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「予防領域と医療領域の融合=メディカル・フィットネスビジネス」の視点
ウエルネス・フロンティア株式会社
代表取締役 大木香一郎
医療制度改革に伴う「保健介入」に、様々なビジネスが生まれ始めている。特に「メ
タボリックシンドローム=健康診断で黄色信号」の方が赤信号にならないための保健指導
が義務化されることによる対策コンテンツが求められている。
前回、医療領域と予防領域が融合した健康増進支援のシステム構築が求められ、本市
場への目配りをすることが重要であると述べた。今回は、この予防領域と医療領域の融
合を「メディカル・フィットネスビジネス」分野とし、その視点及び最大のテーマであ
る「メタボリックシンドローム」対応策の一部について紹介します。
■「メディカル・
メディカル・フィットネスビジネス」
フィットネスビジネス」の視点(図・1)
従来、ヘルスケアビジネスは、治療と予防軸及び、ソフトとハード軸に区切ると、4 つ
の領域があり、それぞれの領域でビジネスがなされ、治療領域と予防領域が融合してい
ることは少なかった。
「保健介入」において、例えば、今まで健診だけを担ってきた「医療機関」には、引
き続き保健指導を付加価値として加える機会があり、又、例えば、従来黄色信号の方の
入会を受け付けなかった「フィットネスジム」には有所見者の受け入れを付加価値とし
て取り込める機会があるといえます。
しかしながら、今まで、”医療領域は予防領域の取り込み方がわからない” ”予防領域
も今までアンタチャブルであった有所見者をどう取り込んだら良いかわからない”のが実
態で、予防領域が医療領域を取り込むもしくは、医療領域が予防領域を取り込む「メデ
ィカル・フィットネスビジネス」の創出が期待されます。
図・1 メディカル・フィットネスビジネスの視点
Hard
・電子チェッカー
電子チェッカー
・電子モニター
電子モニター機器
モニター機器
・健康増進支援機器
・リハビリ機器
リハビリ機器
・健康食品
・医薬品
・スポーツ用品
スポーツ用品
・通信機器
予防領域参入
日常
Care
専門
Cure
メディカルフィットネス
医療・
医療・治療
健康・
健康・予防
医療との
医療とのコラボレーション
とのコラボレーション
・医療情報サービス
医療情報サービス
・医療食宅配サービス
医療食宅配サービス
・健康情報サービス
健康情報サービス
・在宅総合診療
・フィットネスクラブ
・訪問介護サービス
訪問介護サービス
・ヘルスケアコンシェルジュ
・コメディカルスタッフ
Soft
Soft
■ 「メタボリックシンドローム」
メタボリックシンドローム」対策としての
対策としてのエクササイズガイド
としてのエクササイズガイドが
エクササイズガイドが示される
厚労省は、生活習慣病を予防するために、どのくらい体を動かせばよいか、一週間
毎の「身体活動の量」としての目安を「エクササイズ」という単位で示した。
(図・2)
余暇に楽しむ運動やスポーツだけではなく、労働や食事などが身体活動に含まれて
おり、週 23 エクササイズ(メッツ・時)以上の身体活動(運動・生活活動)を行い、
そのうち 4 エクササイズを活発な運動に当てるとしている。
(健康づくりのための運動
指針 2006)これらは、国内外の論文を基に、生活習慣病になるリスクが低減できる目
安として算出されたものである。
このことから、日常行動を把握した保健指導が望まれる。
図・2 健康づくりのための運動指針2006
(厚生労働省資料)
■ 運動は
「質
「パターン
「タイミング
運動は「量」だけでなく、
だけでなく、
「質」
「パターン」
パターン」
「タイミング」
タイミング」の把握が
把握が重要
従来、運動量のバロメーターとして歩数計による指標が用いられてきたが、歩数は
足りても適度な運動の時間(質)が不足すると疾病にかかり易い等のエビデンスも学
会発表されており、歩数計ではその把握が不十分とされ始めた。
エクササイズガイドを指標として、運動の自己管理をしたり、運動指導をするに際
して、日常生活時における身体活動量を客観的に把握する方策として、腰部に装着す
るだけで身体活動を把握するデバイスが販売されている。
(図・3)
(スズケン・ライフ
コーダ)これは運動の「質」の他に、比較的高い強度の身体活動を1日のうちでいつ
行うかという「タイミング」や生活パターンの把握が客観的に出来るので、歩数計に
比べて高価であるが、健康行動の「動機付け」や「習慣化」につながることも期待で
き、「保健介入」を効果的に出来ることが期待できる。
これらを組み込んだシステムが望まれてくると考える。
図・3 日常生活時の身体活動量の把握とは
歩数計では
歩数計では把握
では把握できない
把握できない
1日の歩数、運動量(kcal)、総消費量(kcal)や運動の
1.強さ、2.継続時間、
継続時間、3.頻度が
頻度がグラフでわかります
グラフでわかります。
でわかります。
生活習慣の
生活習慣の把握が
把握が出来る
出来る
時間帯(
時間帯(時)
(スズケン、カタログより)
■ 人材の
人材の育成が
育成が課題
「保健指導」のためには、運動療養指導士等の早期育成が必要であるが、現在約 1
万人の資格保有者を、年間 5,000 人養成する(現在 800 人/年)とされ、管理栄養士
や保健師等への受験資格間口を広げる指針が出ている。
しかしながら、医療職の方は病気を治すことは得意だが、健常者や未病の方を病気
にならないようにすることは不得手といえ、資格と実践のギャップを如何に埋めるか
が、人材の確保に加えて課題である。
このほかにも、多くのビジネス機会が考えられるので、この「予防領域と医療領域の融
合=メディカル・フィットネスビジネス」の創出に向けて、研究会を発足する予定でいる。