平成 26 年度「地域密着型金融に関するシンポジウム」開催結果 日時:平成 27 年 2 月 25 日(水) 13:30 ~ 16:00 場所:津田ホール(津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス内) 主催:関東財務局 参加者数:247 名 挨拶 ◆関東財務局長 細田 隆 ○地域金融機関は、地域に密着した営業展開を行っており、中小企業や個人を主要な顧 客基盤としていることから、地域の経済・産業活動を支えながら、地域とともに自ら も成長・発展していくという「好循環」の実現に向けた取組みの強化が必要となって いる。このため、地域金融機関は、地域の経済・産業の現状及び課題を適切に認識・ 分析することが求められている。 また、企業の財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、事業の内容や 成長可能性などを適切に評価した融資を行うことや、コンサルティング機能の発揮に より企業の経営改善・生産性向上・体質強化の支援等に日頃より取り組むことが重要 であり、こうした取組みにより、企業や地域経済を活性化するといった役割が求めら れている。 基調講演 ◆横浜市立大学 名誉教授 藤野 次雄 氏 「地域経済活性化に向けた産学官金の役割や課題について」 ○地域経済活性化のためには、産学官金各々が単独で活動するよりも、共通目的を持っ て連携して活動することが重要であり、より実りある成果を生むものと考える。 ○連携は、協定だけ締結して終わりとするのではなく、その後も継続して取組みを続け ていくことが非常に重要と考える。 また、連携においては、それぞれの組織が当事者意識をしっかり持つこと、お互いの 強みを活かしながら活動していくこと、組織間の意思疎通をしっかり図ることが必要 と考える。 ◆㈱地域経済活性化支援機構 常務取締役 鈴木 学 氏 「地域経済活性化支援機構(REVIC)による地域密着型金融の取り組みとその意義」 ○地域金融機関は、顧客の事業性評価を行って顧客の課題を発見し、課題を克服するソ リューションを提供する、もしくは実行支援することが求められているが、当機構は そうした地域金融機関をサポートすることが役割と考えている。 ○当機構の機能は事業再生以外にも様々な機能が拡充されており、これらの機能を地域 金融機関にうまく使っていただくことで、地域経済活性化に貢献していきたい。 パネルディスカッション 学識経験者、中小企業経営者、中小企業支援機関、地域金融機関及び金融庁監督局審議官 をパネリストに迎え、以下のテーマについてディスカッションを行いました。 (テーマ)地域経済活性化に向けた地域金融機関の役割 ◆横浜市立大学 名誉教授 藤野 次雄 氏 【産学官金の連携構築】 ○日頃から交流を図り、何でも相談できるような関係、意思疎通のルートを構築しておく ことが重要と考える。 【その他】 ○地方版総合戦略の策定にあたっては、将来を見据え、どういう形でどう地方全体を活か していくのか、その基本的方向をしっかり議論する必要がある。 ○地域には様々な業態の金融機関、また、様々な産業が存在しているが、地域経済活性化 のためには、縦割りでなく、金融機関間連携・産業間連携といったものを更に密にして いくことが重要であり、そのための信頼関係をどう構築していくかが課題と考える。 ◆㈱地域経済活性化支援機構 常務取締役 鈴木 学 氏 【地域金融機関に期待すること】 ○当機構の持つ強みと地域金融機関が持つ強みは全く異なるので、うまく連携が図れれ ば、いいシナジーが生まれるものと考える。 【その他】 ○企業支援を成功させるためには、地域金融機関の担当者と支援先企業の社長との信頼関 係の構築が非常に重要である。 ○専門人材派遣においては、企業と専門人材のマッチングが非常に重要。企業ニーズの把 握など地域金融機関の協力が不可欠であり、引き続きよろしくお願いしたい。 ◆㈱クリタエイムデリカ 代表取締役社長 栗田 美和子 氏 【地域金融機関に期待する役割】 ○「産」と「学」 、 「産」と「官」は連携に取り組んでいるが、 「産」と「金」の連携はな いように感じる。 「産学官金」がうまく繋がれば、もっと面白いことができると考える が、どこがリーダーシップを取るのかが明らかになっていない。 ○何かしようとすると必ず「事業計画」と言われる中、中小企業だとその事業計画がな かなか描けない。形にできないから事業自体を止めてしまうということもあるので、 アドバイスをいただけるシステムが分かり易くなっていると取り組みやすい。 ○中小企業経営者の中には、自社の弱点を何となくは理解しているが、明確に説明でき ない経営者もいる。地域金融機関には、日常の対話において、そうした経営者の本音 を引き出す対応・取組みを期待する。 ◆板橋区立企業活性化センター センター長 中嶋 修 氏 【地域金融機関に期待する役割】 ○どんなに状況の悪い企業でも、支援を行えば助かる可能性は十分ある。地域金融機関 には、我々のような第三者機関と組んで、前向きに企業再生・経営改善に取り組んで いただきたい。 ○日本の中小企業全体の約 3 割が貸付条件変更先、あるいはその予備軍である。これま でこの 3 割に対する金融機関のフォローが疎かになっていたと感じる。金融機関と一 緒になった支援の必要性を強く感じており、金融機関には頑張っていただきたい。 【その他】 ○専門家派遣について、様々な制度が存在しているが、国全体として今の派遣制度を充 実させ、本当に良い人材を派遣できる制度となるよう期待する。 ◆㈱常陽銀行 専務取締役 坂本 秀雄 氏 【地域金融機関が果たすべき役割、抱える課題、これまでの取組み】 ○地域社会は人口減少などを背景として、様々な課題に直面している状況。当行は先の 震災の対応を含め、地域の復興や成長のため、様々な取組みを行ってきたが、さらに ステージを引き上げ、当行の持っている総合金融サービスの機能を活用し、継続的に 取り組んでいくこととしている。 ○銀行の仕事として、まずは円滑な資金供給があるが、それ以前の、事業の創出から継 続、発展、退出など、それぞれの局面で総合的なサポートを行うことが地域金融機関 の果たす重要な役割と考えている。 【連携の状況、今後の取組み】 ○当行においては専門家や地元大学との連携に取り組んでいるが、こうした動きを一金 融機関だけでなく、地域全体に広げていく必要があると考えている。 ○常に企業の動きに対応できるようにしていきたいと考えているが、金融機関だけでは 限界もあるので、 「官」「学」との連携を更に深めていく必要があると考えている。 ◆金融庁 監督局審議官 西田 直樹 【地域経済活性化に向けた金融当局の施策等】 ○政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中で「金融等による地域企業応援パッ ケージ」を策定し、産業・金融両面からの政府の支援等を総合的に実施し、様々なラ イフステージにある企業の課題解決に向けた自主的な取組みを官民一体で支援するこ ととしている。 ○今後、全国の各自治体でも地方版の総合戦略の策定が進められていくが、地域金融機 関は策定段階から積極的に参画し、自らの知見を提供するとともに、実行段階におい てもサポートをお願いしたい。 ○関係省庁と連携して、引き続き地域経済活性化の実現に向けた施策に取り組んでいき たい。 (以 上)
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