ACQUITY UPLC H-Classのアミノ酸分析システムによる

ACQUITY UPLC H-Class のアミノ酸分析システムによる
ロイシンと低濃度のイソロイシンの分離
Richard C. Daw
Waters Corporation, Milford, MA, USA
アプリケーションのメリット
はじめに
UPLC のアミノ酸分析ソリューションを用いる
欧州薬局方では、アミノ酸やアミノ酸混合物に対して、定性・定量の要件を定め
と、イソロイシン / ロイシンの比率が 0.05% と
ています。許容される不純物についても要件があります。アミノ酸の製造者は、
いう低濃度でもイソロイシン(Ile )とロイシン
ヨーロッパで製品を発売する前に、これらの要件を満たすことを証明することが
®
(Leu )を分離することができます。
法的に定められています。
ロイシンは分枝鎖αアミノ酸に属し、発酵によって製造されます。製造の過程で、
イソロイシンが副生成物として生じます。欧州薬局方では、ロイシンとイソロイ
シンは 0.05% という低濃度でも分離度 1.5 と定めています。本アプリケーション
ノートでは、ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Class アミノ酸分析システムでは
このような低濃度でもロイシンとイソロイシンを分離できることをご紹介します。
ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Class アミノ酸分析システムは、UPLC の分離技
術と AccQ•Tag Ultra の化学的な誘導体化を応用した技術です。その結果、分離
と感度が向上し、サンプルの特徴をより明確にできるようになりました。この分
析結果は従来の方法より短時間で得られます。
アミノ酸を水系の条件下で 6 - アミノキノリル -N - ヒドロキシスクシンイミジル
カルバメート(AMQ )で誘導体化します。誘導体化したアミノ酸は ACQUITY UPLC
H-Class システムを用いて分離します。逆相クロマトグラフィーにより UV・蛍光
で検出ができ、真度・精度がよく頑健性が高いアミノ酸分析が可能になりました。
ウォーターズのソリューション
UPLC アミノ酸分析ソリューション
ACQUITY UPLC® H-Class システム
AccQ・Tag™ Ultra ケミストリー
Empower ® 3 ソフトウェア
キーワード
アミノ酸分析、ロイシン、イソロイシン、
欧州薬局方、米国薬局方
1
分析条件
標 準 品、 試 薬、 分 離 カ ラ ム と、 す ぐ に お 使 い い た だ け る 条 件 設 定 が 入 っ た
Empower ソフトウェアのプロジェクトをご購入いただけます。
LC 条件
システム:
ACQUITY UPLC H-Class
検出器:
ACQUITY UPLC TUV 、260 nm
カラム:
AccQ•Tag Ultra C18
2.1 × 100 mm、1.7 µm
サンプル温度: 20℃
サンプル前処理
ロイシンの溶液に 0.0, 0.05, 0.1, 0.2% の濃度のイソロイシンを添加してイソロイ
シン / ロイシンの混液を調製しました。その後の前処理は下記のように行いました。
1. AccQ•Flour 試薬 2A(誘導体化試薬)に AccQ•Fluor 試薬 2B(アセトニトリル)
を 1 mL 加えて溶解します。
カラム温度: 43℃
2. トータルリカバリーバイアルに、AccQ•Fluor 試薬1(ホウ酸塩バッファー)
注入量:
0.8 µL
流量:
0.7 mL / 分
移動相 A:
AccQ•Tag Ultra 溶離液 A
移動相 B:
10:90 水 :AccQ•Tag Ultra 溶離液 B
4. バイアルにキャップをし、ボルテックスミキサーで撹拌します。
移動相 C:
水
5. 同じバイアルに、1 で調製した AccQ•Fluor 試薬を 20 µL 注入します。
移動相 D:
AccQ•Tag Ultra 溶離液 B
6. バイアルにキャップをし、ボルテックスミキサーで撹拌します。
を 70 µ L 注入します。
3. 同じバイアルに、キャリブレーション用標準試料またはサンプルを 10 µL
グラジエント:
時間 %A
%B
0.00 10.0 0.0
0.29 9.9 0.0
5.49 9.0 80.0
7.10 8.0 15.6
7.30 8.0 15.6
7.69 7.8 0.0
7.99 4.0 0.0
8.59 4.0 0.0
8.68 10.0 0.0
10.20 10.0 0.0
注入します。
7. バイアルを 55℃で 10 分間加熱します。
%C
90.0
90.1
11.0
57.9
57.9
70.9
36.3
36.3
90.0
90.0
%D 曲線
0.0 初期値
0.0 11
0.0
7
18.5 6
18.5 6
21.3 6
59.7 6
59.7 6
0.0
6
0.0
6
結果および考察
17 種のアミノ酸を、キャリブレーション用標準試料に用いました。それぞれ
のアミノ酸が 50 pmol /µL(シスチンのみ 25 pmol /µL)となる濃度で一点検量
線を作成しました。図 1 のように、ロイシンとイソロイシンは 7.8 分頃に分
離します。
まず 0.0%のイソロイシン / ロイシン(添加無し)を分析し、イソロイシンの保
持時間には夾雑ピークが無いことを確認しました。次に、イソロイシンを 0%
(黒線)、0.05%(青線)、0.1%(茶線)、0.2%(緑線)添加したサンプルを分
析しました。0.05%、0.1%、0.2% の濃度で、米国薬局方での分離度は 2.0 と
データ管理
なりました。
Empower 3 ソフトウェア S R 2
ACQUITY UPLC H-Class のアミノ酸分析システムによる、ロイシンと低濃度のイソロイシンの分離
2
0.120
Deriv Peak - 6.783
Cys - 6.946
0.110
0.100
0.030
Ala - 5.094
Thr - 4.614
Glu - 4.167
Asp - 3.566
Gly - 3.116
0.040
Ser - 2.717
0.050
His - 1.696
0.060
Arg - 2.937
0.070
NH3 - 1.457
AU
0.080
Pro - 5.759
0.090
Ile - 7.784
Leu - 7.855
Phe - 7.975
0.130
Lys - 6.996
0.140
Tyr - 7.106
Met - 7.193
Val - 7.271
AMQ - 1.171
0.150
0.020
0.010
0.000
-0.010
-0.020
0.00
0.40
0.80
1.20
1.60
2.00
2.40
2.80
3.20
3.60
4.00
4.40
4.80
5.20
Minutes
2.40
2.80
3.20
3.60
4.00
4.40
4.80
5.60
6.00
6.40
6.80
7.20
7.60
8.00
8.40
8.80
9.20
9.60
10.00
5.60
6.00
6.40
6.80
7.20
7.60
8.00
8.40
8.80
9.20
9.60
10.00
図 1. 標準試料のクロマトグラム
2.00
1.90
1.80
1.70
1.60
1.50
1.40
1.30
1.20
AU
1.10
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
0.00
0.40
0.80
1.20
1.60
2.00
5.20
Minutes
図 2. 0%, 0.05%, 0.1%, 0.2% のイソロイシン / ロイシンの重ね書きクロマトグラム
0.150
0.140
0.130
0.120
0.110
0.100
0.090
AU
0.080
0.070
0.060
0.050
0.040
0.030
0.020
0.010
0.000
-0.010
-0.020
7.50 7.52 7.54 7.56 7.58 7.60 7.62 7.64 7.66 7.68 7.70 7.72 7.74 7.76 7.78 7.80 7.82 7.84 7.86 7.88 7.90 7.92 7.94 7.96 7.98 8.00 8.02 8.04 8.06 8.08 8.10 8.12 8.14 8.16 8.18 8.20
Minutes
図 3. 0%, 0.05%, 0.1%, 0.2% のイソロイシン / ロイシンの重ね書きクロマトグラム(拡大図)
ACQUITY UPLC H-Class のアミノ酸分析システムによる、ロイシンと低濃度のイソロイシンの分離
3
イソロイシンの面積はイソロイシン / ロイシンの割合
(%)
に対して、
決定係数 R2=0.9999 の直線性を示しました。
50000
45000
40000
y = 224683x + 2232
Ile Area
35000
R² = 0.9999
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
0
0.05
0.1
0.15
% Ile to Leu
図 4. イソロイシンの面積と、イソロイシン / ロイシンの面積比(%)の直線性
結論
ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Class システムでは、市販され
ているアミノ酸混合標準品に含まれる全 17 種のアミノ酸を、極
めて短い分析時間で分析することができます。イソロイシン / ロ
イシンの割合が 0.05%の低濃度でも、イソロイシンとロイシンは
ベースライン分離し、法規制の要件を満たすことがわかりました。
日本ウォーターズ株式会社 www.waters.com
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ショールーム
東京 大阪
サービス拠点
東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡 Waters、ACQUITY UPLC 、UPLC 、Empower および The Science of What ’s Possible は Waters Corporation の登録商標です。
AccQ•Tag は Waters Corporation の商標です。その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
©2015 Waters Corporation. Produced in Japan. 2015 年11月 720005263JA PDF
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