P-⑨-1 皮膚掻痒症に対する取り組み P-⑨

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皮膚掻痒症に対する取り組み
(医)一陽会 横川クリニック看護部1)、
(医)一陽会 横川クリニック血液浄化部2)、
(医)一陽会 横川クリニック内科3)、
(医)一陽会 横川クリニック泌尿器科4)、
(医)一陽会 原田病院看護部5)
○福馬美保1)
【目的】痒みの調査を2011~2012年に実施し、スキンケア等の指導を行った。今回、
同患者にその後のアンケートを実施し長期的効果を検討したので報告する。
【方法】前回の調査で痒みがあると答えた患者62名のうち、現在も在籍する35名に対
し前回と同様の内容で聞き取り調査を実施した。Visual Analogue Scale(VAS)を
用いて痒みの程度の評価と皮膚状態を観察した。スタッフ対象の痒みの勉強会を実施
し、意識調査を行った。
【結果】痒みが継続している患者は74%であり、約1/4の患者に痒みの消失がみられ
た。痒みの消失した患者9名のうちスキンケアによるものは5名であった。VASが
61%以上の患者のうち8割以上に乾燥肌がみられた。
スタッフの意識調査では、知識が患者指導に役立っていると答えたが、実際の指導に
までは至っていなかった。
【考察】痒みのある患者のほとんどが乾燥肌であることから、スキンケアが重要だと
考える。スキンケア介入にはスタッフの正しい知識と継続的指導が必要である。
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局所麻酔薬使用時のシャント肢皮膚炎防止対策
(医)一陽会イーストクリニック 看護部
○竹原美由紀
目的
血液透析において患者の最も大きなストレスは穿刺時の痛みである。その為、殆どの
患者が局所麻酔テープを使用している。この事例は局所麻酔テープで皮膚炎を発症し、
局所麻酔外用薬に変更したが皮膚炎は増悪する一方で、皮膚科紹介でリドカイン禁忌
であったことが判明した。今後の対策として穿刺痛の軽減と指導を統一する必要があ
ると考え一事例を報告する。
対象:男性 80歳 透析歴2年 原疾患:腎硬化症
経過
平成27年2月頃より皮膚発赤、掻痒感あり、固定テープを変更し外用薬塗布するが改
善せず、局所麻酔テープから局所麻酔外用薬に変更し麻酔テープは貼用しないよう指
導。3月皮膚炎増悪にて皮膚科紹介、パッチテストの結果リドカインテープ禁忌と判
明する。以後局所麻酔薬の使用は禁忌としたが皮膚炎は軽快していない。
考察・結語
患者は痛みに対するストレスがあり局所麻酔薬を止められないと考えるが、局所麻酔
薬はリドカインであり薬剤アレルギーがありうることをスタッフも認識する必要があ
る。局所麻酔薬を使用せず穿刺痛の軽減対策が必要である。
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透析掻痒症を有する血液透析患者に対する持続的なスキンケ
アや生活指導の有用性
あかね会大町土谷クリニック 透析室1)、
あかね会大町土谷クリニック 内科2)
○矢田知苗1)、茗加聖也1)、隘田聡子1)、高橋直子2)
【目的】
透析掻痒症を有する血液透析患者に対して、スキンケアスタッフによるスキンケアや生活指導を行い、症状を軽減させることを目的
とした。
【対象】
2014年10月、当院の血液透析患者431名に対するアンケート調査で、治療に「満足していない」と回答した患者34名うち、継続的な
指導や管理を行うことが可能であった30名。
【方法】
看護師、臨床工学技士、薬剤師の中からかゆみ治療に指導的役割を持つスキンケアスタッフを選任して、患者指導や管理方法の見直
しを行った。そして、スキンケアスタッフによる個別のスキンケアや生活指導を開始し、かゆみや皮膚の状態、使用する外用剤の変
化について検討した。
【結果】
白取の分類のスコア平均値は、日中のかゆみが2.4から1.0、夜間のかゆみが2.4から0.7へと有意に低下した。乾燥は、「なし」が3名か
ら7名へ増加、「軽微」が11名から15名へ増加、「軽度」以上が16名から8名へ減少した。また、ステロイド外用剤の使用が減少した。
【考察】
患者ごとに必要な指導と管理を継続して行った結果、多くの患者でスキンケアの方法や生活習慣が改善したことにより、かゆみが軽
減し、ステロイド外用剤の使用が減少したと考えられる。
【結論】
スキンケアや生活指導を継続することで、患者自身の意識が向上し、かゆみを改善させることができると考えられた。
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透析患者の皮膚乾燥、掻痒に対する取り組み
~ヘパリン類似物質スプレーを使用して~
岩国中央病院 透析内科
○平田満穂、山根会里、久保宣行、岩井玖美子、伊藤恭子、田邉さとみ、
亀田美佐子、白銀優子、山田輝城
【はじめに】透析患者の痒みは難治性であり、QOLを低下させる重要な合併症である。
痒みの原因は、種々の因子が関連しており、皮膚乾燥もその一因である。そこで今回、
スプレータイプの保湿剤を用いて、皮膚乾燥、掻痒の緩和に対して取り組んだので報
告する。
【目的】保湿剤を継続して使用し、皮膚乾燥と掻痒が改善するか検討した。
【対象・方法】当院透析患者108名に痒みに対するアンケートを実施し、皮膚乾燥と
掻痒を感じている患者で、同意を得られた11名に対し、保湿剤を用いたスキンケア指
導を行い、2週間毎に肌湿度の測定、皮膚の観察、VAS法と白鳥の分類で痒みの評
価をH27年2月~4月の間行った。
【結果・考察】スキンケア指導時は熱心に聞く姿勢が見られ、実施後は意識や日常生
活の改善があり、指導の効果があったと考える。保湿剤を使用する回数は徐々に減少
する患者が多く、1日2回継続できた患者は3名、1日1回が5名、2日に1回が3
名だったが、全体的に乾燥状態は改善し、痒みの評価でも8名が軽減し、そのうち1
名はVAS値と白取の分類による夜間の痒みが0となった。また、1日2回継続でき
た3名の肌湿度は、使用開始2週間後で上昇しその後も維持しており、継続的なスキ
ンケアの必要性を再認識した。今後も、患者の声に耳を傾け、皮膚の観察や痒みの程
度を把握し、個々に応じたケアや指導を実施していきたい。
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