学識経験者のコメント及び農業生物資源研究所の対応案 資料6-2

学識経験者のコメント及び農業生物資源研究所の対応案
大項目
1.生物多様性影
響の評価に当
たり収集した情
報
中項目
ページ
遺伝子組換え P5-6
植物等の調整
等に関する情
報
P9L1
御意見
◎(1)ロ 構成要素の機能について
・発現カセット1~4について、プロモータの機能により、
目的遺伝子の発現が種子胚乳中に限定されるのであれ
ば、種子以外の植物体の部位には目的遺伝子が発現し
ないことを明記した方がよい。
資料6-2
対応案
(1)ロの6ページ23行目に次の文言を追加いたします。
「それぞれイネ種子貯蔵タンパク質遺伝子プロモーター
によって種子胚乳中に特異的に発現させた本遺伝子組
換えイネ(OsCr11)を作出した。この際に用いるプロモー
ター及びターミネータ(発現カセット1~4で用いるもの)に
ついては、他の遺伝子組換えイネでも使用実績があり、
種子胚乳中で特異的に発現を誘導する(他の組織では
検出限界未満)ことが報告19)されている。したがって導入
遺伝子も同様に、種子胚乳中で特異的に発現し、他の組
織では発現しないと推定される。」
また、引用文献を追加いたします。「19) Le, Q.Q. and
Takaiwa, F. (2004) Evaluation of tissue specificity and
expression strength of rice seed component gene
promoters in transgenic rice. Plant Biotech. 2, 113-125.
」(修正前の引用文献19~20は、20~21にずらします。)
さらに、(4)-ニの15ページ34行目に次の文言を追加しま
す
「イネの胚乳部分で改変Cry j 1-F1融合貯蔵タンパク質、
改変Cry j 1-F2融合貯蔵タンパク質、改変Cry j 1-F3融
合貯蔵タンパク質およびシャッフルCry j 2タンパク質が世
代間及び個体間で安定して発現していることが分かっ
た。今後、医薬品開発に向けて、本遺伝子組換えイネに
おける改変Cry j 1-F1融合貯蔵タンパク質、改変Cry j 1F2融合貯蔵タンパク質、改変Cry j 1-F3融合貯蔵タンパ
ク質およびシャッフルCry j 2タンパク質遺伝子産物の葉、
茎、根等の各組織における発現解析データを取得する。
なお、本申請にある使用規程に従った、隔離圃場での限
定的な使用であれば、生物多様性影響を評価するに当
たって、本データは用いない。」と修正いたします。
・① d エ) 供与核酸の構成要素の機能, 発現カセット4に 御指摘通り修正いたします。
ついて
「導入遺伝子産物を小胞体へ係留に関与する」とある
また、表2 発現カセット4の欄のうち、「KDEL小胞体局在
が、「導入遺伝子産物の小胞体係留に関与する」とした 化シグナル」にある説明 (5ページ) も、同様に修正し
方が、より正確ではないか。
ます。
P10L14 ・②a,b 供与核酸の発現により産生される蛋白質の機能
について
アナフィラキシー・ショックの可能性について、「(格段に)
低いことが想定される」とされているが、判断が主観的で
あるとの誤解を受ける表現である。科学的知見に基づき
判断されるのであれば、理由とともに簡潔に示すべき。
当該箇所(10ページ11~14行目)を、以下のように修
正します。11ページ4~6行目も同様の修正をします。
「スギ花粉症患者の血液中に含まれるCry j 1特異的IgE
抗体はCry j 1タンパク質の立体構造を認識して結合しア
ナフィラキシー・ショックを誘導する。本遺伝子組換えイネ
の胚乳中に蓄積する改変Cry j 1-F1、-F2、-F3融合貯蔵
タンパク質では、Cry j 1タンパク質を本来の立体構造を
取らないように断片化しているためCry j 1特異的IgE抗体
との結合性が失われると推定されるため、同融合タンパ
ク質が経口経路でアナフィラキシー・ショックを誘発するリ
スクはCry j 1タンパク質よりも低いことが想定される。」
P11L32 ◎(2)ロ について
塩基数の単位が kbps であるが、他では kb としてい
る。同じ単位なら合わせる。
「kb」と修正いたします。
P14L13 ◎(4)ロ 供与核酸の複製物のコピー数及び複数世代にお 遺伝子型の分離比は種子数が少なく、統計的なデータを
ける伝達の安定性について
示すことができませんが、導入遺伝子の後代における分
遺伝子型の分離比を調べ、移入した核酸が染色体上に 離は確認しています。分離に関しては(4)イに記載するこ
存在することは確認していないのか。
とが適当ですので、(4)イ(14ページ10-11行目)を次のよ
うに修正します。
「ゲノムDNAを用いたサザンブロット解析により移入した
核酸は染色体上に挿入されていることが示唆された(別
添4)。移入した核酸が核の染色体ではなく、母性遺伝す
る葉緑体或いはミトコンドリアのゲノム上に挿入されてい
る場合には、自殖後代(T1世代)のすべての系統が移入
遺伝子を持ち、後代種子において移入した遺伝子が発
現するはずである。しかし、ウエスタンブロット解析の結
果、T1世代20系統において、移入遺伝子発現産物由来
と考えられるシグナルが検出された系統と検出されな
かった系統が17:3に分離していた。また、移入した核酸で
は、核支配のプロモーターにより遺伝子発現が制御され
ており、移入遺伝子発現産物が種子に蓄積していること
から移入した核酸が核ゲノムに挿入されていることが示
唆された。従って移入した核酸は染色体上に存在すると
判断した。」と修正します。
P15L19 ◎(4)ハ 供与核酸の複数コピーの存在状況について
当該箇所(15ページ24行目)に次の文言を追加します。
隔離圃場での使用に限るのであれば、本データは不要 「よって、細胞内に移入した核酸が隣接しているか離れて
であるが、今回の隔離圃場試験において、取得予定はあ いるかは不明である。今後、医薬品開発にむけて、本遺
伝子組換えイネの全塩基配列を取得する。その際に、供
るのか。もしあるならば明記すべき。
与核酸の存在状況を確認する。なお、本申請にある使用
規程に従った、隔離圃場での限定的な使用であれば、生
物多様性影響を評価するに当たって、本データは用いな
い。」と修正します。
P15L40 ◎(4)ニ 供与核酸の翻訳産物の個体間及び世代間での
発現の安定性について
mALS遺伝子発現産物は、カルス特異的に発現するもの
であり、「本遺伝子組換え植物体で発現していないと推
定される」としているが、今回の隔離圃場試験において、
取得予定はあるのか。もしあるならば明記すべき。
当該箇所(15ページ36行目~16ページ1行目
「発現カセット5に含まれるカルス特異的プロモーターは
発現解析の結果、プロモーター下流に連結した遺伝子が
イネカルス特異的に発現し、イネ植物体、各部位(根、
葉、茎、胚乳、胚)で発現が検出限界未満であることが特
許公報に記載されている。また同プロモーター下流に1点
変異型mALS遺伝子を連結したベクターが市販されてお
り(クミアイ化学工業株式会社)、同プロモーター制御下
のmALS 遺伝子が、イネカルス特異的に発現し、根、茎、
21)
葉および種子で発現していないことが調べられている 。
このことから、mALS 遺伝子発現産物は本遺伝子組換え
植物体で発現していないと推定される。今後、医薬品開
発に向けて、本遺伝子組換えイネにおけるmALS遺伝子
産物の葉、茎、根等の各組織における発現解析データを
取得する。なお、本申請にある使用規程に従った、隔離
圃場での限定的な使用であれば、生物多様性影響を評
価するに当たって、本データは用いない。」と修正いたし
ます。
P17L6 ◎(6)ロ② 生育初期における低温耐性
P17の6行目、「生育初期における。」の「。」は誤植。
御指摘通り修正いたします。
P17L24 ◎(6)ロ⑦ 有害物質の産生性について
根から分泌され、他の植物又は土壌微生物に影響を与
えるものを調査するために、申請書別添10に示す、跡地
土壌を使った検定をしている。このような検定では、根の
表面の根圏土壌を使用する必要があるが、そのような対
応はしているのか。
また、文章の構成を分りやすく。
根圏土壌を用いていますので、別添10の20ページ6行目
を以下のように修正します。
「コシヒカリa123及び遺伝子組換えイネT3各5個体から、
閉鎖系温室でポット栽培した後の根圏土壌を回収した。」
に修正。また 20 頁 16 行目を「コシヒカリa123及び遺伝
子組換えイネT3各5個体から、閉鎖系温室でポット栽培し
た後の根圏土壌を回収した。」に修正いたします。
また、17ページ25~27行目を以下のように修正します。
「別添10に示すとおり、本遺伝子組換えイネの根から根
圏土壌中に分泌され、他の植物又は土壌微生物に影響
を与えるものがないか、また、本遺伝子組換えイネが枯
死した後に他の植物に影響を与えることはないか、レタ
ス種子を用いた他感作用試験を行なった。その結果、根
から分泌され、他の植物又は土壌微生物に影響を与え
るものに関して、コシヒカリa123と遺伝子組換えイネとの
間で、有意な差は認められなかった。また植物体が内部
に有し、枯死した後に他の植物に影響を与えるものに関
して、コシヒカリa123と遺伝子組換えイネとの間で、有意
な差は認められなかった。」
遺伝子組換え P18L27 ◎ホ③ 隔離圃場の作業要領について
生物多様性影響評価書18ページホ③及び、使用規程承
生物等の使用
③に、「種子は漏出しないような容器に納め、オートク
認申請書の2.(3)を以下のように修正します。
等に関する情
レーブまたは焼却炉を用い不活化する。」とある。
「②以外の場合には隔離ほ場内の栽培実験区画で栽培
報
また、別添の緊急措置計画書の4に、「それ以外の種子 したイネは、試験終了後、地上部は刈り取り焼却処分し、
や、その他の部分は焼却処理あるいは鋤込み等による 残りのイネの残渣及び発生した植物は速やかに水を
はった隔離ほ場内にすき込むことにより確実に不活化す
不活化を行う。」とある。
種子が鋤込みにより不活化されるかは、不明確であり焼 る。種子は漏出しないような容器に納め、オートクレーブま
却処理と鋤込み処理の場合分けを明確に記述すべき。 たは焼却炉を用い不活化する。」
また、緊急措置計画書の4を以下のように修正します。
「隔離ほ場で栽培されている本遺伝子組換えイネについ
ては、実験に用いる種子は密閉容器にて運搬、保管す
る。それ以外の種子は漏出しないような容器に納め、
オートクレーブまたは焼却炉を用い不活化する。栽培し
たイネは、地上部は刈り取り焼却処分し、残りのイネの
残渣及び発生した植物は隔離ほ場内にすき込むことによ
り不活化を行う。」
2.項目ごとの生 競合における
物多様性影響 優位性
評価
P19L37 ◎(1) 影響を受ける可能性のある野生動植物等の特定 「除草剤耐性遺伝子」と修正いたします。
について
・除草剤抗耐性遺伝子 とあるが、除草剤耐性遺伝子と
いうことか。同じであるならば、一般的な表現を使用する
べき。
有害物質の産 P21L5 ◎(1) 影響を受ける可能性のある野生動植物等の特定 「除草剤耐性遺伝子」と修正いたします。
生性
について
・除草剤抗耐性遺伝子 とあるが、除草剤耐性遺伝子と
いうことか。同じであるならば、一般的な表現を使用する
べき。