2005年夏号 - 一般財団法人住総研

、
日
戸
己
。 -uO
玄
夏
2
0
0
5
,
、
、
日発行。
552GEm}
U 担)
。
円子 oczo﹀己 O Z G 食
o
o
Z
号(通巻第百号
J勾 h て
CC込見叫 同
、
家庭書・血統書 、
特集 H
-
h
、
野城智也(話取)
司会 H
一
一︿風紋﹀ 浸の棚田と白壁の住居 明 汚 伊 藤 井 明:::2
すまいの経歴書 H家歴書る整えることで、
住宅にまつわる貧困トラップから抜け出そ,っ
︿佳⋮占。
家歴書は血統書になり5るか :::6
田村誠邦(訂竹ン)十小郷直史(明川市l ン)
し
中古住宅の品質情報提供促進 W
視
点
水
流
潤
太
郎
:
:
:
お
/
・
2
雇用環境の変化に対応する新しい住宅ロlン中里壮也・﹁・ 一
日米の中古戸建て住宅の需要観の達、L
山崎古都子・
からみた ﹁家歴書 Lの活用の可能性
J
﹀軒州議思凡誤射
i
M刊
r
o経年価値と地域的継承大沼正寛d
住ま
︿
汁
訪
日
ン
〆
川尚毅判
l
t
は可能か?村松伸:::印
公共資産としての住まい﹂という文化
︿私のすまいろん﹀ ﹁
ノ
u
〆︿
・
M
図 書申皐だより﹀ 蹴諮問蹴遠藤於菟旧蔵建築資料青木祐介 -q
︿ひろば﹀ 集合住宅がつくる﹁集落 Ll l
ム
エ
問
山
昭
帰された秩序木下光 ::・回
真
f
U
,
、
A
〆
車
千まい再発見﹀ 求道学舎崎四日ト語以混ば族計一一馴
i--招編集後記:::併
住総研ニューズレタl
角
季
、
3
財団法人住
、
みo
¥
dL?f九
f
、
•
戸
近
,
、
-6
2
目
次
、
,
、、
.
ISSN0916,-0671
[
イ
ド 1
、与
翻平
居
住図
査菌
市b
1
9
その両岸はV字削 Jの深い峡谷になっている。この地域に住むチベ
中国・雲南省岡部を流れる澗治江は﹁一二江併流﹂ のひとつで、
掛かっていて、物置や軽作業場になっている。寝台を置いて半屋
室が個室化している。二階は屋上テラスで、その約半分に屋根が
ためいている。このさらに上に屋根裏があり、ミツバチの巣箱や
外の寝室としても使用している。露天の部分は物乾し場で、一隅
筑などが転がっている。人口の前にベランダがあり、作業場や近
ット族は谷沿いのわずかな緩斜而に棚田を造り、支やトウモロコ
彼らの住居の外親は非慌に様式化されている。版築のマッシブ
所の人ぴとが集まる場所になっている。主屋と少し離れた場所に
に臼く塗られたラマ教の香炉があり、五色の布を結わえた旗がは
な壁面とそこに銃眼のように穿たれた矩形の小さな窓、それに勾
校倉造りの穀物庫がある。この他に、家衰の飼料を煮る寵があり、
シを栽培している。
配の緩い板葺きの屋根が特徴である。臼く漆喰を上塗りした外壁
版築の外壁は、木造の軸組とは独立している。そのために外観
大鍋が掛けられている。
谷札(グジヤ)は燕門の上流約三同の所にある小村で、青い支
の堅牢さに比して、内部空間の平面的な自由度が高い。版築は雨
に褐色の窓枠が映え、その上に妻側に壁がなく、向こう側が透け
畑の中に住居が点在する絵画的な集法である。幹娘道路は谷向こ
に弱いので、上端部には木の板が雨除けの庇として差し込まれて
て見えている切妻屋根が傘を広げたように掛かっている。
うを走っていて、村には吊り橋でアプローチする。
1皆
,
半地下
取
τT2
いる。また、垂直方向の断ヤ聞が露出する所では、型枠として使用
のI
J
H
¥
。
、
4彩色された人
5一木彫の』もされ
口
。
右プfj-'J\-~
た1
1箆の;怒。
隣 家 2階テラスか
a音
量
b 香炉
│ーだドの配抗'
I
;
(
j
の HI
ー
をj
主望。
c梯 子
2
1
1
;
:
Nの 入 r
l
i
i
江
(ふじい・あきら/東京大学生産技術研究所教筏)
ら
,V
W
'
i
E
i
主!万を見る。
住民は半地下の部分が広い京帝小屋で、住煉の直下は牛小屋で、
γ
1
0牛 小 庭
1
1貯j
、
屋
1
2j
i
享図い
づ
コ ~m (
:
:
;
Q
,}
o
ιL
,
J 2皆
i
金一一一一一一一一一一一
した木枠がそのまま覆いとして残してある。
のテラス c
3一半j也 F
の家前
前庭部分には烏や豚がいる。一階には居間と寝室、厨房がある。
! 斗
古い筏物ではこれらが一室になっているが、析しいものでは、寝
513
{
iべ ー ジ 引L
一一
E 穀物J;1Iベランダ
C 家畜用厨房 3 居間
D 水橋
4 厨房
5 夫士号1
寝台
6 子供務室
7 収納
8 作祭場・物置
t
一一一
一一←
一
一
一
一一
一一
一一
一一
一三Om ぬ
一
丸 'N
A 主度
B ま宝物産
i
E
c
I
I
童図
i
9 屋上テラス
l 入口
A 主屋
'.,白け・-'~、れ,、
.
"
\~パアコ九三三のよゴ
をお:
ー
!
己
ニ
コ
自
c
すまいいの経書日家歴書を整えることでも
住宅にまつわる圏トラップから抜け出そう
ンが見込めず、かつまた建物の換側価値が急激に低下するということは、住
しかも、実は個人は大変なリスクを背負っている。土地のキャピタルゲイ
維持し、長寿化させて使いまわしていこうという動機付けは働かない。
凶トラップ﹂なる造一請をして、これを改めねばならないと、王張し続けている。
宅ロ l ン の 残 債 の 方 が 、 換 価 価 髄 を 上 回 る と い う 状 態 が 長 期 間 持 続 す る と い
l)恐 縮 で あ る が 、 筆 者 は ﹁ 生 活 貧
この国では、住宅ロ i ン を 組 ん で 住 宅 を 新 築 ・ 購 入 す る こ と が 依 然 と し て 当
何度も同じことを一一一一口い続けて(例えば文献
たり前になっており、人ぴとは長い年月をかけて住居費を払い続けている。
うことを意味している。終身雇用や、収入右肩上がりが当たり前ではない状
2
やっとロ l ン の 返 済 が 終 わ っ た な と 思 え ば 、 日 本 人 の 平 均 寿 命 と 自分自身の
ればいいのだが、相続税納付や財産分与のために取り壊され、子世代はまた
分譲マンションにすればよい﹂という論理が幅を効かせていることがとても
いが、﹁利便性がある立地なら、空洞化したり財務上塩漬けになった空間は、
筆者は、最近、まちゃ住宅毘地の再生にささやかながらかかわることも多
況において、これはゆゆしきことである。
双六の振り出しに戻って住宅ロ i ンを払い続けることもしばしばである。こ
気になる。洪給者にとっては短期にかつ安定的に投資や債権を資金回収がで
からお迎えがきた後に、自分が人生を傾けた資産を子孫が使いまわしてくれ
年齢が接近していることに気づくことも決してめずらしくない。せめて天国
のようなプロセスから生み出され続けるのは、スクラップアンドビルドによ
この悩ましき﹁生活貧困トラップ﹂から脱却していくには、本特集で市中里
きる点では分譲マンションは優れているが、もろもろのリスクは結局、購入
壮 也 が 論 を 張 る よ う に 、 ノ ン リ コ i ス(非遡及型)の住宅ロ l ンの仕組みを
る資源の消費や枯渇、大量廃棄物、そして借金の重荷である。従前であれば
安定的収入犠加によって、この﹁生活貴闘トラップ﹂の矛塙は顕在化するこ
者に移転しているのではないか、という思いにかられるからである。
とはなかった。しかし、矛扇を覆い同船していた要因群は吹っ飛び、今後はさ
実現していくしかない。経年に伴う住宅の換価価値の低下関止・維持と、ノ
右肩上がりの経済状況のなかで、土地資産のキャピタルゲインや、終身雇用、
まざまな形で問題が顕在化してくるに違いない。それは社会経済的な意味で
ンリコースの住宅ロ l ン の 仕 組 み は 、 相 互 に 必 要 条 件 で あ る よ う な 鶏 と 卵 の
﹁貧困トラップ﹂を引き起こす一つの原田は、既存住宅にかかわる慣行的
て、﹁実は価値があるのです﹂と市場のなかで主張し、換価偶値を上昇させて
ような関係にあるが、いままで慣行上タダ同然に評価されてきたものについ
も、環境的な意味でも、サステナビリティを阻官一目するゆゆしき問題である。
な不動産鑑定方法にある。現在での慣行では、日本の既存住宅の側値は経年
それを必要とする利害関係者に配布が可能な形で整備された情報であると考
筆者は、その証拠とは、住宅の保有性能・品質を推認でき、検証可能で、
いくには、何らの証拠がいる。
価値がほぼゼロになってしまう。誰も価値がゼロになるものに対して、大規
とともに大幅に減価していってしまい、木造一戸建て住宅に至つては一五年で
模な投資はしない。結果として、住宅を長年にわたって手入れをして価値を
重
特集⑧家庭書・血統書
開村誠邦/たむらまさくに
株式会社アiクプレイン代表取締役
a
一九七じ年、点以大学仁川
γ部山叫築 yf利点 i業。
一介建設側、側、ング 7問先計心開問附究所勤務を
経 て 、 ⋮ 九 九 じ 年 、 胸 アi ク ブ レ イ ン ぷ zJ10
上地石川初出川・共同ビル・外科建築プロジェク
ト・阿川市川口開発・地山崎山開発・住宅地開発等の
企州・が業化コンサルティング・コストプラ
RW
帥山・山叫築余耐門マニ
ンニング、郡山討州・まちづくり等の余州・刊州
KH
・コンサルティングを、れな業務とする。似
本山叫築吋'
会
品川町川円山町活性化委礼会委日比、 HH
f
粍済委比九五プログラミング小委民会委日比なと
を 経 任 。 主 な 汗 ド Hに
、
の 評 価 基 準 が 、 一 般 の マi ケ ッ ト に お け る 評 価 側 値 に そ の ま ま 準 用 さ れ て い る と
野城(司会)日本では、悶定資産税課税のための価値算定であったはずの建物
いう泌史的な経緯をたどって、しかもみんなが宗教のようにそれは疋しいと思っ
ていますから、築後一五年ぐらいたちますと、木造の戸建住宅に五つては慣行的
にほぼゼロに評悩されてしまう。こういった状態を放山一蹴している限り、﹁サステナ
このミニシンポジウムでは、﹁
本版京日﹂というものが、長年染み付いてしまって
ビリティ﹂といったって非常に空しいということがあります。
ことを考えてまいりたいと思います。
見広さなければならない制度を変えていくのに意味をもつにちがいない、という
間村一誠邦さんからは、かかわられたさまさまな住宅の建替え、あるいは保存の
なかで、どのように住宅の版一段、あるいは家隠者が意味をもってきたかというこ
そして、地化成は、大手のハウスメーカーのなかでも、特に住宅の長寿化につ
とをお話しいただきます。
いてかなり先進的な取り組みをしておられます。家旧政引一日をずいぶん前からつくっ
て お ら れ て 、 そ れ を 新 た な サ ー ビ ス や 今 後 の 住 宅 ロi ン の 創 造 に つ な げ た さ ま ざ
まな試みをしておられますので、小'郷広史さんからは、これらをご紹介いただき
コンパi ジ ョ ン 等 の ブ ロ ジ ェ
独立してまる八年、
ながら、きょうのテ!?を考える手がかりにさせていただきたいと思います。
家歴査一日を考える
建物の保存・一再生@建替えの条件
田村誠邦
マンション建替え
私は以前は都市計画系の事務所にいたのですが
にコi ポ ラ テ ィ ブ ハ ウ ス
も
て普通の所有権のプロジェクトが一つ。 目 下 取 り 組 ん で い る の は 求 道 学 舎 と
はじめの三つはつくば方式というスケルトン定借のプロジェクトです。
コi ポ ラ テ ィ ブ は 現 在 進 行 中 の プ ロ ジ ェ ク ト を 含 め て 五 つ や っ て お り ま す 。
クトに取り組んできました。
お
し
そ
ュアル E (共的、処抗 4h
州議)、三スケルトン定
H 、ペ j 五
H 出版社)など
的の明みと実践し (Hハ点
がある。
ラ
瀦
mF
町
晶EAHX/おごう・なおふみ
vhFJA3
姐
、
AJ
旭化成モiゲiジ株式会社
取締役・証券化業務部長
一九八一年、学留院大学法学部卒業。旭化成
工業総(現・旭化成総)入社。住宅事業部総
務食品開諜にて金融、法務、税務の担当課長、
二O O二年、分社持株制への移行に伴ない、
旭化成ホi ムズ株式会れに転籍、フアイナン
シヤル卒業家にて開発・企凶和一当課長等を回総
使。二O O悶年より、旭化成モ i ゲi ジ鮒取
締役(兼・川崎化成ホームズ附ファイナンシャ
ル事業主・郊口氏)。その他の公職として、川問
団法人プレハブ往築協会金融税制委員を務
める。
司会 H
野城智塩/やしろともなり
東京大学生産技術研究所教授
一九八O年、東京大学工学部建築竿科卒業。
八五年、同大学院工学系研究科問土諜程修γ。
役築研究所研究円以、武滅工
工学的士。建設計 M
業大学建築学科助教佼、東京大川f工中系研究
科紅会法救工学専攻助教授などを絞て製戦。
︿サステナブルな都市・建築・必業﹀に関わ
る領域、︿プロジェクトを必殺とする技術の
了不ジメント﹀に関わる領域を主な研山んテ!
?とする。者会に、吋サービス・ブロパイダ
││都市符伎の新産業論﹄(彩間引)、翻訳得
に、リチャ iド ・ ロ ジ ャ ー ス 吋 都 市 こ の 小
さな惑星の﹄(共訳、耐此向山山版会)などがあ
る。本誌編集委氏。
いう大正
五年の建物のコンパ i ジョンのプロジェクトです。
マンションの建替えでは、間潤会江戸川アパートメント、麻布パインクレ
スト、ジl ド ル ン ク 府 中 、 諏 訪 町 住 宅 。 こ こ 数 年 で こ れ ら の プ ロ ジ ェ ク ト に
、 コンバージョンについては、東大の松村秀一先生を責任者とする研
かかわってきました。
寺小 h
究会があって、その成果を踏まえて、求道学舎のプロジェクトに取り組んで
います。本日は、これらの事例を通して﹁家歴書﹂の必要性ということでお
話しをさせていただきたいと忠います。
読利用地に建てるという建築行為
まず、建築行為というものをどういうふうにとらえるか。これまでは未利
用地、いわゆる更地に建てる新築が主だったと思いますが、既利用地、何か
これらの事例は、マンション建替えは当然として、コーポラティブの事例も
建っているところに建てるという行為が次第にふえてくる。私のかかわった
すべて、何か建っていた土地、すなわち既利用地でのプロジェクトです。
既利用地での建築行為にも、単純な修繕維持の話から、大規模修繕、リフ
ォーム、リノベ i シ ョ ン 、 コ ン バ ー ジ ョ ン 、 建 替 え 、 さ ら に は 閥 辺 ま で 含 め
た再開発、あるいは単なる取壊しもあります。それぞれの建築行為について、
関連する法規、社会規範、経済条件等々、それぞれ枠組みが違うということ
が既利用地でのプロジェクトの特徴です。複雑で解決すべき課題が多い。ま
ったくの未利用地での新築工事が実はいちばん単純なんですね。
しかし、これからは建築行為の大半が既利用地での建築行為ということに
なる。そういった建築行為をどう実現していくか。これは建築だけではどう
し ょ う も な く て 、 関 連 す る い ろ い ろ な 分 野 の 専 門 家 と の コ ラ ボ レl ションが
必要で、実捺に私がやっているのはそういった類いの仕事です。
二O O一一一気ーまでの統計ですが、住宅総数約五四O O万 戸 に 対 し て 、 居 住 世
i)。
帯のいる住宅一戸数は五000万戸以下であり。その差はいわゆる空き家です。
つまり、住宅ストック数は十分に足りている(図
住宅総一戸数を年間新築一戸数で除した値の国際比較をみると、日本がわずか
四O年 余 で あ る の に 対 し 、 イ ギ リ ス の 一 四O年をはじめとして、諸外国では
A
∞o
日本の場合は一 O%ぐ ら い で す
2、
六O年以上が一般的です。人口一 000人 当 り の 住 宅 着 工 戸 数 は 、 日 本 で は
イギリス
回
1)
afE
OQd
4nU
1Qd
ー
⋮
'
t
/治
数
、
、
藷
一工
Y4
叩
﹂田住
一宅
2
0
0
ドイツ
ド
包本
Jm
ツあたりでも四割ぐらいですから、 いかにわが国が新築に偏ったマーケット
であるかがわかります(図 │4)0
一九八六年から九八年までの住宅着工一戸数をみても、アメリカは日本の約
一一・三倍の人口であることを考慮すると、日本の新築者工一戸数が非常に多い
ことがわかります。九0年代にアメリカは好景気となり、住宅の新築着工一戸
数も増えているのですが、それと同時に中古住宅の流通量も急増し、いま五
00万戸程度に上っています。それに対して、日本の中古流通量はずっと十
数万戸から二O 万 戸 ぐ ら い の ほ と ん ど 横 ば い 状 態 で 、 新 築 住 宅 中 心 で 中 古 流
通量が少ないというのが日本の特徴になっています(図i
5)。
一方、資源利用量の半分近くを建築産業が占めている。既利用地に新築す
るということは、どうしても既存のものを壊してつくるということですが、
していたのではなく、あらためて振り返ると、そうだつたなということです。
実は何らかの保存なり保全なりを目指したプロジェクトであった。別に意図
そんなことで、マンション建替え以外のコ iポラティブのプロジェクトも、
した。環境を保全したというプロジェクトです。
ですが、敷地が栢続等で細分化されないように、集合住宅にして庭の緑を残
修工事です。﹁深沢プロジェクト﹂は、戦後すぐの古い住宅を建て替えたの
合住宅を建てて山止め代わりにしたというプロジェクトで、これも一種の改
社の境内でやったのですが、老朽化した擁壁の改修が必要となり、斜面に集
集合住宅の集会室として保存を間ったプロジェクト。﹁小石川の杜﹂は、神
旧宅敷地にコーポラティブハウスを建てた事例ですが、書斎﹁残月の閑﹂を
ポラティブプロジェクト。﹁近衛町アパートメント﹂は、作家・舟橋聖一の
憶を残したいということで、一部ステンドグラスなどを残して建替えたコー
﹁丘の上ハウス﹂は、昭和初期の大変優れた住宅があったのですが、何か記
してプロデュースするという立場でかかわってきたプロジェクトをみますと、
そ ん な こ と で 、 私 が 、 ﹁ コ ー デ ィ ネ ー タl﹂ 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 組 み 立 て を
。
す(図│6)
建設産業の廃棄量と資源利用量が多いということが日本の特徴になっていま
同 2-5 ,L1Hj!~ 松村秀一他ず詮革 '
1産,(市谷If',版社 2
0
0
4
'
Flによる
約九・五一戸で、これもヨi ロッパと比べますと、倍ぐらいの量です(図
ドイツ
フランスでも五割を超えています。 アメリカ
"00
。
3)
住宅総懲
イ
〆 ア コ プω
:
子炉ブアてアナアヤy
平成 5勾度、不法投 J
車誌は平成 5-7背皮の平均航
デ タ:建設有、環境庁、涼生省調究
一の
f
tj
s
一た
ゴ人
一
j
J
oあ
1脚
色人
イギリス
全摩葉 1
I
封
書
j
I
f
業 i割合
2
4
億トン 111億トン i 崎弘
景
14
1
章トン│且 8
2
後トン
2
1
!
l
リサイヴ I~ 罷 1
3
.
1億トン 1
0
.
45
億トン
1
5
'
羽最│最終処分嚢 1
0
.
8
4
1
電トン 1
0
.
3
7
僚トン
4
4
ち
《志投棄景
139万トン 134万トン
87~11
﹂回同
2
0
C
O
3
4田
本年︿
日制
図
容賓
合
嫌
の
。産
四
9 一
一切築
働
MmLZ
口
%め
的廃
幻憾
幻楽
ω照
4
本
・
接
的
関誌
o86
68
737883
88939803
一方、増改築が住宅投資に占める割合は
フラ/ス
がイギリスでは六割
5000
醐脚棚
3
0
0
C
1
0
0
0
フラノス
a
1
]- 6
30
20
間
図- 2 住宅ストック総戸数奇年間新築戸数て。除
した値の闘際比較
5 住宅走者工数と中古住宅流通翠の日米比較
図
流通戸数(千戸)
撞工戸数(千戸)
資料日宅 1
:
)
也
統
,
l
!
,
却1
i
Y
!
H
!
;
50
J
アメリカ
図 一 1 住宅総数と居住世窃あり住宅数の捻移
a
1
]-4 住宅投資に占めるま盤改築投資の比率(%)
の園際比較
か:::。一号館には社交室とか食堂とか共川部分かたくさんありまして、せ
人口住宅としてはないのではないか。なぜこれを壊さなければならなかったの
す。伊藤先生みたいな方がいらっし
いうちに建後え決議をやったわけで
た。決議の内先日を担保する人がいな
とで
そのまま建谷、ぇ決議をしまし
高階建物の兄える目白通り沿いはん九日結率がしハOO%の商業地域ですが、こ
めて、そこを保存したかったのですが、残念ながら残せませんでした(図j7)。
玉決
議警
k発
5
p行
建
ン
シ
ョ
ン
替
え
です。
桂川川村え前の連物の状況は、配管関
建物です。隣地で大規模な再開発が始まり再開発地収計耐の区域に指定され
ろは軍手でコンクリートを触ると、
ない状態でした。外壁のひどいとこ
ません。階段も錆びついてかなり危
係とか子すりとか全然予を入れてい
一O年ほど前から住民 Mえの話が起こりました。 も と も と は
これも反対する方がいたので訴訟を起こしましたが、半年ぐらいで、和解
立派なマンションに建詩わって同じ面積を取得できても、キッチンの一扉の色
均還元率五一二%でも非常に立いんでいただいている建替えもあれば、こういう
ト
定
で片付きました。ニOO二年一二月に者-上して、二OO例年⋮ 0 月 末 に 完 成
れについて不満を持つ住民がいます。同潤会江戸川アパートメントの例、平
コスト条件が厳しかったので、日出案内はさほど高級ではないのですが、そ
竣工後は⋮五階建ての免震マンションになりました。
8)。
鉄 筋 ま で 出 て く る と い う 状 況 で し た ( 図1
たことを契機に、
0
問 一 B 建努え訴の「麻布パインクレスト J の状況
が気に食わないと不満を持つ方もいる。そのへんが非常に難しいところです。
z
Q守
¥ブ
プ
タ住
です。この山崎終えではデベロッパ l が入っておらず、デベロッパ!の役は、
L
宅
21
ポ
J
伊藤滋先生自らが個人でおやりになりました。
マンション建民間え円市化法ができて、 区分所有法が改正され、 それでうま
パ弱
有利な条件で話を進めていて、 そ の 条 件 が 守 れ な く な っ て デ ベ ロ ッ パ i は降
での合意形成の質が大切です。 こ こ の 場 合 は 、 か つ て デ ベ ロ ッ パ l が住民に
をされた方です。近角常観と武田五一の二人が、ともに海外留学の経験があ
父にあたる方ですが、明治時代に仏教界での宗教改革でかなり先駆的なこと
一が設計した学生寮です。発注者の近角常観は、建築家の近角真一さんの祖
﹁求道学舎﹂は本郷にある建物で、京都大学の建築学科を創設した武田五
コ
の選
よ
ノ 5
りたのです。ところが、 住 民 は そ の 条 件 で な い と 合 意 形 成 で き な い と い う こ
くいくということになっていますが、 そんなのは幻想ですね。防総評え決議ま
求築
道七
学九
舎年
しましたが、役務、ぇ決議によるわが国最初の老朽化マンションの建脊え事例
開始され、その年の暮れに建仇 Hえ決議をとりました。
二OOO年に都市計州の伊総滋先生にご相談があって、 佐川川口えの勉強会が
宇品!)れ/﹂
のですが、 小川が途中で壊れ、 デ ベ ロ ッ パ ー が 卒 業 化 を 断 念 し て 計 同 が 頓 知 し
内開発のデベロッパーがこのマンションも合めて同開発するという訴だった
九七二年にできた間七戸の
自主建将えは非常に難しいのが現実
ゃったので、たまたま建替えができ
議
し号
の 敷 地 は 住 民 系 川 途 で す 。 山M 控 物 に 閉 ま れ な が ら 、 こ の 敷 地 の 北 側 の と こ
z
非
ま し た が 、 通 常 の ケl ス で は 、 卒 業
ス五
ろに住民系の七地がほんのちょっとだけ伐っていて口影規制がかかるため、
百
科
リスクを取るデベロッパ i がいない
金有
非常に徳川uえの条件が厳しかったということです。
サ定
﹁麻布パインクレスト﹂は、六本木一一j Hに
コ住
ン陪
日
lU
M L LJ
ー
n /﹄
l
図 -13
江戸川アパートメント
の生協E
塁率会だより等
の資料リストの一部
保存、再生、建替えが成功する条件は、
J J ノサ
建物に対する強い意思と愛着、そしてたくさんの家歴資料
メ
〆G
まず 可閉会づ]一一-HF
j f j 7ノlトメント﹂
の一号飴の一部を残せなかった理
出向ですが
マ
ン
シ
ョ
ン
と
い
う
も
の
は
敷地と総体等ヨ会えっ k、
U3?
小
こ
J:is'1f
ついても
f
14子
4l
原則として全員の同意が必要になります。
、
っ
また 区分所
有法の建
替え決議は
建物の取演しを前提にしており
建詩、ぇ決議で建物の一部を筏
すということができな、ト 旺
L
7Lftら
λゴ
えということも大きな要因でした。
もう一つは 保存に要する改修工事費用や
P
Jつ
攻
か
Ehjt
炎
三 ﹀;f
l
ff
u,
'品
1
主税ノ
⋮弘用の原資
を生み出す仕組みがなかったことです。
また 保存後の縫物の所有主体とか
利川川、主体がイメージできなかった。
;建物の保存述動の多くは、出火し七、 tt
たくさんいても、
j7Ljt
m
明す仕組みまで提案できていないわけです。
そこができな
いと結局建物は残らない。
A
これらの反省を踏ま、えて、
﹁求退学合﹂ では
非常にプリミティブですか
その建物の空間を気に入っていただいて
お金を出して住みたいという方に
区分所有して残してもらおうと、う土日ル
,
to市Jを指令、えたわけです。
次に、司閉会工メ一コリウ
j J Y 7ノートメントメ氏、問
手
fiしL
元率でも防法替、えができた均一由
は、なんと、
L
っても河潤会江戸川アパ iトメントと
J 7主V
?に
:対
dして権利者
か非常に誇りを持っていたし、しっ対処
愛蒜をもっていたことです。
また
建
替
え
を
主
与
し
、
i
i
九四一事会のメンバーの結束バ
一般の権利者の
理事会に対する支持が一賞していたことも重要な上引した。
理事会のメン
パ!というのは
同じころこのアパートで生まれてばつ私一?
f jえちです。
として安易に使いこ﹂
くないのですが、
﹂こには本当の意味での ﹁コ、ミユ二一ア
ィ﹂があったと忠うのです。
実は ここまぷ?っレザ
﹂
ヲ
〆
と
,
七
、
王
管
理
で
管理人を廃って組合で管理してきたわナ
です。
iJl
そこでコミュニケーションとか合意形成のノウハウをずっと培ってき
たことが漣努えの合意形成に役だったのではないかと思います。
また 結果
的にいいデベロツパ i
がみつかったということも重要な要素です。
l
l
i
l
]
-12
江戸川アパートメント
の霊堂設当特の資料等の
リストの一部
実は、今回、求道学舎を定期借地権でやる大きな理由の一つは、最後にも
う二度所有者に建物が戻るということです。基本的には壊さないで無償で土
地所有者に戻って、もう一盟国じ仕組みで、あるいはもっといい仕組みで建
物を再生していきたい。そういう願いを込めての定期借地権です。
また、特に保存・再生のときには、建物自体に保存・再生すべき価値があ
ること。そして、創建当時の経緯とか設計圏、竣工図、管理運営記録、大規
開始して三二年ほどになりますが、基本的な構造を一一一二年閉まったく変えて
いません。
実はこれからお話しさせていただく履歴管浬という意味においても、単一
構造を維持することがかなり重要で、取り組みが容易であった理由の一つと
いえると思います。構造の多様化は履歴管理や査定システムの観点からは大
野城特に集合住宅を中心に、﹁保存・再生・建替えの条件﹂という主題の
の強い意思とか愛着があることが大事なわけです。
ことが非常に大事だし、また保存・再生・建替えを行ないたいという人びと
と、時の経過の中でお客さまに価値を提供できる形になっているかどうか、
かに対応するかといった時間軸でみたとき、機能的にロングライフであるこ
スタイルや家族構成、住まい方、あるいは外的環境の変化といったものにい
フ住宅とは、ハードとしての性能が長期耐用であることはもちろん、ライフ
私どもは一九九八年に﹁ロングライフ住宅宣言﹂をしました。ロングライ
きな長荷となってしまいます。
なかで、家歴というものがどういう機能をもったかということをお話しいた
そういう視点で物を考えようということで、﹁物理的ロングライフ﹂﹁機能
模修繕の記鉢など、建物自体についての記録ができるだけ詳細に残っている
だきました。続いて、小郷さんにお話しいただきます。
的ロングライフ﹂﹁サービスのロングライフ﹂という一二つのアプローチによ
メンテナンスプログラム
に基づいた部材設計
り、顧客価値の向上を関っております(図!
i)。
図- 2 住まいに求められる性能と価値
ハウスメーカーの
﹁家歴書﹂による価値創造への取b組み
iliへ
lベルハウスにおける履歴管理とその活用事例
小郷直史
旭 化 成 ホ ー ム ズ で は 、 一 戸 建 て の へ i ベルハウスという建物を販売してい
るわけですが、私どもハウスメーカーがどのような形で履歴管理を行ない、
それをどのように活用して、どういった価髄につなげていこうとしているの
ついて、お話しさせていただこうと忠います。
か、その具体的な取り組みと今後価値創造していきたいと考えている部分に
ロングライフ他により高い価値を創造する
へi ベ ル ハ ウ ス の 構 造 は 、 軽 量 鉄 骨 の 基 本 躯 体 に 床 、 外 壁 、 屋 根 部 にA L
C コンクリート(軽量気泡コンクリート)を組み合わせた構造です。事業を
関-1 へ…ベルハウスのロンタライフ住宅への取り組み
.点検対怒
全へーペ Jld、ウスがまオゑ
基礎、鐙体、再装の麗J
久性診的I
設備機諮問口部等の機能性確認
私どもはこれをそれぞれ、﹁当初から備えるべき高い価伎を持つ住宅を供
.1務自 〈
霊
童 31王手〉から
給すること﹂﹁供給した住宅の価値を維持・更新できる仕組みを持つこと﹂
(
D
塁認の議室意義!こは必笈}
﹁供給した住宅の資産価髄をべ i ス に し て 豊 か な 生 活 を 実 現 す る サ ー ビ ス ﹂
2)。
が提供されていくことと定義づけ、ロングライフ住宅戦略の骨格に据えてお
ります(図
1
0
年
、 1
5年、 2
0年、 2
5年、
3
0
年
、 4
0
年
、 5
0
年
をはっきりと意識していただこうとしております。
スやオリジナル火災保険等の保険商品を提供することで、建物の価値の部分
六O年メンテナンスプログラム
﹃物理的ロングライフ﹄と申し上げたなかでいちばん重要なプログラムと
﹁
六O 年メンテナンスプログラム﹂です。一一一つの要素で構成されていまして、
して位置づけており、後から述べる維持管理履歴の蓄積のもととなるのが、
ること、すなわち二戸建て住宅を賃貸することができる仕組みを兼ね備える
一つは定期点検を六0年 間 実 施 し て い く と い う こ と 。 無 料 定 期 点 検 を 、 三 カ
リバースモl ゲl ジ﹃REMOVE(リム!ブ)﹄を提供しております。 R E
MOVEは﹁円。︿角的052高知m
m
w︿ぬお山OE の略で、﹁2502﹂ と い う 言 葉 に
O年 に わ た っ て 、 き ち ん と し た 定 期 点 検 を 行 な う 組 織 と 体 制 を と っ て お り ま
し 、 四O年 司 、 四 五 年 目 、 五O 年 目 、 六O 年 目 は 、 一 万 五000円 ほ ど を 頂
月日、一年、二年、五年、一 O年 、 一 五 年 、 ニO年、ニ五年、一一一O 年 に 実 施
は本来﹁転居する・住み替える﹂といった意味もあり、そういう部分をイメ
す(図i4、5)
戴して有料定期点検をさせていただくという形になっていまして、会期間六
ージしてネーミングしたもので、詳しくは後ほど触れたいと思います。
その一環として、積極的な住み替えを支援していくために、住み替え型の
というものです。
活性化したいという思いからです。併せて、住まいを収益資産として活用す
﹁中古﹂という言葉を使っておりません。良質な住宅ストックの流通市場を
くろうという発想。私どもは﹁ストックへ i ベルハウス﹄と呼んで、あえて
三つ目は、住宅の資産偶髄という観点から、中古流通市場を自らの子でつ
などのサポート体制があるということ。これが﹁価値を維持・更新できる仕
ま た 、 私 ど も は 入 居 者 の お 客 さ ま に 対 し て 、 住 宅 ロ l ンの情り換えサービ
図- 5 6
0年メンテナンスプログラム
これをもう少し噛み砕いていきますと、一つ目が、安全で安心かつ快適な
住まいであること、時代を超えかっ街並みに調和したデザイン、環境との調
和を図り、住まい方の変化に対し柔軟に対応できる、といづたことが﹁当初
から備えるべき高い価値﹂であろうと考えています。
二 つ 自 は 、 ア フ タ ー サ ー ビ ス を 提 供 す る ホl ム サ ー ビ ス 課 が 、 い つ も お 客
7
"
さ ま の そ ば に 寄 り 添 い 、 一 貫 窓 口 で い つ で も お 客 さ ま か ら の サi ビスコール
稼'侠汚傷越審援島争答妥Z
塗盆惣等耕
》
a
に応えられる仕組みが仰組織的に準備されていること。メンテナンスのプログ
ラムに基づき維持管理のための点検を実施レベルできちんとやっていくとい
う こ と 。 さ ら に き ょ う の テi マ で も あ る 、 住 ま い の 履 歴 を 管 理 で き る 仕 組 み
… 亨 碍 附 符y
押
貯ル叫叫…
必
還
掌
:
話
i
60年隠にの 1
11mの点検実施
3カ月、 1
年
、 2
年
、 5
年
、
圃
組み﹂という概念で考えている部分です。
をもち、履歴に基づき機能の維持・更新をサポートする専門リフォーム会社
1
1
!
]-4 8日:年にわたる点検システム
へi ベ ル ハ ウ ス の メ ン テ ナ ン ス の う ち 、 大 き な 部 品 交 換 ・ 点 検 を 要 す る 時
四五年と、大きく一五年のピッチで行なっていただく計画になっています。
、
期(大規模修繕といったほ、つがいいかもしれませんが)は、一五年、一二O年
ここで非常に重要なのは、住宅を構成する各部材の耐用年数をこのタイミン
グに同期をとり、メンテナンスのタイミングを同時期にして、コストの掛か
る足場を架ける回数を減らすことで、お客様の長担を低く抑えていることで
す ( 図13)0
それから、もう一つの特徴は、ご契約時に一五年、一二O年 、 四 五 年 の と き
に、現在価値に叩泣き直した場合にいくらぐらいかかるかという修繕費用の目
安 を 出 し た と い う 点 。 一 五 年 目 に ニ ニO万、三O年 目 に 五 五O 万 、 四 五 年 目
が容易に変えられるということはたいへん重要です。そのときに、耐力壁が
室内に面していると、なかなかそこを動かすのが難しいため、新たに設計手
法 と し て 採 り 入 れ た の が ﹁ ユ ニ バ ー サ ル 空 間 ﹂ と い う 概 念 で す ( 関 │6)。
いわゆる居住空間には基本的に耐力援をもってこないという考え方です。
建物の外間部と、水廻りは比較的動かしにくいところですから、そういう部
分に耐力壁を配置することにより、あとは大きながらんどうの空間をつくる
という設計子法です。たとえば、加齢によって介護が必要になって、介護室
をつくって、残りの空間をワンル l ムとして使うといったときに、私どもの
ユニバーサル空間の設計手法をとりますと、容易に間取りの変更が可能とな
ります。
﹁サービスのロングライフ﹄という観点から、メンテナンスプログラムに
基づき六0年 間 に 都 合 一 一 回 の 定 期 点 検 を 実 施 し ま す 。 こ こ で 非 常 に 重 要 な
でここO万 と い っ た よ う に 、 将 来 の 修 様 費 用 を 、 新 規 に ご 契 約 の お 客 さ ま に
対してご案内しています。住宅業界ではもちろん初めての試みでかなりの冒
こ と が 、 点 検 の 履 歴 を き ち ん と 残 す と い う 点 。 ま さ に き ょ う の テl マの部分
でもありますが、約三ニ年前の第一棟自のへ l ベルハウスから全ての建物の
険といわれましたが、お客様には好評です。
建物内部配管等に関しても、おそらく住宅としては初めてだったと思いま
すが、マンション等と同じサヤ管へッ、タ!の方式をとり、内部配管が将来交
換 で き る 構 造 を と り ま し た 。 当 時 一 戸 建 て で は 初 め て の ケi スで、この方式
の導入をめぐり、水道局、地方公共団体の指定水道業者との間で、非常に苦
労致しました。
新築から解体するとさまでのコストの総計がいくらになるかを計算したも
のを、ライフサイクルコストと呼ぴます。これを耐用年数で割って一年当り
のコストに換算すると、仮に一一一O年 耐 用 の 住 宅 で す と 、 一 年 当 り 一 二 四 万 円
ぐらいになるのに対し、ムハO年 耐 用 の 場 合 、 新 築 後 の メ ン テ ナ ン ス コ ス ト や
改 築 コ ス ト を 加 え て 、 一 年 当 り 九O 万 円 と な り 、 こ れ を ﹁ 年 間 ラ イ フ サ イ ク
ルコスト﹂と呼んで長期耐用の効用を説明しています。
また、建物を壊すと廃材が出るわけで、耐用年数が長いほど環境賞荷が低
く な る と い う 観 点 か ら も 非 常 に 重 要 な テl マのため、このような長期耐用化、
﹃機能的ロングライフ﹄。家族構成の変化にしたがって、間仕切り
ロングライフ住宅の実現に取り組む宣言を九八年に行なったわけです。
次に、
図-6 機能的ロングライフを保証する将来可変空間(ユニバーサル祭t:日)
定期点検を行なっておりまして、 そ の メ ン テ ナ ン ス 履 歴 を 保 存 し て い ま す
j
s
o
o
t
i
-。
(
図
事業を間開始した三二年前に、先発のハウスメーカーからいろいろなアドバ
イスを頂戴した中で、情報を残すということが非常に重要だということに気
がつきました。当初はすべてのデータを紙で残すことから始めましたが、途
中から電子化し、ロングライフ宣言をした段階で、今の形のデータベースと
して構築しています。
点検対象は、基礎、躯体、外装の耐久性診断、設備、関口部の機能性の確
認、およびお客さまから要望があった筒所、等を対象としております。
もう一点の特徴は、売買等で所有権が当初の所有者から新しい方に移った
場合にあります。仮に所有者が変わったとしても、建物履歴そのものは新し
い所有者が継続して引き継いでいくという﹁履揺情報の継承﹂という概念を
もっていまして、同時に私どもの暇庇担保保証も両様に承継されるという合
わせ技で考えております。
金物件の紙データを電子化して保管、活用している
タクト情報、仕様のメンテナンス、仕様を変えられたりしたときの履歴、ホ
お客さまの名前・住所・連絡先等々の下にボタンがいろいろあり、顧客コン
いるかということもわかります。
に全体でまとめると、部材情報と連携して、どの部材にどういう傾向が出て
ま で 、 担 当 者 、 日 付 を 含 め て す べ て 記 諒 さ れ て い ま す 。 履 歴 デi タ は 最 終 的
ービスの部隊だけではなく、営業マンが何年目にお客様宅をお伺いしてこう
あらゆる顧客とのコンタクト履歴がすべて残るシステムです。アフターサ
ここからアクセスできる形になっています。もちろん、これは顧客情報です
無 理 が あ る た め 、 こ れ を 電 子 画 像 デi タ と し て 管 理 す る と い う 別 の 管 理 を し
情報です。紙べ l ス の 情 報 を す べ て 子 で シ ス テ ム に 入 力 し て い く と い う の も
も う 一 方 で 、 私 ど も が 非 常 に 重 要 な 位 置 づ け に お い て い る の が 紙 ベ l スの
さ れ 、 デi 夕べ i ス上に履膝を保存して、管理を行なっています。
い う 話 を し た と か 、 お 客 さ ま か ら サi ビ ス コ ー ル を 受 け た 等 の 内 容 等 が 記 録
報、定期的にお客さまからいただいているアンケート情報、といったものへ
ームサービスが点検を実施したときの受付け履礎、一新築時における受注の情
こと悪いことすべて入っています。たとえば壁の部に微細なクラックがあ
図自
さて、ここからは具体的な履歴管理の話です。
へーベルハウス 1棟闘からの全物件{
ζ対する建物履歴を管理.
建物履歴により、その建物の筒{直が容銭的かっ正確に把握できる.
って補接したとか、誰がそれを確認してどういう対応をしたかというところ
@アフ:9ーサ
17は﹁顧客管理マスター画面﹂で、顧客情報に入る入口に当たります。
国
データベースに加え紙憧報も大事な躍歴管理
8 履歴管理システムの商高
図
から、特定管理権限者以外に自由にアクセスできるわけではありません。
次に、いまの画面からアクセスして具体的にどんなものが見えるのかとい
う 例 で す が 、 一 つ が ア フ タ ー サi ビ ス 部 門 の 点 検 の 受 付 履 酪 管 理 で す ( 図 1
8)。定期点検の一 O 年 目 の 際 に 私 ど も の 担 当 が 点 検 を し た 結 果 が す べ て こ
のシステムデl タのなかに記録され、どこがどうだつたということが、
し
、
し
、
たとえば、着工時の地抑制のときにお客さまと現地で打合せをした工事担当
に付けていただきたいということで、
テナンスしていただく習慣をぜひ身
はなくて、お客さま自らに維持メン
だきます﹂ということをやるだけで
者のメモ情報。お客さまとの打ち合わせ内等、例えば配置はどこで押さえる
月に二 1三回程度のぺ l スで、定期
9)0
ということをやったのかなど確認したもので、お客さまのサインをいただい
ています(図
た書類は重要なお客さまとの打ち合わせ履歴ですので、大切に保存させてい
的に﹁住まいの学習塾いを展示場な
どを教室にして開いています(図 1
ただいています。
ま た 、 メ ン テ ナ ン ス プ ロ グ ラ ム の な か で 、 ﹁ 定 期 巡 開 サ ー ビ ス カl ド﹂と
どういう状態か、どう対処したか、お本さまからどういうお中し出があった
ここに最低限チェックしなければならない項目が書いてあり、そこの部分が
方はこういう形ですよと具体的に説
ックスが良くて、いちばんいいかけ
フローリングの床にはどういうワ
。
0)
の か 等 を 、 先 ほ ど の シ ス テ ム 上 に も 残 し て お り ま す が 、 実 際 の 紙 べ l スのも
明し、お客さまに実際に体験してい
いうものがあります。簡単にいいますと、定期点検のチェックリストです。
のを屯子デ!タとして取り込んでいます。
季節の変化によって建付けにたるみ
m
r
ただきます。ドアの蝶番部分などは、日
の サ イ ン が み え ま せ ん し 、 打 AHせ が 本 当 に そ う い う 形 で あ っ た の か ど う か と
存じない。かなりの部材にはそういうものがあるわけで、そういう調節ねじ
が出たりということが長い年月を経ると起こってくることがあります。簡単
紙 を 電 子 デl タ で 保 管 し て い る も の は 、 建 築 前 の 営 業 担 当 者 と お 客 さ ま と
の場所をどういう形で動かせばいいのかを、具体的にモデルハウスのドアパ
い う 確 認 が と れ ま せ ん か ら 、 二 重 の 管 理 に よ っ て 、 紙 べ l スでそういうもの
の打合わせ記鈴、建築中の打合せ記録、平面、配置、案内といった図扇情報、
ネルを外してお客さまに体験いただきます。私どもはこのような形で自らメ
な調節ねじにより建付けがすぐに戻せるのですが、お客さまは調整方法をご
仕様書情報。それから、非常に重要視している部分として部材情報がありま
住宅を一五年後に売却する場合など、このメンテナンスの状態次第で、建
ンテナンスする習慣をぜひもっていただきたいと考えています。
認通知、メンテナンスの履歴。定期点検二年目とか、あるいは五年目、一 O
きれいに使われているか、よくメンテナンスされているか否かで、大きく売
物価格に相当の聞きが出てきます。買い手側の視点からみたときに、建物が
値にはね返るということです。私どもは﹁住まいの学習塾﹂を通じ、米国の
るので、それを受けているお客さまですと、性能評価関係の書類も残ってい
ます。これらのデ;タを電子化して保管することにより、先ほどのシステム
た﹁みらい菌﹂という保険商品を用意して、一五年後のメンテナンス費用は
りまえの﹁修繕積立金﹂のお勧めもしています。損害保険の枠組みを利用し
もう一つ、一五年ごとには大きな修繕があるわけで、マンションではあた
ように住宅の資産価値を維持する習慣を学んでいただきたいと考えています。
私どもは定期点検に行きまして、ご﹂こはこういうふうに修復させていた
と把短でき、中古住宅の正確な査定にもつながっていくわけです。
この両方のシステムで、的確なメンテナンスの状況があとからでもきちん
を補強しています。
年目、あらゆる定期点検の履歴。最近ですと住宅の性能評価も行なわれてい
す。設備を合めたあらゆる部材情報がこのなかに蓄積されています。建築確
も保管しているということです。
打合せ内芥の相違といいますか、システムにだけ入っていると、お客さま
自ら維持メンテナンスする習慣をーイ主まいの学習塾を開催
る と い う 要 素 。 こ う い う も の を 総 合 的 に 反 映 し た の が ス ト ッ ク へ i ベルハウ
え方をもって、十公定山総をまずつくり、それにインフィルの臨時を以映させ
フィルを分け、スケルトンに関しては流通耐用年数をふハO 年 に お く と い う 考
旭化成不動産が一括借上げして、空室リスクを無くした上で、建物からの賃
まいの方が都心のマンションに住み替えられるといったときに、その建物を
シ ュ に 変 換 す る 効 果 の あ る リ パ i スモ l ゲi ジです。へ l ベ ル ハ ウ ス に お 住
私どもが取り組みとしてもう一つやっておりますのが、建物価値をキャッ
内/﹄
ハ
U
旭化成 LLl
i
Jf r
j
r
!
i
1
J
l
のではないかと自信を川休めているところです。
たものを上乗せしていく。インフィルの場介は、桟念ながら耐刑年数が短い
料 と 土 地 建 物 の 資 産 価 値 を べ i ス に 住 み 替 え る 際 の 一 時 金 を ロ i ンで貸せる
スの査定の概念です。
で す か ら 、 一 五 1 O年 以 内 の 流 通 耐 川 年 数 を と り 、 維 持 管 問 に よ る 価 似 分
一
⋮
を合めてこれを上釆せしていくというロジックでいま取り組みを始めたとこ
という形にするものです(阻止。
そ れ を 踏 ま え て 、 現 在 私 ど も が や っ て い る 取 り 組 み は 、 スケルトンとイン
ろでございます。
料の一部から利払いをいただいて金融機関に払います。元本は返済せず、最
貸し出しは一二000万 円 が 上 限 で 、 毎 月 返 済 は 利 払 い だ け で す 。 毎 月 の 賃
スケルトンとインフィルに分けて現倒来を計算する考え方が当初から入って
終的にご夫婦お二人とも亡くなられた段階でこの建物を処分して、一冗本の返
函日は当初からのストックへ│ベルハウスの基本的な査定計算式です。
います。もう一つは、間取り補正率といいまして、間取りは売りやすいか、
れz
済 に 充 て て い く と い う タ イ プ の リ バ ー ス モl ゲl ジの商品です。
(88)
売りにくいか、逆にいうと、倒性のある間取りなのか、探準的な間取りなの
(%)
それから、まさにいま取り組んでいる
のですが、﹁リセ i ル バ リ ュ ー の 証 券 化
と い うL T V (ロ ー ン ・ ト ゥ ・ バ リ ュ
〈一般中古一戸建住宅の総合満足度〉
かによって似段が違ってきます。この間取りの優劣、あるいは通風、採光、
動的献といった内部空間の評価を側桜に反映させる。
への活用﹂です。
ー)をはじくのですが、再販価格の評価
加えて、建物の性能情報、あるいは般歴
1
7
.
93
.
6唱 8
(56)
ロ ン グ ラ イ フ 可 変 化 率 と い う の は 、 私 ど も 独 特 の 考 え 方 で 、 ユ ニ パ i サル
住宅ロ i ン の 証 券 化 に お い て は 、 入 H
外構裕正率は、外部空間川が、環境而、あるいは街並みも合めてどうなって
リフレッシュ調怒率というのは、たとえば屋根の葺き格えとか外壁の塗り
情報を投資家あるいは格付機関に開示す
やや
令や
空間のような設計千法がきちんととられているかどうか、間取りの可変性が
い る の か と い う こ と 。 売 る 場 合 は 必 ず 鱗 入 者 の 視 点 に な り ま す の で 、 DIY
のなかでは、建物はほとんどゼロ評価に
の と こ ろ で は 、 土 地 建 物 評 価 額 の 八O%
補正は、購入者の観点で内外装とか設備の維持・管理状態がいまどうなって
近い状態で、証券化の格付のところでは
おいかどうかという観点から、一定の係数を置いたものです。
い る か と い う こ と で す 。 ハ ー ド の 状 態 は 社 内 の デl タですべてわかります。
非常にネックになる部分です。
私どもで持っている腹腔情報を活用し
しかし、お存さまが自身で子を入れた部分は、通常の定期点検ではわからな
いところが出てくるわけです。これは目視になりますけれども、目視の状態
替、えをやったばかりならば、買うお客さまは当面それが必要はないわけです
る こ と で 、 優 先 受 益 権 の 格 付 をAAAの
て 、 証 券 化 の 通 常 の 住 宅 ロ l ンの情報に
から、その分価格は上がります。そういう意味で、 お 客 さ ま の メ ン テ ナ ン ス
方向へより容易にもってゆくことも可能
でその部分を一詐倒してDIY補正をかける形にしております。
の状態によって、価絡が上下するということです。 あとは、 市 場 性 を 判 断 す
〈ストックヘーベ J
レハウスの総合満足度〉
>
1
熔(C
(%)
図-15 綴歴が、売り手・震い手双方の高い満足を生む
で、いままさに準備しております。
を追加することでマーケットに対して履歴に対する評価を得たいということ
で す 。 現 行 の 貸 付 基 準 で もA A Aは と れ る の で す が 、 さ ら に こ う い っ た 清 報
動 く 力 と し て 、 お 金 で 動 く マ ネi ・ドライブと、靖報で動く
化できないものは開示するということを提案しました。人が
縦、経済的価値に加えて環境側値というものを出して、数組
については、インフォメーション・ドライブがないと人は動きません。どん
インフォメーション・ドライブとがあって、時間を含む価値
フ 住 宅 研 究 所 で の 調 査 結 果 が 図 日 で す 。 ス ト ッ ク へ l ベルハウスと一般の
な情報を出すべきかがすごく問題になりました。﹁家臨書﹂という言葉はあり
では、履既がどういう結果を生むのかということですが、弊社ロングライ
中古の一一戸建ての購入した方と売却した方に対して、総人口満足度を測ったも
ませんでしたが、概念的には似ていたのかなという気がします。
二人のお話を伺って、ここまできているのだなという感じがして、非常に勇
会的な貢献度とか、いろいろなことが言われるようになりました。きょうお
世の中も、単に物があればいいということではなくなり、信頼感とか、社
ので、履膝情報を開示して買っていただきますと、満足度が高くなる傾向が
出ています。購入された方も売られた方も満足度が非常に高いと、結果とし
これに対して、履膝がない場合は、鱗入された方はまず不安になります。
て非常にいい循環が出てくるという傾向がみられます。
イ ン タ ー ネ ッ ト でNPOの ﹁ 織 を 守 る ﹂ と い う の を 開 い て い た だ く と 、 非
気づけられ、うれしく教えていただいたという感じがします。
て替、えられているという状態が発生していまして、結果として建物を長くも
常に面白い情報が出ています。国鉄時代以来、 J Rに な っ て か ら も 何 千 と い
建物としてどうなっているのかを追跡調査しますと、最終的に短い期間で建
たせるという方向になっていないことがわかつて、履一控情報の重要性がわか
う矯梁をメンテナンスしてきた方のサイトで、そこで提案しているのは、簡
クル価値ということに取り組んでいらっしゃいます。その観点から、まずき
野城会場におこしの村間朋美先生は、建築やさまざまな製品のライフサイ
的にもそんな貢献度があるとすると、それは﹁使える﹂という対象にいまな
インフラがこれだけ仲ぴて、メンテナンスされていて、コスト的にも、環境
意味では、円以後の資産価値まで合めて、とても立派なことをおやりになって
頼感、社会的価値が生まれてくるだろうという印象をもちました。経済的な
れば、そこに住んでいる人のプライドにもなり、周辺からみでもある種の信
小郷さんがお話しになった住宅についても、環境価値をはっきり明示され
ろうとしているんです。
( 北 九 州 市 立 大 学 ) 七 i八年前に、 私 た ち は ラ イ フ サ イ ク ル 価 値 と い
う考え方を工学アカデミーから発信し、 そ の な か で あ ら ゆ る 製 品 の 社 会 的 価
田
構報が、価値をつくる、 人を動かす
ょうのテi マについてご提起いただきたいと思います。
い ま 社 会 イ ン フ ラ 全 体 が C02の 排 出 権 取 引 の 対 象 に な っ て き て 、 日 本 の
の寿命は簡単に達成できるという経験をされているんです。
点検している人は微妙な変化にすぐ気づき、手直しすることで、二倍ぐらい
ご﹂れは壊してつくり証そう﹂という話にすぐなってしまうのですが、毎日
日のように橋を波って点検していたんですね。ゼネコンの人が検査すると、
かつて、高いところに架かっている大事な橋には必ず﹁橋守﹂がいて、毎
単にいえば、﹁社会インフラの健康管理﹂です。
ります。
以上、いま旭化成で取り組んでいる履膝とその活用について説明させてい
大変詳細にまでわたってお話しいただき、ありがとうございました。
ただきました。
城
ディスカッション
野
村
かなと思います。
いるドライブになっていますから、そのあたりが次におやりになることなの
いると思ったのですが、社会的価値と環境価値はそれがいま市場を動かして
なくて、間りの部分ですね。あるいは、みんなでそういうものをやる姿勢と
推 奨 い た だ い て 、 や っ て い る わ け で す が 、 そ れ は ハ iド だ け の 取 り 組 み で は
テムの一部ではあるのですが、それを一般に掲示して、環境省のほうからも
いい例はもっと開示していただいて、みんなが﹁いいな﹂と思うような例が
た。そのことが寿命を短くしている大きな原因なのです。同潤会、求道学会口、
という分野があります。環境をネガティブにとらえるのではなく、常にポジ
村 田 一 つ ヒ ン ト と な る の は 、 ア メ リ カ で は ﹁ イ ン ダ ス ト リi エコロジー﹂
ところです。
いったほ、つがいいでしょうか。そういったところをいま一生懸命やっている
どんどん出てくると、日本人の性格からしても、真似をしたくなるので、そ
ティブにとらえてこそ産業は継続するという意味で、その概念とか考え方を
もう一つ、動いた結果を測るものとして、いままでは経済尺度しかなかっ
れもインフォメーション・ドライブかもしれません。
せん。ノウハウが書かれていないと、日本では売れないんですね。
提示している素晴らしい本がいくつか出ています。日本語訳はまだ出ていま
のかを書き出して、その価髄をつくる仕組み、その価値によって生まれる意
野 城 建 築 家 で 、 J I Aの 地 球 環 境 委 員 会 等 で サ ス テ ナ ビ リ テ ィ と い う 問 題
私どもはビジネスモデルというのを必ずつくります。どんな価値をつくる
味とか面白さ、効率、そして提案するものでカバーできないことを補完する
にずっと向かい合っていらっしゃる野沢正光さん、いかがでしょうか。
野沢(野沢正光建築工房)僕は建築の設計を仕事にしてい
情報開示とリスクの分担
仕組み、あるいは価値の背後にあるリスクを全部書き出して、しかもそれを
動かす仕組みを書いたときにはじめてビジネスモデルになるのです。
なられたようなことなんですけれども、主婦とか私ども素人からみると、ビ
るのですが、いつの間にか保存とか改修の問題にも興味をも
き ょ う お 話 を 飼 っ て 感 じ た の は 、 専 門 メ ー カi の 側 か ら と し て は お 話 し に
ジネスモデルとして簡明版と詳細版を出していただいて、どの部分に自分が
つようになりました。
建 築 を 設 計 す る と き に 、 建 脅 え を 前 提 に し て い る ルl ルと
参加できて、どこの部分は旭化成がやる、あるいは専門家の出村さんにやっ
ていただくことなのかが書かれているといいなと思う。そうすることで、当
事者がリスクを認識することができます。
いうことがあると思います。社会が﹁そんなものだ﹂と思ってしまっている
か 、 相 続 の と き に 定 地 に す る ルi ル が 、 設 計 の 作 業 を つ ま ら な く し て い る と
ところがあるのだと忠います。それをどうやったら少しずつ風通しを臭くし
小郷私どもは環境側姐に問附しては、積極的にやろうとしてゑ議選蒙タ
います。ハウスメーカーは国土交通省等から﹁高気密・高斯毅襲警没護持議
ていけるか、ということがいま迫っている問題です。
僕 が 設 計 し た ﹁ 長 池 ネ イ チ ャl センタi﹂ の 管 理 者 にNPOが つ い て い る
少子化のなかで多摩ニュ l タ ウ ン の 団 地 をNPOが 経 営 し て い く 方 法 は な い
懇線建
環境に対する長荷も、普通の方が普通に生活するなかでちょっとした節約
だろうかとか、つまり所有の形を区分所有からもう一つ別の形に置き換えて
M
熱型﹂の住宅を求められがちなのですが、私どもはもう一つ、議十三川一川長
光とか風、あるいは気配といったようなものをもう少し家の
を し て い く こ と がC02 の 削 減 に た い へ ん 有 効 に 機 能 し ま す 。 そ こ で 、 私 ど
いくことはできないだろうか、ということを考えているようです。そのとき
ん で す 。 そ のNPOは 、 ベ イ オ フ を 境 に 管 理 費 を ど う や っ て 健 全 に 守 ろ う か 、
もではそういうことをみんなで取り組む﹁ E C O ゾウさんクラブ﹂というの
に、外資系信託銀行等が知恵を出してくれたりして、僕ら建築のハ iドを専
中に取り込んでいきたいということを考えています。
をホl ムベ l ジ で や っ て い ま す 。 そ れ は も と も と へ l ベルハウスにあるシス
つつあります。
門にしている人には答えの出ない考え方とか理解のしかたがだんだん出てき
いるというお話ですね。へ i ベ ル ハ ウ ス の ﹁ 住 ま い の 学 留 塾 ﹂ に 集 ま る と い
利害関係からではなく、もう少し水平的というのか、違う関係が生じ始めて
していました。ご﹂ういうプロセスでいろいろな人がこれをよしとしたの
った議会とか審査会、委員会の名前から、コンペの審査員の名前まで全部出
きな看板を河畔につくり、橋はもちろん閉鎖なんですが、いままでにかかわ
も同じ考え方で、﹁家は建てたあとが大切なんだ﹂というコマ i シャルも打
ないと考えています。ロングライフ住宅のロングライフ戦略を立案したとき
なかで、どんどん建ててシェアを高めていくというような事業形態はありえ
小郷私どもとしては、世の中が﹁成熟社会﹂といわれるようになってきた
うのはどんな感じでしょうか。
だ﹂という:::(笑)。それで、﹁実際に揺れたについては私の責任もある。
ち ま し た が 、 そ の 後 六O 年 お つ き 合 い し て い く こ と を 考 え る と 、 そ こ に は い
ミレニアムブリッジが揺れたときに、設計者のフォスターとアラップが大
ここを註します﹂と書いであって、ダンパ!のメーカーまで開示してありました。
ろいろな出会い、お客さまとのコンタクトがありますから、そのなかで事業
スがどうあるべきかをビジネスモデルとして考えていくということだろうと
そ れ か ら 、 ロ イ ヤ ル フ ェ ス テ ィ バ ル ホl ルを五O 年たって直すのですが、
そういう絡好で、供給側と需要側というふうに分けずに、みんなが当事者
忠っているところです。私どもの事業戦略のなかでは、むしろそちらのほう
をしていくということ。これからは、建てていただいたお客さまあるいは社
であるというふうにしていく社会が、クオリティーの高いサービスを要求す
が主体になっているといっても、過言ではありません。
会に対して、何がしかの価値提供、何が還元できるかというなかで、ビジネ
ることができる社会だし、クオリティーが高いサービスを生産側が用意せざ
田 村 コ lポ ラ テ ィ ブ と い う と 、 自 由 な 設 計 で 楽 し く で き る 、
で現場に霞いてありますね。
るをえない、あるいは用意することがすごく楽しみである。つまり、消費者
安くできるというイメージが先行していますが、現実はデベ畿麟鐙畿議機燃
どんなメンバーでどんなふうに直すのか、今度の梼子はこれですよと椅子ま
側はチクチクとクレームをいうだけという社会ではない社会が、たぶんまと
ロッパ!というあらゆるリスクを背負う、主体がいないわけで、議欝い祭
vJ滑川川ヤ穫
というのが実際なんです。その情報開示をきちんとやりたいのですが、それ
V
機毅ヂ
もな社会のはずなんですね。
いて生産ばかりだった。だけど、きのうまで仰をしたかがわからないであし
をまともにやって消費者が受け入れるか、というのは常に悩みのタネです。
みんなでリスクを背負っている分安くなっている部分がある、
たのことを考えるのは非常に無謀だということがやっとわかってきた。﹁同
﹁新築のマンションより二割安く買えます﹂と書いているところがたまにあ
コiポラティブを手掛けている会社、
いままで社会は後ろを振り返ることすらできなかったと思います。前を向
潤会はいいね﹂と振り返る余絡、楽しむ余裕が建築の世界では出てきて、そ
NPOな ど の ホl ムペ i ジをみると、
ういう意味では建築は先駆的なフィールドだと思います。
一戸一一戸が自分のやりたいようにということを、集合住宅に、住むなかでや
ります。やめてほしいと非常に思うわけです。
なでワイワイとポジティブに肢の中を楽しむみたいな仕組みをつくらなけれ
る と い う こ と は 、 住 ま い 方 の ルi ル を つ く っ て 、 調 整 し な く て は い け な い こ
新しくつくるものも、それを利用する人たちも合めて、当事者としてみん
ばいけない。そしてリスクをみんなで分散しながら引き受けようということ
中で抜けてしまったらそれをどうするかとか、実はいろいろなリスクを抱え
とがたくさんあって、自由にやりたい部分で設計のエネルギーもかかるし、
った・買った・クレーム﹂という直接の
だと忠、つんです。そのために、いま野城先生が考、えていらっしゃることは大
地取報がいままでのような
子間隙かかる。だから、絶対に高くなる部分があるわけですし、一人でも途
野
きな力になると、とても期待しています。
城
ている。 リ ス ク を 抱 え な が ら も こ こ に 住 ま う こ と に 価 値 が あ る の だ と 忠 っ て
ながらいろいろ超えられない部分があってできませんでした。
と。もちろん断熱ぐらいはちゃんとやりますが。そういうことを自分たちで
古いコンクリート造の住宅はない。ここに住むのはある立昧で覚悟がいるぞ
求道学糸川口は、見るからにリスクの塊です。築七九年で、首都圏にこれより
としてはむしろ定期情地型のほうが残るかもしれないという気がしています。
則考えてもらう仕組みということで考えたんです。だから、都市のストック
が、維持修繕しながら、最後に求道会に建物を無償で返して、そこでもう一
で す が 、 敷 地 は 定 期 借 地 権 に し た の は 、 六O 年 使 っ て 、 か な り 傷 む で し ょ う
求道学合の保存・再生については、建物は区分所有権にせざるをえないの
判断してこれる人たちがこれだけいる。実は法伯仲間係はじめいろいろなこと
野 城 江 戸 川 ア パ iト の 家 艇 の 膨 大 な 資 料 に 見 ら れ る 生 協 と い う の は 何 か と
集まってほしいわけです。
をクリアするのに、全部新しく号、えなくてはいけなくて、思った以上に大変
思ったのですか、生活協同組合イコールまさにオーナーだったんですね。
報が流通すると、一方ではリスクも明らかになる。また、問村さんがおっし
います。野沢さんの訴にありましたように、隠蔽されていない開示された情
な い し 六O 年 と 長 い お つ き 合 い を さ せ て い た だ く か 、 そ こ
のお話に大変感心したのですが、いかにお存さんと一一一O 年
高山 ( ポ ラ ス ) 私 も 建 売 り 住 宅 を 手 掛 け て お り 、 小 郷 さ ん
題歴管理でメーカーも顧客も両方ハッピーの関無になる
な仕組みだということがやり始めてあらためでわかったのですが、そういう
な昧でも、このプロジェクトはものすごく私にとって励みになっています。
ゃったように、いろいろな価値を共有する人びとがたと、えばコ iポ ラ テ ィ ブ
がいちばんのポイントですね。
野城物を買う時代が終わって、側併を買うという時代に、明らかになって
という形で一緒にできるわけです。情報がないと、側値を共有して一緒の船
回村山実は江戸川アパートメントの白、一土建終えをしているときに、新しい仕
す。へ i ベ ル に す べ て お 任 せ す る と い う お 客 さ ん 、 安 い 業 者 の 方 を 選 ん で し
うことで考えれば、顧客を取り込んでいくことが何よりも必要だと忠、つんで
リフォ i ム 業 者 は 大 小 無 数 に あ っ て 競 争 が 城 烈 で す 。 家 歴 書 を つ く る と い
組みができないかということを提起されたんです。というのは、江戸川アパ
に来れないというところがありますよね。
iト メ ン ト は 、 都 か ら 払 い 下 げ に な っ た あ と 、 生 活 協 同 組 合 が 管 理 し て い た
小郷現実には、見積りをとって、安いほうを選ぶお客さまはいらっしゃい
まうお客さん、いろいろあると思うのですが:::。
ます。たとえば外装の吹き替え工事の場合、私どもの外壁は一一一層塗りのコー
のです。それをある段階で区分所有にしちゃった。これが最大の失敗だった
という話がありました。生活協同組合のままであれば、単独所有なので、い
一五年目のところでいちばん外側の U Vカ ッ ト の 層 だ け を や り 替 え れ ば 、 下
ティングがしであって、基本的に一五年間何もする必要がない形にしてあり、
区分所有にしたときの執行部の考え方は、個々の財産をしっかり所有する
地の部分はやり存える必要がないんです。ところが、外部の業者が入ること
わ ゆ る 定 款 に 基 づ い た ル l ルで建替えも増築もできた。
のがマンションとしてはいいのだということで、それは間違いではないです
によって、その下の層まで一気に削り取られたり、単に上から吹き付けが行
が行なわれているかがみえないとなると、再販価値に影響するだけでなく、
が、それをやってから時間がたたないうちに建替えの問題になったわけです。
うかということです。信託方式というのを考えて、ある部分をみんなでもつ
ほかの部分で不具合が発生したときに、その場所を特定することが難しくな
なわれてしまうと、私どもとして性能が十分保証できないし、どういうこと
形で、高齢者の方々には、そこの一部を安く貸すということで、身寄りのな
ったりするケi スがあります。
それで考えたのは、もう一回共問所有みたいな形で建替えができないだろ
い 高 齢 者 の 方 々 の 居 住 の 継 続 を や ろ う と い う 仕 組 み を 考 え た の で す が 、 残念
できるだけ私どもにご用命いただけるようにもっていくほうが、結果とし
良くなってきたのかなというふうには思っています。
野城差し支えなかったら、いまシェアはどれぐらい取り込んでいますか。
もう一点、履歴を使うことでアクティブな営業活動をさせていただいてい
て建物の価値を維持できるという基本的なスタンスはもっています。それを
ます。リフォームも、お客さまから一言われるのを待つのではなくて、提案型
小郷情報開示がいいという話がありましたけれど、そこは、私の一存では
定 期 点 検 で 顔 を 合 わ せ る だ け で な く 、 私 ど も は ホi ム サ ー ビ ス 課 の ミ ッ シ
営 業 に シ フ ト し て い ま す 。 た と え ば 築 二O年 ぐ ら い の お 客 さ ま で 、 そ の と き
やるのに、単純に﹁メンテナンスをします﹂ということだけでやっていたの
ョンとして、押売りの撃退から、躍でネズミが死んでいるのをどうにかして
申し上げられません(笑)。かなり率が上がってきているのは事実です。
くれという話まで、﹁呼ばれたら何でもします﹂というのをやっているんで
のキッチンセットはO O社のO Oキ ッ チ ン だ と い う こ と が わ か っ て い る 。 耐
ではだめだろうと考えています。
す。当初無料だったのですが、お客様サイドから﹁お金をとってもらわない
それで最近いちばんご用命いただいたのはユニットパスです。初期には、
用年数的に考えても棺当傷みがきているはずで、まだ取り替えられていない
私どもは在来工法でつくっており、左官仕事で浴室内にタイルが貼られてい
と 電 話 し に く い ﹂ と い う 話 が 持 ち 上 が り 、 一 件 二000円 い た だ い て や っ て
を増やす、﹁お客さまと馴染みになる﹂ということ。これは、売上げではな
たものですから、古いお客さまに﹁ユニットパスに交換されませんか。こう
という実績が履歴のなかでわかるわけです。そうすると、ある特定の時期の
くサービスですから、売上げ高で評価するのではなく、そのエリアの顧客満
いう機能が付加されます﹂という形でアプローチをかけていくことによって、
います。エリアごとに巡由担当が常時いまして、昼間は私どもがいくほうが
足度のレベルがどうなっているかを、お客さまには﹁アンケート爆弾﹂とい
相当なお申し込みをいただきました。私どもはロットで仕入れていますから
お客さまに対してキッチンセット取り替えのご案内ができるわけです。
われるのですが、そういうもので把握しながら、何をしたらいいかというこ
セコムより速いと思います(笑)。臼ごろからお客さまとのコンタクト回数
とをやっています。
う保険で何かオペレーションをやる。たとえば地震があったらその日のうち
浜銀行の窓版件数とほぽ同等ぐらいの取り扱い高をもっていまして、そうい
成 の 引 渡 し 物 件 の 八O%の 火 災 保 険 は 旭 化 成 が 代 理 肢 で す 。 地 銀 ト ッ プ の 横
世話していくというスタンスをとっております。丸一︿体的にいいますと、旭化
る ん で す 。 で 、 頼 ん で も セ コ ム み た い に 速 く こ な く て 、 二 1三 日 た っ て 見 に
木の部分が膨潤していたりして、かなり長い間漏れていたなという感じがす
うになったんです。アルミの部分がかなり腐食して白い粉をふいていたり、
た(笑)。我が家のある有名メーカーの、キッチンセットが最近すごく漏るよ
村 泊 い ま お 話 を 伺 っ て い て 、 僕 も へ i ベルにすればよかったなと思いまし
非常に安い価格で提供できる。両方ハッピーという関係ができています。
に点検に回るというように、普段の動きによって評価をいただくというとこ
きて、﹁予ましするにしても発注するから、何日になるかまだわからない﹂
も う 一 つ 、 建 物 だ け で は な く て 、 保 険 と か 、 住 宅 ロ i ンという部分までお
ろでお客さまとの接触密度を上げる。それが最終的にはいちばんいいのかな
と。私の住んでいるところは数千軒住宅があるところなんです。峰はすぐ広
し、一貫窓口のなかですべてがある程度やれるようになると、リフォームの
野 城 い ま の お 話 で 、 旭 化 成 と い う 住 宅 メ ー カ ー は エ ン ド ユ ー ザi の方たち
はずなんですね。
がるんですよ。メーカーがどんな対応をしたかはものすごいダメージになる
ということです。
清報は比較的早くキャッチできます。外壁の吹き替えをしたいと思っている
と顔がみえる関係ですよね。それに対して、キッチンセットをつくっている
モi ゲl ジ ロ ! ン を 旭 化 成 の 関 連 会 社 で 貸 出 を す る よ う に な っ て お り ま す
ようだというような情報が入ってくる。ようやく最近になって、歩留まりが
のですが、 ま る で モ グ ラ た た き の モ グ ラ の よ う に 対 応 し な け れ ば な ら な い 。
ところは、 売り先がどこかわからない。 二 問 時 間 体 制 で 人 を 絞 り 付 け て い る
家歴書にそれが書いであれば、それ自体が価値をもつのだけれど、その当事
がある。これは祖父がどこどこの山に頼んで切ってもらった大黒柱なんだと、
者は更新できない経済状況にある。やはりデベロッパーがもってくる札束に
負けてしまうということで、保存につながらない。
ム円分がつくったものがどこにあるか、 そ れ が ど う い う 状 態 に な っ て い る か
が、必ずしも建築の佐川介では、使っている方と却で結ばれているわけではな
児新されてしまうのですが、それよりもうちょっと前の、いい時代に、いい
ニO年 前 の 建 物 は 、 ほ と ん ど が 再 生 す る だ け の 側 値 を も っ て い な い た め に
必ずしもメーカーの立任ではないのは、 見 杭 り の 安 い 業 訟 を 選 ん で し
経済状況のなかで建った建物に価値のあるものが多いから、それをどう残し
いというのがベースラインなんですね。
﹁け 分 た ち が 施
F
まうじゃないですか。 そうすると、 メーカーにしてみると、
ていくか。それを私の大きなテーマにしていますが、﹁インフォメーショ
していったらシステムとして成り立つのだろうか、と考えています。
ン・ドライブ﹂をつくることが大事で、それをどういうところにアナウンス
工したわけでもないしな﹂ と い う 話 。 立 任 が わ か ら な く な っ ち ゃ う 。
先ほどの向山さんの一世間にも絡むんですが、 オープンな、 ラ イ フ サ イ
求道学合にしろ伺潤会にしろ、偶人住宅でなかったことが幸いしているの
かなと思います。個人住宅の場合にその﹁ビジネスモデル﹂をどう構築して
般的な話です。 そ れ を ど う 家 路
令官の形でまとめていくかというのは、 応 用 問 題 と し て 非 常 に 難 し い も の が あ
いくか。きょうのお話はそういう意味では大変うらやましいという思いで聞
かせていただきました。
やめようかと考えていて:::(笑)。ある新聞に採り上げられて問合せがあ
求道学合のプロジェクトは、始めて一年ちょっとたつんですが、常に
望月
って、説明会に二十数名集まった。一生懸命説明するのですが、一組も申し
何巴のげム)木の建築フォラムで、東
ヘ戸︿﹀ZHbrO
神奈川に明治後期に建てられた木造住宅の保存刊生の機会が
結局、現地を見てもらうところまでもってくるとだいぶ違うということと、
込まない。実はこれを繰り返しているんです。そのあと、個別に延べ一 0 0
なったことによっている。同潤会にしろ、求道学会口にしろ、表現は悪いかも
そういう情報を求めている人が世の中に結構いて、その人たちは、インター
組以上に、一紛当り二時間ぐらい呪地を案内して説明しています。その結果
しれませんが、均体の経済性が良ければ、途中でお金をかけて改変されちゃ
ネットはじめ、媒体のなかでも眠られた媒体に反応するということ。そこは
ありました。その建物ができたいきさつを剖べてみると、過
うわけですね。実は経済的に弱い時期が長く統いたことによって残ったとい
なかなか難しいと思うのですけれども。
コンバージョンというのは、何が大事かというと、結局、仕組みをどうつ
一方で、住宅の場合、その建物の偶値をいちばん認めているのは、第三者
ったり、建物が古くなっていたりとか、いろいろありますが、実は経営白体
て経営がよくないから住宅に変えようかということなんですが、立地が悪か
くるか、要するに、資金をど、つつくるかです。いままでオフィスをやってい
ではなくて当事者だということが大きいわけですね。たとえは一尺の大黒柱
てこないと羽生できないというジレンマに常におちいるわけです。
うというときに、羽生資金は所有者から山山ないわけだから、それが流通に出
う側面も確実にあります。ほとんどそのパターンなんです。それを再生しよ
去に経済的にリッチな時期があって、そのおかげでいい建物
泊
です。ですから、一 O 組 と い う の は か な り 奇 跡 に 近 い ん で す ね 。
村
ができた。ところが、その建物が残ったのは、そのあと急速に経済的に悪く
(ωJ
建物の価値継意の手掛かりとしての家歴書
りますね。
のの結果としていま建物があるというのが
クルのプロセスのなかで、 自分たちとは述、つ人たちがいろいろ作業をしたも
野
村
厨
城
家歴書は、建物に関するブロフェショナルのなかでの意味
つの媒体だと思います。
合いと、自分でも狭く考えすぎてきたのですが、田村さんの
に問題があったという方が多いんです。そうすると、本質的な問題としては、
ころが、実は再生のキ!なんです。だから、求道学舎もいっぺん建物を手放
経営者をコンパ i ジ ョ ン す る ほ う が 先 だ と ( 笑 ) 。 持 ち 主 が 替 わ る と い う と
して、明らかにビジネスをしている方にとってみて流通すべき情報だという
話を開いていると、そうではなくて、金融関係者をはじめと
マンションの連替えも、所有している人だけでお金を出し合ってやろうと
ことがわかってきましたし、望月さんのお話や村田先生の門司の話を含めて
すことによってはじめて保存ができているんですね。
いったらまずできないわけで、いっぺん手放して、もう一回買える人は買う
考えますと、むしろ一般にお住まいの方や市民が共有する価値としての情報
プロが﹁これは建築学的に価値がある﹂というのは、ある意味ではほとん
という仕組みのなかではじめてできる。保存・再生・建替、えは、大規模なも
ど理解されない考えで、むしろ東郷元帥が樟毒を書いたとか、お父さんが碩
ですね。
村沼北九州の門司港にレトロ地区というのがありますが、いまレトロ地包
ずりした大黒柱だとか、そういうほうが大きな意味をもってくる。きわめて
のほどそうだという気がしています。
の外が壊され始めているんです。それに対して、うちの赤川貴雄助教授が学
偶人的な情報や、非常に限られた狭い情報なんだけれども、それについて価
値を共有できる人がある手掛かりで集まると、現実の動きになってくるとい
生を連れて入り込んで、壊されそうな建物を、ビジネスとしても成り立たせ
たとえば岩田屋という酒屋があるのですが、調べたら、東郷元帥が日露戦
ながら残す仕組みを学生に提案させています。
んです。その息子さんは跡を継がずミュージシャンなのですが、あまりみん
ってあるとか、すごい家だということがわかったんですね。それを開示した
りを生んでいくものだということを強く感じた次第です。また、家歴書のよ
ての価値が流通し、そのなかで新たなその建物を継承して使っていく手掛か
家臨書というのは単なるテクニカルドキュメントではなくて、建築につい
うことをきょう強く感じました。
な が ﹁ い い 家 だ ﹂ と い う の で 、 つ い に そ こ を 音 楽 ホi ル と し て 残 す こ と に な
うな情報が流通していくことによって、そこに新たな価値が出てきて、その
争に勝って船から降りて最初に書いた揮去があったり、廊下は屋久杉でつく
ったんですよ。そういうふうに学生たちが無償でデザインして提案すること
価値をやりとりすることで経済が由っていく可能性というものがあるのでは
んです。情報を開示して、みんなが而白いと怠ったら、やる人は出てくるの
はビジネスモデルを提案しなければならない。すごくいい訓練になっている
どうするんだ﹂ということを地元の人が学生に聞くんですよ。だから、学生
げずに、社会システムとしてつくっていく意義があることもわかりました。
ていかなければならないというあたりに難しさがあるのですが、難しさにめ
履歴を蓄えているだけではなくて、いろいろな人が絡む形で家歴書をつくっ
ンな構法について家歴書をつくるには、たとえば旭化成という一つの法人が
そういう意味では、高山さんが提起してくださったように、一-殺のオープ
ないかということも感じました。
によって、地元の人びとはそれは面白いじゃないかと思い始めた。
そのときに大事なことは、単なるデザインではなくて、﹁生活していける
かもしれませんね。
このミニシンポジウムを手掛かりに、さらにこの動きが大きくなっていくこ
提案﹂です。地元の人ぴととのミーティングが行なわれて、﹁じゃ、資金は
野城お話の中で村問先生が﹁インフォメーション・ドライブ﹂とおっしゃ
とを期待したいと思います。
(文愛 H編集部)
って、それが議論のキーワードになったのではないかと思います。﹁家歴
も、建物の価値というものを情報に一度変換して、それを流通させる一
新築か中古かをめぐる住まい手の価値観
中古住宅の品質情報提供促進の 点
水流
はじめに
①新築時には高いが、中古になると急激に値段が下がる。
としたい。
らかといえば﹂を含め八二%強にのぼり、同様に﹁中古がよい﹂はわずか三
古 か を 尋 ね た 設 問 で は 、 図i iのとおり、﹁新築がよい﹂との回答が、﹁どち
まい子の価値観をうかがうことができる。住宅を鱗入するとしたら新築か中
昨年一一月に内閣府が実施した世論調査で、新築か中古かをめぐっての住
②住み継がれず、寿命が短い。
%余、﹁どちらでもよい
2 のとおり、﹁間取りや
は一一二%程度となっている。
③個別性が強く、街並みはバラバラ。
L
では、新築がよいと忠う理由は何かというと、図
デザインが自由に選べるからにすべてが新しくて気持ちがいいから﹂が他を
住宅ロ l ンのある家計のバランスシートは債務超過に陥りがちであり、
クラップアンドビルドの繰り返しで資源は浪費され、海外旅行から帰ってき
3は、数少ない中古支持派に
日本で中古流通を活性化させようとしても、どだい無理な話だとの指摘があ
の住まいにこだわる姿勢は、いわば日本人の住文化ともいうべきものだから、
これらの凶答結果にみられるような、個性を重んじ、潔癖症で、自分だけ
る様子がみてとれる。
に無理がないから﹂が一位、ニ位であり、経済的理由からの消極的支持であ
購入しておいて、時期を見て建棒、えやりフォームをする方が、資金計画など
中古がよいと思う理由を尋ねた回答である。﹁新築よりも安いから﹂﹁中古を
から﹂と合計するとトップになる。一方、図
圧倒している。なお後者は、第四位の﹁人が住んでいた後には住みたくない
だきたい。
おり、マンションについては当てはまらない記述があることを了解していた
れていきたい。なお、本稿では、主として一戸建て住宅を念頭に置いて論じて
日本の住宅を、①1③の現状から@1@の方向に変えるための政策にカを入
①共有された住宅の型があり、街故みに節度や般がある。
⑥壊されずに住み継がれ、長寿命。
@新築時にもっと安く、しかも中古になっても値段が下がらない。
うに変えていくべきである。
て我が街の風景の貧困を嘆いている。したがって、こうした状況を以下のよ
ス
まず、 日本の柱宅の特徴的な問題点として次の三点を挙げ、 本稿の出発点
j
関
太
7
1
7
1
100%
。%
気持ちいいから!
古は耐震性や草加ど麟購1
師
宅の品質に不安 あ る か ら 陣 擦 務 総 綴 鑓
E
事
長
i
0
.
1
わからない
人が住んでいた後には璽認麗露霊感罷IqR
住みたくないから麺置菌額融瞳輯目
税制や滋資の部で翻, R
中古よりも有利だから劉 '
.
V
07
.
1
特にない自 1
図-3 中古がよいと思う理由
呪
には、ほかの人が使った家屋や部材を移築したり、再利用したりすることも
広く行なわれてきたわけだから、新築至上主義が日本人の住文化だとか国民
性だとかいうほど根深く強国なものではないだろう。
新築が高いこととや古が安いことは根っこでつながっており、さらに短命
であること、街並みがバラバラであることと相互にからんでいる。個性的で
あろうとして下手に凝って建てた住宅は、何かとコストが嵩み高くつく。一
世議長調査{向調際)
11月 実 施
実際の住宅や近隣の居住者を
確認してから購入できるから
すぐに入居できるから
その他
もう一度、図
割高、中古は割安となり、価値が認められない
のですぐ壊され、また勝手気ままに建てること
の繰り返しで街並みは乱れ、その地域にあるス
トックはさらに価値を下げていく。かくして、
個々人が新築時にかけたお金に見合うかたちで
社会全体のストックの価値は蓄積していかない。
日本の住まい手は、自らの手で自らの苦を絞
めているかのような、あるいは一種の合成の誤
謬とでもいうべきような困った状態に陥ってい
るのではないか。もっと賢い消費者になって、
住宅を建てたり買ったりするときには、自分の
夢の実現だけでなく、ほかの人からも、また時
代が変わっても、いい家だと価値が認められ、
中古になってもちゃんとした値段で買い手がつ
く住宅であるかどうかを考えたい。それから、
こまめな手入れ、暮らしゃすさを増すための設
とお金をかけたい。また、新築一辺倒ではなく、
備更新や増改築、たたずまいの洗練などにもっ
挙がっており、五番目の﹁税制や融資の商で、中古よりも有利だから﹂より
﹁中古は、耐震性や断熱性など住宅の品質に不安があるから﹂という問答肢が
2を見ていただきたい。新築がよいと思う理由の三番目に、
中古住宅の品質の検査と情報提供
ようになる。
において、より本質的なところで価格と品質の競争を展開することができる
となることよって、供給サイドは、新築から中古までを幅広く包含した市場
中古という選択肢にもっと目を向けたい。需要サイドがそうした賢い消費者
平成1
6年
│
自由に選べるから γ一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
方、ほかの人にとっては往々にして使いづらかったり悪趣味であったりする
4
3
.
5
新築よりも安いから
50
40
30
2o
10
o
11月実睦校鈴lJlj査{内閣府}
平成1
6
年
34.
4
す べ て が 新 し く て 翻 田 富 歯 髄 盟 四 樹 園 田 園 幽 趨 醐 臨 繍 圃 醐 醐 臨 幽 勉 圃 醐 醐 蝿 醐 棚 田
41
.9
関 恕 り や デ ザ イ ン が 由 回 開 田 園 田 由 園 田 園 田 盟 四 四 園 田 園 間 醐 田 園 田 国 醐 田 園 田 欄 間 間 四
し、いたずらに時代の流行を追った住宅は、またたく開に陳腐で時代遅れに
1
0
わからない
1
叫
10
20
30
40
50
… ー 十 一 一 一 一 一 一 … 一 ;
o
11!l実施世論 E
調査(内閣府}
平成 1
6
年
る。しかし、戦前の都市生活では借家住まいが多かったし、さらにもっと前
1
2
.
9
なってしまうので、中古で売ろうとしても評価されない。かくして、新築は
中古を購入しておいて、時期を見て
盟主主えやリフォ…ムをする方が
J
:いから
資金計商などに祭珪が f
2
2 新築がよいと思う理由
図
1 住宅を購入するとしたら新築か中古か
図
観に由来するもの(凶ったこだわり)が圧倒的であるが、それを別にすれば、
ずっとポイントが高い。新築支持の理由としては、先ほど述べたように価値
後者は七O件 と 抵 迷 し て い る 。 先 ほ ど の ア ン ケ ー ト 結 果 等 か ら み て 、 潜 在 的
は利用が進んでおらず、平成一五年度の実績は、前者は戸建てで一二五件、
宅性能保証制度である。しかし、これまでのところ雨制度とも期待どおりに
流通業に関する消費者動向調査﹂においても同捺の結果となっている。それ
③利用に要するコストが高い(評価機関や保証機関の手数料だけでなく、申請
②制度を利用するために満たさなければならない要件が厳しすぎる。
①検査や保証の内等が消費者が求めているものと恭離している。
l ズはあると推察されるのに、利用が進まないのはなぜだろうか。
一
一
その胤凶の可能性として以下のようなことが挙げられよう。
品質に対する不安の問題が大きく、税制や融資といった経済面での制度イン
フラの問題を上回っている。
は図│ 4であるが、中古住宅購入に求める改普点として、﹁構造上の性能の保
このことは、社団法人不動産流通経営協会が昨年六月に実施した﹁不動産
証等﹂が一位、﹁修繕・補修等の版降情報の完備﹂が二位となっている。次い
のための準備、手続き、検査の立会い等に要するもろもろのコストの問題)。
z
修
第
三 機修等の履情殺の完備
3
3
.
2
瞬
税制における侵連絡握の藍充、減税
公的融資の制度舷克
iロ新築住宅購入者の自答 (nコ392)
!白骨古住宅購入翁の由答句史5
.
2
J
D
不動産流滋経営l1i会)
平成 16年 6!l実施不動産流通業 i
こ閲する泊覧者動向調査(社団法人
図- 5 中古住宅品質情報提供の流れ
検査を行なうのは売り手か賓い手か
み込んでいけばいいのだろうか。
意しながら、検査や保証をどのように取り引きの流れや情報の流れの中に組
問題が大きいのではないかと考えている。売り、王やその仲介業者の利窓口に留
おそらく全てが複合して制度利用が進まないのであろうが、特に④と⑤の
くなるのが嫌われている。
⑤売り主やその仲介業者にとって不利な品質情報が明らかになり、売りにく
まれていない。
④中古住宅売買の取り引きの流れ、あるいは情報の流れの中に上手に組み込
で融資や税制面での制度拡充が挙がっており、登記等の手続きの改善、物件
情報量の地加等については、ポイントがあまりおくない。
こうした中古住宅の品質に対する不安、あるいは品質がわからないことに
主主主一一
ム融資の制度主主克
リフォ
4
8
.
5
4
5
.
7
.8
41
矯造上の性能の保証等
50
40
30
20
10
O
を行なうやり方の場合、﹁そんな面倒なことを一一一一阿ったら、売り主さんに断られ
るわけではない。また、このように意中の物件が定まってから買い手が検査
に役立つかたちで、検査に基づく品質情報が事前にオープンに提供されてい
なわれるのが実態だからだそうである。したがって、物件の相互比較や選別
品質上の問題がないことを確認するために、契約直前に念押し的に検査が行
子 が 行 な う ケi ス が 殆 ど で あ り 、 な ぜ か と い う と 、 買 い た い と 思 っ た 物 件 に
それとも買い手であろうか。不動産仲介や検査の業界関係者の話では、買い
ところで、 そもそも中古住宅の品質検査は売り子が行なうべきであろうか、
3
対する不安を解消するために設けられたのが既存住宅性能表示制度と既存住
図-4 中古住宅購入に求める改善点
勾
ペd
ハHU
てしまいますよ﹂などと仲介業者に指摘されると、買い予は検査を言い出せ
報の提供に向けて売り手サイドを促す。
耐震性への関心が高まると思われる。これをてこに、検査の実施と品質情
②住宅ロ i ンを提供する金融機関も、担保物件の品質に重大な関心を持って
なくなってしまうのではないか。
したがって、中古住宅の品質検査は売り手が行ない、仲介業者や物件情報
いるはずである。ロi ンの優遇というアメとからめながら、検査の励行を
③例えば新築時に性能評価を受けた住宅の所有者は、中古として売る際にも、
誌、不動産情報サイトなどを通じて、あらかじめ品質情報がオープンに提供
検査を受けることに抵抗感が少ないであろう。これらを突破口として品賞
金融業界から後押しするよう働きかける。
うか。既存住宅性能表示制度のような信頼できる検査・評価により、品費に
情報オーブン化の流れをつくる。
されることが理想的である。その場合の売り子サイドのメリットは何であろ
が得られれば、それが市場で評価され、高い値段で売れたり、平く売れたり
か。筋論からいえば、その分だけ安くするか、問題の箇所を直して売るかし
が連携をとって、できれば業界共通の行動規範のようなものをつくって、検
今後、先ほどの図
15のように、仲介業者、検査・評価機関、金融機関等
おわりに
イトの協力を得る。
④検査済みの物件であること等の表示について、物件清報誌や不動産情報サ
問題のない住宅であること、さらには品賓がすぐれた住宅であることの証明
することが期待されるであろう。また、金融機関から損保価値が高いと評価
され、融資額アップや金利の割引など、住宅ロ i ンの貸付条件がよくなり、
これまた売りやすくなることが期待されるであろう。以上を図式化したのが
i5である。
なければならないであろう。そうであれば、品質に自信のない売り主は、そ
査の実施と品質情報の提供促進の取り組みを展開していくこととなれば理想
函
もそも自ら進んで検査を受けようとはしないであろうし、また、仲介業者も
一方、検査の結果、品質に問題のあることが判明した場合はどうであろう
検査を受けることを薦めないのではないか。そして、売り主や仲介業者が品
中古住宅の品質構報の開示は、売り子サイドからは面倒でやっかいな話と
的である。
とられがちと思うが、品質が不明な商品は買い手にとってリスクの高い商品
質に自信を持てない住宅の方が多数派であれば、中古住宅市場において、売
り子サイドから品質情報をオープンなかたちで提供するよう促すことは、な
であり、そのような商品は抵い値段でしか取り引きされないのが通例である。
べきではないだろうか。
人中判。二O O一一一年より現職。東京都の住宅政
策の食耐立案を扱当。
一九七八年、東京大九千工学部建築学科卒業。
八O年、同大学院工学系研究科修士課程(建
築計同)修了。悶年、後設省(間世間山土交通翁)
東京都郷市笠備局住宅政策担当部長。
水流判例太郎/つる・じゅんたろう
になるべきと考えるのであれば、売り主は進んで品質情報の開示に取り組む
中古住宅に対する市場の評価がおしなべて抵く、本来もっと高く売れるよう
かなか難しい企てということになってしまう。
どのように取りかかっていけばいいのか
適用要件に耐震基準への適合が一部組み込まれることになったので、
①買い予は耐震性に最も関心が高い。折しも今年から、住宅ロ l ン減税等の
りかかっていくのはどうであろうか。
促進するための戦術を考えたい。思いつくままではあるが、以下のように取
何はともあれ、行政担当者として、売り子サイドからの品質情報の提供を
4
府
雇用環一の本化に対臨する新しい住宅ロ!ン
││門家歴書いが実現するノンリコiス住宅口iン
中里
となっているといってよいだろう。
る調査(民間金融機関向け)﹂によれば、金融機関が融資審査を行なう際に考
先般、国土交通省が発表した﹁平成二ハ年度民間住宅ロ i ンの実態に関す
なる。コ雇用形態﹂を考感する項目としている金融機関は一二O%程度と多くな
る。したがって、パート、アルバイトといった雇用形態は排除されることに
%、二年以上としている金融機関が一四%と、ある程度の年数を要求してい
次に、﹁勤続年数﹂であるが、基準を一一一年以上としている金融機関が七O
慮する項目として九割以上の金融機関が考慮しているものは、﹁完済昨年齢﹂
いが、具体的な回答の例として﹁アルバイトは不可﹂﹁パ iト勤務は不可﹂﹁契
約社員は対象外﹂といったものが挙げられている。新しい働き方として注目
されているインディベンデント・コントラクター(フリl ・エージェントと
呼ぶ人もいる)もこの基準で排除されるかもしれない。
実際には、民間金融機関は過去二 1一一一年の収入を見て住宅ロ l ン貸出の可
る日本型雇用慣行であるが、慨にこの慣行は崩れつつある。例えば、﹁非正社
の調査結果からも窺えるように、終身雇用、年功序列型賃金といったいわゆ
否を判断している(収入基準といわれる)。この手法の前提にあるのは、上述
をクリアするので、ハードルはさほど高くないように見える。しかし、この
員﹂の比率は、一九九九年の約二八%から二OO三年の一一一五%へと著増して
このような一庭用環境の変化の中で、収入基準を維持しようとするとどうな
項目は﹁返済負担率﹂と密接に関連しており、大多数の金融機関が返済負担
得価格から逆算すれば、ある程度の年収がないと住宅ロ l ンを利用できない
るであろうか。金融機関の側からみれば、適格債務者の減少により収犬皿機会
いる(厚生労働省﹁就業形態の多様化に関する総合実態調査﹂一一 O O三年)。
ことがわかる。﹁年収﹂﹁返済負担率﹂は実質的に貸出の可否を判断する基準
率の基準を四O%以内(または更に厳しい)としていることから、住宅の取
﹁年収﹂については、二五O万円以上であれば八割以上の金融機関の基準
人は多くはないだろう。
おける住宅取得のタイミングを考えれば、この項呂によって対象外とされる
﹁七五歳未満﹂より上とする金融機関が大多数であるから、ライフサイクルに
このうち、 ﹁借入時年齢﹂﹁完済時年齢﹂の基準はそれぞれ﹁六五歳未満﹂
hv
マ
。
﹁借入時年齢﹂﹁返済負担率﹂﹁勤続年数 L﹁年収﹂﹁担保評価額﹂の六項目であ
民間住宅口iンの実態
壮
塩
の減少を招くことになる。一方で、収入基準に合致しない住宅取得希望者は、
組みは永続性があるのだろうか。
質的に貸出の可否を判断する基準となっている。ただし、実務上は、担保評
(または更に厳しい)としている金融機関が大多数であり、担保評価額も実
額﹂についてはどうだろうか。住宅ロ i ンの額を担保評価額の一OO%以内
金融機関が考慮している比率が高い項目のうち、最後に残った﹁担保評価
動きがある中で、機関投資家への証券の安定消化が可能なのか、という懸念
既 に 一 部 の 機 関 投 資 家 が 係 る リ ス ク を 嫌 気 し て 住 宅 ロ l ン業務から撤退する
れば順イl ルドの環境下では適用金利が低下するため同様の事態となる)。
れば期限前償還が多発する(市場金利が低下しなくても、残存期間が短くな
手数料なしで期限前犠還できる。したがって、借入時より市場金利が低下す
も う ひ と つ は 期 探 前 償 還 リ ス ク に 係 る も の で あ る 。 証 券 化 対 象 ロ l ンは、
価において建物は取得価格を基準に査定することが多く、必ずしも換価倒値
がある。将来的には、期限前償還リスクに寛容な偶人投資家にリスクを転嫁
住宅ロ l ンを利用する住宅取得の道が閉ざされることになる。
を基準とするものではない。かつては地価が傾向的に上昇しており、デフォ
する必要があるのではないか。
住宅の所有に関する意識
策と評価される面がある一方で、本安的な問題もはらんでいるのである。
このように、公庫証券化支援事業は、民業補完という観点で時宜を得た施
ルト時に建物の換価価値が見込めなくとも担保不足に陥ることは少なかった
が、今後は地価下落に伴い担保割れが頻発することが予想される。担保によ
る信用補完の機能が低下していることは否めない。
こ の よ う に 、 日 本 型 雇 用 慣 行 と 土 地 神 話 に 依 存 し た 民 間 住 宅 ロ l ンが曲が
り角を迎えていることは明らかである。
住宅金融公庫の証券化支援事業
る仕組みになっている(リスクのアンバンドリング)。このアンバンドリング
日払いリスク)は公庫が、金利リスクと期限前償還リスクは投資家が負制す
されたものである。その日的を達成するため、信用リスクと流動性リスク(期
理由として、ご﹂どもや家族に土地・建物の形で財産を残したいから﹂をあ
%が﹁土地・建物については、両方とも所有したい﹂と回答している。その
省が実施した﹁土地問題に関する国民の意識調査﹂によれば、回答者の八二
あり満足できないから﹂となっている。生活者の切実な芦といえるだろう。
局のところ不良債権処理の負担は国民の負担となるのではないか、という懸
金融公庫が廃止され、その業務が独立行政法人に引き継がれたとしても、結
加をしないということに重点が置かれる可能性がある。特殊法人である住宅
なるから、良質な住宅を供給するインセンティブは働き難い。代田門家は住宅の
いわれており、収品ハ凧性を高めるためには建設コストを抑制することが必要に
のと考えられる。一方で、貸家所有者は周辺相場を参考に家賃を決定すると
にくいため、住宅の価値を維持しつつ大切に使うという意欲は持ちにくいも
貸家居住者は﹁仮の住まい﹂という意識が強く、住宅に対する愛着が湧き
念がある。そもそも信用力の巽なる債務者に同じ金利が適用されるという仕
機関には不良債権を田避する積極的なインセンティブはなく、むしろ融資選
そ の ひ と つ は 信 用 リ ス ク に 係 る も の で あ る 。 オ リ ジ ネ │ タi た る 民 間 金 融
げた者が悶七%と最も多く、次いで﹁借地・借家では生活や権利が不安定で
しかし、国民の持ち家志向は依然として古川い。二OO四年一月に国土交通
を取得すべきではない(借家に住めばよい)という考え方もあるだろう。
取得の道が閉ざされることになる﹂と述べた。安定した収入が無ければ住宅
先 に ﹁ 収 入 基 準 に 合 致 し な い 住 宅 取 得 希 望 者 は 住 宅 ロ i ンを利用する住宅
3
の結果、将来的に問題が発生するおそれがある。
関では対応しきれない超長期固定金利ロ l ンの安定的供給を図るために開始
住宅金融公庫(以下公的という)の住宅ロ l ン 証 券 化 支 援 事 業 は 、 民 間 金 融 機
2
量の確保という観点からは有効な手段であるものの、住宅の質の向上という
の将来のキャッシュ・フロ l に依存するのではなく、担保物件の換価側儀に
﹁新たな担保主義﹂である。すなわち、新たなコンセプトは、返済を債務者
3
νつ vjw
の返済が滞っても住宅ロ i ンを原資に取得した住宅を引き渡せば、以降の返
ス・ロ i ンとは責任財産限定特約付融資のことで、この場合は、住宅ロ l ン
これによって﹁住宅ロ l ンのノンリコ l ス化﹂が可能となる。ノンリコ i
依存することになる。
観点からは限界があるものと考えられる。
以上のように、持ち家志向や貸家の限界に鑑みれば、住宅取得を希望する
人には取得の道が開かれてしかるべきだろう。
建築廃棄物による地球環境負荷
済は免除されることになる。要するに、住宅を諦めれば住宅ロ l ンの桂桔
、
ノか
の重荊に怯むことなく転職に挑戦することができる。人材流動化という雇用
ら解放されるということである。新しい住宅ロ i ンの利用者は、住宅ロ l ン
ひる
ここで住宅ロ i ンから一日一離れて、建築廃棄物について考えてみたい。
環境の変化に対応する社会基盤が整備されることになる。
する。通常の維持管理を前提に住宅ロ l ンのLTV(ロi ン・トゥ・バリュ
もう一つのコンセプトは、住宅の品質や維持管理の程度を住宅ロ i ンの条
ところが、中古住宅の欠陥や不具合に不安を覚えている買い主は多い。例
ー一担保価値に対する借入額の割 A口)が設計されるとすれば、優良な維持管
であるが、そのためには建物を取り壊して更地に戻した後に改めて新築する
えば、社団法人不動産流通経営協会が実施した不動産流通業に関する消費者
理や付加側値工事はLTVを低下させることになるから、リスクプレミアム
件とリンクさせるということである。優臭な維持管理が施されれば、住宅の
動向調査(二 O O四年度)によれば、中古住宅購入に求める改善点として﹁構造
が庄縮され、それに見合うだけ適用金利を引き下げることができる。したが
という風潮を改め、中古建築物の流通を促進する工夫が必要となる。住宅の
上の性能の保証等﹂をあげる者が最も多く、次いで﹁修繕・補修等の履歴情
って、住宅の維持にコストをかけて良い住宅を長く使う千ンセンティブが生
減価は減殺されるし、新たな機能が付加されれば、むしろ住宅の価値が向上
報の完備﹂となっている。中古住宅流通市場を活性化させるためには、住宅
切り口から地球環境の維持に貢献することができる。
これによって、住宅の廃棄物は抑制されることになり、住宅ロ l ンという
まれる。
盤ともなるのである。
ン
新しい住宅口 E
B
z のコンセプト
それでは、住宅取得を希望するが従来型の民間住宅ロ l ンを利用できない
実現に向けた仕組み
新しい住宅ロ l ンを実現するためには、いくつかの仕組みが必要となる。
それには、収入基準に代わる新たな判断基準を導入する必要がある。新た
管理履膝が必要になる。そのため、設計図書等は随時参照可能な形で保管さ
価価値を厳密に査定する上で、新築時の設計品質と施工品質、その後の維持
そのひとつは、住宅に関する情報を一元管理する仕組みである。住宅の換
な判断基準とは、担保物件の換価価値を厳密にかつリアルタイムで把擢する
人に、どうしたら住宅取得の道を開くことができるのだろうか。
s
られる。また、この仕組みはこれから提案する新しい住宅ロ l ンを支える基
の性能や維持管理臆腰を客観的に把擢できる仕組みが必要となるものと考え
場合でいえば、中古住宅流通市場の活性化である。
われている。廃棄物を減らすためには建築物をより長く使用することが有効
建築物から排出される産業廃棄物は、全産業廃棄物の約二割を・占めるとい
4
5
d
daa
ヘ
吻
と参照の容易さを両立させるためには、情報システムの利用が現実的であろ
資の源泉であるからには、情報の適切な管理は不可欠である。管理の確実性
は住宅ロ l ン の 裏 付 け と な る 実 物 資 産 で あ り 、 デ フ ォ ル ト 時 の 唯 一 の 回 収 原
おろそかになったり、補修に余分な費用を要することになりかねない。住宅
れなければならないが、得てして散逸しがちである。その結来、修繕計画が
具等にも応用できる。リサイクルの仕組みと組み合わせれば、この面でも地
収の確実化を園るのである。この仕組みはインフィルにとどまらず、高級家
こで、インフィルに対応するロ l ン の 期 間 を 短 く 設 定 す る こ と に よ っ て 、 回
ィルの一部はそもそも換価しにくく、担保に適さないという側面もある。そ
スケルトンは性能が問題であって客観的な評価が容易である。また、インフ
一方で、﹁土地十スケルトン﹂に吻合させる資金は、永久ロ i ンに近い形
球環境の維持に貢献できるだろう。
も う ひ と つ は 、 個 人 の キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ i管 理 を 支 援 す る 情 報 シ ス テ ム で
として、投資家に﹁大家﹂に近い収読をもたらす商品に仕立てることも展望
う。そして、そこに格納された情報こそが吋家歴書﹄となるのである。
あ る 。 個 人 の キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ l に依存しない住宅ロ l ン と い っ て も 、 月 次
しうる。
一方で、ノンリコース型住宅ロ l ン の 元 利 払 い が 滞 れ ば 直 ち に 生 活 の 本 拠
して新しいコンセプトを提案してみた。その背景にあるものは、口幅ったい
雇用環境の変化に対応する住宅ロ l ンとして、住宅取得の機会均等を自指
おわりに
機能するものとなる。
以 上 の よ う な 仕 組 み が 揃 っ て 、 初 め て ノ ン リ コ ー ス 住 宅 ロ i ンは現実的に
の 元 利 払 い は キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロi か ら な さ れ る こ と に な る 。 そ も そ も ノ ン リ
コl ス ・ ロ ー ン は 一 般 的 に 責 任 財 産 か ら 発 生 す る キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー が 田 収
原資になるのであって、キャッシュ・フロ l の発生しない持ち家の場合は非
現 実 的 で は な い か と い う 指 摘 も あ り う る 。 個 人 の キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ l の源泉
は主として労働債権であって、オフィスビルの賃貸料のように振込指定等で
を失うことになるから、債務者にとってまず元利払いを優先する誘因は大き
ようだが﹁持ち家﹂という日本人が求めてやまない夢の実現、多様な就労形
拘束することが不可能であることは事実である。
い。現実に、その誘因が住宅ロjンの貸倒れ率の低さをもたらしているので
態を可能とする社会システムの確立、地球環境維持といったものへの思いで
中m品仏弘山田/なかざと・そうや
一九八二年、東京大学法学部卒業。日本興業
銀行、みずほコ!ポレ lト銀行勤務を経て、
現在、日本財務コンサルティング側代表取締
役。情報通目的技術を活用した金融商品の開発
を主たる業務としており、日下、我が国にお
けるアセソト・ベイスト・ファイナンスの実
刻化に取り組んでいる。
ある。読者諸兄のご批判を項裁できれば幸甚である。
ふ
の
ヲ
令
。
はんさ
しかしながら、多忙な偶人に煩喰な資金管理で完全を期すことを期待する
ことにも無理が感じられる。例えば、長期修繕計画の実現に必要な資金を計
画的に確保して、住宅の優良な維持管理を実現させることを支援してくれる
情報システムがあれば、円滑な元利払いを実現する有力な仕組みとなるだろ
う 。 む し ろ 、 こ う い っ た 情 報 シ ス テ ム の 利 用 を ノ ン リ コ ー ス 住 宅 ロ i ン利用
の条件とすることも考えられる(倒人情報保護に十分な配慮がなされるべき
であることは一一一日うまでもない)。
ふんごう
更に住宅を﹁土地十スケルトン﹂﹁インフィル﹂に区分し、それぞれの酎用
年数に資金を吻合させるという仕組みも考えられる。インフィルには所有者
の噌好が強く反映される結果、取得価格と換価価値が議離しやすいのに対し、
日米の中古戸建て住宅の需要観の凶器いからみた
﹁家主日﹂の活用の可能性
古都子
割が発揮されている事例である。が、その家族は昨年転屠したが、現在の中
古一戸建て住宅の購入に際して家歴書に関心を払わなかったそうで、現住宅の
家歴書を持っていない。彼女によると、前住宅の売り主が住宅に関心が強か
﹁ペットの売買﹂である。つまり血統書は、新しい所有者に﹁純血﹂という差
タi、弁護士、買い手が一殿、つインスベクター、そしてエスクロi機関、銀行、
アメリカでは住宅の売買に伴って、売買当事者はもちろん、双方のリアル
ったので、建築家を紹介したり、家歴書を渡してくれたりしたそうである。
別化傾格に対する身元証明書である。では住宅に話を一戻せば、住宅の血統書
登記、不動産取得税関連等多くの機関との閣に書類が交わされるが、それが
編集組当者に伝えている)。知人ののげωRY さんが代々の所有者によって綴られ
は、筆者は家歴書の研究睦がないし、米国の家歴書をみたことがない(これは
にわたる非常に詳細な(その詳細さは強調しすぎることはない)重要事項説
住者と二事業所)に共通していた書類は、徴に入り縮に入り、極めて多項目
売翼当事者の間で交わされる書類に絞ってみれば、今回のヒアリング対象(居
透明である。実成価格は国定資産税に跳ね返り、近隣が知るところとなる。
てきた家騒書を持っているという話を小耳にはさんだが、拝見する前に、彼
明書である。また、買い手の質問に対する売り子の自答書も添付される。し
対象者一五件中、間取り囲を入手したのは数件であった。そのうちの一件
らは引っ越してしまった。その後、一一000年に、筆者はロサンゼルスで中
は購入後に偶然に入手したと説明をしている。なぜ間取り閣を要求しないの
かし、家歴書は参考資料に留まっている。さらに驚くことに、間取り図が重
宅において、前所有者の増改築を担当した建築家とニ000年境在も親しく、
者の中に∞江口己唱さんがいる。彼女は一九七五年に購入した中古一戸建て住
だろうか。﹁見れば分かる﹂から必要がないという。では何故この家を選んだ
古戸建て住宅の購入経験者一五名にヒアリング調査をした。そのやで家歴書
修繕を彼の紹介による工務信に依頼していた。一九九四年のノi スリイツジ
のかという質問には、﹁雰囲気が気に入ったから﹂という予期せぬ回答が返っ
要事項の必須要件になっていない。
大地震の修繕もそれに依っている。この例は、家歴が継承され、家歴書の役
について質問したが、話題はあまり発展しなかった。数少ない家歴書の所有
筆者は本書の特集企画において﹁家歴書の日米比較﹂を求められたが、実
は中古一戸建て住宅の何を保証するのだろうか。
にどういう場合に血統書が重視されるのだろうか。すぐに思い浮かぶのが、
本特集のテi マ は ﹁ 家 歴 書 が 鼠 統 書 に な り う る か ﹂ で あ る が 、 で は 般 的
ーアメリカ人から開いたこと
出
崎
100.0%
8
.
9
8
7
.
5
3
.
6
器産入経験なし
9
2
.
9
7
.
1
購入経験あり
1
4
.
6
合計
2
2
.
0
てきて驚き忠わずひるんだ。なお、回答者会員が﹁校区とコミュニティ﹂の
296
100.0%
合計
7'メリ力
重要性を強調した。しかし、手囲気だけで高価な住宅を買うとは忠えない。
100.0%
7
7.
4
172
56
.
4
﹁ではあなたたちは何をいいい引用するのか、不動産屋か﹂と再度尋ねたところ、主
268
100.0%
4
3
.
6
購入経験あり
観的な好みとは別に、買い子が最も拠り所にしているのはインスベクターの
合計
4.
5
レポート*であった。﹁物理的、建築的評価は腕の良いインスベクターに任せ
t
絞殺※嚢畿襲護費
J
号
令
中古戸建て住宅購入経験と現住宅の種類
向があり、中でも
おいてその傾向が
中古戸建て住宅に
強く現れる。一方、
日本では売却の期
待は極めて薄く、
終の棲家との重複
回答もなかった。
日本における資産
的期待は、住み継
いで次世代に遺産
が、これも中古一戸
を残すことを選ぶ
建て住宅では極め
中古戸建て住宅の比率は九%にも満たず、対アメリカ比は一対八・七まで拡大
は二一%で、米国との格差が一対四二ニまで拡大する。さらに現住宅における
いた。この対アメリカ比は一対二・六である。しかし、検討の結果購入した人
宅であるが、日本は過半数が新築住宅に住んでいるのである。これらのデー
購入経験者が現在居住している住宅は、アメリカの八五-m%が中古戸建て住
て住宅に転居した比率はわずかにふハ-H%に過ぎない。次に、中古一戸建て住宅
住宅が八五・三%を占める。しかし、日本では、中古一戸建て住宅から中古戸建
建て住宅に入る前に居住していた住宅は、アメリカにおいては一戸建ての中古
とも終の棲家としての期待が大きいのは共通している。ところが、アメリカ
図ーーは現住宅を入手した時の期待を、住宅の種類別に表している。両国
建 て 住 宅 は 双 六 の 途 中 段 階 で 、 い つ ま で も こ こ に 腰 掛 け て い れ ば ゲl ムに負
て住宅を﹁上がり﹂に据えた上田篤氏の住宅双六が有名になったが、中古戸
宅市場に現れるのに対して、日本では連続性がないことがわかる。新築戸建
タから、アメリカでは中古戸建て住宅も需要者も共に繰り返し中古戸建て住
の場合は終の棲家だけでなく、売却時の利益についても重複して期待する傾
要に応えているのだろうか。
するのである。つまり、日本ではや古一戸建て住宅が無視されているわけでは
その経緯を住居歴で辿ってみよう。中古一戸建て住宅の購入経験者が中古一戸
建て住宅の耐用性が維持されるが、日本はとぎれるらしい。
の保障に過ぎないのである。アメリカでは繰り返される売買によって中古一戸
宅は﹁仮の宿﹂としての位置づけが大きく、その資産評価はせいぜい万が一
て少なく、相続住宅の半分以下である。以上のように、日本の中古一戸建て住
国 一 1 現住宅を入手した時の期待
ないが、ストックにならないのである。では中古戸建て住宅はどのような需
持ち家居住者のうち中古戸建て住宅の購入を検討したことがある人は三六%
100.0%
85.
4
0
.
7
100.0%
28
o
8
4
1
o
669
o
o
相続
9
5
.
5
中古
新築
購入経殺なし
100.0 120.0 140.0 160.0
80.0
60.0
る。家歴書に何が書かれていても、インスベクターが現物を見て判断したこ
なi
さ
い拡
売
さ
れ
日本
と以上のことは伝えていない﹂と付け加えていた。加筆すると、イギリスや
告
れ宅
40.0
アメリカでは一週間に一度発売される不動産新開は、リアルタ!と、物件の
は戸
表 -1
正面写真入りの広告が多い反面、間取り簡を載せている事例は極めて少ない。
転警
20.0
とはいえ、筆者はアメリカで家膝書が無用であると述べるつもりはない。
宅古
0.0
筆者が伝えたいことは、一見客観的な資料である家歴書も間取り図も、買い
手が必ず入手する文書に合まれていないことである。以上、筆者は家臨書の
日本の
情報をこの程度しか持ち合わせておらず、以下は、二回の日米居住者調査に
正
午
よる住宅需要者からみた家歴書の可能性を探ってみる。
計
今回の調査(臼本八回二件、アメリカ二九九件)によれば、日本の一戸建て
2
中ア
古湾
けることになる。実際に調査結果から、日本の中古一戸建て住宅を購入後建て
替えるまでの平均年数は約九年しかなく、早期に中古から新築へ変移するの
である。
記した血統書が威力を発揮する機会が乏しいのである。
3 家歴書の背景││住宅の管理の投資効果
建て替えた住宅に対する愛着が弱い。特に築年数が一一一O年 以 下 の 住 宅 へ の 愛
る傾向がある。アメリカは古い歴史を感じさせる住宅に対する愛着が強く、
ルが激しくなると、転がされる家について客観的な経詩評価をするのが難し
アメリカでは家転がしがある。現在はその状況にあるといわれている。バブ
σ2片山口︿ぬ250再三である。だからかって日本で土地転がしがあったように、
,oyozzu
アメリカでは、中古一戸建住宅は居住施設であると同時に、な、 H
y
着は極端に抵い。これが、アメリカでは古い住宅が市場価値を維持できる要
は、既存住宅が市場を転々と転がる事態に対応するための、経済評価を保証
くなるだろう。家転がしは安定した住宅事情を岨害する。アメリカの家歴書
ところで、 日 米 共 に 住 宅 に 対 す る 愛 着 が 強 い 人 ほ ど 耐 用 年 数 を 長 く 予 測 す
因である。逆に日本では中古戸建て住宅に対する愛着は弱く、﹁自分で建てた
する一っかもしれない。
を維持する﹂という共通点以外は全く異なる結果である。日本は﹁耐久性﹂
*20日 本 の 住 宅 の 耐 用 性 が 短 い 要 因 で
家﹂に対して愛着を強く抱く。したがって他人の晴好が反映している既存住
日 本 の 住 宅 が 建 て 替 え ら れ る 理 由 を み る と 、 九 七0年 代 以 前 に 建 築 さ れ
﹁安全性﹂の回答が多いが、アメリカは過半数が﹁投資のため﹂と問答した。
田12は 住 宅 の 修 繕 や 増 改 築 を す る 目 的 を 表 し て い る が 、 日 米 で ﹁ 快 速 性
た 住 宅 は ﹁ 面 積 の 拡 大 ﹂ が 多 い が 、 一 九 八0年 代 以 降 の 住 宅 で は ﹁ 好 み の 間
安全性に対する回答は、無防備といっても良いほどに少ない。間同じように大
ふめヲ令。
宅は市場側値が付きにくいことになる
取りにする﹂に理由が移ってくる。後述するが、日本ではリフォームの理由
地震に見舞われた地域であるにもかかわらずである。ヒアリングした中に、
アメリカ
も間取りの変更が多く、改善理由には﹁間取り﹂に対する強い関心が横たわ
一九九四年の大地震で住宅がつぶれ九死に一生を得
ず、転居指向者においても非常にリフォームが多い。
約六割がリフォームを指向し、永住指向者のみなら
リフォームが普及しているからである。アメリカの
ではない。アメリカに家歴書がある理由は、修繕、
のであれば、必要なのは建築関書であって、家摩書
ところで、既存住宅が建築当時のまま市場に出る
ペクトレポートは持っている。
されたようなものだ﹂そうである。もちろんインス
震で倒れなかったのだから、この家の堅牢性を証明
建て住宅が怖くないのかと尋ねたところ、﹁あの地
住宅を購入した。筆者が地震の洗礼を受けた中古一戸
初たという臨答者がいた。彼らは災害後も中古戸建て
%
ω
日本
っている。アメリカでも﹁間取り﹂に対する指向は強いが、それは建て替え
1
5
0
.
0
ではなく転居指向でも充足される。ところが、日本の転居指向の場合には﹁間
取り﹂の理由は影が薄い。これは雨時の﹁期待する間取り像﹂の違いである。
アメリカでは期待される間取り像は麗史的様式の中にある。日本は﹁自分の
思い入れが実った個性的な間取りへつまり、オリジナリティが期待される間
取り像である。このような間取り観の違いは、既存住宅の評価を形成し、耐
用性に決定的な相違をもたらすことになる。そして日本でオリジナルな間取
りへの強い指向がある限り、建て替え指向は続くのではないだろうか。日本
の既存住宅が市場化し、耐用性を保つことは容易ではない。
斯くして現在の日本の中古戸建て住宅は、当部建築費の予算を地代に投下
し、土地を有利に先行的に取得する効果を期待して購入するがいずれ新築に
建て替えを期待する場合が多く、アメリカのように次々に売却しながら利益
を得るための投資対象になる状況はない。したがって、日本では古い経陸を
2 住宅管E
里の目的
図
模の拡大﹂と﹁高く売るため﹂が目立ち、転居指向者がリフォームをする理
応﹂﹁好みの間取りにする﹂が際立って多い。これに対してアメリカでは﹁規
由においても大いに違う。日本のリフォームの理由には、﹁家族の変化に対
放す家をいじる必要がない﹂ということであろうか。さらにリフォームの理
同時にリフォームも指向する場合は臨めて少ないのである。いうならば﹁手
日本のリフォーム指向はアメリカの一 O 分 の 一 程 度 し か な く 、 転 居 指 向 者 が
つ風土をつくる。
を置くなど、市場における専門的能力を補完する公平な第三者専門機関が育
持することも重要である。加えてエスクローのように契約を客観担する機関
ことを確立する。また、売買に関わるさまざまな当事者が互いに独立性を維
素人には難解だった工事や材料、施工技術、状況の評価が市場に反映される
ければならないのである。インスベクター制度が需要者に受容・認知され、
サーベイヤi) 制 度 の よ う に 、 現 場 調 査 に 基 づ い た 評 価 の 仕 組 み と 一 対 で な
では日本で、リフォームをして売り出した中古一戸建て住宅に投資性が期待
引き継がれれば、住宅管理の継続性が維持される。家歴書は愛着の記録でも
け継ぐための﹁系図﹂としても重要である。住宅の改善履歴の記鉢が後世に
最後に家歴書は他人に譲渡するための﹁血統書﹂ばかりでなく、子孫に受
由が読める。リフォーム後に売るアメリカでは、したがって市場において中
できるのだろうか。日本では安全性と、間取りに対する晴好が強く、一方イ
ある。家歴書を子に取る人に愛着も引き継がれていけば、日本で﹁愛着があ
古一戸建て住宅の家歴書が力を発揮する余地が大きい。
ンスベクターなどの専門的第三者の鑑定評価システムが普及していないので、
山崎古都子/やまさき・ことこ
滋賀大学教育学部教授。
奈良女子大学家政学部住居学科卒業。同大学
校修了(住環境学専攻)。愛知教育大学助手、
滋賀大学識側、助教授を経て現職。
一九八五年、﹁民間分譲共同住宅の運営管理に
山附する研究﹂で学術博士。その後、統彩住宅
の都会的管理システムの構築を目指して山中古
住宅一市要の研究に清子し、﹁日米比絞からみた
日米の中古住宅前姿特性いにより二O O四年
都市住宅学会賞受賞。現在は既存住宅市場の
許似様逃が伎宅の耐用性・居住空間の冊以に及
はす効果の日緯比較研究に取りかかっている。
縦務者に﹃住民のお会的管理に向けて﹄(都市
文化担)などがある。そのほか大級品開の日が
住胞内日渡に果たした役刻や、﹁滋賀燃の茅葺き
住宅における実入り・平入りの分布と、その
風土迎合性の考察﹂(滋賀大学潔境総合研究セ
ンター年報)など楽しい研究多数。
る住宅﹂は人間並みに寿命が伸びることも夢ではない。
︿参考文献﹀
2 戸谷英階一吋アメリカの家・日本の家i 住宅比較文化論﹄井上世一日応、一九九一年。
の あ り 方 に 関 す る 研 究 ﹂ 納 第 一 住 宅 建 設 協 会 、 二O O二 年 、 問
im頁。
l 山崎古都子﹁住 宅の耐的年数をおめ、既存住宅評似を確立するために必要な住宅情報
R
リフォームの評価が山中古戸建て住宅市場に反映されにくいこと、更に中古戸
建て住宅の倒格の問題が横たわっていることを指摘できる。需要者が好みの
住宅に建て替えることを指向する限り、晴好に合わないリフォーム済み中古
マイ
戸建て住宅に対怖を払うことを践践するだろう。場合によれば、リフォーム
済みの中古戸建て住宅は過剰な付加側値で価格操作をしているとして、
ナスに評価されることもあり得る。
A
A まとめ一家歴書が機能する仕組みをつくること
とはいえ、日本の既存住宅は耐用年数を伸ばし、ストックとして活用する
ことが求められているにもかかわらず、安全性が単純に経年的に減衰すると
見る傾向が続く限り、管理行動は軽んじられ、建て替え指向を促すだろう。
日本で家歴書が﹁既存住宅の保有性能証明書﹂になるためには、住宅管理に
投下された労力と費用の客観的な評価が求められるし、かつ家歴書の記載事
項の信頼性の確保が必要である。なぜならば家歴書は実態との照合作業を通
して機能し、施された管理の適切性や性能を判断する参考資料に過ぎないか
らである。少なくとも﹁血統書つきの犬を飼ったのに病気ばかりする﹂とい
う嘆きはご無用に願いたい。つまり家歴書は、インスベクター(イギリスの
特集⑧家庭議・血統察
住まいの経年価値と地域的継求
正寛
私はこれまで、フィールドワークを通じて﹁愛着﹂や﹁風合い﹂の意義に
るものと考えられる。
。
*i
そして、そのような﹁時間とともに深まる価値﹂を見出すことで、対象とし
ついて考え続け、これらを総称する﹁経年側値﹂なる概念にたどり着いた
うだろうか。経年とともに価値を増す古学物は存在しないのだろうか。時間が
た東北の地域住環境が、より美しく、魅力的に映るようになってきた。
以下ここでは、概念の肴想にいたる調査プロセスと、その展開事例を紹介
し、こうした価値観を日常の環境評価の舞台に引き出すための糸口を探るこ
ととしたい。
住み手にとっての原風景ヘ
った私は、有り余るエネルギーを良いことに住み込み調査に鼠進し、対象地
存誠査(伝統的建造物群保存対策調査キ
2) で あ っ た 。 当 時 学 部 四 年 生 で あ
研究のきっかけは、一九九六年から始まった、岩手県金ケ崎町の町並み保
なわち﹁愛着﹂は、経年とともに深まる価値の、もっとも菩遍的な例の一っ
である。この場合、白の前の建築や環境は、愛着があるから美しくみえるの
出すことは少なくない。いやむしろ、観光商品は古い街ほど人気が高いはず
まいや周囲環境であった。
こ﹁
の住 み 手 に と っ て の 原 風 景 ﹂ と も い う べ き 地
気になったのは、一見して取るに足らない、しかし味わいを深めた各々の住
古い家屋、由緒ある庭闘などは、もちろん素晴らしかったが、私がむしろ
区の範囲をはるかに超え、町の隅々まで歩き回った。
ではなくて、 それ自体が一種の﹁風合い﹂ともいうべき美的価値を深めてい
一
方
、 自らの住まいとは無縁の場所に訪れても、古びた風景に美しさを見
と考えられる。
逆にいえば、住み続けることが、愛着引側値を深めることにもつながる。す
場所が多く存在しているかどうかは、住まいの評価に大きく関わる問題で、
私たちに共通の、普遍的な感情である。私たちの身の問りに、愛着の持てる
思い出の口問々や、机のやのガラクタが捨てられない。そのような﹁愛者﹂は、
たとえば、長く住んだ環境を離れるとき、特別な感傷が呼び起こされる。
させられることが、少なくなかった。
持ち続けてきた。むしろ逆の感覚
│l古くなるほど価値が深まる││と感じ
ゆったり流れる東北の地に住んでいるためか、私は長い閥、この点に疑問を
資 産 は 一 般 に 、 時 間 U経 年 と と も に 価 値 を 減 じ る 、 と さ れ て い る 。 ほ ん と
経年価値とは何か i 往まいに埋め込まれた愛着や風合い
大
招
域的な特色をどのように記述するか。そこで編み出したのが、﹁こどものイメ
ージスケッチ﹂と、それをもとにした﹁せいかつのれきしヒアリング﹂の組
み合わせ調査である。
こ の 調 査 で は 、 町 内 6小 学 校 の 五 年 生 、 約 二 ハO名 に ﹁ 新 し い 友 達 が で き
なぜあの絵がわかるのか。少なくとも、それぞれが幼少から過ごしてきた
﹁愛着﹂が作用しているだろう。そしてまた、それを穏期見た私が﹁風合い﹂
域空掃の特徴や移り変わ
像でスケッチしてもらい、さらにそれをもとに一二O軒 の 家 庭 を 訪 問 し て 、 地
かったが、その後一 O 年 近 く 継 続 し た 町 並 み 調 査 に お い て も 、 こ の 誼 感 が 頭
因となった、と考えられるのである。当時はここまでの概念整理には至らな
域住環境が﹁経年側値﹂を深めていたことが、このような結果を生み出す原
すなわち、愛着という主観においても、風合いという客観においても、地
を感じている、という同時性も見過ごしてはならない。
りを開き出した。ヒアリ
方々が応じてくれたが、
結果は実に興味深いもの
こどもたちが描いたス
る伝統的建造物群で価値の高いもの﹂と定義されている。周囲と一体である
文化財保護法によれば﹁出回の環境と一体をなして歴史的風致を形成してい
睦史的町並みを保存する伝統的建造物群保存地区(以下﹁伝建地区﹂)とは、
であった。
ケッチは、想像で描いた
区は、出仙台務の要害とその小城下からな
調査対象とした金ケ崎町城内諏訪小路地
から、その指定は必然的に地区単位になり、結果、新泊多様な資産を抱え込
ドマ l クがあるものばか
る﹁武家町﹂で、誠査後四年を経て、平成
はいい難く、きのこのよ
りではなかった。にもか
一三年六月、全国で五八番目、東北地方で
みながら、全体として歴史的風致を宥まね
かわらず、ほとんどの親
四番目の﹁閣の重要伝統的建造物群保存地
うな樹木と野原とか、水
族が、ご﹂こはあそこで
区﹂に選定された。古来の主な屋敷は、敷
ばならないという難題に直面する。
すな﹂と言い当てたので
とくに広く、その構えは、通り慨に生担、
地 が 約 五 百 i千 坪 と 、 数 あ る 伝 建 池 区 で も
で遊んだ忠い出や、近代
主庭、主麗の座敷部を配量し(写真
らは自らが幼少の頃そこ
の土地改良のことなどを
き続いて鳥屋(作業屋)、闘が奥へと配さ
i)、引
つぎつぎに語ってくれた
ある。そればかりか、彼
と緑などと、明快なラン
せいもあって、写実的と
町並み保存からみた経年価値
から離れることはなかった。
たら連れて行ってあげたい場所﹂という出題で地図を描かせ、その場面を想
図
ングには父母や祖父母の
1 地域空間のイメージコラージュ
図
写真一 1 金ヶ崎の武家住宅外観(表小路 S家)
ている。保存にあたっては、一般的な観光化よりは、生・援をあわせ持った居
的な空間秩序と、農家的なのどかさをあわせ持つ、﹁半士半農﹂の様相を呈し
れ、再奥には自活のための畑が広がり、背後は屋敷林で問う。すなわち武家
域生活の中核的存在であることは少な
観上の重要な役割を担っていたり、地
不確かな住宅、小展、底関などが、景
ある。しかし、保存物件以外の年代の
くない。
住文化を育む独自のまちづくりの必要性に帰着した。
とくに、調査の過程で再認識したのは、保存物件に比して莫大な量の、背
はじめ、庭や畑地、屋敷構えの生壊、
ず、あらゆる建築物合計約四O O件を
そこで、保存物件か否かにかかわら
と﹁保存物件以外の物件﹂に分けられ、制度上は前者が主役(古建築や石垣、
景となる家屋や屋外空間の存夜である。地区内の全ての要素は﹁保存物件﹂
十日木などて後者が脇役と理解される(新住宅、車庫、一般の庭木、側溝、道
屋敷林その他約ニ千本の樹木群にいた
[
雲
寺t
td1
絞後後 E
署
員s(
1946-1964)
[湾代f]平成類以鋒(1989-)
[
雲
寺
代 eJ
怒済成長潟(1965-1988)
その伝承に務めている。この場合、ブロック塀は、文化財行政上は脇役とさ
たせた﹁一円形道路﹂の形式がきちんと保存されており(写真 │ 2、 3)、家人も
ートである表小路の東端にあって、中央からの見通しのため笹かな油率をも
前と比較すると、ここがメインストリ
となった。しかし現地を訪れて二O年
のはブロック塀から議れ山山す木々のみ
く大切な生詔一を伐採し、往事を偲べる
し白
た指定前の道路拡幅の要請で、止むな
である。当家はすでに古家を改築、ま
その好例が、地区南西部にあるO家
与している事実が確認された。
の関係性﹂を表現し、歴一史的風致に寄
主にその配置などによって﹁資産同士
や石積み、樹木群(以下﹁環境資産﹂)が、
で、むしろ主役を取り巻く無名の家屋
役たる保存物件の数量は極めてわずか
らかにした(図 │2)*30 その結果、主
るまで、すべての要素を抽出・リスト
[
!
寺
代 cJ
昭和銭高t;l
翠(1吉 26-1吉4
5
)
ただ、ここで前者ばかりを重要視すると、後者は一般経済原聞にならった
(1912-1925)
露鐸 {
草
寺
代 bJ
大;間
写真一 2 弓形道路東端からの街路空間
(表小路 O家付近、 1
9
7
7王子)
3 弓形道路東端からの街路空間
(表小路 O家付近、 1
9
9
6年)
写
塁
審
路、電柱など)。
露 繍 {年代 aJ
務,密裏話以前(-1911
)
化し、一部は実測して、その構成を明
〔凡帝ij)
不動産市場にゆだねられるから、両者はまったく別の扱いを受ける可能性が
2 金ヶilI奇町域内諏訪小路地区の建物分布図
隠
←めづ令。
れるものの、文化財と連続性をもった何らかの存在価値が認められるべきで
急に会同した。出資者の募集に奔走し、経費・スケジュール・協力者などの
新たな使用者に提供し、再生活用するための﹁解体保管プロジェクト﹂を緊
である﹂と解釈すれば、文化財か否かというこ項対立図式を払拭することが
なもののみが歴史文化財とされており、住まいという観点からは等価に重要
ちで経年価値を深めているが、そのうち経年の過寝・出来が物現的に明らか
な架構は一体的に再現しつつ、必要な現代的機能を付加するようなデザイン
特徴がみつかった。このため、再生活用計画においては、できるかぎり主要
江戸期に仙台藩が奨励した煙車生産を継続してきたとみられる数々の架構的
実測調査を行なってみると、当家は現在も煙草農家であるが、復元により、
企画調整を行ない、事業体制を構築した。
できそうである。そして、どんな資産のどんな部分が、どのように﹁経年価
が望ましいと考え、その準備として、重要部材は文化財と同様に番付を付与
そこであの直感がよみがえる。つまり﹁全ての環境資産は、何らかのかた
値﹂を深めるのか、その事例考察こそがもっとも重要な課題であると考える
した(図
。
3)
ようになったのである。
る。ここでは茅下ろし(運ぴ)作業について、教育効果を考え学生を動員す
理化に配慮した。その一つが、解体に際して大量に発生する茅材の処理であ
一方その他の調査・解体処理は、部材の売却価格が膨れ上がらないよう合
﹁住まいの維持作業が愛着を生み、また愛着があるから維持をする﹂という
てきた愛着﹂に基づいた環境評価概念が存在している。とくに重要なのは、
る﹁茅下ろしワi ク シ ョ ッ プ ﹂ を 開 催 し 、 延 べ 悶O人でこ0ト ン 以 上 の 茅 材
加えて、 地 区 住 民 に と っ て は 、 冒 頭 で 述 べ た よ う な ﹁ 経 年 の な か で 育 ま れ
﹁循環性﹂である。敷地の広い同地区の場合、﹁草取り﹂を重視する意見が大
勢で、中には一年に千時間以上も草取りをしている古老がおられた。しかし
労務の辛さを訴える割には、その作業法から美学、そして先代からの庭への
愛着を切々と語る。その経験の深さを心底から向感するのは出難で、だから
こそ、愛着の深さもまた尋常ではないと感じさせられた。
こうして考えると、町並み保存という諜題は特殊なものではなく、サステ
イナブル社会の構築に向けた最前総の検討事例に他ならない。そして﹁経年
価値﹂は、その基礎概念として有用性をもっていると考えられる。
民家の再生活用からみた経年価値i l血統書作成の試み
町並み保存活動の一方で継続していた民家調査では、より実体的な事例に
遭通した。二O O四年一二月、岩手県大東町のS家(写真1
4) では、改築のた
め江戸期創建の書家を解体しようとしていた。たまたま調査に訪れた私は、
軸材の多くがまだ健全で、かつ佐藤巧らが昭和五三年に調査した同町の古家
に酷似していることから、その歴史文化的価値を確信した。そこで、これを
3 岩手県大東町 S家架橋函
図
岩手県大東町 S家外観
4
写真
♂とく惣築史・閥均文化史的"箔依を {
fし た 宅 資 で あ る , せ え えρ
?れ の 記 組 内 符
下況の
こり度終幻された給"は
1後げ;i'!¥ミJ.;Jt!貿l
'
I
'
J
W1
"H吟 27緑地〉
大東町!けし
物件名
を敷地内の堆肥量き場に運搬し、 地元紙
導入すると、継続活用の方向性を丁寧に整理することが可能になるといえる
ではないことがわかったのである。経年価値という概念と多面的な評価軸を
だろう。
の注目を集めた(写真一1
5)。
さてS氏は元々、改築家屋の一部に、
私が想定しているご体的な架構の再生
であり、文化財の場合は、報告書や建築史家のお墨付きが要る。そこで今回
生という正念場を迎える。資産価値の担保にはこれを評価する書面が不可欠
一連のプロジェクトは途上にあって、これから部材の提供・再
活用﹂と矛盾する恐れもあった。しかし
は、一連の事業プロセスと歴史的考察を報告書にまとめるとともに
ところで、
復元によれば、その部材は大正期の増築
学の専門家に﹁文化的価値評価書﹂の作成を依頼した(凶
古材を一一本ばかり再使用する計極があり、
時に挿入された部材で、創建当初の原形
統書付長家﹂である。
とっては、古材は等価に愛着 H経年価値
べき情報が多く、単に材を切り張りするだけの活用ではもったいない。構法
改変が多く部材群の経年価値に多様性があることなど、活用に際して伝承す
当家の場合、煙車農家であるため階高が高いこと、部材は楽材が多いこと、
4)。いわゆる﹁血
*4
、他大
部分とは無縁であった。つまり所有者に
が深いから、もっとも想いのある部材に
潔
長Fの勉援"打
,
"混成は
ないから、後者が適当だろう。
h
また﹁価値﹂には
﹂ζ では、経過してから
3
まる愛着や風合いは、確かに計測が容易でなく、すぐには役に立つとは限ら
前者で、﹁観念的なもの、大切なもの﹂が後者とされている。経年とともに深
︿︿包5 ﹀と︿君。吋同町﹀があり、一般に﹁計測可能なもの、役に立つもの﹂が
認知する時間が対象で為るから︿﹀ぬ包﹀であるべきだ
えている。 ﹁経年﹂そのものは︿﹀向山口ぬ﹀であるが、
ところで、 ﹁経年価値﹂の英訳としては、︿﹀山花門目当RF﹀がふさわしいと考
経年価値の通念化││醸成する儲値
域的に稲環活用する仕組みを構築することが、最終的な活動目標である。
活用されることに力点を置いている。血統書を引継ぎながら、環境資産を地
が、細部にわたる厳密な調査研究と再現よりは、資産が多くの使用者に継続
本事業の試みは、いわば簡易な文化財保存事業とも解釈可能かもしれない
ったのである。
的な継永活用を促すためには、報告書の編集と客観的な血統書は不可欠であ
白羽の矢をたてたものの、客観的な架構
全体の経年性からみれば、それが最重要
こ(1)1
でめ活
1
を路 4υ 近代にかけてげきを渓 完芝古る
る/
!
.
il
"だすでたく又としての{土民主誌を銭忽,さまた I
Q代に及ルて?も仏絞め右京が名く代って
e
仇ヮて湾堤文化が滋犠 3れたう当 2
幻意筏とむした寝技災矧ずる c
のは少なくえふ
1
U!に伊古る
ヌ 舛 悶i
l
l
J
、
梨 ミγ
訴鏡花
5 茅1
ごろしワークシ E ツプ風景
写真
留一一 4 素手県大東町 S~京の文化的価値評価審(血統警察)
ず成 1
1年 111311i
(治綾:アザず~室長唄!.i\.京/
ノヱらび i
:J
1
!J
忽 必 にP
えっ忍 ここにその文化的街終や必録守るとともに j,効には(,活 1
泊されることを切むものである。
向震後資五どの夜祭
私のような非力な立場ではなす術もないが、せめて出会った環境資産だけで
気づく気配をまったく見せないまま、環境資産をどんどん捨て去っている。
ただ、もちろん心蛇はある。仙台のような東京追従型都市だ。経年価値に
b
o図
15は、ある歴史的遺構の内
うか。ここでは一つの実験例を紹介する T
も、その経年価値を育むことに寄与できるようにと、具体的な活動に尽力し
ではこの概念は、永遠に一般性のない、観念的なお題呂に過ぎないのだろ
﹁どれが好きか﹂﹁どれに住みたいか﹂の二点について質問し、ニO代からふハ
観写真を加工して、経年量の異なる幽像を並べたウェブアンケートである。
mu
mlm頁、ニO O問年。
A
岩手県東磐井郡火東町佐藤家主屋保存活用
研究(その 1)﹂ 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集E 2、間 1 側支、二O O四年。
5 大 沼 正 克 ほ か 二 名 ﹁ 住 ま い の 吋 絞 年 価 値 ﹄ に つ い てi 地 域 住 環 境 の 経 年 評 価 に 関 す る
卒業相抑止口(前編ご私家版、ニO O五年。
4 大川正覚﹁環境資産の記録と再生活
報告集計尚系、
諏訪小路伝統的建造物群保存地区の持統方策に関する研究﹂日本建築学会東北支部研究
3 大沼正党ほか凶名﹁住的環境資産の基本的構成とその継続活用岩手間罰金ケ崎町城内
存対策調査報告書﹂金ケ崎町教育委員会、一九九七年。
2 伊藤邦明・舛附和夫編﹁旧仙台務市主口﹁金ヶ崎﹄城内諏訪小路地区伝統的建造物群保
研 究 科 隠 士 学 位 論 文 、 ニO O四年。
1 大出正党﹁地域住環境の絞年評側と継絞活用手法に間附する研究﹂東北大学大学院工学
︿参考文献・出典﹀
続していきたい。
ているつもりである。今後とも各方面からのご助言を賜りながら、活動を継
美味しいか否かだけであれば、浅漬けも
古漬けも美味い(価値が高い)。しかし風
味がより深いのは、醸成されているのは、
どちらか。あるいは、素材自体に埋め込
まれた土地性、風土性の味││経年価値
ーーーは、どちらが深いのか。
こうした点から身の回りの地域を観察
すると、実は貨幣経済的価値とは別の、
愛着と風合いが館成された素晴らしい住
環境が再発見できる。新しさを追い求め
る首都箇は、それはそれで魅力的だが、
経年価値という観点で眺めれば、東北を
はじめとした地域の豊かさに気づく。
大沼正寛/おおぬま・まさひろ
東北文化出子鴎大学科学技術学部環境計画工学
科助手。
一九七一一年、東京生まれ。九五年、東北大学
工学部材料加工学科、九七年、同建築学科を
卒業。那須建設側、伊藤都市建築研究所を経
て、九九年より現職。二OO四年一二月、東北
大川小大学続工学系研究科博士後期課程修了。
博士(工品千)。専門は建築設計、民家・地域住
環境の保存・再生。
大学在学中から約一 0年間にわたって、岩手
県金ケ崎町城内諏訪小路伝建地区の町並み保
谷に収り組み、阿波み保存引川 幽の策定、民家
符伎による保存管攻事務所の建設などに参師向。
羽夜は、日経年側値で満たされた東北のさまざ
まな地域建築・住環境を対象に、建築設計や
民家調査・再生卒業を実践している。
O代までの被験者四六名から国答を得た。
その結果、﹁好きか﹂に関しては新築後が一九名、二O年後はニO名、五O
年後が七名もおり、中古を好むものが過半を占めた。一方﹁住みたいか﹂に
間附しては新築後が二回名、ニO年 後 は 一 九 名 、 五O年後が一一一名もいて、風合
いへの好みは多様とはいえど、予想以上に古ぴを価値とみなす人びともいる
ようであった。
これは経年価値的概念が一般性を有している可能性があること、いいかえ
れば、﹁経年と価値の変化グラフは、経済的な経年減価曲線とは一致しない可
能性がある﹂ということにつながる。ただし、この﹁価値の増減﹂という考
え方について私は、価値が﹁古川い﹂と﹁深い﹂が、契なる次元にあるのでは
(左から新築後、 2
0年後、 5
0年後と仮定)
ないかと考えている。東北らしいモチーフを提示しよう。﹁漬け物﹂である。
図-5 住まいにおける風合いの好みに関するアンケート
必要な情報が得られる
ンス、リフォーム、解体などにおいては、情報マ
築ライフサイクルの川下フェ iズであるメンテナ
建築業界はさまざまな問題を抱えており、特に建
とはかなり疑問視される。翻って考えてみれば、
試みは多かれ少なかれ﹁サプライヤ!の論理﹂に
レピュ iを行なった。その結果、これらの研究、
私は、図ーーのような五つの研究、試みについて
究、試みが、この問題を解決しようとしてきた。
までもしばしば問題とされてきたので、多くの研
サプライヤiの論理で築かれている点
先日、我が家にまつわる建物情報を集めてみた。
ネジメント不足に起国すると思われる問題が数多
は、これらの﹁既存のアプローチ﹂があまり効果
ネジメント不足﹂の問題が依然として存在するの
幸い、我が家ではきちんとファイリングしており、
いて正しくマネジメントされているか、 とい、っこ
建築業界における情報マネジメントの不足は今
基づいて構築されていることがわかった。これら
与えられるがままの情報しか得られない
く存在する。このような背景から、建築情報のマ
議欝璽露
保存状態はいいが、実は肝心の竣工関商がないと
際 IC
5rグ研究会
よフェーズのロジステイクスで利用されるにタグをそのまま)11
下フェーズでも使っていこ
)
11
うというサプライヤーの思議にのっとっているため、利用方法に多くの課題が残っている。
の試みが行なわれているにもかかわらず、﹁情報マ
叡ハウスメーカ…らによる住宅性能保在/中古住宅貿取制度
情報をマネジメントして有効活用しようという獄みであるものの、「照い訊み l台い弓サブ弓
イヤ一報1の思議が大安いクローズドなシステム。
ネジメント不足を改診一閃するシステムの構築が必要
幽ファシリティマネジメント
f
t
l
lの翠門警察が管恕することによって、大規模
情報をゼネコンのFM部などのサプライヤー I
ピルにおける施設・機器の有効利用を目指したもの。
いうことが判明した。このように、非常に膨大で
塁審建築市議
建築情報のうち、思盟主£俊足度'"'-むβ宝飯会長主飯去最章、その二次的効巣としてユー
ザーにも便益を与えうるシステム。
だと考えた。
園 建 設 CALSIEC
公共工事を対象としたものであり、サプニライヤー閣の檎報マネジメントの効率化を目指し
たもの。
ある建築情報というものが、特に個人レベルにお
交渉力弱
すまいのテクノロジー
尚
毅
ユーザーの論理によるアプローチ
サプライヤーの論理によるアプローチ
﹁住まいの盛統書﹂
2 サプライヤーの論理とユーザーの論理の本質的な違い
図
1 情報マネジメントシステムに関する既往の研究・試み
図
を可能にする
構報マネジメント
J
I
(
システムの構
日
既存の情報マネジメントの問題点は
A
建物オーナー
f
曹綴閲覧者
4
宵撃霊隠覧者
サプライヤ一塁手
サプライヤー若手
銀鱗メーカー
ハウスメーカー
工務 1
苫
E
宣告韓メーカー
ハウスメーカー
工務廃
メンテナンス禁容
メンテナンス議書雪
解体主義者
解体象者
に情報マネジメント不足の問題を解決しようとす
を挙げていないことを意味する。したがって、真
ーナ!とは情報管理委託契約を結ぴ、 情 報 会 管 理
を管理する(次べ│ジ、図16参照)。同時に、 建物オ
てアクセスするためのウェブペ i ジ ﹁
宮
可
代わりに、 分 散 管 理 さ れ た デ ー タ ベ ー ス に 一 括 し
関係を希薄にし、 オ ー ナ ー と の 関 係 を 強 化 す る こ
する役割を担、っ。 このように、 サ プ ラ イ ヤ ! と の
﹂
るならば、既存のアプローチとは異なる﹁新しい
ローチ﹂を行なう必要がある。では、サプライヤ
とで、
E
m
o
アプローチ﹂として、﹁ユ i ザi の 論 理 に よ る ア プ
ーの論理とユ i ザi の 論 理 の 本 質 的 な 遠 い と は 何
理
室
に宍
5Z
よm
さを
4ス
え
了
J
レ
よ
る。一不すように現状ではサプライヤ!と建物オー
ナーや情報閲覧者の関係性は切れており、情報を
14は 既 存 の 情 報 マ ネ
有効活用できていない。閤
ジメントシステムの概念図である。示すように、
データベースを設け、そこに全ての建物情報を格
管理委託契約を結ぶことで、 適切な情報の量、質、
テム﹂ の概要である。本システムにおいて、 シス
17が 情 報 の 最 を 管 理 す る ﹁ リ ン ク 管 理 シ ス
図
}﹁リンク切れ﹂や﹁リンク漏れ﹂を訪ぎ、
種情報の量を管理する﹁リンク管理システム﹂
セキュリティを管理する。
は建物情報に関するデータベースを保有しない。
デl 夕べ i ス の 形 を と っ て お り 、 シ ス テ ム 管 理 者
ムの概念闘である。本情報システムは分散管理型
それに対し、図
15が 本 情 報 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ
納して情報の有効活用を図ろうというものである。
建物オーナーと情報
なのか。それは関
12に 示 す よ う に 、 情 報 を マ ネ
ジメントする者、構報システムを運営する者がユ
ー ザ ー サ イ ド に 立 っ て い る か サ プ ラ イ ヤi サイド
に立っているか、である。以上から、今国、ユi
ザl の 論 理 に 基 づ き 、 新 し い 情 報 マ ネ ジ メ ン ト シ
ステムを構築した。なお、本システムの技術的な
ゐ理
)
。
側面は特許を出願中である(特願 8845ωN叶
る品乙
国ー 3は 現 状 の 情 報 マ ネ ジ メ ン ト の 概 念 図 で あ
γ管
既存の多くの研究、試みは図のような集中管理型
5 新しい情報マネジメントシステムの概婆
図
ユ4
L最
投資家
リフォーム象者
建物オーナー
投資家
リフォーム禁容
現状の情報マネジメント
3
関
警報マネジメントシステム
4 既往の f
図
一 問 問 叩 由 開 制
陣取齢ldZ全土笈翠
T
自責毅閲覧数百1 金議議塁塁み社 (20 日間t,,,2,朗~LUラ
ヲ聞 5
!
1i
1
帯留を審理シス干ム f
J¥h由討製自らサ
設童書磁器品廃盤こついてのお知らせ (y社
)
.
,
,2
0
1
l
4
!1
2
J2
0
8
1
;
.
ト号外
漏れが発見された場合にはシステム管理者に通知
してもらう、というダブルチェックを設け、リン
ク捕れのリスクを低減する。﹁リンク切れ﹂とは、
情報閲覧者
サ プ ラ イ ヤl が 倒 産 な ど の や む を 得 な い 理 由 で 自
れに対しては、システム管理者が自身の管理する
引
白
サプライヤ…サーバー君事
サプライヤーサーバー若手
身の建物情報を管理できなくなる事態を指す。こ
ストックデl 夕べi スに情報を引き上げることで、
情報の散逸を紡ぐ。これについては、将来的にホ
ームサーバーが普及した際には、そちらに情報を
引き上げることも可能である。
曜セキュリティを強化
3情報閲覧許可システムの工夫によって
図
iBが 情 報 の セ キ ュ リ テ ィ を 管 理 す る ﹁ パ ー
ミッション変更型情報閲覧システム﹂の概要であ
る。情報のセキュリティは、システム管理者が情
報アクセスに対するパーミッションを管理するこ
とによって守られる。建物オーナーは、あらかじ
このため、情報を閲覧する者は、パーミッション
ン変更は、まず情報閲覧者が﹁情報閲覧請求﹂を
行ない、これを受けたシステム管理者は、建物オ
変更を行なってもらう必要がある。パーミッショ
態を指す。これに対しては、﹁リンク情報提供義
ーナーに情報開覧請求を転送する。転送されてき
とは、新築時やリフォーム、メンテナンス時に、
務﹂をサプライヤl に認すとともに、﹁冨出、出品ぬ﹂
た情報に基づき、建物オーナーは陪覧を許可する
かどうかを決定する。もし、許可されたならば、
と い う 手 軽 な 管 理 ツi ル に よ っ て 建 物 オ ー ナ ー に
生成された情報へのリンクが管理し損なわれる事
﹁リンク切れ﹂という事態である。﹁リンク漏れ﹂
め全ての建物情報にアクセスするパーミッション
詩俊博摂ロメシ手十シス臨時田お知弘サ c
r
t
t
) ラ 師 引 19
テム管理者はあらかじめサプライヤーによって提
鍾議議
設定になっている。これに対し、建物オーナー以
盤箆遜~
供されたサ!パ i へ の ア ク セ ス 情 報 を 、 自 ら の デ
日完走=""足 ~5":J:;ζ兵庫し込み
殴猿ま宗主日ぷ立!.Jl泣i
外の情報開覧者は、初期状態では一切建物情報に
意遊景品約討立l
史設i
ータベースに格納し、適宜﹁冨可匂位向。﹂へと出力
義援ヨニポ旦盟L込金
アクセスできないパーミッションとなっている。
念盈祭鋒銭議蕊翠
草旦玉三担比芝悠総
する。この際、懸念されるのが﹁リンク漏れ﹂や
議怒王手担比立包装i
もリンク漏れをチェックしてもらい、もしリンク
投資家
リフォーム祭者
メンテナンス業者
解体業者
建物オーナー
建物オーナー
工務j
苫
録瀦メーカー
ハウスメーカー
モニ聖リングサービス業者
段備メーカー
ハウスメー力ー
エ務腐
モニ聖リングサービス業者
情報隠覧許可
リンク管理システム
箆 -7
8 パーミッション変更型情報関覧システム
図
B 情報マネジメントツール rMyPageJ の箇箇
函
ッションを変更してもらうことによって、リフォ
とができる。たとえば、リフォーム業者はパーミ
者はパーミッションで許可された情報のみ得るこ
れる。パ iミッションが変更されると、情報閲覧
システム管理者によってパーミッションが変更さ
その﹁情報閲覧許可﹂はシステム管理者に送られ、
不正をしてしまった場合の信用を失うリスクが増
なかった場合の﹁システムからの駆逐リスク﹂や、
ため、サプライヤ lはシステムの取り決めを守ら
う立場からの経験も豊富であるからである。この
な交渉力が強いのに加え、情報管理の専門家とい
のオlナiから情報管理を委託されており、数的
的に向上する。なぜなら、システム管理者は多く
社会的な便益としては、建物の長寿命化や廃棄物
性やユーザーとの紐付けなどのメリットがある。
え、情報化によるさまざまな新規ビジネスの可能
できることが一義的なメリットである。それに加
イヤl にとっては、子一民りなどの諸コストを削減
益も受けられるようになる可能性がある。サプラ
て、自ら情報マネジメントを行なうことによる便
らなる投資を呼び込むことを想定するならば、上
る。建築業界で不動産の証券化などをとおしてさ
第二段階として、﹁情報監査システム﹂を導入す
盟百﹂となり、リアルなものの情報マネジメント
司認め﹂はモノと情報をつなぐ﹁匂ユ︿EO
できる。その意味で、本システムにおける﹁宮可
る情報のマネジメントツ i ルに発展させることが
適正処現の促進など環境的なもの、また建築業界
このように、アクセスできる情報というのは業麓
場企業の監査法人のような監査システムが必要で
を格段に向上させる可能性がある。それはちょう
大する。このようにして、システム管理者はサプ
ームに必要なパスユニットの詳細図などを子に入
によってあらかじめ決められているため、建物に
ある。すなわち、本システムに参加するサプライ
ど
、 Jpycoなどのポiタルサイトがヴァ lチャル
れることができる。それに対し、投資家のような
関する知識の乏しい建物オーナーの情報もセキュ
ヤlは第三者の監査法人によって自らの情報の質
な世界の情報マネジメントを格段に向上させたこ
の本質的競争の促進などがある。さらに、本シス
リティが維持されながら有効活用される。
を保証することを義務づけられる。そしてシステ
とと同じである。
ライヤ i にあるレベルの情報の質を保証させるこ
最後に、情報の質を保つ仕組みについて述べる。
ム管理者はサプライヤ iと監査法人の監視をする
現在、本システムを現実の社会で運営していく
情報閲覧者は、投資判断に必要な改修履瞭などの
第一段階として、﹁交渉力を利用したシステム﹂
ことで、投資家に対する情報の質を保証する。こ
スキl ムを検討中である。最大の問題はシステム
テムは家電や車など、住環境を中心としたあらゆ
を導入する。現状では、建物オlナiとサプライ
のようなシステムを構築することで、投資家は情
の運営コストであるが、本システムに参加するこ
とができる。
ヤlは一対一の契約関係であるのに加え、建物オ
報自体を信頼し、建物の本質的な価値に対して投
とでコスト削減のメリットが受けられるプレイヤ
情報のみを得られるパーミッションに変更される。
ーナーは通常建物に関する知識が乏しいため、サ
資を行なうことができるようになる。
I
f
t
ミ
保内
を強
つ
*
質を
たがって、情報の質を要求できるだけの交渉力の
報母、
の力
本システムが実現した際に期待される効果はさ
i
育
室
強さがなかったり、そもそも情報の質の重要性に
り
勢
まざまである。建物オーナーにとっては、建物価
,~る
気付いていないため情報の質を要求しようとすら
ま
'
i
i
'
f
値が向上するとともに、今まで抱えていたさまざ
rす
しなかったりする。これに対し、本システムが軌
支j
道に乗り、多くのユーザーが利用するようになる
!
f
i
.
え
j pモルガン投資銀行部門アナリスト。
二O O三年、来京大学工学部建築学科卒業。
二O O五年、間大学院修士課程修了。二O O
五年四月より現職。
Amw
川尚毅/あいかわ・なおき
収できると考えている。
ーによる負担に加え、広告収入などでコストを股
句。吋片山]
プライヤl に対する交渉力が弱くなっている。し
主ネヤ
まなリスクが抵減できる。さらに、﹁宗可P結合と
f
J
。
サ
いう簡易なマネジメントツ l ルを使うことによっ
報今
ことを想定すれば、建物オーナーの交渉力は飛躍
@
特集②家援護・血統繋
でなく、建物、街そのものを継承しろ、保存しろ、
古い建物や街のよさを掘り起こし、記憶ばかり
は目に見えている。しかも足介なことに、建築史
ど、しがない大学教員にとって不可能であること
上、ある程度広く、上質の住まいを建てることな
る東京で、満足する大きさの土地を購入し、その
なかったことだ。土地の健段が異常に高騰してい
に存在した、唯一採用可能な妥協策の結果でしか
みたいという欲求と手持ち資金との折り合いの上
リングに共感したというよりも、やや広い家に住
の中古住宅を購入した理由は、住まいのリサイク
さらに重ねて罪を告白するならば、 こ の 象 の 家
ふJ d J J
、
三
時
つ
有
一
。
れがある住宅賞をとったことで悦にいっていたの
K S住 居 を 、 友 人 の 建 築 家 に つ く っ て も ら い 、 そ
い 住 ま い を 取 り 壊 し 、 ガ ル パ ニ ウ ム 張 り の DIN
住もうなどという気持ちはきらきらなかった。古
世も人生もバブルであったから、古臭い住まいに
や街の保存や再生に、なんら共惑をもってはいず、
ぴかぴかの住まいを新築したその頃、ぽくは建物
非難できる立場にあったわけではない。もっとも、
した住まいを建てた経験があって、他人ばかりを
るし、ぼく自身、十数年前には、新築のぴかびか
時に、現代建築への批評的視線を持つべきではあ
でも、建築史家というものは、過去への擁護と同
自己撞義的態度に意見がなかったわけではない。
を建てたことを喧伝する、多くの建築史家たちの
と声高に主張しながら、一方では真新しい住まい
私のすまいろん
切'也、,日頁写真一//浅川
紋
﹁公共資産としての住まい﹂
という文化は可能か?
1 1建築史からの視点
PB唱
E
由
出I
しまうという比喰に由来するものであった。
インテナンスを続けないと、象、いや家は死んで
のように大きく、しかも、象を飼うように日々メ
一見奇妙なその本のタイトルは、家そのものが象
O四年)で詳しく記している。﹁象を飼う﹂という
拙著﹃象を飼う中古住宅に住む法三日間文社、二 O
それやこれやの住み着くまでのやや長めの顛末は、
それを乗り切って、やっと購入にまで持ち込んだ。
に、偶然出会い、裁判ざたになりながら果敢にも
一九八二年に竣工した国分寺のハケに建つこの家
家﹂に住み着いたのは、三年ほど前のことだった。
故・林雅子さんが設計した﹁ギャラリーを持つ
象を飼う、 その顛末記
村
松
ギャラリーを持つ家として建てられ、象徴的なその広い玄関のポーチ下から町並みをみる。
凶 d
h
AHU
ぴのような状態であったのだ。
い比除でニ一一向うならば、さしずめ、﹁負け犬﹂の婿選
建物を見る眼だけは肥えてしまっている。品の惑
という職業として多数の建物を見てきていたから、
ムl ズにはいかず、 開いたまま、 閉まったままの
こちに吹き出している。窓やドア、 一扉の開閉はス
が無数に入り、白い粉が不気味さを漂わせてあち
ならぬ。 打 ち 放 し の コ ン ク リ ー ト に は 小 さ な ヒ ビ
内気候がつくれるのであろうけれど、 それもまま
らある。だからこそ、ぶつくさ言いながら転居も
数は少ないものの、大きな素晴らしさも当然なが
でも同時に、いや欠点を補いさらにそれ以上に、
でもずっと続けることができる。
うに大きな住まいでは、途切れることなくいつま
つまりは金に飽かせるのではなく、足で歩いて
せず、あいかわらず、この象の家に居座り統けて
よって多くの質の高い住まいが建てられ、バブル
るこちら側にとって幸いだったことは、バブルに
ひとびとの人生をも狂わせた。だが、精選びをす
バブルも終需した。バブルとその終嵩は、多くの
くの人生のバブルが終わると同時に、東京の狂乱
土地を買うと住まいがただ同様に取得できる。ぼ
あってなきが如くで、グリコのおまけのように、
するほどの経済的な余裕はなく、それらは地階に
それを収容する書斎はできていない。計一回棚を製作
産といえるほくの書籍は、日々増殖はするものの、
ほとんど部屋は使い物になっていない。唯一の資
熟さから、この地階の湿気は十分に除去できず、
はやぶ蚊が無数に発生する。建設当時の技術の未
だが、そのために地階には太陽が当たらず、夏に
前回は南側の隣家の所有林に向かって開けている。
階、地下一階。地下は背面だけが地面に埋まり、
が可能となる。
吸すると、社一の煩わしさからしばし脱け出すこと
のだけれど、その場所で天空を見上げながら涼呼
自分が一体になる。近頃は、ヨガを実践している
ると、きざな言い方かも知れないけれど、地球と
りが、リビングの大きな窓を通して目に入ってく
ても、心が休まっている。四季、天気の移り変わ
虚無の空間があるからこそ、どんなに雑然となっ
変えがたい。一階の何もない空間の静寂さ。この
の広さとそこから見える風景。それらは、何にも
いるのである。たとえばそれは、ニ階のリビング
筒所がいくつもいくつもある。
要求に合致した中古住宅を探すほかはなかった。
の終潟によってそれらが一斉に売りに出されたこ
山積みとなり温気を殴ってぶくぶくと膨らみ、さ
住宅は関分寺段丘の斜面に建っていて、地上二
とであった。﹁ギャラリーを持つ家﹂はバブルによ
らにカどで臼く変質してきでいる。
東京ではよく知られるように、建物本体の値段は
って誕生し、バブルの終誌によってその余波を受
なのだが、つまるところ、購入に持っているすべ
削季の変化、天気の流れを実感すると言えば風流
夏は暑いし、冬は袋、ぃ。隔が降れは、一山が漏る。
比例して出来してくる。ノパトなどの鳥類は透明
しさなど、不具合はそれらの植物の成長の早さに
らばいいのだけれど、無数の落ち葉、日位、見苦
生えている草木は日々成長をとげて、それだけな
は自分で貼るのには一大労苦であるし、外構部に
て、掃除はもちろん大仕ふやとなる。大平一自の郁子
部屋数は多くはないが、ひとつひとつが広すぎ
ているけれど、自分自身の成長の過程で体験的に
をしたと郷捻され、時機便乗的な態度と非難され
的な態度を知っている知人たちからは、宗旨変え
くの、保存に対する素っ気ないあるいはやや反抗
うという気持ちが湧き上がってきている。北日のぽ
活ばかりでなく、学問としてやや真剣に取り組も
数年、古い建物や街並みの再利用について、実生
ると一一一日うことができるだろう。それ故にか、ここ
を合算してみるならば、大きくプラスに傾いてい
ぽくの購入したこの中古住宅のプラスマイナス
けたオーナーが破産し、売りに出され、そして、
ての資金を投入し尽くしてしまったのである。設
ガラスを大宗と勘違いして激突し、その墓作りだ
象の家に変わったのであった。
備やメインテナンスに十分経費をかけられず、そ
けでもけつこうな労力となる。と、弱音を吐く対
中古住宅のプラスマイナス
の結果、外界の自然の動きが屋内に直接反映する。
象に関して楼々述べていいのならば、 この象のよ
住まいの再利用擁護者へと変貌してきたのである。
床暖房や巨大なエアコンがあれば、常時快適な室
象の家を探し出すまでに、いい物件を求めてぽ
ぶ文化であることから、建て替えることによって、
建設できる。さらに日本文化は回帰的時間観を尊
るし、労働力も安価で大工の技術が高く、簡単に
る日本では、建て替えることの方が安上がりであ
継承する文化でないこと。もともと潤沢な木があ
探しては、移っているのである。
ている。そして、それは新築ではなく、中古住宅を
も、それは何度となく、東京のあちこちを移動し
イギリスから帰国後、作家として認められてから
る。熊本へ赴任した留学前の若い頃だけでなく、
住まいの再利用を妨げる日本の文化
この街には質の高い住まいが思ったよりも多く存
くは槌分と国立や国分寺の街を歩き遡ったものだ。
O年、世代で一一一一問えば二世代から一一一世代が経過して
い敷地で区画された計画都市のひとつである。八
災後に建設された国立の街は、東京でも珍しく広
重要な役割のひとつと見なされる。また、八百万
社会では、家を新築することが家長としての最も
とはめったにない。そして、この農村的家父長的
っていて、ひとびとは一度定住したら流動するこ
それに加えて、農村的体震が都市でも色濃く残
をいまだ十全には解いていない。
まい、東京の住まいがリサイクリングされぬ理由
ひとりの明治の文豪の人生で簡単に反駁されてし
つまり、ここで並べたてた日本の文化的要素は、
くとも戦前までの、東京の通常風景であったろう。
その他も、明治、大正、いや、もっと後まで少な
おそらくこれは激芯ばかりではなく、鶴外も、
いるものの、初期に建設された大振りの敷地と住
の神を信じるアニミズムの世界に生きる日本人に
精神、生活、家族に新鮮さをもたらしてくれる。
まいはまだまだ残っている。あるいは戦後立川の
とって、長い時聞が経過したものには、石、樹木、
在していた。よく探せばいくつもある。関東大震
米軍基地の将校用に建てられた和洋折衷の高級借
だが、大きな敷地、上質の住まいも、少し見ぬ
る。したがって、家は古くなればなるほど、さま
そして、家であっても、霊がとり滋くと考えられ
だとするならば、一体何故、東京の住まいはう
やおろず
家なども魅力な物件であった。
間に壊され、土地はずたずたに切り刻まれて、小
ざまな霊に滋かれ、それを知っている日本人は極
﹁公共資産としての住まいい という
文化は可能か?
さな小さな貧しい家々に変わっていく姿をあちこ
まくリサイクルされないでいるのだろうか。おそ
らくこれは戦後のある特珠な時空間に誕生した特
力、見知らぬのいる古い家を忌避するのである。
でも、こんな理由はやっぱり、
殊な状況だとぽくは考えている。農地が解放され、
わからなく、憶測に過ぎないが)からだろう。つ
外国人への初歩的解説によくある
まい。近頃、ぽくは夏目散石に凝
まりは、すべての日本人が平等の権利と義務を有
華族はなくなり、しかも、高率の相続税が厳格に
っていて、彼自信の著作ばかりで
するという民主主義の出現によって、戦前の不平
ような思い付きに過ぎず、日本人
なく、江藤淳の出世作﹃激芯とそ
等社会には存在していた、上質の住まいのリサイ
いつからのものかは、これを書いている時点では
の時代﹄を日々の愛読書としてい
クリング・システムはうまく立ち行かなくなった
施行された(もっとも、不勉強で現在の相続税が
るのであるが、その中で激石が何
のだと、 推測する。
が古い住まいを嫌っていることを
度も転崩しているのには驚かされ
全面的に証明することはできはし
ちで目にし、その度に心が引き裂かれるようであ
った。日本の、あるいは、東京に
限定してもよいけれど、上質の住
まいが再利用されないで、スクラ
ップアンドビルドの犠牲となって
に取り壊される姿を多数見ながら、
しまう理由を、住まいが突如無残
ぼくはよく考えたものだ。この開
題に関していまだ素人ではあるも
のの、思いつきだけでも以下のよ
うにいくつかすぐさま列挙できる。
日本の文化はそもそも住まいを
国立の田7を望むことができる 2階南側のバルコニー。
孫の代でなくなってしまう悪名高い高税率の相
続システムも、富の不均衡を是正してくれる点で
は賞賛すべきものだ。両親から受け取る遺産はま
だ大目に見ても、孫までも能力とは別に単にそこ
に生まれただけで多大の資産を継承できるという
社会システムは、不健康きわまりないという論理
である。東京への人口圧力は、大きな敷地を縮切
れにし、邸宅を切り刻み、小さな家で東京を埋め
つくした。しかし、それによって日本は民主主義
が成長し、さらに高度成長を成し遂げることがで
きたのである。
明治から大正にかけて、激石が転々と上質の住
まいを容易に転居できたのは、江戸から明治への
社会の大転換があったからだ。それまでの身分制
度がちゃらになり、新しい上層階級が誕生した。
そして、学士さまの数はきわめて少数で、彼らは
皆の縁側。段丘の斜箇の下の家の雑木林と一体になっている。
の上質の住まいがあったのだ。もちろん、激石は
は、流動する特権的階層とそれを受け入れるだけ
からだけでなく、平等社会が崩れつつあるという
には、土地の高騰や資源の浪費への批判的眼差し
高い住まいの流通が問題祝されるようになったの
確かに、ウサギ小屋だとフランス人から捕検さ
社会現象の先取りであり、さらにそれが是認され
れた臼本のひとつひとつの住まいは次第に上質と
特権階級に属していた。一方、大多数の庶民は庶
戦後民主主義は、この少数の特権時級から上質
つつあることの証左ではあるまいかと、ぼくは考
の住まいとそのリサイクリング・システムを奪い、
なり、いちいち取り壊さなくても再利用できる可
民で、彼らは質の惑い住まいをあちこちと流動し、
代わりに大量の庶民に住まいをあてがい、彼らの
能性は広がってきた。だが、一方でそれが階層化
えている。
流浪のような流動を止めたのだった。こうして見
社会をより強固にする危険性も卒んでいる。日本
そのふたつのサイクルは滅多に交わることはなか
ると、現在、ふたたび、中古住宅、しかも、質の
っただろう。
日本全国を官吏として流動したのである。そこに
'
l
開け放した地下
人が憧れるアメリカのガーデンシティ、プリンス
トンでこの稿を書いているのであるが、決してア
メリカの住まいの流通システムがすべてのひとび
とに開かれている理想の制度でないことはすぐわ
かり、それが未来の階層化社会日本とダブって見
えるのである。
建築史家の役割は、過去の都市や建物への擁護
だけでなく、現在の建築、都市の動向を批評すべ
きだと先に書いた。しかし、同時にもうひとつ、
建築や都市を越えてひとびとの生活、社会のあり
方に対する確固とした倫理観を有しつつ、時とし
て暴走しがちな科学や技術を抑制する役割がある
のだと思う。中古住宅のリサイクリングが建築学
という科学や技術の暴走でないと、もちろん、ぼ
くは信じているのだが。
村松仲/むらまつ・しん
東京大学生成技術研究所助教授。
一九七八年、東京大学工学部建築学科卒業。
同大学院工学系研究科博士課程(建築学専
攻)満期退学。工学博士。一九八一年 l八四
年、中国治事大学建築学科へ岡田学。韓国国立
ソウル大学客員研究員、米国ハーバード大学
中骨員研究員などを経て現職。アジア都市・建
築・空間史、アジア近代建築および町並みの
保存と再生などを専門領域とする。主な著書
に、吋上海j都市と建築﹄(パルコ出版)、﹃ア
ジアンスタイル一七人のアジア建築家た
ち﹂(筑摩書一放)、時中華中毒中図的空間の解
剖学﹄(ちくま学芸文庫、第一五郎間大平正芳賞
受賞)、ほか多数がある。本総に記された故・
林雅子氏設計の中台住宅の取得からそこでの
生活を綴った﹃象を飼うi中古住宅で暮らす
法﹄は日間文社から。
横浜都市発展記念却は、今年でオーブン一一
ます。
リ口から、 都 市 の 歴 史 を た ど る 構 成 に な っ て い
都市計的や建築・土水、 交 通 な ど さ ま ざ ま な 切
八⋮年)に収録された椀勇良氏によるモノグラフ
正・昭和︺印日本のモダニズム﹄(三省堂、
藤於菟研究の到達点といえますが、その基礎と
が、巻末の詳細な年譜とあわせて現時点での遠
一九
討を迎える新しい博物館です。名前のとおり、
が、﹁都市﹂という名を冠した博物館としては、
横 浜 の 都 市 形 成 史 を テl マ と し た 展 示 施 設 で す
なった資料が、ここで紹介する﹁遠藤於菟旧蔵
なとみらい線が開通したことで、一米京からの交
昨年、横浜と一川町・山中務総とを結ぶ地下鉄み
同紹介する﹁遠藤於菟山政建築資料﹂です。常
建築関係の資料として目玉ともいえるのが、 A-
娘瓦や瓦などの造物類まで多岐にわたりますが、
地問、文書などの紙資料から、市内で出土した
とも注目を集めるであろう川建築写真帖と∞三
の他建築関岡、からなります。この中から、もっ
古屋支応関係資料、同明治大学関係資料、山間そ
・雑誌、
当館で収集している資料は、十日写真や絵葉書、
通の使はますます品くなりました。終点の元町
設間以示で遠藤於荒と鉄筋コンクリート建築につ
井物産横浜支応関係資料について、筒燃に紹介
建築資料﹂です。
・中華街釈のひとつ手前﹁日本大通り﹂駅で下
いて取り上げたことがきっかけで、遠藤家から
日本最初の全鉄筋コンクリートオフィスコニ
れる建築の写真を台紙に貼りつけて綴じたもの
川建築写真帖は、遠藤於菟が関わったと忠わ
ω一一一井物産横浜支活関係資料、凶同名
資料は大きく分けて、川建築写真帖、凶図書
車すれば、もう真上が当館の建物です。雨の日
横浜市に対して資料寄贈の申し出があり、当鉛
しておきましょう。
横浜の歩みを、その版型が形成された昭和戦前
井物産横浜支応﹂の設計者として知られる建築
おと
でも濡れずに展示室に夜行できる、そのアクセ
で保仔活用することとなったものです。
期を小心に、﹁都市形成﹂﹁市民のくらし﹂﹁ヨコ
です。貼付写真は三五O枚 以 上 に お よ び 、 ア ー
資料
間三井物産横浜支信関係資料は、仕様書・見
重な記録です。
時のR C造 建 築 の 施 工 の 実 捺 を 知 る う え で も 貴
現場を撮影した写真が多数収録されており、当
の写真帖に貼付されています。また、建設やの
られている三井物産横浜支庄の竣工写真も、こ
からたどることができます。建築雑誌でよく知
まで、遠藤於菟の作品年誕の大半をこの写真帖
もっ大正・昭和戦前期のオフィスピルにいたる
建 築 か ら 、 柱 梁 を 強 調 し たR C造 独 自 の 表 現 を
家・遠藤於菟については、あらためて紹介する
三井物農機浜支庖(建築写 nl~IJi より)
ハマ文化﹂の三つの側面から紹介しています。
常設展示では、開港期から現在にいたる都市
スの良さは当館の売りになっています。
おそらく全国唯一なのではないでしょうか。
*
ル・ヌ i ヴォl様 式 を 採 用 し た 明 治 後 期 の 商 業
領収塁審
(三井物産横浜支
版関係資料より)
までもないでしょう。吋日本の建築{明治・大
青木祐介
なかでも﹁都市形成﹂は股示の大きな柱であり、
蔵書探訪・蔵書自糧
伊
粟
積書などの文書類と図面類からなる設計資料で
および札幌の今井高底(現・丸井今井)など計八四
東忠太との共同設計による納骨堂のほか、小樽
ちに増築された倉庫の工事仕様書など全二二点
建築のほとんどが残っていない現在、建築家・
以上、いずれの資料も、遠藤於菟設計による
新築要領、行程表、報酬金調書などのほか、の
からなります。また罰部類は、各階の配筋図や
遠藤於菟の実像に迫るための貴重な記録といえ
記念館紀要﹄第一号(二 O O五年一一一月刊)に資料目
断面国など青焼図面が六点、それ以外に窓の詳
残念ながら、現存資料は設計図書のなかのほ
録を掲載しておりますので、そちらをご覧いた
ます。一件ごとの資料の詳細は、﹃横浜都市発展
んの一部で、資料点数としても少ないものです
で 、 一 八 八0 年 代 か ら ⋮ 九 二0 年 代 に か け て の
と歴史財団が運営している横浜開港資料館(横
設計資料について、当館と同じ閥横浜市ふるさ
が多いと忠われる
ω建 築 写 真 粘 お よ ぴ 附l附の
覧周のスペースがないため、とくに利用の機会
また資料の公開にあたっては、当館に資料開
だきたいと思います。
ωは建築・美術関係の図書・雑誌
洋書を中心に全ニ四点。同仰はそれぞれ三井物
浜市中区日本大通 3)の 閲 覧 室 に て 複 製 を 公 開 い
そのほか、
であることには変わりありません。
浜支庄の建築の一端がわかる点で、貴重な資料
が、遠藤於菟の代表作といってよい三井物産横
細図などが八点あります。
*
す。文書類は、遠藤於菟と共同設計者である酒
遠藤於菟田
点の原図からなります。
横浜都市発展記念館所蔵
井祐之助との罰で交わされた契約書や、建物の
5
産名古屋支応、明治大学の設計資料。附は、伊
たします。その他の利用については、当館に直
当館では、今後も横浜の建築・都市に関する
接お問い合わせください。
⋮校史資料の収集・公開を行なっていきます。新
著資料や企画展示などの情報は、その都度ホー
ムベ l ジ お よ び 広 報 誌 ﹃ ハ マ 発Z命名己2ZE(年
二郎発行)で紹介していますので、併せてご覧く
ださい。
青木祐介/あおき・ゅうすけ
機浜都市発燦記念山防総資研究員。
一九九七年、東京大学大学院工学系研究科建
築常専攻・修士課程修了。日本近代建築ー史専
uでみる﹁都市横浜﹂のあゆみ﹄
攻。著書に、﹃ n
ぷ帆浜・長崎教会建築史紀行﹂(ともに横浜都
市発展記念鮫)、 Jt⋮五円只の仕事い(山石田舎続)
など。いずれも共著。
@横浜都市発展記念館
一寸矧!削横浜市中区日本大通ロ
近話一 045I66312424
E
Y尽き円一々・可crcF出向己と立
ZG一と若君者-
三井物産機浜支局断面図
(三井物産横浜支}占,
r
)
!
1
係資料より)
住総研図書室だより
プランが用意されていたものの段階的
な供給が選択された(写真
ii)。
大波紋な集合住宅問地の往て替えの
タウン:::なかでも環境に忠まれた猟
な緑が、たくみに部和する千思ニュー
起伏にそって、近代的な住宅群と豊か
ソトとして、廊下をはさみながら予磁
るコンセプトは、二位一戸を一つのユニ
られた *30第一期から第一一一刻に通底す
棟とコ一刻にわたって約二六O 一戸がつく
のうち駐車場を持つ人ぴとで構成され
が
、 D 4、D 5、D 6、D 7棟 居 住 者
に加え駐車場は、今日では考えにくい
に分かれていることを意味する。これ
有が一括ではない、すなわち開発単位
であるD 3、D 4、D 5、D 6 ・D 7
かつくる﹁集落﹂││空間に臆された秩序
際、しばしばこれまでの文脈とは切り
測なマンション︿メゾン千旦﹀で、す
三期に及ぶ段階的な開発は、土地所
2 関かれた計閉じられない伎環境
縦して間開発されるその風景にはやりき
るパーキング自治会の所有である。外
はじめに
れなさを感じるが、それは非常に単純
しくすることである。したがって、各
的に版行させ、すべての住戸側値を等
大阪万博が問問山附された一九七O年 前
である。 D 4 ・D 5僚 は 七 階 建 て の ス
僚の違いは断而構成のバリエーション
い権利関係の線が複雑に入り、五つの
ぶ集合住宅陸地なのであるが、見えな
せる臼に統一された五つの棟が建ち並
見上は、七0 年 代 モ ダ ニ ズ ム を 感 じ さ
*2
から抜粋)
後に、︿メゾン千思﹀は山中央地区センタ
ーター二基の七階建て片廊下型(第三
キップフロアプラン、 D 6煉はエレベ
(第二期の販売案内
ばらしいご家庭をお築きください﹂。
ー東側問に隣接する近隣住区において、
化された土地の権利関係が顕現してい
に簡単に怨て替えられてしまうという
るともいえる。そして、その単純さ放
南北に横たわるように後設された。こ
F
Mh叫んψ
ス道路によってのみ結ばれている。別
入口こか所を両端とする一本のサービ
棟 か らD 7僚 は 、 敷 地 南 側 と 北 側 の 出
有 し て い る と い う 関 係 *4である。 D 3
現組合が別々でありながら、土地を共
ある(図││)。特にD 6、D 7棟 は 管
管理組合によって持ち合っているので
ことはないだろうか。建築の持続性を
汚 点 芯F
町、日間
百一俗
﹀巴タる
想
RMAh
a
Ef
E 側広
干る
にが
語る上で、山地築それ自体の性能のほか
に
由、,山也 hド
ーに公
zdijie 裂
h付ν帥
仰
一 川 川 叫 ず BJ
一
oo
けることなく一体的開発がなされるだ
されている。今日であれば、一一一期に分
期D 3械はこれを一一階建てとする)、
D 7棟 は 一 四 階 建 て の タ ワi 型が採用
機関の集まる中央地区センターに歩い
ている。近隣住区の居住者が公共交通
ンタiを つ な ぐ 歩 行 者 専 用 路 が 夜 交 し
央地区センターと学校・公開邸・近隣セ
だけではない。このサービス道路を中
図東京
dと い う 集 合 住 宅 は 前 例 の な い 開 発 で
ろうが、当時すべての住戸が約一
て行く場合、メゾン千里をまたぐよう
できている。複雑なのは陸地内の関係
あ り 、 現 夜 の 配 置 と ほ ぼ 同 じ マ ス タi
いで唯て公道とつながる一本の道が
の言い方をすれば、各棟の土地をつな
JI
キ
一
一
宏一戸
j け,日目
ンす
①川上必
lN
町山﹂ hl隊
J、
七
lgFf
一三
Y
い、集合住宅だけがつくる街である。
の近隣住区は一戸時地て住宅がいっさいな
⋮九六八年にD 4 ・D 5僚、一九七一
に、﹁壊さないのではなく、権利関係が
控築の寿命に一定の影響を与えている
年にD 6 ・D 7棟 、 一 九 七 三 年 にD 3
複雑なために壊せない﹂ということが
としたら:::。これから紛介するやや例
﹁集落﹂の佐界である。
は、集合住宅群によってつくられた
-集合住宅だけでつくられた街
*l
﹁東洋一の住宅都市・千民ニュ l タウ
ンの山中央センター、﹃サンタウン﹄
エリアに、ご好評いただきました第一
刻のあとをうけて、モダンなデザイン
のお級高層分譲マンション︿メゾン千
里﹀第ニ期が誕生します。:::(小路)
・・また臼本で初めて住宅に地域冷暖
房が実現し、現代生活に必要なすべて
の条件が備わっています。なだらかな
写雲喜一
1
9
7
0年代初頭におけるくメゾン千皇〉
<D3棟は峻[jIi
D。 一一一主主主Eと村会 1972"ド1011りより転紋
平。
と路
ロ半官
一
専
ド用
ス行
ビ歩
一
る
サす
"ヨ
t
A
γ
内差
地交
敷に
﹀内
千加
ンと
t
-
制
制
品
川
/、
ソ相場
メ〆れ紅'
3 集合住宅の賞味期限
つきあいを持たざるを得ない仕掛けと
に対しても、隣り合う棟に対しても、
子のような、好惑にかかわらず、近隣
いるように見える。土地には集落の氏
私たちには空伺はどこまでも開かれて
合自治会では楽観論から悲観論、ある
七O 年 当 時 と 現 在 の 治 安 を 鍛 み て 、 連
るという事態をどうとらえるか。一九
倍になる周辺住民が今後も敷地内を通
はほぼ倍増する。単純計算をすれば二
一度更地にし、等価交換のため住一戸数
状況である。その手法はどれも閉じで、
未来の基一層となることを求めているよ
な選択がとられようとも、今の風景が
風景の一部であり続け、将来どのよう
が 今 後 も し ば ら く 千 里 ニ ュ i タウンの
壊せない権利関係は、この集合住宅群
前日建て替える必要のない建築性能と
あ る が 、 一 九 七O 年 頃 に か け ら れ た 錠
ない。一つは地域冷暖房であり、もう
画は未来をすべて想定できるものでは
︿メゾン千里﹀全体でみれば、容積本は
ない限り、建て詩えることは難しい。
五つに分割されている土地を一つにし
しかし、これら問題への対処として、
ミュニティの形成をうまく促している
予算を持たない述人口自治会がある。コ
自治会の上部組織として、基本的には
の管理組合および前述したパーキング
の対応は五棟全体で行なうため、各・械
あるいは住区のさまざまな市民活動へ
道路に関する維持管理や会体の景観、
税引き後の他人資金によって運営され
以外すべて企業であるため、いわゆる
考えにくく、利用者は︿メゾン千里﹀
地域冷暖房利用者が今後培えることは
の高い維持コストへの不満は根強い。
わり始めている現在、この﹁最新設備﹂
背景となっているが、居住者が入れ替
ころできない。そのことが景観を保つ
規約上もエアコンを使うことは今のと
極めて懐疑的にならざるを符ない。
する住区構造を変えられるかどうか、
がって、建て替えが急速に少子高齢化
高級化という問題を抱えている。した
な札撲を生みながら、結果的に住宅の
団地では、建て怒、えの過程でさまざま
の構築が避けられないのである。周辺
く話し合う、すなわち他者との関係性
もい、える。関係する管理組合で根気強
れはマスタープランに総された秩序と
木下光/きのした・ひかる
間関大学工学部建築学科助教授。
一九九二年、京都大学工学部建築学科卒
業。九六年、東京大学大学院工学系研究
科防士談穏(都市工学)中退。博士(工
学 ) 0問問凶大学助手、専任講師同をは枇て現
職。アジアにおける都市形成や都市伎宅
等を研究。務舎に、﹃アジア建築研究﹄(共
著
、 INAX出版)、﹃事例で読む現代集
合住宅のデザイン﹄(共著、彰医社)、な
どがある。
うである。
一つは周辺で次々と起こる建て梼えで
一
OO%に 満 た な い も の の 、 区 分 上 で
交っている。
‘
,一 こ 判 判
官封印刊
写雨的
ある。地域冷暖房は、当初の予想(期
は 各 々 ニOO%を 越 え て い る か ら で あ
という一言い方もできるが、要するに近
る集合住宅にとって、冷温水管の更新
ハ
ム
所づきあいを粗末にすることはできな
l ニングと同じことになる。
1 当時、公募によってサンタウンという名称
がつけられたが、現夜では使用されていない。
2設計は側日建設計、施工は鹿お建設側、企
画(ディベロッパ l) は住友商事側建設不動
産本部である。
3D1・2械はなく、五棟で構成される。千
叩
止
ニ
ュ iタウンでは開発主体をアルファベッ
トの Aから Dで言い分けている。 Dとは民間
を意味する。
円であったが、後に分
4 当初は一つの管制引制服 A
かれたため、区分所有上は一体であっても、
管理ぼ分は P 6棟単独、 D 7棟単独、共同作u
mの三つに分かれている。
、容積率二OO%の第一一被
5 建べい車工ハO %
中山岡山住居専用地域である。現在の土地区分
のままで建て稼えれば、実質的にはダウンゾ
︿注﹀
いは強硬論までさまざまな意見が飛び
なっている。
分譲から三十余年の時間は誰にも予
に抜ける以外にその術はない(写真│
は周知の認めるところであろう。今年
待)とまったく違う展開となったこと
る *50複 雑 な 権 利 関 係 、 密 度 の 高 い コ
想のつかない事態を起こしている。計
2)。一九七O年 初 頭 と は 、 な ん と の ど
に入って次々に漏水する事故が生じて
ミュニティ関係を要求する空間構成を
rh
H
L
M
かな時代であろうか。
おり、管理総合はその対応を迫られて
人によっては計画的失敗というが、そ
m
は悶0 1
いる。電気容量の観点からも管理組合
全 体 で 約 二 六O 戸 あ り な が ら 、 各 棟
O戸程度であるため、管理
ている。それに加え、各棟のサービス
組合はお互いの顔がわかる遂営となっ
くなっているという方が、感覚的には
いることは、不動産の悲しい結末では
か一二十余年で最も安倣になろうとして
当時、最も高価な集合住宅は、わず
における負担を軽減させる工夫の余地
次に周辺の建て替えはまったなしの
は少ない。
適当かもしれない。
このように敷地の内外において笠間
を閉じることは困難である。その結果、
最近の動き
百~2zr,ì]ハウスアダフ。テーション研
民会
8阪l
小 規 絞 7 ンション維持管耳![
4/26 第 1
1
3笥研究室霊営委員会
4/
2
9 第1
7間 住 教 育 委 民 会
5/16 第 5
3
@
1図 書 情 報 委 員 会
5/23 第 7
研究委員会
5/
2
4 定例評議録会
7同 世 界 の す ま い 方 委 員 会
5/29 第 1
6/2 定例理署葬会
0
0
5年 度 キ ッ ク オ フ ミ ー テ ィ ン グ
6/17 2
2
0
0
4
>
j
'
-D
J
J成 研 究 選 焚 論 文 発 送 会
6/
18 第4自 ハ ウ ス ア ダ プ テ … シ ョ ン ・ コ
ンクール優秀率伊j
発表フォーラム
8倒 f
主教育委員会
7/4 第5
r
t
t宅 総 合 論 争j
究委及会
5
f
f
i
l
U
ぷ患研シンポジウム「郊外団
7/8 第2
地の再生」
についての報告があった。
了に伴う改選が行なわれ、六月一日付で五
また、議決事項としては現監察の任期満
ての一連の議決をみたため、今後は新しい
井と前年度の卒業報告・決算につい
画・子, W
以上の決議機関を絞て、新年度の事業計
三月一一河川定例理事会において、平成一
清水建設が戦前に娃築した邸宅の実裁が
﹁住宅アーカイブ戦前の邸宅の近代
住宅史における系譜の研究﹂
年度の事業に拍車がかかることになる。
味雄治監事の章一任と、辞任版のめていた市川
経理部長の二名が選任され、新しい監遊休
津良和殴事の後任として飯間公彦清水建設
続いて、一月二五日に受けた﹁東京都の
制によって当財団は運営されることになっ
、-。
ふ
ム
これらのデl タから資料・関頭等のアーカ
記録として残っているものが約千件ある。
六月二日定例辺事会において、先の評議
築された四十一一一件の彩色図集﹂を恭一に、叫給
として﹁明治末から大正期に設計施工で建
主研究を発足させた。第一段階の取り総み
イブスの繁備を行なうことを目的として自
と決算が議決された。次に、四月二九日の
員会で承認された平成二ハ年度の卒業報告
平成一六年度事業報告と決算が議決
される
五月一一四日定例評議員会において、三月
平成一六年度事業報告・決算が承認
され、監事が改選される
こ件の報告があった。
社会的評価向上のための施策﹂についての
公説法人検査の結果﹂と、﹁研究助成論文の
活動が展開されることになる。
七年度の卒業計幽と予算が議決された。こ
一七年度事業計一倒・予算がホ認された。
併せて、一一一月の理事会で議決された平成
蘭どおりに達成されている。
研究運営委員会で議議の上、採択された平
7/5
首~63 殴i すまいろんミニシンポジウム
7/ 1
第1
6
6
1
笥江戸東京フォーラム「江戸
の霊童生長所」
4/
2
1
第 5阪
J
l
i
¥
'
i
.i
i
i
j邸 宅 の ア ー カ イ ブ ス 委
4/21
算が承認された。この議題は六月に開催さ
究委員会
また、評議員会で議決された監事の選任
2匝Ir
すまいろんj 編 集 委 員 会
4/19 第8
成一七年皮の研究助成三六件が議決された。
告・議文発表会
れる殺事会で議決されることになる。ちな
0隠 ハ ウ ス ア ダ ブ テ ー シ ョ ン 研
4/17 第 2
みに一六年度の事業と決算は、概ね年初計
住 ま い ・ ま ち 学 習J 実 践 報
4/2 第 B回 r
の事業計画と予算をベ l スに、新年度の諸
平成一七年度事業計繭と予算が議決
される
2日 5
年
末に終了した平成二ハ年度の卒業報告と決
7/22 寄H14@1研 究 述 営 委 員 会
1
0
/3 第 7
4伺 I
Z
I{!:'約級委長会
研究委民会
太字のものは記事をぬ殺しています。
一三O O枚)が抽出され、それに基づくデ
四十三件の設計施工案件の設計図書(約
調交研究を行なっている。
史的な考祭を踏まえ、邸宅の系議について
3防Irすまいろん」車編集委員会
7/19 第 8
9国 小 規 模 マ ン シ ョ ン 維 持 )J礎
第1
七年度巾目に作成予定。
ータベースの作成と調査・分析報告書を一
設 計E
君
主
義 r
住宅1
9
0
7
2
3
J(資)清水組設計部
NEWS
L
臣TT
臣
民
t
2
0
0
5
年度研究助成一覧 3
6
f
:
l
研究 N
O
.
3
:査名
所属・磯佼
0
5
0
1 上野勝代
京都府立大学教校
ネパ
0502 箕 浦 永 子
。
九州大にf
:
大学波予t
明清代蘇州文人の思想背景と居住環境形成に関する研究
503 碓 田 智 子
大阪敦子I
大学助教校
祭礼住文化の継承の視点からみた住まいとまちづくりに関する研究
8504 高 見 沢 実
横浜悶立大学助教授
人口減少時代の新たな住環境ビジョンの檎築に関する研究
D505 田 中 厚 子
アクセス住環境研究所代表
1
9
0
0年前後のアメリカに建設された臼本住宅の調査と研究
0506 石臼
j
間一部
京者日♂芸繊維大学教佼
近現代韓留における郊外住宅地の変容
;
双
子
関東学波大学教授
湖南地域における住宅地形成と景餓構造の変容に関する研究
0507 水 沼
研究題 1
3
ルの都市部における高齢者の居住空間のあり方に関する研究
筑 波 大 学 大 学F
完1
'
既婚女性の日常生活活動の変化と都市倹宅地のあり方に関する研究
0509 大 野 秀 敏
東京大e'j:教授
2050年の東京童話の都市像
0508 陳
雲表立
8510 登 谷 伸 宏
京都大学大学院生
近世京都における公家の都市生活に関する研究
0
5
1
1 小沢朝江
東海大学助教授
南関東・東海・宇部地方における J
吉蔵の普及実態とその背景
0512 鈴 木 雅 之
千集大学助手
~年の古い公的賃貸集合住宅の o
0513 )
11
本愛雄
¥
3
仁子大学教授
京者1
広島県泊笠松村の明治期の家屋台帳と民家
0514 辻 原 万 規 彦
熊本県立大学助教授
l
日高j
羊群島における臼本委任統音時代の官舎・社宅に濁する研究
0515 T
日本学術振興会外国人特別研究員
持続的居住へむけてのコーポラティブ住宅の再生手法に関する研究
志玖
1Yリフォームによる実践的研究
0516 岩 佐 明 彦
新潟大学紛j教 授
水害・震災仮設住宅の居住環境支援に関する研究
0517 森 永 良 丙
千葉人:::f:助教筏
経年変化したコ…ポラティブ伎宅の評価研究
0518 池 上 重 康
:
f
:D
J
J子
北 海 道 大:
日本近代鉱業系企業社宅街に関する基礎的研究
0519 槌 松 清 志
大¥
1
反人 1
:
:
1科q
:大学助教授
寛政度内察における復古様式の企画・設計過程に隠する研究
0520 大 月 敏 雄
来京理科大学助教佼
横 浜 市 中 村 町 5丁自綴荷山下震災応急住宅に関する研究
0
5
2
1 鈴木毅
大阪大学助教佼
千里ニュータウンにおける開発と暮らしの授受のアーカイブ矯築に関する基礎的研究
0522 梅 宮 弘 光
i大 学 助 教 佼
やI
l
t
山越邦彦のエコロジカルな住宅思想に関する多面的研究
0523 /flロ陽子
東京工主主大学補佐共
集合住宅団地外昔話空間の多様化とユーザピリティに燃する研究
近代日本の宮舎建築に関する歴史的研究
0524 崎 山 俊 雄
秋1
1:1県立大学助手
0525 宮 崎 宰 葱
東 海:
+
1
剥大学教授
小規模多様主主ケア拠点の檎築に関する研究
0526 松 原 小 夜 子
総I
I
I女常陸│大学教佼
未(非)婚成人と殺との悶居生活の実態と f
主要求
0527 乾 亨
立命館大学教佼
8528 磁 英 子
U
j
'L大学談街[i
熊 本!
8529 藤 原 三 夫
愛媛大学教授
鍵山村不動産市場の檎築
奈良女子大学助教授
個人伎宅を公費で改修する政策的意義と財政・経済効果
9530 中山
散
?
「活き活きとした人生 J を創出する湾齢者のための居場所づくり
デンマーク非営利住宅におけるテナント・デモクラシーに関する研究
0
5
3
1 山崎福寿
J二千早大学教佼
住宅資本コストが住宅所有形態に及ぼす影響についての実証介析
D532 吉永
東京大学助教授
放射性炭素伺位体を指標とした室内アセトアルデヒドの発生源、解析
0533 早 乙 女 強
変
!f
f
l
f
S義塾大さ戸大三戸院生
環境工学的手法を用いたヴァナキユラー住宅に隠する研究
0534 吉 田 伸 治
誠子'
l
大学助教筏
戸建住宅団地内の夏季藷熱環境緩和のための最適設計に関する研究
0535 加 膝 雅 久
!万伎技術研究所 3
:
'
$
戦後住宅復興における「新興建設材料」の品質確保に関する研究
0536 山 本 直 彦
滋 ty!~げに大 :'ì'=専任il1li(lI]i
伝統技術を活用した災害仮設住宅の建設技術開発に関する研究
j
享
研究助成に多数の応募
││過去最多の三六件を採択、決定した
第一一三国研究迷営委員会を四月二九日
当刻印山の助成研究が大学など関係研究機
こ開催した。
関からす向く評価される中で、研究助成への
は九七件と昨年度より九件多かった。応募
応募件数は増加傾向にあり、ニO O五年度
月に及ぶ査読を経て、採択件数も昨年度よ
されたものは、研究遂営委員会による一か
り四件多く過去最多の一二六件を採択し、六
月の定例理事会で承認された(上表を参
採択された助成研究は、阪神淡路大震災
の時と同様、新潟中越地震関連の研究、住
宅団地再生、偶入住宅改修の公的支援、経
年変化したコ lポラティブ住宅の評価など
応募者は、大学院生などの若手研究者に
の研究で、時流にかなったものが多い。
よるものが四O件(昨年度一一一七件)と漸培
e
介聖子別応募者分布
m陣
0
5
年度 0
4
年度 0
3年度 0
2
年度
者
客
住戸/築住
臨怒市/裏~;,;
した。また、採択者のうち、女性研究者の
ヱ経老
学涜
隠悶ロ
擁位認
成宅齢
a
比率が一一一0 ・六%(昨年度一八・八%)と
その他
おくなったことも特徴的であるといえる。
包
ロ偶工法
深尾研究述内門委民日以は選考経過について、
次のように述べている(全文は住総研ホー
-得点 Hのポイントは、研究目的が明快で魅
ムベ i ジに掲絞)。
イベントだより
第 4 回ハウスアダプテiション・コンクール
力的であること。そして、研究計的が只体
的で縦突に滋行されることが充分伝わって
入賞一O 一字削間決定!
一一一編の発表
住教育の深化と広がりを感じた
第六回﹁住まい・まち学期間﹂実践報告・
論文発表会を問月こげに開催した。これま
でで最も多い三二編の論稿が公募で寄せら
ルの特徴は、当事者が⋮年以上応住し、生
都 市 の 公 共 交 通 ﹂ ﹁ キ ソ ズ ベ ン チ ャ i﹂
い、﹁地域資産の活用﹂﹁安心・安全﹂﹁地方
を育むまち古川て﹂の二部椛成で発表を行な
﹁総合的な学問とまちづくり﹂﹁地被・人
れ、その小から一二編の発表を依駁した。
んられ、その成果に十分満足して
H
ールの人従事例が決定した。このコンクi
第阿川ハウスアダブテl ション・コンク
くること。また、研究組織については、 M
m
u の分飢が様式比側にれ然に伝わってく
成委 只
ることなどである。
-mおお
いること、また多分野の専門家の述携によ
﹁段﹂﹁地域滋枯れ﹂といったキーワードが浮
・出財団の研究助成は、学際的な研究など
を処楽分野の研究計に閉山っていないことが
かびトいがった。
件数が殿、えた分、⋮件当たリの平均助成制聞
-助成傾について、二001年度は、開時択
るん本﹂(古川川誠治一ワン・オフ建築デザイン
修﹂(悶m出版子)︿﹀優秀賞﹁寄り添って生き
︿﹀最優秀賞﹁市イス人生を楽しむ為の改
調査による二次容査を行なった。
トとなる議論が行なわれた。
見を交わし、それぞれの取り組みへのヒン
ンバ iなど、さまざまな立場の参加者がな
生、建築やまちづくりの実務者、 NPOメ
印削究の枠が広がることを納付して、
特徴であるが、﹁住宅﹂﹁すまい﹂の研究を
にある。書類による⋮次裕資を経て、削切地
り取り組まれていることを示問仇している点
は低くなったが、宏子研究として位間づけ
研究室)/﹁市柿子で快適に門事らす﹂(加瀬
活改善が
の専門家を委川氏に加えるよう務める。
目的としているため、少なくも一人は往築
た上での減綴や、予算計耐の山内容から可能
潔文芳一株式会打ゆまだ間設計)/﹁バリア
まで、研究計的と予算および内訳が妥当で
辻師一建築設孔刑事務所)︿﹀佳作スふの小に病
フリl機能と出かな終の核家﹂(辻駁正彦一
委員会からのコメント、発表会当日の討議
実践報告・論文と、各論文に対する住教脊
なお、寄せられた﹁住まい・まち学習﹂
討論では、常校教諭、大学の研究者・学
に減領するようなことは避けている。あく
と問術された境問を減綴することで、一体
あるかを判判断して助成額を決定している。
報 告 ・ 論 文 集 6恥として一八月に発刊する予
内議をまとめ、す﹁住まい・まち山字削 H﹂実践
ても、気持ちよく暮らせる家﹂(水越美枝子
定である。
第一はつくらない﹂(福山川山利一一級建築 k事務
i ムアダブテi ション﹂(永峰麻衣子一米京
所アトリエ・ドゥ・フクダ)/﹁ハウス←ホ
﹁住総研研究年報﹂を﹁住宅総合研究
財問研究論文集﹂とタイトルを改める
向かい合って食事をしたい﹂(綻双山久校住
、
7﹂(加瀬浮文芳(間拘))/﹁同じテーブルで
大学大学院)/﹁超小型ヱレベ i タ ー を 使
研究論文集のタイトルは、二O O三年版
二級建築上事務所アトリエサラ)/﹁みさ/
まいから一刻初を考える会)/﹁年紛を丞ね
までは﹁住総術研究年総﹂であったが、二
文集﹂と改めた。論文集に研究助成採択審
ひだりに自由な家﹂(菊池現夫一一級建築上事
O O凶作 γ版から、﹁住宅総合研究財殴研究論
にして、一一服、レベルのおい学術論文集に
務所株式会特テリトプラン)
査・研究成果の評仙の方法についても問機
していくという趨旨からである。
荻
Z
号
E
一O 月 発 行
別冊・第二五回住総研シンポジウム﹁郊外用地の再
生﹂が付きます。
タイトルは仮題、執事十容は交わることがあります。
︿住総研ニューズレタi﹀
︿図書釜だより﹀
蔵欝探訪・蔵欝自慢一沼山文庫について
広原盛明(西山卯一一一記念文庫)
︿すまい再発見﹀
怯明生コ lプ湾国初穂(嗣問。フラウド)
︿ひろば﹀
コ・ハウジングの宿泊体験に国ゅう
柳川一夫(コウハウジング・パlトナiズ)
︿利払のすまいろん﹀
松岡亨子(東京子ども関心念館)
︿すまいのテクノロジiv
世界の住宅組合制度を読み解く
編集部編
会一織が鍵を援るコ lブ住宅の発渓
竹井隆人(住宅金融公庫)
住宅組合の歴史と務代からみた評価
お治ニ(阪南大学流通学部)
大正時代における住宅組合法の功罪
藤谷防悦(日本大学)
団地再生は住宅組合の手で
新井信幸(千葉大学)
︿抑制止悶﹀
︿ミニシンポジウム﹀
住宅組合論争i 居住地再生に果たす役割を
めぐって
中林市凶行 (NPO全国コ iブ住宅推進協議会)
円十間不(円十稲田大学)
司川会一小林秀船(千葉大学)
呂本における住宅組合の可能性
小林秀樹(千葉大学)
︿
住
山
占
⋮
﹀
特 集 計 住 宅 組 合l 八ム私の仲間
2
0
0
5次
n
u
nhu
亦ひげ先生は何処に
V-1--現 代 の 医
療・福祉問題と通底する課題に挑む
図書窓だより
住総研図書室では、図書情報委員等の推
阻害嚢案内
@発刊日は原則として、冬号一月、泰守四
﹁すまいろん﹂のご購読について
(一一一一 001 一一二一 O Oはレフ
開 室 時 間 一 九 二 ニ0 1 一六一 0 0
v七月、秋口す⋮ 0 丹 で す 。 し た が
月 、 夏u
m資 格 一 一 八 歳 以 上 の 方
利用形態二礼金問架式(資料貸出はしておりません)
詳総お問い合わせは・
gE口 三
EGL若 者 三 己
C
℃ g唱えgzyg
新刊だより
はいたしません。
@購読期間中の購読小けによる購読料返金
行いたしません。
えさせていただき、財刊からは改めて発
@領収書は、郵便局の払込祭兼受領証で代
お支払い方法
A
今 年 間 五000円(送料品ム()
一 年 間 二 000円(送料品ル()
購読料は次のとおりです。
認下さい。
在庫の有無、送料を左記財同まで、ご確
ております。ご希望の方は、あらかじめ
@バックナンバーのお求めにもおこたえし
申し上げます。
き続きご購読いただきますよう、お願い
@購読満了時にご通知いたしますので、引
お含みおき下さい。
読手続きには約一遊間かかりますので、
紋新日目とさせていただきます。なお、購
いまして、送付防始は、購読料受領後の
ァレンスサービスおよび新規登録
聞の休日(夏季・冬季の休暇期
nn日 限 日 祝 祭 日 当 財
受付等係長対応業務は休み)
般 出 版 ルl ト に は の ら な い 大 学 や 企 業 ( 主
間、創立記念日日一一月六日)、
休室一土限
として建築業)や団体の報告書等の寄贈を
聡や凶書室の選書による購入の他にも、一
第二ハムハ川の﹁江戸の養生所﹂は、問月
受 け て い る 。 以 下 で は 、 二O O五 年 三 月 か
研究年級品、吋建築環境工学研究年初 ι (米 北
シンポジウム開俄行
二一一日、北沢タウンホ│ルで、波多野総委
ら五月に受け入れた大学等の研究年報およ
で持している。その安
大
山γ火山イ院]学研究科部市建築学専攻建築環
小規模マンション管理の課題と解決策に関
点以大町一f大川f校]令系研究科)、守山川 U伎
Mと
集
L(
境工学分刑判)、寸都市 1 学 専 攻 修 生 論 文 総 概
利
日日(日本仁業大山千教間以)の心会で間似した。
川河テレビドラマや小説では、﹁みひげ﹂氏側
び紀要を抑制介する。
﹁八戸工業大学紀要ヘ寸同火山下山地(分野融合
が、江戸小石川後生所で献身的に必殺と向
き合う姿が拙かれている。しかし、史料を
科学研究所紀姿ヘ﹁九州産業大学工学部研
F
汀戸の養住所
山 賀 大 宇 環 境 総 合 研 究 セ ン タi
究仰抑止日﹄、 JM
みると、実態とかけ紛れていることがわか
は
る r と、安藤優一郎氏(江-ド都市史研究家)
R
藤氏を講師に迎えた。
議泌は、江戸小石川後生所の開設経科、
以内山下館・江戸肺門会所との関係、長生所の腐
する鵠査報告番
る調交研究委員会﹂を創設し、明州資研究を
財問問の活動として、二O O一一一年四月に﹁小
論削が(日日本次子大学住民学科石川研究室)、
心人阪市立住まいのミュ l ジ ア ム 研 究 紀
市立・館却問 b。
行ない、その結果を繋理・分析した報告書
続 い て 、 コ メ ン テl タ の 勝 木 祐 仁 氏 ( 文
敗と且機止についての発表があった。
化久子大山中非常勤講師)から、近代東京の
その他にもコ不十処環境文化紀姿し(昭和k
規模マンション修理の課題と解決策に関す
公的医療施設において、そのい仙祉概念がど
f大
川 f)、ぷ災波大学教育学部紀前立し、仁八同工
大規模マンションに比べ、関有の問題を
が完成した。
﹁すまいろん﹂は次の山政でも版売しており
知仁業大学研究仰刊行ヘ吋山内凶大学学術フロ
抱えがちである小規模マンションに特化し
購読の受け付けはしておりません)。
ますので、こ利附ください
業 大 学 紀 姿 h、 ﹁ 北 海 道 東 海 大 学 紀 要 ヘ ﹃ 愛
ンティア・センター研究成川市抑制告書へ﹃明
た報告主として、評価されている。
討論では、江一いから
氷水への一民した悦時
海大学大学院不動政学研究科修士論文州問概
二O O五 年 春 号 、 日 べ │ ジ の ﹁ 所 沢 市 緑
電話 (03)329li338
千
℃1
日
一設中l中呆り 1 1
一
一
,
rlriみ す 円H4ftrvF
(A
川町駅での予約
で、医療・悩組問題や
A 4判山べ l ジ ・ 定 価1260円 ( 税 込 )
守報い等の守的を受けている。
建 築 関 連 企 業 の 報 告 警 類 に つ い て は 、 JM
町の配淀川間﹂のインデックスに誤りがあり
l
u
m
8
郵便振替ふ東京ODii036639
電 話(03)34B415381FAX(03)348415794
一寸日制本げ小都社一⋮似谷区船体刷山門司
対図法人住宅総合研究財団
@南洋堂市対応
集 b、一、丘(山郎川町ヒューマンケア研究機構研究
て、参加計とともにな
凡交投をした。
報公ヘ吋技術年抑制 ι (五 作 筏 設 技 術 研 究 所 年
ンデックスが逆になっています。議んでお
ました。公開住宅小肘と公団住宅低限のイ
詫びし、訂正いたします。
初也、よ八林組技術研究年報ヘ吋竹中技術研究
蔵しているので、是非ご利用項きたい。
州
抑
止 nL、門大成建設技術センター抑制﹄等を所
水建設研究報告ヘコ一一井住友建設技術研究
お詫びと訂正
医療胞設の設計につい
ているのかがぶされた。
のように反問していって、引代につながっ
安渡氏(友)と勝木氏(右)。
求道学舎
武田五一設計・大正 1
5年築の、信仰に生きる学生たちの共同生活の場
首
E苛
近角
お下宿専業で生き残っている老舗の﹁本郷
と な っ た 。 木 造 三 階 建 て ア パ i卜 と し て 今 な
旅行の街として有名になる本郷旅館街のもと
て、大きなものは下宿屋と呼ばれ、後に修学
本郷界限には多くの学生下宿がひしめいてい
明治から大正・昭和にかけて東大の周辺、
@仏教思想を核とした学生寮事業のスタート
求道学会から波り廊下でつないで常観は平屋
あった。間もなく妻子を得て、子狭になった
を学生の幹事に波し会的とするという生活で
話を聴いた人びとの包んだ﹁御法礼﹂の小銭
軒も無い東京での暮らしは窮乏の極みで、講
験を語る会を催す。故郷の寺を離れ、術家一
隣有縁の人ぴとを民間に招き、自身の一信仰体
始まった。日限日には﹁日曜談話﹂と称し近
ザ巾観は、この会館の設立後七年目の大正一
@ 思 想 建 設 の 表 現 と し て R C洋風の新学舎へ
がその核となったのは一一一一口うまでも鉱山い。
った。各界で活躍する求道学舎の卒業生たち
﹁求道会﹂にも、多くの篤信の人ぴとが集ま
道時に全国の主姿都市で関かれる地域ごとの
館の隣の地で学生寮を常もうと志したのは川
京に山てきていた組父の近角常観がその本郷
いと求道学合は、八議桜の美しい中降、を同み、
さほど変わらぬ造りであったこの二軒の住ま
市立日宅も増築する。地築といっても廃屋とは
の小宅を増築する。そしてさらに年若い弟、
直後の九月に関東大震災が裂い、レンガ造の
(後略)﹂。大正一二年七月にこのように書いた
表現(品川点は引刑者)と考えているのであります
体家屋そのものの建設をもって、思想建設の
階建ての求道学舎を築きたいと思います。全
敷地に会館と一調和すべき鉄筋コンクリート二
﹁旧家屋を取り除きまして、求道会館裂の
O年、求道学舎の改築を決意する。
館﹂は、明治三七年に建設されている。
治三三年の頃で、本郷館よりもわずかに時期
波り廊下で予をつなぐように建っていた。両
求道会館は大被害を受ける。幸いにも木造の
滋賀の浄土真宗大谷派の寺の山で、単身東
はH
十い。廃屋の窓兵屯所(詰所)を凡て、一
山本のいたずら盛りの子どもたちが、建物から
時出資で求道学舎の改築計画はピンチに陥る。
日で常生寮になりそうな構造であると日足を
この時、サ巾観の懸命の奔走に応えて三名の財
建物へしばしば遠征して会生たちの勉学の邪
耐乏生活の小で一二年間にわたる募金活動
界人が改築費用全額を寄付してくれたのであ
つけた。二口同・米大と進み、卒業後すぐのド
の米に大正問(一九一五)年出米上がった求
お陰で難を逃れた。求道会館の修復という臨
道会館は、それまで求道学合が周囲の人ぴと
る。急転直下大正一五年、いよいよニ代目の
求道学舎は台風に術、えた二本のつつかえ棒の
に与えてきたイメージを一新するものであっ
求道学舎が誕生した。
魔をしたのである。
た。擦り切れた翠染めの衣を継い、廃屋に学
れが管理人の住まいになっており、それに直
前住まいで建物など悶えるはずもない境遇な
かけてアメリカ、ヨーロッパの各国を廻り、
生たちを集め、怪しい共同生活をしている乞
@会堂建設へと発展
キリスト教の社会事業・慈善卒業を汀念に見
食坊主が、何と最新式のレンガ迭の教会堂を
のだが、全宗教界こぞって反対した宗教法案
る機会を与えられた。宗派の期待は彼を政治
階共南側に三尺廊下がついており、階段は東
角に大きな二階家がくっついていた。て二
の廃案化に功があり、宗派のトップからの論
家に育て上げることにあったが、学生寮経常
建て、竣工式には各界の名士がぞくぞくと駆
ついており、西側に便所が敷設されていた﹂。
端と商へ一二分のニくらいのところの二箇所に
この事業にとりかかる前、品川知慨は二年八ふり
功行釘でそれが可能となったのである。
の志忠は固く、明治三五年、求道学合はスタ
けつけたのであった。求道学会とその付属屋
がつくり出す一群の木造建物はまさに梁山泊
﹁玄関に続いて平屋の八畳台所があってこ
ートすることになった。
時比物問闘を馬場として使っていたという正
これは、私の父が子どものとき遊んだ記憶に
のようで、それと波り廊下で繋がるレンガ迭
基づく初代の求道学舎の記述である。
の会堂は、この集問の掲げる理想の古川さを表
設 計 依 頼 時 に 意 気 投 合 し て か ら 二O 年 来 の 友
や傾いた姿でその建物は建っていた。これが
現 し て い た 。 け 限 講 話 に 訪 れ る 人 は 毎 回 三O
O人 を 超 え 、 政 財 界 サ ロ ン で 俄 さ れ る ﹁ 求 道
人である。求道会館設計のために一二年にわ
淡たる空き地の中央に、木造総二階建てでや
会﹂と名つけられた会八日には、仏教思想を信
uhv
設計者の武田五一と常観とは、求道会館の
の学生が住み、一際には単身の常観が求 粛を
念に掲げ実業に当たる資本家で満ち、夏季伝
初代の求道学舎の姿である。二階には十数人
しながら勉学に励み信仰を深める共同生活が
構え、朝に夕べに勤行し、まさに寝食を共に
たって求道学舎を訪ね、そこでの生活ぶりを
熟 知 し て い た に 相 違 な い 。 そ の 一 O年 後 に あ
たる求道学舎の設計時にはすでに京都大学教
授 と し て 多 忙 を 極 め て お り 、 お 弟 子任せの設
計という想像もあり得るが、勝手知ったる求
』
一
自我と向き合いながらおのれ自身の信仰に到
達することのできる若者に期待をかけたので
った。この寮室はどの場所でも二つ連続して
ある。そのために厳格に区切られた寮室であ
はヨーロッパの空間スケールが導入された。
広げることができ、廊下の広さ、階の高さに
このことが、その後、求道学舎内で常観の
子どもたちの家族が戦前戦後の激動期を生き
抜く上で大いに活用された。ある場合は親子
二世帯、ある場合は兄妹二世帯、または姉弟
二世帯、そし て 最 後 に は 求 道 学 舎 の 第 二の黄
金期を導いた木村雄吉(常観の娘婿)一家の
lポ ラ テ ィ ブ 住 宅 へ リ ノ ベ l ション
舎監時代を 迎えるのである 。
今回のリノべ l ションの試み(本号ミ ニシン
O軒の
求道会代表。建築家。
一九七一年、東京大学工学部建築学科卒業。
内井昭蔵建築設計事務所を経て、八五年、集
工舎建築都市デザイン研究所設立、所長。主
な作品に、﹁武蔵大学キャンパス再開発﹂﹁ふ
れっくすコ l卜吉 田﹂﹁求道会 館復原 ﹂など 。
共
近未来型集合住宅NEXT幻﹄(
S D別冊 ﹃
共
著、鹿島出版会)、﹃鉄骨造の設計と施工 ﹄(
著、彰国社 )など の著書がある。
近角真一/ちかずみ ・しんいち
家 族 に 熱 烈 な る エールを贈るものである。
れず、この場を終の棲家と見定めた一
ン業者の天網依侠たるニ l ズ 補 足 策 に 限 も く
に廃屋以上の価値を見出し、今日のマンショ
可能としたことは一言うまでもない 。 こ の 建 物
だ 建 築 の 高 い 思 想 が 、 こ の リ ノ べ l ションを
している。しかし近角常観と武田五一が注い
後継者がいよいよ一族内に絶えたことを意味
ぎ、学生たちとの信仰生活をわが人生とする
ポジウム、田村誠邦氏の項参照)は、常観の跡を継
コ
-
1
よ
道学舎であれば こそ、初代求道 学 舎 の 空 間 構
心し
にむ
住し
違驚
をて
れ
情
がてこてかい
あもと常せて
つ理を観る
ν
ユJ
.
./
l I
所
の宅
とさ
ら
ーなに
階つ四
でた寮
-1;;:一一一一一宇土j二1一一一~弘~二
h I," - ~ 一 品工工..f!ll
に
室。
よ許
可
二
長て
が、
他自
らち
長た
時
-~
~
らし
つ男いのの男代
ずなをが、家書次が
にか
ぶ結再族斎男忘求道学舎の│階平面図
造をほとんど変えずに踏襲した設計ができた
u ι
l
のではないだろうか。洋風の造りのため南廊
下にはできなかったが、全室南向き 北側廊下
の三階建てである。当初構想が二階であった
ことは先に述べた。全体のマッスから平屋部
分が北側に突き出して、そこが玄関・食堂・
は初代よりもかなり広く膨らみ、かつての 中
厨 房 ・管理人宿舎と な っ て い る 。 こ の あ た り
庭を削ったため、八重桜も切り倒されてしま
っている。東階段付近には広い空き 地があ っ
て、クローバーが植えられていた。もともと
の 武 田 五 一 案 で は 、 こ の ク ロ ーバー の庭いっ
ぱいに大きな洋館造りの常観宅が計画されて
っ
ち婚ぴのをにれ学
ー
の室た解切は趣あい
た 常 抜 し 原 た 寮 は が 生 武 田 五 ー の 設 計 に よ り 大 正1
5年に完成した 2代 目 の 求 道 学 で が 。 す 望 喜 向 る た
と 観 き た 点 め 室 他 た た 合。東京都 指 定 有 形 文 化 財 の 求 道 会 館 に 隣 接 し て 、 本 郷 と あ 継 束 る し ば で 日
い は 新 と の の 二 の く ち は 思 え な い 静 か な た た ず ま い を 今 に 残 し て い る。
るぎ階こたずあ突そ
わ i
決 決 婚 き 暮 茶 音 部E舎 、 と
。足段とのにつ然の
れし家にらの屋生三同
一
常さ音部日がで断たここ
てて庭はし間分と男じ
一
寸
十
一
十
「
ト
一一
一1
'
十→ 弘
ヲ
L←
寸
i
t
オ
寸観れ分てで、あ固 。のと
い寺と、にもぶ同一空
i
川1
:
I I
は、できつ、と案は
るのし新戻同ちじ女間
一
-t-斗←→→
唱
吋
寸一
。子てたつ様抜寮のに
+ --+---~--- H ←...JJ 廃の下か。道ろ提観
こ弟与にたのき室子居
.~円:>l
屋辺はつ長学が出に
うのえ二の部のをど住
-- ~→-------+1,1 のり雁た年合、しは
し入た階で屋部与もし
聞 寸m
憲が行常のの案て伏
た寮 。のあに屋えのて
止 『 加 キ ー ドベ五一
ー ド「
i よ 一一一 --~-- 兵 常 し 観 友 中 に 常 せ
縁を
寮るあに 、うい
一一
両立 点
一 日 明志汁十円 一
点市内 r
i;
;
t1
l
fI
屯観 、の人に相観ら
E
:
n:
J
編集後記
であろうし、その証拠の一
か 切 を 勺 く るr
散 在 ・ 散 逸 す る 情報 を 集 約 し て い く き っ
んでみた
う 仮 説 的 に 思 い ニ ん 寸特 集 を 組・
'
が ) 多 分 野 に わ た る 執 筆 者 や ミ こシンポ
部 を 構 成 す る な う に な る で あ ろ う│ │そ
ジ ウ ム の 出 席 者 の 方 々 の 含蓄 ある寄稿・
情鞍 洪 水 の 蒔 代 で あ る は ず な の に 、 あ
るべき 情 報 が 散 在 ・ 散 逸 し て し ま っ て い
発言によって、労の仮説には相当な蓋然
o
J
いくら供給者や専門家が﹁この住宅がい
性があることが示せたように思う
るニとも多じ 。 住 宅 は そ の 典 型 例 で あ る 。
いで京よ﹂と言つだって 、 そ の 言 説 を裏
j 本 特集 で 明 ら か に な った将来可能性や
課題は、 鶏 と 卵 の よ う な 関 係 に あ る も の
付 は る証拠がなければどうしょうもない 。
残念ながら住宅にかかわる 業 界や専門家
ってもこの課題がある限り実行可能性は
が 多 い 。お読みになって、﹁そんなことい
低い﹂という感想をお持ちになるかもし
(もちろん 筆 者 も 含 む ) は 、 胡 散 臭 い イ
る。 となれば、 、
その証拠を作っていかね
れない 。 しかし、 鶏 と 卵 の 陥 穿 に は ま り
メージを背負っているからなおさ、ヤでお
ばならない 。 そ う す れ ば 、 住 宅 を 丹 念 に
こん守 、 あ る い は 、 そ れ を 言 い 訳 に し て 、
私たちの世代は無為に過ごして本当にい
τ手入れ ホ.るとい
う 努 力 は 、 経 済 的 に も 、 社 会 的 に も高 い
い の だ ろ う か ? いいや ¥ それ で いいはず
住宅総合研究 財 団 ( ﹃ 称
A
H住 総 研
一は
発 行 H財 団 法 人 住 宅 総 合 研 究 財 団
500円 。
発行人 H峰 政 克 義
e
戦 後 の窮迫した住宅問題そ、
の 清 水 建 設 社 長 ・清 水
昭 和 二三 年 、 当 時♂
住宅の総合的研究、およぴ成果の公開、
﹃ 重 一︿︿ C
or
oコeO﹁﹄百¥
ζ 刃 ﹁ 一 才 耳 百 ・¥
﹂ω
可
'
or
mlヨω=・
oコ、
∞ω才コ05
⑤ ヨと ・ヨ
Eω
TEL 、(03 ) 3 4 8 4 5 3 81
FA X (
心3)3ι84 5794
実 践、 普 及 に よ っ て 解 決 す る ご と を 目 的
、
'等 を 発 札 、 ま た 住 に関 す る 専 門 図書 室
住 宅M都合 研 究 財 団 研 究 論 文 集 ﹂
心 とし、 ﹁
現 在 は 住 宅 に 関 す る 研 究 助 成 事 業を 中
干 附卜附 東 京都 世 田 谷 区 船 橋 四 丁 目
、
mU18
年
夏、
号
と し て 設 立 さ れ た 財 団 法K であります。
康雄によ
t¥
野 城 智 也 (東京大学生産技術研究所教授 )
小 林 秀樹(千葉大学工学部教授 v
大阪 市立大学建築学科専 任講師)
中 谷礼仁 (
!
服 部 本 生 ( 千 葉 大学大学院教授)
/
、 社会のお役
、 公開
セ ミ す円 室 等 を 整 備
;也、
編 集 委 員H
*│ 番目長
に立つよ う 、公益事業につとめておりますP 片 山 和 俊(東京芸術大学建築科羽 授)*
この ﹁すまいろん﹂ は 、 活 動 の 一環と
し て 、 成 果 の 一端 を 、 市 民 、 実 務 者 、 研
究 者 の 皆 様 に 、 よ り 広 く 、 より手軽ぷご
理解いえだくとともに、その意見交流の
〆
、
、,
み'
,
っくり、年月にわたヮ
価値を持つという形で報われる--とにな
ー
-
七 J
月
制 作 日 建 築 思 潮 研究 所
、
咽
‘
・
-
F
2
0
0
5
.
.
.
.
J
行
/
、
.
"
、
、
"
、
o
ノ
印 刷 ・製本 H慶 昌 堂 印 刷 株 式 会 社
J
、
〆"
、
頒' 二 季
価
f
l
J
2
寸
、
年 念
¥
場になることを願って 刊行(季刊)され
s 〆¥
て い る も の で す バ ご利 用 の ほ ど 、 よ ろ し “
'
〆
'
/
がない 。 筆 者自身も﹁まず鴎より始めよ﹂
、
、
晃子
r
、
,
,
,
、
という気持ちでささやかな挑戦を続けて
,
ー
くお願い申し上げます。
,、
い る が 、 是 非 ゾ 本 特集 が た く さ ん の 隠せ
智
(野滅智也)
/
r
生 み 出 し て い ぐ奨 機 と な る こ と を 切 に 祈
、りた心 。
〆
,
り、住宅や住生活をサステナブルにして
、
いく社会 ・経済的な 環 境 が 整 っ て い く と
﹃
いうものである 0
4
" ,
、
、
匹 本 の 状 況 を 過 去 か ら の 経緯 を含めて
、
備 隊 し て み る と 、 ﹁、
家
、歴書 ・血統 書 ﹂は、
〆