福井大学工学部 知能システム工学科

福井大学工学部
知能システム工学科
Faculty of Engineering, Fukui University Faculty of Engineering, Fukui University Faculty of Engineering, Fukui University Faculty of Engineering, Fukui University
Department of Human and Artificial Intelligent Systems(HART)
Faculty of Engineering, University of Fukui
URL:http://www.his.fukui-u.ac.jp/
総合研究棟Ⅰ 知能システム工学科
福井大学工学部
「知能システム工学科」は、福井大学工学部の8番目の学科と
せん。そのかわり、計算機ソフトウエア、知識情報、メカトロ
して平成11年4月に設けられました。それは新しい世紀に対応
ニクス、ロボット、計測、制御システム、人間情報、複雑系科
するために工学部を大幅に組み替え、情報・機械・電子・物理
学などの分野が総合されています。
つまり、「知能システム工学科」には、ヒトや生物に学んだ知
といった既存の学科の境界領域として生み出されたもので、日
能を持ったシステムをいかにつくるか、ということに関係のあ
本で唯一、世界でもまれに見る学科です。
「知能システム工学科」が必要とされた理由は、いままでの
る分野が従来の枠にとらわれずに集まっているわけです。これ
工学部は「モノをいかに効率的に造るか」を求める分野が中心な
は言い換えると、現在、科学技術のいろいろな分野で必要とさ
のに対し、これからの社会では「いかにヒトと共生できるか」を
れている非決定論へのパラダイムシフトに対応した新しい科学
追求した新しいタイプのソフトウエアや機器が、生活や生産の
技術の基礎と応用を一貫して学ぶことができる先進的・前衛的
場に入ってくることが明らかだからです。
な学科でもあるということです。
だれにでも利用できる「情報通信」、高齢化社会の
「医療福祉」、
それらを設計するにはマルチメディアやメカトロニクスに詳
しいとともに、ヒトそのものについても知る必要があります。
豊かなくらしを求める「生活文化」、より人間的な工場をめざす
そこで、コンピュータやメカトロニクスが駆使できるとともに、
「新製造技術」などに関係した分野はこれからますます重要にな
ヒトについても詳しい総合的な思考ができる新しいタイプの科
っていきます。20世紀を大量生産の時代とすると、21世紀は
学技術者の養成をめざして、「知能システム工学科」が設立され
共生の時代といえます。
「知能システム工学科」はこの21世紀の中心となる科学技術
ました。そこには、従来の情報・機械・電子工学科にある、計
を担う若者をはぐくみます。
算機のハードウエア、機械の素材、半導体などの分野はありま
ではヒトにやさしい社会を考えます
●今までの科学技術はなぜ非人間的?
●これからの社会に必要な科学・技術は何でしょう?
ではヒトとコンピュータとメカトロニクスを学びます
●ソフトは脳? メカは身体? 心はどこに?
●コンピュータとメカトロニクスとヒトを知りましょう。
ではヒューマン・インターフェースを創造します
●ヒトの心を持った、ヒトと共生するシステムは可能か?
●新しいタイプのソフトウエアやロボットの世界を開拓しましょう。
では境界領域にふさわしい構成でのぞみます
●情報・機械・電子・自然科学などといった従来の壁を取り払い、
知能システムを教育・研究するためのユニークな構成を考えました。
-1-
知能システム工学科の構成
生体の知能と
行動生成メカニズムに学ぶ
(知能基礎講座)
非線形科学・制御システム・生体システム
浅井・池田・庄司・田中・原田・平田・村瀬
知識・知能処理と
知的センシングを追求する
(知能処理講座)
知識情報処理・マルチメディア処理
荒木・小倉・小越・小高
片山・黒岩
人間を支援する
システムを開発する
(支援システム講座)
ロボット工学・知能センシング
浪花・前・前田・見浪
●機械が人に合わせる安全で快適な工場
●3K現場での作業を支援するヒトにやさしい
機器・機械
●人間の意図を理解する福祉機器
●生活に潤いを与えるアミューズメント・ロボ
ットやエンターテインメント・ソフト
●誰にでも使える家庭電化製品・コンピュータ
アミューズメント、遺伝的アルゴリズム、医療情報システ
ム、カオス、コミュニケーション、コンピュータ言語、作
業ロボット、自己組織化、自律ロボット、進化システム、
人工生命、人工知能、生物ロボット、ソフトコンピューテ
ィング、知能制御、知能ロボット、ニューラルネットワー
ク、認知科学、人間情報学、脳科学、パタン理解、ファジ
ー、複雑系、福祉システム、ペットロボット、マルチメデ
ィア処理、メカトロニクス、ロボットビジョン
知能システム工学科から 大学院工学研究科へ
学部卒業後は、大学院への進学を奨励します
学 部
卒業
大学院
修了
大学院
修了
知能システム工学科(4年間)
学士の学位を取得
工学研究科 博士前期課程 知能システム工学専攻(標準2年間)
知能システムへの、より進んだ取り組み
修士の学位を取得
工学研究科 博士後期課程(標準3年間)
より高度な技術者・研究者への成長
博士の学位を取得
高度技術者・研究者として、社会で活躍
-2-
知能システム工学科 は世界をリードする人材をはぐくむ
知能システム工学科は日本で唯一の知能システムを専門とする学科で、知能システムで世界をリードする人材
を育てることが目的です。そこで、最先端の研究開発を展開していくのに十分な基礎学力と、新しい分野を切
り開く問題発見能力を養うための仕掛けを設けました。
柔軟な思考を
育む基礎教育
コンピュータ・メカトロニクス・自然科学の
コンピュータサイエンス・メカトロニクス・自然科学がバランス良く配置されたカリキュラム
です。「学習能力を持たせる」、「自律的に働く多数の要素に分散させる」、「柔軟な動きをつく
りだす」などの知能システムの基盤技術習得に向けて、計算機科学、メカトロニクス、自然科
学の基礎を学びます。
モノづくりの
コンピュータ演習やロボット工房で
できる人材を育成
豊富なコンピュータ演習とメカトロニクス実験が多様な講義と共に進行します。知能システム
は社会に役立つ実学です。そのため、実際に手を動かして行う学生実験と計算機演習が1年か
ら3年生に至るまで必修です。特に3年生の1年間、ロボット工房でロボットシステム作りを行
います。
問題発見能力を
最先端のソフトやハード・自然科学を研究し
開発
4年生の1年間、各研究室で行う卒業研究では、独自のテーマで研究に励み実践的な研究開発
能力を養います。大学院生らとのたてのつながりもできます。
個性を伸ばす
強力で多様なスタッフが
情報工学、機械工学、電子工学、自然科学の境界領域で最先端の研究者たち20名が協力して
講座を構成、1年生から4年生まで4年間を通じて教育に責任を持ちます。
最先端を極める さらなる展開を求めて
福井大学工学部では毎年約1/2の学生が大学院前期課程に進学し修士号を獲得:さらに、その
うちの10∼15%が大学院後期課程に進学し工学博士をめざしています。知能システム工学科
では50∼60%の学生が進学しています。
未来を生きる
情報に、機械に、福祉に、
情報産業でソフトウエア、機械産業でロボット、電子産業でメカトロニクス、医療福祉産業で
人間工学など、知能システムはあらゆる分野で必要です。今後、飛躍的に雇用規模が拡大する
医療福祉関係はもちろん、ソフトウエアや情報通信関連産業、県内や中部地方に多い工作機械
メーカーを始めとする機械・メカトロニクス・電気電子関連産業、その他、各種の企業や官公
庁への進出が期待できます。
-3-
段階的に学ぶカリキュラム で興味と関心を持って取り組む
目的意識を持って勉学に励めるように、知能システム工学科の専門教育は次のようなステップに分類され、最
初に学ぶ工学部共通の基礎科目に続いて、これらの中から選択履修します。
0
STEP
専門基礎科目
数学を学ぶ
線形代数Ⅰ・Ⅱ、微分積分Ⅰ・Ⅱ、応用数学Ⅰ、応用基礎数学、確率・統計
[自然科学を学ぶZ力学演習Ⅰ・Ⅱ、電磁気学演習Ⅰ・Ⅱ、自然科学概論
[他の専門について知るZ他学科履修、副専攻科目群
1
STEP
ヒトにやさしいシステムとは
[社会体験も含め、ヒトを対象とするシステムのあり方を学ぶZ知能システム工学入門
セミナー、知能科学、生命科学入門、基礎メカトロニクス
2
STEP
知能システムの要素とは
[ヒトや複雑システムについて学ぶZ生物物理学、神経科学、自然科学概論
[メカトロニクスの要素について学ぶZ計測工学、回路理論、エレクトロニクス、メカ
トロニクス論、制御工学基礎、ディジタル回路、知能システム工学実験Ⅰ・Ⅱ
[コンピュータの仕組みや使い方について学ぶZ離散数学基礎、計算機演習、計算機言
語、計算機言語演習、計算機システム、製図・CAD演習、データ構造とアルゴリズ
ム演習Ⅰ・Ⅱ
3
STEP
知能のなりたちとは
[ヒトの知能と心の仕組みや働きを学ぶZ認知情報科学、バイオニクス入門、人間情報学
[システムと制御の仕組みを学ぶZシステムダイナミクス、ロボットメカニズム、知能
センシング、制御システム応用、分散システム論、現代制御理論
[コンピュータによる情報の処理と知能の生成について学ぶZ数値解析演習、信号解析、
信号処理、グラフィックス演習、画像処理演習、オートマトン入門、人工知能基礎論、
知能処理論、情報基礎論
4
STEP
知能を作る
[ヒトの知能
(知覚・運動・言語・認識・理解・感情)
をまねたシステムの仕組みを学ぶZ
計算神経科学、医用福祉工学、感性工学、自然言語処理論、応用人工知能論、知能処理
論、情報システム、ロボットダイナミクス、知能制御、知能ロボット設計基礎、知能シ
ステム工学実験Ⅲ・Ⅳ
5
STEP
知能を創る
[未来の知能システムの開発や、未知の自然現象の解明にたずさわるZ卒業研究ゼミナ
ール、卒業研究
[テーマの大まかな例としてはZ建設現場で重量物を運搬するロボットの開発、認識と
行動の協調制御ロボットシステム、医療画像の解析・理解、医療・福祉用対話型イン
ターフェースの開発、言語表現や顔表情における感性情報の解析、自然言語の意味理
解、生体カオスの解析、カオス制御による超微細制御、神経情報のイメージング、自
律的に進化するロボットの開発、などに関するものがあります。
-4-
バイオシグナリング研究室
スタッフ
准教授
浅井竜哉
放射線は目に見えませんが、ヒトの体を通り抜ける性質があります。その能力を利用して、体内の機能を画像として
知能システム工学科
とらえ診断することができます。ロボットを応用した自動薬剤製造装置の開発から、合成薬剤の分析、脳の代謝に関
する研究、新しいがん治療法まで、医学と工学を融合させて、実際の医療に直結するような研究を行っています。
S1
活性酸素
知能基礎講座
がん細胞
S1
光
熱
S0
S0
脳が活動
新しい対がん光線力学療法の開発
脳の代謝イメージング
医療
薬剤
体内へ
体内の機能画像
自動薬剤製造装置の開発
強度
クロマトグラム
マスクロマトグラム
0
z
m/
時間
マススペクトル
合成薬剤の分析
機能的医療画像データの解析
-5-
知能マテリアル科学研究室
スタッフ
准教授
庄司英一
人と機械やコンピュータが調和するためのあたらしいエネルギー変換、インターフェースやセンシング法の実現
知能システム工学科
に向けて総合的な研究を進めています。マテリアル科学が拓く人と機械の調和から、知能とは何かについて考え
ています。夢と実用性のある科学と工学をめざして多角的な方法を積極的に取り入れながら研究を進めています。
-6-
知能基礎講座
平衡生命システム研究室
スタッフ
講 師
原田崇広
生命システムは、その誕生以来不断に進化してきた天然の工学技術の集大成です。われわれの
作る工学システムが、生命システムの設計原理から学びうる事はまだまだあるはずです。本研
知能システム工学科
究室では、非平衡物理学を支点として、
「生きた」システムとは何かを研究しています。
知能基礎講座
細胞=分子複合系の知能に物質科学から迫る
Biology is not just like engineering; it is engineering. - Daniel C. Dennett (1995)
14
12
∞
~(ω) dω
C~(ω)
− 2TR'
2π
−∞
6
posi
{ ∫
J =γ νs2 +
熱力学
}
揺らぎ
分子機械
4
2
0
-2
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
統計力学
time
Energy input
Net Motion
寿命
Excess Fluctuations
自動計測
分子機械の揺らぎとエネルギー論
非線形
動力学
老化
情報処理
信号処理
形態形成
バイオ
ミメティクス
心筋細胞の拍動揺らぎ解析
scale
300
200
100
0
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
time(min)
細胞集団のパターン形成
食べる、排泄する、動く、眠る、感じる、決める、迷う、老いる、死ぬ…
生物の活動はダイナミックな現象で満ちあふれています。我々の作る機械は、生きているシステムにどこまで迫る
ことができるでしょうか。そのためには、生き物の「生き物らしさ」がどのように生み出されているのかを知る必要
があります。
当研究室では、分子スケールから細胞、組織・器官のレベルにわたる多様な生命現象のダイナミクスを、物理学、
特に、統計物理学や非線形科学を軸にして、横断的に理解し、その知見を工学システムの設計に応用することを大き
な目標としています。
大きなテーマとして、以下のような研究に取り組んでいます。
● 細胞システムの機能と揺らぎ-
細胞機能は分子揺らぎをどのように制御・利用しているか?
● タンパク質分子機械のデザイン原理● システムの機能と寿命の関係-
生体分子機械は人工機械とどこが違うのか?
なぜ寿命が存在するのか?
● 工学的応用‐揺らぐ生体信号解析,
細胞の情報処理を模倣したロボット...
http://life.ne.his.fukui-u.ac.jp
-7-
非線形科学研究室
スタッフ
私たちの講座では、知能システム工学の基礎科学として、物理学の新しいパラダイムである非
知能システム工学科
教 授
平田隆幸
講 師
田中ダン
線形科学を中心に研究を進めています。
知能基礎講座
複雑系
非線形物理
認知システム
カオス
生体情報学
創発システム
フラクタル
1/fゆらぎ
自己組織化
カオス工学
非平衝系
カオス制御
カオス通信
超音波医療診断
ベナール対流
液晶対流
パターン形成
フラクタル図形
ベナール対流における自己組織化
パターン選択
(ホログラフィー干渉法)
時空カオス局在構造
-8-
生体システム研究室
スタッフ
ヒトや生物が感じ、行動し、考えるメカニズムは何か、さらには「心」とは何かは永遠の課題です。それは各
知能システム工学科
教 授
村瀬一之
講 師
池田 弘
時代の要請や思想に応じて研究され理解されて、その時代の人々の生活に影響を与えてきました。現代は科
学技術の時代です。我々は最新の科学技術で生物原理に挑み、また、応用する研究をおこなっています。
生物ロボットをつくる
知能基礎講座
神経をしらべる
?
?
自律ロボットはどのように世界を見ているのか?
神経の情報はどのように伝わるのか?
自律行動をつかさどるメカニズムは?
神経の可塑性をコントロールするメカニズムは?
ロボットを自律的に進化させる方法は?
神経細胞のカタチはダイナミックに変化するのか?
ロボットに心を持たせるには?
神経の働きを調べる新しい方法は?
環境に応じて進
化するロボット
神経の活動を
目で見る
Xn+1
Xn
生物原理の理解と応用
-9-
ヒューマンインタフェース研究室
人間に限りなく近い知能を目指して!!
知能システム工学科
スタッフ
日本語や英語の文章、対話文をコンピュータに入力し
教 授
荒木哲郎
講 師
小越康宏
たり、文の構造や意味を解析するのに必要な自然言語処理を中心にヒューマンインターフェー
スを研究
知能処理講座
通 信
こんにちは
Hello!!
Hello!!
こんにちは
立体テレビ
人間・機械
立体テレビ
遠隔地間
機械・機械
機械・人間
人間・人間
研究の背景・目的
ヒューマンインタフェース技術の進歩
従来の要素技術+新しい境界技術
● 要素技術ーマルチメデイア
(音声・文字・画像)
● 利用技術ーメカトロニクス
(ロボット)
人間に優しいシステム・製品の開発
ヒューマンインタフェース技術の過去・現在・未来
過 去
現 在
未 来
●離散単語発声
●連続明確発音
●連続自然発声
●特定話者認識
●特定/不特定
●40万語語彙
●限定語彙
●話者認識
●感情認識
(要素技術2)
自然言語処理
●形態素解析
●構文解析
●意味解析理解
●音節ラテイス
●音節と韻律情報
●翻訳技術
(境界技術)
ゲノム情報
●DNAの配列決定
●ゲノム音楽
●人間らしさ
●ゲノム言語解析
●自己増殖機能
(利用技術)
ロボット
●手・足などの部分的な
●センサー付き
(視覚聴覚)
●相手の顔しぐさに応じる
(統合化システム・製品例)
●作業用ロボット
(対話無し)
(要素技術1)
音声認識・合成
(概要板)
メカトロ
ヒューマノイドロボット
五感センサー付きロボット
●限定された会話 ロボット
●自動翻訳ロボット
マルチモーダルインタフェース
今後の研究課題
画像入力
■ 音声認識・合成技術
(要素技術1)
こんにちは
● 認識精度の向上
● 韻律情報や感情認識のブレークスルー
■ 自然言語処理技術
(要素技術2)
● 構文解析技術の向上
● 意味解析、意味理解技術のブレークスルー
■ 画像理解・画像処理技術
(要素技術3)
● 動画像情報からの読唇技術
音声入力
音声、言語、読唇、視線、表情、
手振り、身振り・・・
● 表情・ジェスチャ・視線の認識
Computer
■ マルチモーダル情報
(音声・言語・画像)の統合化に
よる新しいインタフェースの開発
-10-
理と匠研究室
スタッフ
いま、コンピュータをはじめ機械システムなどが知的であることが求められている。知的であ
知能システム工学科
小倉久和
准教授
黒岩丈介
ることは人が人たるゆえんであるが、システムが知的であることは可能だろうか。
知的なシステムの原点は知識である。そして知識の源泉は好奇心である。なんで?
め
援を
の支
断
診
?
画像
処理
画像
的
知
教 授
ざし
知能処理講座
た
似顔
絵を
描
は
ステム
くシ
知的
?
勉強
連携
する
サ
ー
ッカ
プレ
ーヤ
する
知的
シ
教育
ステ
ム?
?
対す
タに
メー
ニ
、
ア
ムは
体操
ステ
鉄棒
?
導シ
か
指
う
演技
る舞
に振
知的
る
理と匠研究室のプロフィール
知能システム工学は、ロボットのように知能を具体的な形のあるものとして実現する分野と、具象としての形を
もたない知能そのものを対象として、おもにコンピュータによって実現する分野とからなります。
本研究室は、知能システムを後者の立場から実現すること、更には工学的な再構成を行ない前者の立場で実現す
るためのメカニズムの提案を行なうこと、を研究の目的としています。上に紹介した図は、研究室の卒研生や大
学院生の研究の一端を示したものです。
本研究室では、知的システムについて、さまざまな手法をさまざまな対象に適用しつつ、研究しています。研究手法としては、ニ
ューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム、ファジィ理論、エージェント理論、論理、画像処理、ソフトウエア工学、カオス、
非線形力学など。対象分野としては、知識獲得・学習、医用画像、自然言語処理、医療情報処理、知的ゲーム、知的教育システム、
ロボカップサッカー、カオス制御、複雑系、ニューロコンピューティングなどです。
-11-
知能モデリング研究室
スタッフ
教 授
小高知宏
人間の複雑な知的活動を観察して、その裏に潜んでいる知能のメカニズムを推定し、知能のモ
デルを組み立てます。また、人間の知能のモデルを使って、コンピュータをより賢くする方法
知能システム工学科
を探ります。
知能処理講座
人間の書いた文章
ȫȐȳȼǹDŽ
ઢष
人対人の
交渉過程
コンピュータに
投入されるコマンド系列
知的アシスト
人間の仕事を補助する
ソフトウェア
認証
人間の知的活動のモデル化
知的インターフェース
(cd ls*cd)ç(latex)
(make vi)ç(ptex*ls)
統計的モデル
ȫȐȴDŽഡۣ
xi
システムの侵入者を
見破る技術
wij
より使いやすい、賢いコン
ピュータを実現する技術
遺伝的アルゴリズムにより
獲得する言語的モデル
‫ܭ‬Ԩ஖Ғອ
筆者推定
yi
文章を書いたのが
誰かを推定する
vj
交渉における挙動予測
ネットワーク技術
z
ネットワークセキュリティや
応用システム
ニューラル
ネットワークモデル
ゲーム
研究の内容
人間の知的活動はとても複雑に思えます。でも、よく調べてみると、比較的単純な規則で説明できる
場合もあるのです。そうした規則が手に入ると、人間の挙動を前もって予測したり、人間の挙動に潜む
意図を推測することができるかもしれません。これをコンピュータのインタフェースに応用できれば、
今よりずっと知的で扱いやすいコンピュータを作ることができるはずです。
そこで当研究室では、コンピュータを使って人間の知的活動を捉え、工学的なモデルで表現する試み
を続けています。具体的な対象としては、上記のように、文章のモデル化とその応用、コンピュータ利
用者の挙動把握とモデル化、モデルに基づく利用者認証、モデルを用いた知的インタフェース、対話や
交渉のモデル化と応用などにトライしています。また、こうした研究を進める上で必要となる、コンピ
ュータやインターネットに関する基礎技術についても検討を進めています。
-12-
人間学習システム研究室
スタッフ
准教授
片山正純
人は、ロボットができないようなことでも簡単にやってのける。この優れた情報処理メカニズ
知能システム工学科
ムの解明を目指して、人の上達する仕組みについて研究しています。
知能処理講座
人の上達する仕組みの解明
上達する仕組みを説明する計算モデル
人工筋をもつロボットアーム
計算理論の構築
ロボットによる実証
計測実験による検証
操作対象物をモニタ
に表示
力覚提示装置
ハーフミラーに映った
操作対象物
小型ロボットアームを用いた手の運動の計測装置
腕運動計測装置
対象物操作中の手運動の計測装置
研究内容
本研究室では、人の優れた情報処理メカニズムを理解することを目的として、「計算理論の構築」、「運動計測による検証」、「ロボッ
トによる実証」の3つのアプローチを同時に進めることにより、認知・運動学習メカニズムに焦点を絞って研究を進めています。
■計算理論の構築
人の認知や運動は、何らかの計算理論に基づいて実現されています。この計算理論を明らかにするために、認知・運動学習に関
する計算理論や学習理論を構築しています。
■運動計測による検証
ロボットを用いた計測装置を構築することにより、巧みな手や腕の運動を計測・解析し、構築した計算理論や学習理論が正しい
かどうかを検証しています。
■ロボットによる実証
構築した計算理論や学習理論をロボットに適用することにより、ロボットが人と同じように上達することを実証しています。
■今後の展望「人に優しい知能システムの構築」
人の情報処理メカニズムを理解することができれば、人と同じように学習し、運動できる知能ロボットが実現できるでしょう。
さらに、人の認知や運動の特性を考慮することにより、人に優しい(人が操作しやすく、ヒューマン・フレンドリーな)知能シス
テムが構築できるでしょう。
-13-
進化ロボット研究室
スタッフ
准教授
前田陽一郎
本研究室では特にロボット行動に着目し、ファジィ理論や進化的計算法などを用いて人間に優し
く、優れた適応能力を持つ進化したロボットの研究開発を行っています。
知能システム工学科
支援システム講座
ソフトコンピューティング手法による
自律移動ロボットの知能化
進化学習・協調行動・感情表現などの
計算機シミュレーションおよび実験
対人親和性・環境適応性に優れた
進化ロボットの実現
自動移動ロボット
ソフトコンピューティング手法
● 人工知能
(AI)
:論理や規則(定量的ルール)の記述
知識ベース
人間
コミュニ
ケーション
● ファジィ理論
:人間のあいまい知識(定性的ルール)の記述
プランニング
● ニューラルネットワーク
:人間の神経回路網を模擬した学習機構
行 ナビゲーション
動
決
定 ガイダンス
● カオス理論
:複雑系解析のための決定論的非線形システム
センシング
移動制御
● 遺伝的アルゴリズム
(GA)
:進化の遺伝子淘汰・交配メカニズム
環境
● 強化学習法
:経験から条件反射行動を獲得する学習機構
移動機構
● 人工生命
(A-Life)
:人工的な生命現象のシミュレート
ংүȶȥȌȑDŽ
૾஖‫௺ݘ‬
環境適応能力や集団進化能力をもつ
協調進化型マルチエージェントロボット
協調進化型マルチエ
ジェントロボット
ঁҮ
ঁҮԧࢧ‫ݗ‬௹
ࡈ໠൭
ࡈ໠൭ߵ‫ݗ‬௹
(進化シ
進化システム)
(マルチエー
エージェント)
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ॉഠۢ‫ݗ‬
ۢ‫ݗ‬௹
্൫ࢳ૳
্൫
ࢳ૳‫ݗ‬௹
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(感
感性・心理)
(人
人工生命)
人
生命)
)
感情モデルや生物的機能を組み込んだ
感
だ
対人親和型アミューズメントロボット
ト
-14-
知能ロボット研究室
スタッフ
「肩がこった」と言えば、やさしく肩たたきをしてくれる。「りんごが食べたい」と言えば、冷蔵庫からりんごを取り出し持ってきてくれる。
知能システム工学科
教 授
見浪 護
准教授
前 泰志
しかもきれいに皮をむいてくれる。人間を絶対に傷つけない。この研究室は、このような人間支援ロボットを実現することを目標にして
います。研究領域は、視覚認識、運動制御、運動知能などを用いたロボットの知能的行動制御を中心に、ロボットを総合的に研究します。
支援システム講座
患者ロボット
顔の自動認識
実世界の視覚認識
実世
●サッカーロボット(視覚フィード
ロボット技術の応用
バックを用いた誘導制御)
●泳ぐ魚を捕まえるロボット
ロボット
●看護訓練用患者ロボット
●人間の行動認識
認識
●IC
ICタグを利用した環境の情報化
タ
●視覚認識に基
識に基づくロボットの行動
による
よる知能ロボットシステムの
生成
構築
ղ‫ࡏ౏ؗ‬
視覚移動マニピュレータ
ȶȥȌȑ
ȶȥȌȑҒອ
ȑҒອ
ȑ
অք࠙ѻȶȥȌȑ
身体、知能、感覚を持ち実世界で
人間の役に立つロボット
ѓ௺૾౥
運動の中にみら
られる
知能の工学的実現
実現
●動力学特性を利用して走行
て走行用
モータがなくても移動できる
きる
ロボット
●凹凸路面走行時の路面に起因
した外乱に対する適応的制御
‫௺ݘ‬ৎৄ
‫௺ݘ‬ৎ
移動マニピュレ
ュレータの
動作制御
●サッカーロボットの行動生成
サッカー
●積載物を滑らさずに最速
積
走行をするロボット
●冗長マニピュレータの形状
最適化
ロボットによる魚捕り
歩く人間の動画像認識
冗長マニピュレータの形状最適化
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作業支援ロボット
ロボティクス研究室
スタッフ
准教授
浪花智英
ロボットの頭脳と身体をつなげる働きを担うのが「制御」と呼ばれる技術です。人間の腕や手を模したロボットマニピュレ
ータやロボットハンドは、遠心力などの非線形な力の影響を強く受ける非線形ダイナミクスに支配されますが、ロボティ
知能システム工学科
クス研究室では、その特徴をうまく利用することで学習や適応の機能を持つ知的な制御技術の開発に取り組んでいます。
溶接動作計画用シミュレータ
支援システム講座
アルミ管自動溶接ロボットシステム
3本指ロボットハンド
ハンド学習1
ハンド学習2
研究内容
●ロボットマニピュレータの学習制御、適応制御
●マニピュレータの力制御
ハンド学習3
●複数マニピュレータ/ロボットハンドの協調制御
●Real
Time OSを用いた制御系実装
●アルミ管自動溶接システムの開発に関する研究
●RoboCup
Rescueに関する研究
知能ロボットの実現
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An hrough fo
Breakt eativity
Cr
知能システム工学科では、
学生の創造性や個性を伸ば
しながらモノ作りへの興味
を育む教育の重要性をロボット工房として具現化致し
ました。知能を有するロボットの開発を実際的に出来
る人材や、モノ創りの出来る人材を育成すためには、
素材や部品に実際に触れてモノをつくり出す経験が大
切です。これには機械・電子工作およびコンピュータ
を備えたメカトロニクスシステムの設計・製作と実験
を行うための設備が必要です。本工房は、コンピュー
タプログラミングを行うソフトウエア・ワークショッ
プ、機械工作を行うメカニカル・ワークショップ、電
子工作を行うエレクトロニクス・ワークショップ、そ
してこれらを組み合わせたロボットやシステムの製作
とその動作実験を行うクリエーションスタジオから成
ります。2001年、つまり21世紀からスタートした
学生個人の創造性を十分
発揮させる国内でも有数
の画期的な教育研究支援
設備となっております。
学科ではメカトロニク
スやコンピュータ・ソフトウエアの教育及び実験と密
接な連携を保ちながら、低学年次からの積極的なロボ
ット製作への取組みを歓迎しております。特に3年次
に開講する知能システム工学実験Ⅲ・Ⅳでは、設計、
素材加工、電子工作、組立て、そしてプログラミング
という全過程を具体的に体験して独創性あるロボット
創りに挑戦して戴きます。さらに、公開で行われるロ
ボットコンテスト
(ロボットチャレンジ)
を通して性能
を競い合い、より高性能なロボット製作への改良や工
夫の面白さを実感することができます。ロボット工房
のスタイルは利用者が使い
やすいように改善して行き
ます。本工房を十分活用し
て実際にロボットを"創る"面
白さを学んで下さい。
福井大学工学部は 物理工学科
日本海側最大・
全国有数の規模と
内容を誇ります
(55名)
本工房をサポートして戴いている企業 (2002年12月現在)
● ダイワボウ情報システム株式会社
● シーシーエス株式会社
● 株式会社ホクシン
● リンナイ株式会社
● (株)第一システムエンジニアリング
電気電子工学科
(70名)
機械工学科
(80名)
知能システム工学科
生物応用化学科
(65名)
(70名)
(計560名)
材料開発工学科
情報メディア工学科
(80名)
(70名)
建築建設工学科
(70名)
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福 井 の 学 生 生 活
日本の重心・福井
1
30分・車で2時間
●米原から1時間10分、金沢・敦賀から40分
●東京へもJRで3時間40分、
飛行機で2時間30分
●名古屋・京都からJRで 時間
夏は日本海まで
分
車で
30
レクレーションも充実
周辺各地に温泉や
キャンプ場
大学キャンパスは
市街地のど真ん中
生活も安心
●コシヒカリ誕生の地・九頭竜川の水・日本海の魚
●人口24万人の県都でなにかと便利
●アパートの供給も充分
●歴史ある越前の国、北陸の暖かい人情
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冬はスキー場まで
分
車で
30
Faculty of Engineering, Fukui University Faculty of Engineering, Fukui University Faculty of Engineering, Fukui University Faculty of Engineering, Fukui University
入試についてのお問合わせ先
〒910-8507 福井市文京3-9-1
福井大学入試課
TEL:0776-27-8950・8508
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福井大学ホームページ
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