④活動報告(ペアプロ)

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ペアレントプログラムセミナー 及び支援者研修会の実施
【 活動の概 要】
発達障がいや困り感のある子どもの保 護者支援の充実、保育士等支援者のス キルの向上
を図ることを目的に、簡便なプログラ ム提供と養成研修を同時に開催しまし た 。
日程
保護者
支援者
ペアプロ
研修時間
11 : 30 ~
現状把握表 を書く!
13:00
「自分の事について書いてみよう!」
10:00~
11:30~
行動で書く
11/7
奄美文化
10:00~
(金)
センター
11:30
11/21
龍郷町 どぅ
(金)
くさや 館
11:30
13:00
12/5
奄美文化
10:00~
11:30~
(金)
センター
11:30
13:00
内
容
「○○ない」を「○○する」の表現に。
同じカテゴ リーをみ つける!
行動に関して、同じ時間帯のもの、同じ場所の
ものなどの 同じカテゴリーにまとめてみ る。
12/19
奄美文化
10:00~
11:30~
(金)
センター
11:30
13:00
ギリギリセ ーフ!を みつける !
話し合いながら、お互いに困ったとことについ
て「ギリギリセーフ」をみつける。
1/9
奄美文化
10:00~
11:30~
(金)
センター
11:30
13:00
ギリギリセ ーフ!を きわめる !
色々な場面を思い浮かべてギリギリセーフをき
わめる!
1/23
奄美文化
10:00~
11:30~
(金)
センター
11:30
13:00
ペアプロで 見つけた ことを確 認する!
今までの取組みを振り返り、自分が出来たこと
を確認する。
【 活動内容 】
第1回
ペアレント・プログラム
参加人数
28 名(保護者 12 名・支 援者 16 名)
講
師
辻井正次
内
容
「現状把握表を書く!」
中京大学教授
、肥後 祥冶
鹿児島大学教育学部教授
①自分のことを「行動 で書く!」(動詞で書く)
いいところ、努力しているところ、困 っているところ
②発表
③ペアで見せ合う・相 談(真似する)
④発表・共有
◎宿題 :自分と子ども の現状把握表を書く 。夫や身近な大人 を誉めてみる 。
6
【ホワイトボードへの貼り出し】
【参加者の様子】
①講師の説明を聞く
②現状把握表を書く
(支援者は側で助言)
③ペアで話し合う
(支援者は側で助言)
7
④発表する
⑤支援者向け研修
第2回
ペアレント・プログラム
参加人数
29 名(保護者 12 名・支 援者 17 名)
講
師
辻井正次
内
容
中京大学教授
、肥後 祥冶
鹿児島大学教育学部教授
「行動で書く!」
①母親編:現状把握表 を書く
いいところ、努力し ているところ、困っているところ
②発表・共有
③子ども編:ペアで見 せ合う・相談(真似する)
④発表・共有
◎宿題 :自分と子ども の現状把握表を書き足し修正する。
再度夫や身近 な大人を誉めて反応を観察する。
【ホワイトボードへの貼り出し】
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第3回
ペアレント・プログラム
参加人数
28 名(保護者 11 名・支 援者 17 名)
講
師
辻井正次
内
容
中京大学教授
「同じカテゴリーをみつ ける!」
①宿題発表
②母親編: あいま いな表現から具体的な表現に 。カテゴ リーに分ける 。
ペアで見せ合う・相談(真似する)。
③発表・共有
④子ども編:ペアで 見せ合う・相談(真似する)
⑤発表・共有
◎宿題 :自分と子ど もの現状把握表をカテゴリーに分ける 。
子どもを誉 めてみる。
【ホワイトボード張り出し】
第4回
ペアレント・プログラム
参加人数
26 名(保護者 10 名・支 援者 16 名)
講
辻井正次
中京大学教授
肥後祥冶
鹿児島大学 教育学部教授
有村玲香
鹿児島純心 女子大学講師
内
師
容
「ギリギリセーフ!をみ つける!」
①宿題発表
②母親編: 困った ところについてのギリギリセーフ!を みつける!
ペアで見せ合う・相談(真似する)
③発表・共有
④子ども編:ペアで 見せ合う・相談(真似する)
⑤発表・共有
◎宿題 :自分と子ど ものギリギリセーフ!を含めた現状把 握表を書く
夫や身近な 大人に現状把握表を見てもらう。
9
第5回
ペアレント・プログラム
参加人数
27 名(保護者 11 名・支 援者 16 名)
講
辻井正次
中京大学教授
肥後祥冶
鹿児島大学 教育学部教授
上宮
浜松医科大 学子どものこころの発達研究センター 特任教授
師
内
容
愛
「ギリギリセーフ!をき わめる!」
①宿題発表
②母親編: いろんな 場面を思い浮かべてギリギリセーフ! をきわめる!
ペアで見せ合う・相談(真似する)
③発表・共有
④子ども編:ペアで 見せ合う・相談(真似する)
⑤発表・共有
◎宿題 :自分と子ど もの現状把握表の完成版作成 。
夫や身近な人に現状把握表を見てもら う。
【ホワイトボードへの貼り出し】
第6回
ペアレント・プログラム
参加人数
28 名(保護者 12 名・支 援者 17 名)
講
辻井正次
中京大学教授
肥後祥冶
鹿児島大学教 育学部教授
野村昴樹
福島大学子ど ものメンタルヘルス支援事業推進室特 任教授
内
師
容
「ペアプロで見つけたこ とを確認する!」
①宿題発表
②今までの取り組みを振 り返り、自分のできたことを確認する
ペアで見せ合う・相談(真似する)
③発表・共有
④ペアプロで見つけたこ と、「行動で観る」ことの重要性を確 認
⑤6回終了の感想発表・ 共有・修了証を渡す
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【 活動の成 果】
計画書に記載した「保護者の支援の充 実」という課題に対しては、発達障 が いや特性の
ため子育てに困難さを強く感じている 保護者へプログラムを提供したことで 、母親自身が
自分で考え、自分で気づき、自分で発 信するという変化がみられ ました。ア ンケートでは、
抑うつスコアの改善が見られた他、
「 子どもを大声で叱ることが減った。」
「 子どものいいと
ころをたくさん見つけられるようにな った。」「子育てをもっと頑張ろうとい う意欲もわき
ましたし、少しだけ自信も持てたよう な気がします。」「親子関係がよくなり 、子どもが生
き生きしてきた(できることも増えた )」などの意見があり、母親の意識の変化、自信の回
復、親子関係の改善に予定以上の成果 を得られたと考えます(アンケート結 果参照)。
また「支援者のスキル向上を図る」と いう課題については、保育士、行政保 健師、療育
施設保育士、特別支援学級教諭が、保 護者へのプログラム提供の場で支援を 行ったうえで
支援のポイントを講習したことで、た だ聞くだけの講義とは違い、理解でき たことをすぐ
に実践することができました。その結 果、参加者の自己評価点数がすべての 項目で 上がっ
た他に、アンケートにおいて「この研 修会を機に、何気ない日常の会話やも やもやした気
持ちを保護者と話せるようになった。」「ほめることの大切さは分かっていて も抽象的で自
己満足するものばかりだったが、行動 で具体的にほめることができるように なり、職員も
前向きになれる研修だった。」という 意見が聞かれ、スキル向上だけでなく 、自信にもつな
がる成果を得たと考えました(アンケ ート結果参照)。
さらに、実行委員会での「行政保健師 だけでなく、教育機関や保育士も積極 的に支援を
実践できるようになることで、支援の 環が広がっていく」
「本島内だけでな く、離島への支
援も広げたほうがいい」の意見をもと に対象者を選定することにより、喜界 島からの参加
という広域的な進め方ができました。 また委員でもある協力団体(保育連合 会)による参加
の呼びかけにより、保育所の中でも中 核となる保育士が参加することになり 、 すぐに保育
現場で活用することができると思われ ます。
【 アンケー ト結果】
(保護者)
4 内容・テーマについて
1.満足度
とてもよかった
回答
なし, 1
満足, 4
とても満足
とても
満足, 7
満足
不満
とても不満
回答なし
まぁ よかった
まぁ
よかった,
3
どちらでもない
とても
よかった,
9
あまりよくな
かった
とてもよくな
かった
11
5 ペアワークや発表について
まぁ
よかっ
た, 3
とても
よかっ
た, 9
抑うつ質問票(BDI-Ⅱ)の結果
とてもよかった
25
まぁ よかった
20
どちらでもない
15
あまりよくな
かった
とてもよくな
かった
10
5
0
ペアプロ前
ペアプロ後
☆お子さん へのかか わり方 について 気づいたこ と
・子どもを大声で叱ることが減った 。子どもをコントロールする前に、自 分のコントロ
ールが必要だとわかった。
・文字にすることで頭の中を整理でき 、本人の良いところをたくさん見つけ てあげられ
た気がしました。
・子育てをもっと頑張ろうという意欲 もわきましたし、少しだけ自信も持て たような気
がします。
・
「ほめる」ことは心がけていたつ もりですが、具体的に小さなことでも 、という形でほ
められるようになり、子どもも変わっ てきたように思います。
・子どもを具体的にほめるコツをつ かみ、親子関係もよくなり、子どもが 生き生きして
きた(できることも増えた)
・マイナス部分ばかり見ていた気も して、プラスを考えていこうと気づき ました。
・以前気になっていたことが気にな らなくなった。機嫌が悪くなる時間・ 気持ちが分か
ってよかった。
・困る行動もあるけど、以前よりたく さん受け入れられるようになった。
☆お母さん 自身につ いて気 づいたこ と
・今まで子どもと衝突したり、叱り 過ぎたりしまったり、反省や後悔の毎 日で、自分の
子育てに自信が持てませんでしたが、 それを変えていけるきっかけ作りにな ったと思
います。
・自分を見つめなおす、ということ は結構つらい作業でした。いいところ が思い浮かば
ず、わるいことばかり・・・でしたが 、日々を過ごしていることの中に小さ いことで
もいいところがある、と思えるように なりました。
・自分にも苦手なことがあると認め 、許容範囲が広がった。色々なことに 頑張っている
自分を受け入れられた。
・人前で話すということが緊張して 苦手だったのですが、落ち着いて少し 話せるように
もなりました。
12
0
とても
よかっ
た, 15
回答なし
日常の相談支援業務についての自己評価点
前平均
保護者や子どものポジティブな側面を保護者自身
が見つけることがなぜ重要なのかを説明できる
とても満足
困った行動を取り上げるときに、行動の背景にある
状況を詳しく見るようなことを提案できる
とても不満
支援者として保護者の子どもへのかかわりを理解
し、整理するためのサービス提供ができそうである
不満
子どもの発達特徴を整理するためには行動で考え
る意義を説明できる
満足
発達の段階や個人差について説明できる
相談に来る保護者のメンタルヘルスについて支援
者が注意すべき点が分かる
1 支援者研修としての満足度
保護者や子どもの困った行動・問題行動の背景に
あるポジティブな良い部分を見つけることができる
支援者として保護者にかかわる自信がある
発達の特徴や相談内容を特定の共通テーマから整
理する意義を説明できる
とても
満足, 15
子どもの発達特徴を行動で整理する際の注意ポイ
ントがいくつか説明できる
支援者として保護者の自信のなさや気持ちの落ち
込みなどへのサービス提供をできそうである
保護者同士がペアやグループになっての話し合い
や意見交換する場面で、支援者が注意すべき点が
分かる
相談に来た保護者や子どもの困った行動・できない
行動とはどういうものか説明できる
子どものへのほめ方やほめるポイントが保護者に
対して説明できる
相談に来た保護者や子どものポジティブな側面の
見つけ方や判断基準などの考え方が説明できる
・困った部分について日々努力をして いたんだと気づき、気持ちも楽になり 、また前向
きに考えが変わりました。
☆ペアの話 し合いや 発表に ついて
・
「私だけじゃない」
「うちの子だけじ ゃない」
「みんな同じように大変な思 いをしてるん
だなあ」という共感と他のお母さんの 対策法等が聞けて勉強になりました。
・他の子のエピソードも聞けて面白 かったです。発表は苦手分野でしたが 、他の参加者
の話しは納得したり、ためになったり 、私の技が増えました。
・参加者同士で意見交換したり、子ど もの様子を話すことで自分の心も軽く なり、別の
見方を知ることもできた。
(支援者)
3 保護者サポートに役立つか?
とてもよかった
まぁ よかった
どちらでもない
あまりよくな
かった
とてもよくな
かった
後平均
5
4
3
2
1
13
☆ペアプロ の中身・ テーマ について のご感想
・親支援の視点でよい学びになりま した
・聞くだけの研修と違い、実際に支 援をしつつ研修を行うことで、理解で きたことをす
ぐに実践でき、とても勉強になりまし た。
・実際のプログラムの中に入っての 研修だったので、会の雰囲気やセンタ ーの声かけ(励
ましやほめ方など)でワークが進んで いく様子、保護者の方の変化が良くわ かりまし
た。保護者の方にも感謝しています。
・ぎりぎりセーフを見つけることで 、子どもへのかかわりが違ってくる。 ゆっくり持て
ることができるようになりました。
・何気ない日常の会話やもやもやし た気持ちを話せる機会が保護者ともつ ことができる
ようになったのは、この研修会があっ てこそなので、これからも保護者とつ ながって
いくように努力していきたいです。
・ほめることの大切さは分かってい ても抽象的で自己満足するものばかり だったが、ペ
アプロを経験して、
「行動で見ていく 」ことが、困り感を少しずつクリアし ていくこと
に繋がっていくので、保護者も職員も 前向きになれる研修だった。
☆保護者支 援の視点 からの ご感想や ご要望
・1 対 1 でのサポートでは、この研修を 参考にしながら支援をやっていけると 思います。
・保護者の立場に立って共に考える機 会になりました。
・現状把握表をみることで保護者の方 の現状が分かりました。
・今回、保護者と同じ研修を受けるこ とで、ふだんの生活 でのかかわりでは 気付かない、
保護者の悩みや考えを知ることができ ました。
「自分ではできてない。ダメ だ」と落ち
込みがちな保護者が、この研修で自己 肯定感を持てたことや、育児に少し自 信が持て
たことはよかったと思います。
・実際に書いたり、発表したりするこ とは、ただ聞くだけの研修より身につ くことでし
ょう。
・周りの意見も聞きながら、少しずつ 考え方が変化していくプログラムなの で、取り組
みやすいと感じた。
・保護者自身が認められ、ほめられる ことで、育児に自信がつき、子どもに 求めるハー
ドルが低くなり、小さな成功の積み重 ねができていくと思った。頑張ってる お母さん
方に広めていきたい。
14