レアアースの最新動向 レアアースとは

0
平成27年度(第5回)金属資源セミナー
レアアースの最新動向
平成27年8月28日(金)
資源備蓄本部 希少金属備蓄部
企画課 小口 朋恵
[email protected]
1
レアアースとは
1
2
3
4
5
6
7
I A
II A
III B
IV B
V B
アルカリ族
アルカリ土族
希土族
チタン族
バナジウム族
1 H
水素
3 Li
リチウム ベリリウム
11 Na
12 Mg
マグネシウム
19 K
20 Ca
カリウム カルシウム
37 Rb
21 Sc
22 Ti
23 V
スカンジウム
チタン
39 Y
40 Zr
38 Sr
ルビジウム ストロンチウム
VII B
VIII
鉄族(4周期)
白金族(5・6周期)
I B
II B
III A
IV A
V A
VI A
VII A
O
鋼族
亜鉛族
アルミニウム族
炭素族
窒素族
酸素族
ハロゲン族
不活性ガス族
スカンジウム、イットリウム、
ランタノイド15鉱種、計17元素の総称
4 Be
ナトリウム
VI B
クロム族 マンガン族
26 Fe
27 Co
28 Ni
モリブデン
鉄
コバルト
ニッケル
銅
亜鉛
ガリウム
ゲルマニウム
ヒ素
セレン
43 Tc
44 Ru
45 Rh
46 Pd
47 Ag
48 Cd
49 In
50 Sn
51 Sb
52 Te
9 F
10 Ne
フッ素 ネオン
17 Cl
18 Ar
塩素 アルゴン
35 Br
36 Kr
臭素 クリプトン
53 I
54 Xe
24 Cr
25 Mo
バナジウム
クロム
41 Nb
42 Mo
イットリウム
ジルコニウム
ニオブ
モリブデン
テクネチウム
55 Cs
56 Ba
57‐71
72 Hf
73 Ta
74 W
75 Re
セシウム
バリウム
ランタノイド
87 Fr
88 Ra
89‐103
フランシウム
ラドン
アクチノイド
ハフニウム タンタル
タングステン
29 Cu
ルテニウム ロジウム パラジウム
76 Os
77 Ir
13 Al
6 C
炭素
14 Si
アルミニウム
ケイ素
リン
30 Zn
31 Ga
32 Ge
33 As
8 O
酸素
16 S
硫黄
34 Se
錫
アンチモン
テルル
ヨウ素
キセノン
80 Hg
81 Tl
82 Pb
83 Bi
84 Po
85 At
86 Rn
白金
金
水銀
タリウム
鉛
57 La
58 Ce
59 Pr
60 Nd
61 Pm
62 Sm
63 Eu
64 Gd
セリウム
プラセオジム
ネオジム
プロメチウム
サマリウム
ユウロピウム
ガドリニウム
65 Tb
カドミウム インジウム
7 N
窒素
15 P
79 Au
レニウム オスミウム イリジウム
銀
5 B
ホウ素
78 Pt
ランタン
軽希土
2 He
ヘリウム
66 Dy
67 Ho
68 Er
ビスマス ポロニウム アスタチン
69 Tm
テルビウム ジスプロシウム ホルミウム エルビウム ツリウム
重希土
70 Yb
ラドン
71 Lu
イッテルビウム ルテチウム
2
レアアースの用途
ランタン
夜光塗料
蛍光体(赤・青)
セラミックコンデンサ、
水素吸蔵合金(Ni-MH電池)
La
プロメチウム
セリウム
Pm
Ce
軽希土
ユウロピウム
自動車助触媒、
ダクタイル鋳造用、
ガラス研磨剤
プラセオジム
Pr
Eu
ネオジム磁石
ジジム
Di(Pr+Nd)
サマリウム・
コバルト磁石
サマリウム
ネオジム
Sm
Nd
3
レアアースの用途
超伝導材、酸素センサー、
蛍光体
スカンジウム
メタルハライドランプ、
アルミ合金
原子炉中性子
遮断材、LED
イットリウム
ガドリニウム
Y
Gd
テルビウム
Sc
Tb
ネオジム磁石
ジスプロシウム
ルテチウム
年代測定
重希土
Lu
Dy
ホルミウム
イッテルビウム
ガラス着色材、
YAGレーザー
Yb
Ho
ツリウム
エルビウム
Tm
Er
光ファイバー
ガラス着色材、
光ファイバー
YAGレーザー
4
レアアースの用途
鉄鋼・鋳造添
加, 4%
2008年
セラミックス, その他, 1%
2%
電池, 9%
研磨剤, 37%
12,800t
鉄鋼・鋳造添加, 4%
セラミックス, その他, 1%
2%
研磨剤, 10%
電池, 17%
2014年
ガラス添加, 4%
蛍光体, 3%
4,130t
34,870t
23,870t
触媒, 26%
6,190t
磁石, 25%
8,650t
ガラス添加, 7%
触媒, 12%
4,020t
磁石, 34%
8,090t
蛍光体, 4%
出典:工業レアメタル
(酸化物換算)
触媒・磁石・電池向けへと変化、より自動車産業向けにシフト
5
レアアース埋蔵地域(中国外資源)
世界推定埋蔵量 130,000,000t(酸化物換算)
生産操業中
プロジェクト
Lovozersky
★
★
Kazatomprom
世界のレアアース
Mt.Pass
埋蔵量割合
豪州, ★
米国, 1%
3%
★
Orissa
その他, 33%
Mt.Weld
★
インド, 2%
ブラジル, 17%
中国, 44%
出典:Mineral Commodity Summaries 2015
5
6
レアアース産出地域
単位:t
(酸化物換算)
80,000
2014年
70,000
内蒙古自治区・・・軽希土(バストモナズ)
60,000
50,000
出典:工業レアメタル
(酸化物換算)
四川省・・・軽希土(バストネサイト)
40,000
30,000
江西省、広東省、福建省など・・・重希土
(イオン吸着鉱)
20,000
10,000
上海市・・・製造業
0
出典:金属資源レポート 2014.9
『レアアース問題の整理』 馬場洋三氏
工業レアメタル
北方
軽希土
四川
重希土
南方
7
レアアース単価
希土類金属※輸入単価推移※希土類金属、スカンジウム及びイットリウム(これ
らの相互の混合物又は合金にしてあるかないかを
単位:千円/kg
問わない。)
20
2011年7月
最高値
18
16
14
12
2012.9
尖閣諸島
国有化
10
2013.3
習近平、国家
主席に就任
8
2010.9
中国漁船が尖
閣諸島周辺海
域接近
6
4
2015.5.2
輸出関税撤廃
資源税引上げ
2015.1.1
EL枠撤廃
2
0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
出典:財務省貿易統計
2014
2015
8
レアアース供給源の多角化
2010年の禁輸問題を機に、供給源
多角化の重要性が高まる
単位:t
(酸化物換算)
Molycorp, Lynasの生産量推移
14,000
12,000
・Molycorp(米)
10,000
Mt.Pass鉱山にて生産
米、エストニア、中国で分離・抽出 8,000
6,000
・Lynas(オーストラリア)
Mt.Weld鉱山にて生産
4,000
マレーシア、ベトナムで分離・抽出
2,000
0
☀ 本格操業が始まった中国以外での
プロジェクトが順調に生産
Molycorp
Lynas
出典:工業レアメタル
9
レアアース供給源の多角化
単位:t
2014年
8,000 (酸化物換算)
7,000
☀未だレアアース供給の中国依
存度は高いが、供給源の多角化
は進展
6,000
5,000
4,000
☂重希土の産出は、中国の限られた
地域(=南方)のみ
3,000
2,000
1,000
0
Molycorp
軽希土
Lynas
重希土
出典:工業レアメタル
10
レアアース供給源の多角化
単位:t
(酸化物換算)
※La, Ce, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Y の計
世界のトータルレアアース※産出地域・量
160,000
98%
140,000
96%
120,000
94%
100,000
92%
80,000
90%
60,000
88%
40,000
86%
20,000
84%
82%
~
~
0
2010
2011
2012
中国
中国以外
2013
2014
0%
中国の割合
出典:工業レアメタル
11
レアアース供給源の多角化
単位:t(グロス)
その他
米国
カザフスタン
エストニア
マレーシア
ベトナム
フランス
中国
日本のトータルレアアース輸入量
45,000
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
48%
5,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
出典:貿易統計(2015年は1-5月実績による予想)
2013
2014
2015e
12
レアアース供給源の多角化
日本のトータルレアアース輸入額
単位:億円
2,200
その他
2,000
米国
カザフスタン
1,800
エストニア
1,600
フランス
1,400
ベトナム
1,200
中国
1,000
800
600
400
32%
200
33%
0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015e
出典:貿易統計(2015年は1-5月実績による予想)
13
レアアース供給源の多角化
Di
6,000
磁石向けレアアースの日本国内需要
単位:t
単位:t
Dy
800
700
5,000
600
4,000
500
禁輸問題
3,000
400
リーマンショック
300
2,000
200
1,000
100
0
0
2008
2009
2010
2011
2012
Di
2013
Dy
2014
2015e
出典:工業レアメタル
14
レアアース供給源の多角化
2015年6月25日、アメリカのMolycorp社が、米連邦破産法11条の
適用を申請
約17億ドル(2,100億円相当)の債務再編を実施
価格下落で、当初想定していた収益を得られず、資金繰りが悪化
Lynas社も、価格下落の操業への影響は同じ
☂中国以外の鉱山が無くなると、再び中国依存度が高まってしまう
15
中国のレアアース輸出量
輸出量:t
対日輸出割合:%
中国の対世界レアアース輸出量
60,000
60%
50,000
50%
40,000
40%
30,000
30%
20,000
20%
10,000
10%
0
0%
2007
2008
希土類金属
2009
2010
セリウム化合物
2011
2012
その他化合物
2013
日本の割合
出典:Global Trade Atlas
2014
16
中国のレアアース輸出額
輸出額:百万US$
対日輸出割合:%
中国の対世界レアアース輸出額
3,000
100%
90%
2,500
80%
希土類金属のみでは
日本が9割を超える
2,000
70%
60%
1,500
50%
40%
1,000
30%
20%
500
10%
0
0%
2007
希土類金属
2008
2009
セリウム化合物
2010
2011
その他化合物
2012
日本の割合
2013
2014
日本の希土類金属の割合
出典:Global Trade Atlas
EL枠・輸出関税撤廃
17
2012年3月、日本・米国・EUが中国のレアアース、タングステン、モリブ
デンの輸出規制解除を求め、中国に対し、世界貿易機関(WTO)協定
に基づく協議を要請
⇒中国は、環境・資源保護を理由に、輸出規制の正当性を主張
2013年10月、WTOの紛争処理小委員会(パネル)が日米欧の主張を
大筋で認め、中国に是正を勧告
2014年8月、中国の敗訴が確定
2015年1月にEL枠、5月に輸出税を撤廃
☀中国の輸出規制の役割は終えた
18
EL枠撤廃
単位:t(グロス)
EL枠(輸出割当制度)の推移
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
中国中鋼集団
中国五鉱集団
中国アルミニウム業
有研希土新材料
包鋼集団 ※
甘粛希土新材料
贛州晨光希土類新材料
贛州虔東希土集団
中国有色金属輸出入江蘇
徐州金石彭源希土材料廠
広東広晟有色金属輸出入
益陽鴻源希土
楽山盛和希土科技
包頭ソルベイ希土
淄博加華新材料資源
江陰加華新材料資源
溧陽ソルベイ希土新材料
宜興新威利成希土
出典:工業レアメタル、レアメタルニュース
※2008年・2009年データは、包鋼集団・
包鋼和髪希土、華美希土高科の計。
19
輸出関税撤廃
中国のレアアースの輸出関税率推移(%)
改正年月
06.11
07.6
15.5
08初
09初
10初
11初
12初
→
→
→
→
→
0
→
0
10
15
金属Nd
0
10
15
→
→
金属Dy・Tb、金属のその他元素・混合物
0
10
25
→
→
→
→
0
希土類鉱石
25
Ce化合物
10
→
15
→
→
→
→
0
酸化Y・Eu・Dy・Tb
10
→
25
→
→
→
→
0
酸化Pr
(10)
→
(15)
→
→
→
塩化Tb・Dy、炭酸Tb・Dy
(10)
→
25
→
→
→
塩化La
10
→
(15)
→
→
Nd-Fe-B系SC合金
(0)
→
→
(20)
0
→
Nd-Fe-B系SC磁石粉(MQ)
(0)
→
→
(20)
0
→
希土類元素が重量で10%以上のフェロアロイ
(0)
→
→
(20)
→
その他フェロアロイ
(0)
→
→
(20)
→
出典:工業レアメタル
25
25
0
→
0
→
0
20
0
→
0
25
→
0
20
→
0
20
資源税引き上げ
中国は、2015年5月から生産・環境規制強化のため資源税を引き上げ
原鉱石、選鉱・化学処理済精鉱の売上高に加算
輸出税とは異なり中国国内販売分にも一律に課税、税収は地方自治体へ
☀高税率の資源税導入は、過剰な採掘・生産を抑制可
☂資源税の支払い
を逃れた違法採掘
者の収益が増加し、
違法採掘を誘発し
てしまうのでは?
鉱 種
税 額
60元/t
軽希土
30元/t
重希土
鉱 種
軽希土
11.5%
内モンゴル自治区
四川省
9.5%
山東省
7.5%
27.0%
重希土
タングステン
7~9元/t
タングステン
モリブデン
4~8元/t
モリブデン
1元≒18.5円(8/28現在)
税 率
6.5%
11.0%
出典:公益財団法人日本関税協会HP
希土類メーカーの統合
21
資源管理強化のため、業界再編
⇒レアアース精製分離会社を6社に統合、違法採掘の引き締めを図る
・北方稀土(集団)高科技 〔内モンゴル自治区・甘粛省・四川省〕
・五鉱集団公司(MINMETALS)〔湖南省〕
・中国アルミ(中國鋁業:CHALCO)〔広西省〕
・贛州稀土集団〔江西省〕
・広晟有色金属〔広東省〕
・アモイタングステン(廈門鎢業)〔福建省〕
☀違法採掘の引き締めに効果あり
☂「希土類メジャー」が供給量・価格をコントロール可能になる?
中国主導の希土類管理
22
中国が、生産国ならびに日本を含む消費国に対し、
国際標準化機構(ISO)での技術委員会(TC)設置を提案、
国際基準の策定を要望
①用語、定義、表示、保管などの基本規格
②再生資源を含む希土類濃縮物から材料に関わる製品規格
技術委員会設置が決定したのち、新規ISO規格制定に関する
議論を開始
技術委員会設置が、必要な賛成数を満たさず、
承認されず
まとめ
23
1.輸出枠・関税撤廃
中国は、輸出規制を行っても自国の実利にならないことを認識
2.中国の新たな出方
資源税、新基準策定による新たな資源管理を模索?
中国・日本はお互いにとって重要な貿易相手国
中国の出方を見ながらの良好な関係構築が重要
免責事項
24
• 本報告には、未確定事項、変更前の情報が含まれる場合があり
ます。
• 報告内容については、妥当性や正確性について保証するもので
はなくまた、資料を利用される皆様が本資料・報告を利用された
ために被った損害、損失に対して、いかなる場合でも一切の責任
を負いません。