C13 Research Abstracts on Spatial Information Science CSIS DAYS 2015 コーホート変化率法による 3 次メッシュ人口推計とその精度検証 菊地 亮太,室町 泰徳 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 Email: <[email protected]> (1) 動機: 本格的な人口減少時代を迎えたわが国では, 地方都市においては高齢化や人口減少の進行と市 街地の拡散,大都市においては高齢者の急増など 種々の課題に対応しなければならない.それらへの 対応策としてネットワーク型コンパクトシティが注目さ れている.そこで本研究ではネットワーク型コンパクト シティのシミュレーションに用いることを想定し,3 次メ ッシュ人口の推計を行う. (2) 方法: 分析の空間単位は 3 次メッシュとし,対象地域 は平成 17 年時点で居住人口が存在するメッシュ(190, 086 メッシュ)とする.2010 年から 2050 年まで 5 年間 隔で,性別・年齢 5 歳階級別人口を推計する.平成 7 年度,平成 12 年度,平成 17 年度の国勢調査地域メ ッシュ統計を用い,コーホート変化率法によりメッシュ 人口の推計を行う.また都道府県単位ではコーホー ト要因法により人口を推計し,補正のために用いる. メッシュ人口の推計値を都道府県ごとに集計し,都道 府県単位での推計値と整合するように補正を加える. (3) 特徴: ・ メッシュに含まれる人口が極めて少ない場合に, 当該メッシュ人口の個人情報を保護するため秘匿 措置が講じられる.そういったメッシュでは年齢階 層別の人口は表象されず総人口のみが表象され る.本研究ではあらかじめ合算先のメッシュの人口 構成比に合わせて人口を按分し,推計に用いる. ・ メッシュ人口の変化率の算出にあたっては推計結 果の安定化のため,直前 2 期間の値を用いる.ま 図 1: 推計人口(2050 年) た,大規模な開発等によって急激な人口の変化が 生じるといった一時的な影響を抑えるため,変化 率の算出には当該メッシュ周辺 49 メッシュの人口 の合計値を用いる. (4) 結果: 図 1,2 に栃木県における,2050 年のメッシュ 人口および 2010 年時点の高齢化率を 100 とした場合 の 2050 年の高齢化率をそれぞれ示す.既に高齢化 が進んでいる都市のフリンジエリアに加え、中心エリ アにおいても高齢化が進展することが明らかとなった. また,図 3 は 2010 年における推計人口を国勢調査と 比較したもので,人口 500 人未満のメッシュ(123,748 メッシュ)を人口降順に並べ,当該メッシュまでで算出 した RMSE を示す.概ね良好な結果が得られたとい えるが,人口がごく少ない(人口 6 人未満)メッシュの 一部で大きな誤差が認められた. (5) 使用したデータ: ・ 「国勢調査地域メッシュ統計(平成7,12,17,22 年)」 ・ 「日本の地域別将来推計人口(都道府県)」国立社 会保障人口問題研究所 (6) 謝辞: 本研究の分析にあたっては,東京大学空間 情報科学研究センターの研究用空間データ(研究番 号 571)を利用した.ここに感謝の意を表する. (7) 参考文献: 土屋貴佳・室町泰徳 (2006) 都市のコンパクト化によ る道路維持管理費用削減に関する研究.「都市計画 論文集」,41(3),845-850. 図 2: 高齢化率の変化 - 45 - 図 3: 500 人未満メッシュの RMSE
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