見通しをもって観察,実験する教材・教具の工夫

沖縄県立教育センター
研修報告集録
第 30 集
187-192 2001 年9月
〈化学〉
見通しをもって観察,実験する教材・教具の工夫
―第5学年「もののとけかた」を通して―
那覇市立若狭小学校教諭
Ⅰ
テーマ設定の理由
町
田
祐
治
童が 39 %いて,へると答えた児童が 18 %いた。
・ 61 %の児童が,溶けた物は下の方へたまり底に近
いほど濃くなっていると考えている。
今回の学習指導要領改訂において,理科の目標に
(4)
「見通しをもって」という言葉が付け加えられた。
考察
これまでの理科の学習は,子どもたちに,課題を見
児童は,物が溶ける量や溶けた物の重さ,水溶液
つけさせたり,実験の計画を立てさせたりする活動
が十分ではなかった。そこで ,「見通しをもって観
の均一性について,自分の経験などから独自の考え
察,実験などを行う」ことにより児童は,自分が考
をもっている。そこで,児童のもっている考えを揺
さぶるような教材・教具を工夫し,導入時に提示す
えた課題 ,自分が設定した予想 ,自分で考えた観察 ,
れば ,
「なぜだろう,不思議だな 」など疑問が生まれ ,
実験の方法で問題解決をしていくことになり,主体
「調べてみよう,実験したいな」など見通しをもっ
的に取り組むようになる。
第5学年「B 物質とエネルギー」の指導内容に
て取り組んでいけると考える。
2 素材研究
「物を水に溶かし,水の温度や量による溶けかたの
(1)
シュリーレン現象について
密度の異なる2つの物質の境界で光が屈折して明
違いを調べ,物の溶けかたの規則性について考えを
持つようにする」とある。子どもたちは,日常生活
の中で砂糖やココア ,洗剤などを溶かした経験から ,
温度が高いとよく溶けると考えているが,溶ける量
暗が生じることをシュリーレン現象という。
(2) シュリーレン現象観察器具
〈アクリル板薄型水槽〉
の限界や溶けた物の重さについては自分なりの考え
①
をもっている。
・2㎜厚のアクリル板
・アクリル接着剤
27.5 ・アクリル曲げ器
そこで,疑問が出る教材・教具を使って課題をつ
くり,予想を立て,実験を自ら計画させ見通しをも
㎝ ・アクリルカッター
って観察,実験していくためにも教材・教具の工夫
が必要だと考え本テーマを設定した。
・注射器
10 ㎝
Ⅱ
23 ㎝
作り方
ア
1 実態調査
縦 55 ㎝横 23 ㎝のアクリル板をアクリル曲
げ器で,コの字型に曲げる。
アクリル板から側面になる 10 ㎝× 27.5 ㎝
目的
イ
児童が経験や体験からもっている,物の溶けかた
についての実態を知るためアンケートを実施した。
(2)
を切り取る。
ウ
調査対象
那覇市立若狭小学校
・紙ヤスリ
研究内容
②
(1)
準備する物
5年3組
切り取った部分を紙ヤスリで削り,接着し
やすいようにする。
エ 側面をアクリル用接着剤で接着する 。
(接着
32 名
(3) 結果
・溶けた物はなくなると考えている児童が 46 %,
作業は注射器を引きながら行う 。
(押した場合
は針の先が詰まることがある)
溶ける量に関しても限度なく溶けると考えている
オ
児童が 32 %いる。
底の角には,アクリル板を切ったときにで
るかすなどを詰めてすき間をうめると水が漏
れないようになる。
・溶けると重さがなくなってしまうと考えている児
-1-
〈CDケースミニ水槽〉
③
①
食塩をティーパックに入れ,静かに水槽の中
につるす。
準備する物
・CDケース2個
④
・アクリル接着剤
食塩が溶けて,ティーパックから水中に落ち
て広がっていくのを影絵として観察する。
・アクリルカッター
・紙ヤスリ
②
作り方
ア
CDケースを分解し,
水槽の台,側面,正面
になる部分を決める。
イ
側面の周囲の突起部分を切り落とし,二等
分する。
ウ 組み立てながら,接着していく。
〈スクリーン〉
①
準備する物
・トレーシングペーパー
A 2サイズ(文具店で
教材性
一枚 50 円程度で購入で
きる)
食塩の溶けかたについて児童がもっているイメー
ジを揺さぶることができ,疑問を持つ児童が増え課
・1㎝角の木の棒(2本
題をつくっていく上で有効である。
(3)
60 ㎝くらい)
・糊,セロハンテープ
②
ペットボトルのパイプ
①
②
③
④
作り方
ア
① 準備する物
・1.5 • 円筒形
トレーシングペーパーの上下2カ所に木の
のペットボト
棒をセロハンテープで留める。そのとき,鉄
ル5本
製スタンドで挟めるように木の棒は少し長め
にしておく。
〈光
・はさみ
・カッターナイ
源〉
フ
①
準備する物
点線を切る
・100W クリアー電球
約 80 ㎝
・ソケット
・ソケットを取り付ける
②
作り方
土台になる部分を切り取る。
ア
台になる物
イ
・ホットボンド
②
ら5㎝上を切り取る。
作り方
プラスチックのケ
ウ 土台になる部分に②で切り取った筒の部分
を逆さにしてつなげていく。
ースにソケットの直
エ
ア
径より少し小さめの穴をあける。
ペットボトル5本分で約 80 ㎝の高さにな
る。接着剤は不要である。
イ その穴にソケットをホットボンドなどで固
定する。
ウ
筒になる部分をキャップから8㎝下と底か
教材性
演示実験でシュリーレン現象を影絵として見せ興
プラスチックのケースにコードが通るくら
味・関心を高めた後で,ペットボトルのパイプを用
いの穴をあけコードを通す。
いて食塩の粒を溶かす実験を行う。児童は,パイプ
〈使い方〉
① 電球 ,水槽 ,スクリ−ンを一直線上に並べる 。
の中を糸のような物を引きながら小さくなっていく
食塩の粒を観察することで ,
「もやもやした物,筋の
②
ような物」など疑問が生まれ主体的に学習に取り組
スクリーンに映った影が適当な大きさになる
ように電球と水槽の距離を調節する。
んでいくことができる。
-2-
(4)
砂糖の大結晶
①
(約5分で食塩の粒が溶ける)
《結晶のできかた》
準備する物
・種結晶(氷砂糖)
ア
飽和食塩水をつくり
・釣り糸(0.6 号程度)
スライドガラスに一
・透明な広口瓶
・つまようじ
イ
滴たらす。
結晶が析出しやすい
・1.5 • ペットボトル
端の部分にピントを合
・砂糖
わせる。
②
ア
作り方
ペットボトルを切って,広
〔約3分で析出〕
ウ ビデオで録画する 。
(約3分ほどで結晶が析
口瓶のふたになる部分をつくる。
イ
出する)
ペットボトルのキャップに穴をあける。
教材性
ウ つまようじをキャップの直径の長さになる
ように切る。
『食塩の溶けかた』の場合,顕微鏡でも観察でき
エ
種結晶を釣り糸でしっかり巻く。
ないほど小さな粒になっている食塩の粒について「消
えたぞ,なくなったのかな」など児童に疑問を持た
オ
広口瓶の容量にあわせて濃い砂糖液(水 100
せることができる。また ,『結晶のできかた』では,
Š に対して砂糖 300 Š)を弱火で加熱しなが
水に溶けた食塩はなくなっているように見えるが,
らつくる。
カ 釣り糸をキャップの穴に通し,つまようじ
水が蒸発することで析出してくることを確かめさせ
ることができる。
に巻き付け砂糖水の真ん中にくるように長さ
Ⅲ
を調節しふたを閉める。
教材性
児童一人一人が継続的に責任を持って結晶を成長
授業設計
1 単元名 「
もののとけかた」
させていくことになるので,自分で立てた予想を確
2 単元設定の理由
かめていくことができる。また,大きな結晶ができ
(1) 教材観
4年生の単元の「水のすがたとゆくえ」では,水
るので観察していく楽しさを味わうことができる。
(5) 『食塩の溶けかた』『結晶のできかた』のビデオ
①
が蒸発することや水蒸気について学習し ,
「物の重
準備する物
さとてんびん」では,上皿てんびんの使い方も学習
・顕微鏡カラーテレビ
している。
装置
本単元では,食塩や砂糖,ホウ酸を水に溶かし,
溶けた物がどうなったか課題を持ち,問題を計画的
・スライドガラス
・ピペット
〔水を垂らした直後〕
に追求していく力を育てるようにする。そして,見
・食塩
通しをもって観察,実験を行い,物の溶けかたの規
・水
則性についての見方や考え方を養うことを目標にし
・ビデオデッキ
・テレビ
ている。また,目的にあった実験器具が使えるよう
にする。
(2) 児童観
・ビデオテープ
②
撮影のしかた
児童は,日常の生活の中で,コーヒーに砂糖を溶
《食塩の溶けかた》
ア スライドガラス
かしたり,うがいの時食塩を水に溶かす経験をして
に食塩の粒を4∼
上げればよいと考えている。
アンケートから,溶けた物はなくなってしまい重
〔約4分後〕
いる。その経験から,よく溶かす方法として温度を
5粒のせる。
イ
顕微鏡のピントを合わせる 。
(撮影は接眼 15
倍対物4倍で撮影)
ウ
ビデオを録画状態に
さもなくなると考えている児童が半数いる。また,
溶けた物は下の方に溜まっていて,味も濃いはずだ
しておいて,ピペッ
と考え,溶けると濁ってしまうとも考えている。
トで食塩に水を一滴たらす。
-3-
(3) 指導観
児童に興味・関心をもたせるために,シュリーレ
不思議だな,おかしいぞ」など疑問を持たせる。そ
して,課題をつくり,予想し,実験方法を考えるこ
ン現象の演示実験をし,ペットボトルの中で食塩の
とで,課題を解決していく力を育てたい。
粒が溶ける様子を観察させ「底にたまるはずなのに ,
3 指導計画
時間
小単元名と主な学習内容
食塩を水にとかそう(7 h )
主な教材・教具
1 ,食塩が水に溶けるようすを観察する。(本時)
・シュリーレン現象観察器具
・ペットボトルの筒
1
1
1
1
1
1
・食塩の溶けかたについての疑問を話し合い,自分の課題を見つける。
・「食塩の溶けかた」のビデオ
・自分の課題に対しての予想を立て,実験計画を立てる。
・食塩は水にどれくらい溶けるか調べる。
・水に溶けた食塩を取り出すことができるか調べる。
・「結晶のできかた」のビデオ
・食塩は水に溶けると重さはどうなるか調べる。
・食塩の溶けかたをまとめる。
ものによってとけかたはちがうのか(2 h )
1 ・砂糖やホウ酸の溶けかたに興味を持ち,予想を立て実験方法を考える。
1 ・砂糖やホウ酸は,食塩の溶けかたとちがうか調べる。
もののとける量は水の温度によって変わるのか(6h)
1 ・水の温度によって溶けかたがちがうのか予想を立て実験の方法を考える。
1 ・水の温度を上げて,食塩とホウ酸がどれくらい溶けるようになるか比較する。
1 ・ホウ酸が析出した液について調べる。
1 ・食塩とホウ酸の水温による溶けかたの違いを整理してまとめる。
1 ・学習のまとめをする。
1 ・結晶づくりをする。
4
本時の学習指導案(第2/全15時)
③
〈主題名〉
「食塩が水にとけていくようすを観察しよう」
・シュリーレン現象観察器具
・砂糖の大結晶づくり
食塩が溶けるときもやもやした物が出るこ
とが言える。
食塩の粒が下に落ちながら見えなくなること
④
〈指導目標〉
を指摘できる。
食塩を水に溶かすことに興味を持ち,食塩が水に
⑤
食塩の粒を溶かす実験ができる。
溶けるようすを観察し,食塩が水に溶けて全体に広
がっていくこと ,溶けると透明になることがわかる 。
⑥
⑦
虫めがねで食塩の粒の形を確認できる。
演示実験を見て予想を書くことができる。
〈目標行動〉
⑧ R 今までに物を溶かした経験が言える。
〈形成関係図〉
食塩が水に溶けると,全体に広がること,透明に
なることがワークシートに書ける。
〈下位目標行動〉
①
G
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧R
〈コースアウトライン〉
食塩が水に溶けるとき,全体に広がっていく
ことを指摘できる。
②
①
②
⑧R
⑦
⑥
⑤
食塩が水に溶けると,透明になることを指摘
できる。
G
①
②
③
〈展開〉
関心・意欲・態度【関・意・態】科学的な思考【科・思】実験の技能・表現【技・表】知識・理解【知・理】
【学習1 】
(第1/全 14 時)
端子
展
開
導 1
入
10
分
教師の活動
学習の流れ
児童の活動
1話し合い
はじめ
判断
教師の活動
発問・指示・支援
補説
児童の活動
予想される反応
・コーヒーに砂糖を溶かした。
・うがいのとき,塩を溶かした。
・石けんを溶かした。
a
-4-
a
:結合子
下
位
⑧R
備考
評価・方法
【関・意・態】
物の溶けかたに興味
・関心を持てたか。
④
a
2
演示実験
2演示実験
課題提示
3学習課題
シュリーレン現象を観察しよう。
・食塩はなくなったのかな。
・もやもやが広がってる。
3
食塩が水に溶けていくようすを観察しよう。
4
4実験方法の提示
食塩の形を調べ,ペットボ
トルの口から食塩を2,3
つぶ落としてみる。
実験方法の提示
5
予 想
5予想
食塩のつぶはどんな溶けかたをするか。
補
7
6
No
できたか
Yes
展
開
30 8
分
補
10
できたか
7食塩のつぶの大きさをイ
メージさせる。
・途中で消える。
・上にうく。
食塩の形を虫めがねで観察し,ペットボトルの口から
食塩を2∼3つぶ落とし,溶けかたを調べよう。
9食塩が,見えなくなった ・虫めがねでしっかり観察する
ことが指摘でき,もやも ・溶けて消えたよ。
やが全体に広がることを ・食塩はなくなったのかな。
確認できたら Yes。
・もやもやが出てきたぞ。
⑦
⑥
【技・表】
⑤
ワークシートに記述で
きたか。
④
10 落ちていく食塩のつぶの ・だんだんつぶが小さくなっていくよ。
ようすに気をつけさせる 。
Yes
11
・溶けずに下にたまる。
8実験
実 験
No
9
6予想ができたら Yes。
提 示
11 提示
実験結果と疑問に思ったことを書こう。
補
No
12
できたか
Yes
食塩のつぶの形や水の
中でのつぶのようすを
絵に描けたか。
12 書けたら Yes。
13
【技・表】
13 食塩のつぶは,底にたま ・食塩のつぶは,落ちながら見えなくな ③
っているか,確認させる。 ったね。
・食塩のつぶは,なくなったのかな。
・底には,つぶはなかったよ。
・もやもやはなんだろう。
【技・表】
14
ま
15
発
表
まとめ
と
14 発表
実験結果と疑問に思ったことを発表する。
・グループの代表に発表さ
せる。
15 食塩のつぶが見えなく
なったこと,水が透明な
ままであることをはっき
りさせておく。
・グループの代表は,意見をまとめてお
く。
②
・食塩は白いのに,
透明になっていたよ。
・もやもやは全体に広がっていたよ。
①
・食塩は水に溶けると透明になって全体
に広がることをワークシートにまとめ G
る。
め
5
分
16
自己評価
16 自己評価をさせる。
17
おわり
17 次時の予告をする。
・自己評価を書く。
・片づけをする。
-5-
実験結果を図や文章で
まとめることができた
か。
【科・思】
食塩の溶けかたを説明
できる。
【知・理】
食塩は水に溶けると全
体に広がり透明な液体
になることがわかる。
5 授業後の考察
見通しを持たせる教材・教具としてシュリーレン
現象観察器具を製作した。演示実験をした後,食塩
の粒を溶かす実験を児童に行わせ見通しを持つこと
ができたかをワークシートからまとめた。
〈児童のワークシートから〉
〔気づき〕
・帯みたいな物が出ていた。
・筋のような物が見えた。
・線のような物が見えた。
・落ちながらもやもやが出ていた。
・透明な線を出して消えた。
・けむりのような物がくっついていた。
・塩が透明になっていった。
〔疑問〕
・下に落ちた食塩はどうなる。
・他の物も同じような溶け方をするのか。
・食塩を入れると水の量は変わるのか。
・大きさによって溶けるはやさはちがうのか。
・水の色は変わるのか。
・なぜ,塩は水につけると溶けるのだろう。
・塩は熱湯じゃなくても溶けるのか。
・線みたいな物は何でできているのだろう。
・食塩は溶けてなくなるのか。
〔やってみたい実験〕
・塩の大きい物をつくってみたい。
・溶けた食塩を取り出してみたい。
・アルコールランプで食塩を溶かしてみたい。
・食塩にお湯をかけるとどうなるか。
・塩をいっぺんに溶かしたい。
・いっぱいの塩をいっぱいの水に入れてみたい。
・いっぱい食塩を溶かしてみたい。
・氷ざとうも溶けるのか。
・塩は,水以外の物に溶けるのか。
・砂糖と食塩どちらがはやく溶けるか。
・いろいろな物を溶かしてみたい。
〔気づき〕
出てきた。見通しをもって観察したため,食塩の粒
が溶ける様子を細かく注意して観察し表現できるよ
うになり,89 %の児童が疑問をもつことができた。
〔やってみたい実験〕
疑問からやってみたい実験を考えた児童は 57 %い
た。内容は,溶ける量の限度に関係ある物として,
いっぱい食塩を溶かしたい,食塩をいっぺんに溶か
したいなどがあった。水の温度に関することでは,
食塩にお湯をかけるとどうなるか,アルコールラン
プで食塩を溶かしたいなどがあった。溶ける物の種
類に関することでは,砂糖と食塩はどちらがはやく
溶けるか,氷砂糖を溶かしてみたい,いろいろな物
を溶かしてみたいなどがあった。溶けている物を取
り出すことについても ,溶けた食塩を取り出したい ,
食塩の大きい物をつくってみたいなどが出てきて,
次の学習につながるような実験を意欲的に考えてい
た。
以上のことから,演示実験でどこを観察するか見
通しをもたせることで気づきから疑問が生まれ,や
ってみたい実験を考えることができ,その後の学習
に主体的に取り組んでいけるものと考えられる。
Ⅳ
まとめと今後の課題
1 成果
( 1) シュリーレン現象観察器具の製作ができ,導入
演示実験でシュリーレン現象を影絵としてみせた
ことで,児童は観察する視点がはっきりしたと思わ
時に演示実験で使用し児童に興味・関心をもたせ
ることができた。
れる。そのため,帯のような物,筋のような物,も
やもやした物,煙みたいな,線のような物などで表
現された。また,指導目標の内容に近づく「透明に
なっていった」という気づきも出てきた。
〔疑問〕
( 2)
顕微鏡カラーテレビ装置を使用し「食塩の溶け
かた 」
「結晶のでかた」のビデオ撮影ができた。
( 3)
砂糖の結晶を成長させ,児童一人一人が興味・
関心をもって継続的に責任をもって観察できるよ
実験前に溶けると予想した児童は 40 %おり,他の
( 4)
物も食塩と同じような溶けかたをするのか,食塩は
うに工夫した。
ペットボトルの筒を用いて,食塩の粒が溶ける
様子を観察できる工夫をし予想を確かめられるよ
溶けてなくなったのか,線みたいな物は何か,水の
量は変わるのか,熱湯じゃなくても溶けるのか,水
うにした。
2 課題
の色は変わるのかなどの疑問が出てきた。また,底
( 1)
の方にたまると予想した児童は 56 %で,下に落ちた
食塩はどうなるのか,大きさによって溶けるはやさ
はちがうのか,なぜ水につけると溶けるのかなどが
( 2)
製作した器具やビデオ教材の有効性についてさ
らに研究を深める。
児童一人一人の視点に対する適切な評価のあり
かたについての研究を深める。
〈主な参考文献〉
左巻健男編著 1996 『楽しくわかる化学実験事典』東京書籍
角屋重樹・森本信也・村山哲哉編著 2000 『見通しをもって学ぶ子どもを育てる理科学習』東洋館出版社
奥井智久監修 1998 『子どもが科学を創る』東洋館出版社
-6-