II.- ⑨ 放射性物質による環境汚染 長期化する放射性物質による環境汚染 原子力事故が発生すると、放射性物質を含んだ放射性雲 (プルーム) が大気中を流れて行きます。この放射性物質は、大気中を拡散中に少しずつ落ちてくる ほか、雨・雪と一緒に落ちて体の表面や植物の葉や枝に付着したり、地表、河川・湖沼などに蓄積します。さらに、植物に付着した放射性物質は、雨により流さ れ、地表の窪地や河川などに流れ込み、やがては海に流れて行くものもあります。 この間、呼吸と一緒に放射性物質を体内に吸い込むと、体内の放射性物質からの放射線により「内部被ばく」を受けるリスクがあります。また、空気中、体の 表面、地表などの放射性物質からの放射線により「外部被ばく」を受けるリスクがあります。さらに、放射性物質に汚染した水道水、汚染した土壌で育った穀物・ 野菜、汚染した牧草などを食べた畜産品、汚染した海洋で育った水産物などの食品を摂取することで「内部被ばく」を受けるリスクもあります。 原子力事故では、セシウムやストロンチウムなどの半減期の長い放射性物質が放出されるため、これらの被ばくリスクが長時間続きますので、被災者や活動 従事者に対しては、被ばくの影響をできるだけ少なくする配慮が必要になります。 福島第一原発事故後には、福島県内各地にて空間線量率の測定が常時行われて公表されています。食品については、一時被災地からの出荷停止措置が とられましたが、その後食品に含まれる放射性物質の基準値をさらに厳しくし、検査する体制が作られました。 主な放射性物質の半減期 出典:環境省ホームページの放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料より一部修正 Copyright Red Cross Nuclear Disaster Resource Center 元素記号 物質名 半減期 133Xe キセノン133 5.2日 131I ヨウ素131 8日 134Sc セシウム134 2.1年 90Sr ストロンチウム90 29年 137Cs セシウム137 30年 239Pu プルトニウム239 24,000年
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