ニュースレター(2015年9号)

Accord News 2015
EMS( 救急医療サービス ) ニュース
09
2015/1/28
EMS ニュースの第 9 号をお届けします。
今回は熱傷傷病者の体温について、熱傷センターに搬送された傷病者データの
及調査を行った研究を取り上
げました。
熱傷センターへ運ばれた時点で、2770 人の内、低体温症を起こしていた傷病者はどれくらいいたのでしょうか。
The
Conscience
of EMS
Journal of Emergency
Medical Services
低体温症のリスクファクター
実は、熱傷患者の体温は下がっていた!
2000 年 1 月から 2011 年 12 月までの 12 年間に、ペンシルヴァニア州の 4 か所の熱傷センターへ搬送・処置さ
れた熱傷傷病者を、ピッツバーグ大学救急医学科の研究者並びにニューヨークの調査機関が って記録を調査し、
低体温症のリスクファクターを分析した。
最終的に調査対象に上った傷病者数は 2770 人であった。2770 人のうち 72%(1994 人)は中央年齢 42 歳の男性
であった。大半の傷病者(81%、2244 人)は TBSA>20%だった。7%(194 人 ) は TBSA>40% だった。搬送さ
れた熱傷傷病者の体温の中央値は 36.7℃であった。調査の結果、
42%(1163 人)
が、低体温化していると考えられた。
重度の熱傷傷病者は体温管理機能が低下するために、
低体温化の危険要因は救急隊員によって容易に判別
低体温症になり易い。熱傷ケアの特徴として輸液管
が可能であるので、正常体温の維持は、病院前のケ
理、熱傷の手当・痛みの管理と熱傷センターへの素
アにおいてもっと重視されるべきである。
早い搬送があるが、その努力に比べて体温管理は、
しばしば軽視されてきた。全ての外傷管理と同様に
現在の熱傷の処置は、TBSA≧25% にはドライドレッ
熱傷病者を正常体温に保つことは、正常な生体機能
シング、それ未満の熱傷にはドライドレッシング、
を維持するキーとなる。
あるいはウォータージェルのような熱傷傷病者を低
体温化させないジェル ( パッド、ドレッシング、ブ
体表面積で分類すると低体温症の割合は、TBSA≧
ランケット)の適用が推奨されている。
40%の傷病者で 62%だった。TBSA=20-39%で
48%、TBSA<20% では 39%だけだった。
結語
他の要因では、60 歳以上、グラスゴーコーマスケー
周知のこと:
ル GCS≦8 および熱源からの救出の必要があったか
重度の熱傷は、低体温症・高カリウム血漿・組織の
どうかが、熱傷傷病者の低体温化に関係していると
壊死により、高い死亡率となっている。
考えられた。
この研究で追加されること:
冬季の熱傷傷病者は低体温症になり易く、体重 90
広範囲の熱傷傷病者、高齢の熱傷傷病者あるいは長
㎏以上の傷病者は低体温症になる可能性が低かった。
時間熱源に晒されていた熱傷傷病者の多くは低体温
化し易いため、より厳密に観察しなければならない。
今回の検証で、熱傷傷病者の多くは病院到着時に低
体温化していることが実証された。そうだとすれば
製品紹介
JEMS September 2014, Prone to Hypothermia 並びに
December 2014,Hles in Burn Victim Study Negate Prehospital
Blame-Patient Care より抄訳
ウォータージェル
低体温症を起こさせない熱傷専用冷却材
WJ ドレッシング
6 サイズ
ウォータージェルミリタリー
熱傷の温度を 4 分以内
5x15cm
10x10cm
で体温まで下げます。
10x40cm
熱傷の進行を止め受傷
20x45cm
を最小限にします。
ハンド
フェイスマスク
10x10cm
10x40cm
20x45cm
28x49cm
76x90cm
152x183cm
あとがき
昨年の 1 月から始めた「EMS ニュース」
は発行してから 1 年が経ちました。引き続
き今年も面白そうな情報を、月に 1 回を目
標に発行したいと思っています。
引用した情報の元記事(英文)は PDF ファ
イルで提供可能ですので、メールにて担当
高橋まで請求ください。
email:[email protected]