[ティーマックス・リサーチ・レポート] 2015.9.24 ティーマックス不動産天気予報【2015.7 調査】 2015 年下期は全用途で NOI の回復が進み、 「晴れ時々くもり」の予報に 株式会社ティーマックス 不動産戦略室 03-5501-2950 「ティーマックス不動産天気予報」は、J-REIT 保有不動産から基準不動産を抽出し、各物件の現 在~6 ヵ月後、7 ヵ月後~12 ヵ月後の NOI(Net Operating Income)を予測し、中長期的に安定的 と見込まれる基準 NOI との乖離を天気図に見立てて不動産市況の見通しを定性的に表現するもの。 今回は 2015 年 6 月末時点の天気と、2015 年下期(2015 年 7 月~12 月)、2016 年上期(2016 年 1 月~6 月)の天気予報を公表する。 <不動産天気予報 概況> 全用途の 2015 年 6 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」、2015 年下期と 2016 年上期ともに「晴 れ時々くもり」となり、NOI の回復が続く予報となった。 用途別では、オフィスの 2015 年下期以降は堅調な賃貸マーケットを反映し「晴れ時々くもり」とな る予報。賃貸住宅・物流施設も 2015 年以降「晴れ時々くもり」が続く予報である。商業施設の現在の NOI はマイナスだが、2015 年下期には「晴れ時々くもり」に好転する予報となった。 不動産天気予報図 現在 2 0 1 5 年下期の予報 2 0 1 6 年上期の予報 2 0 1 5 年6 月末 2 0 1 5 年7 月~1 2 月 2 0 1 6 年1 月~6 月 晴れ時々くも り 晴れ時々く もり 晴れ時々く もり 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 晴れ時々くも り 全用途 オフィス 賃貸住宅 ( レジ デンス) 商業施設 物流施設 TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved. 1 用途別の分析結果は以下の通りである。 ■オフィス 2015 年 6 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2015 年下期以降も「晴れ時々くもり」 の予報となった。 オフィスは主要エリアでみると、大手町・丸の内・有楽町エリアにおいては、2015 年に約 9.5 万坪の新規供給があり、2016 年以降も引き続き新規供給が見込まれるものの、当エリアは集約移 転などのニーズが高いため、需給バランスは引き続き逼迫すると予想される。渋谷エリアでは IT 関連企業による需要が根強くオフィス需要は旺盛となっている。当面は大型供給がないため需給 環境は逼迫しており賃料水準は上昇基調となっている。虎ノ門~新橋エリアでは 2014 年 6 月に 竣工した「虎ノ門ヒルズ」がほぼ満室稼働となり大型ビルでの空室在庫は減少傾向となっている。 2020 年に向け、 「 (仮称)虎ノ門四丁目プロジェクト(虎ノ門パストラル跡地)」 、虎ノ門駅と神谷 町駅間での日比谷線新駅整備などが進んでおり、今後オフィスエリアのポテンシャルは向上する ものと予想される。 J-REIT におけるオフィス(全エリア)の実績稼働率(2015 年 6 月末)は、97%と高稼働が続 いている。エリアごとに状況は異なるものの、新規賃料の上昇により賃料ギャップ(新規賃料と 稼働賃料との乖離)は解消しつつあり、2015 年下期以降は NOI が改善する見込みである。 ■賃貸住宅 2015 年 6 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2015 年下期以降も「晴れ時々くもり」 の予報となった。 国土交通省の住宅着工統計資料によると、2015 年 6 月までの 12 ヵ月間の貸家着工数は 36.3 万 戸で、やや増加傾向にあるものの過去 10 年平均の貸家着工数 38.9 万戸に比べるとまだ少なく、 賃貸マーケットへの影響は限定的だとみられる。J-REIT における賃貸住宅(全エリア)の稼働 率をみても、96%と高稼働を維持しており、継続賃料も安定している。特に地方都市 5 都市(札 幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市)では都市部への転入増加により需要が安定し高稼働 となり、賃料も安定している。今後もこうした傾向が続き、NOI は安定的に推移する見通しであ る。 ■商業施設 2015 年 6 月末時点の天気は「くもり」となったが、2015 年下期以降は「晴れ時々くもり」の 予報となった。 経済産業省の商業動態統計によると、2015 年 6 月までの 12 ヵ月間の百貨店売上高は 6.7 兆円 (前年同期比▲0.2%) 、スーパー13.4 兆円(前年同期比+1.5%)、コンビニエンスストア 10.7 兆 円(前年同期比+5.6%)となり、スーパーとコンビニが前年同期比プラスだが百貨店は消費増税 の反動でやや苦戦している。しかしながら日本政府観光局公表の訪日外客数は、2015 年 6 月まで の 6 ヵ月間で 913 万人となり、好調だった 2014 年(年間 1340 万人)を上回るペースで伸びてお り、国内消費を下支えしているとみられる。 TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved. 2 ■物流施設 2015 年 6 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2015 年下期以降も「晴れ時々くもり」 の予報となった。 EC 市場の拡大や小売業の通販部門の当日配送サービスエリア拡大に伴い需要は旺盛であり、 足元における大型物流施設の空室率は低位で推移している。首都圏湾岸部(平和島、品川区八潮) では築古倉庫から大型倉庫への建替え計画により、物流倉庫のスクラップアンドビルドが加速す ると予想される。J-REIT における物流施設(全エリア)の稼働率も良好であり、賃料も安定的 に推移する見通しである。 調査概要 「ティーマックス不動産天気予報」は、①J-REIT が保有する不動産から基準不動産を抽出、 ②基準不動産について 2015 年 6 月末時点を起点に、2015 年下期(7 月~12 月)の 6 ヵ月間の予測 NOI、2016 年上期(1 月~6 月)の 6 ヵ月間の予測 NOI を査定し、中長期的に安定的と見込まれる基準 NOI との乖離率を求め、③指定セグメントごとに集計した乖離率を天気に見立てることで天気予 報図として表し、④これを 6 ヵ月ごとに更新するものである。 ① 基準不動産の用途は、オフィス、賃貸住宅、商業施設、物流施設で合計 250 物件 選定基準は主要エリアに配慮し、 ・オフィスは、大~中規模ビルを中心とし、主にマルチテナントビル ・賃貸住宅は、ワンルームとファミリータイプからそれぞれ抽出、高級賃貸物件もカバー ・商業施設は、NOI、賃料等の開示情報がある物件 ・物流施設は、NOI、賃料等の開示情報がある物件 ② 現在を起点とし 1~6 ヵ月後、7~12 ヵ月後の予測 NOI を査定 予測 NOI(Net Operating Income)は賃貸事業収益から賃貸事業費用(減価償却費、capex 等は含まない)を控除した純収益を指す。本調査では、投資法人が発表している決算短信等で 公表された実績値を参考に、市場賃料・空室率の査定値、テナント入退去の最新ニュース、独 自調査したテナント需給動向等を反映し、現在を起点にした 6 ヵ月間ごとの予測 NOI を査定 する。 ③ 天気予報図の表示ルール 天気予報図は、基準不動産ごとに直近の実績 NOI(±0) 、1~6 ヵ月後の予測 NOI(+6)、 7~12 ヵ月後の予測 NOI(+7~12)と基準 NOI との乖離率を指定セグメント別に集計する。 <概念図> (基準不動産) 決算短信による実績NOI比較 現在のNOIと 基準NOIとの乖離率 = 実績NOI(±0)-基準NOI 基準NOI 1~6ヵ月後の予測NOI(+6) 今後6ヵ月間のNOIと 基準NOIとの乖離率 = 予測NOI(+6)-基準NOI 基準NOI 7~12ヵ月後の予測NOI(+7~12) 7~12ヵ月後のNOIと 基準NOIとの乖離率 = 予測NOI(+7~12)-基準NOI 基準NOI Σ (現在のNOI乖離率の指定セグメント集計) Σ (今後6ヵ月間のNOI乖離率の指定セグメント集計) Σ (7~12ヵ月後のNOI乖離率の指定セグメント集計) 現在の天気予報図へ 6ヵ月後の天気予報図へ 12ヵ月後の天気予報図へ NOI乖離率がマイナス NOI乖離率がプラス NOI乖離率がマイナス NOI乖離率がプラス TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved. NOI乖離率がマイナス NOI乖離率がプラス 3 ④ 天気予報図の調査時期 調査時期は、1 月と 7 月の年 2 回を予定している。 *免責事項 当ニュースリリースで示されているレポートは、投資判断のための情報提供を目的としたものであり、投資勧 誘や特定の銘柄への投資の推奨を目的としたものではありません。内容は現時点での判断を示したに過ぎず、 データ及び表現などの欠落、誤謬などにつきましては責任を負いかねますのでご了承ください。当レポートの いかなる部分もその権利は株式会社ティーマックスに帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、無 断で複製または転送などを行わないようお願いします。 <本件に関するお問い合わせ> 株式会社ティーマックス 不動産戦略室 〒100-0011 東京都千代田区内幸町 2-2-1 日本プレスセンタービル TEL:03-5501-2950 FAX:03-5501-2951 E-Mail:[email protected] 株式会社ティーマックスは、累計1 万8,000 件の不動産デューデリジェンス実績をもつ不動産評価会社です(不動産鑑 定業 東京都知事(3)第1823 号)。 不動産評価のリーディングカンパニーとして、全国のオフィス、住宅からオペレーショナルアセットまで多様な投資用不 動産の評価サービスを提供すると同時に、調査研究事業では不動産投資インデックスの開発・配信や、不動産マーケッ ト全般の調査・分析を行っています。 「マーケット・リサーチ・レポート」は、ティーマックスが不動産の旬のトピックに関して分析、紹介するレポートです。 過去のレポートはホームページで公表しています。 http://www.tmaxv.co.jp/ (弊社ホームページトップ)→ナレッジレポート TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved. 4
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