第3回 地域特性を活かした新たなヘルスケアビジネス創出研究会議事要旨

第3回 地域特性を活かした新たなヘルスケアビジネス創出研究会議事要旨
【開催要領】
1.日
時:平成 27 年 2 月 26 日(木) 13:30 ~ 15:30
2.場
所:福岡合同庁舎本館 1階会議室
3.出席委員:有江委員、筬島委員、河原委員、菱川委員、副島委員、増本委員(代理眞名子
氏)
、上大迫氏(薩摩川内市)、九州経済産業局
【議事次第】
1.第2回議事要旨の確認
2.地域におけるヘルスケアビジネスの萌芽事例
3.第3回研究会の論点
4.討議
【議事概要】
○ 冒頭、有江委員長開会挨拶。九州経済産業局、副島委員、上大迫氏から説明が行われた。
その後、討論が行われた。
討論概要は、以下のとおり。
○
近年、医療が治療から予防に徐々にシフトしていることを考えると、今後、ヘルスケアビジネ
スのニーズは増えると考えている。従来は、電子カルテから様々な情報を分析可能な形で収集す
ることは極めて難しかったが、当院では電子カルテからデータを収集するシステムを、企業と共
同で開発。今後は、ヘルスケアビジネスにおいても、こういったデータやICTを積極的に活用
することが重要と考える。
○
近年、認知症が大きな問題となっているが、認知症を予防する確実な方法がなく、今後、認知
症を予防するプログラムは極めて重要になると考える。
○
当院では、健康経営の一環として、職員の BMI 上位5パーセント、20人を対象に、活動量計
を貸与し、運動量、体重、血圧、高脂血症等をチェックし保健師が助言、サポートする取組を実
施。歩数のランキングの見える化、フィットネス利用券の配布等を行いながら、3ヶ月間実施し
た結果、体重、体脂肪率、血圧、血糖値等の数値が改善し、大きな効果があった。このような取
組は、薬を使用しないため医療費適正化にも繋がる。
○
健康づくりは、本人が健康の重要性をしっかり認識し、モチベーションを維持することが非常
に重要。特にモチベーションを維持するためには、健康づくりに励むと良いことがあるというイ
ンセンティブが有効と考える。また、健康に関心のない無関心層にどのようにして、セルフメデ
ィケーションを促進するかが課題と考える。
○
ヘルスケアサービス利用者のモチベーションを維持するためには、インセンティブの付与のほ
か、一緒にサービスを利用している者同士の交流や競争意識の利用、保健師等の指導者の呼びか
け、順位等の見える化も重要。
○
ヘルスケアサービスには、従来の自治体等が提供する公的部分と、サービス事業者が提供する
民間部分、また、自治体等とサービス事業者が連携して提供する部分があるため、ビジネス創出
には、ニーズ等の情報を整理し行政と事業者を束ねて連携させるアグリケーターやビジネスを促
進するキーマン等の人材が必要。また、地域だけでは、どういった手法でサービスの付加価値を
高めるか等、ノウハウや情報が不足しているため、知見を持った専門家からのアドバイスや情報
提供が重要。
○
ヘルスケアビジネスの振興、若年層への需要喚起には、長期的な視点で、学校で運動や食事の
大切さ等、健康に関する教育を行うことが重要。また、医療機関が、治療ではなく予防に取り組
むことで、医療機関のメリットにつながるような仕組みを考えていくことも必要と考える。
○
九州ヘルスケア産業推進協議会の「“ヘルスケア産業づくり貢献大賞”」を受賞したビジネスの
成功事例等の普及と九州ワイドでの展開が必要。また、受賞すると自社のビジネスの横展開を協
議会から支援してもらえるようになれば、事業者にとってもインセンティブになると考える。
○
地域におけるヘルスケアビジネスの創出については、観光資源、アクセス、立地条件、医療機
関、企業等、地域によってビジネスリソースが大きく異なってくる。そのため、地域のリソース
や九州の強みを整理し、ターゲットを明確にした上でテーマを定め、プロジェクトとして取り組
むことも必要と考える。
○
九州は、北海道、東京、京都に比べると、海外で十分認知されていない。インバウンドに取り
組むには、海外の人々に九州の魅力を知って頂く必要があるが、一病院では取り組めない。九州
全体で九州の魅力をPRするような取り組みが必要ではないか。
○
海外でのPRには、映像やパンフレットを作成する方法もあるが、医師が自ら海外に行き、現
地で日本の検診等についてプレゼンすることも有効。昨年、中国の大連で、九州の医療機関の医
師がPET検診等に関するプレゼンを行ったが、医師が直接説明することで信頼性が高くなり、
海外から検診を受けに来る人も増えるなど効果があったと聞いている。
○
メディカルツーリズムに取り組むのであれば、海外の方のニーズの把握、受入れ体制の整備、
どういった人を対象にするのか等、ターゲットの明確化が重要。海外では、メディカルツーリズ
ムに関する学会等も開催されており、中国では5月と6月、アメリカでは秋に開催しており、実
際に参加し情報収集することも良いのではないか。
○
現在、厚労省では、自身の健康維持、増進等に取り組んだ場合、インセンティブを付与する保
険料の仕組みの制度化を検討していると聞いている。健康状態は個人の健康に関する取組以外に
も様々な要因があるため、単純に保険料に大きな差はつけられないが、ヘルスケアポイントのよ
うなインセンティブについては、積極的に活用が進むのではないかと聞いている。
○
運動プログラムについては、活動量計を取り入れるだけでも非常に効果がある。近年はスマー
トフォンでも様々なデータを記録し、楽しみながら健康プログラムに取り組むことができるよう
になっている。このような仕組みづくりはビジネスにつながると考えている。
(以
上)