PDF-2

お客様各位
お客様には、品質データベースが相解析にいかに役立つかを紹介したこの
冊子と事例研究を是非ご覧いただきたいと思います。PDF-2データベース
は相同定を迅速かつ正確に行うために設計され、登録件数 265,127件を
特長としています。PDF-2は、ICDD、ICSD*、および NIST*の各データ
ベースを情報源とする粉末回折リファレンスデータと結晶構造リファレン
スデータを組み合わせて利用します。この資料をご覧になれば、PDF-2の
信頼性をご理解をいただけると確信します。PDF-2は費用対効果がもっと
も高いライセンスで適切な情報を提供できるように設計されています。
PDFデータベースはSybase®リレーショナルデータベースをプラットフォーム
とし、JAVA™と統合することでポイントアンドクリック方式を使い、材料の
すべてと材料のシステムのすべてに対してデータマイニング、高速検索、
高速ソートを行います。すべての ICDD データベースはデータセットの
すべてに対して統 合された品質レビューを適用します。ICDD データ
ベースは、品質を評価し、ユーザーに対して各リファレンスのコメント欄に
審査結果を提供する唯一の結晶学的データベースです。
PDF-2 = 品質 + 価値
※ 当センターの結晶学的データベースは以下の組織と国際的な協力体制を築いています。
ドイツKarlsruheのFachinformationszentrum Karlsruhe(FIZ)– 無機結晶構造データ
ベース(ICSD)
米国メリーランド州Gaithersburgの米国標準技術局(National Institute of Standards and
Technology:NIST)
ICDD、ICDDロゴ、およびPDFは米国特許商標局に登録されています。
Powder Diffraction Fileは、JCPDS̶International Centre for Diffraction Dataの商標です。
©2013 JCPDS̶International Centre for Diffraction Data
お客様のデータベースの具合はいかかですか?
ご存知のように、どのようなデータベースでも
答えを提 供できますが、果たしてそれは正しい
答えでしょうか? PDF-2を自信を持ってお奨
めします。PDF-2 は費用対効果がもっとも高い
ライセンスで適切な情報を提供できるように設計
されています。
PDF-2リリース2013の主な特長
データソース
粉末データ(ICDD)
110,224
単結晶データ(ICSD、NIST)
154,903
データセット総数
265,127
セルパラメーター数
233,795
l/lcの数
167,539
編集したコメント数
1,301,250
リファレンス数
325,903
雑誌数
2,441
著者数
102,056
タイトル数
156,959
無機
233,700
有機
37,816
鉱物
32,153
金属および合金
89,189
基本
品質 + 価値 = PDF-2
PDF-2は、相同定を迅速かつ正確に行うために設
計されたデータベースです。PDF-2は、ICDD、ICSD、お
よび NISTの各データベースを情報源とする粉末回折
リファレンスデータと結晶構造リファレンスデータを組
み合わせて利用します。この組み合わせにより、2,441種
類の雑誌と325,903件のリファレンスを情報源とする登
録件数 265,127件のグローバルなデータベースとなりま
す。データはレビュー、編集、規格化を経て PDF-2に公
開されます。データベースには大量のソースを用いるた
め規格化プロセスは特に重要です。
このデータベースには、無機、鉱物、ならびに金属およ
び合金のデータを広範囲に収集しています。有機デー
タとポリマーデータはデータベースに選択的に収集し
ています。これらは主に、ICDDの助成金プログラムか
ら発生して有機登録された10,875件の商用材料で構成
されます。材料をデータベースに追加してお客様の問
題解決に役立てるこの収集はデータベース設計の一部
です。当センターの製品試験では、この有機収 集の方
が共通の材料や産業的に重要な材料に重点を置いて
いるため、他の多くの有機データベースより性能が優れ
ています。個々の寄付金と助成金に由来するICDD 粉
末回折ソースの多くは、PDFデータベースに固有のもの
です。
優れた価値、高い費用対効果、および高性能
PDF-2データベースは5 年間ライセンスされ、さらに5 年
間、自由にライセンスを延長できます。ライセンス期間
が10 年を過ぎると、データベースの費用は年間数百ドル
になり費用対効果が高くなります。PDF-2ライセンスは、
PDF-2 に比べ年間使用料が高く内容が劣る通常の商
用単結晶データベースより費用対効果が高くなります。
産業および政府関連のユーザーの場合、費用差は製品
の耐用期間を通して数千ドルになります。データベース
は長く使うほど、費用対効果が高くなります。当然です
が、ユーザーにはライセンスを低価格で最新のPDF-2
リリースにいつでも更新できる選択肢があります。
書誌データ
サブファイルの配分
粉末データと単結晶データ
粉末デ ータベースと単 結晶デ ータベースを結 合して
1つの製品にすることで、粉末と単結晶の両方の世界に
最適なデータを提供します。
単結晶データと実 験 用粉末データは、粉末回折 解 析
に非常に重要です。実験用粉末パターンは、結晶化が
困難な材料または非晶質の材料に非常に役立ちます。
結 晶 化 が 困 難 な材 料 には、多くのポリマー、顔 料、
粘土、およびゼオライトが含まれます。
サブファイル
または
サブクラス
粉末
単結晶
合計
ポリマー
1,254
18
1,272
ゼオライト
1,565
1,763
3,328
顔料
684
350
1,034
鉱物
11,615
20,538
32,153
上述のように、これら2つの主要データソースの登録数
は非常に貴重であり、これらの登録数によりユーザー
は、単結晶データベースだけの場合や粉末データベー
スだけの場合に比べ、広範囲の材料をカバーすること
ができます。広範囲をカバーするデータベースにより、
ユーザーは正しい答えを得ることができます。PDF-2を
他のデータベースと比較する場合、特に解析する材料に
ついて比較する場合、多くのデータベースが数の多さを
強調しながら、化学分野や適用分野が限定されている
ことに気づくはずです。
性能 – 正しい答えを得る
PDF-2データベースの高性能の要因は、広範囲の内容
をカバーすることだけにあるのではなく、データベースの
設計と組み込みソフトウェアにも起因します。あらゆる
データベース製品と同様に、意図するところは単なる答え
を得ることではなく、正しい答えを得ることにあります。
データベース設計の目的は、リファレンス粉末パターン
と比較して相同定を行うことにあります。データベース
の格納装置は、データマイニングを容易に行えるリレー
ショナルデータベースです。JAVA™インターフェースを介
したマウスの「ポイントアンドクリック」により、データを
編成、ソート、表示することができます。
材料識別に用いる最も有効なデータマイニング
ツールは次のとおりです。
● サブファイル検索
● 元素組成検索
● ロングライン検索およびストロングライン検索
フィルター機能の簡単な証明を上の表に示します。スト
ロングライン検索をフィルターとして用いました。結果
は、フルデータベース内、鉱物サブファイル内、および鉄
(Fe)を含有する鉱物内のこのラインを含む登録数を示
します。少数(10 件未満)の登録候補は、比較的少ない
情報で獲得できます。実験用のd-間隔の精度が向上する
(例えば、3.06 Å が3.064 Åに置き換わる場合など)とと
もに、候補の相選択も向上します(候補が少なくなる)。
囲まれた事例履歴が示すように、このようなフィルター処
理を用いると、実験用データからトレース相とマイナー
相を簡単に識別することができます。
このフィルター処理は、データベースにロングラインとス
トロングラインのインデックスを確保し、すべての数式
を原子と重量のパーセント組成に変換し、データベース
を31個の定義済みサブファイルに区分することで実現で
きました。専門家による70 年以上にわたる編集により、
サブファイルは広範囲をカバーすることができます。
● ステータスおよび品質マーク検索
● 対称性検索
ステータス、品質マーク、およびサブファイルシステムは、
ICDD 製品に固有のものです。データはレビューされ、
品 質 別 、サ ブ ファイル の 内 容 別 、お よ び ステ ー タ
ス別 に区 分され ます。ステ ータス区 分 には、プライ
マリー(primary)、代替(alternate)、および削除済み
(deleted)が含まれます。プライマリー(primary)指定は
その分野の専門家が行い、特定組成の材料に「最適な」
エントリーを指定します。これによりユーザーは、材料識
別に「最適な」データを用い、元素組成やサブファイル型
などのフィルターによって識別対象をさらに絞り込むこと
ができます。
「削除済み」
(deleted)と指定されたパター
ンは、データベースに追加されているより適切なパターン
の出現の結果です。
「削除済み」
(deleted)パターンは、
レガシー用のためにデータベースから削除されません。
これは、粉末パターンの精度に基づいてデータの品質
を定義する当センターで唯一の結晶学的データベース
です。
ストロングライン検索によるフィルター処理は、データ
ベース中でサブファイルの d- 間隔分布を利用します。
22,705個のプライマリー鉱物を用いた上の事例では、
最大d- 間隔は、d- 間隔の刻み幅を0.05にしてプロットさ
れました。最大分布は、表に用いた3.06 Åのd-間隔付近
で発生します。ただし、母集団はより高い値のd- 間隔か
ら著しく離れた場所にあります。7.2 、10 、および14.4 Å
にある小さなクラスターは、層状のケイ酸塩系(カオリ
ン、白雲母、斜緑泥石、バーミキュライトなど)に共通の
現象です。母集団の分布は、鉱物の場合と金属の場合
と薬剤の場合とでは著しく異なります。それぞれのサブ
ファイルとサブクラスは固有の特性を持ちます。
フィルターを用いることで得られる最も大きな利点は、
不適切な化学的構造、低精度、および/または低品質を
含有する候補相を排除できることです。どのようなデー
タベースでも答えを提供できますが、PDF-2は正しい答
えを提供するように設計されています。すべてのフィル
ター処理は、PDF-2データベースに組み込まれたソフト
ウェアによって実行されます。ソフトウェアの追加は不要
です。
PDF-2の組み込みソフトウェアの機能
31個のサブファイル
元素検索
用語検索
鉱物区分とゼオライト区分
物理特性検索
著者、結晶、および縮小セルの検索
ANX、構造型検索 – ピアソン記号コード
書誌検索
選択
PDF-2データベースは世界市場において最も価値の高
い情報を提供します。この価値は、ライセンスの耐用期
間でならされた低年間コスト、大量の粉末構造リファレ
ンスデータと結晶構造リファレンスデータの結合、およ
びデータマイニング用組み込みソフトウェアによる高水
準の品質によってもたらされています。品質とサブファ
イルのフィルターを 52 個の異なる検 索と47 個の表 示
フィールドと組み合わせることで、より精度の高い同定
結果に対象を絞り込むことができます。データベースは
単なる数の収集ではなく、洗練されたデータ解析ツー
ルです。
新しい材料がグローバルなコミュニティで絶え間なく
開発される先 進的な化学分野においては、PDF-2 は
データベースの正しい選択ではありません。これには、
主に電子機器材料、薬剤、ナノ材料、およびエネルギー
貯蔵材料が含まれます。相同定と定量解析の両方のた
めに設計された広範囲の材料をカバーするデータベー
スが必要な場 合は、PDF-4データベース( PDF-4+、
PDF-4/Minerals 、PDF-4/Organics)の中から1つを
推奨します。PDF-4 系統のデータベースには、リートベ
ルト解析や他のパターン適合技法を実行する場合、粉
末から構造解を求める場合、アモルファス材料や非結
晶性材料を解析する場合、または結晶度や結晶子サイ
ズを決定する場合の必要なデータに特長があります。
各データベースには、結晶構造、分子グラフィックス、
およびデジタルパターンが含まれます。これらの製品の
技術的な詳細については、www.icdd.comの技術告示
で確認できます。
教育
当 セ ンタ ー の 目 的 は 、お 客 様 の 材 料 問 題 の 解 決
に 役 立 つことで す。P D F - 2 デ ー タベース に 加 え、
オンライン出 版 物とチュートリアルも提 供します。
多 くの チ ュ ートリ ア ル は デ ー タ ベ ース の 機 能 に
焦 点を当てますが、医 薬 品 、ポリマー、および 鉱 物
の解析に用いる方法について説明する一般的なチュー
トリアルもあります。チュートリアルページは、無料でダ
ウンロードできる出版物と教育ビデオにリンクしていま
す。ウェブサイトにも931を超える出版物があり、これら
は Advances in X-ray Analysis( X 線解析の進歩)から
無料でダウンロードできます。当センターのウェブサイ
ト、チュートリアルページ、および公開ページはそれぞれ
以下にありますのでお役立てください。
www.icdd.com/
www.icdd.com/resources/tutorials
www.icdd.com/resources/axasearch/search_based_on_vol.asp
20,000
2003
70,000
120,000
170,000
220,000
270,000
登録件数
320,000
2004
2006
登録件数
2005
アカデミック価格
表示価格
2008
2009
表示価格
PDF-2のリリース年
2007
2011
アカデミック価格
2010
PDF-2データベースの規模拡大と技術的機能向上により
価値を高めながら8年連続価格現状維持
登録件数
PDF-2の価値
2012
$3,000
2103
$5,000
$7,000
$9,000
価格
事例研究 ̶ モロッコの鉱物
モロッコのBou Becker産の鉱物試料は、分析のために市場から購入しました。試料はアズライトとして販売され、この
鉱物をイメージさせる特有の輝きのある青い色を帯びていました。光学顕微鏡検査では、母岩に埋め込まれた別の色
の鉱物も試料に含まれていることが確認されました。試料はメノウ乳鉢と乳棒を使った手作業で粉々に磨り潰しまし
た。磨り潰した物質は分析のために設けた窪みに置きました。被検査物は、澄んだ硬い粒子であるため手で磨り潰すこ
とが困難であり、手ざわりは全体的に非常にザラザラしていました。分析者は被検査物の結晶性を壊したくなく、また、
組成中に硬い物質が含まれていることも明らかだったことから磨り潰しを止めました。
データはゲルマニウムモノクロメーターを備えた市販の回折装置に集めました。生データ(上図)はノイズが多かった反
面、明確な結晶性ピークを示していました。ノイズの原因は、被検査物のザラザラした表面でした。これを分析するため
に、ICDDが提供するオプションのPDF-2用検索インデクシングソフトウェアであるSIeveを用いました。この事例研究
で表示するグラフィックスと出力はSIeveを用いました。SIeveはデータを表示し、ユーザーはSIeveを使ってこのデータ
を処理し、分析のためのd- 間隔と強度の入力リストを生成できます。算出されたd- 間隔と強度のリストは、上図の右側
に表示されています。
分析の前のデータ入力時に選択ボックスが表示され(図には表示されていません)、ユーザーがフィルターを用いるか
否かの応答を求めてきます。被検査物が鉱物であったことから、鉱物のサブファイルが選択されています。プログラムは
被検査物の2つのメジャー相が水晶とアズライトであることを直ちに同定しました。中央下部のパネル(上図)には、実
験データ(Ex d, Ex I)、同定された水晶の相(P1 d, P1 I)、同定されたアズライトの相(P2 d, P2 I)、および次の可能な相
Ba(Pb)SO4(P3 d, P3 I)が示されています。Ba(Pb)SO4相も上部ボックスの候補リストに黒色で強調表示されています。上
部ボックスの色付けされたd-間隔は、候補相と実験データが一致する場所を示します。左下部のパネルは、同定された
各物質とその各物質のパターン強度を示します。中央下部のパネルで実験データのd-間隔(Ex d)を見てみると、一致し
たd-間隔が青色で表示され、同定されていないd-間隔が黒色で表示されています。これら3つの相を同定すると、
(100
に正規化された)値5を超えるすべての相対強度に加え、パターン64個のピークのうち52個が明確になります。
この時点でユーザーは同定されていない残りのピークからマイナー相の同定を試すことができます。ピークが2∼3個
しか残っていないため(黒色)、プログラムがわずか2∼3個のピークから物質を同定できるように、ユーザーは最良の
一致度(GOM:Goodness of Match)のしきい値を下げる必要があります。この二次レベルの検索によって、フルオライ
ト、銅、および層状ケイ酸塩ポリリシオナイトを同定します。ポリリシオナイトの同定は主に9.90 Åでのピークに基づい
ており、この特性ピークを持つ層状ケイ酸塩は他にもあるため、同定の根拠に乏しい面があります。フルオライトと銅は
ともに測定範囲内に2∼3個のピークしかない比較的単純なパターンであるため、同定するにはGOMを2,000未満に下
げるステップが必要です。
同定と相強度を示すために左のボックスが強調表示され、6相のデータ一致が上図に示されています。6相のうちの5相
にI/Ic値があり、この値を半定量分析に用いることができます。
この分析の後に、XRF分析で、Ba(Pb)SO4に対するPb(鉛)など、上記の化合物に一致するメジャー要素の存在を確認し
ました。鉱物は不可視光線で検査され、CaF2粒子は蛍光を発しました。顕微鏡検査では、銅と銅に隣接するアズライト
の細い鉱脈を示し、さらにその鉱脈の付近に緑色と黒色の結晶も示しました。XRDパターンの再検査で赤銅鉱とマラカ
イトを同定しました。このような追加の観測によって、物質から8 相を同定しました。リートベルト法では、
マイナー相の
すべてが0.3∼6重量パーセントの濃度中にあることを確認しました。
この例は、PDF-2のいくつかの特徴を実証します。同定では、粉末回折リファレンスデータと単結晶リファレンスデータ
の両方を用いました。良質のリファレンスと一致する良質の生データにより、8 相を同定しました。鉱物サブファイルの
使用により、候補のフィルター処理と偽陽性同定の削減に役立ちました。データの確認(XRF、光学顕微鏡検査、蛍光発
色性)が、ユーザーに正解に対する確信を持たせ、回折同定を支援しました。
©2013 JCPDS—International Centre for Diffraction Data
事例研究 ̶ ポートランドセメント
ポートランドセメントの試料は摩擦粉砕機を用いて微粒子化しました。被検査物の結果として生成された粉末回折
パターンを以下に示します。データは、Cu放射線を用いた従来の実験用回折計に集めました。
データは、ICDDのPDF-2用検索インデキシングソフトウェアであるSIeveにインポートしました。SIeveを用いると、分析
者は、自然放射能やアルファ2を除去し、相分析に用いるd- 間隔と強度のペアリストを生成するピーク場所を同定でき
ます。ソフトウェアにはデータ平滑化のためのオプションもあります。この事例では微細化ミルを用いて細かく粉末化し
た小粒で滑らかな表面を持つ被検査物を生成したため、このオプションは使用しませんでした。
試料を分析する前に、セメントおよび水和生成物のサブファイル検索を分
析に用いることを設定します。この設定は、左図に示すようにPDF-2のサブ
ファイル/サブクラス検索オプションで選択し、検索に用います。サブファイル
の内容は、セメント業界で確認された物質を含むように、専門分野別に分類さ
れます。
SIeveを開いたら、ユーザーは、デフォルトのサブセットか以前選択したセメントおよび水和生成物サブファイルのどち
らかを選択します。セメント物質の多くも鉱物であることから、Mineral(鉱物)サブファイルを用いることができます。
ただし、鉱物のすべてがセメントに用いられるわけではないため、ユーザーは、セメントおよび水和生成物サブファイル
を選択し、PDF-2で以下のデータを削減します。
PDF-2 Release2013の総計
鉱物
セメントおよび水和生成物
265,127鉱物登録数
32,153鉱物登録数
1,320鉱物登録数
このステップは、不適切な化学分野の鉱物を除去し、同定において偽陽性相の見込みを削減することで相同定の精度
を著しく向上します。特定のサブファイルを選択する機能は、大部分のICDD販売業者のソフトウェアにも統合されてい
ます。ICDDのソフトウェアを用いるか別のソフトウェアを用いるかに関係なく、より正確な分析のために、あらゆる場合
にサブファイルの選択を推奨します。
上図は、SIeveのメイン分析画面を示します。
「最良のメリット」
(GOM:Goodness of Merit)の順番に同定された相は
左上に表示されます。右上にあるのは、実験データと比較したその特定相の個々のd-間隔一致です。d-間隔が一致する
と、そのd-間隔は赤色で示されます。GOMの最上位相はケイ酸三カルシウムであり、よくある一般的なセメント相です。
8つのピークはすべて被検査物で同定されます。左下のパネルは、選択した同定、その強度、およびI/Ic 値を示し、中央
下のパネルは、実験(Ex d、Ex I)のd、Iペア、同定した鉱物(P1 d、P1 I)のd、Iペアを示します。この中央右のボックス
(以下の展開ビューを参照)は、実験におけるすべてのd、Iペアを示すスクロールダウンボックスです。一致する2番目の
相は炭酸カルシウムであり、これは一般的な別のセメント相です。この相は、より強いd- 間隔のうちの6つに一致します
が、8つのd-間隔に一致したケイ酸三カルシウムよりも少し低いGOMを持ちます。
統合された検索ソフトウェアを用いると、ユーザーは任意の列ヘッダーをクリッ
クしてその列をソートできます。リスト(左図を参照)のヘッダーでマウスをクリッ
クするだけで、リストがリファレンスd-間隔に基づいてソートされます。マウスをド
ラッグしてクリックすると、表示内のボックスを拡大することもできます。ケイ酸
三カルシウムの場合は、左の表示に示すように、実験パターンの59個の同定され
たピークのうちの33個について、この相単独で明確に説明できることを確認でき
ます。
メジャー相を同定したら、ページ上部のハンドシェークアイコン(上図の赤丸アイコン)を選択すると、それらのメジャー
相を「受諾」することができます。選択すると、SIeveは、d、Iペアの差分リストを計算して、より詳細な分析を行います。
分析を2回繰り返して、ケイ酸三カルシウム、ニケイ酸カルシウム、カルサイト、および石膏を同定しました。これらはす
べてポートランドセメントの既知の構成物質です。今の最上位候補は酸化鉄カルシウムであり、5つの相で観測された
59個のピークのうちの56個について明確に説明します。各相は右下にリストされ、実験データと比較されています。分
析の終わり近くでは、わずか2∼3個のピークが色付けされたd-間隔の「一致」を示すようになることも確認できます。赤
色は強力な一致を示し、ピンク色は、実験とリファレンスのd-間隔において差分が決定したように弱い一致を示します。
d-間隔のメジャー部分はすでに同定されて割り当てられているため、分析の開始時には数千個であったGOMの数(8つ
のd-間隔の最大スケールは8,000)は、現在ではわずか1∼2個のd-間隔しか候補リストの照合に表示されていないため
に数百個にまで減っています。
同定された56個のd-間隔に対するd、Iペアリスト(右下)の綿密な分析では、すべてのピークが貢献者として5つの相の
うちの1つを持ち、実験ピークの大部分が複数の相から寄与を受けています。セメント相の厳格な重なりによって分析が
困難になるため、サブファイルなどの同定に役立つフィルター使用の重要性が強調されます。同定されていない最も大
きなピークは3.667 Åです。このピークに一致する可能性があるセメント候補は複数あります。ただし、パターンの重なり
のために、要素分析などの追加の支援データがなければ、詳細な同定の根拠は弱くなります。
追記:セメント分析は、重なるd-間隔を持つ実験相の数のために困難になるのが通常です。回折パターンでは、29∼
35度の2つのシータの区域は強力に重なる複数のピークを含みます。SIeveには、困難な分析を助ける複数のツールが
あります。3つの照合アルゴリズム(Hanawalt、Fink、およびLong 8)を選択できます。Hanawaltアルゴリズムはデフォ
ルトのアルゴリズムであり、パターンにおいて最も強いピークを用います。FinkアルゴリズムとLong 8アルゴリズムはとも
に低角度のピークに焦点を当てます。この場合は、Long 8アルゴリズムが 、石膏と酸化鉄カルシウムの同定に役立ちま
す。一致スキームを重み付けるためのオプションがあります。これにより、石灰(CaO)、ポートランダイト(Ca(OH)2)、ペ
リクレース(MgO)などの簡単なパターンの同定に役立ちます。最後にパターンGOMがあります。これは、リファレンスパ
ターンにどのようにうまく一致させるかに基づいて物質を同定します。これは、一致が実験データへの適合に基づいてい
るデフォルトのGOMのプロセスを反転させます。この場合、パターンGOMは、ケイ酸二カルシウム(ラルナイト)の同定に
役立ち、さらに2.75∼2.78 Åの強力なピークも持つ他の候補のセメント相との区別にも役立ちます。
29∼35度の2つのシータの区域は、多くのパターン強度を含み、多くの相からの強力な寄与があります。水晶、ドロマイ
ト、石灰などの可能な低濃度相では解決が困難です。この場合、ユーザーは高度な解像度分析(小さいスリット)を実施
し、より合計値の高い強度データ(長い収集時間)を収集して、低濃度相を同定します。
上図のデータは、微細化された同じ試料ですが、計器条件をセメント分析向けに最適化した別の被検査物です。強度ス
ケールは以前の分析の50倍であり、同定されたピーク数は59から155に変わりました。強度を上げ、解像度を改善する
ことで、相同定は著しく簡単になり、硬石膏(CaSO4)、バシナイト(CaSO4 0.5 H2O)、水晶(SiO2)、およびポートラン
ダイト(Ca(OH)2)という追加の相を確認しました。酸化鉄カルシウムは、ブラウンミラライトとして明確に同定されまし
た。全体的に155個のd-間隔のうちの151個が同定されました。同定されていない残りのピークは、最大ピークの1%未
満の強度でした。
結論
セメントおよび水和生成物のフィルターに加えPDF-2を用いると、ポートランドセメントの典型的な実験室分析において
5つの相を同定できます。これらはすべて、この混合物において高濃度の構成要素です。改良された信号対雑音比を持
つ最適化分析では、9つの相が同定されました。
サブファイル検索の使用によって、適切な化学分野に的を絞り、偽陽性結果の見込みを削減します。偽陽性結果は、重
なるピーク数と典型的なセメントに存在する複数相のために、この種の分析では問題があります。9つの相を分析する
機能は、高品質データと高品質リファレンスデータベースの強力な組み合わせを示します。
©2013 JCPDS—International Centre for Diffraction Data