名戸ヶ谷病院健康講座 脳ドックの上手な利用法 ーよくある質問にお答え

名戸ヶ谷病院あびこ病院公開講座
脳ドックのススメ
ーよくある質問にお答えいたしますー
名戸ヶ谷あびこ病院 副院長
脳神経外科
松澤 和人
脳ドックとは?
将来重大な脳疾患に罹らないよう
に、無症状の段階で異常を発見
し、予防に役立てるための健診。
重大な脳疾患とは?
予防できる疾患
くも膜下出血
脳梗塞
脳出血
早期発見、早期治療
脳腫瘍
認知症
当院脳ドックの検査項目
画像検査: 頭部MRI,頭部MRA,頚部MRA
一般検査: 身長,体重,BMI,血圧
生理検査: 眼底,眼圧,視野,視力
心電図,CAVI(血圧脈波)
血液,尿,生化学検査: 肝機能,腎機能,
コレステロール,中性脂肪,血糖
オプション: VSRAD+知能テスト
脳ドックを受けられない人
体内に磁場に影響される金属が入っている人
・ ・ ・ 人工骨頭、歯科インプラント、脳クリップなど
ペースメーカーが入っている人
閉所恐怖症、長時間(20分)じっとしていられない人
例外もあるので、まず医師と相談を
昨年1年間の脳ドック受診者
(2014年1月~2014年12月)
901名
2014年1月~2014年12月 脳ドック受診者数
2
90歳 以上
80~89歳
28
116
70~79歳
124
60~69歳
53
36
134
151
84
50~59歳
62
80
40~49歳
16
男 性
0
10
30~39歳
2
3
女 性
29歳 以下
合計
404 名
合計
497 名
くも膜下出血の予防
頭部MRAで未破裂脳動脈瘤を発見する。
くも膜下出血の発症率:10~15人/10万人/年
くも膜下出血の死亡率:35~50%
未破裂脳動脈瘤の破裂率:約1%/年
破裂防止には手術しかない。
開頭クリッピング術、血管内コイル塞栓術
未破裂脳動脈瘤
日本における未破裂脳動脈瘤の頻度:4~5%
1年間(2014年1月~12月)に当院脳ドックで発見
された未破裂脳動脈瘤
50/901
(5.5%)
71歳 女性
MRA画像(脳ドック)
3DCTA
右中大脳動脈脳動脈瘤
55歳女性
MRA(脳ドック)
3DCTA
脳底動脈脳動脈瘤(疑)
脳血管撮影(DSA)
異常所見を認めなかった。
72歳女性
MRA画像(脳ドック)
3DCTA
左中大脳動脈脳動脈瘤
脳血管撮影(DSA)
開頭クリッピング術を施行し、
動脈瘤は消失した。
55歳男性
MRA画像(脳ドック)
3DCTA
右内頚動脈-後交通動脈分岐部脳動脈瘤
脳血管撮影(DSA)
コイル塞栓術を施行し、
動脈瘤は消失した。
無症候性脳梗塞
症状がなく偶然発見された脳梗塞
1年間(2014年1月~12月)に当院脳ドックで発見
された無症候性脳梗塞
483/901(53.6%)
2014年1月~2014年12月 脳ドック受診者の
中で脳梗塞が見つかった人
50%
89%
71 %
60 %
34
25
49
29
24
43
13 %
男 性
80~89歳
30
83 %
6
87
47
82
50~59歳
39
19
40~49歳
14 2
30~39歳
3 7 30%
29歳 以下
0 2 0%
0 % 30
404 名
0
60~69歳
75
31 %
90歳 以上
70~79歳
82
45 %
合計
1
14
69
46 %
45
66
18 %
女 性
合計
497 名
65 %
54 %
脳梗塞
平成20年1月から12月までに脳梗塞を
起こして入院された患者さん
313名
そのうち、陳旧性脳梗塞が認められた患者さん
310名
脳梗塞の予防1
脳梗塞には3種類ある。
アテローム血栓性脳梗塞
ラクナ梗塞
心原性脳塞栓
脳梗塞の予防2
アテローム血栓性脳梗塞
①高血圧、糖尿病、脂質異常症がないか?
②頚部MRAで内頚動脈の狭窄をチェック
→高度の場合は手術が必要
頚動脈内膜剥離術、頚動脈ステント留置術
③頭部MRAで頭蓋内血管の狭窄をチェック
→高度な場合は手術が必要
浅側頭動脈‐中大脳動脈吻合術
④眼底、CAVIで動脈硬化度をチェック
69歳男性
頚部MRA(脳ドック)
3DCTA
右内頚動脈狭窄
頚部血管撮影(DSA)
頚動脈ステント留置術
術前
CAS後
脳ドックで発見された左中大脳動脈狭窄
(MRA)
脳血管撮影
左内頚動脈撮影 正面像
左内頚動脈撮影 側面像
脳血管撮影
左外頚動脈撮影 正面像
左外頚動脈撮影 側面像
左浅側頭動脈‐中大脳動脈吻合術を行った
術後3DCTA
術後MRA
脳梗塞の予防3
ラクナ梗塞
ほとんどが無症状≒無症候性脳梗塞
≒隠れ脳梗塞
認知症の原因となることもある。(リスクは2倍)
①血圧コントロール
②アテローム血栓性脳梗塞に準じる。
73歳男性 頭部MRI(脳ドック)
ラクナ梗塞
脳梗塞の予防4
心原性脳塞栓
①心房細動などの不整脈のチェック
②心臓弁膜症がないか?
③心房内血栓の有無
脳ドックで心電図異常があり、MRIで脳梗塞
が認められた場合、心エコーを行う。
CAVI(動脈硬化度)
動脈硬化の予防、改善には
血圧コントロール
140/90mmHgを超えない
①禁煙
②減塩(1日6グラム以下)
③動物性脂肪分を摂り過ぎない
④運動(1日1時間の散歩)
食品の塩分含有量
調味料
食塩
濃口しょうゆ
薄口しょうゆ
マヨネーズ
中濃ソース
ケチャップ
小さじ1
6.0g
0.9g
1.0g
0.11g
0.5g
0.2g
大さじ1
18.0g
2.6g
2.9g
0.2g
1.0g
0.5g
食品の塩分含有量
塩分の多い食品
塩鮭(甘)
塩鮭(辛)
たらこ
あじ干物
梅干し
たくあん
1切れ
1切れ
1腹
小1枚
中1こ
3切れ
2.1g
5.1g
2.3g
1.0g
2.9g
1.3g
食品の塩分含有量
比較的塩分の多い食品
食パン
そうめん
ロースハム
ベーコン
チーズ
バター
6枚切り1切れ
2束
薄切り1枚
1枚
三角1こ
大さじ1杯
0.8g
1.9g
0.5g
0.4g
0.8g
0.2g
食品の塩分含有量
加工食品、外食
カップ麺
レトルトカレー
即席みそ汁
ポテトチップス
サンドウィッチ
ハンバーガー
6g
1.9g
1.9g
0.9g
2.5g
2.1g
天丼・かつ丼
うな重
握り寿司
ラーメン
カレーライス
ざるそば
3-4g
4-5g
4-5g
5-6g
3.0g
4.0g
脳腫瘍
2014年1月~2014年12月まで
901名中、6名
60歳 女性
頭部MRI(脳ドック)
造影頭部MRI
脳腫瘍
認知症
定義:脳や身体の疾患を原因として、記憶、判断
力などの障害が起こり、普通の社会生活が送
れなくなった状態。
記憶障害
見当識障害
注意力障害
知能障害
認知症の種類
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
脳血管性認知症
その他
脳腫瘍
慢性硬膜下血腫
水頭症
薬物中毒 など
認知症と脳萎縮の関係
認知症
脳萎縮
認知症の診断
KOHS立方体組み合わせテスト(IQ)
長谷川式簡易知能テスト
仮名拾いテスト
MRI
VSRAD (Voxel-based Specific Regional
analysis system for Alzheimer Disease)
KOHS立方体組み合わせテスト
アルツハイマー型認知症
MRI画像
XXXXXX
よくある質問
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認知症はありますか?
脳萎縮の程度は年齢相応ですか?
頭痛がするんですけど?
毎年受けた方がいいですか?
首が痛いんですけど?
血液さらさらの薬を飲んだ方がいいですか?