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美容皮膚科用軟膏の調製方法と物理化学的特性
根元 学 3 ,
京谷 庄二郎 1
◯緒方 沙織 1 ,井口 美紀 1 ,図師 清二 2 ,平松 久嗣 2 ,
( 1 徳島文理大薬,2 エール薬局,3 シンキー)
【目的】紫外線によるシミやニキビ跡の色素沈着を改善するために、美容皮膚科
領域でヒドロキノン軟膏が自家製剤されている。ヒドロキノンは、その作用が強く、
多量に用いるとアレルギーや炎症を惹起することも危惧されている。このような
副作用があるにも関わらず、自家製剤された軟膏の含量均一性、安定性等の物性に
ついてほとんど検討されていないのが現状である。そこで今回我々は、基剤の異な
る各種ヒドロキノン軟膏を調製し、物性に及ぼす基剤及び調製方法の影響につい
て検討した。
【方法】基剤には、親水軟膏、プラスチベース、流動パラフィン及び精製ラノリ
ンを用いた。また軟膏の調製方法㻔混合方法㻕は軟膏板、乳鉢・乳棒及び自転公転
型混合機(㻺㻾㻮㻙㻞㻡㻜、シンキーなんこう練太郎)を用いた。調製した軟膏につい
て、含量均一性、展延性、粘度等を測定した。また、顕微鏡を用いて、主薬の分
散性を観察した。㻌
【結果・考察】調製した軟膏の展延性は、調製課程における混合方法により異な
り、自転公転型混合機で混合した場合、軟膏板で混合した場合に比べ、優れてい
た。主薬の分散性は、自転公転型混合機の場合の方が軟膏板の場合に比べ均等に
分散していた。軟膏板混合の場合、自転公転型混合機と同様の展延性および分散
性を得るには長時間の混合を必要とした。一方、自転公転型混合機の場合、基剤
の組み合わせ及び軟膏つぼへの基剤の挿入の仕方により、均一に混ざりにくい場
合もあった。これらのことより、自転公転型混合機は短時間で展延性及び含量均
一性に優れた軟膏が調製出来るが、軟膏の基剤の性質等を十分に把握し、調製す
る必要があるものと考察される。㻌