新潟県大連レポート - e

新潟県大連経済事務所 TEL:+86-411-8369-5458 FAX:+86-411-8369-5470 2015 年 2 月 27 日(金) 第 147 号
中国遼寧省大連市西崗区中山路 147 号 森茂大厦 5F 郵編 116011
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新潟県大連レポート
○大連に「体験型アンテナショップ」開店
○日本産木材の中国市場開拓の可能性
春節時期に急増した訪日観光客の
「爆買い」
は、
高級百貨店、大型スーパー等の消費を激しく喚起
去る2月9日、糸魚川から越後杉販促を目的と
した訪問団の来訪に合わせて、長興島輸入木材処
し、日本ではテレビを中心にマスコミ各社一斉に
春節商戦で賑わう中国人客の様子を報道したため、
理区の木材燻蒸施設を視察した。当該施設は昨年
12 月に国の専門機関の許可を受け、中国国内で3
中国人マーケットの大きさと日本商品への信頼感
を再認識した日本国民も多かったのではないかと
番目、中国東北地方では唯一の国家レベルの輸入
木材処理区となっている。中国国内では既に木材
想像する。90 年代から 2000 年代初頭、中国への
伐採が原則禁止となる中、今後急拡大する木材需
投資ブームに乗り、日本のビジネスマンが大挙し
て中国を視察訪問していた時代とは逆の動きであ
要に応えるため、木材加工処理も含めた大規模な
木材集積地としての役割が期待されている。残念
り、隔世の感がある。さて、かくも強い引き合い
がある日本商品ではあるが、中国で日本商品を扱
ながら、現段階では日本産原木は中国国内の木材
燻蒸施設を活用することができないため、当該施
う常設実店舗のアンテナショップを運営するのは
極めて難しい。立地条件の良い店舗には高い家賃
設の活用(燻蒸前の丸太輸出)は中長期的な課題
となっているが、これから大量に伐採期を迎える
がつきもの、高騰する人件費など維持運営に相当
日本産木材の中国輸出量がどの程度見込まれるの
のコストがかかるため、売れ筋商品を常に確保し
か、今後の展開が鍵となってくる。
なければ維持管理で行き詰まる。信頼性が高い日
本商品であれば簡単に売れるということは決して
さて、日本産木材の中国市場開拓について、す
でに日本国内の他地域で取組事例は見られるもの
なく、むしろ、中国各地の現地事情を踏まえた市
場調査やマーケティングへの取組はこれまでにも
増して更に重要になってくると予想している。
の、流通量はごくわずかで、杉やヒノキなど日本
産木材の良さや特長はほとんど知られていない。
中国は集合住宅中心で木造住宅は少なく、その木
このような状況下、昨年 12 月に日本商品「体
材需要は、構造材ではなく、床・壁等の内装や家
験型アンテナショップ」
(日本製品中国市場販売支
援会第 1 号店)が大連オリンピック広場の百盛デ
パート地下 1 階にオープンした。このショップの
具が中心となる。日本からの輸入木材となれば高
級品に属するが、価格帯的には昨今の円安も追い
風となり、その良さが理解できれば手が出ない金
特長は、安価な費用でテスト販売ができる点、代
理販売を希望する中国企業とのマッチングサポー
額ではなくなっている。今回、フローリング材と
して越後杉を選んだ新築住宅を視察したが、家主
ト、さらに、通販販売サイトへの誘導、具体的に
の奥さんが木の香りに敏感な人で、ナラ材など数
は、商品に QR コードを付加し、携帯端末で簡単
にアクセスできる仕組みを順次構築していくとの
こと。店内の半分に日本式パン屋及び喫茶コーナ
ーが併設され、アンテナショップの維持管理の協
力に充てる等、これまでのアンテナショップには
見られなかった工夫が施されている。今年4月開
業予定の地下鉄駅出入口のすぐ横という好立地条
件を活かし、集客力アップにも期待したい。
(わ)
ある木材から越後杉の香りを大変に気に入り、特
別に選定した経緯があることがわかった。越後杉
の色合いや温かみにも満足し、何よりも日本の品
物は安全との家主のコメントが印象に残っている。
杉の香りや木目、色彩等の特徴を活かした高級品
市場を開拓していく際に、他の木とは違う越後杉
の良さを前面に出した内装を、設計段階から現地
の内装・設計業者と一
緒になって宣伝開発し
ていく地道な取組が必
要であると考え、4月
以降に設計業者を対象
(店頭には新潟県企業生産の米菓が並ぶ)
とした説明会を開く方
向で準備を進めている。
(越後杉フローリング材使用の新築住宅一室)
(わ)
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