平成 26 年度 愛媛県総合教育センター 特別支援教育講座 【特別支援教育】アセスメントC WISC-Ⅲ応用コース 1 WISC-Ⅲ知能検査の概要 ・知能を多種の知的能力の総体と捉え、知能をいくつかの能力に分け診断しようとしたものであ る。 ・言語性検査と動作性検査や群指数等から、発達の偏りが考えられる子どもの特性を理解し、支 援に役立てることができる。 2 実施上の留意事項 ・5~16歳児を対象とする検査であるが、低年齢児には次の点に留意する。 ①5~6歳の年齢では、評価点がまだ変動しやすく不安定な点に注意する。 ②課題が難しすぎる場合には他の検査を行う(K-ABC、田中ビネー式など)。 ・1回で実施できない時には2回に分けてもよいが、2週間以内に実施し終える。 ・年齢的変化を見ることは大切だが、1年以上の間隔を空けるようにする。 3 分析と解釈 ⑴ 解釈の手順 ア 全検査IQ(全般的な知的発達水準)の把握、言語性IQと動作性IQの差の検討 イ 四つの群指数間の差と群指数のパターンの検討 ウ 下位検査(・強い検査と弱い検査・プロフィール)の検討 エ 回答分析(答え方や誤りの特徴)検査結果と日常生活におけるつまずきの関係の検討 ⑵ 解釈で重要なこと <検査結果の分析に当たって> ・検査課題の達成にどのような能力が必要かをよく知っておく。 ・数値だけでなく、回答内容を細かく分析する。 ・各障害に特徴的な得点パターンをよく知っておく。 <子どもの特性把握に当たって> ・検査結果だけで判断するのではなく、検査に表れた特徴と学校や家庭におけるつまずきとの 関係を分析する。 4 検査結果を生かした指導・支援 教育的ニーズのある子どもたちの教育的支援においてWISC-Ⅲは重視されている検査であ る。その理由は個人内差が測定できる点である。支援を必要とする子どもたちの特徴は個人内差 として検査結果に表れることが多い。 WISC-Ⅲの限界としては、基礎的な認知能力の要因と習得の要因とが明確に分離されてい ないということが挙げられる。 上記の点に関しては、KABC-ⅡやDN-CASを用いることで継次処理、同時処理のどち らが得意であるかを明らかにしたり、認知能力の要因と習得の要因を明確に区別したりすること ができる。 検査を実施する際には、複数の検査を組み合わせて実施することで信頼できる情報が得られ、 多面的総合的に解釈することができる。 連絡先 特別支援教育室
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