人口動態から見るアジア

人口動態から見るアジア
人口ボーナス
みなとコンサルティング株式会社
1950年から2050年までの長期推移を表示
一般に、一国の経済が成長するに従い、「多産
多死」型社会から、次第に所得水準が向上し、医
20
64
に終了し、
年代初め
人 口 の 増 大 に 伴 い 労 働 力 人 口 が 増 加 す る 一 方 で、
歳としている)。
~
年先までかなり正確に予測できるのが特徴と考え
療・教育環境が整備されることにより「多産少死」
定義は種々あるものの、従属人口指数が低下過
程にあることが、いわゆる「人口ボーナス」期の
したものである(ここでは生産年齢人口を
られる。今回は、国連の長期人口予測などのデー
型に、そして「少産少死」型に移行するケースが
大きな特徴である。人口ボーナス期には生産年齢
人口規模・構成などの人口に関する数値は、G
DPをはじめとする一般の経済指標に比べ、数十
タから、アジア主要国の状況を概観する。
多い。
社会保障コストは抑制されることにより経済成長
アジアの多様性
人口構成の成熟度を計る数値として「従属人口
指数」がある。社会によって支えられる世代、す
が加速される。日本の人口ボーナスは
2014年の世界の人口は約 億人と推定され
て い る。 そ の う ち 東・ 東 南・ 南 ア ジ ア 合 計 で 約
%を占めている。世界の成長センター
中国
120
韓国
100
80
60
40
50
160
(図1②)従属人口指数(東南アジア)
マレーシア
フィリピン
ベトナム
60
40
年前後を境に人口ボーナスとは逆に
バングラデシュ
120
パキスタン
(資料)国連:World Population Prospects; The 2012 Revision
(注)推計は中位推計値
年少人口+老年人口
従属人口指数= ×100
生産年齢人口
但し、年少人口(0~19歳)
、生産年齢人口(20~64歳)
、
老年人口(65歳~)として算出
に転じた頃である。
40
作用する「人口オーナス」期に入ったといわれる。
(図1①)従属人口指数(東アジア)
図1①~③はアジア主要国の従属人口指数の
60
よく例示される何人の現役で支えるかという構図
160
に決して一様ではない。日本のように少子高齢化
80
と言われるアジアであるが、アジア各国は人口規
億人と
90
50
40
50
40
が進行し、既に総人口が減少に転じた国もあれば、
インド
140
中国のように出生率の低下により社会の高齢化が
タイ
100
急速に進んでいる国や、フィリピンなど若年人口
の増加が続き人口増加のペースが落ちない国など、
いわば千差万別。しかも人口規模の比較分布では、
香港
(7・2百万人)
、シンガポール
(5・4百万人)
ミャンマー
120
30
20
10
2000
90
80
70
60
1950
の よ う な 都 市 国 家 か ら、 中 国、 イ ン ド の よ う な
インドネシア
140
30
20
10
2000
90
80
70
60
1950
億人超の超大国までに広がる。欧州共同体(E
日本
140
40
30
20
10
2000
90
80
70
60
1950
U)は多様な国家の集合体と言われるが、人口規
(図1③)従属人口指数(南アジア)
160
模、構成、増減傾向などで見るアジアの多様性は
遥かに上を行く。
100
ちょうど日本経済(名目GDP)がマイナス成長
95
72
と似た考えである。
55
模はもとより、年齢別人口など経済発展段階同様
に対して占める比率として示される。年金問題で
なわち年少人口と老年人口の合計が生産年齢人口
80
指標で見る
アジア
40
10
36
指標で見るアジア
長期予測
人口 (2025年)
百万人 ① 1449.0 ② 1418.7 ④ 282.0 ⑥ 218.1 ⑧ 177.9 ⑬ 119.2 ⑭
99.8 67.9 57.7 35.0
⑫ 123.3 ③ 350.6
人口 (2050年)
百万人 ② 1385.0 ① 1620.1 ⑤ 321.4 ⑥ 271.1 ⑧ 201.9 ⑩ 157.1 ⑱ 103.7 61.7 58.6 42.1
⑯ 108.3 ④ 400.9
29.7
表1はアジア主要国の人
口関連指標をまとめたもの
年に
で あ る。 人 口 は そ れ ぞ れ
年、
91.7 ⑳
53.2 2013年、
おける国連による推計値
( 中 位 推 計 ) で あ る。 ま ず
年後に予想されることは、
①インドの人口は中国の人
口にほぼ追いつく、②イン
ドネシア、パキスタン、バ
ングラデシュなどアジアの
人口大国は引き続き増加傾
向にあり、フィリピンに続
⑩ 127.1 ③ 320.1
98.4 ⑭
67.0 米国
日本
ミャンマー マレーシア
タイ
歳)の
フィリピンは3を上回って
ベ ル。 一 方、 パ キ ス タ ン、
タイに至っては日本と同レ
子 供 の 数 ) は 2 を 下 回 り、
(一人の女性が生涯に産む
ベトナムの合計特殊出生率
つ は 出 生 率 で あ る。 中 国、
の低さが目立つ。要因の一
おり、教育水準との関係が想定される。また、各
一方で、貧困率(一日1・ ドル未満で生活し
ている人の比率)は、南アジア諸国で高くなって
推進を担うべき層の薄さが課題であろう。
ミャンマー、バングラデシュなどは、経済成長の
の 中 等 教 育 就 学 率 を み る と 相 当 の 差 が 存 在 す る。
ぼ対応済みと見ることができよう。しかし、成人
に近い水準であり、教育の最も基礎的な部分はほ
識字率は南アジア諸国を除くと各国とも100%
~
いる。これらの数値には宗
国の人的資源を総合的に評価する指数として、国
まず教育レベルについては、若者(
教的背景もあると考えられ
連開発計画(UNDP)が公表している「人間開
にパキスタン、フィリピン
る。
「就学年数」「一人当たり国民総所得」から算出さ
年 と 予 測 )、
さらに2050年の人口
予測をみると、①ついにイ
年後の
れる値に基づきランク付けされ、UNDPはこの
は、
ンドが世界一の人口となり
24
順位103位以下を開発中位・低位国と分類して
15
(インドが中国を上回るの
(注)日米以外が2013年における人口規模順(○内の数字)で記載。人口は中位推計に基づく数値。若年人口は2015年、平均年齢は2013年推計値。合計特殊出生率、平均寿命は2010~2015年の数値。
識字率、中等教育終了比率は2005年~2012年の最新計数。貧困率は2002年~2012年の最新計数。
(資料)国連 World Population Prospects: The 2012 Revision・国連 Human Development Report 2014
年か
発指数(HDI)2014」がある。「平均余命」
いる。アジアの人口大国(除く中国)はこれに該
当しているが、膨大な潜在的労働力及び消費者予
限りアジア各国の動きは
以上は一つの予測ではあ
るものの、人口動態を見る
人割れが視野に。
シ フ ト し て い く の で は な い だ ろ う か。 巨 大 マ ー
に補完し合う形でグローバルに経済活動の拠点が
ワンが示すように、各国の発展段階に応じ、互い
こうして見ていくと、アジア各国は今後いくつ
かのパターンで人口規模、人口構成が変化してい
備軍と捉えることもできる。
様々であり、従ってアジア
ケット・アジアへの売込みには、まずこの大きな
フィリピン、マレーシアといったところだろうか。
ケ ッ ト を あ え て 挙 げ る と す れ ば、 イ ン ド ネ シ ア、
最 後 に、 国 連 の 人 口 予 測 を 見 る 限 り に お い て、
人 口 の 質・ 量 の 両 面 で 長 期 的 に 期 待 で き る マ ー
くと予想される。それに伴いチャイナ・プラス・
における成長センターも今
流れを把握することが重要と思われる。
人の質的な側面をみると、
人的資源
が予想される。
人口減少は更に加速し1億
25
後次々と変化していくこと
ら 減 少 と 予 測 )、 ③ 日 本 の
人口減少に転じる(
②タイに続きミャンマーも
28
きベトナムが1億人の大台
に迫る、③タイは人口増加
歳台半ば
40
が止まり、日本は減少が続
く。そして、図1が示すよ
うに中国、韓国、タイでは、
人口ボーナス期は終了して
いる。
は中国とタイが
をみると、アジア主要国で
推計値)
。 ま た、 平 均 年 齢
となっている(2015年
人を大きく上回って世界一
3・ 億人と中国の2・ 億
関 し て は、 既 に イ ン ド は
年 齢 構 成 を 比 較 す る と、
若者( ~ 歳)の人口に
24
13
10
と飛び抜けて高く、対照的
37
10
インドネシア パキスタン バングラデシュ フィリピン ベトナム
50
69
インド
中国
25
30
百万人 ① 1385.6 ② 1252.1 ④ 249.9 ⑥ 182.1 ⑧ 156.6 ⑫
人口 (2013年)
56
(表1)アジア主要国の人口関連指標
若年人口 (10~24歳)
百万人
269
356
67
59
48
31
23
13
14
8
17
65
平均年齢 (中央値)
歳
35.4
26.4
27.8
22.5
25.1
23.0
29.8
36.9
29.0
27.4
45.9
37.4
合計特殊出生率
(人)
1.66
2.50
2.35
3.22
2.20
3.07
1.75
1.41
1.95
1.98
1.41
1.97
78.9
平均寿命
歳
75.2
66.3
70.7
66.5
70.5
68.6
75.9
74.3
65.1
74.9
83.5
識字率 (15~24歳)
%
99.6
81.1
98.8
70.7
78.7
97.8
97.1
98.1
96.1
98.4
ー
ー
中等教育就学比率
%
65.3
38.7
44.5
33.2
26.7
64.8
65.0
38.1
17.8
69.4
86.4
95.0
貧困率
%
11.8
32.68
16.2
21.04
43.25
18.42
16.9
0.38
ー
ー
ー
ー
人間開発指数 (187ヵ国中)
順位
91
135
108
146
142
117
121
89
150
62
17
5