研究のまとめ3 - 石狩管内教育研究会

(6)アトラクションについて
実験アイデア・教具を展示、説明するアトラクションを今年度も二次研究協議会で行った。今年度は理科教育
センターおよびカシオ計算機にも出展を依頼した。
【出展内容】
○「もののとけ方」水温保温器
○化石のレプリカ作り
○植物の固定
○割れないシャボン玉
○弁当パックで立体模型をつくろう
○水性の微小生物の観察
○ヨウ素を使ったおもしろ実験
○空気のあたたまり方
○電気のいらないカラオケマイク
○石ころを観察しよう
○地学分野の実験・教材紹介
○学校用デジタル計算機の紹介
理科(小)部会では、午後の前半の時間をアトラクションにあてているが、「すぐに使える!!」「おもしろい!!」
と毎年大好評の企画であり、次年度も多数の出展がなされるようにしたい。
Ⅲ.教育課程研究
1.研究の経過
今年度は「石狩管内理科教育課程基底編」および「石狩管内理科教育課程展開編」、「実験アイデア vol3」
の追加データ作成を行った。
2.研究の成果・課題
「石狩管内理科教育課程基底編」および「石狩管内理科教育課程展開編」に関しては、石教研小学校理科部
会の今までの成果と学習指導要領を照らし合わせ、石狩管内の実践研究の共通基盤となり、各学校の教育課程
編成の手がかりとなるような編集を心がけた。とくに学年間のつながりや科学的見方・考え方を育成するため
の製作活動を含めた体験的活動を重視して編集した。「実験アイデア vol.3」についてはこれまでにアトラク
ションで出されていたものから授業にいかせそうなものを精選して追加データとして作成した。
今後もこれまでの活動などで寄せられた意見を反映させていくとともに、課題を解決するためによりよい実験
は他にないかなどの意見を部会員に広く求め、検証していく。
Ⅳ.実技・理論研修会・フィールドワーク
1.理論研修会
(1)研修会の内容
今年の理論研修会は『理科学習における予想の立て方』というテーマで
6月30日(月)に江別第二小学校理科室にて実施した。中心単元の授業
づくりの参考になればと考え、理科(小)部会副部長の酒井(江別第二小)、
研究員の青木(江別第三小)が「今年度の研究のポイント」「予想を立て
るときの指導のポイント」について説明、提案などを行った。その後、各
学年小グループに分かれ、東京書籍と啓林館の教科書を参考にしながら中
心単元の予想の立てさせ方について話し合いを持った。最後にそれぞれの
グループで話し合った内容を全体で発表し交流した。
(2)研修会の成果
本年度の研究の重点である『言語活動をいかした思考がつながる授業づくり』における実験の予想を考えさせ
るポイントについて全体で交流することができた。とくに限られた時間の中で全員が予想を立て、実験観察に向
かうことで思考のつながりがもたらされることを確認できた。また、東京書籍や啓林館の教科書を見ながら授業
づくりの話し合いをすることで、同一単元においても単元構成や実験方法および観察の仕方にもいろいろな方法
があることが分かった。6月の早い段階で管内の先生方が授業づくりに向けての話し合いを持つ機会を設定する
ことができ、非常に有意義な研修会となった。
2.実技研修会
(1)研修会の内容
今年度の実技研修会は、道立教育研究所附属理科教育センターの伊藤崇由氏
を講師に迎え、5月20日(火)に実施した。内容は化学分野における「粒子
の存在と保存性」に焦点を当てた内容で学年ごとに実験を行った。たとえば 6
年生の「塩酸にアルミホイルを入れて、どのように変化するか調べる」実験で
は、塩酸を少しあたためて45度ぐらいの温度にすることで速く反応するなど、
実験における多数のヒントを教えていただいた。
(2)研修会の成果
今回の実技研修会を通して、空気と水やとけたものの重さなど目で感じることができない粒子の概念は、大人
が当たり前と感じることも子どもたちにとっては理解が難しいことを改めて確認できた。そのため授業ではイメ
ージ図をかかせたり、変化が目に見て分かるような工夫を行っていく必要があることがわかった。
3.フィールドワーク
(1)研修会の内容
今年度は『夏の星の観察』というテーマで野幌若葉小学校の宮武昇平氏を講
師に迎え、文京台小学校の天文台にて、7月25日(金)に実施した。当日は、
残念ながら PM2.5 の影響で星が見えない状態だったが、会場を視聴覚室に変更
してパソコンソフトの『Stellarium』を使って、夏に見える星やソフトの使い
方についてわかりやすく説明をしていただいた。後半は、天文台に上がり実際
に天体望遠鏡から雲の隙間から見える星を観察することができた。
(2)研修会の成果
『Stellarium』は観測地点と時刻を指定すると実際の夜空と同じ星空をパソコンで見ることができる無料でダ
ウンロードできるソフトである。星座を表示するだけでなく、星を拡大していくと実際の星の画像を見ることが
できたり、時間を進めると星の動きを観察できたりと月や星の単元の学習に非常に効果的なソフトであることを
教えていただいた。また、最後に天体望遠鏡で観察できたことで実際に見たり、活動したりすることの大切さも
学ぶことができ非常に有意義な研修会であった。
Ⅴ.部会研究の成果と課題
1.成果
今年度は「言語活動をいかした、思考がつながる授業づくり」の予想を意識した研究実践に取り組んだ。予
想を立ててから実験に入ることで見通しを持って実験に入る意識が非常に高まった。また、実験の前段階では
時間をかけずに予想をさせたり、まず導入の実験をしてから予想をさせたりするなど単元や実態に応じた授業
づくりが行われたことも大きな成果である。先行経験が不足した子どもたちには、単元の導入において自由思
考させる時間を十分に確保したり、予想を立てる際の目安になるとして発達段階に応じた系統表を作成したりと
の実践も報告された。教材・教具の工夫についても様々な実践が報告された。児童にとって結果を導くために
分かりやすい実験器具や方法を工夫し全体で交流できたことも大きな成果である。
2.課題
予想を立ててから実験に入るという流れは確立したが、実験内容によっては一単位時間で完結させるのが困難
ものもある。そこで一単位時間の公開を基本とすると、どこに重点をおいて授業づくりを行っていくかが、今後
の課題である。次年度は「思考のつながり」の後半部分である実験結果からわかったことをまとめる活動におい
て研究を深めていく予定である。理科(小)部会では今後も児童の思考のつながりを大切にしながら、理科の楽
しさを追究できる授業づくりが行えるような提案をしていきたいと考える。
(文責 青木 啓洋)