~平成 27 年合格目標~ ミスターY の法改正情報 7月号 国民年金法・厚生年金保険法 1 インプット 1.原簿の訂正請求 年金制度における恒常的な手続として、国民年金原簿・厚年金保険原簿の年金記録が誤 っている場合に被保険者等が訂正請求できる手続を新たに創設することとされた。 〔平成 27 年3月1日施行〕 <訂正の請求(国民年金法 14 条の2第1項) 〔 〕は厚生年金保険法の規定(厚生年金保険法 28 条の2第1項)> 新(新 設) 被保険者又は被保険者であった者は、国民年金原簿〔厚生年金保険原簿〕に記録され た自己に係る特定国民年金原簿記録〔特定厚生年金保険原簿記録〕が事実でない、又は 国民年金原簿〔厚生年金保険原簿〕に自己に係る特定国民年金原簿記録〔特定厚生年金 保険原簿記録〕が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところに より、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿記録〔厚生年金保険原簿〕の訂正の請求をす ることができる。 ※ 特定国民年金原簿記録とは、①被保険者の資格の取得及び喪失、②種別の変更、③保 険料の納付状況、④その他厚生労働省令で定める事項(次のア及びイの事項)の内容を いう。 ア 給付に関する事項 イ 保険料免除制度により免除された保険料に関する事項 ※ 特定厚生年金保険原簿記録とは、①被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、②標準 報酬、③その他厚生労働省令で定める事項(次のア~ウの事項)の内容をいう。 ア 被保険者の種別及び基金(存続厚生年金基金)の加入員であるかないかの区別、賞 与の支払年月日、保険給付に関する事項 イ 離婚時みなし被保険者期間、離婚時みなし被保険者期間に係る標準報酬及び保険給 付に関する事項、 ウ 被扶養配偶者みなし被保険者期間、被扶養配偶者みなし被保険者期間に係る標準報 酬及び保険給付に関する事項 2.試験上の注意点 ① 未支給年金〔未支給の保険給付〕の支給を請求することができる者、遺族基礎年金〔遺 族厚生年金〕などの死亡に関する給付の受給権者は、死亡した者に係る特定国民年金原 簿記録〔特定厚生年金保険原簿記録〕について、国民年金原簿〔厚生年金保険原簿〕の 訂正の請求をすることができる。 ② 離婚時みなし被保険者期間又は被扶養配偶者みなし被保険者期間のみを有する者につ いても、自己に係る特定厚生年金保険原簿記録について、厚生年金保険原簿の訂正の請 求をすることができる。 1 ~平成 27 年合格目標~ ミスターY の法改正情報 7月号 ③ 厚生労働大臣は、訂正請求に係る国民年金原簿〔厚生年金保険原簿〕の訂正をする旨 又は訂正をしない旨を決定しなければならない。 厚生労働大臣は、この規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、社会保障 審議会に諮問しなければならない。 ④ 訂正請求に係る厚生労働大臣の決定についての不服は、社会保険審査官・社会保険審 査会に対する審査請求・再審査請求の対象から除かれている。 〈補足〉訂正請求に係る厚生労働大臣の決定に不服がある場合、厚生労働大臣に対して、 行政不服審査法に基づく審査請求を行うことができ、また、決定の取消を求めて、直 接、裁判所に訴訟を提起することもできることとされている。 ⑤ 訂正請求は、所定の事項を記載した請求書を、日本年金機構に提出することによって 行わなければならない(訂正請求の受理に関する厚生労働大臣の権限に係る事務は、日 本年金機構に行わせるものとされている) 。 ⑥ 訂正請求に係る厚生労働大臣の決定の権限は、地方厚生局長(さらには、地方厚生支 局長)に委任することができる。 注.当該権限が地方厚生局長に委任された場合(地方厚生支局長に委任された場合を含 む。)には、上記③中「社会保障審議会」とあるのは、「地方厚生局に置かれる政令で 定める審議会(地方年金記録訂正審議会)」とされる。 つまり、訂正請求について、地方厚生局長(地方厚生支局長)が決定をしようとす るときは、あらかじめ、地方年金記録訂正審議会に諮問しなければならないことにな る。 ⑦ 厚生年金保険法において、時効によって徴収権が消滅した保険料に係る被保険者であ った期間に基づく保険給付は行わないこととしている規定の例外に、 「訂正請求があった 後に、保険料を徴収する権利が時効によって消滅したものであるとき」が追加された。 2 アウトプット(練習問題にチャレンジ) ≪問 題≫ 1.次の文中の の部分を、選択肢の中の適当な語句で埋めてください。 被保険者又は被保険者であった者は、国民年金原簿に記録された自己に係る A (被 保険者の資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況その他厚生労働省令で定め る事項の内容をいう。 )が事実でない、又は国民年金原簿に自己に係る いないと B A が記録されて するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、 国民年金原簿の訂正の請求をすることができる。 選択肢…① 確信 ② 思料 ③ 想像 ④ 推測 ⑤ 特定被保険者情報 ⑥ 特定個人情報 ⑦ 特殊国民年金原簿記録 ⑧ 特定国民年金原簿記録 2.次の文の正誤を判断してください。 2 ~平成 27 年合格目標~ ミスターY の法改正情報 7月号 被扶養配偶者みなし被保険者期間を有するが、厚生年金保険の被保険者又は被保険者で あったことがない者については、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることはできない。 ≪解 答≫ 1.A ⑧ 特定国民年金原簿記録(国民年金法 14 条の2第1項) B 2.× ② 思料(同 上) 設問の者も、自己に係る特定厚生年金保険原簿記録について、厚生年金保険原簿 の訂正の請求をすることができる(厚生年金保険法 28 条の2第3項)。 ★コメント★ これまでの総務省による「年金記録の確認申立て(年金記録確認第三者委員会への申立 て)」に代わる恒常的な手続きとして、国民年金法・厚生年金保険法に規定が設けられたも のです。出題の可能性が高いので、今一度チェックしておきましょう。 3
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