第6回勉強会

第 6 回 | 勉強会
サイバーセキュリティのリスクと企業の成長戦略
講師:富士通株式会社 サービス&システムビジネス推進本部
セキュリティイニシアティブセンター
センター長 太田 大州 氏
開催日
平成 27 年 1 月 27 日(火曜日)
■はじめに
今回は「サイバーセキュリティのリスクと
企業の成長戦略」をテーマに企画し、富士
通㈱セキュリティイニシアティブセンターの
太田大州センター長に、サイバー攻撃の脅
威 に ついて 、今 後 の ICT(Information and
Communication Technology)への期待とあ
わせてご講演いただきました。
■これからの ICT
人・ モノあらゆ るものが IoT(Internet of
Things)により、インターネットに接続するよう
になり、ネットに接続するものは 2020 年には
今の 5 倍以上の規模になります。IoT はビッ
グデータを生み出し、企業・組織はこれを活
用して成長するチャンスを得ます。
すでに実現しているビッグデータ活用事
例のひとつとして、タクシー会社が運行中の
車両から集める様々なセンサー情報のうち、
ワイパーの動作状況から抽出された降雨場
所や雨の強弱のデータを天気予報会社に
販売しているものがあります。
場所
伊藤忠商事㈱9F会議室
等の業務影響、③異物混入や製造、制御系
操作による製品品質への影響であり、特に
自社だけでなくサプライチェーンまで停止さ
せてしまえば、その企業は競争力を大きく失
い、致命的な影響を受けます。
サイバー攻撃に利用されるマルウェア(コ
ンピュータウィルスなど悪意を持ったソフト)
の中には、ICT の運用管理、維持のための
ツールが悪用されているものもあり、容易に
入手、作成できます。使う人間によって善悪
どちらにもなってしまいます。
攻撃者のことをハッカーと呼びますが、本
来はコンピュータやネットワーク等の高度な
知識や技術を持つ人のことをいいます。悪
意のあるハッカー(ブラックハッカー)ではな
く、善良なホワイトハッカー、さらに高い道徳
観、倫理観をもったエシカルハッカーを育て
ていかなければなりません。
■デモンストレーション
セキュリティイニシアティブセンター内の
閉空間で実演されているサイバー攻撃のデ
モ環境の一部を、今回の勉強会のために初
めて外に持ち出していただきました。標的型
メール攻撃で、攻撃者がどうやってマルウェ
アを感染させ、被害者のパソコン、ネットワ
ークへ侵入し、何ができるのかを、攻撃者と
被害者の両者の状況をそれぞれスクリーン
に投影しながら、分かりやすく実演、解説し
ていただきました。
56 名
1.システムの強化
サイバー攻撃に気づき、遮断する。
2.セキュリティの運用強化
対策は時間との勝負、対応時間短縮によ
り感染拡大を防止する。
3.情報セキュリティ人材の育成
社内のセキュリティ人材の育成、教育プロ
グラムを確立し、展開する。
■まとめ
1.サイバー攻撃対策は経営課題である
ICT を使い続ける限りサイバー攻撃は無く
ならない。ICT 部門だけの課題ではなく、経
営課題として、どう事業継続していくか考え
なければならない。
2.事故は起こるものとして考える
どんな被害にあったのか、被害額、原因を
調査できる体制とともに、対外的広報や行
政への報告方法等、事故発生を前提とした
準備をしておく。
3.最後の砦は人
人材育成、運用プロセス等それぞれの企
業でいかに守るか、ICT 企業へお任せでは
なく、自社で考えなければならない。
最後に、「ICT を使って皆がつながること
で、より良い社会を作る。それを皆で守るこ
とが大事です。」と講演を締めくくられまし
た。
■交流会
勉強会終了後、太田センター長とサイバ
ー攻撃のデモ操作をされた富士通㈱の服部
氏、須釜氏にも参加いただき、交流会を開
催しました。
伊藤忠商事㈱杉本代表の乾杯で始まり、
講師あるいは会員相互の懇親が和やかに
行われました。最後に富士通㈱盆子原諮問
委員の中締めでお開きとなりました。
■サイバー攻撃の脅威
従来からあった個人が自己満足のために
行ういたずらレベルのものから、オンライン
ショッピング詐欺やインターネットバンキング
詐欺等の経済的利益を狙ったもの、国家レ
ベルでの諜報活動まで、サイバー攻撃によ
ってあらゆる情報が、気付かぬうちに盗られ
ている危険性があります。
日本では、防衛省のサイバー防衛隊や警
察庁のサイバー攻撃特別捜査隊の設立な
ど、組織的活動が始まっており、少しずつ国
としての安全安心は高まってきています。
一方で、企業をサイバー攻撃から守るの
は、企業自身でしかありません。企業にとっ
てサイバー攻撃によるリスクは、①知的財
産等の情報漏えい、②業務停止、機会損失
参加
■サイバー攻撃への対応
標的型メール攻撃で使用されるマルウェ
アは被害者に合せて作成されるため、セキ
ュリティ対策ソフトでは捉えきれません。サイ
バー攻撃は「防御しきれない」という前提に
立って構築された富士通のセキュリティ対策
と運用及び「FUJITSU Security Initiative」に
ついて紹介していただきました。
《レポート》
古河電気工業㈱ 村瀬 進