住宅の省エネルギー化の推進

住宅の
省エネルギー化
の推進
大工・工務店の省エネ施工技術の向上をめざして
わが国は温暖化問題や大震災を契機としたエ
ネルギー制約に直面しており、エネルギー使用
における低炭素型の社会をつくることが大きな
課題となっています。
早急に取り組まねばならない住宅の省エネル
ギー化のために、国では新築住宅・建築物の段
階的な省エネルギー基準への適合化を進めてお
り、地域の大工・工務店も省エネルギーのための
適正な技術習得が求められています。
全国木造住宅生産体制推進協議会
省エネルギー性能の向上へ
地球温暖化などにより住宅の低炭素化推進が求められています
日本の平均気温は
上昇の一途
1
大震災を機に電力供給が低下し、
使えるエネルギーが制約されていま
す。
このことからも住宅での省エネル
ギー化が必要となっています。
トレンド=0.68(℃/100年)
年平均からの差︵℃︶
1981-2010
世界の年平均気温は100年
あたり0.68℃の割合で上昇。
日本は1.15℃の割合で上昇
し、
特に異常高温日が増え、
熱帯夜や猛暑日が増加。そ
の分冷房使用が増し、温暖
化をさらに進めています。
そ
のため、
住宅での低炭素化、
つまり省エネルギー化が課
題となっています。
0.5
世界
0
家庭での
エネルギー消費は
減少していません
-0.5
-1
住宅・建 築 分野はわが国のエネル
ギー消費の約3割も占めています。加
えて、世帯数・床面積の増加やライフ
スタイルの変化で、
エネルギー消費は
増えています。
日本
-1.5
トレンド=1.15(℃/100年)
-2
1900
1920
1940
1960
1980
2000(年)
年平均気温の経年変化(1898-2011年)の傾向
(出典:気象庁「気候変動監視レポート2011」をもとに作成)
断熱の重要性
住宅内に生じる温度むら
がもたらす問題
と
適さ に
快
冬の のため
健康
断熱強化
10000
断熱強化+通風
9000
断熱強化+通風
+日射遮断
8000
7000
6000
5000
4000
0
2
4
6
8
10
12
熱損失係数
断熱・遮熱・通風の効果
(出典:2020 年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会
(HEAT20)報告会資料)
適切な断熱化はエネルギーインフラが
途絶えたとき温度降下を防ぐ
28
暖房停止
26
が
フラとき
ン
イ えた
途絶
1F居間(左目盛り)
1Fトイレ(左目盛り)
24
22
12時間で5℃低下
20
14
-5
-10
18
16
0
外気温︵℃︶
災害や事故 等で 冬
期にエネルギーイン
フラが途絶えると、
暖 房設 備が 使えま
せん。断熱化してあ
れば、温度降下をあ
る程度防げます。
住宅省エネ基準を満たす住宅
寒
症
熱中策
対
11000
室温︵℃︶
住宅の省エネルギー化に欠かせない技術が断熱
ですが、断熱化には暖房室内の温度差および暖房
室とトイレ・浴室などの非暖房室との温度差を少な
くできるメリットも。
こ
れが低い温度でも快
適で温度むらがない
住空間を実現し、部屋
間の急激な温度変化
によるヒートショック
断熱性能が低い住宅
の予防にもなります。
室内での熱中症が
増加。一方、省エネ
のためエアコンの
温度を下げすぎな
いようにとの声も。
これに対して、断熱
化と適切な通風、
日射遮蔽は室温を
低下させます。
冷房負荷
断熱のメリットは省エネルギー化
だけではありません
近年増加している熱中症
-15
外気(右目盛り)
-20
12
暖
12 14 16 18 20 22 0
エアコンで暖房している空間の温度比較
(出典:2020 年を見据えた住宅の高断熱化
技術開発委員会
(HEAT20)報告会資料)
年金生活時の光熱費の削減
2月1日
低下
収入 して
に対
年金は減少傾向にあり、光熱費が高齢
者の生活を圧迫していますが、断熱化してあれば、
光熱費を少なくすることができます。
2
4
6
8 10 12(時)
2月2日
非暖房時の温度降下
→0.4∼0.7[deg℃/h]
暖房停止後の温度降下は
外気にくらべゆるやか
厳寒期の平成11年基準対応住宅の実測結果
(出典:北方建築総合研究所測定結果より)
地域の快適な住環境実現のために
大工・工務店にとって適正な断熱化技術の習得は必須で、
これから地域の人々の安全で快適な住生活に寄与します
国の「低炭素社会に向けた住まいと住まい方」の推進方策の中間報告
では、
平成32年までに新築住宅の省エネルギー基準への100%適合
化をめざしています。大工・工務店にとって断熱化等の住宅の省エネ
ルギー化技術習得の大きなチャンスです。技術の習得は同時に、低炭
素化社会の実現と地域の人々の生活向上にも寄与します。
技術を
活かす場
1
戸建住宅の省エネ基準適合率は
まだ5~6割程度
技術を
活かす場
2
大規模建築物の省エネ基準適合率は約9割に
達していますが、戸建住宅はまだ5~6割程度。特に、
大工・工務店よる、省エネルギー基準に適合した戸建住宅
の供給は、十分には進んでいないのが現状です。その
主な理由は設計・施工が難しい、知識不足・情報不足と
いうような省エネルギー技術の浸透の不十分さによる
ものです。つまり、これらの技術・知識・情報を得れば、
それを活かす場がたくさんあるということです。
住宅のストック全体に対する新築供給の割合を
考えると、既存の住宅の省エネルギー性能の向上は、
新築住宅に対する以上に重要です。リフォームにおいて
きめ細かな対応ができる地域の大工・工務店の活躍の場
が増してきています。
技術を
活かす場
3
その他
断熱補強が
施工困難
構造的に
断熱化が困難
防湿施工が
難しい
4%
6%
14%
15%
工務店
アンケート
結果
33%
既存の住宅に対する
省エネルギーリフォーム市場が拡大
CO2削減には
木造住宅の供給が重要
住宅のライフサイクル全体を通じたCO₂の排出量
を削減するには、地域材を活用した木造住宅の一層の
供給が重要です。ここでも地域の大工・工務店の活躍が
大いに期待できます。
設計施工が
難しい
n=218
28%
大工・工務店は、地 域の住宅生 産を守る役割を十 分
認識し、省エネルギー化された住宅の建築技術や省エネ
ルギーリフォーム技術の習得等を通じて、活躍の場を
広げ、地域の人々の安全で快適な住生活を実現すること
が大切です。
知識不足・
情報不足
省エネ基準適合住宅を供給できなかった技術的な理由
(出典:国土交通省 講演資料「地域における木造住宅生産体制強化に向けた施策について」より作成)
今後の省エネ施策のロードマップ
平成24年度
(2012)
告示改正
【非住宅】
2012年度中施行
【住宅】
2012年度
以降早期施行
平成26年度
(2014)
平成27年度
(2015)
平成28年度
(2016)
平成29年度
(2017)
平成30年度
(2018)
平成31年度
(2019)
平成32年度
(2020)
平成42年度
(2030)
※義務化の水準は、見直し後の省エネ基準を基本に、義務化導入時点での省エネ基準達成率等を勘案して設定。
大規模
中規模
小規模
届出義務
〈2,000㎡以上〉
適合義務※
〈2,000㎡以上〉
届出義務
〈300∼2,000㎡〉
適合義務※
〈300∼2,000㎡〉
努力義務
〈300㎡未満〉
適合義務※
住宅・
建築物の
最低限の
省エネ性能
の確保
住宅・建築物で
ゼロエネルギー化
を実現
省エネルギー
基準を改正
平成25年度
(2013)
〈300㎡未満〉
(出典:日本成長戦略 の資料を参考に作成)
住宅省エネルギー技術講習会の実施
全国木造住宅生産体制推進協議会
地域協議会
設 立・運 営・
支援
連携・協力
省エネ技術講習の
実施に当たっての
指導・進捗管理等
地域木造住宅生産体制推進協議会
(47都道府県)
各種支援・情報の
提供 等
地
域
型住
建築士
事務所
地域型
住宅供給グループ
宅 供 給グル
木材関連
事業者
地域
工務店等
みなさんはどれくらい知っていますか? 地球環境の
こと、住宅の省エネ化のこと、
そして断熱のこと。
Q1 1990年度比で家庭のCO₂排出量は?
2010年度時点で家庭から排出されるCO₂は34.8%増加。
近年の床面積の拡大、住宅戸数の増加が大きく関係して
いますが、新築のみならず既存住宅も含め個々の住宅の
省エネ化が急務となっています。
Q2 住宅のエネルギー消費の内訳は?
ープ
建材流通
事業者
地域型
住宅供給グループ
Q&A
地域型
住宅供給グループ
温暖地では暖冷房、給湯、照明・家電製品等その他のエ
ネルギーがそれぞれ1/3程度といわれています。暖冷房
エネルギーを削減する「断熱・気密・遮熱・通風」の対策
だけでなく、給湯等に対する様々な省エネ対策も同時に
進める必要があります。
Q3 快適に健やかに暮らすには?
高効率なエアコン、給湯器等の省エネ設備機器は省エネ
化に非常に有効ですが、
それだけでは住空間の温度むら
を少なくできません。断熱、気密、遮熱、通風等の建築的
な工夫をきちんと行うことが、
1年を通し心地よく省エネ
で暮らせる住まいの基本となります。
国土交通省補助事業
http://www.shoene.org
▲
住宅省エネルギー技術講習会(・施工技術者講習会
・設計者講習会 )HP
省エネ基準ヘの100%適合化に向け、大工・工務店の適正な断熱施工技術等の
習得のため、施工技術者講習会および設計者講習会を開いています。
講習会は全国47都道府県で開
催。受講対象者は地域の木造
住宅生産を担う大工技能者や
断熱施工技術者、設計者です。
講習会
講習会
受講料:1,000円(別途、修了証代必要)
カットモデルによる講習
講習会
施工技術者講習会、
設計者講習会テキスト
全国木造住宅生産体制推進協議会
事務局・一般社団法人 木を活かす建築推進協議会
〒107-0052 東京都港区赤坂2-2-19 アドレスビル5F
TEL.03-3560-2882 FAX.03-3560-2878 HP : http://www.kiwoikasu.or.jp
詳しくは
「省エネ講習会」で検索
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