平成26年度 第7回 琉球大学熱帯生物圏研究センターセミナー Tropical Biosphere Research Center Seminar オステオポンチンによる一研究者の育成 長浜バイオ大学 アニマルバイオサイエンス学科 教授 野村慎太郎 日時 2015年2月10日(火曜日) 12:50~13:50 場所 熱帯生物圏研究センター 分子生命科学研究施設講義室 野村先生は1986年にマウスオステオポンチン(OPN)遺伝子のクローニングに参画して以 来、多様な組織におけるOPNの機能解明に関わってこられました。今回はこれを総括し、 以下の話題を提供して下さるとともに、今後の課題についてもお話を頂きます。 1・組織修復過程は発生過程をどこまで再現するか。 演者らが開発したin situ hybridization (ISH)法を用いた研究の結果、OPNは胎児骨組織、 胎児腎臓に強い発現を示す。成体になるとOPNの発現レベルは著しく低下するが、組織 修復過程、あるいは病態発生過程においてOPNの発現が再び劇的に上昇することを見 いだした。組織障害を起点とした炎症という生体防御過程の停止、遅延がOPNの持続発 現をもたらし、組織の石灰化病変を引き起こすと考えられる。 2・OPNの発現制御をになうプロモーター領域の構造。 OPNは骨軟骨、腎臓、胎盤など多様な組織に発現する。GFPをレポーター遺伝子とした OPN遺伝子プロモータートランスジェニックマウスにおけるGFPの時空間的な発現解析を 行い、対応するプロモーター領域を決定し、コアプロモーターについてはOPNの発現制御 を行う転写因子複合体がin vivoで機能しているモデルを作成した。転写因子欠損マウス の解析とあわせて議論する。 3・力学的負荷への対応とOPNについて。 外力を加えた骨組織の変形は骨細胞でOPNがセンサー分子として機能することにより起 こることを証明した。また、尿圧を上昇させた膀胱上皮組織の重層扁平上皮化に伴って OPNの発現が劇的に増大する現象についてはマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発 現解析法にて検討を行った。 4・免疫関連細胞におけるOPNの役割。 子宮脱落膜に存在するGMG細胞(uNK細胞)がOPNを発現する。OPN遺伝子欠損マウス における産仔数の減少、自然流産モデル脱落膜組織におけるGMG細胞の分布とOPN発 現異常からOPNがGMG細胞の機能を移植免疫拒絶型から免疫寛容型に変更する可能 性が示唆され、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析法にて検討を行った。 多数のご参加をお待ちしています。 問合せ:分子感染防御学分野 松﨑吾朗([email protected])
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