<第5回 担当:佐藤英 Case 6 – 2015> <症例提示> Case 6-2015 A 16-year-old Boy with Coughing Spells 【症例】16 歳 男性 【主訴】発熱、全身倦怠感を伴わない咳嗽、鼻詰まり 【現病歴】 3週間前より発熱、倦怠感を伴わない咳、鼻詰まりが出現し持続。フェキソフェ ナダインを使用し、とくにひどくなるということはなかった。 3日前に明け方に激しい咳で目が覚め、その後嘔吐し呼吸困難を訴え、近所の救 急 病 院 を 受 診 。 到 着 時 に は 患 者 は 元 気 に し て お り BT:37.0 ℃ BT:152/87mmHg,HR:107/min,RR:18/min,SpO2:100%(RA)。身体診察では鼻粘膜 が充血し、両側鼓室粘膜に滲出液を認めた。後咽頭の粘膜は敷石状、口蓋垂は正中、 扁桃の浮腫、浸出液等は認めなかった。肺音は清で明らかな異常音はなく、全身の 他の部位でも異常所見も認めなかった。このため咳を伴うアレルギー性鼻炎と診断 され、フルナーゼとベンゾナテート 200mg を処方された。 2 日前より咳は続いていたが、患者は学校に登校した。その日の晩、10 分間ほど 持続する激しい咳によって目覚め、2回ほど嘔吐したため別の救急病院を受診。来 院時、患者は元気そうな様子で咳、胸痛、発熱、夜汗、体重減少はなかった。バイ タルは BT:36.8℃、BP:151/87mmHg,HR:93/min,RR:18/min,SpO2:97%(RA)だ った。身体診察上、鼻腔の軽度の充血を認め、後咽頭の発赤があった他異常所見は なかった。胸部レントゲン上異常所見はなし。気管支痙攣と診断されデキサメサゾ ンを吸入し、アルプテロールが処方され、小児科の受診を勧められた。 その後も咳は持続し(発熱はなし)、受診した前の日の夜に、2 回ほど息が吸えな くなるような程の激しい咳があったため本日外来受診した。受診日も学校には出席 していた。 今回も咳と同時に鼻詰まりを認めた他、頭痛、聴力障害、胸痛などの症状はなし。 両親曰く、咳をしている間は窒息しているかのように呼吸が苦しそうに見えた。 1 <第5回 担当:佐藤英 Case 6 – 2015> 【生活歴】両親、同じ高校に通う 1 歳下の弟と生活。肥満あり。 喫煙、アルコールはしばしば飲んでいた。 性交歴なし アレルギーなし 内服薬なし 【既往歴】収縮期血圧の上昇が指摘されている 【家族歴】父親:高血圧 母親:癌(原疾患不明)に対して化学療法継続中。 (※患者の咳が始まる前から 4 週間ほど持続する痰を伴わない乾性咳 嗽があり) 【ワクチン接種歴】 小児期に DTaP ワクチン(小児対象3種混合ワクチン)×5dose 11 歳で TdaP ワクチン(成人用3種混合ワクチン)×1dose 乳児期にインフルエンザ B 型桿菌ワクチン×4dose,B 型肝炎ワクチン×3dose,麻 疹、ムンプス、風疹ワクチン×2dose 11 歳と 16 歳で髄膜炎菌ワクチン 16 歳で HPV ワクチン をそれぞれ受けている。 【身体所見】 来院時の患者は元気にしており、来院してからの40分間の間には咳は認めていな い。 BP:R)119/72mmHg L)119/72mmHg HR83/min BT:36.5℃ SpO2:99% 聴診では右側の呼吸音が減弱。その他異常所見はなし。他の全身診察でも特記事項 なし。 【検査所見】 WBC:8200/mm3(4500~13000) neut :46.1%(40~62) Ly:42.6%(27~40) 単球:8.1%(4~11 )好酸球:1.6%(0~8) 好塩基球:0.6%(0~3) Hct,Hb,Plt は正常値。その他も正常値。 胸部レントゲン上明らかな異常所見なし。 臨床症状から何を疑いますか?検査、処置等どう対応しますか? 2
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