2月号(PDF:298.9KB)

白樺
学校だより
北本市立東小学校
平成27年2月号
℡(048)592-2050
http://www4.ocn.ne.jp/
~khigashi/
やさしい子・かんがえる子・たくましい子
気持ちをカタチに
校訓は、「勤労
協同
理不尽!」
校長
安
野
正
人
もちろん、我が東小学校ではありません。『銀の匙 Silver Spoon』
(中勘助の『銀の匙』とも違
エ
ゾ
ノ
ー
います)というコミックで描かれる「大蝦夷農業高等学校」の校訓です。「何といい加減な!」と
思われるかもしれませんが、正にこの校訓のとおり、破天荒な光景が描かれます。しかし、その内
容は実際の農業高校での学校生活や寮生活をモデルにした、ユーモアとともに命をつなぐ農業や食
ひろむ
料の大切さ、青年期の葛藤や未来の夢をテーマにした作品です。作者は、荒川 弘 さん。他にも『鋼
の錬金術師』などの作品を描いている3児の母です。自身が卒業した北海道立帯広農業高等学校で
の体験が下敷きになっているそうです。
主人公の八軒勇吾は、札幌の進学校で落ちこぼれ、寮があるからという現実逃避だけでエゾノー
の酪農科学科に入学します。しかし、周囲の多くは農家の跡継ぎなど明確な将来の夢を持つ者ばか
り。コンプレックスにさいなまれながら、答えのない問題に悪戦苦闘していきます。
こんなエピソードが描かれます。入学早々、逃げ出した実習用のニワトリを捕まえるのを手伝う
と、さっそく先輩が目の前でニワトリを処理し、「スモークチキン、できたら食わせてやるよ!」
と笑顔で話しかけてきます。また、農業実習、家畜当番実習等で疲れ切った夕刻、突風で半壊した
園芸温室を修理するために、急に声がかかり、遅くまで修理に奔走します。また、夜間であっても
急に始まる家畜の出産。当然、手伝わなければなりません。その上、全入の部活動には運動部しか
なく、たまたま入った馬術部は、馬の世話のために毎朝4時起きの生活です。そして何よりも、産
卵成績が落ちたり、競争に負けたりすると、すぐに処分されてしまう「経済動物」の現実に驚きま
す。動物と人間が気持ちを通い合わせるなんてファンタジーに過ぎない、ということを。しかし、
豚舎の実習では、3ヶ月後には必ず食肉にされてしまうとわかっている子豚に、周囲の反対を押し
切って名前をつけてしまいます。そんな、非農業的な八軒が、「農業経営」を当然と思ってきた他
の生徒たちと交わることで、周囲にも化学反応が起こっていきます。
こんな場面が、とっても印象的でした。アルバ
イト先で、できたて、とれたてのものを食べる度、
そのおいしさに感動する八軒は、味覚をほめられ
ます。遺伝なのかと思った八軒に対し、農場主は
「そりゃアレだべ。君らが子供の頃から、親がち
ゃんとしたもの食べさせてくれてたんだべ」と答
えます。理不尽の中にも、きちんと道理がある。
そんなことを感じさせられました。
折しも、全国学校給食週間が始まっています。
「食」について、みんなで考える機会にしていき
たいと思います。
「銀の匙 SilverSpoon」公式サイトから