総務省予算(略 scope) :ICT イノベーション創出型研究開発(領域Ⅲ:ユニバーサル・ コミュニケーション技術) 課題名:高齢者・障がい者の自立支援のための複合現実感(MR)技術を用いた多感覚フ ィードバック型遠隔ヘルストレーニング・リハビリテーションシステムの研究開発 (121803001) 研究代表:田中敏明(東京大学先端科学技術研究センター) 研究開発の目的 高齢化社会の急速な進展は,病院などにおける医療費の高騰を招き,在宅介護への転換 が進められている.訪問リハビリテーションが有効な手段の一つであるが,過疎地域,遠 隔地では訪問そのものが困難という問題がある.そこで本研究では健康高齢者,外来患者 および障碍者(しょうがいしゃ)の在宅リハビリを支援するため,自宅にいながらも通院・ 訪問サービスと同質のヘルス・リハビリテーションを受けられる遠隔ヘルス・リハビリテ ーションシステムの研究・開発を目的とする. 本研究で開発・研究するシステムでは,医師、理学療法士や作業療法士等が遠隔から利 用者(健康高齢者・外来患者・障碍者)の状態をリアルタイムで監視・指導が可能となる ように,利用者宅,関連病院施設,さらに研究施設をも含めた情報ネットワークを構成す る.また,効果的なヘルス・リハビリテーションコンテンツを提供するために,MR(複合 現実感)技術を用いた多感覚フィードバック型の新しい遠隔ヘルス・リハビリテーション システムの構築を目指す.特に, 3次元(3D)画像呈示装置,四肢体幹で感知しやすい振 動装置を開発することにより,ヒトが運動方向を容易に理解可能なシステムとする. 本システムにより,高齢者・外来患者・障碍者は遠隔においてもよりリアルな環境で, 正確かつ,適切なヘルス・リハビリトレーニングを受容することが可能となる. 3D 視覚表示、振動刺激装置付き遠隔ヘルス・リハビリシステムは国内初、世 界発である。 研究目的(詳細) 高齢社会の急速な進展は,病院などにおける高齢者・障碍者(しょうがいしゃ)介護に よる医療費の高騰を招き,在宅介護への転換が進められている.しかしながら,そのなか で十分なリハビリテーションを受けられない外来患者・障碍者など「リハビリ難民」への 早急な対策の必要性も生じてきている.この対応の一つとして高齢者や障碍者に対する充 実した訪問リハビリが有効な手段であるが,散在する対象者宅を巡回するには長時間の移 1 動時間を要し,また市街地から離れた山間部などの遠隔地では訪問そのものが困難という 問題がある.また,医療施設,医療従事者数など医療資源に大きな格差を生じており,地 域格差の是正対策が急務でもある.現在,日本における遠隔医療は過疎地域と画像診断診 療など限定された使用となっているが,地域格差拡大,高齢化を考慮すると,近い将来に おいて遠隔技術を用いた保健・医療・福祉の充実・拡大に向けた準備は急務である. そこで本研究では健康高齢者および外来患者・障碍者の在宅リハビリテーションを支援 するため,自宅にいながら通院・訪問サービスと同質のものを受けられる遠隔ヘルス・リ ハビリテーションシステムの研究・開発を目的とする.本研究で開発・研究するシステム では,理学療法士や作業療法士等が遠隔から利用者(健康高齢者・外来患者・障碍者)の 状態をリアルタイムで監視・指導が可能となるように,利用者宅-関連病院施設をネットワ ークで結ぶ.さらに,システムの研究開発促進のため研究施設をも含めた情報ネットワー クを構築する(図 1).また,効果的なヘルス・リハビリテーションコンテンツを提供する ために,MR(複合現実感)技術を用いた多感覚フィードバック型の新しい遠隔ヘルス・リ ハビリテーションシステムの構築を目指す.特に, 3 次元画像呈示装置(ディスプレイ, HMD) ,3 軸方向に振動可能な振動子を開発することにより,ヒトが運動方向を容易に理 解可能なシステムとする.コンテンツとして,高齢者・外来患者・障碍者の上肢・下肢, バランス,視覚認知に関する感覚と運動機能両面の維持・改善を目的としたヘルス・リハ ビリテーションゲームを作成する(資料1) . 本システムにより,高齢者・外来患者・障碍者は遠隔においてもよりリアルな環境で, 正確かつ,適切なヘルス・リハビリトレーニングを受容することが可能となる.さらに, 本システムの有用性を検証し,日本における医療資材地域格差是正に貢献するものである. 2 図 1 大学-在宅-病院・施設間での遠隔リハビリネットワーク構築図 3
© Copyright 2024 ExpyDoc