各々の地域(産地)が外国人観光客や外国 その場限りの場当たり的な対応では農産物 金回収方法などを具体的に検討し、輸出事業 ることが重要であり、取引によっては、価格 められるようになっている。そのためには、 の輸出拡大にはおのずと限界があることを を展開できる仕組みと体制づくりが求められ に値幅を持たせて柔軟に対応するなど戦略的 ど の よ う に 行 う の か、 等 々 に つ い て 具 体 的 十分認識しておく必要がある。 る。日本はASEANとの包括的な経済連携 なマーケティングが必要となる。幸い、わが 戦略的な輸出取り組みが不可欠 の国・地域との間で経済連携 を販売しなければならなくなる時代になりつ 食品企業自らが海外に出向いて農産物や食品 で物事を考えた時代から、農産物の生産者や 後から現在に至る貿易自由化のように受け身 バル・マインドを持つことが重要であり、戦 課題を解決するには、われわれ自身がグロー 業、食品加工業などの地域産業が直面する諸 なしに進展するグローバル化の下で農林水産 組みに参加する可能性が高まっている。否応 場)統合が急速に進んでおり、日本もその枠 パートナーシップ(TPP)を含めた地域(市 輸 出 し、 こ れ ら の 日 系 企 業 を 通 じ た「 マ ー スーパー、コンビニ、外食店)向けに食材を の海外展開を増やして、日系企業(食品工場、 いる。安倍政権のGFVC戦略では食品企業 内需化することができるかどうかに掛かって にしてこれらの市場(需要)を取り込めるか、 確実に広がりつつあるといえる。問題はいか がなされており、農産物の輸出市場(販路)は など8つの経済連携協定の締結に向けた交渉 的経済連携(RCEP)、日中韓経済連携協定 ナーシップ協定(TPP)、東アジア地域包括 協定を締結しており、さらに環太平洋パート 要と思われる。 輸出に強いインセンティブを与えることが重 市場向けに再構築することによって、農産物 きたこれらの商品とビジネスインフラを国際 多く生産されており、国内向けに出荷されて 国では全国各地で優れた農産品、加工品が数 協定を含めて つある。グローバル化は日本人と日本社会に ケットイン型」の輸出拡大を図ることにして 日本の地域産業は今重大な転換期に直面し て い る。 今 ア ジ ア 太 平 洋 地 域 で は 環 太 平 洋 対して単なるビジネス・マインドを超えた文 いるが、これまで取り組みが十分でなかった 58 10 2.下渡敏治「日本の産地と輸出促進」日本貿易振興 ) 「アジアへの食品輸出の現状と課 機構( JETRO 題」 383、 2011年。 3.下渡敏治「日本食のグローバル化と農産物輸出 の展望と課題」日本国際地域開発学会「開発学研 究」 3、2015年。 2011年。 参考文献 1.下渡敏治「いまや待ったなし農産物輸出戦略」日 本 政 策 金 融 公 庫「 AFC Forum 」 第 巻 号、 化的、社会的な面での対応や行動を求めるよ 15 No. Vol. 25 No. 18 SEPTEMBER 2015 市政 食 ・ 品の輸出促進と カ 国、 しらいし かおる 薫 食品の輸出拡大に取り組む上での留意点など 地域の長期戦略を構築できるのは自治体 述べてみたい。 年6月に 輸出額を1兆円とすることが掲げられてい られ、その目標値として、2020年までに 築支援、②バイヤーの招聘、見本市への出展な どを通じた情 報・スキルの獲 得 支援、戦略構 大別して、①コンサルテーション、セミナーな 農林水産物・食品の輸出促進事業について は、農林水産省をはじめ関係省庁等と連携し、 家計の食料支出額が低下し、国内マーケット 方 で、 日 本 全 体 が 少 子 高 齢 化 を 迎 え、 ま た、 活用した新たな産業創造を推進している。一 の6次産業化に取り組んでおり、地域資源を の振興は重要である。農林水産省も農林漁業 農林水産業およびその関連産業は、地域に とって基幹産業となっていることが多く、そ 輸出戦略実行委員会を設置し輸出促進に取り どを通じた商流構築支援、③日本食の普及拡 の縮小は徐々に進展する傾向にある。こうし る。これを受けて、農林水産省は 組んでいる。同委員会の下、現在までに水産 大、需要創造を目的とした海外プロ向け情報 しょうへい 物、牛肉等重点7品目について輸出団体が設 発信、④輸出に取り組む個別企業・地域の皆 農林水産物・食品の輸出に限らず、地域自 治体が新たに事業に取り組むにあたって、最 様への個別支援の4つの柱を中心としている。 要な食品見本市にジャパンパビリオンを設置 も重要なことはリーダーシップであろう。 化している。 することを通じて、輸出事業者の皆様の商流 筆者は、ジェトロの農林水産物・食品の輸 出促進事業の中で、世界各地で開催される主 構 築 の お 手 伝 い さ せ て い た だ い て い る。 今 いかに世界的に日本食ブームであり、有望 商品があっても、輸出の取り 組みは、主体 者 カ所(東京本部、アジア経済研 究所、大阪本部含む)のジェトロ事務所では、 回、この場をお借りして、主に見本市出展事 の強い意志と熱意、とりわけ強力なリーダー いる。国内 地 域 の 皆 様 の 身 近 な と こ ろ で フ ェ イ ス・ 業の視点から、自治体の皆様が農林水産物・ 施策である。 立され、輸出拡大の取り組みはいよいよ本格 だいている。 て、きめ細やかなサービスを提供させていた 情報と長年築きあげたネットワークを活用し 事務所の海外事務所では、リアルタイムの た 事 業 を 実 施 している。ま た、海 外 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)農林水産・食品事業推進課長 白石 農林水産物・食品輸出における 自治体の役割 はじめに 農林水産物 ジェトロの取り組み 57 た 中 で、 農 林 水 産 物 食 ・品の海外マーケット の開拓、獲得に取り組んでおくことは重要な 農林水産物の輸出促進は、日本再興戦略で も戦略市場創造プランの一つとして取り上げ 76 ジェトロでは、政府の政策目標達成のため、 農林水産物・食品の輸出促進事業を展開して 14 トゥー・フェイスで要望 相・談をお受けできる 体制をとっているほか、地域のニーズにあっ 市政 SEPTEMBER 2015 19 45 2 寄稿 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 略を構 築し、実行、リードできる立場にある 把握しつつ、長期的な視点から地域発展の戦 り組む関係者の中でも地域を取り巻く現状を 自治体は、事業者や農業団体など、輸出に取 首 長 を 含 む 自 治 体の役 割 は大 変 重 要である。 中途半端なものになってしまう。この観点から をアピールするよりは特産物の商流構築、普 自治体の知名度を高めるためには、自治体名 商 品 が 先 行 して、高 まる 事 例のほ う が 多い。 ルチ ー ズのカマンベール 地 方 な どの よ う に、 シャンパンのシャンパーニュ地方、カマンベー することで高まることはあまりなく、例えば た、自治体の知名度は、自治体名をアピール 「JAPAN」を前面にPRした方がよい。ま ど で あ る。 従 っ て、 自 治 体 名 を 出 す 場 合 も、 に関心をもって来訪するバイヤーがほとん の自治体はごくわずかであり、「JAPAN」 ある。ここでは、他国で知名度を有する日本 見本市は、販売者とバイヤーが集まる商談 の場所であり、基本的に来場者はバイヤーで ていることなどが理由であろう。 合いから自治体PRをメインに予算付けをし 保していたり、特定の企業支援を避ける意味 を講ずる際に、自治体PRを理由に予算を確 場合が見られる。これは、自治体が予算措置 に対する支援策が手薄になってしまっている 自治体が主導して輸出に取り組む際、自治 体のPRが主目的となり、事業者の商流確立 ①自治体のPRよりは商流の確立を か。気づきの点をいくつか挙げてみたい。 留意すべきことにはどんなことがあるだろう それでは、自治体が事業者とともに、農林 水産物・食品の輸出に取り組むにあたって、 自治体間の連携には、さらにメリットがあ る。物流コストの削減である。事業者が輸出 取り組むことが、かねてより提唱されている。 荷など自治 体間で連携し、オールジャパンで 農林水産物の輸出における、自治体間の連 携については、政府も促進しており、リレー出 ケースがほとんどと聞いている。 終わっており、継続的な商流構築に至らない る。これらは、その場限りの地域の物産展に バラバラに地域フェアを開催している国もあ おり、毎月日本から異なる自治体がそれぞれ ション活動の多くがアジアを中心に集中して 受 け る こ と が 多 い。 こ の 自 治 体 の プ ロ モ ー ション活動として、フェア開催の協力要請を 下を引き起こしているといわれている。ジェ 間で競合し、販売価格の低下や、販売額の低 うか。現状においては、海外においても産地 なく、他の自治体・産地と連携できないだろ 輸出に取り組むに当たって、それぞれの自 治体・産地が、個別に輸出に取り組むのでは ②産地間競争でなく産地間連携を れ、所得も向上し、経済の活性化につながる 度も向上するとともに、地域で雇用が創出さ 事業者が成約、輸出に成功し、ビジネスが 継続的に行われることにより、自治体の知名 支援策を検討することが重要と考える。 からである。事実、農林水産物の輸出に取り組 及に重点を置いたほうが、結局は早道なので に取り組むに当たって、なかなかロットがま 25.0 5.0 2,000 10.0 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060(年) 0.0 0 人口 1億人下回る 資料:2010年までは総務省「国勢調査」 、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「野本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・ 死亡中位仮定による推計結果 (注)1950年~2010年の総数は年令不詳を含む ©2015 JETRO 出所:内閣府H24年版 高齢社会白書 トロの海外事務所は、各自治体からプロモー 20 SEPTEMBER 2015 市政 シップなくしては始まらず、始まったとしても む自治体の中には、首長のリーダーシップによ ある。従って、自治体としては、事業者が成 とまらず、コンテナ単位にならないため、物 40.0 のである。 り取り組みを始めたという事例は少なくない。 約するためには何が必要か、という視点から 15.0 4,000 3人に一人が 高齢者 20.0 6,000 75歳以上人口 30.0 8,000 20~64歳人口 35.0 10,000 65~74歳人口 45.0 12,000 19歳以下人口 (%) 50.0 総人口 12,806 12,777 12,660 12,55712,693 (棒グラフ上数値) 12,410 12,361 12,105 12,066 11,706 11,662 2,287 39.4 39.9 2,409 (18.0%) 2,176 2,015 11,212 11,194 2,596 38.8 1,849 2,857 10,782 37.7 1,698 10,467 3,249 1,562 36.1 3,501 9,921 10,221 3,578 33.4 9,430 1,467 1,3869,7089,193 3,517 31.6 9,008 1,297 8,674 30.3 3,432 8,411 29.1 1,199 7,497 1,104 3,648 (59.0%)26.8 (12.7%) 3,781 3,883 23.0 7,089 6,783 6,559 6,278 7,752 5,910 5,393 3,846 4,978 7,873 20.2 4,643 4,368 4,105 7,861 17.4 (47.3%) 7,590 7,353 7,056 14.6 高齢化率(65歳以上人口割合) 6,786 6,295 12.1 5,650 10.3 5,109 9.1 1,407 1,495 1,645 1,600 1,383 1,225 1,128 4,646 1,733 1,479 (13.0%) 7.9 7.1 4,150 1,517 1,749 6.3 5.7 (11.9%) 5.3 4.9 1,407 1,301 2,336 1,109 2,179 2,278 2,245 2,223 2,257 2,385 2,401 892 (26.9%) 1,407 1,646 1,879 776 602 699 434 516 900 1,160(11.1%) 309 338 376 717 597 336 471 284 107 139 164 189 224 推計値 高齢化の推移と将来推計 実績値 (万人) 14,000 日本の人口は2010年をピークに減少、高齢化も進行 国内市場は縮小 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 食料支出総額 1人当たり食料支出の将来推計 (2010年を100とする指数) 食料支出総額 単位:% 120 1人当たり食料支出 人口 79 75 70 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 注:将来、経済がゼロ成長で推移すると仮定した場合、1人当たり食料支出総額は、それぞれ2035年に約100と約87、 2050年に約101と約76の水準と試算される。 出所:農林水産政策研究所(14年6月) 視点から重要である。すなわち、拡大する海 外の市場獲得のため、需給調整としてではな く、積極的かつ安定的に農産物・食品を売り 込むことが必要である。その際には、海外の 市場ニーズに合わせた売り込みを行うことが 求められるが、海外では、同じ商品でも日本 国内の市場とは異なる大きさ、形状のものに 人気が高い場合があるので、これらを十分把 握して供給体制を整えておくとよいだろう。 おわりに 地 域 に とって 農 林 水 産 物・ 食 品の 輸 出 は、 地域の活性化、生産現場の意欲向上、さらに 雇用の創出、地域経済の活性化等につながる。 農林水産業は担い手不足、後継者不足などの 課題を抱えているが、輸出はこれら課題を解 決する一つの有効なツールである。国内市場が 2. 商流構築支援(商談機会の提供) ①海外見本市 ◦海外の有力食品見本市にジャパンパビリオンを設 け出展(20件予定) ②国内商談会 ◦世 界各国の優良バイヤーを招へいし、各地で商 談会を実施(33件予定) ③海外商談会 ◦特定品目についてターゲット市場との商流を築く ため、海外で商談会を実施(11件予定) ④インストア・ショップ ◦香港、台湾、タイ、マレーシア、米国、EUにてマー ケティングのための試験販売、プロモーション等 3. 海外プロ向け情報発信 日本産農林水産物・食品の魅力・価値を伝えると共に、 海外見本市での料理デモの実施 ◦招へいバイヤーの生産現場視察、文化的背景学 習機会のアレンジ ◦海外プロ向けセミナー 4. 個別企業支援 輸出有望な商品を持ち、輸出への熱意のある企業 を専門家が一環サポート (現在 66社を支援中) ©2015 JETRO 21 市政 SEPTEMBER 2015 測し、余力のあるうちに対応策を講じること 1. 情報・スキル支援 ①相談活動 ◦農林水産物・食品輸出相談窓口(東京・大阪、42事務所) ◦海外コーディネーター相談(23 ヶ所、31名※2014年度実績) ②調査 ◦海外消費者アンケート、ハラール調査等 ③ジェトロ HP ◦各国基礎情報、海外市場情報、制度情報等 ④セミナー ◦輸出入門セミナー、商談スキルセミナー、マーケ ティングセミナー、市場別セミナー、品目別セミ ナー等 ⑤各有望品目の研究、品目別団体との連携 るのは自治体が最もふさわしいと考えている。 農林水産・食品輸出に関するジェトロのサポート ─海外市場との商流づくりのために─ *本稿の内容は全て筆者個人の見解であり、筆者が 所属する組織とは無関係であり、組織を代表する 意見ではありません。 徐々に縮小傾向にあることは事実であるが、そ 83 80 裁から販売交渉までを包括的に実施すること 88 87 流コストが高くなってしまう問題がある。し 91 の縮小が徐々に進行するだけに、事業者は危 93 91 90 から、初めて輸出に取り組む地域の事業者に 95 かし、自治体間で連携し、ロットをまとめる 97 94 機 感を持ちにくい。しかし、地域の将来を予 98 とっては、心強いものであろう。 99 97 ことによってこの問題が解決できる。 102 が必要であり、その対応策を策定し、実行す 101 100 99 ③余剰を輸出するのではなく、 安定的に輸出に取り組む 100 自治体間連携による取り組みの必要性は、 誰もが認識していながら、これまで具体的な 100 取り組みまでつながらなかったが、ここにき 103 輸出にあたって、国内向けの供給を優先し、 余 剰 分 を 輸 出 す る 形 に なってい な い だ ろ う 99 105 て、 具 体 的 な 事 例 が 出 て き て い る。 例 え ば、 98 107 103 か。国 内 市 場への 安 定 供 給 は 必 要で あ るが、 97 103 105 105 沖縄県の沖縄県物産公社は、沖縄国際物流ハ 100 104 前述したとおり、今後の日本国内市場を考え 104 ブを通じて、アジアを中心に日本産農林水産 107 ると、日本国内市場に向けた供給と同様に輸 109 品を取りまとめて輸出することとした。同公 112 110 出先向けの供給を確保することが、長期的な 117 114 社は、国内業者から商品を買い取り、代金決 推計値 実績値 人口は約2万8000人で、主たる産業は 水産業であり、年間取扱高では数量、金額と 覚を楽しむことができる。 の幸に恵まれ、四季を通じて雄大な自然と味 索していた。 を受けて、将来に向けた新たな取り組みを模 ほか、近年では全国的にも消費者の魚離れが 全国的に漁獲量が多くなると魚価が低迷する 海外との経済交流の促進 もに全国5位の漁獲を誇る水産都市として、 は せ が わ しゅんすけ サ ン マ を は じ め サ ケ・ マ ス、 タ ラ、 カ レ イ、 こうした中、元商社マンで十数年にわたる ベトナム駐在経験もあり、東南アジア情勢に ねむろ ホタテ、コンブ、ハナサキガニなど豊富な水 詳しい荒川研氏から「国外に目を向けてアジ 根室市長(北海道) 長谷川俊 輔 産物が水揚げされている。中でもサンマは平 アにサンマを売り込もう」と助言を受け、平 進み国内市場の拡大が見込めない厳しい情勢 年から5年連続で数量、金額ともに日本 成 年4月にはベトナム計画投資大臣の来日 ンマの水揚げがある国内の港で最も東にある 付近から太平洋岸を南下する。このため、サ て、盛んに餌を取りながら、秋には北方四島 は、春の海水温上昇とともに太平洋を北上し 府関係者との人脈づくりの大きな第一歩と 出プロジェクトの推進に不可欠なベトナム政 の経済交流の実現について要請し、サンマ輸 を実施し、サンマ輸出など根室とベトナムと に合わせ、水産企業とともにトップセールス 成 市内の花咲港では、脂が乗り丸々と太った高 なった。 一 の 漁 獲 高 を 記 録 し て い る。 サ ン マ の 群 れ 品質のサンマが水揚げされ、全国の食卓へ届 会で構成する「根室市アジア圏輸出促進協議 漁 業 協 同 組 合、 根 室 水 産 協 会、 根 室 金 融 協 協 同 組 合、 落 石 漁 業 協 同 組 合、 根 室 湾 中 部 けられている。 根室産サンマは高い鮮度と品質を誇ってお り、国内でも高値で取り引きされているが、 根室産サンマの輸出 こ れ を 機 に 同 年 5 月 に は、 根 室 市、 根 室 商 工 会 議 所、 根 室 漁 業 協 同 組 合、 歯 舞 漁 業 22 22 全国屈指の水産都市 根 室 市 は、 北 海 道 の 最 東 端 に 位 置 し、 オ ホーツク海と太平洋の豊かな漁場と新鮮な海 根室を訪れ市場でサンマを視察するアジア各国バイヤー 3 寄稿 22 SEPTEMBER 2015 市政 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 会」を設立し、地域が一体となった体制づく 4回にわたりベトナム経済ミッションとして ベトナムへ出向き、ベトナム商工会議所や現 施 し た ほ か、 在 ベ ト ナ ム 日 本 国 大 使 館 や 在 顔の見える関係の構築 平成 年 月には、ベトナム農業農村開発 省の水産総局副局長を団長とするベトナム政 ホーチミン日本国総領事館の全面的な協力を りを進めた。 人を根室市で受け入れ、本市や経 10 焼きで食べるためにも箸を使用する文化があ 多くの要因が挙げられる。また、サンマを塩 成長が期待できる」など輸出の対象国となる く知的である」「経済的な成長が著しく今後も 慣も日本と類似点が多い」「勤勉で向上心が強 に日本と良好な関係にある」「親日的で社会習 を 行 い、 サ ン マ や サ ケ を テ ス ト 輸 出 す る こ れ民間レベルで価格面を含む実務的な交渉 らの民間バイヤーからなる訪問団を受け入 ま た、 現 地 バ イ ヤ ー と の 関 係 構 築 も 重 要 で あ る こ と か ら、 同 年 月 に は ベ ト ナ ム か を確認した。 済団体と交流を進めたほか政府側の協力関係 努めている。 セプションを開催し根室産サンマをPRする 得て、現地バイヤー、現地関係者を招いてレ 懇談では互恵関係の強化を目的に、水産加工 し、計画投資大臣や農業農村開発副大臣との て首都ハノイ市と商都ホーチミン市を訪問 平 成 年 1 月 に は、 本 市 の 経 済 団 体 メ ン バーを率いて「ベトナム経済ミッション」とし とで合意した。 このため、輸出に向けた動きが本格化する 中、 市 内 の 企 業 担 当 者 が 言 葉 の 壁 を 乗 り 越 かが課題であった。 積されておらず、これらをどう克服していく 書類作成等の貿易実務に関するノウハウが蓄 このサンマ輸出プロジェクトでは、大手商 社に頼らない市内企業による直接貿易を目指 年6月、ハノイ出身 情報をつかみ、放射能検査の実施で根室産サ で積み上げてきた信頼関係をベースに現地の 影響受けて一時延期となったものの、それま 平成 年4月の開始を予定していたテスト 輸出は、東日本大震災と福島第一原発事故の さ ら に、 独 立 行 政 法 人 日 本 貿 易 振 興 機 構 (JETRO)の支援を受けたことも非常に有 翻訳等の支援を行っている。 ナム企業とのマッチングや貿易実務、通訳・ て採用し、根室市内の中小企業に対し、ベト てきたことから、平成 ンマの安全性を証明することで、いち早く輸 効 で あ っ た。 サ ン マ 輸 出 プ ロ ジ ェ ク ト を 企 の現地女性を根室市海外市場調査支援員とし 出をスタートすることができた。 23 画・実行するための人材育成の取り組みとし を得たものである。 し取り組みを開始したが、市内企業には貿易 の国際的な技術移転の一環として技能実習生 え、スムーズに取引を行うことも重要になっ 10 を受け入れることで合意するなど一定の成果 直接輸出の実現に向けて など、国と地方が協力して信頼関係の構築に ることは重要な要素であった。 地水産企業への訪問などトップセールスを実 アジア圏の中でもベトナムを最初のター ゲットに設定し、根室産水産物の輸出促進の 府代表団 22 10 23 それ以後も信頼関係を構築するため、通算 市政 SEPTEMBER 2015 23 取 り 組 み を 開 始 し た。 ベ ト ナ ム は、「 政 治 的 根室を訪れ商談するアジア各国バイヤー 23 ヤ ー を 招 へ い し、 海 外 販 路 の 拡 大 に 向 け て、 ているのが特徴である。 努めてきた結果、水産加工品の輸出が増加し 年3月から 産 地 P R・ 国 内 商 談 会 も 行 っ て い る。 サ ン てJETROの支援を受け平成 マの水揚げから冷凍サンマ加工されるまで ま た、 ベ ト ナ ム 政 府 と の 合 意 に 基 づ き、 平成 年5月にベトナムから当市へ技能実 類作成、契約締結に至るまでの一貫の事務を 正しく認識してもらいながら商談を実施し れ安全で高品質な根室サンマであることを 理 団 体 を 設 立 し、 同 年 6 月 に は ベ ト ナ ム 人 習生を受け入れるため根室商工会議所に監 年3月までの1年間で通算5回にわた り、中小企業の担当者を対象に「貿易実務講 の 現 場 の 視 察 を 通 じ て、 衛 生 管 理 が 徹 底 さ 習得するなど企業の貿易実務能力の向上が図 名を根室市内の水産加工企業2社 ま た、 J E T R O の 支 援 を 受 け な が ら、 毎 年 9 月、 サ ン マ 漁 が 最 盛 期 を 迎 え る 中 に 幾 度 も 開 催 し て お り、 今 後 も 根 室 サ ン マ の 料で振舞うなどPRイベントをこれまでも パーを会場に炭火焼きした根室サンマを無 サンマを特別価格で提供したほか、現地スー 日 本 食 料 理 店 で は、 握 り 寿 司、 刺 身、 焼 き ベトナム国内で「根室さんま祭り」を開催し、 ま た、 ベ ト ナ ム の 消 費 者 に 根 室 産 サ ン マ を P R す る こ と も 欠 か せ な い。 こ れ ま で も、 的 な 輸 出 の 拡 大 は 達 成 で き て い な い。 し か だ ま だ 散 発 的 な 輸 出 に 止 ま っ て お り、 安 定 根室産サンマ輸出プロジェクトを開始し て か ら 5 年 が 経 過 し た と こ ろ で あ る が、 ま 年々拡大している。 実習生を受け入れるまでとなり人的交流は える企業が170名近くのベトナム人技能 れ 企 業 も 増 え 続 け て お り、 現 在 で は 年度は 年度 t、 年 度 4 2 7 t、 取り組んできたこのプロジェクトを通じて 根 室 サ ン マ の ブ ラ ン ド 化、 水 産 加 工 人 材 の 受 け 入 れ、 付 加 価 値 を 考 え る 目 の 創 出 な ど 地 域 貢 献・ 地 域 活 性 化 に も つ な が っ て お り、 輸出のノウハウや海外との人的交流をベー ス に 地 域 は 確 実 に 力 を つ け て き て い る。 地 り組みを推進する必要がある。 産都市根室の活性化のためにも継続した取 方 が 世 界 に 目 を 向 け た 挑 戦 に は、 小 さ な 成 年 度 1 3 7 t、 平 成 等 の 輸 出 実 績 の 推 移 は、 平 成 平成 を超 おいてベトナムをはじめアジア各国のバイ ブランド化に向けた取り組みを進めていく 現地日本食料理店で根室サンマを食べるベトナム人 10 年度677tと順調に増加してきた が、平成 89 年度は、冷凍サンマの輸出量は減少したも 26 平成 21 功 体 験 を 積 み 重 ね る こ と が 重 要 で あ り、 水 24 tに止まっている。平成 25 23 のの、これまで根室産水産物の認知度向上に 26 22 根室産サンマ輸出プロジェクトの開始か らこれまでのサンマをはじめとする水産物 地域貢献と地域活性化 し な が ら、 こ れ ま で 官 民 で 地 域 一 体 と な り で 受 け 入 れ を 開 始 し て か ら、 順 調 に 受 け 入 16 ものである。 られている。 実習生 平成 座」を開催することにより、輸出手続き、書 23 ているものである。 24 24 24 SEPTEMBER 2015 市政 「果樹王国ひがしね」を海外に向け発信 つ ち だ せいごう 〜海外マーケットにおける東根産農産物のブランド化を目指す〜 ひがしね 果樹の栽培が盛んで、「果樹王国ひがしね」ブ りんご、もも、ラ・フランス、ぶどうなどの とされ、日本産さくらんぼが輸出された実績 距離輸送で高温多湿の東南アジアでは不向き あったものの、品質保持期間が短いために長 東根市長(山形県) 土田正剛 ランドを掲げ、全国に発信している。さくら はほとんどない状態にあった。 国内市場の規模縮小への対応と販路拡大 んぼ生産量は全国の市町村の中で1位であ 東根市は、山形県の中央東部に位置し、人 口は約4万8000人で、現在県内で人口が 本市が発祥の地である。また、意欲ある青年 や東南アジア諸国の経済発展に伴う所得の向 り、さくらんぼの主力品種である「佐藤錦」は 農業者を会員とする若手農業者集団「東根市 上などにより、ビジネスチャンスが拡大して 増加している唯一の市である。さくらんぼや 佐渡島在タイ日本国大使館特命全権大使との懇談 しかし、近年のコールドチェーンや輸送技 術の発達などに加え、日本食の世界的ブーム 人)があり、果樹経 営や栽培技術などを調査・研究、実践してい 物・食品の輸出額を1兆円規模に拡大するこ いる。また、国が2020年までに農林水産 果樹研究連合会」 (会員 る全国でも珍しい組織である。 から、私は、今こそ「攻めの農業」が必要であ 決して順風満帆とは言えない状況であること 等による離農や後継者不足も進行しており、 を推進するため、今年4月、ブランド戦略推 国内外における「果樹王国ひがしね」ブランド するため、庁内の組織体制の強化に着手し、 そのような状況を踏まえ、本市においても 農産物等の輸出事業や6次産業化などを推進 とを目標に掲げていることから、海外に向け た農産物の販路拡大の機運も高まっている。 ると判断。従来の国内市場にとどまらないグ 進室を設置したところである。 海外輸出に足を踏み出したところである。 従 来 で あ れ ば、 ま ず 職 員 等 を 現 地 に 派 遣 タイへの試験輸送と試験販売 ローバルな展開を推し進めるため、農産物の 縮小が見込まれるとともに、農家所得の減少 このような本市の農業ではあるが、将来を 見据えると国内人口の減少による市場規模の 79 実際、輸出の目玉商品であるさくらんぼに ついては、日本から近い台湾などでの販売は 市政 SEPTEMBER 2015 25 4 寄稿 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 むにあたり、市としての本気度を内外に示す して早いとは言えない海外輸出事業に取り組 略を立案する例が多い中、他自治体と比べ決 し、調査等を行った上で海外に向けた販売戦 ず、日本産さくらんぼの輸入実績がない状況 国で経済成長も著しい国であるにもかかわら いたことや、東南アジア地域のなかでも親日 タイ人にも受け入れられる」との話をいただ があり、「さくらんぼの美味しさは万国共通、 よる販売戦略にチャンスがある」など多くの 入れられる」「タイは日本ブーム。観光連携に さくらんぼの美味しさは、タイ市場でも受け ころである。参加者からも「日本でも有名な 物、特産品の大きなアピールの場となったと また、さくらんぼの本格輸出に向けた試験 輸 送・販 売においても、輸 送による荷 傷みや なった。 ためには、私自らが先頭に立ち国内外に発信 日までの日程で私自身が訪 参考となる話を聞けたことも大きな成果と 日から を踏まえると、ビジネスチャンスと判断。今 年5月 する必要があると判断し、タイを選定、私自 身が訪問したところである。 とPR活動を実施したもので、 きたことに加え、日本の小売価格の2〜3倍の ③東根市さくらんぼ試食会&プレゼンテーション ④「Thaifex2015」視察 ⑤ JETRO バンコク研修「タイ市場について」 ⑥バンコク市内百貨店・スーパー視察(試験販売) ⑦法人企業との情報交換 ⑧試験輸送(ハンドキャリー・空輸) 高温多湿の気候にも耐えられることを確認で ①タイ人の嗜好や食文化にさくらんぼが受け 入れられるのか。 ②在タイ日本国大使公邸表敬訪問 R活動に加えて国内外において果樹王国ひが しねブランドの発信ができたと感じている。 ①カシコン銀行表敬訪問 価格での販売となったにもかかわらず、多くの 価された結果であると実感したところである。 マーケティングから見えた課題 販売棚は卸売業者が買い取る仕組みが主流 一方、この度の調査により新たな課題が確 認されたのも事実である。タイの百貨店では の4つの目標を掲げ、別表の活動を実施し てきたところである。(別表・参照) で、バイヤーからは年間通して安定的に販売 邸において佐渡島志郎在タイ日本国大使館特 ジェクトの採択を受け、在タイ日本国大使公 た だ き 地 方 連 携 事 業・ 地 方 の 魅 力 発 信 プ ロ 国 ひ が し ね さ く ら ん ぼ 試 食 会 & プ レ ゼ ン テーション」については、外務省から配慮い また、試食販売では多くの消費者から高い 評 価 を い た だ い た も の の、 価 格 面 に お い て 確認できたところである。 果物にとっては、マイナス要因であることも くらんぼのように季節限定で賞味期限の短い いるタイのさくらんぼ市場において、日本産 と、加えてアメリカンチェリーが定番化して される果物が好まれる状況にあり、当然、さ 命全権大使の出席をいただき、現地バイヤー は、どうしても購買層は富裕層に限られるこ 店、山形県人会、その他関係機関など総勢 人が参加し、本市のさくらんぼをはじめ農産 42 や日本食料理店オーナー(料理人)、旅行代理 このような取り組みの中で、特に「果樹王 ④バイヤー等の関係者と信頼関係の構築。 ③タイ市場における他国や日本国内他地域の さくらんぼとの差別化は可能か。 るのか。 消費者から購入いただいたことは、その味が評 問し、タイ・バンコク市内において市場調査 22 ②品質 保 持 期 間 の 短 い さ く ら ん ぼ が 長 距 離 輸送や高温多湿のタイの気候に耐えられ 今回の訪問調査については、マスコミをは じめ関係機関から取り上げられ、現地でのP 19 とは言え、なぜタイなのかについては、昨 年6月、駐日タイ大使館公使と会談する機会 別表 タイ市場調査& PR活動内容 26 SEPTEMBER 2015 市政 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 質ともに別格であることを広くタイ国民にP さくらんぼ、特に東根産さくらんぼは味・品 な課題である。 の確保などを図りながら推進することも重要 ウンドへの対応や、現地語に対応できる通訳 くらんぼの美味しさは、直接、東根市に足を かせない。さくらんぼについては、国内市場 こうした諸課題はもちろんのこと本格的な 輸出事業を推進するには、生産者の理解は欠 海外輸出は将来への投資 Rしていく必要があることを課題として再確 認した次第である。 運んでもらい、食べていただくことも重要」 でも関西以西ではニーズに対し十分な供給が は違い輸出相手国の安全に対する基準や検疫 が期待できる。加えて、輸出には国内販売と 評価による付加価値が付き、農家所得の向上 での評価が高まることで日本市場における再 て生産者側にとって有利に働くことや、海外 その理由として、国内市場にとどまらず海 外での販売先が増えれば、価格の決定におい とともに、国内外に向けて「果樹王国ひがし 本市としては、このようなビジョンを持っ て、海外に向け農産物の輸出事業を推進する 増加も期待できる。 ションの向上や、農業に魅力を感じる若者の 道 が 開 か れ れ ば、 若 者 の 就 農 へ の モ チ ベ ー きいと考える。さらには、海外に輸出できる バンコク市内百貨店でのさくらんぼの試験販売 さらに、本市と関連がある現地法人企業に 駐在する日本人との意見交換会の中でも「さ との意見があり、査証要件緩和による日本へ できていない現状もあり、生産者からは「国 内市場への売り込みをもっとかけていくべ き」との声があるのも事実である。私自身、 市長就任後、関東市場をはじめ関西、九州市 場でのトップセールを他に先駆けて取り組ん できており、生産者の声ももっともな話であ るが、それでも海外輸出は推進すべきである 上の規制への対応や輸送中の温度管理や輸送 ね」ブランドを発信し、農業をはじめ地域の と考える。 資材の技術開発などにより生産・輸送技術の 活性化を目指していきたいと考えている。 化が進み、国内販売においてもメリットは大 向上が期待されるので、品質面でのブランド 市政 SEPTEMBER 2015 27 の旅行者が増えている状況を踏まえたインバ 在タイ日本国大使公邸での「東根市さくらんぼ試食会&プレゼンテーション」 図1 青果物輸出額を 80億円から 250億円へ 昼夜の温度差が大きいことなど、果樹栽培に た な べ あつし 注目が集まる「海外での和食ブーム」 「新たな施策の構築」 が必要とされています。 甲州市長(山梨県) 田辺 篤 こうしゅう 全国のブドウ産地が連携 オールジャパンで輸出を促進 新たな施策の構築に向けて 適した気候風土を最大限に生かした全国トッ プクラスの果樹生産県として、その名を知ら れています。 と安全性の高さ」からアジアや欧米など、海 こうした視点から海外に目を転じますと、 日本産の農林水産物は、「食味の良さ」「品質 中でも甲州市、山梨市、笛吹市の峡東地域は、 古くからブドウ、モモなどの果樹栽培が盛んで、 外において高く評価され、将来を見据え農産 れています。 物の輸出に活路を見出すことも必要と考えら 県内の果樹栽培面積の %を占めています。 また、果樹から派生したワイン産業や観光農 園等も盛んで、首都圏の大消費地に近い立地条 産地の脆弱化が危惧される中、輸入農産物の の低迷、生産者の高齢化や後継者不足による 一方、ブドウをはじめとする果樹について は、少子高齢化による国内需要の減少、価格 しょう。 を見せていることも大きな追い風といえるで されるなど、日本食ブームは世界的な広がり 件を生かし、地域産業のすそ野を広げています。 平 成 年 月 に は、「 和 食: 日 本 人 の 伝 統 的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録 増加による国内農産物の市場シェアの縮小に 国においては、内閣総理大臣ほか関係閣僚 から成る「農林水産省・地域の活力創造本部」 ぐ 加えて、食の安全確保への対応や経費の増加 で、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を き 等により、きわめて厳しい環境にあります。 2013年に5500億円となった農林水産 ぜいじゃく さらには、わが国の人口減少が急速に進むこ とも予測されることから、市場自体も縮小して 物・食品輸出額を2020年までに1兆円と 改定するとともに、「日本再興戦略」において、 いく中で、産地間競争も一層進むものと考えら するため、食文化・食産業のグローバル展開 12 れ、国や県、地方自治体など各分野と連携した 25 65 山梨県は、年間を通じて日照時間が長く、 (農林水産省「食文化・食産業のグローバル展開」より抜粋) 5 寄稿 28 SEPTEMBER 2015 市政 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 を推進するとしています。 輸出額の倍増に向けた新たな開拓へ 年4月に本市で は高額となっており、この販売価格を引き下げ るためのコスト削減は大きな課題といえます。 団体が参加し、平成 開催した第1回の協議会および「全国ブドウ 県の サミット」では、輸出に向けた検討を進めて また、輸送技術、冷蔵技術の向上も必要不 可欠であることから、平成 年度には長期貯 いくことを確認いたしました。 め、新規市場の戦略的な開拓や年間を通じた その内訳では、リンゴが 億円と独占状態 となっています。この輸出額を倍増させるた に取り組んでいます。 も「山梨県果実輸出促進協議会」が果実の輸出 出拡大するための施策を講じており、本県で を世界各国へ戦略的かつ継続的・安定的に輸 ての消費者アンケートを行いました。 たところ成果が得られたことから、首都圏の の3種類で、約3カ月一定の条件下で貯蔵し 量の9割以上が本県で作られている「甲斐路」 ブドウの品種としては、海外でも人気のあ る「シャインマスカット」と「ピオーネ」、生産 蔵についての実証実験に取り組みました。 供給の確立などに取り組むこととしています。 また、農林水産省の補助事業として平成 年度に実施した「日本の食を広げるプロジェ 現状では、農林水産物・食品輸出額に占め る生鮮果物の割合はわずか1・7%で、額に また、国別・品目別輸出戦略に基づき、国 や県、地方自治体、各種団体らが一丸となる クト事業」には、多くの団体からの応募があ る取り組みが進められています。 とができました。 理ができるものと考えています。 今後、生産地での冷蔵・輸送中の温度管理、 輸出の窓口となる空港、港近くに冷蔵ハブ拠 を研究することはありませんでした。 こうした事業は、全国の産地ごとでの取り 組みが主であり、特にブドウについては、こ 生産地と連携して海外 海外でのマーケティング調査 点を確保することで、輸出に適応した品質管 に向け積極的に売り込 今後は、産地協議会が核となり、課題を持 ち寄るなどし、その解決に向け連携・協力し 果実の輸出を進める上で数多くの課題があ ります。 輸出技術・冷蔵技術を検討 て設立いたしました。 海外においては、多少価格が高くとも健康 ・ 安全性を重視する傾向は強いものの、関税や 本年8月に本市とJAフルーツ山梨の連携 事業で、台湾・台北市の有名百貨店において かねばならない大きな課題であると思います。 得る中で、民間事業者とも連携し取り組んでい この部分については、産地協議会がブドウの 品目別の団体となり、国や県の力強い支援も を熟知する人材の確保などが必要となります。 また、輸出の促進に向けては、相手国での マーケティング調査をはじめ、その国の商習慣 んでいきたいと、全国 け を さ せ て い た だ き、 会(以下「産地協議会」 この協議会には、県 内の自治体や農協をは 輸送費などが加わるため、現地での販売価格 とする) 』 を日本で初め 海外輸出に向け、 て研究を進めていきたいと考えています。 れまで日本各地の生産地が連携して流通対策 特にシャインマスカットは、消費者からも 好評で、市場関係者からも高い評価を得るこ 卸業者や市場での求評活動、販売店等におい 「オールジャパン」で実行性のある取り組みを り、全国で農林水産物・食品の輸出拡大を図 果実の輸出について、これまでも全国果実 輸出振興対策協議会等において、日本産果実 26 推進するための施策を展開するとしています。 億円にすぎません。 25 のブドウ産地にお声掛 本市では、これを絶好の機会と捉え、本県 が誇るブドウを全国の 「全国ブドウ産地協議会」を設立 して 26 じめとする1道1府8 市政 SEPTEMBER 2015 29 72 『全国ブドウ産地協議 輸出に向けた事業展開が確認された 「全国ブドウサミット」 25 92 特集 地域を潤す農林水産品の輸出戦略 ドウを海外へ輸出することが多く、腐敗や脱 との指摘や「輸出業者が市場から入手したブ と し て の 統 一 し たPR戦 略 が 感 じ ら れ な い 」 いったように競争でPRを行っており、日本 「今日は〇〇 一 方、 百 貨 店 関 係 者 か ら は、 県、 あ し た は 〇 〇 市、 明 後 日 は 〇 〇 農 協 と を実感したところです。 ひと房4000円近いシャインマスカット を求めるお客さまも多く、その購買力の高さ マレーシアは、国民の約 %がイスラム教 徒であり、マレーシアのハラール認証制度は としています。 シアにおいて市場調査、販路開拓を行うこと そのための足掛かりとして、今年度はイス ラム教を国教とし、経済成長が著しいマレー しました。 マーケットとも言われるイスラム圏域を目標と の人口の4分の1を占め、300兆 円の巨 大 輸出に向けては、まずターゲットを明確 化 する必要があります。産 地 協 議 会では、世界 の検討、輸送方法の違いによるメリット・デ 整システムの検討、長期保存技術の改良方法 制度の導入検討、輸出ブランド確立としての めの、検討会・学習会の開催、ハラール認証 これらの課題を解決するため、全国ブドウ 産地協議会では、全国の産地の合意を得るた ⑤相手国のマーケット特性が不透明であるた め、ブランディングが困難、等です。 ④輸出コストの面で成立するのか不透明。 ③長期出荷のために重要な保存技術が確立し ていない。特に香りを維持することが困難。 ブドウの輸出の場合、国内の産地で連携し て出荷しないと、ロットが小さくブランディ 選 定、 規 格 の 統 一、 病 害 虫 防 除 の 徹 底 な ど、 ウの生産です。輸出を進める上では、圃場の 30 SEPTEMBER 2015 市政 果物のトップセールスを行いました。 粒など品質に対する問題も発生し、ジャパン 政府管掌機関のJAKIM(ジャキム) が運営 メリットの明確化、コスト計算、相手国への マーケット調査および現地のデパートでの展 示・販売の試行等を行っていく予定です。 重要な高品質のブドウ栽培 ングが難しい状況であり、国内の産地が連携 農家の皆さん自身が輸出を念頭にした栽培に こうした取り組みと同時に必要となるの が、マーケットの要望に応えた高品質なブド してオールジャパンとしてブランディングを 進していきたいと考えています。 攻めの成長産業」へと転換するための活動を推 に参加していけるよう、果樹農業を「守りから 産地協議会では、未来を担う全国の若者が 夢と希望を持ち、ブドウやモモなどの生産現場 取り組んでもらう必要もあります。 そのための課題をピックアップすると、 ②合意形成できたとして、各産地を跨ぐ出荷 調整システムがない。 ①産地の規模が大きいため、細かい合意形成 が現状では困難。 していくことが望まれます。 輸出拡大に向けた検討課題 GI制度の導入の検討、産地を跨いだ出荷調 ブランドに対する信頼性の低下も懸念されて を担当しており、他のイスラム諸国の信用度 60 次年度以降は、インドネシアや中東諸国に対 して、ブドウ輸出に取り組んでいく予定です。 も非常に高い状況です。 いる」 との意見もいただきました。 産地協議会の設立は、まさしくこの課題に 取り組む品目別の団体の役割を担うことにも つながると思われ、日本産ブドウを「ジャパ ンブランド」として世界に向けて売り込むこ との必要性を再認識させていただく機会とな りました。 農林水産省の補助事業を活用 ターゲットはイスラム圏域 平成 年度は、農林水産省の農林漁村6次 産業化対策事業の「産地間連携等による輸出 査、販路拡大事業を展開する予定です。 産 地 間 連 携 の 手 法 検 討、 海 外 マ ー ケ ッ ト 調 業に採択されましたので、本事業を活用し、 振興体制の構築を図る取組」に関する補助事 27
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