CTCAE v4.0 日本語訳に関する注_JCOGでの運用について

Common Terminology Criteria
for Adverse Events (CTCAE)
Version 4.0
有害事象共通用語規準 v4.0 日本語訳 JCOG 版
(略称:CTCAE v4.0 - JCOG)
JCOG における運用
「JCOG 共用基準範囲」の使用について
JCOG では 2 年ごとに各医療機関で使用中の(施設)基準範囲を収集し、臨床検査値の Grading に使用してきた。し
かし、各医療機関における施設基準範囲のばらつきが、検査値自体のばらつきよりもむしろ大きいことが問題となって
いた。
2013 年 6 月、特定非営利活動法人日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee For Clinical Laboratory
Standards:JCCLS)にて共用基準範囲の策定作業が開始された。JCCLS における、共用基準範囲策定の背景にも、わ
が国では現状、基準範囲が検査室毎に異なった値が採用されていること、基準個体の選別の明確な基準がないこと、
計算方法が統一されていないこと、少数例から不安定な条件で設定されていること、などが挙げられている
1)
。この「共
用基準範囲」は日本臨床衛生検査技師会調査など 6,345 人分のデータが用いられ、基準範囲の定義と設定方法も
個々の臨床検査値の分布を考慮されたものとなっており、全国 200 医療機関が参加する JCOG 試験で用いる基準範囲
としてはこれ以上適切なものはないと判断した。共用基準範囲は 2014 年 3 月現在も策定中であるが、基準範囲の概要
はほぼ固定したことを受け、JCCLS より JCOG での使用許諾を得たうえで、同共用基準範囲を「JCOG 共用基準範囲」と
して 2014 年 4 月より使用することとした。
ただし、JCCLS における「共用基準範囲」は、CTCAEv4.0 中の臨床検査値全ての項目は網羅されていないため、一
部の項目については、JCOG 運営委員会で承認された基準値を用いる。なお、項目ごとの基準範囲と、共用基準範囲
に対応した Grade 定義は、別添の「共用基準範囲対応 CTCAE Grade 定義表」を参照いただきたい。
参考文献 1)市原清志 日本における主要な臨床検査値の規準範囲の共用化 Schneller No.87,2013.Summer
略語について
オリジナル CTCAE v4.0 にて用いられている以下の略語のうち、基準範囲は共用基準範囲を用いる。
LLN:
(共用)基準範囲下限、ULN:
(共用)基準範囲上限
JCOG における運用
・数値評価と事象評価が併記されている場合
主観的になりがちな「生命を脅かす」や各国で規準の異なる「入院を要する」などといった事象評価は用い
ず、JCOG では数値評価のみを用いて評価する。
・10002272 貧血
CTCAE v4.0 では、Grade 3 の定義に事象評価が加わり、Grade 4 の定義が数値評価から事象評価へと変わ
ったが、JCOG では、いずれも CTCAE v3.0 と同じ数値評価を用いる。
(男性)
(女性)
Grade 1 <13.7-10 g/dL
<11.6-10 g/dL
Grade 2 <10-8 g/dL
<10-8 g/dL
(男女共通)
Grade 3 <8.0-6.5 g/dL
<8.0-6.5 g/dL
(男女共通)
Grade 4 <6.5 g/dL
<6.5 g/dL
(男女共通)
1
・10020943 低アルブミン血症
CTCAE v4.0 では、Grade 4 の定義が新たに設けられたが、JCOG では、CTCAE v3.0 を踏襲し、Grade 4 は
定義しない。
Grade 1 <4.1-3 g/dL
Grade 2 <3-2 g/dL
Grade 3 <2 g/dL
Grade 4 -(定義せず)
・10021018 低カリウム血症
CTCAE v4.0 では、Grade 2 の定義が新たに設けられたが、JCOG では、CTCAE v3.0 を踏襲し、Grade 2 は
定義しない。
Grade 1 <3.6-3.0 mmol/L
Grade 2 -(定義せず)
Grade 3 <3.0-2.5 mmol/L
Grade 4 <2.5 mmol/L
・10011368 クレアチニン増加
CTCAE v4.0 では、ベースラインからの変化を評価する規準が加わったが、JCOG では、CTCAE v3.0 を踏
襲し、
(共用)基準範囲上限を基準にして絶対値で評価する。
(男性)
(女性)
Grade 1 >1.07-1.605 mg/dL
>0.79-1.185 mg/dL
Grade 2 >1.605-3.21 mg/dL
>1.185-2.37 mg/dL
Grade 3 >3.21-6.42 mg/dL
>2.37-4.74 mg/dL
Grade 4 >6.42 mg/dL
>4.74 mg/dL
・10020907 高尿酸血症
CTCAE v4.0 では、Grade 1 と Grade 3 で同じ値が用いられ、
「生理機能に影響がない」
、
「生理機能に影響が
ある」で区別しており、JCOG でもこれを踏襲するが、
「生理機能に影響がある」病態の説明として
『高尿酸血症によると判断される関節炎、腎障害、尿管結石が見られた場合を「生理機能に影響がある」
とする』の注釈を付す。
(男性)
(女性)
Grade 1 >7.8-10 mg/dL 生理機能に影響がない
>5.5-10 mg/dL 生理機能に影響がない
Grade 2 -(定義せず)
-(定義せず)
Grade 3 >7.8-10 mg/dL 生理機能に影響がある
>5.5-10 mg/dL 生理機能に影響がある
Grade 4 >10 mg/dL
>10 mg/dL
(男女共通)
・共用基準範囲に定義がない項目について
JCCLS で策定された共用基準範囲の中に該当しない項目については、National Cancer Institute – Common Toxicity
Criteria (NCI-CTCv2.0)日本語訳 JCOG 版-第 2 版での値を使用する。
・10029366 好中球数減少
Grade 1 <2,000-1,500 /mm3
Grade 2 <1,500-1,000 /mm3
Grade 3 <1,000-500 /mm3
Grade 4 <500 /mm3
2
共用基準範囲、NCI-CTCv2.0 日本語訳 JCOG 版-第 2 版、ともに該当しない項目については、2011 年 6 月 25 日第
75 回 JCOG 運営委員会、2014 年 9 月 20 日第 88 回 JCOG 運営委員会、2014 年 12 月 20 日第 89 回 JCOG 運営委
員会で承認された値を使用する。
・10007839 CD4 リンパ球数減少
Grade 1 <800-500 /mm3
Grade 2 <500-200 /mm3
Grade 3 <200-50 /mm3
Grade 4 <50 /mm3
・10025256 リンパ球数減少
Grade 1 <1,000-800 /mm3
Grade 2 <800-500 /mm3
Grade 3 <500-200 /mm3
Grade 4 <200 /mm3
・10024574 リパーゼ増加
Grade 1 >53-79.5 U/L
Grade 2 >79.5-106 U/L
Grade 3 >106-265 U/L
Grade 4 >265 U/L
・10020670 高マグネシウム血症
Grade 1 >2.5-3.0 mg/dL
Grade 2 -
Grade 3 >3.0-8.0 mg/dL
Grade 4 >8.0 mg/dL
・10021028 低マグネシウム血症
Grade 1 <1.8-1.2 mg/dL
Grade 2 <1.2-0.9 mg/dL
Grade 3 <0.9-0.7 mg/dL
Grade 4 <0.7 mg/dL
・10022402 INR 増加
Grade 1 >1.15-1.725
Grade 2 >1.725-2.875
Grade 3 >2.875
Grade 4 -
・10016596 フィブリノゲン減少
Grade 1 <180-135 mg/dL
Grade 2 <135-90 mg/dL
Grade 3 <90-45 mg/dL
Grade 4 <45 mg/dL
・10019150 ハプトグロビン減少
Grade 1 <19 mg/dL
Grade 2 -
Grade 3 -
Grade 4 -
3
・10000486 アシドーシス
JCOG では数値評価のみを用いるため、Grade 4 は定義しない。
Grade 1
pH<7.35 ただし≧7.3
Grade 2 -
Grade 3
pH<7.3
Grade 4 -(定義せず)
・10001680 アルカローシス
JCOG では数値評価のみを用いるため、Grade 4 は定義しない。
Grade 1
pH>7.45 ただし≦7.5
Grade 2 -
Grade 3
pH>7.5
Grade 4 -(定義せず)
・10007613 心筋トロポニン T 増加
Grade 1
0.014-0.1 ng/mL
Grade 2 -
Grade 3
>0.1 ng/mL
Grade 4 -
・10007612 心筋トロポニン I 増加
CTCAE v4.0 では、Grade 1 は「正常上限を超え, かつ, メーカーが定義する心筋梗塞と診断する値を
下回る」と定義されているが、心筋トロポニン I には「メーカーが定義する心筋梗塞と診断する値」が存在し
ない。心筋トロポニン I は感度が高いため、正常上限を越えればまず心筋梗塞と診断される。そのため Grade 1
は定義せず、0.04 ng/mL を超えれば Grade 3 であると定義する。
Grade 1 -(定義せず)
Grade 2 -
Grade 3
>0.04 ng/mL
Grade 4 -
4
別添「共用基準範囲対応 CTCAE Grade 定義表」
CTCAE v4.0
MedDRA
v12.0 Code
10002272
10000636
CTCAE v4.0
SOC 日本語
血液およびリン
パ系障害
Anemia
基準範囲
男性
女性
臨床検査
Activated partial
thromboplastin
time prolonged
男女共通
基準範囲
10001551
CTCAE v4.0
Term
臨床検査
基準範囲
10001675
臨床検査
10003481
基準範囲
臨床検査
10005364
基準範囲
臨床検査
10007612
基準範囲
臨床検査
基準範囲
Alanine
aminotransferas
e increased
男性
女性
Alkaline
phosphatase
increased
男女共通
Aspartate
aminotransferas
e increased
男女共通
Blood bilirubin
increased
男女共通
Cardiac
troponin I
increased
男女共通
CTCAE v4.0
Term 日本語
Grade 1
Grade 2
血液およびリンパ系障害 Blood and lymphatic system disorders
貧血
ヘモグロビン
ヘモグロビン
<LLN-10.0 g/dL;
<10.0-8.0 g/dL;
<LLN-6.2 mmol/L;
<6.2-4.9 mmol/L;
<LLN-100 g/L
<100-80 g/L
13.7 g/dL
<13.7-10 g/dL
<10.0-8.0 g/dL
11.6 g/dL
<11.6-10 g/dL
<10.0-8.0 g/dL
臨床検査 Investigations
活性化部分トロンボ >ULN-1.5×ULN
>1.5-2.5×ULN
プラスチン時間延長
Grade 3
Grade 4
JCOG における運用の説明
ヘモグロビン
<8.0 g/dL;
<4.9 mmol/L;
<80 g/L; 輸血を要する
<8.0-6.5 g/dL
<8.0-6.5 g/dL
生命を脅かす; 緊急処置
を要する
Grade 4 は、CTCAE v3.0 と同じく数
値評価とする
>2.5×ULN; 出血がある
-
<6.5 g/dL
<6.5 g/dL
25-37 sec
>37-55.5 sec
>55.5-92.5 sec
>92.5 sec
-
アラニンアミノトラン
スフェラーゼ増加
>ULN-3.0×ULN
>3.0-5.0×ULN
>5.0-20.0×ULN
>20.0×ULN
42 U/L
23 U/L
アルカリホスファター
ゼ増加
>42-126 U/L
>23-69 U/L
>ULN-2.5×ULN
>126-210 U/L
>69-115 U/L
>2.5-5.0×ULN
>210-840 U/L
>115-460 U/L
>5.0-20.0×ULN
>840 U/L
>460 U/L
>20.0×ULN
322 U/L
アスパラギン酸アミ
ノトランスフェラーゼ
増加
30 U/L
血中ビリルビン増加
>322-805 U/L
>ULN-3.0×ULN
>805-1610 U/L
>3.0-5.0×ULN
>1610-6440 U/L
>5.0-20.0×ULN
>6440 U/L
>20.0×ULN
>30-90 U/L
>ULN-1.5×ULN
>90-150 U/L
>1.5-3.0×ULN
>150-600 U/L
>3.0-10.0×ULN
>600 U/L
>10.0×ULN
1.5 mg/dL
心筋トロポニン I 増
加
>1.5-2.25 mg/dL
正常上限を超え, かつ,
メーカーが定義する心筋
梗塞と診断する値を下回
る
-
>2.25-4.5 mg/dL
-
>4.5-15 mg/dL
メーカーが定義する心筋
梗塞の値以上
>15 mg/dL
-
-
>0.04 ng/mL
-
0.04 ng/mL
部分トロンボプラスチン時間が正常値
を超える臨床検査値の異常。部分トロ
ンボプラスチン時間の延長は凝固能
異常の指標であり、原疾患と治療の
両者を含む様々な疾患や障害により
引き起こされる
【JCOG における運用】「日本語訳に
関する注」参照
活性化部分トロンボプラスチン時間の
基準範囲上限は「37 sec」とする
臨床検査にて生体試料の心筋トロポ
ニン I レベルが上昇
CTCAE v4.0 では、Grade 1 は「正常
上限を超え, かつ, メーカーが定義す
る心筋梗塞と診断する値を下回る」と
定義されているが、心筋トロポニン I に
は「メーカーが定義する心筋梗塞と診
断する値」が存在しない。
心筋トロポニン I は感度が高いため、
正常上限を越えればまず心筋梗塞と
診断される。そのため Grade 1 は定
義せず、0.04 ng/mL を超えれば
Grade 3 であると定義する。
5
別添「共用基準範囲対応 CTCAE Grade 定義表」
CTCAE v4.0
MedDRA
v12.0 Code
10007613
臨床検査
Cardiac
troponin T
increased
心筋トロポニン T 増
加
10007839
基準範囲
臨床検査
男女共通
CD4
lymphocytes
decreased
0.014 ng/mL
CD4 リンパ球減少
10008661
基準範囲
臨床検査
男女共通
Cholesterol high
800 /mm3
コレステロール高値
10011268
基準範囲
臨床検査
基準範囲
10011368
臨床検査
男女共通
CPK increased
男性
女性
Creatinine
increased
248 mg/dL
CPK 増加
248 U/L
153 U/L
クレアチニン増加
男性
1.07 mg/dL
0.79 mg/dL
CTCAE v4.0
SOC 日本語
基準範囲
CTCAE v4.0
Term
女性
CTCAE v4.0
Term 日本語
Grade 1
Grade 2
Grade 3
Grade 4
正常上限を超え, かつ,
メーカーが定義する心筋
梗塞と診断する値を下回
る
0.014-0.1 ng/mL
<LLN-500 /mm3;
<LLN-0.5×10e9 /L
-
メーカーが定義する心筋
梗塞の値以上
-
<500-200/mm3;
<0.5-0.2×10e9 /L
>0.1 ng/mL
<200-50/mm3;
<0.2-0.05×10e9 /L
<50 /mm3;
<0.05×10e9 /L
<800-500 /mm3
>ULN-300 mg/dL;
>ULN-7.75 mmol/L
>248-300 mg/dL
>ULN-2.5×ULN
>248-620 U/L
>153-382.5 U/L
>1-1.5×ベースライン;
>ULN-1.5×ULN
>1.07-1.605 mg/dL
>0.79-1.185 mg/dL
<500-200 /mm3
>300-400 mg/dL;
>7.75-10.34 mmol/L
>300-400 mg/dL
>2.5×ULN-5×ULN
>620-1240 U/L
>382.5-765 U/L
>1.5-3.0×ベースライン;
>1.5-3.0×ULN
>1.605-3.21 mg/dL
>1.185-2.37 mg/dL
<200-50 /mm3
>400-500 mg/dL;
>10.34-12.92 mmol/L
>400-500 mg/dL
>5×ULN-10×ULN
>1,240-2,480 U/L
>765-1,530 U/L
>3.0×ベースライン;
> 3.0-6.0×ULN
>3.21-6.42 mg/dL
>2.37-4.74 mg/dL
<50 /mm3
>500 mg/dL;
>12.92 mmol/L
>500 mg/dL
>10×ULN
>2,480 U/L
>1,530 U/L
>6.0×ULN
>6.42 mg/dL
>4.74 mg/dL
10016596
臨床検査
Fibrinogen
decreased
フィブリノゲン減少
<1.0-0.75×LLN
またはベースラインから
<25%の減少
<0.75-0.5×LLN
またはベースラインから
25-<50%の減少
<0.5-0.25×LLN または
ベースラインから 50-<
75%の減少
10056910
基準範囲
臨床検査
基準範囲
10019150
臨床検査
男女共通
GGT increased
男性
女性
Haptoglobin
decreased
男女共通
180 mg/dL
GGT 増加
64 U/L
32 U/L
ハプトグロビン減少
<180-135 mg/dL
>ULN-2.5×ULN
>64-160 U/L
>32-80 U/L
<LLN
<135-90 mg/dL
>2.5-5.0×ULN
>160-320 U/L
>80-160 U/L
-
<90-45 mg/dL
>5.0-20.0×ULN
>320-1,280 U/L
>160-640 U/L
-
<0.25×LLN またはベー
スラインから 75%以上の
減少または絶対値が<
50 mg/dL
<45 mg/dL
>20.0×ULN
>1,280 U/L
>640 U/L
-
19 mg/dL
<19 mg/dL
-
-
-
臨床検査
Hemoglobin
increased
ヘモグロビン増加
男性
女性
INR increased
16.8 g/dL
14.8 g/dL
INR 増加
男女共通
Lipase
increased
男女共通
1.15
リパーゼ増加
ULN より>2-4g/dL 増加;
ベースラインが ULN を超
えている場合はベースラ
インより>2-4 g/dL 増加
>18.8-20.8
>16.8-18.8
>1.5-2.5×ULN; 抗凝固
療法を行っている場合ベ
ースラインの>1.5-2.5 倍
>1.725-2.875
>1.5-2.0×ULN
ULN より>4 g/dL 増加;
ベースラインが ULN を超
えている場合はベースラ
インより>4 g/dL 増加
>20.8
>18.8
>2.5×ULN; 抗凝固療法
を行っている場合ベース
ラインの>2.5 倍
>2.875
>2.0-5.0×ULN
-
基準範囲
ULN より>0-2 g/dL 増加;
ベースラインが ULN を超
えている場合はベースラ
インより>0-2 g/dL 増加
>16.8-18.8
>14.8-16.8
>1-1.5×ULN; 抗凝固療
法を行っている場合ベー
スラインの>1-1.5 倍
>1.15-1.725
>ULN-1.5×ULN
13-53 U/L
>53-79.5 U/L
>79.5-106 U/L
>106-265 U/L
>265 U/L
基準範囲
10055599
10022402
臨床検査
10024574
基準範囲
臨床検査
基準範囲
-
>5.0×ULN
JCOG における運用の説明
臨床検査にて生体試料の心筋トロポ
ニン T レベルが上昇
心筋トロポニン T の基準範囲上限は
「0.014 ng/mL」とする
臨床検査にて血中 CD4 リンパ球数レ
ベルが低下
CD4 リンパ球数の基準範囲下限は
「800 /mm3」とする
CTCAE v4.0 では、ベースラインから
の変化を評価する規準が加わった
が、JCOG では、CTCAE v3.0 を踏
襲し、基準範囲上限を用いて絶対値
で評価する
臨床検査にて血中フィブリノゲンレベ
ルが低下
フィブリノゲンの基準範囲下限は「180
mg/dL」とする
臨床検査にて血中ハプトグロビンレベ
ルが低下
ハプトグロビンの基準範囲下限は「19
mg/dL」とする
臨床検査にて患者の血中プロトロンビ
ン時間の対照検体に対する比が増加
INR の基準範囲上限は「1.15」とする
臨床検査にて血中リパーゼレベ
ルが上昇
リパーゼの基準範囲上限は「53 U/L」
とする
6
別添「共用基準範囲対応 CTCAE Grade 定義表」
CTCAE v4.0
MedDRA
v12.0 Code
10025256
臨床検査
10029366
基準範囲
臨床検査
10035528
基準範囲
臨床検査
10040139
基準範囲
臨床検査
10049182
基準範囲
臨床検査
10000486
10001680
10020587
10020639
10020647
10020670
CTCAE v4.0
SOC 日本語
CTCAE v4.0
Term
CTCAE v4.0
Term 日本語
Grade 1
Grade 2
Grade 3
Grade 4
JCOG における運用の説明
Lymphocyte
count
decreased
男女共通
Neutrophil
count
decreased
男女共通
Platelet count
decreased
リンパ球数減少
<LLN-800 /mm3;
<LLN-0.8×10e9 /L
<800-500 /mm3;
<0.8-0.5×10e9 /L
<500-200 /mm3;
<0.5-0.2×10e9 /L
<200 /mm3;
<0.2×10e9 /L
リンパ球数の基準範囲下限は「1,000
/mm3」とする
1,000 /mm3
好中球数減少
<1,000-800 /mm3
<LLN-1,500 /mm3;
<LLN-1.5×10e9 /L
<800-500 /mm3
<1,500-1,000 /mm3;
<1.5-1.0×10e9 /L
<500-200 /mm3
<1,000-500 /mm3;
<1.0-0.5×10e9 /L
<200 /mm3
<500 /mm3;
<0.5×10e9 /L
好中球数の基準範囲下限は
「2,000/mm3」とする
2,000 /mm3
血小板数減少
男女共通
Serum amylase
increased
男女共通
White blood cell
decreased
158,000/mm3
血清アミラーゼ増加
<2,000-1,500 /mm3
<LLN-75,000 /mm3;
<LLN-75.0×10e9 /L
<158,000-75,000 /mm3
>ULN-1.5×ULN
<1,500-1,000 /mm3
< 75,000-50,000 /mm3;
<75.0-50.0×10e9 /L
<75,000-50,000 /mm3
>1.5-2.0×ULN
<1,000-500 /mm3
< 50,000-25,000 /mm3;
<50.0-25.0×10e9 /L
<50,000-25,000 /mm3
>2.0-5.0×ULN
<500 /mm3
<25,000 /mm3;
<25.0×10e9 /L
<25,000 /mm3
>5.0×ULN
>264-660 U/L
<2,000-1,000 /mm3;
<2.0-1.0×10e9 /L
<2,000-1,000 /mm3
>660 U/L
<1,000 /mm3;
<1.0×10e9 /L
<1,000 /mm3
pH<7.3
生命を脅かす
pH<7.3
-
基準範囲
男女共通
代謝および栄養
障害
基準範囲
Acidosis
男女共通
>132-198 U/L
>198-264 U/L
<LLN-3,000 /mm3;
<3,000-2,000 /mm3;
<LLN-3.0×10e9 /L
<3.0-2.0×10e9 /L
3,300 /mm3
<3,300-3,000 /mm3
<3,000-2,000 /mm3
代謝および栄養障害 Metabolism and nutrition disorders
アシドーシス
pH<正常値.
ただし≧7.3
7.35-7.45
<7.35 ただし≧7.3
代謝および栄養
障害
基準範囲
Alkalosis
アルカローシス
男女共通
7.35-7.45
代謝および栄養
障害
Hypercalcemia
基準範囲
代謝および栄養
障害
基準範囲
代謝および栄養
障害
基準範囲
代謝および栄養
障害
基準範囲
132 U/L
白血球減少
pH>正常値.
ただし≦7.5
>7.45 ただし≦7.5
-
pH>7.5
生命を脅かす
-
pH>7.5
-
高カルシウム血症
補正血清カルシウム
>ULN-11.5 mg/dL;
>ULN-2.9 mmol/L;
イオン化カルシウム
>ULN-1.5 mmol/L
男女共通
Hyperglycemia
10.1 mg/dL
高血糖
>10.1-11.5 mg/dL
空腹時血糖値
>ULN-160 mg/dL また
は
>ULN-8.9 mmol/L
補正血清カルシウム
>11.5-12.5 mg/dL;
>2.9-3.1 mmol/L;
イオン化カルシウム
>1.5-1.6 mmol/L; 症状
がある
>11.5-12.5 mg/dL
空腹時血糖値
>160-250 mg/dL または
>8.9-13.9 mmol/L
補正血清カルシウム
>12.5-13.5 mg/dL;
>3.1-3.4 mmol/L; イオ
ン化カルシウム
>1.6-1.8 mmol/L; 入院
を要する
>12.5-13.5 mg/dL
>250-500 mg/dL;
>13.9-27.8 mmol/L; 入
院を要する
補正血清カルシウム
>13.5 mg/dL;
>3.4 mmol/L; イオン化
カルシウム
>1.8 mmol/L; 生命を脅
かす
>13.5 mg/dL
>500 mg/dL;
>27.8 mmol/L; 生命を
脅かす
男女共通
Hyperkalemia
109 mg/dL
高カリウム血症
>109-160 mg/dL
>ULN-5.5 mmol/L
>160-250 mg/dL
>5.5-6.0 mmol/L
男女共通
Hypermagnese
mia
4.8 mmol/L
高マグネシウム血症
>5.5-6.0 mmol/L
-
男女共通
2.5 mg/dL
>4.8-5.5 mmol/L
>ULN-3.0 mg/dL;
>ULN-1.23 mmol/L
>2.5-3.0 mg/dL
>250-500 mg/dL
>6.0-7.0 mmol/L; 入院
を要する
>6.0-7.0 mmol/L
>3.0-8.0 mg/dL;
>1.23-3.30 mmol/L
>3.0-8.0 mg/dL
>500 mg/dL
>7.0 mmol/L; 生命を脅
かす
>7.0 mmol/L
> 8.0 mg/dL; > 3.30
mmol/L; 生命を脅かす
>8.0 mg/dL
-
血中や他の組織中の酸(高水素イオ
ン濃度)の過剰
pH の基準範囲下限は「7.35」とする
JCOG では、数値評価のみを用いる
ため Grade 4 は定義しない
血中や他の組織中のアルカリイオン
(低水素イオン濃度)の過剰
pH の基準範囲上限は「7.45」とする
JCOG では、数値評価のみを用いる
ため Grade 4 は定義しない
マグネシウムの基準範囲上限は「2.5
mg/dL」とする
7
別添「共用基準範囲対応 CTCAE Grade 定義表」
CTCAE v4.0
MedDRA
v12.0 Code
10020680
10020907
10020943
10020949
10021005
10021018
10021028
10021038
10021059
CTCAE v4.0
SOC 日本語
CTCAE v4.0
Term
CTCAE v4.0
Term 日本語
代謝および栄養
障害
Hypernatremia
高ナトリウム血症
>ULN-150 mmol/L
基準範囲
代謝および栄養
障害
男女共通
Hyperuricemia
145 mmol/L
高尿酸血症
基準範囲
男性
7.8 mg/dL
女性
5.5 mg/dL
代謝および栄養
障害
基準範囲
Hypoalbuminem
ia
低アルブミン血症
男女共通
4.1 g/dL
代謝および栄養
障害
Hypocalcemia
基準範囲
代謝および栄養
障害
Grade 1
Grade 2
Grade 3
Grade 4
>150-155 mmol/L
> 155-160 mmol/L; 入
院を要する
>160 mmol/L; 生命を脅
かす
>145-150 mmol/L
>ULN-10 mg/dL(0.59
mmol/L)であり, 生理機
能に影響がない
>7.8-10 mg/dL, 生理機
能に影響がない
>5.5-10 mg/dL, 生理機
能に影響がない
<LLN-3 g/dL;
<LLN-30 g/L
<4.1-3 g/dL
>150-155 mmol/L
-
>160 mmol/L
>10 mg/dL;
>0.59 mmol/L; 生命を
脅かす
>10 mg/dL
<3-2 g/dL;
<30-20 g/L
<3-2 g/dL
>155-160 mmol/L
>ULN-10 mg/dL(0.59
mmol/L)であり, 生理機
能に影響がある
>7.8-10 mg/dL, 生理機
能に影響がある
>5.5-10 mg/dL, 生理機
能に影響がある
<2 g/dL;
<20 g/L
<2 g/dL
低カルシウム血症
補正血清カルシウム
<LLN-8.0 mg/dL;
<LLN-2.0 mmol/L; イオ
ン化カルシウム
<LLN-1.0 mmol/L
男女共通
Hypoglycemia
8.8 mg/dL
低血糖
<8.8-8.0 mg/dL
<LLN-55 mg/dL;
<LLN-3.0 mmol/L
補正血清カルシウム
<8.0-7.0 mg/dL;
<2.0-1.75 mmol/L ; イ
オン化カルシウム
<1.0-0.9 mmol/L; 症状
がある
<8.0-7.0 mg/dL
<55-40 mg/dL;
<3.0-2.2 mmol/L
補正血清カルシウム
<7.0-6.0 mg/dL;
<1.75-1.5 mmol/L; イオ
ン化カルシウム
<0.9-0.8 mmol/L; 入院
を要する
<7.0-6.0 mg/dL
<40-30 mg/dL;
<2.2-1.7 mmol/L
基準範囲
代謝および栄養
障害
基準範囲
男女共通
Hypokalemia
73 mg/dL
低カリウム血症
<73-55 mg/dL
<LLN-3.0 mmol/L
男女共通
3.6 mmol/L
<3.6-3.0 mmol/L
<55-40 mg/dL
<LLN-3.0 mmol/L; 症
状がある; 治療を要する
-
<40-30 mg/dL
<3.0-2.5 mmol/L; 入院
を要する
<3.0-2.5 mmol/L
補正血清カルシウム
<6.0 mg/dL;
<1.5 mmol/L;
イオン化カルシウム
<0.8 mmol/L; 生命を脅
かす
<6.0 mg/dL
<30 mg/dL;
<1.7 mmol/L; 生命を脅
かす; 発作
<30 mg/dL
<2.5 mmol/L; 生命を脅
かす
<2.5 mmol/L
代謝および栄養
障害
Hypomagnesem
ia
低マグネシウム血症
<LLN-1.2 mg/dL;
<LLN-0.5 mmol/L
<1.2-0.9 mg/dL;
<0.5-0.4 mmol/L
<0.9-0.7 mg/dL;
<0.4-0.3 mmol/L
基準範囲
代謝および栄養
障害
基準範囲
代謝および栄養
障害
男女共通
Hyponatremia
1.8 mg/dL
低ナトリウム血症
<1.8-1.2 mg/dL
<LLN-130 mmol/L
<1.2-0.9 mg/dL
-
<0.9-0.7 mg/dL
<130-120 mmol/L
男女共通
Hypophosphate
mia
138 mmol/L
低リン酸血症
<138-130 mmol/L
<LLN-2.5 mg/dL;
<LLN-0.8 mmol/L
<2.5-2.0 mg/dL;
<0.8-0.6 mmol/L
<130-120 mmol/L
<2.0-1.0 mg/dL;
<0.6-0.3 mmol/L
基準範囲
男女共通
2.7 mg/dL
<2.7-2.5 mg/dL
<2.5-2.0 mg/dL
<2.0-1.0 mg/dL
-
JCOG における運用の説明
高尿酸血症によると判断される関節
炎、腎障害、尿管結石が見られた場
合を「生理機能に影響がある」とする
>10 mg/dL
生命を脅かす; 緊急処置
を要する
-
<0.7 mg/dL;
<0.3 mmol/L; 生命を脅
かす
<0.7 mg/dL
<120 mmol/L; 生命を脅
かす
<120 mmol/L
<1.0 mg/dL;
<0.3 mmol/L; 生命を脅
かす
<1.0 mg/dL
CTCAE v4.0 では、Grade 4 の定義
が新たに設けられたが、JCOG では、
CTCAE v3.0 を踏襲し、Grade 4 は
定義しない
CTCAE v4.0 では、Grade 2 の定義
が新たに設けられたが、JCOG では、
CTCAE v3.0 を踏襲し、Grade 2 は
定義しない
マグネシウムの基準範囲下限は「1.8
mg/dL」とする
8