社長の右腕 2015年11月号

発 行 日 2015年11月号
第657号
社長 の 右腕!
●「欠勤を有給休暇に振り替える義務はあるの?」
結論:有給休暇は請求して初めて効力が発生するもので、欠勤を事後に有給休暇に振り
替える義務はありません。
精神疾患で「無断欠勤」していた社員が、退職後に、欠勤していた期間を有給休暇にし
て賃金を支払ってください、有休の権利があると、当然のように主張してきました。
企業側は、無断欠勤の上、事後になって有給へ振替えて賃金を支払う義務はない。 と
して一蹴しました。しかし、労働組合が介入していきて紛争になりました。突発的な傷
病その他やむを得ない事由により欠勤したときは、会社の温情で当該欠勤を年次有給休
暇に振り替えてあげることをしておりました。労働組合はこのことを突いてきて、今回
も同じ対応をすべきだと言うわけです。社員の病欠や私用による欠勤も、年に数回程度
だし、日常業務をがんばってくれているので、社長も臨機応変に温情的な措置をとって
いたわけです。今回は「無断欠勤」ですから温情措置に値しない。
また、「無断欠勤」をしている社員が悪いわけですから、「無断欠勤」を争点として労
働組合の主張を撥ねつけ、収束しました。
●有給休暇を取得した社員の精皆勤手当を支給しなくてもいいの?
労働基準法第136条
使用者は、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをし
ないようにしなければならない。とありますが・・・
裁判所は、労働基準法136条は「努力義務規定」であり、会社の取扱いは法の趣旨に沿
わないが、無効とまではいえず、手当の不支給は有効である。と判断しました。
実際に年休を取得したタクシー運転手に精皆勤手当等が支給されなかった案件につい
て、裁判所は手当の減額を認める判断をしています。
●有給休暇の理由を聞くことは違法?
〇有給休暇の取得理由を言わなければ承認しない。という場合は「違法」となります。
○理由の記載欄を設ける ○社員の任意で理由を記載することは違法ではありません。
例外的に取得目的を尋ねることができる場合として、以下のケースが考えられます。
同一の日に複数の社員から有給取得が集中したために、業務に支障をきたす恐れがあ
り、そのうち一部の社員に対して時季変更権を行使せざるを得ない場合などは使用目的
を尋ねることができます。
こういった場合に社員が「虚偽の申告」をしたときは懲戒事由に該当する可能性も生じ
てくることになります。
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