公表特許公報 特表2015

〔実 82 頁〕
公表特許公報(A)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許出願公表番号
特表2015-519076
(P2015−519076A)
(43)公表日 平成27年7月9日(2015.7.9)
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
C12N 15/09
(2006.01)
C12N
15/00
A
4B024
A01K 67/027
(2006.01)
A01K
67/027
ZNA 4B064
C12N
5/10
(2006.01)
C12N
5/00
102 4B065
C12P 21/08
(2006.01)
C12P
21/08
C12N 15/02
(2006.01)
C12N
15/00
審査請求
C
未請求
予備審査請求
未請求
(全107頁)
(21)出願番号
特願2015-517239(P2015-517239)
(71)出願人 597160510
(86)(22)出願日
平成25年3月7日(2013.3.7)
リジェネロン・ファーマシューティカルズ
(85)翻訳文提出日
平成27年2月3日(2015.2.3)
・インコーポレイテッド
(86)国際出願番号
PCT/US2013/029624
REGENERON
(87)国際公開番号
WO2013/187953
TICALS,
(87)国際公開日
平成25年12月19日(2013.12.19)
アメリカ合衆国10591−6707ニュ
(31)優先権主張番号
61/663,131
ーヨーク州タリータウン、オールド・ソー
(32)優先日
平成24年6月22日(2012.6.22)
・ミル・リバー・ロード777番
(33)優先権主張国
米国(US)
(31)優先権主張番号
61/658,466
(32)優先日
平成24年6月12日(2012.6.12)
(33)優先権主張国
米国(US)
PHARMACEU
INC.
(74)代理人 100078282
弁理士
山本 秀策
(74)代理人 100113413
弁理士
森下 夏樹
最終頁に続く
(54)【発明の名称】限定された免疫グロブリン重鎖遺伝子座を有するヒト化非ヒト動物
(57)【 要 約 】
限定された免疫グロブリン重鎖遺伝子座と、1つ以上のADAM6タンパク質をコードす
る異所性配列とを有するマウス、胚、細胞および組織を提供する。様々な実施形態におい
て、ヒト化内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を有するマウスであって、雄マウスにおい
て機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機
能的断片を発現することができるマウスを記載する。単一のヒトVH 遺伝子セグメント、
複数のヒトDH 遺伝子セグメントおよび複数のヒトJH 遺伝子セグメントを特徴とする免
疫グロブリン重鎖遺伝子座を有するマウス、胚、細胞および組織であって、ADAM6タ
ンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片を発現することがで
きるマウス、胚、細胞および組織も提供する。
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2
【特許請求の範囲】
前記免疫グロブリン定常遺伝子が、ヒトCH 1、ヒトヒ
【請求項1】
ンジ、ヒトCH 2、ヒトCH 3およびそれらの組み合わ
マウスであって、
せから選択されるヒト配列を含む、請求項11に記載の
(a)単一のヒトVH 遺伝子セグメント、1つ以上のD
マウス。
H
遺伝子セグメントおよび1つ以上のJH 遺伝子セグメ
【請求項14】
ントを含むヒトゲノム配列;および
前記マウス定常遺伝子が内因性免疫グロブリン重鎖遺伝
(b)雄マウスにおいて機能的であるADAM6タンパ
子座にある、請求項12に記載のマウス。
ク質をコードする配列であって、野生型マウスのADA
【請求項15】
M6遺伝子座とは異なる位置にある配列
をその生殖細胞系に有する、マウス。
前記ヒトゲノム配列が、ヒトVH 1−69遺伝子セグメ
10
ント、27のヒトDH 遺伝子セグメントおよび6のヒト
【請求項2】
JH 遺伝子セグメントを含む、請求項1に記載のマウス
前記単一のヒトVH 遺伝子セグメントが多型VH 遺伝子
。
セグメントである、請求項1に記載のマウス。
【請求項16】
【請求項3】
前記ヒトゲノム配列が、ヒトVH 1−2遺伝子セグメン
前記ADAM6をコードする配列がマウス配列である、
ト、27のヒトDH 遺伝子セグメントおよび6のヒトJ
請求項1に記載のマウス。
H
【請求項4】
【請求項17】
前記マウスゲノム配列が前記ヒトゲノム配列に並置また
1つ以上のヒトVκ遺伝子セグメントおよび1つ以上の
は隣接している、請求項1に記載のマウス。
Jκ遺伝子セグメントをさらに含む、請求項1、15ま
【請求項5】
20
遺伝子セグメントを含む、請求項1に記載のマウス。
たは16に記載のマウス。
前記ヒトゲノム配列および前記マウスゲノム配列が内因
【請求項18】
性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に存在する、請求項1に
前記1つ以上のヒトVκ遺伝子セグメントおよび1つ以
記載のマウス。
上のJκ遺伝子セグメントが内因性免疫グロブリン軽鎖
【請求項6】
遺伝子座に存在する、請求項17に記載のマウス。
前記ヒトゲノム配列が内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子
【請求項19】
座に存在し、前記マウスゲノム配列が内因性免疫グロブ
少なくとも1つのヒトDH 遺伝子セグメントおよび少な
リン重鎖遺伝子座以外の該マウスゲノム内の位置に存在
くとも1つのヒトJH 遺伝子セグメントに作動可能に連
する、請求項1に記載のマウス。
結された少なくとも1つのヒトVH 遺伝子セグメントを
【請求項7】
含むマウスであって、異所性マウスADAM6配列を含
すべてのまたは実質的にすべての内因性VH 遺伝子セグ 30
む、マウス。
メントの欠失を含む、請求項1に記載のマウス。
【請求項20】
【請求項8】
前記核酸配列が異所位置に存在する、請求項19に記載
前記単一のヒトVH 遺伝子セグメントが、VH 1−2、
のマウス。
VH 1−69、VH 2−26、VH 2−70、VH 3−
【請求項21】
23またはそれらの多型変異体から選択される、請求項
前記核酸配列が内因性免疫グロブリン遺伝子座に存在す
1に記載のマウス。
る、請求項19に記載のマウス。
【請求項9】
【請求項22】
前記ヒトVH 遺伝子セグメントがVH 1−69である、
前記核酸配列がマウスゲノム内の内因性免疫グロブリン
請求項8に記載のマウス。
【請求項10】
遺伝子座以外の位置に存在する、請求項19に記載のマ
40
ウス。
前記ヒトVH 遺伝子セグメントがVH 1−2である、請
【請求項23】
求項8に記載のマウス。
血清免疫グロブリンを発現するマウスであって、該マウ
【請求項11】
スの該血清免疫グロブリンの80%超がヒト重鎖可変ド
前記単一のVH 遺伝子セグメントが、ヒト、マウスまた
メインおよび同種のヒト軽鎖可変ドメインを含み、該ヒ
はキメラヒト/マウス免疫グロブリン定常領域遺伝子に
ト重鎖可変ドメインが、単一のヒトVH 遺伝子セグメン
作動可能に連結されている、請求項1に記載のマウス。
トおよび/またはその多型変異体から本質的になるVH
【請求項12】
遺伝子セグメントのレパートリーに由来する、マウス。
前記免疫グロブリン定常領域遺伝子がマウス定常領域遺
【請求項24】
伝子である、請求項11に記載のマウス。
マウスであって、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に
【請求項13】
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おいて、すべてのまたは実質的にすべての内因性VH 遺
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伝子セグメントの、単一のヒトVH 遺伝子セグメントお
めの該マウスの第二の改変を行う工程
よび/またはその多型変異体による置換をその生殖細胞
を含む、方法。
系に含む、マウス。
【請求項34】
【請求項25】
工程(b)の核酸配列が異所位置に存在する、請求項3
マウスであって、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に
3に記載の方法。
おいて、すべてのまたは実質的にすべての内因性軽鎖V
【請求項35】
遺伝子セグメントの、1つ以上のヒト軽鎖V遺伝子セグ
前記第一の改変が、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝
メントによる置換をさらに含む、請求項24に記載のマ
子配列の存在を含む、請求項33に記載の方法。
ウス。
【請求項26】
【請求項36】
10
前記第一の改変が、前記マウス免疫グロブリン重鎖遺伝
前記ヒト軽鎖V遺伝子セグメントに作動可能に連結され
子座内の1つ以上の配列の、該マウス免疫グロブリン重
た1つ以上のヒト軽鎖J遺伝子セグメントをさらに含む
鎖遺伝子座内の1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子配
、請求項25に記載のマウス。
列による置換を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項27】
【請求項37】
請求項1、19、23または24に記載のマウスに由来
前記第一の改変が、1つ以上の内因性VH 遺伝子セグメ
する、細胞または組織。
ントの、前記マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座内の単
【請求項28】
一のヒトVH 遺伝子セグメントによる置換を含む、請求
単一のヒトVH 遺伝子セグメントに由来する重鎖を含む
項36に記載の方法。
ヒト抗体集団を作製するための方法であって、以下:
【請求項38】
(a)請求項1に記載のマウスを対象となる抗原で免疫 20
前記第一の改変が、内因性重鎖可変遺伝子配列の、前記
する工程;
マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座内のヒト重鎖可変遺
(b)該マウスが該対象となる抗原に関して免疫応答を
伝子配列による置換を含む、請求項33に記載の方法。
開始するようにする工程;および
【請求項39】
(c)該抗体が該対象となる抗原に結合する、該非ヒト
前記第一および前記第二の改変が同時に行われる、請求
動物の免疫グロブリン重鎖可変領域配列を同定または単
項33に記載の方法。
離する工程
【請求項40】
を含む、方法。
抗原に対して特異的な抗体を産生させるための方法であ
【請求項29】
って、以下の工程:
前記免疫グロブリン重鎖可変領域配列が、配列番号5と
(a)請求項1に記載のマウスを該抗原で免疫する工程
少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85 30
;
%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なく
(b)該抗原に対して特異的な抗体を産生する該マウス
とも98%同一である、請求項28に記載の方法。
から少なくとも1つの細胞を単離する工程;および
【請求項30】
(c)工程b)の抗体を産生する少なくとも1つの細胞
前記免疫グロブリン重鎖可変領域配列が配列番号5を含
を培養する工程、および該抗体を得る工程
む、請求項28に記載の方法。
を含む、方法。
【請求項31】
【請求項41】
前記免疫グロブリン重鎖可変領域配列が、配列番号64
工程(c)における前記培養する工程が、工程(b)に
と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも8
おいて得た前記少なくとも1つの細胞から産生された少
5%、少なくとも90%、少なくとも95%または少な
くとも98%同一である、請求項28に記載の方法。
なくとも1つのハイブリドーマ細胞で行われる、請求項
40
40に記載の方法。
【請求項32】
【請求項42】
前記免疫グロブリン重鎖可変領域配列が配列番号64を
工程(b)において得られる前記少なくとも1つの細胞
含む、請求項28に記載の方法。
が、工程(a)からの前記マウスの脾臓、リンパ節また
【請求項33】
は骨髄に由来する、請求項40に記載の方法。
マウスの免疫グロブリン重鎖遺伝子座を改変するための
【請求項43】
方法であって、以下:
工程(a)の前記抗原での免疫が、タンパク質、DNA
(a)雄マウスにおいて内因性マウスADAM6活性の
、DNAとタンパク質の組み合わせ、または該抗原を発
低減または除去を結果としてもたらす、該マウス免疫グ
現する細胞で行われる、請求項40に記載の方法。
ロブリン重鎖遺伝子座の第一の改変を行う工程;および
【発明の詳細な説明】
(b)該マウスに対してADAM6活性を回復させるた 50
【技術分野】
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【0001】
つかの実験的障害、例えば、マウスが十分に多様な抗体
分野
レパートリーの産生を実行できなくなる、広範なリエン
低減された免疫グロブリン重鎖可変遺伝子の複雑性を含
ジニアリングフィックス(re−engineerin
む遺伝子操作非ヒト動物であって、ADAM6タンパク
g fixes)の使用を必要とする、おそらくヒト要
質またはその機能的断片を発現することができる遺伝子
素とマウス要素間の不適合性のため、最適以下のクロー
操作非ヒト動物を提供する。限られた数の免疫グロブリ
ン選択過程を提供する、およびヒト治療薬の作製に真に
ン重鎖可変遺伝子セグメントおよび/またはその変異体
有用であるために必要なヒト可変配列の大きな且つ多様
から抗体を発現する遺伝子操作非ヒト動物であって、機
な集団の信頼できない源、をもたらす。
能的内因性ADAM6遺伝子を欠くがADAM6機能を
【0004】
保持する遺伝子操作非ヒト動物、例えば、マウスを機能 10
ヒト抗体治療薬は、選択された抗原に関して所望される
的ADAM6タンパク質作製不能にし、その結果、妊性
特徴に基づき操作される。ヒト化マウスを選択抗原で免
を喪失させる内因性免疫グロブリン重鎖可変(VH )領
疫し、免疫したマウスを用いて、所望の結合特徴を有す
域遺伝子座の改変を含むマウスを記載する。遺伝子改変
る高親和性の同種の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ド
マウスは、限られた数のVH 遺伝子セグメント、例えば
メインを同定するための抗体集団を生成する。内因性マ
単一の免疫グロブリンVH セグメント、例えばヒトVH
ウス遺伝子座において可変領域だけをヒト化させたヒト
1−69遺伝子セグメントまたはヒトVH 1−2遺伝子
化マウスなど、一部のヒト化マウスは、特徴および数が
セグメントを特徴とする免疫グロブリンVH 遺伝子座を
野生型マウスのB細胞集団と類似するB細胞集団を生成
含むマウスであって、ADAM6機能をさらに含むマウ
する。結果として、多数の異なる免疫グロブリン再構成
ス、例えば、雄マウスに妊性を回復させる異所性核酸配
を反映する抗体をスクリーニングして、最も所望される
列を含むマウスを記載する。
20
特徴を有する重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン
【0002】
を同定するためのこれらのマウスでは、極めて大きくか
機能的ADAM6遺伝子座をコードする核酸配列を含む
つ多様なB細胞集団が利用可能である。
遺伝子改変マウス、細胞、胚および組織であって、単一
【0005】
のヒトVH 遺伝子セグメントに由来する免疫グロブリン
しかし、すべての抗原が、可変(V)セグメントの広範
重鎖を発現する遺伝子改変マウス、細胞、胚および組織
な選択に由来する極めて多数の再構成を示す免疫応答を
を記載する。さらに、上記マウス、細胞、胚および組織
惹起するわけではない。すなわち、特定の抗原に対する
は、機能的内因性ADAM6遺伝子を欠くが、ADAM
ヒト体液性免疫応答は見かけ上限定される。限定は、十
6タンパク質をコードする異所性核酸配列の存在を特徴
分に高い親和性および特異性で特定の抗原に結合する特
とするADAM6機能を保持する。ヒト病原体などの病
定のVセグメントのみを発現するB細胞のクローン選択
原体に結合するのに有用である抗体配列を、妊性の非ヒ 30
に反映される。一部のかかる抗原は、臨床的に有意義で
ト動物において作製するための方法が提供される。
ある、すなわち、それらの一部は、周知のヒト病原体で
【背景技術】
ある。ヒト免疫応答において発現されるVセグメントは
【0003】
、その抗原に対するヒト抗体応答において観察されたこ
背景
とのないランダムに選択されたVセグメントよりも、ヒ
非ヒト動物、例えばマウスは、抗体ベースのヒト治療薬
トDセグメントおよびヒトJセグメントを組み合わせて
において使用するための抗体配列を作製するための方法
、有用な高親和性抗体を生成する可能性が高いVセグメ
において有用なツールになるように遺伝子操作されてき
ントであるという仮説が提起されている。
た。ヒト化可変領域遺伝子座(例えば、VH 、DH およ
【0006】
びJH 遺伝子ならびにVL およびJL 遺伝子)を有する
ヒトと病原体との間の経験の千年間にわたる自然選択は
マウスは、抗体治療薬において使用するための同種の( 40
、病原体を中和するためのその最も有効な武器をデザイ
cognate)重鎖および軽鎖可変ドメインを生成す
ンするのに最も効率的な基礎または基盤(選択されたV
るために使用される。同種の重鎖および軽鎖を有する完
遺伝子セグメント)を選択したと仮定されている。当該
全ヒト抗体を生成するマウスは、当該技術分野において
技術分野においては、上記で論じられた病原体のような
公知である。これらのマウスを作製する場合、ランダム
抗原に結合し、および/またはこれらを中和する、優れ
に組み込まれた完全ヒト導入遺伝子が、該マウスにおい
た抗体が必要とされている。有用な配列を、多型および
て発現する免疫グロブリンレパートリーとして機能する
/または体細胞変異させた選択V遺伝子セグメントを含
ために、内因性マウス免疫グロブリン遺伝子を無能化す
めた選択V遺伝子セグメントからより迅速に生成させる
る必要があった。かかるマウスは、ヒト治療薬としての
こと、および、その体細胞変異バージョンを含めた様々
使用に好適なヒト抗体を作製できるが、該マウスの免疫
なDおよびJ遺伝子セグメントとのV遺伝子セグメント
系に関わる重大な問題を提示する。これらの問題は、幾 50
の再構成、特に、固有で有用なCDR3領域との再構成
( 5 )
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を有する有用なB細胞集団をより迅速に生成することが
ン遺伝子座を提供し、様々な実施形態において、遺伝子
必要とされている。治療的に有用な抗体可変領域配列を
座は、内因性機能的ADAM6タンパク質をコードする
、選択されたV遺伝子セグメントから、例えば、既存の
配列を欠く。
改変動物において達成され得る数および多様性を増大さ
【0009】
せて生成させ、それと同時に、遺伝子改変に起因し得る
限定される重鎖V遺伝子レパートリー、例えば、単一の
有害な変化を低減または排除し得る改善された生物系、
VH 遺伝子セグメントである重鎖V遺伝子レパートリー
例えば、非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ
、または単一のVH 遺伝子セグメントの複数の多型変異
など)が必要とされている。限定された選択V遺伝子セ
体から選択される重鎖V遺伝子レパートリーに由来する
グメントであって、特定のヒト病原体を含め、選択され
重鎖可変ドメインをコードする遺伝子を再構成および形
た抗原に対するヒト抗体ベースの治療剤の製造において 10
成することが可能な遺伝子座を提供し、ここで、様々な
有用な同種のヒト重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメ
実施形態において、該遺伝子座は、内因性機能的ADA
インが含まれるがこれらに限定されないV遺伝子セグメ
M6遺伝子またはその機能的断片を欠く。
ントに由来する抗体の可変配列をクローン選択するため
【0010】
に拘束された体液性免疫系を有するように操作された改
内因性機能的ADAM6遺伝子を欠き、ヒト免疫グロブ
善された生物系が必要とされている。当該技術分野にお
リン配列、例えば、ヒトまたは(またはヒト/非ヒトキ
いては、ヒト集団の負担となる病原体の排除を対象とす
メラ)非ヒト免疫グロブリン定常配列に作動可能に連結
るヒト抗体配列を含む免疫グロブリン配列を生成するの
された(かつ、例えば、Dセグメントおよび/またはJ
に有用な改良された遺伝子改変マウスを作製することが
セグメントと作動可能な連結にある)ヒトVセグメント
依然として必要とされている。
を含む遺伝子座を含む改変免疫グロブリン遺伝子座を提
【0007】
20
供する。単一のVH 遺伝子セグメントの複数コピーを含
当該技術分野においては、単一のヒト可変遺伝子セグメ
む改変遺伝子座であって、コピーのうちの1つ以上が多
ントに由来する重鎖を含有する抗原特異的抗体を含め、
型変異体を含み、非ヒト動物において機能的であるAD
ウイルス抗原、例えば、HIVおよびHCVを中和する
AM6タンパク質またはその断片をコードする異所性ヌ
ことが可能な治療用抗体が必要とされている。また、単
クレオチド配列を包含する改変遺伝子座を提供する。非
一のヒトVH セグメントに由来する重鎖であってCDR
ヒト免疫グロブリン定常配列、例えば、マウス、ラット
配列の多様なセットを有する重鎖(同種のヒト軽鎖と共
またはヒト配列に作動可能に連結された、1つ以上のD
に発現する重鎖を含む)のレパートリーを含む抗体を含
セグメントおよび1つ以上のJセグメントと作動可能に
め、ならびにヒトゲノム配列を非ヒト動物のゲノムに挿
連結された単一のVH セグメントの複数コピーを含む改
入することに起因する望ましくない効果の回復を含め、
変遺伝子座を提供する。また、かかるヒト化遺伝子座を
有用な抗体を作製するためのさらなる方法および非ヒト 30
含む非ヒト動物であって、野生型妊性を有する非ヒト動
動物も必要とされている。例えば、ヒト治療薬の作製に
物も提供する。
おける使用のための体細胞変異した、およびクローン選
【0011】
択した免疫グロブリン可変ドメインを生成するための組
D遺伝子セグメントおよび/またはJ遺伝子セグメント
成物および方法を含め、免疫グロブリンベースの結合タ
に作動可能に連結された単一のVH セグメントを含む免
ンパク質のCDRを選択するための方法であって、それ
疫グロブリン重鎖可変遺伝子座(例えば、導入遺伝子上
から選ぶための結合タンパク質の多様性を増強する、お
の(one
よび免疫グロブリン可変ドメインの多様性を増強する方
重鎖可変遺伝子座、または内因性非ヒト動物重鎖可変遺
法が必要とされている。
伝子座における挿入もしくは置換としての免疫グロブリ
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
a transgene)免疫グロブリン
ン重鎖可変遺伝子座)を含む非ヒト動物を提供する。様
40
々な実施形態において、上記単一のVH 遺伝子セグメン
【0008】
トは、上記非ヒト動物の上記内因性免疫グロブリン重鎖
概要
可変遺伝子遺伝子座において、1つ以上のD遺伝子セグ
限られた数の異なる重鎖可変領域遺伝子セグメント(す
メントおよび/または1つ以上のJ遺伝子セグメントに
なわち、V遺伝子、VH 遺伝子、VH 遺伝子セグメント
作動可能に連結されている。様々な実施形態において、
、またはV遺伝子セグメント)、例えば、1つ以下、2
上記非ヒト動物は、改変重鎖遺伝子座を含む雄非ヒト動
つ以下、もしくは3つ以下の異なるV遺伝子を含む遺伝
物において機能的なADAM6タンパク質またはそのホ
子改変免疫グロブリン遺伝子座、あるいは、例えば、単
モログもしくはオルソログをコードする異所性ヌクレオ
一のコピーもしくは複数コピーで存在し、および/また
チド配列をさらに含む。様々な実施形態において、異所
は1つ以上の多型を含む、1つ以下のV遺伝子セグメン
性ヌクレオチド配列は、上記単一のVH セグメント、D
トのファミリーメンバーを含む遺伝子改変免疫グロブリ 50
遺伝子セグメントまたはJ遺伝子セグメントに隣接して
( 6 )
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いる。様々な実施形態において、上記異所性ヌクレオチ
の、核酸構築物、細胞、胚、マウスおよび方法を提供す
ド配列は、上記非ヒト動物のゲノム内の非免疫グロブリ
る。1つの実施形態において、上記内因性マウス免疫グ
ン配列に隣接する。1つの実施形態において、上記異所
ロブリン遺伝子座は、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であ
性ヌクレオチド配列は、上記改変重鎖遺伝子座と同じ染
り、上記改変は、雄マウスの細胞または組織のADAM
色体上にある。1つの実施形態において、上記異所性ヌ
6活性を低減させるかまたは除去する。1つの実施形態
クレオチド配列は、上記改変重鎖遺伝子座と異なる染色
において、上記内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座は
体上にある。
、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であり、上記改変は、雄
【0012】
マウスの細胞または組織のADAM6活性を保持するま
それらの免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座において
たは持続させる。
、すべてのまたは実質的にすべての内因性免疫グロブリ 10
【0016】
ンVH セグメント(例えば、すべての機能的セグメント
1つの態様では、Vセグメントの正体(identit
、またはほぼすべての機能的セグメント)を欠失させる
y)に関して限定された重鎖Vセグメントのレパートリ
ように改変され、非ヒト動物の内因性免疫グロブリン重
ーを含み、1つ以上のDセグメントおよび1つ以上のJ
鎖可変領域遺伝子座において、DセグメントおよびJセ
セグメント、または1つ以上のJセグメントを含む、改
グメントまたはJセグメントに作動可能に連結されたヒ
変免疫グロブリン重鎖遺伝子座を提供する。1つの実施
トVH 1−69セグメント(またはヒトVH 1−2セグ
形態において、上記重鎖Vセグメントは、ヒトセグメン
メント)を含む非ヒト動物を提供する。かかる遺伝子座
トである。1つの実施形態において、上記改変免疫グロ
を含む非ヒト動物であって、内因性ADAM6遺伝子(
ブリン重鎖遺伝子座は、内因性ADAM6遺伝子を欠く
複数可)を欠く非ヒト動物も提供する。
。1つの実施形態において、上記改変重鎖遺伝子座は、
【0013】
20
ADAM6タンパク質をコードするヌクレオチド配列を
非ヒト動物においてヒト免疫グロブリン配列を作製する
さらに含む。特定の実施形態において、上記ヌクレオチ
ための方法を提供する。様々な実施形態において、上記
ド配列は、上記改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座におい
ヒト免疫グロブリン配列は、単一のヒトVセグメント、
て上記V、Dおよび/またはJ遺伝子セグメントに隣接
例えば、VH 1−69またはVH 1−2、ならびに1つ
している。
以上のDセグメントおよびJセグメントまたは1つ以上
【0017】
のJセグメントから本質的になる免疫グロブリンV配列
1つの実施形態において、上記改変遺伝子座は、非ヒト
のレパートリーに由来する。非ヒト動物、非ヒト組織、
遺伝子座である。1つの実施形態において、上記非ヒト
および非ヒト細胞において、ヒト免疫グロブリン配列を
遺伝子座は、少なくとも1つのヒト免疫グロブリン配列
作製するための方法であって、上記ヒト免疫グロブリン
で改変されている。1つの実施形態において、上記非ヒ
配列が病原体に結合する方法を提供する。
30
ト遺伝子座は、少なくとも1つのヒト免疫グロブリン配
【0014】
列と、ADAM6タンパク質をコードする配列とで改変
1つの態様では、非機能的内因性マウスADAM6タン
されている。
パク質またはADAM6遺伝子(例えば、内因性ADA
【0018】
M6遺伝子のノックアウトまたは内因性ADAM6遺伝
1つの実施形態において、上記限定は、1つのVセグメ
子内での欠失)を生じさせる結果となる改変を含むマウ
ントファミリーメンバーに対するものである。1つの実
スであって、雄マウスにおいて機能的であるADAM6
施形態において、上記1つのVセグメントファミリーメ
タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもし
ンバーは、2コピー以上で存在する。1つの実施形態に
くは断片をコードする核酸配列を含むマウスを作製する
おいて、上記1つのVセグメントファミリーメンバーは
ための、核酸構築物、細胞、胚、マウスおよび方法を提
、2つ以上の変異体(例えば、Vセグメントファミリー
供する。1つの実施形態において、上記マウスは、齧歯 40
メンバーの2つ以上の多型形態)として存在する。1つ
動物ADAM6タンパク質またはそのオルソログもしく
の実施形態において、上記1つのVセグメントは、ヒト
はホモログもしくは機能的断片をコードする異所性ヌク
Vセグメントファミリーメンバーである。1つの実施形
レオチド配列を含む;特定の実施形態において、上記齧
態において、上記1つのVセグメントファミリーメンバ
歯動物ADAM6タンパク質は、マウスADAM6タン
ーは、その変異体に関してヒト集団内で観察される多数
パク質である。
の変異体で存在する。1つの実施形態において、上記V
【0015】
セグメントファミリーメンバーは、表1から選択される
1つの態様では、内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座
。1つの実施形態において、上記Vセグメントファミリ
の改変を含むマウスであって、雄マウスにおいて機能的
ーメンバーは、各Vセグメントについて、1つの対立遺
であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもし
伝子∼表1の右欄で示される数の対立遺伝子にわたる多
くはホモログもしくは断片を含むマウスを作製するため 50
数の対立遺伝子で示されるとおりの多数の変異体で存在
( 7 )
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する。
つ以上の重鎖連結(JH )遺伝子セグメントによる置換
【0019】
を含む。1つの実施形態において、上記遺伝子改変は、
1つの態様では、マウスADAM6またはそのオルソロ
単一のオルソロガス免疫グロブリンVH 遺伝子セグメン
グもしくはホモログもしくは機能的断片をコードする異
ト、少なくとも1つのDH 遺伝子セグメントおよび少な
所性ヌクレオチド配列を含むマウスを提供する;マウス
くとも1つのJH 遺伝子セグメントの、内因性免疫グロ
ADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもし
ブリン重鎖可変遺伝子座への挿入を含む。特定の実施形
くは機能的断片をコードする内因性ヌクレオチド配列を
態において、上記種はヒトである。1つの実施形態にお
含み、重鎖免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの
いて、上記遺伝子改変は、内因性免疫グロブリン重鎖可
遺伝子改変を含むマウスも提供する。1つの実施形態に
変遺伝子座の全部または一部の欠失を含み、該欠失は、
おいて、マウスADAM6またはそのオルソログもしく 10
内因性ADAM6機能の喪失を生じさせる結果となる。
はホモログもしくは機能的断片をコードする上記内因性
特定の実施形態において、上記内因性ADAM6機能の
ヌクレオチド配列は、野生型マウスの内因性ADAM6
喪失は、雄マウスにおける妊性の低減に関連づけられる
遺伝子と比較して異所位置にある。
。1つの実施形態において、上記遺伝子改変は、内因性
【0020】
免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座の全部または一部の不
1つの態様では、内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座
活性化を含み、上記欠失は、内因性ADAM6機能の喪
の改変を含むマウスであって、雄マウスにおいて機能的
失を生じさせる結果とならない。不活性化は、内因性遺
であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもし
伝子セグメントを含む抗体の重鎖をコードするように再
くはホモログもしくは断片を含むマウスを作製するため
構成するのが実質的にできない内因性免疫グロブリン重
の方法を提供する。
鎖遺伝子座を生じさせる結果となる1つ以上の内因性遺
【0021】
20
伝子セグメントの置換または欠失を含み得る。不活性化
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の遺伝子
は、上記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が抗体の重
改変を含むマウスを作製するための方法を提供し、これ
鎖をコードするように再構成するのを不可能にする他の
らの方法の適用により、改変された免疫グロブリン重鎖
改変を含み得、該改変は、内因性遺伝子セグメントの置
遺伝子座(またはその欠失)を含む雄マウスが得られ、
換または欠失を含まない。例示的な改変としては、例え
該雄マウスは、交配によって子孫を産生することができ
ば、部位特異的な組換え部位の正確な配置を使用する分
る。1つの実施形態において、上記雄マウスは、マウス
子技術(例えば、Cre−lox技術)によって媒介さ
子宮からマウス卵管を通って移行してマウス卵子を受精
れる染色体の逆位および/または転座が挙げられる。
させることができる精子を産生できる。
【0024】
【0022】
1つの実施形態において、上記遺伝子改変は、1つ以上
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の遺伝子 30
の定常領域配列(例えば、IgMおよび/またはIgG
改変を含むマウスを作製するための方法を提供し、これ
遺伝子)に作動可能に連結された別の種(例えば、非マ
らの方法の適用により、改変された免疫グロブリン重鎖
ウス種)の限られた数の、例えば、1つ以下、2つまた
遺伝子座(またはその欠失)を含む雄マウスが得られ、
は3つの異なる重鎖可変(VH )遺伝子セグメント、1
該雄マウスは妊性の低減を示し、および該マウスは、そ
つ以上の重鎖多様性(DH )遺伝子セグメントおよび1
の妊性低減を全部または一部回復させる遺伝子改変を含
つ以上の重鎖連結(JH )遺伝子セグメントを含有する
む。様々な実施形態において、上記妊性の低減は、雄マ
DNA断片の、上記マウスのゲノムへの挿入を含む。
ウスの精子が、マウス子宮からマウス卵管を通って移動
1つの実施形態において、上記DNA断片は、抗体の重
してマウス卵子を受精させることができないことを特徴
鎖をコードする配列を形成するように再構成を受けるこ
とする。様々な実施形態において、上記妊性の低減は、
とができる。1つの実施形態において、上記遺伝子改変
in
は、単一のオルソロガス免疫グロブリンVH 遺伝子セグ
vivo移動欠陥を示す精子を特徴とする。様々 40
な実施形態において、上記妊性の低減を全部または一部
メント、少なくとも1つのDH 遺伝子セグメントおよび
回復させる遺伝子改変は、雄マウスにおいて機能的であ
少なくとも1つのJH 遺伝子セグメントの、上記マウス
るマウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしく
のゲノムへの挿入を含む。特定の実施形態において、上
はホモログもしくは断片をコードする核酸配列である。
記種はヒトである。1つの実施形態において、上記遺伝
【0023】
子改変は、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を非機能
1つの実施形態において、上記遺伝子改変は、内因性免
的にする内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座の全部
疫グロブリン重鎖可変遺伝子座の、別の種(例えば、非
または一部の欠失を含み、該欠失はさらに、内因性AD
マウス種)の限られた数、例えば、1つ以下、2つまた
AM6機能の喪失を生じさせる結果となる。特定の実施
は3つの異なる重鎖可変(VH )遺伝子セグメント、1
形態において、上記内因性ADAM6機能の喪失は、雄
つ以上の重鎖多様性(DH )遺伝子セグメントおよび1 50
マウスにおける妊性の低減に関連づけられる。
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【0025】
のヒトDH 遺伝子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子
1つの態様では、内因性ADAM6対立遺伝子からのマ
セグメントを含む。1つの実施形態において、上記異所
ウスADAM6発現を低減させるまたは除去する改変を
性タンパク質は、上記マウスの生殖細胞系における非免
有する雄マウスが、内因性ADAM6機能の低減または
疫グロブリン遺伝子座内にあるゲノム配列によってコー
除去に起因して、妊性低減(例えば、交配による子孫産
ドされている。1つの実施形態において、上記非免疫グ
生能力の高度低減)を示すまたは本質的に不妊性である
ロブリン遺伝子座は、転写活性遺伝子座である。特定の
ように、該改変を含み、さらに、異所性ADAM6配列
実施形態において、上記転写活性遺伝子座は、ROSA
またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的
26遺伝子座である。特定の実施形態において、上記転
断片を含む、マウスを提供する。1つの態様において、
写活性遺伝子座は、組織特異的発現と関連づけられる。
マウスADAM6発現を低減させるまたは除去する改変 10
1つの実施形態において、上記組織特異的発現は、生殖
は、マウス免疫グロブリン遺伝子座の改変(例えば、挿
組織に存在する。1つの実施形態において、上記タンパ
入、欠失、置換など)である。1つの実施形態において
ク質は、上記マウスの生殖細胞系にランダムに挿入され
、上記免疫グロブリン遺伝子座は、免疫グロブリン重鎖
たゲノム配列によってコードされている。
遺伝子座である。
【0030】
【0026】
1つの実施形態において、上記マウスは、ヒトまたはキ
1つの実施形態において、ADAM6機能の低減または
メラヒト/マウスまたはキメラヒト/ラット軽鎖(例え
喪失は、マウスが、マウス子宮からマウス卵管を通って
ば、ヒト可変、マウスまたはラット定常)とキメラヒト
進んでマウス卵子を受精させることのできる精子を産生
可変/マウスまたはラット定常重鎖とを含む。特定の実
できないことまたは実質的に産生できないこと含む。特
施形態において、上記マウスは、転写活性プロモーター
定の実施形態において、上記マウスの射精体積中の産生 20
、例えばROSA26プロモーター、に作動可能に連結
された精子細胞の少なくとも約95%、96%、97%
されているキメラヒト可変/ラットまたはマウス定常軽
、98%または99%は、交尾後にin
vivoで卵
鎖遺伝子を含む導入遺伝子を含む。さらなる特定の実施
管を通って進むことができず、マウス卵子を受精させる
形態において、上記キメラヒト/マウスまたはラット軽
ことができない。
鎖導入遺伝子は、上記マウスの生殖細胞系内に再構成ヒ
【0027】
ト軽鎖可変領域配列を含む。
1つの実施形態において、ADAM6機能の低減または
【0031】
喪失は、上記マウスの精子細胞の表面でADAM2およ
1つの実施形態において、上記異所性ヌクレオチド配列
び/またはADAM3および/またはADAM6の複合
は、上記マウスの生殖細胞系における免疫グロブリン遺
体を形成できないことまたは実質的に形成できないこと
伝子座内にある。特定の実施形態において、上記免疫グ
を含む。1つの実施形態において、ADAM6機能の喪 30
ロブリン遺伝子座は、重鎖遺伝子座である。1つの実施
失は、雌マウスとの交尾によってマウス卵子を受精させ
形態において、上記重鎖遺伝子座は、単一のヒトVH 、
ることが実質的にできないことを含む。
少なくとも1つのヒトDH および少なくとも1つのヒト
【0028】
JH 遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において
1つの態様において、機能的内因性ADAM6遺伝子を
、上記重鎖遺伝子座は、単一のヒトVH 、27のヒトD
欠いているマウスであって、該マウスにADAM6機能
H
性を付与するタンパク質(またはタンパク質をコードす
トを含む。1つの実施形態において、上記異所性ヌクレ
る異所性ヌクレオチド配列)を含むマウスを提供する。
オチド配列は、上記マウスの生殖細胞系における非免疫
1つの実施形態において、上記マウスは雄マウスであり
グロブリン遺伝子座内にある。1つの実施形態において
、上記機能性は、機能的内因性ADAM6遺伝子を欠い
ているマウスと比較して強化された妊性を含む。
遺伝子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子セグメン
、上記非免疫グロブリン遺伝子座は、転写活性遺伝子座
40
である。特定の実施形態において、上記転写活性遺伝子
【0029】
座は、ROSA26遺伝子座である。1つの実施形態に
1つの実施形態において、上記タンパク質は、上記マウ
おいて、上記異所性ヌクレオチド配列は、上記マウスの
スの生殖細胞系における免疫グロブリン遺伝子座内にあ
生殖細胞系にランダムに挿入された位置にある。
るゲノム配列によってコードされている。特定の実施形
【0032】
態において、上記免疫グロブリン遺伝子座は、重鎖遺伝
1つの態様では、機能的内因性ADAM6遺伝子を欠い
子座である。もう1つの特定の実施形態において、上記
ているマウスであって、マウスADAM6機能の喪失を
重鎖遺伝子座は、単一のヒトVH 、少なくとも1つのヒ
補う異所性ヌクレオチド配列を含むマウスを提供する。
トDH および少なくとも1つのヒトJH 遺伝子セグメン
1つの実施形態において、上記異所性ヌクレオチド配列
トを含む。もう1つの特定の実施形態において、上記重
は、上記マウスに、機能的内因性ADAM6遺伝子を含
鎖遺伝子座は、1つのヒトVH 遺伝子セグメント、27 50
有する対応する野生型マウスに匹敵する子孫産生能力を
( 9 )
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付与する。1つの実施形態において、上記配列は、上記
を産生する。
マウスの精子細胞の表面でADAM2および/またはA
【0038】
DAM3および/またはADAM6の複合体を形成する
1つの実施形態において、上記機能的内因性ADAM6
能力を、上記マウスに付与する。1つの実施形態におい
遺伝子を欠き、上記異所性ヌクレオチド配列を含む上記
て、上記配列は、上記マウスに、マウス子宮からマウス
マウスは、該機能的ADAM6遺伝子を欠いており該異
卵管を通ってマウス卵子へと進んで該卵子を受精させる
所性ヌクレオチド配列が無いマウスに比べて、匹敵する
能力を付与する。
期間内に約1.5倍、約2倍、約3倍または約4倍以上
【0033】
の同腹子を産生する。
1つの実施形態において、上記機能的内因性ADAM6
【0039】
遺伝子を欠き、上記異所性ヌクレオチド配列を含む上記 10
1つの態様では、免疫グロブリンタンパク質をコードす
マウスは、同じ年齢および系統の野生型マウスが6ヶ月
る非マウス核酸配列をその生殖細胞系内に含むマウスを
の期間に産生する同腹子の数の少なくとも約50%、6
提供し、上記非マウス免疫グロブリン配列は、マウスA
0%、70%、80%または90%の数の同腹子を産生
DAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログ
する。
もしくは機能的断片の挿入を含む。1つの実施形態にお
【0034】
いて、上記非マウス免疫グロブリン配列は、ヒト免疫グ
1つの実施形態において、上記機能的内因性ADAM6
ロブリン配列を含む。1つの実施形態において、上記配
遺伝子を欠き、上記異所性ヌクレオチド配列を含む上記
列は、ヒト免疫グロブリン重鎖配列を含む。1つの実施
マウスは、6ヶ月に期間にわたって交配させたとき、実
形態において、上記配列は、ヒト免疫グロブリン軽鎖配
質的に同じ期間にわたって実質的に同じ条件下で交配さ
列を含む。1つの実施形態において、上記配列は、単一
せた、該機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き該異所性 20
のVH 遺伝子セグメント、1つ以上のDH 遺伝子セグメ
ヌクレオチド配列を欠いている同じ年齢および同じまた
ントおよび1つ以上のJH 遺伝子セグメントを含む;1
は類似系統のマウスに比べて、少なくとも約1.5倍、
つの実施形態において、上記配列は、1つ以上のVL 遺
約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約6倍、約7倍
伝子セグメントおよび1つ以上のJL 遺伝子セグメント
、約8倍または約10以上後代を産生する。
を含む。1つの実施形態において、上記単一のVH 、1
【0035】
つ以上のDH および1つ以上のJH 遺伝子セグメント、
1つの実施形態において、上記機能的内因性ADAM6
または1つ以上のVL およびJL 遺伝子セグメントは、
遺伝子を欠き、上記異所性ヌクレオチド配列を含む上記
再構成されない。1つの実施形態において、上記単一の
マウスは、4または6ヶ月の交配期間中に、該機能的内
VH 、1つ以上のDH および1つ以上のJH 遺伝子セグ
因性ADAM6遺伝子を欠いており該異所性ヌクレオチ
メント、または1つ以上のVL およびJL 遺伝子セグメ
ド配列が無い、同じ期間交配させたマウスより、同腹子 30
ントは、再構成される。1つの実施形態において、上記
あたり平均少なくとも約2倍、3倍、4倍多い数の子を
単一のVH 、1つ以上のDH および1つ以上のJH 遺伝
産生する。
子セグメント、または1つ以上のVL およびJL 遺伝子
【0036】
セグメントの再構成後、上記マウスは、マウスADAM
1つの実施形態において、上記機能的内因性ADAM6
6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログもしく
遺伝子を欠き、上記異所性ヌクレオチド配列を含む上記
は機能的断片をコードする少なくとも1つの核酸配列を
マウスは雄マウスであり、該雄マウスは、交尾後約5∼
そのゲノム内に含む。1つの実施形態において、再構成
6時間の時点で卵管から回収したとき、該機能的内因性
後、上記マウスは、マウスADAM6遺伝子またはその
ADAM6遺伝子を欠いており該異所性ヌクレオチド配
ホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をコー
列が無いマウスに比べて少なくとも10倍、少なくとも
ドする少なくとも2つの核酸配列をそのゲノム内に含む
20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なく 40
。1つの実施形態において、再構成後、上記マウスは、
とも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少
マウスADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオ
なくとも80倍、少なくとも90倍、100倍、110
ルソログもしくは機能的断片をコードする少なくとも1
倍または120倍以上である卵管移動を表わす精子を産
つの核酸配列をそのゲノム内に含む。1つの実施形態に
生する。
おいて、上記マウスは、上記ADAM6遺伝子またはそ
【0037】
のホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をB
1つの実施形態において、上記機能的内因性ADAM6
細胞内に含む。1つの実施形態において、上記マウスは
遺伝子を欠き、上記異所性ヌクレオチド配列を含む上記
、上記ADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオ
マウスは、雌マウスと交尾させたとき、野生型マウスか
ルソログもしくは機能的断片を非B細胞内に含む。
らの精子にほぼ等しい効率で約6時間以内に子宮を通り
【0040】
抜けて卵管に入って卵管を通り抜けることができる精子 50
1つの態様では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域また
( 10 )
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はその機能的断片を内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺
び下流に隣接するADAM6配列またはそのホモログも
伝子座から発現するマウスであって、雄マウスにおいて
しくはオルソログもしくは機能的断片を含む。特定の実
機能的であるADAM6活性を含むマウスを提供する。
施形態において、上記免疫グロブリン可変遺伝子セグメ
1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン重鎖
ントは、ヒト遺伝子セグメントである。1つの実施形態
可変領域は、多型ヒトVH 遺伝子セグメントを含む。1
において、上記免疫グロブリン可変遺伝子セグメントは
つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン重鎖可
、ヒト遺伝子セグメントであり、マウスにおいて機能的
変領域は、ヒトVH 1−69遺伝子セグメントを含む。
である上記マウスADAM6またはそのオルソログもし
1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン重鎖
くはホモログもしくは断片をコードする上記配列は、ヒ
可変領域は、ヒトVH 1−2遺伝子セグメントを含む。
【0041】
トVH 遺伝子セグメント間にある;1つの実施形態にお
10
いて、上記マウスは、1つのヒトVH 遺伝子セグメント
1つの実施形態において、上記雄マウスは、単一の未改
を含み、上記配列は、上記VH 遺伝子セグメントの5’
変内因性ADAM6対立遺伝子またはそのオルソログも
の位置にある;1つの実施形態において、上記配列は、
しくはホモログ(ortholog
homol
上記VH 遺伝子セグメントの3’の位置にある;1つの
og)もしくは機能的断片を内因性ADAM6遺伝子座
of
実施形態において、上記配列は、上記VH 遺伝子セグメ
に含む。
ントと上記最初のDH 遺伝子セグメントとの間の位置に
【0042】
ある。特定の実施形態において、上記DH 遺伝子セグメ
1つの実施形態において、上記雄マウスは、ADAM6
ントは、上記最初のDH 遺伝子セグメントである。1つ
機能を付与するタンパク質をコードする異所性マウスA
の実施形態において、上記マウスは、2つのVH 遺伝子
DAM6配列またはそのホモログもしくはオルソログも
セグメントを含み、上記配列は、上記2つのVH 遺伝子
しくは機能的断片を含む。
20
セグメント間の位置にある;1つの実施形態において、
【0043】
上記配列は、VH 遺伝子セグメントとDH 遺伝子セグメ
1つの実施形態において、上記雄マウスは、上記内因性
ントとの間の位置にある。特定の実施形態において、上
マウスADAM6対立遺伝子の場所に近いマウスゲノム
記DH 遺伝子セグメントは、上記最初のDH 遺伝子セグ
内の場所、例えば、V遺伝子セグメント配列の3’およ
メントである。
び最初のD遺伝子セグメントの5’にADAM6配列ま
【0045】
たはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断
1つの実施形態において、上記雄マウスは、野生型雄マ
片を含む。特定の実施形態において、上記雄マウスは、
ウスと同じまたは実質的に同じ内因性免疫グロブリン遺
ヒトVH 遺伝子セグメントの3’およびヒトDH 遺伝子
伝子座内の位置にあるADAM6配列またはそのホモロ
セグメントの5’にADAM6配列またはそのホモログ
グもしくはオルソログもしくは機能的断片を含む。特定
もしくはオルソログもしくは機能的断片を含む。もう1 30
の実施形態において、上記内因性遺伝子座は、抗体の重
つの特定の実施形態において、上記雄マウスは、ヒトV
鎖をコードできない。特定の実施形態において、上記内
遺伝子セグメントの5’にADAM6配列またはその
因性遺伝子座は、それが抗体の重鎖をコードできないよ
ホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片を含む
うにする上記雄マウスのゲノム内の場所に配置される。
。もう1つの特定の実施形態において、上記雄マウスは
様々な実施形態において、上記雄マウスは、ヒト免疫グ
、単一のヒトVH 遺伝子セグメント、1つ以上のDH 遺
ロブリン遺伝子セグメントと同じ染色体上にあるADA
伝子セグメントおよび1つ以上のJH 遺伝子セグメント
M6配列を含み、上記ADAM6配列は、機能的ADA
を含むキメラ重鎖遺伝子座の5’にADAM6配列また
M6タンパク質をコードする。
はそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片
【0046】
を含む。1つの実施形態において、上記キメラ重鎖遺伝
1つの態様では、非機能的内因性ADAM6遺伝子、ま
子座は、ヒトVH 1−69遺伝子セグメント、27のヒ 40
たは内因性ADAM6遺伝子の欠失をその生殖細胞系内
トDH 遺伝子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子セグ
に含む雄マウスを提供し、該マウスの精子細胞は、雌マ
メントを含む。1つの実施形態において、上記キメラ重
ウスの卵管を通過することができ、卵子を受精させるこ
鎖遺伝子座は、ヒトVH 1−2遺伝子セグメント、27
とができる。1つの実施形態において、上記マウスは、
のヒトDH 遺伝子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子
雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6遺伝子
セグメントを含む。
またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的
【0044】
断片の染色体外コピーを含む。1つの実施形態において
1つの実施形態において、上記雄マウスは、免疫グロブ
、上記マウスは、雄マウスにおいて機能的である異所性
リン可変遺伝子セグメントまたは免疫グロブリン多様性
マウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくは
遺伝子セグメントをコードする核酸配列の(ADAM6
ホモログもしくは機能的断片を含む。
配列の転写方向に関して)上流、下流、または上流およ 50
【0047】
H
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1つの態様において、内因性マウスADAM6機能を低
形態において、雌マウスと交配するとき、上記雄マウス
減させる遺伝子改変を含むマウスであって、全部もしく
は、1つまたは2つの内因性未改変ADAM6対立遺伝
は一部機能的である内因性未改変対立遺伝子(例えば、
子を有するマウスの子孫産生能力の、1つの実施形態で
ヘテロ接合体)によってあるいは雄マウスにおいて機能
は少なくとも25%、1つの実施形態では少なくとも3
的であるADAM6またはそのオルソログもしくはホモ
0%、1つの実施形態では少なくとも40%、1つの実
ログもしくは機能的断片をコードする異所性配列からの
施形態では少なくとも50%、1つの実施形態では少な
発現によってもたらされる、少なくともいくらかのAD
くとも60%、1つの実施形態では少なくとも70%、
AM6機能性を含むマウスを提供する。
1つの実施形態では少なくとも80%、1つの実施形態
【0048】
では少なくとも90%、および1つの実施形態では該マ
1つの実施形態において、上記マウスは、機能的ADA 10
ウスの子孫産生能力とほぼ同じである、子孫産生能力を
M6を欠いている雄マウスと比較して、交配により子孫
示す。
を産生する能力を雄マウスに付与するのに十分なADA
【0050】
M6機能を含む。1つの実施形態において、上記ADA
1つの実施形態において、雄マウスは、該雄マウスから
M6機能は、マウスADAM6またはそのホモログもし
の精子細胞が雌マウス卵巣を通り抜けることおよびマウ
くはオルソログもしくは機能的断片をコードする異所性
ス卵子を受精させることを可能にするために十分なAD
ヌクレオチド配列の存在によって付与される。1つの実
AM6(またはそのオルソログもしくはホモログもしく
施形態において、上記ADAM6機能は、内因性免疫グ
は機能的断片)を発現する。
ロブリン遺伝子座に存在する内因性ADAM6遺伝子に
【0051】
よって付与され、該内因性免疫グロブリン遺伝子座は、
1つの実施形態において、上記ADAM6機能性は、マ
抗体の重鎖をコードできない。雄マウスにおいて機能的 20
ウス染色体配列に隣接する核酸配列によって付与される
であるADAM6ホモログもしくはオルソログまたはそ
(例えば、上記核酸は、マウス染色体にランダムに組み
の断片としては、十分な内因性マウスADAM6活性が
込まれている;または例えば、上記核酸を特定の場所に
無い雄マウスにおいて観察される子孫産生能力の喪失、
ターゲティングすることにより、例えば部位特異的リコ
例えば、ADAM6ノックアウトマウスにおいて観察さ
ンビナーゼ媒介(例えば、Cre媒介)挿入もしくは相
れる能力の喪失を全部または一部回復させるものが挙げ
同組換えにより、特定の場所に配置されている)。1つ
られる。この意味で、ADAM6ノックアウトマウスに
の実施形態において、上記ADAM6配列は上記マウス
は、内因性遺伝子座またはその断片を含むが機能的でな
の染色体とは異なる核酸上に存在する(例えば、上記A
い、すなわち、ADAM6(ADAM6aおよび/もし
DAM6配列は、エピソーム上に、すなわち染色体外に
くはADAM6b)をまったく発現しない、または野生
、例えば、発現構築物、ベクター、YAC、導入染色体
型雄マウスの本質的に正常な子孫産生能力を支持するの 30
などに存在する)。
に不十分であるレベルでADAM6(ADAM6aおよ
【0052】
び/もしくはADAM6b)を発現するマウスが含まれ
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の
る。機能の喪失は、例えば、上記遺伝子座の構造遺伝子
改変を含む遺伝子改変マウスおよび細胞を提供し、該マ
(すなわちADAM6aもしくはADAM6bコーディ
ウスは、免疫グロブリン重鎖配列の少なくとも一部分、
ング領域)の改変、または上記遺伝子座の調節領域(例
例えば、ヒト配列の少なくとも一部分を発現し、該マウ
えば、ADAM6a遺伝子に対して5’のまたはADA
スは、雄マウスにおいて機能的であるADAM6活性を
M6aもしくはADAM6bコーディング領域の3’の
含む。1つの実施形態において、上記改変は、上記マウ
配列であって、ADAM6遺伝子の転写、ADAM6
スのADAM6活性を低減させるまたは根絶する。1つ
RNAの発現またはADAM6タンパク質の発現を全部
の実施形態では、上記マウスは、ADAM6活性をコー
または一部制御する配列)の改変に起因し得る。様々な 40
ドする両方の対立遺伝子が、不在であるように、または
実施形態において、雄マウスにおいて機能的であるオル
雄マウスにおいて正常交配を支持するように実質的に機
ソログもしくはホモログまたはその断片は、雄マウスの
能しないADAM6を発現するように、改変される。1
精子(または雄マウスの射精液中の大部分の精子細胞)
つの実施形態において、上記マウスは、マウスADAM
がマウス卵管を通過してマウス卵子を受精させることを
6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能
可能にするものである。
的断片をコードする異所性核酸配列をさらに含む。1つ
【0049】
の実施形態において、上記改変は、上記マウスのADA
1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン可変
M6活性を維持し、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座
領域またはその機能的断片を発現する雄マウスは、雌マ
が抗体の重鎖をコードできないようにする。特定の実施
ウスとの交配により子孫を産生する能力を該雄マウスに
形態において、上記改変は、上記内因性免疫グロブリン
付与するのに十分なADAM6活性を含み、1つの実施 50
重鎖遺伝子座が抗体の重鎖をコードできないようにする
( 12 )
JP
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染色体の逆位およびまたは転座を含む。
L
【0053】
JL 遺伝子セグメント)での置換である。
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の
【0056】
改変を含む遺伝子改変マウスおよび細胞を提供し、該改
1つの実施形態において、上記改変は、第一の遺伝子座
変は、該遺伝子座のADAM6配列から発現するADA
の第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子、および第二の
M6活性を低減させるまたは除去するものであり、およ
遺伝子座の第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子におけ
び該マウスは、ADAM6タンパク質またはそのオルソ
るものであり、上記ADAM6機能は、上記マウスの生
ログもしくはホモログもしくは機能的断片を含む。様々
殖細胞系における非免疫グロブリン遺伝子座での異所性
な実施形態において、上記ADAM6タンパク質または
ADAM6発現の結果として生ずる。特定の実施形態に
その断片は、異所性ADAM6配列によってコードされ 10
おいて、上記非免疫グロブリン遺伝子座は、ROSA2
ている。様々な実施形態において、上記ADAM6タン
6遺伝子座である。特定の実施形態において、上記非免
パク質またはその断片は、内因性ADAM6対立遺伝子
疫グロブリン遺伝子座は、生殖組織において転写活性で
から発現する。様々な実施形態において、上記マウスは
ある。
、第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子からの機能的A
【0057】
DAM6の発現を低減させるまたは除去する第一の改変
1つの実施形態において、上記改変は、第一の遺伝子座
を含む第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子と、第二の
の第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子および第二の遺
免疫グロブリン重鎖対立遺伝子からの機能的ADAM6
伝子座の第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子における
の発現を実質的に低減させないまたは除去しない第二の
ものであり、および上記ADAM6機能は、上記第一の
改変を含む第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子とを含
免疫グロブリン重鎖対立遺伝子での異所性ADAM6の
む。
20
遺伝子セグメント(例えば、ヒトVL および/または
発現の結果として生じる。1つの実施形態において、上
【0054】
記改変は、第一の遺伝子座の第一の免疫グロブリン重鎖
1つの実施形態において、上記第二の改変は、最後のマ
対立遺伝子および第二の遺伝子座の第二の免疫グロブリ
ウスV遺伝子グメントの(マウスV遺伝子セグメントの
ン重鎖対立遺伝子におけるものであり、および上記AD
転写方向性に対して)3’にあり、およびマウス(また
AM6機能は、上記第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝
はキメラヒト/マウス)免疫グロブリン重鎖定常遺伝子
子での異所性ADAM6の発現の結果として生じる。
またはその断片(例えば、ヒトおよび/またはマウス:
【0058】
CH 1および/またはヒンジおよび/またはCH 2およ
1つの態様では、ADAM6のヘテロ接合またはホモ接
び/またはCH 3をコードする核酸配列)の(定常配列
合ノックアウトを含むマウスを提供する。1つの実施形
の転写方向性に対して)5’にある。
態において、上記マウスは、ヒトもしくはヒト化免疫グ
【0055】
30
ロブリン配列またはラクダ科動物もしくはラクダ化ヒト
1つの実施形態において、上記改変は、第一のADAM
もしくはマウス免疫グロブリン配列である、改変免疫グ
6対立遺伝子をコードする第一の遺伝子座の第一の免疫
ロブリン配列をさらに含む。1つの実施形態において、
グロブリン重鎖対立遺伝子におけるものであり、および
上記改変免疫グロブリン配列は、内因性マウス重鎖免疫
上記ADAM6機能は、機能的ADAM6をコードする
グロブリン遺伝子座に存在する。1つの実施形態におい
第二の遺伝子座の第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子
て、上記改変免疫グロブリン配列は、内因性マウス免疫
での内因性ADAM6の発現の結果として生じ、上記第
グロブリン重鎖遺伝子座にヒト重鎖可変遺伝子配列を含
二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子は、V、Dおよび/
む。1つの実施形態において、上記ヒト重鎖可変遺伝子
またはJ遺伝子セグメントの少なくとも1つの改変を含
配列は、上記内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座
む。特定の実施形態において、上記V、Dおよびまたは
の内因性マウス重鎖可変遺伝子配列を置換する。
J遺伝子セグメントの上記少なくとも1つの改変は、欠 40
【0059】
失、単一のヒトVH 、1つ以上のDH および/または1
1つの態様では、内因性マウスADAM6遺伝子座から
つ以上のJH 遺伝子セグメントによる置換、ラクダ科動
機能的内因性マウスADAM6を発現できないマウスを
物VH (またはVH
)、DH および/またはJH 遺伝
提供する。1つの実施形態において、上記マウスは、該
子セグメントによる置換、ヒト化またはラクダ化VH (
マウスにおいて機能的であるADAM6またはその機能
またはVH
)、DH および/またはJH 遺伝子セグメ
的断片をコードする異所性核酸配列を含む。特定の実施
ントによる置換、重鎖配列の軽鎖配列による置換、なら
形態において、上記異所性核酸配列は、ADAM6ノッ
びにその組み合わせである。1つの実施形態において、
クアウトに関してホモ接合性である雄マウスによって示
上記少なくとも1つの改変は、上記重鎖遺伝子座におけ
される子孫産生能力の喪失をレスキューするタンパク質
る1つ以上のVH 、DH および/またはJH 遺伝子セグ
をコードする。特定の実施形態において、上記異所性核
メントの欠失ならびに1つ以上のVL および/またはJ 50
酸配列は、マウスADAM6タンパク質をコードする。
H
H
( 13 )
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【0060】
1つの実施形態において、上記マウスADAM6プロモ
1つの態様では、機能的内因性ADAM6遺伝子座を欠
ーターは、配列番号3のプロモーターである。特定の実
いているマウスであって、該マウスにADAM6機能を
施形態において、上記ADAM6プロモーターは、AD
付与する異所性核酸配列を含むマウスを提供する。1つ
AM6aの第一コドンの(ADAM6aの転写方向に関
の実施形態において、上記核酸配列は、内因性マウスA
して)直ぐ上流の配列番号3の核酸配列であって、AD
DAM6配列またはその機能的断片を含む。1つの実施
AM6コーディング領域の上流の配列番号3の端にわた
形態において、上記内因性マウスADAM6配列は、野
る(extending)核酸配列を含む。もう1つの
生型マウスにおける最も3’側の(the
3’−mo
特定の実施形態において、上記ADAM6プロモーター
st)マウス免疫グロブリン重鎖V遺伝子セグメント(
は、ADAM6aの開始コドンの上流約5から約20ヌ
VH )と最も5’側の(the
クレオチド以内からADAM6aの開始コドンの上流約
5’−most)マウ 10
ス免疫グロブリン重鎖D遺伝子セグメント(DH )との
0.5kb、1kb、2kbまたは3kb以上にわたる
間にあるADAM6aおよびADAM6bコード配列を
断片である。
含む。
【0065】
【0061】
1つの実施形態において、上記マウスADAM6プロモ
1つの実施形態において、上記核酸配列は、マウスAD
ーターは、配列番号73のプロモーターである。特定の
AM6aもしくはその機能的断片をコードする配列、お
実施形態において、上記マウスADAM6プロモーター
よび/またはマウスADAM6bもしくはその機能的断
は、ADAM6aの第一コドンの(ADAM6aの転写
片をコードする配列を含み、該ADAM6aおよび/も
方向に関して)直ぐ上流の配列番号73の核酸配列であ
しくはADAM6bまたはその機能的断片(単数もしく
って、ADAM6コーディング領域の上流の配列番号7
は複数)は、プロモーターに作動可能に連結されている 20
3の端にわたる核酸配列を含む。もう1つの特定の実施
。1つの実施形態において、上記プロモーターは、ヒト
形態において、上記ADAM6プロモーターは、ADA
プロモーターである。1つの実施形態において、上記プ
M6aの開始コドンの上流約5から約20ヌクレオチド
ロモーターは、マウスADAM6プロモーターである。
以内からADAM6aの開始コドンの上流約0.5kb
特定の実施形態において、上記ADAM6プロモーター
、1kb、2kbまたは3kb以上にわたる断片である
は、最も5’側のマウスDH 遺伝子セグメントに最も近
。
い第一のADAM6遺伝子の第一コドンと、最も5’側
【0066】
のDH 遺伝子セグメントの組換えシグナル配列との間に
1つの実施形態において、上記マウスADAM6プロモ
ある配列を含み、ここで、5’は、マウス免疫グロブリ
ーターは、配列番号77のプロモーターである。特定の
ン遺伝子の転写方向に関して示される。1つの実施形態
実施形態において、上記ADAM6プロモーターは、A
において、上記プロモーターは、ウイルスプロモーター 30
DAM6aの第一コドンの(ADAM6aの転写方向に
である。特定の実施形態において、上記ウイルスプロモ
関して)直ぐ上流の配列番号77の核酸配列であって、
ーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ
ADAM6コーディング領域の上流の配列番号77の端
ーである。1つの実施形態において、上記プロモーター
にわたる核酸配列を含む。もう1つの特定の実施形態に
は、ユビキチンプロモーターである。
おいて、上記ADAM6プロモーターは、ADAM6a
【0062】
の開始コドンの上流約5から約20ヌクレオチド以内か
1つの実施形態において、上記プロモーターは、誘導性
らADAM6aの開始コドンの上流約0.5kb、1k
プロモーターである。1つの実施形態において、上記誘
b、2kbまたは3kb以上にわたる断片である。
導性プロモーターは、非生殖組織での発現を調節する。
【0067】
1つの実施形態において、上記誘導性プロモーターは、
1つの実施形態において、上記核酸配列は、ADAM6
生殖組織での発現を調節する。特定の実施形態において 40
欠如のため不妊性であるまたは妊性が低いマウスの体内
、上記マウスADAM6aおよび/もしくはADAM6
に配置されたとき、妊性を向上させるまたは妊性をほぼ
b配列またはその機能的断片(単数もしくは複数)の発
野生型の妊性に回復させる、配列番号3またはその断片
現は、生殖組織において誘導性プロモーターによって発
を含む。1つの実施形態において、配列番号3またはそ
生調節される。
の断片は、雌マウス卵管を通り抜けてマウス卵子を受精
【0063】
させることができる精子細胞を産生する能力を雄マウス
1つの実施形態において、上記マウスADAM6aおよ
に付与する。
び/またはADAM6bは、配列番号1のADAM6a
【0068】
および/または配列番号2(sequence
1つの実施形態において、上記核酸配列は、ADAM6
ID
SEQ
NO:2)のADAM6bから選択される。
【0064】
欠如のため不妊性であるまたは妊性が低いマウスの体内
50
に配置されたとき、妊性を向上させるまたは妊性をほぼ
( 14 )
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野生型の妊性に回復させる、配列番号73またはその断
つ以上のヒトJH 遺伝子セグメントでの、すべてのまた
片を含む。1つの実施形態において、配列番号73また
は実質的にすべての内因性VH 、DH およびJH 遺伝子
はその断片は、雌マウス卵管を通り抜けてマウス卵子を
セグメントの置換ならびに内因性VH 、DH およびJH
受精させることができる精子細胞を産生する能力を雄マ
遺伝子遺伝子座における置換を含み、この場合のマウス
ウスに付与する。
は、マウスADAM6タンパク質をコードする異所性配
【0069】
列を含む。特定の実施形態において、上記マウスADA
1つの実施形態において、上記核酸配列は、ADAM6
M6タンパク質をコードする異所性配列は、上記単一の
欠如のため不妊性であるまたは妊性が低いマウスの体内
ヒトVH 遺伝子セグメントの上流または5’に配置され
に配置されたとき、妊性を向上させるまたは妊性をほぼ
る。もう1つの特定の実施形態において、上記マウスA
野生型の妊性に回復させる、配列番号77またはその断 10
DAM6タンパク質をコードする異所性配列は、上記単
片を含む。1つの実施形態において、配列番号77また
一のヒトVH 遺伝子セグメントの下流または3’に配置
はその断片は、雌マウス卵管を通り抜けてマウス卵子を
される。
受精させることができる精子細胞を産生する能力を雄マ
もう1つの特定の実施形態において、上記マウスADA
ウスに付与する。
M6タンパク質をコードする異所性配列は、存在する上
【0070】
記単一のヒトVH 遺伝子セグメントと第一のヒトDH 遺
1つの態様では、ADAM6タンパク質をコードする内
伝子セグメントとの間に配置される。もう1つの特定の
因性ヌクレオチド配列の欠失と、内因性マウスVH 遺伝
実施形態において、上記マウスは、すべてのまたは実質
子セグメントの、ヒトVH 遺伝子セグメントによる置換
的にすべてのマウスVH 遺伝子セグメントの欠失、およ
と、雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6タ
び単一のヒトVH 遺伝子セグメントによる置換を含み、
ンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしく 20
上記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性ヌ
は断片をコードする異所性ヌクレオチド配列とを含むマ
クレオチド配列は、ヒト遺伝子セグメントVH 1−69
ウスを提供する。
の下流かつヒト遺伝子セグメントDH 1−1の上流に配
【0071】
置されている。もう1つの特定の実施形態において、上
1つの実施形態において、上記マウスは、内因性ADA
記マウスは、すべてのまたは実質的にすべてのマウスV
M6遺伝子を含む内因性免疫グロブリン遺伝子座ヌクレ
H
オチド配列の欠失を含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座を
子セグメントによる置換を含み、上記マウスADAM6
含み、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメント
タンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、ヒ
をコードするヌクレオチド配列を含み、および上記マウ
ト遺伝子セグメントVH 1−2の下流かつヒト遺伝子セ
スADAM6タンパク質をコードする異所性ヌクレオチ
グメントDH 1−1の上流に配置されている。
ド配列は、該1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグ 30
【0073】
メントをコードするヌクレオチド配列内にある、または
特定の実施形態において、上記マウスは、単一のVH 遺
該1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントをコ
伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列での、す
ードするヌクレオチド配列に直接隣接する。
べてのまたは実質的にすべての内因性VH 遺伝子セグメ
【0072】
ントの置換を含み、上記マウスADAM6タンパク質を
1つの実施形態において、上記マウスは、単一のヒトV
コードする異所性ヌクレオチド配列は、該単一のヒトV
H
遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列での
H
遺伝子セグメントの欠失、および単一のヒトVH 遺伝
遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列内に
、すべてのまたは実質的にすべての内因性VH 遺伝子セ
あるか、該単一のヒトVH 遺伝子セグメントをコードす
グメントの置換を含み、上記マウスADAM6タンパク
るヌクレオチド配列に直接隣接する。
質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、該単一のヒ
【0074】
トVH 遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列 40
1つの実施形態において、上記マウスADAM6タンパ
内にあるか、該単一のヒトVH 遺伝子セグメントをコー
ク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、上記マウ
ドするヌクレオチド配列に直接隣接する。1つの実施形
スのゲノム内の導入遺伝子上に存在する。1つの実施形
態において、上記マウスは、内因性DH 遺伝子遺伝子座
態において、上記マウスADAM6タンパク質をコード
における1つ以上のヒトDH 遺伝子セグメントでの、1
する異所性ヌクレオチド配列は、上記マウスの染色体外
つ以上の内因性DH 遺伝子セグメントの置換をさらに含
に存在する。
む。1つの実施形態において、上記マウスは、内因性J
【0075】
遺伝子遺伝子座における1つ以上のヒトJH 遺伝子セ
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の
グメントでの、1つ以上の内因性JH 遺伝子セグメント
改変を含むマウスであって、重鎖定常領域遺伝子配列に
の置換をさらに含む。1つの実施形態において、上記マ
作動可能に連結されている再構成免疫グロブリン配列を
ウスは、単一のヒトVH 、1つ以上のヒトDH および1 50
含むB細胞を発現するマウスを提供し、該B細胞は、雄
H
( 15 )
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マウスにおいて機能的であるADAM6またはそのオル
1つの態様では、遺伝子改変マウスであって、内因性マ
ソログもしくはホモログもしくは断片をコードする遺伝
ウス免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子遺伝子座にヒト
子をそのゲノム内(例えば、B細胞染色体上)に含む。
免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを含み;
1つの実施形態において、上記重鎖定常領域遺伝子配列
該内因性マウス免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子遺伝
に作動可能に連結されている再構成免疫グロブリン配列
子座に内因性機能的ADAM6配列を欠き;および雄マ
は、ヒト重鎖V、Dおよび/またはJ配列;マウス重鎖
ウスにおいて機能的であるマウスADAM6タンパク質
V、Dおよび/またはJ配列;ヒトまたはマウス軽鎖V
またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を
および/またはJ配列を含む。1つの実施形態において
発現する異所性ヌクレオチド配列を含む、遺伝子改変マ
、上記重鎖定常領域遺伝子配列は、CH 1、ヒンジ、C
ウスを提供する。
H
2、CH 3およびその組み合わせからなる群より選択 10
【0080】
されるヒトまたはマウス重鎖配列を含む。
1つの実施形態において、上記マウスADAM6タンパ
【0076】
ク質を発現する異所性ヌクレオチド配列は、染色体外の
1つの態様では、マウスであって、機能的にサイレンシ
ものである。1つの実施形態において、上記マウスAD
ングされた内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子を含み、A
AM6タンパク質を発現する異所性ヌクレオチド配列は
DAM6機能が上記マウスにおいて保持されており、1
、上記マウスのゲノム内の1つ以上の遺伝子座に組み込
つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントの挿入を
まれている。特定の実施形態において、上記1つ以上の
さらに含み、上記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子
遺伝子座は、免疫グロブリン遺伝子座を含む。
セグメントが、単一のヒトVH 遺伝子セグメント、1つ
【0081】
以上のヒトDH 遺伝子セグメントおよび1つ以上のヒト
1つの態様では、ヒトV遺伝子セグメント、D遺伝子セ
JH 遺伝子セグメントを含むマウスを提供する。1つの 20
グメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する免疫グロ
実施形態において、上記1つ以上のヒト免疫グロブリン
ブリン重鎖配列を改変内因性マウス免疫グロブリン重鎖
遺伝子セグメントは、ヒトVH 1−69遺伝子セグメン
遺伝子座から発現するマウスであって、該マウスにおい
ト、27のヒトDH 遺伝子セグメントおよび6のヒトJ
て機能的であるADAM6活性を含むマウスを提供する
H
遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、
。
上記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは
【0082】
、ヒトVH 1−2遺伝子セグメント、27のヒトDH 遺
1つの実施形態において、上記マウスは、一つのヒトV
伝子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子セグメントを
遺伝子セグメント、複数のD遺伝子セグメント、および
含む。
複数のJ遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態にお
【0077】
いて、上記D遺伝子セグメントは、ヒトD遺伝子セグメ
1つの態様では、遺伝子改変マウスであって、機能的に 30
ントである。1つの実施形態において、上記J遺伝子セ
サイレンシングされた免疫グロブリン軽鎖遺伝子を含み
グメントは、ヒトJ遺伝子セグメントである。1つの実
、1つ以上の内因性免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子
施形態において、上記マウスは、ヒト化重鎖定常領域配
セグメントの、単一のヒト免疫グロブリン重鎖可変領域
列をさらに含み、該ヒト化は、CH 1、ヒンジ、CH 2
遺伝子セグメントによる置換をさらに含み、機能的内因
、CH 3およびその組み合わせから選択される配列の置
性ADAM6遺伝子座を欠き、および雄マウスにおいて
換を含む。特定の実施形態において、上記重鎖は、上記
機能的であるマウスADAM6タンパク質またはそのオ
ヒトV遺伝子セグメント、ヒトD遺伝子セグメント、ヒ
ルソログもしくはホモログもしくは断片を発現する異所
トJ遺伝子セグメント、ヒトCH 1配列、ヒトまたはマ
性ヌクレオチド配列を含む、遺伝子改変マウスを提供す
ウスヒンジ配列、マウスCH 2配列、およびマウスCH
る。
【0078】
3配列に由来する。もう1つの特定の実施形態において
40
、上記マウスは、ヒト軽鎖定常配列をさらに含む。
1つの態様では、機能的内因性マウスADAM6遺伝子
【0083】
座または配列を欠き、およびマウスADAM6遺伝子座
1つの実施形態において、上記マウスは、5’および3
またはマウスADAM6遺伝子座もしくは配列の機能的
’が内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントに隣接
断片をコードする異所性ヌクレオチド配列を含むマウス
するADAM6遺伝子を含む。特定の実施形態において
であって、異性のマウスと交配して、該異所性ADAM
、上記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントは、
6遺伝子座または配列を含む後代を産生することができ
抗体の重鎖をコードできない。特定の実施形態において
るマウスを提供する。1つの実施形態において、上記マ
、上記マウスの上記ADAM6遺伝子は、野生型マウス
ウスは雄である。1つの実施形態において、上記マウス
の場合と同じ位置にあり、上記マウスの上記内因性免疫
は雌である
グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座は、抗体の重鎖をコ
【0079】
50
ードするように再構成できない。
( 16 )
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【0084】
いて、ヌクレオチド配列は、ADAM6遺伝子の転写方
1つの実施形態において、上記V遺伝子セグメントは、
向に関して5’から3’へ、ADAM6a配列、続いて
(該V遺伝子セグメントの転写方向に関して)5’が、
ADAM6b配列をコードする。
上記マウスにおいて機能的であるADAM6活性をコー
【0093】
ドする配列に隣接する。
1つの実施形態において、上記マウスは、マウスADA
【0085】
M6配列またはその機能的断片に並置または隣接する単
1つの実施形態において、上記V遺伝子セグメントは、
一のヒトVH 遺伝子セグメントを含む。
(該V遺伝子セグメントの転写方向に関して)3’が、
【0094】
上記マウスにおいて機能的であるADAM6活性をコー
ドする配列に隣接する。
1つの実施形態において、上記マウスは、マウスADA
10
M6配列またはその機能的断片に並置または隣接するヒ
【0086】
トVH 1−69遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態において、上記D遺伝子セグメントは、
【0095】
(該D遺伝子セグメントの転写方向に関して)5’が、
1つの実施形態において、上記マウスは、マウスADA
上記マウスにおいて機能的であるADAM6活性をコー
M6配列またはその機能的断片に並置または隣接するヒ
ドする配列に隣接する。
トVH 1−2遺伝子セグメントを含む。
【0087】
【0096】
1つの実施形態において、上記J遺伝子セグメントは、
1つの実施形態において、上記マウスは、単一のヒトV
(該J遺伝子セグメントの転写方向に関して)5’が、
H
上記マウスにおいて機能的であるADAM6活性をコー
またはその機能的断片は、内因性免疫グロブリン重鎖遺
ドする配列に隣接する。
20
遺伝子セグメントを含み、上記マウスADAM6配列
伝子セグメントに並置または隣接しており、上記内因性
【0088】
免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントは、抗体の重鎖を
1つの実施形態において、上記マウスにおいて機能的で
コードするように再構成できない。
あるADAM6活性は、上記改変内因性マウス重鎖免疫
【0097】
グロブリン遺伝子座の(V遺伝子セグメントの転写方向
1つの実施形態において、上記マウスにおいて機能的で
を基準して)最も5’側のD遺伝子セグメントの5’お
あるADAM6活性をコードする配列は、マウスADA
よび単一のV遺伝子セグメントの3’にあるヌクレオチ
M6配列またはその機能的断片である。
ド配列の発現の結果として生ずる。
【0098】
【0089】
1つの態様では、非再構成B細胞系列のDNA保有細胞
1つの実施形態において、上記マウスにおいて機能的で
内にマウスADAM6(またはそのホモログもしくはオ
あるADAM6活性は、上記改変内因性マウス重鎖免疫 30
ルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列を
グロブリン遺伝子座の(D遺伝子セグメントの転写方向
含むが、再構成免疫グロブリン遺伝子座を含むB細胞内
を基準して)最も5’側のJ遺伝子セグメントの5’お
に該マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオ
よび最も3’側のD遺伝子セグメントの3’にあるヌク
ルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列を
レオチド配列の発現の結果として生ずる。
含まないマウスを提供し、該マウスADAM6(または
【0090】
そのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)
1つの実施形態において、上記マウスにおいて機能的で
をコードする核酸配列は、マウスADAM6遺伝子が野
あるADAM6活性は、上記改変内因性マウス重鎖免疫
生型マウスにおいて出現する位置とは異なる、ゲノム内
グロブリン遺伝子座の(V遺伝子セグメントの転写方向
の位置に存在する。1つの実施形態において、上記マウ
を基準して)上記単一のヒトV遺伝子セグメントの5’
にあるヌクレオチド配列の発現の結果として生ずる。
スADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログ
40
もしくは機能的断片)をコードする核酸配列は、再構成
【0091】
B細胞系列のものではないすべてのまたは実質的にすべ
1つの実施形態において、上記ヌクレオチド配列は、マ
てのDNA保有細胞に存在する;1つの実施形態におい
ウスADAM6b配列またはその機能的断片、マウスA
て、上記核酸配列は、上記マウスの生殖細胞系細胞には
DAM6a配列またはその機能的断片、およびその組み
存在するが、再構成B細胞の染色体には存在しない。
合わせから選択される配列を含む。
【0099】
【0092】
1つの態様では、再構成免疫グロブリン遺伝子座を含む
1つの実施形態において、上記単一のヒトV遺伝子セグ
B細胞をはじめとするすべてのまたは実質的にすべての
メントの上流(5’)または下流(3’)に位置するヌ
DNA保有細胞内にマウスADAM6(またはそのホモ
クレオチド配列は、該ヒトV遺伝子セグメントに対して
ログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコード
反対の転写配向に配置されている。特定の実施形態にお 50
する核酸配列を含むマウスを提供し、該マウスADAM
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6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機
少なくとも1つの重鎖対立遺伝子から、再構成内因性重
能的断片)をコードする核酸配列は、マウスADAM6
鎖遺伝子セグメントを含む機能的重鎖を発現できないよ
遺伝子が野生型マウスにおいて出現する位置とは異なる
うにし、少なくとも1つの内因性免疫グロブリン重鎖対
、ゲノム内の位置に存在する。1つの実施形態において
立遺伝子内にある内因性ADAM6対立遺伝子を維持す
、上記マウスADAM6(またはそのホモログもしくは
る。
オルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列
【0105】
は、上記再構成免疫グロブリン遺伝子座に隣接する核酸
1つの実施形態において、上記マウスは、内因性免疫グ
上にある。1つの実施形態において、上記再構成免疫グ
ロブリン重鎖対立遺伝子の少なくとも1つから、再構成
ロブリン遺伝子座に隣接する核酸は、染色体である。1
内因性重鎖遺伝子セグメントを含む機能的重鎖を発現で
つの実施形態において、上記染色体は、野生型マウスに 10
きず、および該マウスは、内因性ADAM6対立遺伝子
おいて見出される染色体であり、該染色体は、マウス免
からADAM6タンパク質を発現する。特定の実施形態
疫グロブリン遺伝子座の改変を含む。
において、上記マウスは、2つの内因性免疫グロブリン
【0100】
重鎖対立遺伝子から、再構成内因性重鎖遺伝子セグメン
1つの態様では、ADAM6配列またはそのオルソログ
トを含む機能的重鎖を発現できず、および該マウスは、
もしくはホモログをそのゲノムに含むB細胞を含む、遺
1つ以上の内因性ADAM6対立遺伝子からADAM6
伝子改変マウスを提供する。1つの実施形態において、
タンパク質を発現する。
上記ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモ
【0106】
ログは、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にある。特定の実
1つの実施形態において、上記マウスは、各内因性重鎖
施形態において、上記重鎖遺伝子座は、抗体の重鎖をコ
対立遺伝子から機能的重鎖を発現できず、および該マウ
ードするように再構成できない内因性免疫グロブリン重 20
スは、マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列の(マウ
鎖遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、
ス重鎖遺伝子座の転写方向に関して)上流1、2、3、
上記ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモ
4、5、10、20、30、40、50、60、70、
ログは、免疫グロブリン遺伝子座ではない遺伝子座にあ
80、90、100、110または120Mbp以内ま
る。1つの実施形態において、上記ADAM6配列は、
たは120kb超にある機能的ADAM6対立遺伝子を
異種プロモーターによって駆動される導入遺伝子上にあ
含む。特定の実施形態において、上記機能的ADAM6
る。特定の実施形態において、上記異種プロモーターは
対立遺伝子は、上記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座
、非免疫グロブリンプロモーターである。特定の実施形
に(例えば、遺伝子間V−D領域内、2つのV遺伝子セ
態において、B細胞は、ADAM6タンパク質またはそ
グメント間、V遺伝子セグメントとD遺伝子セグメント
のオルソログもしくはホモログを発現する。
との間、D遺伝子セグメントとJ遺伝子セグメントとの
【0101】
30
間などに)ある。特定の実施形態において、上記機能的
1つの実施形態において、上記マウスのB細胞の90%
ADAM6対立遺伝子は、最後のマウスV遺伝子セグメ
以上は、該マウスにおいて機能的であるADAM6タン
ントと最初のマウスD遺伝子セグメントの間の90から
パク質またはそのオルソログもしくはそのホモログまた
100kb遺伝子間配列内にある。
はその断片をコードする遺伝子を含む。特定の実施形態
【0107】
において、上記マウスは雄マウスである。
1つの態様では、1つ以上の内因性ADAM6対立遺伝
【0102】
子における改変を含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、上記B細胞ゲノムは、上記A
【0108】
DAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログを
1つの実施形態において、上記改変は、上記マウスが、
含む、第一の対立遺伝子および第二の対立遺伝子を含む
1つ以上の内因性ADAM6対立遺伝子の少なくとも1
。1つの実施形態において、上記B細胞ゲノムは、上記 40
つから、機能的ADAM6タンパク質を発現できないよ
ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログ
うにする。特定の実施形態において、上記マウスは、上
を含む、第一の対立遺伝子を含むが第二の対立遺伝子を
記内因性ADAM6対立遺伝子それぞれから機能的AD
含まない。
AM6タンパク質を発現できない。
【0103】
【0109】
1つの態様では、1つ以上の内因性免疫グロブリン重鎖
1つの実施形態において、上記マウスは、各内因性AD
対立遺伝子における改変を含むマウスであって、上記改
AM6対立遺伝子から機能的ADAM6タンパク質を発
変が1つ以上の内因性ADAM6対立遺伝子を維持する
現できず、および該マウスは、異所性ADAM6配列を
マウスを提供する。
含む。
【0104】
【0110】
1つの実施形態において、上記改変は、上記マウスが、 50
1つの実施形態において、上記マウスは、各内因性AD
( 18 )
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AM6対立遺伝子から機能的ADAM6タンパク質を発
リン重鎖V、DおよびJ遺伝子セグメント内にある機能
現できず、および該マウスは、マウス免疫グロブリン重
的ADAM6遺伝子を含む。1つの実施形態において、
鎖定常領域配列の(マウス重鎖遺伝子座の転写の方向に
上記マウスは、内因性ADAM6遺伝子座を含む内因性
対して)上流1、2、3、4、5、10、20、30、
重鎖遺伝子座を含み、上記内因性重鎖遺伝子座は、89
40、50、60、70、80、90、100、110
のV遺伝子セグメント、13のD遺伝子セグメントおよ
または120kb以内または120kb超にある異所性
び4のJ遺伝子セグメントを含み、上記内因性重鎖遺伝
ADAM6配列を含む。特定の実施形態において、上記
子セグメントは、抗体の重鎖可変領域をコードするよう
異所性ADAM6配列は、上記内因性免疫グロブリン重
に再構成できず、上記ADAM6遺伝子座は、上記マウ
鎖遺伝子座に(例えば、遺伝子間V−D領域内、2つの
スにおいて機能的であるADAM6タンパク質をコード
V遺伝子セグメント間、V遺伝子セグメントとD遺伝子 10
する。
セグメントとの間、D遺伝子セグメントとJ遺伝子セグ
【0114】
メントとの間などに)ある。特定の実施形態において、
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖V、Dおよ
上記異所性ADAM6配列は、最後のマウスV遺伝子セ
びJ遺伝子セグメントが無いマウスであって、該マウス
グメントと最初のマウスD遺伝子セグメントの間の90
のB細胞の大部分がADAM6配列またはそのオルソロ
から100kb遺伝子間配列内にある。もう1つの特定
グもしくはホモログを含むマウスを提供する。
の実施形態において、上記内因性90から100kb遺
【0115】
伝子間V−D配列が除去され、上記異所性ADAM6配
1つの実施形態において、上記マウスには、2つ以上の
列が、単一のヒトV遺伝子セグメントと最初のヒトD遺
V遺伝子セグメント、2つ以上のD遺伝子セグメント、
伝子セグメントとの間に配置されている。もう1つの特
2つ以上のJ遺伝子セグメントおよびその組み合わせか
定の実施形態において、上記内因性90から100kb 20
ら選択される内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメン
遺伝子間V−D配列が除去され、上記異所性ADAM6
トが無い。1つの実施形態において、上記マウスには、
配列が、上記単一のヒトV遺伝子セグメントの5’また
少なくとも1つ、かつ89以下のV遺伝子セグメント、
は上流に配置されている。
少なくとも1つ、かつ13以下のD遺伝子セグメント、
【0111】
少なくとも1つ、かつ4以下のJ遺伝子セグメント、お
1つの態様では、2つ以上の内因性ADAM6対立遺伝
よびその組み合わせから選択される免疫グロブリン重鎖
子の欠失を含む、不妊性雄マウスを提供する。1つの態
遺伝子セグメントが無い。1つの実施形態において、上
様では、雄性不妊形質の保有者である雌マウスであって
記マウスには、約3メガ塩基の上記内因性免疫グロブリ
、非機能的ADAM6対立遺伝子または内因性ADAM
ン重鎖遺伝子座を含む染色体12由来のゲノムDNA断
6対立遺伝子ノックアウトをその生殖細胞系に含む雌マ
片が無い。特定の実施形態において、上記マウスには、
ウスを提供する。
30
すべての機能的内因性重鎖V、DおよびJ遺伝子セグメ
【0112】
ントが無い。特定の実施形態において、上記マウスには
1つの態様では、抗体の重鎖をコードするように再構成
、89のVH 遺伝子セグメント、13のDH 遺伝子セグ
できない内因性免疫グロブリン重鎖V、Dおよびまたは
メントおよび4つのJH 遺伝子セグメントが無い。
J遺伝子セグメントを含むマウスであって、上記マウス
【0116】
のB細胞の大部分が機能的ADAM6遺伝子を含むマウ
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を
スを提供する。
含むゲノムを生殖細胞系に有し、該免疫グロブリン重鎖
【0113】
遺伝子座への改変が、1つ以上のマウス免疫グロブリン
1つの実施形態において、上記マウスは、抗体の機能的
可変領域配列の、1つの非マウス免疫グロブリン可変領
重鎖をコードするように再構成できないインタクトな内
域配列による置換を含むものであるマウスであって、マ
因性免疫グロブリン重鎖V、DおよびJ遺伝子セグメン 40
ウスADAM6タンパク質をコードする核酸配列を含む
トを含む。1つの実施形態において、上記マウスは、少
マウスを提供する。
なくとも1つ、かつ89以下のV遺伝子セグメント、少
好ましい実施形態において、上記内因性免疫グロブリン
なくとも1つ、かつ13以下のD遺伝子セグメント、少
重鎖遺伝子座のDH およびJH 配列ならびに少なくとも
なくとも1つ、かつ4以下のJ遺伝子セグメント、およ
3、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40
びその組み合わせを含み、上記少なくとも1つ、かつ8
、少なくとも60または少なくとも80のVH 配列は、
9以下のV遺伝子セグメント、少なくとも1つ、かつ1
非マウス免疫グロブリン重鎖配列によって置換されてい
3以下のD遺伝子セグメント、少なくとも1つ、かつ4
る。さらなる好ましい実施形態において、上記内因性免
以下のJ遺伝子セグメントは、抗体の重鎖可変領域をコ
疫グロブリン重鎖遺伝子座のDH 、JH およびすべての
ードするように再構成できない。特定の実施形態におい
VH 配列は、単一の非マウス免疫グロブリンV遺伝子セ
て、上記マウスは、上記インタクトな内因性免疫グロブ 50
グメント配列、1つ以上のD遺伝子セグメント配列およ
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び1つ以上のJ遺伝子セグメント配列によって置換され
物の導入遺伝子上に存在する。
ている。上記非マウス免疫グロブリン配列は、再構成さ
【0119】
れていない場合がある。好ましい実施形態において、上
1つの実施形態において、上記単一の機能的ヒトV遺伝
記非マウス免疫グロブリン配列は、非マウス種の完全な
子セグメントは、VH 1−69遺伝子セグメントである
非再構成DH およびJH 領域ならびに単一の非再構成V
。1つの実施形態において、上記VH 1−69遺伝子セ
配列を含む。さらなる好ましい実施形態において、上
グメントは、配列番号37を含む。1つの実施形態にお
記非マウス免疫グロブリン配列は、非マウス種の完全可
いて、上記VH 1−69遺伝子セグメントは、配列番号
変領域(すなわち、互いに結合して、重鎖可変領域をコ
37に由来する。1つの実施形態において、上記VH 1
ードする配列を形成するVH 、DH およびJH セグメン
−69遺伝子セグメントは、配列番号37と少なくとも
トを含有する再構成可変領域)を形成することができる 10
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なく
。上記非マウス種は、ホモサピエンスである場合があり
とも95%、または少なくとも98%同一である。
、上記非マウス免疫グロブリン配列は、ヒト配列である
【0120】
場合がある。
1つの実施形態において、上記単一の機能的ヒトV遺伝
【0117】
子セグメントは、配列番号37のヌクレオチド配列によ
1つの態様では、単一の機能的ヒトVセグメントを含む
りコードされる。
重鎖免疫グロブリン遺伝子座を提供する。1つの実施形
【0121】
態において、上記単一の機能的ヒトVセグメントは、V
1つの実施形態において、上記単一の機能的ヒトV遺伝
H
1−2、VH 1−3、VH 1−8、VH 1−18、V
子セグメントは、VH 1−2遺伝子セグメントである。
H
1−24、VH 1−45、VH 1−46、VH 1−5
1つの実施形態において、上記VH 1−2遺伝子セグメ
H
8、VH 1−69、VH 2−5、VH 2−26、VH 2 20
ントは、配列番号63を含む。1つの実施形態において
−70、VH 3−7、VH 3−9、VH 3−11、VH
、上記VH 1−2遺伝子セグメントは、配列番号63に
3−13、VH 3−15、VH 3−16、VH 3−20
由来する。1つの実施形態において、上記VH 1−2遺
、VH 3−21、VH 3−23、VH 3−30、VH 3
伝子セグメントは、配列番号63と少なくとも80%、
−30−3、VH 3−30−5、VH 3−33、VH 3
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95
−35、VH 3−38、VH 3−43、VH 3−48、
%、または少なくとも98%同一である。
VH 3−49、VH 3−53、VH 3−64、VH 3−
【0122】
66、VH 3−72、VH 3−73、VH 3−74、V
1つの実施形態において、上記単一の機能的ヒトV遺伝
4−4、VH 4−28、VH 4−30−1、VH 4−
子セグメントは、配列番号63を含むヌクレオチド配列
H
30−2、VH 4−30−4、VH 4−31、VH 4−
によりコードされる。
34、VH 4−39、VH 4−59、VH 4−61、V 30
【0123】
5−51、VH 6−1、VH 7−4−1およびVH 7
1つの実施形態において、上記単一の機能的ヒトVセグ
−81セグメントから選択される。1つの実施形態にお
メントは、1つ以上のDセグメントおよび1つ以上のJ
いて、上記単一の機能的ヒトVセグメントは、VH 1−
セグメント、または1つ以上のJセグメントに作動可能
69セグメントである;特定の実施形態において、上記
に連結されている。1つの実施形態において、上記Vセ
単一の機能的ヒトVセグメントは、ヒト集団内で見出さ
グメント、ならびに1つ以上のDセグメントおよび/ま
れる1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ
たはJセグメントは、免疫グロブリン重鎖定常領域配列
、9つ、10、11、12、または13の多型形態で存
に作動可能に連結されている。1つの実施形態において
在する。1つの実施形態において、上記単一の機能的ヒ
、上記免疫グロブリン重鎖定常領域配列は、CH 1配列
トVセグメントは、VH 1−2セグメントである;特定
、ヒンジ配列、CH 2配列、CH 3配列、およびその組
の実施形態において、上記単一の機能的ヒトVセグメン 40
み合わせから選択される。1つの実施形態において、上
トは、ヒト集団内で見出される1つ、2つ、3つ、4つ
記CH 1、ヒンジ、CH 2、CH 3、またはその組み合
、または5つの多型形態で存在する。
わせは、各々非ヒト内因性定常配列である。1つの実施
【0118】
形態において、上記CH 1、ヒンジ、CH 2、CH 3、
1つの実施形態において、上記重鎖免疫グロブリン遺伝
またはその組み合わせのうちの少なくとも1つは、ヒト
子座は、非ヒト動物の改変遺伝子座である。1つの実施
配列である。特定の実施形態において、上記CH 1およ
形態において、上記改変非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝
び/またはヒンジは、ヒト配列である。
子座は、非ヒト動物のゲノム内の位置であって、対応す
【0124】
る非改変非ヒト遺伝子座が野生型非ヒト動物において見
1つの態様では、すべての機能的Vセグメントの、単一
出される位置に存在する。1つの実施形態において、上
のヒトVセグメントによる置換を含む改変内因性非ヒト
記改変非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、非ヒト動 50
免疫グロブリン重鎖遺伝子座であって、単一のヒトVセ
H
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グメント以外のVセグメントに由来する重鎖可変遺伝子
ヒトVH セグメントを欠く再構成免疫グロブリン重鎖可
を形成するように再構成できない非ヒト免疫グロブリン
変ドメイン遺伝子を実質的に形成できない遺伝子改変非
重鎖遺伝子座を提供する。
ヒト動物を提供する。
【0125】
【0129】
1つの実施形態において、上記単一のヒトVセグメント
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物であって、上記
は、VH 1−69である。1つの実施形態において、上
非ヒト動物において発現される免疫グロブリン重鎖可変
記単一のヒトVセグメントは、VH 1−2である。
領域のみが、ヒトVH 1−2、VH 1−3、VH 1−8
【0126】
、VH 1−18、VH 1−24、VH 1−45、VH 1
1つの実施形態において、上記遺伝子座は、少なくとも
−46、VH 1−58、VH 1−69、VH 2−5、V
1つのヒトDH セグメントまたは非ヒトDH セグメント 10
H
、および1つのヒトJH セグメントまたは非ヒトJH セ
VH 3−11、VH 3−13、VH 3−15、VH 3−
グメントを含む。特定の実施形態において、上記遺伝子
16、VH 3−20、VH 3−21、VH 3−23、V
座は、ヒトDH セグメントおよびヒトJH セグメントを
H
3−30、VH 3−30−3、VH 3−30−5、V
含む。特定の実施形態において、上記遺伝子座は、ヒト
H
3−33、VH 3−35、VH 3−38、VH 3−4
JH セグメントを含む。もう1つの特定の実施形態にお
3、VH 3−48、VH 3−49、VH 3−53、VH
いて、上記遺伝子座は、ヒトVH 1−69、すべての機
3−64、VH 3−66、VH 3−72、VH 3−73
能的ヒトDH セグメント、およびすべての機能的ヒトJ
、VH 3−74、VH 4−4、VH 4−28、VH 4−
H
セグメントを含む。1つの実施形態において、上記ヒ
2−26、VH 2−70、VH 3−7、VH 3−9、
30−1、VH 4−30−2、VH 4−30−4、VH
トVセグメント、ヒトDセグメント、およびヒトJセグ
4−31、VH 4−34、VH 4−39、VH 4−59
メント(またはヒトVセグメントおよびヒトJセグメン 20
、VH 4−61、VH 5−51、VH 6−1、VH 7−
ト)は、内因性マウス重鎖遺伝子座において、マウス定
4−1およびVH 7−81遺伝子セグメントから選択さ
常領域遺伝子に作動可能に連結されている。特定の実施
れるヒトセグメントのうちの1つに由来する、遺伝子改
形態において、上記マウス重鎖遺伝子座は、マウス免疫
変非ヒト動物を提供する。1つの実施形態において、上
グロブリン定常領域配列の野生型レパートリーを含む。
記ヒトセグメントは、VH 1−69セグメントである。
【0127】
1つの実施形態において、上記ヒトセグメントは、VH
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物であって、上記
1−2セグメントである。1つの実施形態において、上
非ヒト動物の機能的免疫グロブリン重鎖V遺伝子セグメ
記マウスによって発現される免疫グロブリン重鎖可変領
ントのみが、ヒトVH 1−2、VH 1−3、VH 1−8
域のみが、単一のVセグメントファミリーメンバーに由
、VH 1−18、VH 1−24、VH 1−45、VH 1
来し、1つの実施形態において、上記免疫グロブリン重
−46、VH 1−58、VH 1−69、VH 2−5、V 30
鎖可変領域のみが、上記単一のVセグメントファミリー
H
2−26、VH 2−70、VH 3−7、VH 3−9、
メンバーの多型変異体に由来する。
VH 3−11、VH 3−13、VH 3−15、VH 3−
【0130】
16、VH 3−20、VH 3−21、VH 3−23、V
1つの態様では、限定された免疫グロブリン重鎖V遺伝
H
3−30、VH 3−30−3、VH 3−30−5、V
子セグメントのレパートリーを含む非ヒト動物であって
H
3−33、VH 3−35、VH 3−38、VH 3−4
、1つ以上のヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変セグメント
3、VH 3−48、VH 3−49、VH 3−53、VH
(Vκ)をさらに含む非ヒト動物を提供する。1つの実
3−64、VH 3−66、VH 3−72、VH 3−73
施形態において、上記1つ以上のVκセグメントは、1
、VH 3−74、VH 4−4、VH 4−28、VH 4−
つ以上のヒトJセグメントに作動可能に連結されている
30−1、VH 4−30−2、VH 4−30−4、VH
。特定の実施形態において、上記Jセグメントは、ヒト
4−31、VH 4−34、VH 4−39、VH 4−59 40
Jκセグメントである。もう1つの特定の実施形態にお
、VH 4−61、VH 5−51、VH 6−1、VH 7−
いて、上記非ヒト動物は、免疫グロブリンλ軽鎖を発現
4−1およびVH 7−81セグメントから選択される遺
しない。もう1つの特定の実施形態において、上記非ヒ
伝子改変非ヒト動物を提供する。1つの実施形態におい
ト動物は、機能的ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変遺伝子
て、上記重鎖V遺伝子セグメントは、ヒトVH 1−69
座も機能的内因性免疫グロブリンλ軽鎖可変遺伝子座も
遺伝子セグメントである。1つの実施形態において、上
含まない。
記重鎖V遺伝子セグメントは、ヒトVH 1−2遺伝子セ
【0131】
グメントである。
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、マウスで
【0128】
ある。
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物であって、単一
【0132】
の機能的ヒトVH セグメントを含み、上記単一の機能的 50
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、内因性非
( 21 )
JP
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40
ヒト免疫グロブリンVκ遺伝子座において、すべてのま
形態において、上記非ヒト動物は、非ヒト免疫グロブリ
たは実質的にすべての機能的内因性Vκセグメントの、
ン重鎖遺伝子座において、セグメントを、ヒトVH 1−
1つ以上の機能的ヒトVκセグメントによる置換を含む
2配列、ヒトDH 配列、ヒトJH 配列、およびマウス定
。さらなる特定の実施形態において、上記置換は、すべ
常領域配列を含む重鎖可変領域をコードする遺伝子を形
てのまたは実質的にすべての機能的ヒト免疫グロブリン
成するように再構成する。
Vκセグメントによるものである。
【0136】
【0133】
1つの実施形態において、上記再構成遺伝子を含むB細
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、内因性非
胞を提供する。特定の実施形態において、上記B細胞は
ヒト免疫グロブリンJκ遺伝子座において、すべてのま
、対象となる抗原で免疫された記載されるマウスに由来
たは実質的にすべての機能的内因性非ヒト免疫グロブリ 10
し、上記B細胞は、上記対象となる抗原に特異的に結合
ンJκセグメントの、1つ以上の機能的ヒト免疫グロブ
する抗体をコードする。1つの実施形態において、上記
リンJκセグメントによる置換を含む。さらなる特定の
対象となる抗原は、病原体である。特定の実施形態にお
実施形態において、上記置換は、すべてのまたは実質的
いて、上記病原体は、インフルエンザウイルス、肝炎ウ
にすべての機能的ヒト免疫グロブリンJκセグメントに
イルス(例えば、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイ
よるものである。
ルス)、およびヒト免疫不全ウイルスから選択される。
【0134】
特定の実施形態において、上記B細胞は、上記対象とな
特定の実施形態において、上記非ヒト動物は、単一のV
る抗原に特異的に結合するヒト軽鎖可変領域(例えば、
セグメントおよび/またはその多型変異体から本質的に
ヒトκ軽鎖可変領域)を含む体細胞変異高親和性(例え
なるVセグメントのレパートリーを含む免疫グロブリン
ば、約10
重鎖可変領域遺伝子座を含む。1つの実施形態において 20
【0137】
、上記単一の免疫グロブリン重鎖Vセグメントは、ヒト
1つの態様では、限定された免疫グロブリン重鎖Vセグ
VH 1−69セグメントであり、上記非ヒト動物は、す
メントのレパートリーを含む非ヒト動物であって、1つ
べての機能的非ヒトDH セグメントの、すべての機能的
以上のヒトλ軽鎖可変(Vλ)セグメントを含む非ヒト
ヒトDH セグメントによる置換をさらに含み、すべての
動物を提供する。1つの実施形態において、上記1つ以
機能的非ヒトJH セグメントの、すべての機能的ヒトJ
上のヒトVλセグメントは、1つ以上のヒトJセグメン
−
9
のKD 以下)抗体をコードする。
セグメントによる置換をさらに含み、上記免疫グロブ
トに作動可能に連結されている。特定の実施形態におい
リン重鎖可変領域遺伝子座は、ヒト定常領域または非ヒ
て、上記Jセグメントは、ヒトJλセグメントである。
ト定常領域の遺伝子配列に作動可能に連結されている。
もう1つの特定の実施形態において、上記非ヒト動物は
特定の実施形態において、上記定常領域の遺伝子配列は
、κ軽鎖を発現しない。もう1つの特定の実施形態にお
、内因性非ヒト定常領域の遺伝子配列である。特定の実 30
いて、上記非ヒト動物は、機能的ヒトκ軽鎖可変遺伝子
施形態において、上記非ヒト動物は、非ヒト免疫グロブ
座も非ヒトκ軽鎖可変遺伝子座も含まない。
リン重鎖遺伝子座において、セグメントを、ヒトVH 1
【0138】
−69配列、ヒトDH 配列、ヒトJH 配列、およびマウ
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、すべての
ス定常領域配列を含む重鎖可変領域をコードする遺伝子
または実質的にすべての機能的非ヒト免疫グロブリンV
を形成するように再構成する。
λセグメントの、1つ以上の機能的ヒト免疫グロブリン
【0135】
Vλセグメントによる置換を含む。さらなる特定の実施
特定の実施形態において、上記非ヒト動物は、単一のV
形態において、上記置換は、すべてのまたは実質的にす
セグメントおよび/またはその多型変異体から本質的に
べての機能的ヒト免疫グロブリンVλセグメントによる
なるVセグメントのレパートリーを含む免疫グロブリン
ものである。
重鎖可変領域遺伝子座を含む。1つの実施形態において 40
【0139】
、上記単一の免疫グロブリン重鎖Vセグメントは、ヒト
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、すべての
VH 1−2セグメントであり、上記非ヒト動物は、すべ
または実質的にすべての機能的非ヒト免疫グロブリンJ
ての機能的非ヒトDH セグメントの、すべての機能的ヒ
λセグメントの、1つ以上の機能的ヒト免疫グロブリン
トDH セグメントによる置換をさらに含み、すべての機
Jλセグメントによる置換を含む。さらなる特定の実施
能的非ヒトJH セグメントの、すべての機能的ヒトJH
形態において、上記置換は、すべてのまたは実質的にす
セグメントによる置換をさらに含み、上記免疫グロブリ
べての機能的ヒト免疫グロブリンJλセグメントによる
ン重鎖可変領域遺伝子座は、ヒト定常領域または非ヒト
置換である。
定常領域の遺伝子配列に作動可能に連結されている。特
【0140】
定の実施形態において、上記定常領域の遺伝子配列は、
特定の実施形態において、上記非ヒト動物は、単一のV
内因性非ヒト定常領域の遺伝子配列である。特定の実施 50
H
H
セグメントのみを含む免疫グロブリン重鎖可変(VH
( 22 )
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)領域遺伝子座を含み、上記単一のVH セグメントは、
トJ遺伝子、および/または非ヒト定常領域遺伝子は、
ヒトVH 1−69セグメントまたはヒトVH 1−2セグ
マウス遺伝子もしくはラット遺伝子またはキメラヒト/
メントであり、すべての機能的非ヒトDH セグメントの
マウスもしくはラット遺伝子である。
、すべての機能的ヒトDH セグメントによる置換をさら
【0143】
に含み、すべての機能的非ヒトJH セグメントの、すべ
1つの実施形態において、上記導入遺伝子が、上記非ヒ
ての機能的ヒトJH セグメントによる置換をさらに含み
ト動物において再構成免疫グロブリンκまたはλ軽鎖遺
、上記VH 領域遺伝子座は、ヒト定常領域または非ヒト
伝子を形成するように再構成するように、上記非ヒト動
定常領域の遺伝子配列に作動可能に連結されている。特
物は、1つ以上のヒト免疫グロブリンVλセグメントお
定の実施形態において、上記定常領域の遺伝子配列は、
よびヒト免疫グロブリンJλセグメント、または1つ以
非ヒト定常領域の遺伝子配列、例えば、内因性非ヒト定 10
上のヒト免疫グロブリンVκセグメントおよびヒト免疫
常遺伝子配列である。特定の実施形態において、上記非
グロブリンJκセグメント、ならびにヒト免疫グロブリ
ヒト動物は、上記非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座に
ンκ軽鎖定常領域遺伝子またはヒト免疫グロブリンλ軽
おいて、セグメントを、ヒトVH 1−69配列(または
鎖定常領域遺伝子を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域遺
ヒトVH 1−2配列)、ヒトDH 配列、ヒトJH 配列、
伝子座を含む導入遺伝子を含む。
および内因性非ヒト定常領域配列を含む免疫グロブリン
【0144】
重鎖可変領域をコードする遺伝子を形成するように再構
特定の実施形態において、上記マウスが、導入遺伝子か
成する。
ら、VH 1−69セグメント(またはVH 1−2セグメ
【0141】
ント)に由来する完全ヒト抗体を発現するように、上記
1つの実施形態において、上記再構成遺伝子を含むB細
非ヒト動物は、ヒトVH 1−69セグメント(またはヒ
胞を提供する。特定の実施形態において、上記B細胞は 20
トVH 1−2セグメント)である単一のVセグメント、
、対象となる抗原で免疫された記載される非ヒト動物に
1つ以上のヒトDセグメント、1つ以上のヒトJセグメ
由来し、上記B細胞は、上記対象となる抗原に特異的に
ント、および重鎖可変遺伝子座に作動可能に連結された
結合する抗体をコードする。1つの実施形態において、
ヒト定常遺伝子を含む免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座
上記抗原は、リガンド、細胞表面受容体、および細胞内
を有する導入遺伝子を含む。1つの実施形態において、
タンパク質から選択されるヒトタンパク質である。1つ
上記非ヒト動物は、機能的内因性免疫グロブリン重鎖可
の実施形態において、上記対象となる抗原は、病原体で
変領域遺伝子座を含まない。特定の実施形態において、
ある。特定の実施形態において、上記病原体は、インフ
上記非ヒト動物が内因性免疫グロブリン重鎖可変領域遺
ルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウ
伝子座を再構成して、再構成非ヒト抗体遺伝子を形成で
イルスまたはC型肝炎ウイルス)、およびヒト免疫不全
きないように、上記非ヒト動物は、内因性非ヒトDH セ
ウイルスから選択される。特定の実施形態において、上 30
グメントおよび/または内因性非ヒトJH セグメントの
記B細胞は、上記対象となる抗原に特異的に結合するヒ
欠失を含む非機能的内因性免疫グロブリン重鎖可変領域
ト軽鎖可変領域(例えば、ヒトλ軽鎖可変領域)を含む
遺伝子座を含む。特定の実施形態において、上記非ヒト
体細胞変異高親和性(例えば、約10
− 9
KD 以下)抗
動物は、内因性マウス重鎖定常領域に作動可能に連結さ
体をコードする。
れたスイッチ配列の欠失を含む。特定の実施形態におい
【0142】
て、上記スイッチ配列は、非ヒト(例えば、マウス)μ
1つの態様では、限定された免疫グロブリン重鎖Vセグ
スイッチ配列である。もう1つの実施形態において、上
メントのレパートリーを含む非ヒト動物であって、導入
記非ヒト動物は、免疫グロブリンκ遺伝子座および免疫
遺伝子上にヒトVH 1−69セグメント(またはヒトV
グロブリンλ遺伝子座から選択される機能的内因性軽鎖
1−2セグメント)を含み、上記ヒトVH 1−69セ
可変遺伝子座の欠如をさらに含む。特定の実施形態にお
H
グメントは、上記導入遺伝子上で、ヒトDH セグメント 40
いて、上記非ヒト動物が、内因性非ヒト免疫グロブリン
もしくは非ヒトDH セグメントおよび/またはヒトJセ
κ軽鎖および/または内因性非ヒト免疫グロブリンλ軽
グメントもしくは非ヒトJセグメントに作動可能に連結
鎖可変領域を再構成して、再構成内因性非ヒト免疫グロ
され、上記導入遺伝子は、ヒト定常領域遺伝子もしくは
ブリンκ軽鎖および/または再構成内因性非ヒト免疫グ
非ヒト定常領域遺伝子、またはキメラヒト/非ヒト定常
ロブリンλ軽鎖遺伝子を形成できないように、上記非ヒ
領域(例えば、少なくとも1つの配列は、非ヒトの、例
ト動物は、Jκ配列および/またはJλ配列の欠失を含
えば、ヒンジ、CH 2、ならびにCH 3および/または
む。
ヒンジから選択されるCH 1、ヒンジ、CH 2、CH 3
【0145】
、またはその組み合わせ)をさらに含む非ヒト動物を提
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、内因性非
供する。1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、
ヒト免疫グロブリンκ軽鎖の機能的ノックアウトを結果
マウスまたはラットであり、上記非ヒトD遺伝子、非ヒ 50
としてもたらす、内因性非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖配
( 23 )
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列の欠失を含む。1つの実施形態において、上記非ヒト
ド構築物であって、上記単一のVH セグメントがVH 1
動物は、内因性非ヒト免疫グロブリンλ軽鎖の機能的ノ
−69(またはVH 1−2)セグメントである構築物を
ックアウトを結果としてもたらす、内因性非ヒト免疫グ
提供する。1つの実施形態において、上記構築物は、部
ロブリンλ軽鎖配列の欠失を含む。
位特異的リコンビナーゼ認識部位を含む。1つの実施形
【0146】
態において、上記構築物は、VH 1−69(またはVH
1つの態様では、1つ以下のヒトVH セグメントまたは
1−2)セグメントの上流に第一のマウスホモロジーア
その1つ以上の多型、1つ以上のDセグメントのレパー
ーム、およびVH 1−69(またはVH 1−2)セグメ
トリーから選択されるDセグメント、および1つ以上の
ントの下流に第二のマウスホモロジーアームを含み、上
Jセグメントのレパートリーから選択されるJセグメン
記第一のマウスホモロジーアームは、マウス免疫グロブ
トに由来する免疫グロブリン重鎖可変レパートリーを含 10
リン重鎖可変領域の直ぐ上流のマウス染色体の領域と相
む齧歯動物であって、雄の齧歯動物において機能的であ
同であるが、機能的マウス免疫グロブリン重鎖可変セグ
る異所性ADAM6配列またはそのオルソログもしくは
メントを含まない。1つの実施形態において、上記構築
ホモログもしくは断片を含む齧歯動物を提供する。
物は、配列番号6を含む。1つの実施形態において、上
【0147】
記構築物は、配列番号74を含む。1つの実施形態にお
1つの実施形態において、上記ヒトVH セグメントは、
いて、上記構築物は、配列番号75を含む。1つの実施
1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9
形態において、上記構築物は、配列番号76を含む。
つまたは10以上の多型変異体で存在し、各多型変異体
【0150】
が、1つ以上のDセグメントのうちのいずれかおよび1
1つの態様では、上記限定された単一のVH セグメント
つ以上のJセグメントのうちのいずれかを有する再構成
は、非ヒト動物内にあるか、または上記限定されたVH
重鎖可変ドメインを再構成および形成できるように、多 20
セグメントは、非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座にあ
型変異体は、Dセグメントおよび/またはJセグメント
り(例えば、本来の位置に(in
に作動可能に連結されている。1つの実施形態において
入遺伝子内)、上記非ヒト動物または非ヒト免疫グロブ
、上記齧歯動物は、マウスまたはラットである。1つの
リン重鎖遺伝子座は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、
実施形態において、上記Dセグメントのレパートリーは
ウシ(例えば、雌牛、雄牛、野牛)、シカ、ヒツジ、ヤ
、2つ以上のDセグメントを含む。1つの実施形態にお
ギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長動物(例
いて、上記Jセグメントのレパートリーは、2つ以上の
えば、マーモセット、アカゲザル)の遺伝子座または動
Jセグメントを含む。1つの実施形態において、上記D
物から選択される。特定の実施形態において、上記非ヒ
セグメントおよび/またはJセグメントは、ヒトセグメ
ト動物または非ヒト遺伝子座は、マウスまたはラット遺
ントである。1つの実施形態において、上記異所性AD
伝子座である。
AM6配列は、同じ種の野生型齧歯動物のADAM6配 30
【0151】
列である。1つの実施形態において、上記齧歯動物は、
1つの態様では、(a)ヒト可変領域遺伝子セグメント
マウスまたはラットである。1つの実施形態において、
のヌクレオチド配列と同一または実質的に同一であるヌ
上記雄の齧歯動物において機能的である上記異所性AD
クレオチド配列と(b)マウスにおいて機能的であるマ
AM6配列またはそのオルソログもしくはホモログもし
ウスADAM6またはそのオルソログもしくはホモログ
くは断片は、上記改変免疫グロブリン重鎖可変レパート
もしくは断片をコードするヌクレオチド配列とを含むタ
リーと同じ染色体上にある;1つの実施形態において、
ーゲティングベクターを提供する。
それは異なる染色体上にある。
【0152】
【0148】
1つの実施形態において、上記ターゲティングベクター
1つの態様では、単一のヒト免疫グロブリン重鎖VH セ
は、上記マウスADAM6をコードする配列に作動可能
グメントおよび/またはその多型変異体、ならびに1つ 40
に連結されているプロモーターをさらに含む。特定の実
以上のDH 配列および1つ以上のJ配列をコードする配
施形態において、上記プロモーターは、マウスADAM
列を含むヌクレオチド構築物であって、非ヒト免疫グロ
6プロモーターである。
ブリン重鎖可変遺伝子座と相同な少なくとも1つのホモ
【0153】
ロジーアーム、またはリコンビナーゼ認識部位(例えば
1つの態様では、マウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子
、lox部位)を含む構築物を提供する。1つの実施形
座を改変するためのヌクレオチド構築物であって、少な
態において、上記Vセグメントは、VH 1−69セグメ
くとも1つの部位特異的リコンビナーゼ認識部位と、マ
ントまたはVH 1−2セグメントである。
ウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質または
【0149】
そのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコード
1つの態様では、単一のヒト免疫グロブリン重鎖Vセグ
する配列とを含む構築物を提供する。
メントをコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチ 50
【0154】
situ)または導
( 24 )
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1つの態様では、上流ホモロジーアームおよび下流ホモ
互作用の測定、画像化技術による顕色(develop
ロジーアームを含む核酸構築物を提供し、該上流ホモロ
ment)、またはその組み合わせが挙げられる。
ジーアームは、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域配列と
【0160】
同一または実質的に同一である配列を含み、該下流ホモ
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、マウスで
ロジーアームは、ヒトまたはマウス免疫グロブリン可変
ある。
領域配列と同一または実質的に同一である配列を含み、
【0161】
マウスADAM6タンパク質をコードするヌクレオチド
1つの態様では、本明細書に記載の限定された重鎖VH
配列を含む配列が、該上流ホモロジーアームと該下流ホ
セグメントを含む非ヒト胚を提供する。1つの実施形態
モロジーアームとの間に配置されている。特定に実施形
において、上記胚は、上記限定されたVH セグメントを
態において、上記マウスADAM6遺伝子をコードする 10
含むESドナー細胞と、宿主胚細胞とを含む。
配列は、野生型マウスの場合に該マウスADAM6が連
【0162】
結されているマウスプロモーターに作動可能と連結され
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、マウスで
ている。
ある。
【0155】
【0163】
1つの態様では、本明細書に記載の遺伝子改変マウスか
1つの態様では、上記非ヒト細胞は、本明細書に記載の
ら単離された細胞を提供する。
非ヒト動物の染色体またはその断片を含む。1つの実施
1つの実施形態において、上記細胞はリンパ球である。
形態において、上記非ヒト細胞は、本明細書に記載の非
1つの実施形態において、上記リンパ球はB細胞である
ヒト動物の核を含む。1つの実施形態において、上記非
。特定の実施形態において、上記B細胞は、異所性AD
ヒト細胞は、核移植の結果としての染色体またはその断
AM6配列またはそのオルソログまたはホモログまたは 20
片を含む。
その機能的断片をコードする配列を含み、上記B細胞は
【0164】
、ヒトVH 遺伝子セグメントに由来する重鎖可変ドメイ
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来す
ンを発現する。
る核を提供する。1つの実施形態において、上記核は、
【0156】
B細胞ではない二倍体細胞に由来する。
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来し
【0165】
、限定されたVH セグメントのレパートリー含む細胞ま
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来す
たは組織を提供する。1つの実施形態において、上記V
る多能性細胞、人工多能性(induced
plur
セグメントのレパートリーは、単一のVH セグメント
ipotent)細胞、または全能性細胞を提供する。
ファミリーメンバーおよび/またはその多型変異体に限
特定の実施形態において、上記細胞は、マウス胚性幹(
定される。特定の実施形態において、上記単一のVH セ 30
ES)細胞である。
グメントは、ヒトVH 1−69セグメントまたはヒトV
【0166】
H
1−2セグメントである。1つの実施形態において、
1つの態様では、限定されたVH セグメントのレパート
上記細胞または組織は、上記非ヒト動物の脾臓、リンパ
リーを含む非ヒト人工多能性細胞を提供する。1つの実
節、または骨髄に由来する。
施形態において、上記人工多能性細胞は、本明細書に記
【0157】
載の非ヒト動物に由来する。
1つの実施形態において、上記細胞は、ES細胞である
【0167】
。1つの実施形態において、上記細胞は、B細胞である
1つの態様では、本明細書に記載のマウスのリンパ球の
。1つの実施形態において、上記細胞は、生殖細胞であ
配列を含むハイブリドーマを提供する。1つの実施形態
H
る。
【0158】
において、上記リンパ球はB細胞である。
40
【0168】
1つの実施形態において、上記組織は、結合組織、筋肉
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物の細胞に
組織、神経組織、および上皮組織から選択される。特定
由来するハイブリドーマまたはクアドローマを提供する
の実施形態において、上記組織は、生殖組織である。
。1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、マウス
【0159】
またはラットである。
1つの実施形態において、本明細書に記載のマウスに由
【0169】
来する細胞および/または組織は、1つ以上のエクスビ
1つの態様では、本明細書に記載の遺伝子改変を含む、
ボアッセイにおいて使用するために単離される。様々な
ES細胞、多能性細胞および人工多能性(induce
実施形態において、上記1つ以上のエクスビボアッセイ
d pluripotent)細胞をはじめとする(し
としては、物理特性、熱特性、電気特性、機械的な特性
かしこれらに限定されない)マウス細胞およびマウス胚
、または光学特性の測定、手術手順、異なる組織型の相 50
を提供する。XXである細胞およびXYである細胞を提
( 25 )
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供する。本明細書に記載の改変、例えば、前核注入によ
マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座に隣接する核酸分子
り細胞に導入される改変、を含有する核を含む細胞も提
(例えば、B細胞染色体)上にある。
供する。ウイルス導入ADAM6遺伝子を含む細胞、胚
【0175】
およびマウス、例えば、該マウスにおいて機能的である
1つの実施形態において、上記核酸配列は、上記再構成
ADAM6遺伝子を含む形質導入構築物を含む細胞、胚
マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む核酸分子とは
およびマウスも提供する。
異なる核酸分子(例えば、B細胞染色体)上にある。
【0170】
【0176】
1つの態様では、遺伝子改変マウス細胞であって、再構
1つの実施形態において、上記マウスB細胞は、マウス
成内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントを含む重
またはヒト免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に
鎖を発現できず、マウスADAM6タンパク質またはそ 10
連結されている再構成非マウス免疫グロブリン可変遺伝
の機能的断片をコードする機能的ADAM6遺伝子を含
子配列を含み、ここで、B細胞は、雄マウスにおいて機
む遺伝子改変マウス細胞を提供する。1つの実施形態に
能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログ
おいて、上記細胞は、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメ
もしくはホモログもしくは断片をコードする核酸配列を
ントの挿入をさらに含む。特定の実施形態において、上
含む。
記ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、再構成の際
【0177】
にヒト可変領域を含む抗体の機能的重鎖をコードするよ
1つの実施形態において、上記核酸配列は、上記再構成
うな、マウス重鎖定常領域に作動可能に連結された重鎖
非ヒト免疫グロブリン可変遺伝子配列に対して最も近い
遺伝子セグメントである。
遺伝子の遺伝子座にあるまたはその中にある核酸分子(
【0171】
例えば、B細胞染色体)上にある。
1つの態様では、機能的内因性マウスADAM6遺伝子 20
【0178】
座を欠いている遺伝子改変マウス細胞であって、マウス
1つの実施形態において、上記核酸配列は、上記再構成
ADAM6タンパク質またはその機能的断片をコードす
非ヒト免疫グロブリン可変領域配列に隣接する核酸分子
る異所性ヌクレオチド配列を含む、遺伝子改変マウス細
(例えば、B細胞染色体)上にある。
胞を提供する。1つの実施形態において、上記細胞は、
【0179】
内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列の改変をさら
1つの態様では、改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座と、
に含む。特定の実施形態において、上記内因性免疫グロ
雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6または
ブリン重鎖可変遺伝子配列の改変は、マウスVH 遺伝子
そのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコード
セグメントの欠失、マウスDH 遺伝子セグメントの欠失
する核酸配列とを含む染色体を含む、マウス体細胞を提
、マウスJH 遺伝子セグメントの欠失およびその組み合
供する。1つの実施形態において、上記核酸配列は、上
わせから選択される欠失を含む。特定の実施形態におい 30
記改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上にあ
て、上記マウスは、1つ以上のマウス免疫グロブリンV
る。1つの実施形態において、上記核酸は、上記改変免
、DH および/またはJH 配列の、ヒト免疫グロブリ
疫グロブリン重鎖遺伝子座とは異なる染色体上にある。
ン配列による置換を含む。特定の実施形態において、上
1つの実施形態において、上記体細胞は、上記核酸配列
記ヒト免疫グロブリン配列は、ヒトVH 、ヒトVL 、ヒ
の単一のコピーを含む。1つの実施形態において、上記
トDH 、ヒトJH 、ヒトJL およびその組み合わせから
体細胞は、上記核酸配列の少なくとも2つのコピーを含
選択される。
む。特定の実施形態において、上記体細胞は、B細胞で
【0172】
ある。特定の実施形態において、上記細胞は、生殖細胞
1つの実施形態において、上記細胞は、全能性細胞、多
である。特定の実施形態において、上記細胞は、幹細胞
H
能性細胞、または人工多能性細胞である。特定の実施形
態において、上記細胞は、マウスES細胞である。
である。
40
【0180】
【0173】
1つの態様では、マウス生殖細胞であって、マウスAD
1つの態様では、再構成免疫グロブリン重鎖遺伝子を含
AM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしく
むマウスB細胞であって、雄マウスにおいて機能的であ
は機能的断片)をコードする核酸配列を該生殖細胞の染
るADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくは
色体上に含み、該マウスADAM6(またはそのホモロ
ホモログもしくは断片をコードする核酸配列を該B細胞
グもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードす
の染色体上に含むB細胞を提供する。1つの実施形態に
る核酸配列が、野生型マウス生殖細胞の染色体内の位置
おいて、上記マウスB細胞は、上記核酸配列の2つの対
とは異なる染色体内の位置にあるマウス生殖細胞を提供
立遺伝子を含む。
する。1つの実施形態において、上記核酸配列は、マウ
【0174】
ス免疫グロブリン遺伝子座にある。1つの実施形態にお
1つの実施形態において、上記核酸配列は、上記再構成 50
いて、上記核酸配列は、上記生殖細胞の、マウス免疫グ
( 26 )
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50
ロブリン遺伝子座と同じ染色体上にある。1つの実施形
1つの実施形態において、上記抗体可変領域配列は、配
態において、上記核酸配列は、上記生殖細胞の、マウス
列番号63に由来する。1つの実施形態において、上記
免疫グロブリン遺伝子座とは異なる染色体上にある。1
抗体可変領域配列は、配列番号63と少なくとも75%
つの実施形態において、上記マウス免疫グロブリン遺伝
、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも9
子座は、少なくとも1つのマウス免疫グロブリン配列の
0%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一
、少なくとも1つの非マウス免疫グロブリン配列による
である。1つの実施形態において、上記抗体可変領域配
置換を含む。特定の実施形態において、上記少なくとも
列は、配列番号63を含む。
1つの非マウス免疫グロブリン配列は、ヒト免疫グロブ
【0188】
リン配列である。1つの実施形態において、上記ヒト免
1つの態様では、非ヒト動物において、ヒト抗体可変領
疫グロブリン配列は、免疫グロブリン重鎖配列である。 10
域のレパートリーを生成するための方法であって、上記
【0181】
レパートリーの上記ヒト重鎖可変領域が、同じVH 遺伝
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物において
子ファミリーメンバーならびに複数のDH セグメントの
作製される抗体可変ドメイン配列を提供する。
うちの1つおよび複数のJH セグメントのうちの1つに
【0182】
由来し、上記レパートリーが、単一のVH 遺伝子ファミ
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来す
リーメンバーに由来する重鎖免疫グロブリンのFR1(
る配列を含む抗体可変ドメインを含むヒト治療薬を提供
フレームワーク1)配列、CDR1配列、FR2配列、
する。
CDR2配列、およびFR3配列を有することを特徴と
【0183】
する方法を提供する。1つの実施形態において、上記レ
1つの態様では、ヒトVH 1−69セグメントまたはV
パートリーは、複数の異なるCDR3+FR4配列を有
H
1−2セグメントに由来する抗体可変領域配列を非ヒ 20
することをさらに特徴とする。
ト動物から得る方法であって、(a)非ヒト動物を対象
【0189】
となる抗原で免疫する工程であって、上記非ヒト動物が
1つの実施形態において、上記単一のVH 遺伝子ファミ
、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるすべての
リーは、VH ファミリー1、2、3、4、5、6、およ
または実質的にすべての非ヒト可変セグメントの、単一
び7から選択される。特定の実施形態において、上記単
のヒト可変セグメントによる置換を含み、上記単一のヒ
一のVH 遺伝子ファミリーは、VH ファミリー1である
ト可変セグメントが、VH 1−69セグメントまたはV
。1つの実施形態において、上記単一のVH 遺伝子ファ
H
1−2セグメントであり、上記非ヒト動物が、ヒトV
ミリーメンバーは、VH 1−2、VH 1−69、VH 2
H
1−69セグメントまたはVH 1−2セグメントに由
−26、VH 2−70、およびVH 3−23から選択さ
来しない免疫グロブリン重鎖可変領域配列を実質的に形
れる。特定の実施形態において、上記単一のVH 遺伝子
成できない工程と、(b)上記非ヒト動物が上記対象と 30
ファミリーメンバーは、VH 1−69である。
なる抗原に対する免疫応答を開始するようにする工程と
【0190】
、(c)上記非ヒト動物の免疫グロブリン重鎖可変領域
1つの実施形態において、上記レパートリーは、VH 1
配列を同定または単離する工程であって、上記抗体が上
−69セグメントに由来する重鎖FR1配列、重鎖CD
記対象となる抗原に結合する工程とを含む方法を提供す
R1配列、重鎖FR2配列、重鎖CDR2配列、および
る。
重鎖FR3配列を含む。特定の実施形態において、上記
【0184】
レパートリーは、配列番号38に由来する重鎖FR1配
1つの実施形態において、上記単一のヒト可変セグメン
列、重鎖CDR1配列、重鎖FR2配列、重鎖CDR2
トは、VH 1−69セグメントである。
配列、および重鎖FR3配列を含む。特定の実施形態に
【0185】
おいて、上記レパートリーは、配列番号38の重鎖FR
1つの実施形態において、上記抗体可変領域配列は、配 40
1配列、重鎖CDR1配列、重鎖FR2配列、重鎖CD
列番号37に由来する。1つの実施形態において、上記
R2配列、および重鎖FR3配列を含む。
抗体可変領域配列は、配列番号37と少なくとも75%
【0191】
、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも9
1つの実施形態において、上記レパートリーは、VH 1
0%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一
−2セグメントに由来する重鎖FR1配列、重鎖CDR
である。1つの実施形態において、上記抗体可変領域配
1配列、重鎖FR2配列、重鎖CDR2配列、および重
列は、配列番号37を含む。
鎖FR3配列を含む。特定の実施形態において、上記レ
【0186】
パートリーは、配列番号64に由来する重鎖FR1配列
1つの実施形態において、上記単一のヒト可変セグメン
、重鎖CDR1配列、重鎖FR2配列、重鎖CDR2配
トは、VH 1−2セグメントである。
列、および重鎖FR3配列を含む。特定の実施形態にお
【0187】
50
いて、上記レパートリーは、配列番号64の重鎖FR1
( 27 )
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配列、重鎖CDR1配列、重鎖FR2配列、重鎖CDR
遺伝子セグメントの転写に対して)下流の1つ以上の免
2配列、および重鎖FR3配列を含む。
疫グロブリン遺伝子セグメントを、1つ以上のヒト免疫
【0192】
グロブリン重鎖または軽鎖の遺伝子セグメントで置換す
1つの態様では、非ヒト動物において、複数の異なるC
る工程を含む。1つの実施形態において、上記非ヒト動
DR3配列およびFR4配列を生成するための方法であ
物の内因性ADAM6遺伝子座の上流の1つ以上の内因
って、単一のVH セグメントファミリーメンバーに限定
性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する、上記1
されたVH セグメントのレパートリーを有する免疫グロ
つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、V遺
ブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座を含む非ヒト動物を、対
伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、上記
象となる抗原に曝露する工程と、上記非ヒト動物が上記
非ヒト動物の内因性ADAM6遺伝子座の上流の1つ以
抗原に対する免疫応答を発生するようにする工程とを含 10
上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する
み、上記免疫応答が、その重鎖可変ドメインの各々が上
ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、VおよびD遺
記単一のVH セグメントファミリーメンバーに由来する
伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、上記
B細胞レパートリーであって、複数の異なるCDR3配
非ヒト動物の内因性ADAM6遺伝子座の下流の1つ以
列およびFR4配列を含むB細胞レパートリーを生成す
上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する
る方法を提供する。
、上記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメント
【0193】
は、J遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態におい
1つの実施形態において、上記単一のVH セグメントフ
て、上記非ヒト動物の内因性ADAM6遺伝子座の下流
ァミリーメンバーは、ヒトのものである。1つの実施形
の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを
態において、上記非ヒト動物は、マウス、ラット、およ
置換する、上記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セ
びウサギから選択される。1つの実施形態において、上 20
グメントは、DおよびJ遺伝子セグメントを含む。1つ
記対象となる抗原は、リガンド、受容体、細胞内タンパ
の実施形態において、上記非ヒト動物の内因性ADAM
ク質、および分泌タンパク質から選択される。1つの実
6遺伝子座の下流の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺
施形態において、上記対象となる抗原は、ヒト病原体で
伝子セグメントを置換する、上記1つ以上のヒト免疫グ
ある。
ロブリン遺伝子セグメントは、V、DおよびJ遺伝子セ
【0194】
グメントを含む。特定の実施形態において、上記非ヒト
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物において
動物の内因性ADAM6遺伝子座の下流の1つ以上の内
作製される免疫グロブリン可変領域をコードするヌクレ
因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する、上記
オチド配列を提供する。
1つ以上の遺伝子セグメントは、単一のV遺伝子セグメ
【0195】
ント、1つ以上のD遺伝子セグメントおよび1つ以上の
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物において 30
J遺伝子セグメントを含む。
作製される抗体の免疫グロブリン重鎖可変領域アミノ酸
【0199】
配列または免疫グロブリン軽鎖可変領域アミノ酸配列を
1つの実施形態において、上記ADAM6遺伝子の上流
提供する。
および/または下流の上記1つ以上の免疫グロブリン重
【0196】
鎖遺伝子セグメントを多能性細胞、人工多能性細胞、ま
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物において
たは全能性細胞中で置換して、遺伝子改変前駆細胞を形
作製される抗体の可変領域をコードする免疫グロブリン
成し;該遺伝子改変前駆細胞を宿主に導入し;そして、
重鎖可変領域ヌクレオチド配列または免疫グロブリン軽
該遺伝子改変前駆細胞を含む該宿主を妊娠させて、該遺
鎖可変領域ヌクレオチド配列を提供する。
伝子改変前駆細胞に由来するゲノムを含む非ヒト動物を
【0197】
形成する。1つの実施形態において、上記宿主は胚であ
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物において 40
る。特定の実施形態において、上記宿主は、マウス前桑
作製される抗体またはその抗原結合断片(例えば、Fa
実胚(pre−morula)(例えば8または4細胞
b、F(ab)2 、scFv)を提供する。
期)、4倍体胚、胚性細胞の集合体、または胚盤胞から
【0198】
選択される。
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物を作製するため
【0200】
の方法を提供し、この方法は、該非ヒト動物の内因性A
1つの態様では、単一のVセグメントファミリーメンバ
DAM6遺伝子座の(免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメ
ーに由来する免疫グロブリン重鎖可変ドメインを発現す
ントの転写に対して)上流の1つ以上の免疫グロブリン
るB細胞レパートリーを有する非ヒト動物を提供する。
重鎖遺伝子セグメントを、1つ以上のヒト免疫グロブリ
1つの実施形態において、上記B細胞レパートリーにお
ン重鎖遺伝子セグメントで置換する工程、および該非ヒ
いて発現される上記非ヒト動物免疫グロブリン重鎖可変
ト動物の該ADAM6遺伝子座の(免疫グロブリン重鎖 50
ドメインの上記B細胞レパートリーのうちの少なくとも
( 28 )
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10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なく
する。特定の実施形態において、上記限定されたレパー
とも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少
トリーは、図7のVH 1−69変異体のうちの1つ以上
なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%
から選択される。
、または少なくとも95%は、同じVセグメントファミ
【0204】
リーメンバーに由来する。特定の実施形態において、上
1つの態様では、限定されたVH 遺伝子セグメントのレ
記割合は、少なくとも90%である。1つの実施形態に
パートリーを含む非ヒト動物であって、上記限定が、ヒ
おいて、上記B細胞レパートリーは、末梢(血)B細胞
トVH 1−2遺伝子セグメントまたはVH 1−2遺伝子
から本質的になる。1つの実施形態において、上記B細
セグメントに対するものであり、VH1−2遺伝子セグ
胞レパートリーは、脾性B細胞から本質的になる。1つ
メントと少なくとも約94.9%、95.9%、96.
の実施形態において、上記B細胞レパートリーは、骨髄 10
9%、98%、または99%同一である非ヒト動物を提
B細胞から本質的になる。1つの実施形態において、上
供する。特定の実施形態において、上記限定されたレパ
記B細胞レパートリーは、末梢B細胞、脾性B細胞、お
ートリーは、図10のVH 1−2変異体のうちの1つ以
よび骨髄B細胞から本質的になる。
上から選択される。
【0201】
【0205】
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物であって、重鎖
1つの実施形態において、上記非ヒト動物はマウスであ
免疫グロブリン可変ドメインを発現する上記非ヒト動物
る。
のB細胞のうちの10%、20%、30%、40%、5
【0206】
0%、60%、70%、80%超または90%超が、単
1つの態様では、限定されたヒトVH セグメントのレパ
一のVH 遺伝子セグメントファミリーメンバーに由来す
ートリーを含む非ヒト動物であって、ヒト化免疫グロブ
る重鎖免疫グロブリン可変ドメインを発現する遺伝子改 20
リン軽鎖可変セグメント遺伝子座をさらに含み、上記マ
変非ヒト動物を提供する。1つの実施形態において、免
ウスにおいて発現されるκ軽鎖に対するλ軽鎖の比率が
疫グロブリン重鎖可変ドメインを発現する上記非ヒト動
、野生型マウスにおける場合とほぼ同じである非ヒト動
物のB細胞のうちの少なくとも75%は、上記単一のV
物を提供する。
H
遺伝子セグメントファミリーメンバーに由来する免疫
【0207】
グロブリン重鎖可変ドメインを発現する。特定の実施形
1つの態様では、単一のVH 遺伝子セグメント、1つ以
態において、上記割合は、少なくとも90%である。1
上のDH 遺伝子セグメント、および1つ以上のJH 遺伝
つの実施形態において、上記B細胞のすべては、上記単
子セグメントの存在を特徴とする限定された免疫グロブ
一のVH 遺伝子ファミリーメンバーに由来する重鎖ドメ
リン重鎖遺伝子座を含む非ヒト動物であって、上記単一
インを発現する。
のVH 遺伝子セグメントが、多型VH 遺伝子セグメント
【0202】
30
である非ヒト動物を提供する。
1つの態様では、対象となる抗原による免疫に応答して
【0208】
抗原特異的B細胞集団を作製する遺伝子改変マウスであ
1つの実施形態において、上記多型VH 遺伝子セグメン
って、上記抗原特異的B細胞集団のうちの少なくとも1
トは、ヒト集団における高コピー数に関連するヒトVH
0%、20%、30%、40%、50%、60%、70
遺伝子セグメントである。1つの実施形態において、上
%、80%、または90%超が、同じVH 遺伝子セグメ
記ヒトVH 遺伝子セグメントは、VH 1−2、VH 1−
ントにすべて由来する免疫グロブリン重鎖を発現する遺
69、VH 2−26、VH 2−70、VH 3−23、ま
伝子改変マウスを提供する。1つの実施形態において、
たはこれらの多型変異体から選択される。特定の実施形
上記抗原特異的B細胞集団のうちの少なくとも75%は
態において、上記ヒトVH 遺伝子セグメントは、VH 1
、同じVH 遺伝子セグメントに由来する免疫グロブリン
−69遺伝子セグメントである。もう1つの特定の実施
重鎖を発現する。1つの実施形態において、上記抗原特 40
形態において、上記ヒトVH遺伝子セグメントは、VH
異的B細胞のすべては、同じVH 遺伝子セグメントに由
1−2遺伝子セグメントである。
来する重鎖を発現する。
【0209】
【0203】
1つの実施形態において、上記単一のVH 遺伝子セグメ
1つの態様では、限定されたVH 遺伝子セグメントのレ
ントは、ヒト免疫グロブリン定常領域遺伝子、マウス免
パートリーを含む非ヒト動物であって、上記限定が、ヒ
疫グロブリン定常領域遺伝子、またはキメラヒト/マウ
トVH 1−69遺伝子セグメントまたはVH 1−69遺
ス免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結され
伝子セグメントに対するものであり、VH1−69*0
ている。特定の実施形態において、上記免疫グロブリン
1遺伝子セグメントと少なくとも約75.5%、76.
定常領域遺伝子は、マウス定常領域遺伝子である。1つ
5%、86.7%、87.8%、94.9%、96.9
の実施形態において、上記免疫グロブリン定常遺伝子は
%、98%、または99%同一である非ヒト動物を提供 50
、ヒトCH 1、ヒトヒンジ、ヒトCH 2、ヒトCH 3、
( 29 )
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およびその組み合わせから選択されるヒト配列を含む。
子セグメントに作動可能に連結された1つ以上のヒトJ
1つの実施形態において、上記マウス定常遺伝子は、内
L
因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座にある。
【0217】
【0210】
1つの態様では、少なくとも1つのヒト可変ドメイン/
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、J遺伝子
非ヒト定常ドメイン免疫グロブリンポリペプチドを含む
セグメントおよび軽鎖定常遺伝子に作動可能に連結され
抗体を発現する非ヒト動物であって、内因性免疫グロブ
たヒト免疫グロブリンVL 遺伝子セグメントをさらに含
リン重鎖遺伝子座から非ヒトADAM6タンパク質また
む。特定の実施形態において、上記VL 遺伝子セグメン
はそのオルソログもしくはホモログを発現する非ヒト動
トおよび/またはJ遺伝子セグメントは、ヒトκ遺伝子
物を提供する。1つの実施形態において、上記内因性免
セグメントおよびヒトλ遺伝子セグメントから選択され 10
疫グロブリン重鎖遺伝子座は、抗体の機能的重鎖をコー
る。1つの実施形態において、上記VL 遺伝子セグメン
ドするように再構成できない。
トおよび/またはJ遺伝子セグメントは、ヒトκ遺伝子
【0218】
セグメントである。
1つの態様では、少なくとも1つのヒト可変ドメイン/
【0211】
非ヒト定常ドメイン免疫グロブリンポリペプチドを含む
様々な実施形態において、上記非ヒト動物は、すべての
抗体を発現する非ヒト動物であって、免疫グロブリン遺
または実質的にすべての内因性VH 遺伝子セグメントの
伝子座以外の遺伝子座から非ヒトADAM6タンパク質
欠失を含む。
またはそのオルソログもしくはホモログを発現する非ヒ
【0212】
ト動物を提供する。
様々な実施形態において、上記非ヒト動物は、不活性化
【0219】
内因性重鎖可変遺伝子遺伝子座を含む。様々な実施形態 20
1つの実施形態において、上記ADAM6タンパク質ま
において、上記不活性化内因性重鎖可変遺伝子遺伝子座
たはそのオルソログもしくはホモログは、上記非ヒト動
は、内因性重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結されて
物のB細胞において発現され、該B細胞は、ヒト可変配
いない。
列と非ヒト定常配列とを含む再構成免疫グロブリン配列
【0213】
を含む。
1つの態様では、血清免疫グロブリンの発現を特徴とす
【0220】
る非ヒト動物であって、上記血清免疫グロブリンのうち
1つの実施形態において、上記非ヒト定常配列は、齧歯
の80%超が、ヒト重鎖可変ドメインおよび同種のヒト
動物配列である。1つの実施形態において、上記齧歯動
軽鎖可変ドメインを含み、上記ヒト重鎖可変ドメインが
物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される
、単一のヒトVH 遺伝子セグメントおよび/またはその
。
多型変異体から本質的になるVH 遺伝子セグメントのレ 30
【0221】
パートリーに由来する非ヒト動物を提供する。
1つの態様では、不妊性雄非ヒト動物を作製するための
【0214】
方法を提供し、この方法は、ドナーES細胞の内因性A
1つの実施形態において、上記単一のヒトVH 遺伝子セ
DAM6対立遺伝子を非機能的にすること(または該対
グメントは、ヒトVH 1−69遺伝子セグメントおよび
立遺伝子をノックアウトすること)、該ドナーES細胞
/またはその多型変異体である。1つの実施形態におい
を宿主胚に導入すること、代理母において該宿主胚を妊
て、上記単一のヒトVH 遺伝子セグメントは、ヒトVH
娠させること、および該ドナーES細胞に全部または一
1−2遺伝子セグメントおよび/またはその多型変異体
部由来する後代を該代理母に出産させることを含む。1
である。
つの実施形態において、上記方法は、後代を交配させて
【0215】
不妊性雄非ヒト動物を得ることをさらに含む。
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に 40
【0222】
おけるすべてのまたは実質的にすべての内因性VH 遺伝
1つの態様では、対象となる遺伝子改変を有する非ヒト
子セグメントの、単一のヒトVH 遺伝子セグメントおよ
動物であって、不妊性である非ヒト動物を作製するため
び/またはその多型変異体での置換をその生殖細胞系内
の方法を提供し、この方法は、(a)対象となる遺伝子
に含む非ヒト動物を提供する。
改変をゲノム内で行う工程;(b)上記ゲノムを改変し
【0216】
て、内因性ADAM6対立遺伝子をノックアウトするか
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、内因性免
、または内因性ADAM6対立遺伝子を非機能的にする
疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるすべてのまたは実質
工程;および(c)上記ゲノムを非ヒト動物の作製に用
的にすべての内因性VL 遺伝子セグメントの、1つ以上
いる工程を含む。様々な実施形態において、上記ゲノム
のヒトVL 遺伝子セグメントによる置換をさらに含む。
は、ES細胞からのものであり、または核移植実験で使
特定の実施形態において、上記マウスは、ヒトVL 遺伝 50
用される。
遺伝子セグメントをさらに含む。
( 30 )
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【0223】
ト動物から細胞を得る工程と、これらの細胞をドナー細
1つの態様では、本明細書に記載のターゲティングベク
胞として、またはこれらの細胞からの核をドナー核とし
ター、ヌクレオチド構築物または細胞を使用して作製さ
て利用する工程と、上記細胞または核を使用する工程で
れる非ヒト動物を提供する。
あって、宿主細胞を使用してならびに/または代理母に
【0224】
おいて上記細胞および/もしくは核を妊娠させて遺伝子
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物と、野生
改変非ヒト動物を作製するする工程とを含む。
型非ヒト動物であるまたは遺伝子改変されている第二の
【0229】
非ヒト動物との交配の後代を提供する。
1つの実施形態では、重鎖遺伝子座における置換に関し
【0225】
てヘテロ接合性である雄非ヒト動物のみを雌非ヒト動物
1つの態様では、非ヒト免疫グロブリン重鎖配列の、1 10
に交配させる。特定の実施形態において、上記雌非ヒト
つ以上の異種免疫グロブリン重鎖配列による置換を含む
動物は、置換される重鎖遺伝子座に関してホモ接合性、
非ヒト動物系統を維持するための方法を提供する。1つ
ヘテロ接合性または野生型である。
の実施形態において、上記1つ以上の異種免疫グロブリ
【0230】
ン重鎖配列は、ヒト免疫グロブリン重鎖配列である。
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、内因性免
【0226】
疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるλおよび/またはκ
1つの実施形態において、上記非ヒト動物系統は、1つ
軽鎖可変配列の、異種免疫グロブリン軽鎖配列による置
以上の非ヒトVH 、DH および/またはJH 遺伝子セグ
換をさらに含む。1つの実施形態において、上記異種免
メントの欠失を含む。1つの実施形態において、上記非
疫グロブリン軽鎖配列は、ヒト免疫グロブリンλおよび
ヒト動物は、単一のヒトVH 遺伝子セグメント、1つ以
/またはκ軽鎖可変配列である。
上のヒトDH 遺伝子セグメントおよび/または1つ以上 20
【0231】
のヒトJH 遺伝子セグメントをさらに含む。1つの実施
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、内因性免
形態において、上記非ヒト動物は、単一のヒトVH セグ
疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝子座に導入遺伝子をさ
メント、少なくとも27のヒトDH 遺伝子セグメント、
らに含み、該導入遺伝子は、免疫グロブリン軽鎖定常領
および少なくとも6のJH 遺伝子セグメントを含む。特
域配列に(非再構成配列については)作動可能に連結さ
定の実施形態において、上記非ヒト動物は、定常領域遺
れているまたは(再構成配列については)融合されてい
伝子に作動可能に連結されている、単一のヒトVH セグ
る、再構成または非再構成異種λまたはκ軽鎖配列(例
メント、27のヒトDH 遺伝子セグメントおよび6のヒ
えば、非再構成VL および非再構成JL 、または再構成
トJH 遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態におい
VL JL )をコードする配列を含む。1つの実施形態に
て、上記定常領域遺伝子は、非ヒト定常領域遺伝子であ
おいて、上記異種λまたはκ軽鎖配列はヒトのものであ
る。1つの実施形態において、上記定常領域遺伝子は、 30
る。1つの実施形態において、上記定常領域配列は、齧
CH 1、ヒンジ、CH 2、CH 3および/もしくはCH
歯動物、ヒトおよび非ヒト霊長類から選択される。1つ
4またはその組み合わせから選択されるマウスまたはラ
の実施形態において、上記定常領域配列は、マウス、ラ
ット定常領域遺伝子配列を含む。様々な実施形態におい
ットおよびハムスターから選択される。1つの実施形態
て、上記単一のヒトVH 遺伝子セグメントは、ヒトVH
において、上記導入遺伝子は、上記軽鎖配列の発現を駆
1−69またはヒトVH 1−2遺伝子セグメントである
動する非免疫グロブリンプロモーターを含む。特定の実
。
施形態において、上記プロモーターは、転写活性プロモ
【0227】
ーターである。特定の実施形態において、上記プロモー
1つの実施形態において、上記方法は、上記非ヒト免疫
ターは、ROSA26プロモーターである。
グロブリン重鎖配列の置換に関してヘテロ接合性の雄非
【0232】
ヒト動物を産生する工程、および上記ヘテロ接合雄非ヒ 40
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法
ト動物を野生型雌非ヒト動物とまたはヒト重鎖配列に関
を提供し、この方法は、第一の改変のために、非ヒト免
してホモ接合性もしくはヘテロ接合性である雌非ヒト動
疫グロブリン遺伝子セグメントを含む非ヒトヌクレオチ
物と交配させる工程を含む。1つの実施形態において、
ド配列を上記動物のゲノムに挿入する工程であって、上
上記方法は、ヘテロ接合雄と、野生型である雌またはヒ
記挿入が内因性ADAM6遺伝子を維持する工程、その
ト重鎖配列に関してホモ接合性もしくはヘテロ接合性で
後、第二の改変のために、上記非ヒト動物の上記内因性
ある雌とを繰り返し交配させることにより上記非ヒト動
免疫グロブリン重鎖遺伝子座を非機能的にする工程を含
物系統を維持する工程を含む。
む。1つの実施形態において、内因性免疫グロブリン重
【0228】
鎖遺伝子座が機能的重鎖可変領域をコードするように再
1つの実施形態において、上記方法は、ヒト重鎖配列に
構成できないように、上記第一の改変は、内因性免疫グ
関してホモ接合性またはヘテロ接合性の雄または雌非ヒ 50
ロブリン重鎖定常領域遺伝子の上流において行われ、上
( 31 )
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記第二の改変は、上記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子
1つの態様では、完全ヒトFabまたは完全ヒトF(a
座を逆位させるように、上記内因性免疫グロブリン重鎖
b)2 を作製するための、本明細書に記載のマウスの使
遺伝子座を転座させるように、または上記内因性免疫グ
用を提供する。
ロブリン重鎖遺伝子座を作動可能な連結の外側に配置す
【0238】
るように行われる。
1つの態様では、不死化細胞系を作製するための、本明
【0233】
細書に記載のマウスの使用を提供する。
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法
【0239】
を提供し、この方法は、非ヒト免疫グロブリン遺伝子セ
1つの態様では、ハイブリドーマまたはクアドローマを
グメントと非ヒトADAM6(または雄非ヒト動物にお
作製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供
いて機能的なそのオルソログもしくはホモログもしくは 10
する。
断片)ヌクレオチド配列とを含む非ヒト動物ヌクレオチ
【0240】
ド配列を、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを含む
1つの態様では、ヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変
配列で置換して、第一のキメラ遺伝子座を形成する工程
領域を含有するファージライブラリーを作製するための
、その後、非ヒトADAM6コード配列(またはそのオ
、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。
ルソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコード
【0241】
する配列)を含む配列を、上記ヒト免疫グロブリン遺伝
1つの実施形態において、上記ヒト重鎖可変領域は、配
子セグメントを含む配列に挿入して、第二のキメラ遺伝
列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号4
子座を形成する工程を含む。
1、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列
【0234】
番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55
1つの実施形態において、上記第二のキメラ遺伝子座は 20
、配列番号57および配列番号59から選択される配列
、ヒト免疫グロブリン重鎖可変(VH )遺伝子セグメン
を含むヒトVH 1−69遺伝子セグメントに由来する。
トを含む。1つの実施形態において、上記第二のキメラ
【0242】
遺伝子座は、ヒト免疫グロブリン軽鎖可変(VL )遺伝
1つの実施形態において、上記ヒト重鎖可変領域は、配
子セグメントを含む。特定の実施形態において、上記第
列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号4
二のキメラ遺伝子座は、ヒトDH 遺伝子セグメントおよ
4、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列
びヒトJH 遺伝子セグメントに作動可能に連結されてい
番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58
るヒトVH 遺伝子セグメントまたはヒトVL 遺伝子セグ
、配列番号60および配列番号62から選択される配列
メントを含む。さらなる特定の実施形態において、上記
を含むヒトVH 1−69遺伝子セグメントに由来する。
第二のキメラ遺伝子座は、マウスCH 2+CH 3配列と
【0243】
融合されているヒトCH 1配列、またはヒトCH 1およ 30
1つの実施形態において、上記ヒト重鎖可変領域は、配
びヒトヒンジ配列を含む第三のキメラ遺伝子座に作動可
列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号6
能に連結されている。
9および配列番号71から選択される配列を含むヒトV
【0235】
H
1つの態様では、妊性雄マウスを作製するための、マウ
【0244】
スADAM6遺伝子座または配列を含む異所性ヌクレオ
1つの実施形態において、上記ヒト重鎖可変領域は、配
チド配列を含むマウスの使用を提供し、この使用は、上
列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号7
記マウスADAM6遺伝子座または配列を含む上記異所
0および配列番号72から選択される配列を含むヒトV
性ヌクレオチド配列を含むマウスを、機能的内因性マウ
H
スADAM6遺伝子座または配列を欠いているマウスと
【0245】
交配させること、および該異所性ADAM6遺伝子座も 40
1つの態様では、ヒト抗体を作製するための可変領域配
しくは配列を有する後代を産生できる雌である後代を得
列を生成するための、本明細書に記載のマウスの使用を
ること、または該異所性ADAM6遺伝子座もしくは配
提供し、この使用は、(a)本明細書に記載のマウスを
列を含む雄であって、野生型雄マウスによって示される
対象となる抗原で免疫すること、(b)(a)の免疫し
妊性とほぼ同じである妊性を示す雄である後代を得るこ
たマウスからリンパ球を単離すること、(c)上記リン
とを含む。
パ球を1つ以上の標識抗体に曝露すること、(d)上記
【0236】
対象となる抗原に結合できるリンパ球を同定すること、
1つの態様では、免疫グロブリン可変領域ヌクレオチド
および(e)上記リンパ球からの1つ以上の可変領域核
配列を作製するための、本明細書に記載のマウスの使用
酸配列を増幅し、それによって可変領域配列を生成する
を提供する。
ことを含む。
【0237】
50
1−2遺伝子セグメントにすべて由来する。
1−2遺伝子セグメントに由来する。
【0246】
( 32 )
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1つの実施形態では、上記リンパ球を上記マウスの脾臓
、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は
に由来する。1つの実施形態では、上記リンパ球を上記
、(a)本明細書に記載のマウスを対象となる抗原で免
マウスのリンパ節に由来する。1つの実施形態では、上
疫すること、(b)(a)の免疫したマウスから骨髄を
記リンパ球を上記マウスの骨髄に由来する。
単離すること、(c)上記骨髄からのBリンパ球を1つ
【0247】
以上の標識抗体に曝露すること、(d)上記対象となる
1つの実施形態において、上記標識抗体は、蛍光団結合
抗原に結合できる(c)のBリンパ球を同定すること、
体化抗体である。1つの実施形態において、1つ以上の
および(e)上記Bリンパ球からの重鎖可変領域核酸配
上記蛍光団結合体化抗体は、IgM、IgGおよび/ま
列およびκ軽鎖可変領域核酸配列を増幅し、それによっ
たはその組み合わせから選択される。
【0248】
て該重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成
10
することを含む。様々な実施形態において、上記1つ以
1つの実施形態において、上記リンパ球は、B細胞であ
上の標識抗体は、IgM、IgGおよび/またはその組
る。
み合わせから選択される。
【0249】
【0253】
1つの実施形態において、上記1つ以上の可変領域核酸
様々な実施形態において、上記対象となる抗原は、例え
配列は、重鎖可変領域配列を含む。1つの実施形態にお
ば、ウイルス抗原を含め、ヒト被験体が罹患する病原体
いて、上記1つ以上の可変領域核酸配列は、軽鎖可変領
である。例示的なウイルス性病原体としては、例えば、
域配列を含む。1つの特定の実施形態において、上記軽
主に、アデノウイルス科、細菌ピコルナウイルス科、ヘ
鎖可変領域配列は、免疫グロブリンκ軽鎖可変領域配列
ルペスウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイル
である。1つの実施形態において、上記1つ以上の可変
ス科、レトロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パ
領域核酸配列は、重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領 20
ラミクソウイルス科、パポバウイルス科、ポリオーマウ
域配列を含む。
イルス、ラブドウイルス科、およびトガウイルス科のも
【0250】
のが挙げられる。かかる例示的なウイルスは典型的に、
1つの実施形態では、ヒト抗体を作製するための重鎖可
長さが20∼300ナノメートルの間の範囲にある。様
変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成するための
々な実施形態において、上記対象となる抗原は、肝炎ウ
、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は
イルス(例えば、HCV、HBVなど)、ヒト免疫不全
、(a)本明細書に記載のマウスを対象となる抗原で免
ウイルス(HIV)、またはインフルエンザウイルスか
疫すること、(b)(a)の免疫したマウスから脾臓を
ら選択されるウイルス抗原である。
単離すること、(c)上記脾臓からのBリンパ球を1つ
【0254】
以上の標識抗体に曝露すること、(d)上記対象となる
様々な実施形態では、ヒト抗体を作製するための重鎖お
抗原に結合できる(c)のBリンパ球を同定すること、 30
よびκ軽鎖可変領域配列を生成するための、本明細書に
および(e)上記Bリンパ球からの重鎖可変領域核酸配
記載のマウスの使用を提供し、この使用は、増幅重鎖お
列およびκ軽鎖可変領域核酸配列を増幅し、それによっ
よび軽鎖可変領域配列をヒト重鎖および軽鎖定常領域配
て該重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成
列に融合させること、融合した重鎖および軽鎖配列を細
することを含む。
胞において発現させること、および発現された重鎖およ
【0251】
び軽鎖配列を回収し、それによってヒト抗体を産生させ
1つの実施形態において、ヒト抗体を作製するための重
ることをさらに含む。
鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成するた
【0255】
めの、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使
様々な実施形態において、上記ヒト重鎖定常領域は、I
用は、(a)本明細書に記載のマウスを対象となる抗原
gM、IgD、IgA、IgEおよびIgGから選択さ
で免疫すること、(b)(a)の免疫したマウスから1 40
れる。様々な特定の実施形態において、上記IgGは、
つ以上のリンパ節を単離すること、(c)上記1つ以上
IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択
のリンパ節からのBリンパ球を1つ以上の標識抗体に曝
される。様々な実施形態において、上記ヒト重鎖定常領
露すること、(d)上記対象となる抗原に結合できる(
域は、CH 1、ヒンジ、CH 2、CH 3、CH 4または
c)のBリンパ球を同定すること、および(e)上記B
その組み合わせを含む。様々な実施形態において、上記
リンパ球からの重鎖可変領域核酸配列およびκ軽鎖可変
軽鎖定常領域は、免疫グロブリンκ定常領域である。
領域核酸配列を増幅し、それによって該重鎖可変領域配
様々な実施形態において、上記細胞は、HeLa細胞、
列およびκ軽鎖可変領域配列を生成することを含む。
DU145細胞、Lncap細胞、MCF−7細胞、M
【0252】
DA−MB−438細胞、PC3細胞、T47D細胞、
1つの実施形態では、ヒト抗体を作製するための重鎖可
THP−1細胞、U87細胞、SHSY5Y(ヒト神経
変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成するための 50
芽腫)細胞、Saos−2細胞、Vero細胞、CHO
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細胞、GH3細胞、PC12細胞、ヒト網膜細胞(例え
セグメントを含有する重鎖可変ドメインを含む。
ば、PER.C6(商標)細胞)およびMC3T3細胞
【0263】
から選択される。特定の実施形態において、上記細胞は
様々な実施形態において、上記対象となる抗原での免疫
、CHO細胞である。
を、タンパク質、DNA、DNAとタンパク質の組み合
【0256】
わせ、または該抗原を発現する細胞を用いて行う。
1つの態様において、対象となる抗原に対して特異的な
【0264】
逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体を産生させるための方法を
1つの態様では、免疫グロブリン可変領域またはその断
提供し、この方法は、本明細書に記載のマウスを該抗原
片をコードする核酸配列を作製するための、本明細書に
で免疫する工程、該抗原に対して特異的な逆キメラマウ
記載のマウスの使用を提供する。1つの実施形態では、
ス−ヒト抗体を産生するマウスから少なくとも1つの細 10
上記核酸配列を使用して、ヒト抗体またはその抗原結合
胞を単離する工程、該抗原に対して特異的な該逆キメラ
断片を作製する。1つの実施形態では、上記マウスを使
マウス−ヒト抗体を産生する少なくとも1つの細胞を培
用して、抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗
養する工程、および該抗体を得る工程を含む。
体)、scFv、二重特異性scFv、ダイアボディー
【0257】
、トリアボディー、テトラボディー、V−NAR、VH
1つの実施形態において、上記逆キメラマウス−ヒト抗
H
体は、マウス重鎖定常遺伝子またはラット重鎖定常遺伝
ち、二重可変ドメイン抗原結合タンパク質)、SVD(
子と融合されたヒト重鎖可変ドメイン、およびマウス軽
すなわち、単一可変ドメイン抗原結合タンパク質)また
鎖定常遺伝子またはラット軽鎖定常遺伝子またはヒト軽
は二重特異性T細胞エンゲージャー(bispecif
鎖定常遺伝子と融合されたヒト軽鎖可変ドメインを含む
ic
。特定の実施形態において、上記ヒト重鎖可変ドメイン 20
選択される抗原結合タンパク質を作製する。
は、再構成ヒトVH 1−69遺伝子セグメントまたはヒ
【0265】
トVH 1−2遺伝子セグメントを含有する。
1つの態様では、ヒト抗原結合タンパク質を作製するた
【0258】
めの方法であって、本明細書に記載の遺伝子操作非ヒト
1つの実施形態において、上記抗原に対して特異的な上
動物を、対象となる抗原に曝露する工程と、上記ヒト動
記逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体を産生する少なくとも1
物が上記抗原に対する免疫応答を開始するようにする工
つの細胞の培養は、上記マウスから単離された少なくと
程と、上記非ヒト動物から、上記対象となる抗原に特異
も1つの細胞から産生された少なくとも1つのハイブリ
的に結合するヒト重鎖可変ドメインをコードする重鎖可
ドーマ細胞で行う。
変ドメインの核酸配列を得る工程と、上記重鎖可変ドメ
【0259】
インの核酸配列を、ヒト定常領域配列に融合する工程と
1つの態様において、対象となる抗原に対して特異的な 30
、哺乳動物細胞内で、上記ヒト重鎖可変ドメイン配列お
完全ヒト抗体を産生させるための方法を提供し、この方
よび上記ヒト定常領域配列を含む抗体を発現させる工程
法は、本明細書に記載のマウスを該抗原で免疫する工程
とを含む方法を提供する。1つの実施形態において、上
、該抗原に対して特異的な逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体
記哺乳動物細胞は、CHO細胞である。1つの実施形態
を産生するマウスから少なくとも1つの細胞を単離する
において、上記非ヒト動物は、必要に応じてその2つ以
工程、該抗原に対して特異的な該逆キメラ齧歯動物−ヒ
上の多型変異体で存在する単一のヒトVH 遺伝子セグメ
ト抗体に由来する完全ヒト抗体を産生する少なくとも1
ントから本質的になるヒトVH 遺伝子セグメントのレパ
つの細胞を産生させる工程、および該完全ヒト抗体を産
ートリーであって、1つ以上のヒトDセグメントおよび
生する少なくとも1つの細胞を培養する工程、および該
/またはヒトJセグメントに作動可能に連結されたヒト
完全ヒト抗体を得る工程を含む。
【0260】
、VL 、F(ab)、F(ab)2 、DVD(すなわ
T−cell
engager:BiTE)から
VH 遺伝子セグメントのレパートリーを含む。1つの実
40
施形態において、上記ヒトVH 遺伝子セグメントのレパ
様々な実施形態において、上記抗原に対して特異的な逆
ートリーは、内因性非ヒトVH 遺伝子セグメントの遺伝
キメラ齧歯動物−ヒト抗体を産生するマウスから単離さ
子座にある。1つの実施形態において、上記ヒトVH 遺
れる少なくとも1つの細胞は、脾細胞またはB細胞であ
伝子セグメントのレパートリーは、内因性VH 遺伝子セ
る。
グメントの遺伝子座ではない遺伝子座にある。1つの実
【0261】
施形態において、上記ヒトVH 遺伝子セグメントはヒト
様々な実施形態において、上記抗体は、モノクローナル
DセグメントおよびヒトJセグメントと共に再構成して
抗体である。
、ヒト配列および齧歯動物配列(例えば、マウス配列ま
【0262】
たはラット配列またはハムスター配列)から選択される
様々な実施形態において、上記抗体は、再構成ヒトVH
定常領域配列に作動可能に連結された再構成ヒトVDJ
1−69遺伝子セグメントまたはヒトVH 1−2遺伝子 50
遺伝子を形成する。1つの実施形態において、上記定常
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領域配列は、CH 1、ヒンジ、CH 2、CH 3、および
となる抗原に特異的に結合するヒト重鎖可変領域をコー
その組み合わせから選択される配列を含む;特定の実施
ドするヌクレオチド配列を、上記二重特異性抗体の作製
形態において、上記定常領域配列は、CH 1、ヒンジ、
において使用する工程とを含む。特定の実施形態におい
CH 2、およびCH 3を含む。1つの実施形態において
て、上記ヒト重鎖可変領域は、再構成VH 1−2または
、上記ヒト可変ドメインおよび上記定常配列を、同じマ
VH 1−69遺伝子セグメントを含む。
ウスから得られる同種のヒト軽鎖可変ドメイン(例えば
【0271】
、上記ヒト可変ドメイン配列と同じB細胞から得られる
1つの実施形態において、工程(a)∼(c)を、1回
配列)と共に哺乳動物細胞内で発現させる;1つの実施
目は、第一のヒト重鎖可変領域配列を生成するために、
形態において、次いで、上記マウスから得られるヒト軽
第一の対象となる抗原に対して実施し、工程(a)∼(
鎖可変ドメインをコードする配列を、ヒト軽鎖定常配列 10
c)を、2回目は、第二のヒト重鎖可変領域配列を生成
をコードする配列と融合させ、上記軽鎖配列および上記
するために、第二の対象となる抗原に対して実施し、第
重鎖配列を哺乳動物細胞内で発現させる。
一のヒト重鎖定常領域と融合された上記第一のヒト重鎖
【0266】
可変領域配列を発現させて、第一のヒト重鎖を形成し、
1つの態様では、対象となる抗原に結合する抗体重鎖可
第二のヒト重鎖定常領域と融合された上記第二のヒト重
変ドメインを作製するための方法であって、単一の細胞
鎖可変領域配列を発現させて、第二のヒト重鎖を形成し
内で、(a)本明細書に記載の免疫した非ヒト動物の第
、上記第一のヒト重鎖および上記第二のヒト重鎖を、再
一のVH 配列であって、CH 遺伝子配列と融合された第
構成ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ
一のVH 配列、および(b)本明細書に記載の免疫した
3−20遺伝子セグメントから発現される単一のヒト軽
非ヒト動物のVL 遺伝子配列であって、ヒトCL 遺伝子
鎖の存在下で発現させる。特定の実施形態において、上
配列と融合されたVL 遺伝子配列を発現させる工程と; 20
記単一のヒト軽鎖は、生殖細胞系配列を含む。
上記細胞を、抗体を発現させるのに十分な条件下で維持
【0272】
する工程と;上記抗体重鎖可変ドメインを単離する工程
1つの実施形態において、上記方法は、(a)第一の対
とを含む方法を提供する。1つの実施形態において、V
象となる抗原に曝露された本明細書に記載の非ヒト動物
L
遺伝子配列は、第一のVH 配列と同種である。
のB細胞、および同じ非ヒト動物、または遺伝的に同じ
【0267】
で第二の対象となる抗原に曝露された異なる非ヒト動物
1つの実施形態において、上記細胞は、本明細書に記載
のB細胞から重鎖可変領域をクローニングする工程と、
の免疫した非ヒト動物の第二のVH 遺伝子配列を含み、
(b)(a)の上記重鎖可変領域を、上記同じ重鎖定常
上記第二のVH 遺伝子配列は、CH 遺伝子配列と融合さ
領域および上記同じ軽鎖と共に細胞内で発現させて、二
れ、上記第一のVH 遺伝子配列は、第一のエピトープに
重特異性抗体を作製する工程とを含む。
特異的に結合するVH ドメインをコードし、上記第二の 30
【0273】
VH 遺伝子配列は、第二のエピトープに特異的に結合す
1つの態様では、ヒト重鎖可変ドメインをコードする核
るVH ドメインをコードし、上記第一のエピトープと上
酸配列を得るための、本明細書に記載の非ヒト動物の使
記第二のエピトープとが同一でない。
用を提供する。1つの実施形態において、上記重鎖可変
【0268】
ドメインは、VH 1−2、およびVH 1−69から選択
1つの実施形態において、上記定常領域配列は、すべて
される再構成ヒトVH 遺伝子セグメントを含む。
のヒト定常領域配列である。
【0274】
【0269】
1つの態様では、ヒト重鎖可変ドメインをコードする細
1つの態様では、ヒト二重特異性抗体を作製するための
胞を得るための、本明細書に記載の非ヒト動物の使用を
方法であって、本明細書に記載の非ヒト動物のB細胞の
提供する。1つの実施形態において、上記重鎖可変ドメ
ヒト可変領域遺伝子配列を用いて二重特異性抗体を作製 40
インは、VH 1−2、およびVH 1−69から選択され
する工程を含む方法を提供する。
る再構成ヒトVH 遺伝子セグメントを含む。
【0270】
【0275】
1つの実施形態において、上記方法は、(a)対象とな
1つの態様において、ヒト抗体可変ドメインを作製する
る抗原に曝露されて上記対象となる抗原に対する免疫応
ための、本明細書に記載の非ヒト動物の使用を提供する
答を発生するようにされた非ヒト動物のクローン選択リ
。1つの態様において、ヒト抗体を作製するための、本
ンパ球を同定する工程であって、上記リンパ球が、上記
明細書に記載の非ヒト動物の使用を提供する。1つの実
対象となる抗原に特異的に結合する抗体を発現する工程
施形態において、上記ヒト抗体は、ヒト二重特異性抗体
と、(b)上記リンパ球または上記抗体から、上記対象
である。様々な実施形態において、上記可変ドメインお
となる抗原に特異的に結合するヒト重鎖可変領域をコー
よび/または上記抗体は、VH 1−2およびVH 1−6
ドするヌクレオチド配列を得る工程と、(c)上記対象 50
9から選択される再構成ヒトVH 遺伝子セグメントを含
( 35 )
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む。
減させるまたは除去する。
【0276】
【0282】
1つの態様において、ヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメ
1つの実施形態では、上記核酸配列を上記マウスのゲノ
インを選択するための、本明細書に記載の非ヒト動物の
ムの異所位置に組み込む。1つの実施形態では、上記核
使用を提供する。1つの実施形態において、上記重鎖可
酸配列を上記マウスのゲノムの内因性免疫グロブリン遺
変ドメインは、VH 1−2およびVH 1−69から選択
伝子座に組み込む。特定の実施形態において、上記内因
される再構成ヒトVH 遺伝子セグメントを含む。
性免疫グロブリン遺伝子座は、重鎖遺伝子座である。1
【0277】
つの実施形態では、上記核酸配列を上記マウスのゲノム
1つの態様では、機能的内因性マウスADAM6配列が
の内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の位置に組み込む
無いマウスに異所性ADAM6配列を導入するための、 10
。
本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は、
【0283】
本明細書に記載のマウスと、該機能的内因性マウスAD
1つの態様では、ヒト疾患または障害の処置のために、
AM6配列が無いマウスとを交配させることを含む。
薬物(例えば、抗原結合タンパク質)を製造するための
【0278】
、または薬物(例えば、抗原結合タンパク質)の可変配
1つの態様では、異所性ADAM6配列を有するマウス
列をコードする配列を製造するための、本明細書に記載
を作製するための、本明細書に記載のマウスからの遺伝
のマウスの使用を提供する。1つの実施形態において、
子材料の使用を提供する。1つの実施形態において、上
医薬の上記可変配列は、多型ヒトVH 遺伝子セグメント
記使用は、本明細書に記載のマウスの細胞の核を使用す
を含む。1つの実施形態において、医薬の上記可変配列
る核移植を含む。1つの実施形態において、上記使用は
は、ヒトVH 1−69遺伝子セグメントを含む。1つの
、本明細書に記載のマウスの細胞を、該細胞に由来する 20
実施形態において、医薬の上記可変配列は、ヒトVH 1
動物を産生するためにクローングすることを含む。1つ
−2遺伝子セグメントを含む。
の実施形態において、上記使用は、上記異所性ADAM
【0284】
6配列を含むマウスを作製するためのプロセスにおける
1つの態様では、本明細書に記載のマウスにおいて作製
、本明細書に記載のマウスの精子または卵子の利用を含
される免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸構
む。
築物を提供する。1つの実施形態において、上記可変ド
【0279】
メインは、重鎖可変ドメインである。特定の実施形態に
1つの態様では、改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含
おいて、上記重鎖可変ドメインは、VH 1−2、VH 1
む妊性雄マウスを作製するための方法であって、内因性
−69、VH 2−26、VH 2−70、またはVH 3−
免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含む第一のマウス
23から選択されるヒトVH 遺伝子セグメントを含む。
生殖細胞を、雄マウスにおいて機能的であるADAM6 30
もう1つの特定の実施形態において、上記重鎖可変ドメ
遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは
インは、ヒトVH 1−2遺伝子セグメントを含む。もう
断片を含む第二のマウス生殖細胞で受精させる工程;受
1つの特定の実施形態において、上記重鎖可変ドメイン
精細胞を形成する工程;上記受精細胞を胚へと発生させ
は、ヒトVH 1−69遺伝子セグメントを含む。
る工程;および代理母において上記胚を妊娠させてマウ
【0285】
スを得る工程を含む方法を提供する。
1つの実施形態において、上記可変ドメインは、軽鎖可
【0280】
変ドメインである。特定の実施形態において、上記可変
1つの実施形態において、上記受精は、雄マウスと雌マ
ドメインは、再構成ヒトVH 1−69遺伝子セグメント
ウスを交配させることによって達成される。1つの実施
を含むヒト重鎖可変ドメインと同種のκ軽鎖可変ドメイ
形態では、上記雌マウスが上記ADAM6遺伝子または
ンである。特定の実施形態において、上記可変ドメイン
そのオルソログもしくはホモログもしくは断片を含む。 40
は、再構成ヒトVH 1−2遺伝子セグメントを含むヒト
1つの実施形態では、上記雄マウスが上記ADAM6遺
重鎖可変ドメインと同種のκ軽鎖可変ドメインである。
伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断
【0286】
片を含む。
1つの態様では、ヒト免疫グロブリン可変ドメインをコ
【0281】
ードする核酸構築物を作製するための、本明細書に記載
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を
のマウスの使用を提供する。1つの実施形態において、
含むゲノムを有するマウスの妊性を回復させるまたは強
上記可変ドメインは、軽鎖可変ドメインである。1つの
化するための、マウスADAM6タンパク質またはその
実施形態において、上記可変ドメインは、Vκ4−1、
オルソログもしくはホモログまたは対応するADAM6
Vκ5−2、Vκ7−3、Vκ2−4、Vκ1−5、V
タンパク質の機能的断片をコードする核酸配列の使用を
κ1−6、Vκ3−7、Vκ1−8、Vκ1−9、Vκ
提供し、この場合の改変は、内因性ADAM6機能を低 50
2−10、Vκ3−11、Vκ1−12、Vκ1−13
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、Vκ2−14、Vκ3−15、Vκ1−16、Vκ1
に禁止されていない限り、様々な態様および実施形態を
−17、Vκ2−18、Vκ2−19、Vκ3−20、
併用することができる。
Vκ6−21、Vκ1−22、Vκ1−23、Vκ2−
【図面の簡単な説明】
24、Vκ3−25、Vκ2−26、Vκ1−27、V
【0291】
κ2−28、Vκ2−29、Vκ2−30、Vκ3−3
【図1】図1は、単一のヒトVH 1−69遺伝子セグメ
1、Vκ1−32、Vκ1−33、Vκ3−34、Vκ
ント、27のヒトDH 遺伝子セグメント、および6のヒ
1−35、Vκ2−36、Vκ1−37、Vκ2−38
トJH 遺伝子セグメントを、内因性免疫グロブリン重鎖
、Vκ1−39、およびVκ2−40から選択される再
遺伝子座において含有する改変重鎖遺伝子座を構築する
構成ヒトVκ遺伝子セグメントを含むκ軽鎖可変ドメイ
ンである。
ためのターゲティングベクターを作製するために使用さ
10
れる、一連のターゲティング工程および分子操作工程の
【0287】
一般説明図(縮尺不定)を示すものである。
1つの実施形態において、上記可変ドメインは、重鎖可
【0292】
変ドメインである。特定の実施形態において、上記重鎖
【図2】図2は、単一のヒトVH 1−2遺伝子セグメン
可変ドメインは、VH 1−2、VH 1−69、VH 2−
ト、27のヒトDH 、および6のヒトJH 遺伝子セグメ
26、VH 2−70、またはVH 3−23から選択され
ントを、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において含
る再構成ヒトVH 遺伝子セグメントを含む。特定の実施
有する改変重鎖遺伝子座を構築するためのターゲティン
形態において、上記重鎖可変ドメインは、再構成ヒトV
グベクターを作製するために使用される、一連のターゲ
1−69遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態に
ティング工程および分子操作工程の一般説明図(縮尺不
H
おいて、上記重鎖可変ドメインは、再構成ヒトVH 1−
2遺伝子セグメントを含む。
定)を示すものである。
20
【0293】
【0288】
【図3】図3は、単一のヒトVH 1−69遺伝子セグメ
1つの態様では、ヒト免疫グロブリン可変ドメインを作
ント、27のヒトDH 、6のヒトJH 遺伝子セグメント
製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供す
、およびマウスADAM6をコードする異所性ゲノム断
る。1つの実施形態において、上記可変ドメインは、軽
片を、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において含有
鎖可変ドメインである。1つの実施形態において、上記
する改変重鎖遺伝子座を構築するためのターゲティング
可変ドメインは、Vκ4−1、Vκ5−2、Vκ7−3
ベクターを作製するために使用される、一連のターゲテ
、Vκ2−4、Vκ1−5、Vκ1−6、Vκ3−7、
ィング工程および分子操作工程の一般説明図(縮尺不定
Vκ1−8、Vκ1−9、Vκ2−10、Vκ3−11
)を示すものである。
、Vκ1−12、Vκ1−13、Vκ2−14、Vκ3
【0294】
−15、Vκ1−16、Vκ1−17、Vκ2−18、 30
【図4】図4は、単一のヒトVH 1−2遺伝子セグメン
Vκ2−19、Vκ3−20、Vκ6−21、Vκ1−
ト、27のヒトDH 、6のヒトJH 遺伝子セグメント、
22、Vκ1−23、Vκ2−24、Vκ3−25、V
およびマウスADAM6をコードする異所性ゲノム断片
κ2−26、Vκ1−27、Vκ2−28、Vκ2−2
を、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において含有す
9、Vκ2−30、Vκ3−31、Vκ1−32、Vκ
る改変重鎖遺伝子座を構築するためのターゲティングベ
1−33、Vκ3−34、Vκ1−35、Vκ2−36
クターを作製するために使用される、一連のターゲティ
、Vκ1−37、Vκ2−38、Vκ1−39、および
ング工程および分子操作工程の一般説明図(縮尺不定)
Vκ2−40から選択される再構成ヒトVκ遺伝子セグ
を示すものである。
メントを含むκ軽鎖可変ドメインである。
【0295】
【0289】
【図5】図5は、ヒトVH 1−69遺伝子について報告
1つの実施形態において、上記可変ドメインは、重鎖可 40
される13の対立遺伝子の各々について、第二のエクソ
変ドメインである。特定の実施形態において、上記重鎖
ンのヌクレオチドアライメントを示す図である。小文字
可変ドメインは、VH 1−2、VH 1−69、VH 2−
の塩基は、生殖細胞系の対立遺伝子間のヌクレオチド差
26、VH 2−70、またはVH 3−23から選択され
違を示す。相補性決定領域(CDR)は、配列の周りの
る再構成ヒトVH 遺伝子セグメントを含む。特定の実施
ボックスで示す。ダッシュは、適正な配列アライメント
形態において、上記重鎖可変ドメインは、再構成ヒトV
のための人為的ギャップを示す。VH 1−69*01(
1−69遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態に
配列番号37);VH 1−69*02(配列番号39)
おいて、上記重鎖可変ドメインは、再構成ヒトVH 1−
;VH 1−69*03(配列番号41);VH 1−69
2遺伝子セグメントを含む。
*04(配列番号43);VH 1−69*05(配列番
【0290】
号45);VH 1−69*06(配列番号47);VH
特に明確な注記がない限り、または併用が文脈上明らか 50
1−69*07(配列番号49);VH 1−69*08
H
( 37 )
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(配列番号51);VH 1−69*09(配列番号53
示す。相補性決定領域(CDR)は、配列の周りのボッ
);VH 1−69*10(配列番号55);VH 1−6
クスで示す。ダッシュは、適正な配列アライメントのた
9*11(配列番号57);VH 1−69*12(配列
めの人為的ギャップを示す。VH 1−2*01(配列番
番号59);VH 1−69*13(配列番号61)。
号64);VH 1−2*02(配列番号66);VH 1
【0296】
−2*03(配列番号68);VH 1−2*04(配列
【図6】図6は、ヒトVH 1−69遺伝子について報告
番号70);VH 1−2*05(配列番号72)。
される13の対立遺伝子の各々について、成熟重鎖可変
【0300】
遺伝子配列のタンパク質アライメントを示す図である。
【図10】図10は、ヒトVH 1−2遺伝子について報
小文字のアミノ酸は、生殖細胞系の対立遺伝子間の差違
告される5つの対立遺伝子の各々について、成熟可変遺
を示す。相補性決定領域(CDR)は、配列の周りのボ 10
伝子のアラインメントされたタンパク質配列のための、
ックスで示す。ダッシュは、適正な配列アライメントの
同一性パーセント/類似性パーセントマトリクスを示す
ための人為的ギャップを示す。VH 1−69*01(配
図である。VH 1−2対立遺伝子間の同一性パーセント
列番号38);VH 1−69*02(配列番号40);
は、影を付したボックスの上方に示し、類似性パーセン
VH 1−69*03(配列番号42);VH 1−69*
トは、影を付したボックスの下方に示す。同一性パーセ
04(配列番号44);VH 1−69*05(配列番号
ントおよび類似性パーセントのスコアは、MacVec
46);VH 1−69*06(配列番号48);VH 1
torソフトウェア(MacVector,Inc.、
−69*07(配列番号50);VH 1−69*08(
North
配列番号52);VH 1−69*09(配列番号54)
lW(V1.83)アライメントツールによりスコア付
;VH 1−69*10(配列番号56);VH 1−69
けした。
*11(配列番号58);VH 1−69*12(配列番 20
【発明を実施するための形態】
号60);VH 1−69*13(配列番号62)。
【0301】
【0297】
詳細な説明
【図7】図7は、ヒトVH 1−69遺伝子について報告
本発明は、記載する特定の方法および実験条件に限定さ
される13の対立遺伝子の各々について、成熟可変遺伝
れない。かかる方法および条件は変わることがあるから
子のアラインメントされたタンパク質配列のための、同
である。本発明の範囲を特許請求の範囲によって定義す
一性パーセント/類似性パーセントマトリクスを示す図
るので、本明細書において用いる専門用語は、特定の実
である。VH 1−69の対立遺伝子間の同一性パーセン
施形態を説明することのみを目的としたものであり、限
トは、影を付したボックスの上方に示し、類似性パーセ
定することを意図したものではないことを理解されたい
ントは、影を付したボックスの下方に示す。同一性パー
。
セントおよび類似性パーセントのスコアは、MacVe 30
【0302】
ctorソフトウェア(MacVector,Inc.
別様に定義しない限り、本明細書において用いるすべて
、North
Carolina)を用いるClust
の用語および句は、その用語または句が用いられている
alW(v1.83)アライメントツールによりスコア
文脈から相反することが明確に指摘されるまたは明確に
付けした。
分かる場合を除き、その用語および句が当該技術分野に
【0298】
おいて獲得している意味を含む。本明細書に記載するも
【図8】図8は、ヒトVH 1−2遺伝子について報告さ
のに類似したまたは等価の任意の方法および材料を本発
れる5つの対立遺伝子の各々について、第二のエクソン
明の実施または試験に用いることができるが、今は特定
のヌクレオチドアライメントを示す図である。小文字の
の方法および材料を記載する。
塩基は、生殖細胞系の対立遺伝子間のヌクレオチド差違
【0303】
を示す。相補性決定領域(CDR)は、配列の周りのボ 40
遺伝子セグメントの量を指すために用いるときの句「実
ックスで示す。ダッシュは、適正な配列アライメントの
質的な」または「実質的に」(例えば、「実質的にすべ
ための人為的ギャップを示す。VH 1−2*01(配列
ての」V遺伝子セグメント)は、機能的遺伝子セグメン
番号63);VH 1−2*02(配列番号65);VH
トと非機能的遺伝子セグメントの両方を含み、および様
1−2*03(配列番号67);VH 1−2*04(配
々な実施形態において、例えば、すべての遺伝子セグメ
列番号69);VH 1−2*05(配列番号71)。
ントの80%以上、85%以上、90%以上、95%以
【0299】
上、96%以上、97%以上、98%以上または99%
【図9】図9は、ヒトVH 1−2遺伝子について報告さ
以上を含む;様々な実施形態において、「実質的にすべ
れる5つの対立遺伝子の各々について、成熟重鎖可変遺
ての」遺伝子セグメントは、例えば、機能的(すなわち
伝子配列のタンパク質アライメントを示す図である。小
、非偽遺伝子)遺伝子セグメントの少なくとも95%、
文字のアミノ酸は、生殖細胞系の対立遺伝子間の差違を 50
96%、97%、98%または99%を含む。
Carolina)を用いるClusta
( 38 )
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【0304】
ックアウト・プラス・トランスジェニックヒト化(kn
用語「置換」は、ゲノム内の配列を該ゲノム配列の遺伝
ockout−plus−transgenic
子座において異種配列(例えば、マウスにおけるヒト配
manization)」戦略によりマウス遺伝子をヒ
列)で置換するようなやり方でDNA配列を細胞のゲノ
ト化する努力は、上記内因性遺伝子の欠失(すなわち、
ムに配置する場合のものを含む。そのようにして配置さ
ノックアウト)を保有するマウスとランダムに組み込ま
れたDNAは、そのようにして配置された配列を得るた
れたヒト導入遺伝子を保有するマウスとの交配を必要と
めに使用した源DNAの一部である1つ以上の調節配列
した(例えば、Brilら、2006、Toleran
(例えば、プロモーター、エンハンサー、5’または3
ce
’非翻訳領域、適切な組換えシグナル配列など)を含み
ansgenic
得る。例えば、様々な実施形態において、上記置換は、 10
to factor
human
VIII
mouse
factor
in a
tr
expressing
VIII
cDNA
そのように置かれた(placed)DNA配列(異種
arrying
配列を含む)から遺伝子産物の産生をもたらす結果とな
s substitution、Thromb
る、異種配列に代えての内因性配列の置き換えであり、
most
該内因性配列の発現ではない;上記置換は、内因性ゲノ
、2006、Production
ム配列の、該内因性ゲノム配列によってコードされてい
acterization
るタンパク質と類似の機能を有するタンパク質をコード
dels
するDNA配列による置換である(例えば、上記内因性
ediate
ゲノム配列は、免疫グロブリン遺伝子またはドメインを
disease、BMC
コードしており、上記DNA断片は、一つ以上のヒト免
3;Jamsaiら、2006、A
疫グロブリン遺伝子またはドメインをコードする)。様 20
d BAC
々な実施形態において、内因性遺伝子またはその断片は
an
hu
Arg(593)
to
c
Cy
Hae
95:341−347;Homanicsら
of murine
of classic
maple
and char
mo
andinterm
syrup
urine
Med Genet
7:3
humanize
transgenic/knockout
mouse
model
for
HbE/beta
、対応するヒト遺伝子またはその断片で置換される。対
−thalassemia、Genomics
応するヒト遺伝子またはその断片は、置換される内因性
3):309−15;Panら、2006、Diffe
遺伝子もしくは断片のオルソログである、置換される内
rent
role
因性遺伝子もしくは断片のホモログである、または置換
uman
CD3delta/epsilon
される内因性遺伝子もしくは断片と構造および/もしく
erodimerin
は機能の点で実質的に同一もしくは同じである、ヒト遺
ptor(preTCR)function:huma
伝子または断片である。
n CD3delta/epsilon
hetero
【0305】
dimer
defect
遺伝モデルとしてのマウスは、トランスジェニックおよ 30
ive
びノックアウト技術によって大きく向上され、これらの
3gamma−
技術により特定の遺伝子の指向性過発現または欠失の効
−deficient
果の研究が可能になった。あらゆるその利点にもかかわ
ol
らず、上記マウスは、マウスをヒト疾患についての不完
らの努力は、サイズ制限によって妨げられた;従来のノ
全なモデルにならしめるおよびヒト治療薬を試験するま
ックアウト技術は、大きなマウス遺伝子を該遺伝子の大
たはそれらを作製するための不完全なプラットホームに
きなヒトゲノムカウンターパートで直接置換するのに十
ならしめる遺伝的障害をやはり提示する。第一に、ヒト
分なものではなかった。該マウス遺伝子の同じまさにそ
遺伝子の約99%はマウスホモログを有する(Wate
の遺伝子の場所で(すなわち内因性マウス遺伝子座で)
rstonら、2002、Initial
ヒトカウンターパート遺伝子により内因性マウス遺伝子
ncing
and
lysis
of
、Nature
seque
comparative
the
mouse
ana 40
for mouse
preTCR
and
preT cell
restores
the
function
and
88(
h
het
rece
in
CD
CD3gammadelta
mice、Mol
Immun
43:1741−1750参照)。しかし、これ
を直接置換する直接相同置換の直接的なアプローチは、
genome
技術的な難しさのため、滅多に試みられない。今まで、
420:520−562)が、可能性
直接置換に対する努力は手の込んだ厄介な手順を必要と
のある治療薬は、多くの場合、所期のヒト標的のマウス
し、それ故、取り扱うことができる遺伝子材料の長さお
オルソログと交叉反応することができない、または不適
よび操作することができる精度が限定された。
切に交叉反応する。この問題を未然に防ぐために、選択
【0306】
標的遺伝子を「ヒト化」することができる、すなわち、
外因的に導入されたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、
マウス遺伝子を除去して、対応するオルソロガスヒト遺
マウスの前駆体B細胞内で再構成する(Altら、19
伝子配列により置換することができる(例えば、米国特
85、Immunoglobulin
許第6,586,251号、同第6,596,541号
n transgenic
および同第7,105,348号明細書)。最初、「ノ 50
Genet
genes
i
mice、Trends
1:231−236)。この発見は、ヒト
( 39 )
JP
75
2015-519076
A
2015.7.9
76
抗体を発現させるためにノックアウト・プラス・トラン
antibodies
スジェニックアプローチを用いるマウスの工学的作製に
c animals、Nat
活用された(Greenら、1994、Antigen
23:1117−1125;Makerら、2005、
−specific
Tumor
l
human
antibodies
gineered
monoclona
from
mice
en
light
chain
YACs、
ocyte−associated
7:13−21;Lonberg
ら、1994、Antigen−specific
antibodies
comprising
genetic
from
four
h
n 2:a
distinct
in
368:856−859;Jakobovi
XenoMouse
echnology
to
the
fully
first
product
from
mice、Nat
antigen
I/II
Oncol
study、An
12:1005−1016
postmenopausal
ith
t
low bone
ity、New
panitumumab,
human
lymph
and interleuki
phase
n Surg
trea
;McClungら、2006、Denosumab
modifications、Na
tsら、2007、From
with cytotoxicT
4 blockade
mice 10
and auto
patients
ted
Genet
enic
in
Ig he
and
ibody
regression
immunity
human
Nat
ture
Biotechnol
with
avy
uman
from transgeni
women
mineral
Engl
J Med
w
dens
354:82
1−831)。しかし、上で論じたように、これらのマ
ant
ウスは、野生型マウスと比較して、損なわれたB細胞発
transg
生および免疫不全を示す。かかる問題は、活発な体液性
Biotechnol
応答を維持するおよびしたがって一部の抗原に対する完
25:1134−1143)。マウス免疫グロブリン重
全ヒト抗体を産生するマウスの能力を潜在的に制限する
鎖およびκ軽鎖遺伝子座は、これらのマウスにおいて、 20
。上記不全は、
各内因性遺伝子座の小さいが重大な部分の標的欠失、続
ヒト免疫グロブリン導入遺伝子のランダムな導入に起因
いて、上に記載したようなランダムに組み込まれた大き
する不十分な機能性、ならびに上流および下流制御要素
な導入遺伝子としての、またはミニ染色体としてのヒト
の欠如に起因する結果としての不正確な発現(Garr
免疫グロブリン遺伝子遺伝子座の導入により不活性化さ
ettら、2005、Chromatin
れた(Tomizukaら、2000、Double
tecture
trans−chromosomic
mice:
aintenance
individ
ual
human
of
ments
and
two
chromosome
containing
kappa
ssion
of
loci
fully
bodies、PNAS
Ig
m
3’end
frag
of
and
expre 30
human
histone
anti
t and
locus in
regulation
modifications
B−Cell
in vivo
t CTCF
USA 97:722−72
IgH
modular
during
archi
a potential
of the
volves
heavy
near
developmen
occupancy
sites、Mol
a
Cell Bio
l 25:1511−1525;Manisら、200
7)。かかるマウスは、遺伝子工学の重要な前進を象徴
3、Elucidation
of
a
した;それらから単離された完全ヒトモノクローナル抗
ream
of
the 3’Ig
体は、様々なヒト疾患の処置に有望な治療的可能性をも
H regulatory
たらした(Gibsonら、2006、Randomi
mmunol
zed
ts
phase
of
ic
region、Mol
resul
kyら、2006、Identification
fully
f a
anti−epidermal
gro
antibody,in
colorectal
Colorectal
metastat
1;Jakobovitsら、2007;Kimら、2
nding
007、Clinical
A、J
of
the
locus defined
tivity
of PU.1,
5’flan
mouse
I
by pro−B
hypersensi
associated
Immunol
o
regulatory
of the
cell−specific
6:29−3
efficacy
within
kingregion
gH
cancer、Clin
Cancer
candidate
element
receptormonocl 40
I
39:753−760;Pawlitz
trial
factor
onal
downst
panitumumab、a
human
wth
III
boundary
with bi
Pax5,andE2
176:6839−6851
zanolimumab(HuMax−CD4):tw
);
o
B細胞の正常な成熟、増殖および生存に要求されるシグ
Phase
ractory
II
studies
cutaneous
lymphoma、Blood
in
ref
T−cell
ナル伝達過程を害し得る、ヒト定常ドメインと細胞表面
109(11):46
55−62;Lonberg、2005、Human
のB細胞受容体シグナル伝達複合体のマウス要素の間の
50
非効率的種間相互作用(Hombachら、1990、
( 40 )
JP
77
components
he
antigen
B−cell
complexof
、Nature
A
2015.7.9
78
Molecular
r
2015-519076
t
)免疫グロブリン配列による挿入または置換を含む遺伝
recepto
子改変動物を作製することができる。上記異種免疫グロ
the IgM
of
class
343:760−762);および
ブリン重鎖配列が由来する種は多種多様であり得、免疫
グロブリン軽鎖配列置換に利用される免疫グロブリン軽
親和性選択(Raoら、2002、Different
鎖配列、または免疫グロブリン軽鎖導入遺伝子に関して
ial
も多種多様であり得る。例示的な異種免疫グロブリン重
expressionof
bitory
IgG
gammaRIIB
ter
or
Fc
on
cells:
inhi
receptor
germinal
Fc
cen
implications
selection
nity
the
of
B cells、J
f
high−affi 10
【0308】
様々な実施形態において、免疫グロブリン可変領域核酸
配列、例えば、V、Dおよび/またはJセグメントは、
16
ヒトまたは非ヒト動物から得られる。V、Dおよび/ま
9:1859−1868)および免疫グロブリン血清濃
たはJセグメントの供給に好適な非ヒト動物としては、
度(Brambellら、1964、A
Theore
例えば、硬骨魚、軟骨魚、例えばサメおよびエイ、両生
of Gamma−Glob
類、爬虫類、哺乳類、鳥類(例えば、ニワトリ)が挙げ
tical
ulin
Model
Immunol
鎖配列としては、ヒト配列が挙げられる
Catabolism、Nature
3:1352−1354;Junghans
Anderson、1996、The
ion
receptor
bolism
is
for
the
protect
IgG
intestinal
られる。非ヒト動物としては、例えば、哺乳類が挙げら
れる。哺乳類としては、例えば、非ヒト霊長類、ヤギ、
ヒツジ、ブタ、イヌ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、
cata
バッファロー)、シカ、ラクダ、フェレットおよび齧歯
beta2−micro
動物および非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、オラ
globulin−containing
tal
20
and
neona 20
transport
receptor、PNASUSA
ンウータン、ゴリラ、マーモセット、アカゲザル、ヒヒ
)が挙げられる。好適な非ヒト動物は、ラット、マウス
93:5512−
およびハムスターを含む齧歯動物のファミリーから選択
5516;Raoら、2002;Hjelmら、200
される。1つの実施形態において、上記非ヒト動物はマ
6、Antibody−mediated
regul
ウスである。この文脈から明白であるように、様々な非
ation
immune
respo
ヒト動物(例えば、サメ、エイ、哺乳類、例えば、ラク
Immunol
64:17
ダ、齧歯動物、例えばマウスおよびラット)を可変ドメ
Rave
インまたは可変領域遺伝子セグメントの源として使用す
of
the
nse、Scand
J
7−184;Nimmerjahn
and
tch、2007、Fc−receptors
regulators
v
Immunol
of
as
immunity、Ad
96:179−204)を低減さ 30
ることができる。
【0309】
上記文脈によると、非ヒト動物は、可変配列またはセグ
せ得る、可溶性ヒト免疫グロブリンとマウスFc受容体
メントと併用される定常領域配列の源としても使用され
の間の非効率的種間相互作用に起因し得る。これらの不
る。例えば、ヒトまたは非ヒト可変配列に作動可能に連
全は、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座におけるその天然
結される導入遺伝子(例えば、齧歯動物、例えばマウス
の場所の中のマウス免疫グロブリン遺伝子座の可変領域
もしくはラットもしくはハムスター、定常配列に作動可
のみのin
situヒト化によって修正することがで
能に連結されたヒトまたは非ヒト霊長類可変配列)にお
きる。これは、マウス定常領域の保持に基づきマウス環
いて齧歯動物定常配列を使用することができる。したが
境で正常な相互作用および選択が可能であろう「逆キメ
って、様々な実施形態において、ヒトV、Dおよび/ま
ラ」(すなわち、ヒトV:マウスC)抗体を作製するマ
たはJセグメントを齧歯動物(例えば、マウスまたはラ
ウスを有効に生じさせる結果となるであろう。この方法
ットまたはハムスター)定常領域遺伝子配列に作動可能
を用いることにより、所望のキメラ遺伝子座の複雑性に 40
に連結させる。一部の実施形態では、上記ヒトV、Dお
基づいて、ヒト化遺伝子座の特定のバージョンを構築す
よび/またはJセグメント(または1つ以上の再構成V
ることができる。さらに、かかる逆キメラ抗体は、治療
DJもしくはVJ遺伝子)を、例えば内因性免疫グロブ
のために完全ヒト抗体に容易に再配列することができる
リン遺伝子座ではない遺伝子座に組み込まれる導入遺伝
。
子におけるマウス、ラットまたはハムスター定常領域遺
【0307】
伝子配列に作動可能に連結または融合させる。
内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座における挿入または
【0310】
置換と共に、または免疫グロブリン軽鎖導入遺伝子(例
特定の実施形態において、内因性免疫グロブリン重鎖遺
えば、キメラ免疫グロブリン軽鎖導入遺伝子もしくは完
伝子座におけるVH 、DH およびJH 遺伝子セグメント
全ヒト完全マウスなど)と共に、上記内因性免疫グロブ
の、単一のヒトVH 、1つ以上のDH および1つ以上の
リン重鎖遺伝子座における異種(例えば、別の種からの 50
JH 遺伝子セグメントによる置換を含み、該単一のヒト
( 41 )
JP
79
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A
2015.7.9
80
VH 、1つ以上のDH および1つ以上のJH 遺伝子セグ
せる結果となる場合がある。マウス免疫グロブリン重鎖
メントが、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子に作動可能
遺伝子座における一部の改変は有害である。有害な改変
に連結されているものであるマウスを提供し、この場合
としては、例えば、改変されたマウスの交配および子孫
のマウスは、内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝
産生能力の喪失を挙げることができる。様々な実施形態
子座に導入遺伝子を含み、該導入遺伝子は、マウスまた
において、マウスゲノム内におけるヒト免疫グロブリン
はラットまたはヒト定常領域に作動可能に連結された非
配列の操作は、改変マウス系統に無いと有害な内因性配
再構成または再構成ヒトVL およびヒトJL 遺伝子セグ
列を維持する方法を含む。例示的な有害効果としては、
メントを含む。様々な実施形態において、上記単一のヒ
改変系統の繁殖不能、必須遺伝子の機能喪失、ポリペプ
トVH 遺伝子セグメントは、多型遺伝子セグメントであ
チドの発現不能などを挙げることができる。かかる有害
る。1つの実施形態において、上記単一のヒトVH 遺伝 10
効果は、上記マウスゲノムに行われる改変に直接的また
子セグメントは、ヒトVH 1−69遺伝子セグメントま
は間接的に関係する場合がある。
たはヒトVH 1−2遺伝子セグメントである。
【0314】
【0311】
免疫グロブリン遺伝子座がヒト化されたマウスにおいて
子孫を産生するマウスの能力を維持しながら、限定され
観察される野生型に近い体液性免疫機能にもかかわらず
たヒト生殖細胞系免疫グロブリン重鎖遺伝子座での、マ
、ランダムに組み込まれた導入遺伝子を利用する一部の
ウス生殖細胞系免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座
アプローチでは遭遇しない、免疫グロブリン配列の直接
のin
situ遺伝子置換、およびヒト生殖細胞系免
置換を利用すると遭遇する他の課題がある。マウスとヒ
疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座での、マウス生殖細胞系免
トの間の免疫グロブリン遺伝子座の遺伝子組成の相違は
疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座のin
、免疫グロブリン遺伝子セグメントが置換されたマウス
sit
u遺伝子置換のための方法を記載する。具体的には、上 20
の繁殖にとって有益な配列の発見をもたらした。具体的
記マウス定常領域をインタクトで残しながら、6メガ塩
には、上記内因性免疫グロブリン遺伝子座内にあるマウ
基のマウス重鎖およびκ軽鎖免疫グロブリン可変遺伝子
スADAM遺伝子は、妊性におけるその役割のため、免
遺伝子座の両方をヒト免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖
疫グロブリン遺伝子座が置換されたマウスに最適に存在
配列で正確に置換することを記載する。結果として、マ
する。
ウス定常領域を維持しながら、マウスの生殖細胞系免疫
【0315】
グロブリン可変レパートリーすべてがヒト生殖細胞系免
すべてのマウス定常鎖遺伝子および遺伝子座の転写制御
疫グロブリン可変配列で正確に置換されたマウスを生み
領域を含め、ハイブリッド遺伝子座内の隣接するマウス
出した。上記ヒト可変領域をマウス定常領域に連結させ
配列はインタクト、かつ、機能的のままとしながら、6
て、再構成して生理的に適切なレベルで発現するキメラ
メガ塩基のマウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座(VH −
ヒト−マウス免疫グロブリン遺伝子座を形成する。発現 30
DH −JH )可変領域の、限定されたヒト免疫グロブリ
する抗体は、「逆キメラ」である。すなわち、それらは
ン重鎖遺伝子座による、in
ヒト可変領域配列およびマウス定常領域配列を含む。
置換を実施した(図1および図8)。さらに、操作工程
【0312】
を実施して、野生型マウスと幾分同程度に交配して子孫
本明細書に記載の遺伝子改変マウスは、完全に機能的な
を生む能力をマウスに付与するマウス配列を維持した(
体液性免疫系を示し、病原性抗原、例えばウイルス抗原
図9および図10)。具体的には、VELOCIGEN
と闘うために有効である薬学的に許容され得る抗体およ
E(登録商標)遺伝子操作技術(例えば、米国特許第6
び他の抗原結合タンパク質を作製するための自然親和性
,586,251号、およびValenzuelaら、
成熟ヒト免疫グロブリン可変領域配列の豊富な供給源を
2003,High−throughput
engi
neering
geno
提供する。
【0313】
40
me
of
coupled
situにおける正確な
the mouse
with high−reso
マウスゲノム内の正確な位置(例えば、内因性マウス免
lution
expression
疫グロブリン遺伝子座)におけるヒト免疫グロブリンの
s,Nat
操作は、マウスとヒトの間の免疫グロブリン遺伝子座の
59参照)を用いて、キメラBACターゲティングベク
分岐進化のため、一定の課題を提起し得る。例えば、免
ターを介し、単一のヒトVH 遺伝子セグメント、27の
疫グロブリン遺伝子座内に散在する遺伝子間配列は、マ
ヒトDH 遺伝子セグメント、および6のヒトJH 遺伝子
ウスとヒトの間で同一ではなく、一部の状況では、機能
セグメントおよびマウスADAM6遺伝子を、マウスE
的に等価でないこともある。マウスとヒトの間の免疫グ
S細胞に導入した。
ロブリン遺伝子座におけるその相違は、特に内因性マウ
限定された免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメントを
ス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の一定の部分をヒト化ま
有するマウス
たは操作するとき、やはりヒト化マウスに異常を生じさ 50
【0316】
Biotechnol
analysi
21:652−6
( 42 )
JP
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82
限られた数のVH 遺伝子、および1つ以上のD遺伝子お
あり、IgMレベルが野生型の5∼10%であり、Ig
よび1つ以上のJ遺伝子を含む免疫グロブリン遺伝子座
G1レベルは野生型の0.1∼1%に過ぎない。観察さ
を含む非ヒト動物を、それらを作製する方法およびそれ
れたIgMレパートリーは、高度に限定された接合部の
らを用いる方法と同様に、提供する。対象となる抗原で
多様性を明らかにした。完全ヒト重鎖は、大部分が抗原
免疫されると、上記非ヒト動物は、予め限定された選択
をわたって同一のCDR3の長さ、抗原をわたって同じ
VH 遺伝子またはVH 遺伝子のセット(例えば、予め選
JH (JH 2)の使用、および最初の接合部のQ残基を
択されたVH 遺伝子およびその変異体)のみに由来する
提示し、したがって、CDR3の多様性のある程度の欠
抗体の可変領域を有するB細胞集団を生成する。様々な
如を反映する。完全マウスλ軽鎖はほぼすべてが、Jλ
実施形態において、ヒト重鎖可変ドメインであるヒト抗
1内に最初の接合部残基としてのW96L置換を有した
体可変ドメインを、同種のヒト軽鎖可変ドメインと共に 10
。報告によれば、マウスは、細菌性多糖に対するいかな
発現するB細胞集団を生成する非ヒト動物を提供する。
る抗体を生成することもできない。ヒト可変ドメインを
様々な実施形態において、上記非ヒト動物は、非再構成
マウス軽鎖とカップリングさせるため、ヒト可変領域の
非ヒト可変領域配列の、非再構成ヒト可変領域配列によ
有用性は、大きく制限される。
る置換または挿入を含む改変内因性マウス免疫グロブリ
【0319】
ン遺伝子座に由来するヒト重鎖可変遺伝子セグメントお
単一のヒトVH 3−23遺伝子だけ、ヒトDH 遺伝子お
よびヒト軽鎖可変遺伝子セグメントを再構成する。
よびヒトJH 遺伝子、およびマウス軽鎖遺伝子を有する
【0317】
他のマウスが報告されているが、これらは、ヒトVH ド
免疫グロブリン遺伝子の組織化、構造、および機能につ
メインとマウスVL ドメインとの誤対合の可能性(例え
いての初期の研究は、内因性遺伝子座を無能とし、部分
ば、Mageedら、2001,Rearrangem
的なヒト免疫グロブリン遺伝子、例えば、ヒト定常遺伝 20
ent
of the
子と連結されたヒト重鎖遺伝子の部分的なレパートリー
ain
variable
であって、ヒト軽鎖導入遺伝子の存在下または非存在下
V3−23
で、ゲノムにランダムに挿入されたレパートリーを有す
enerates
るトランスジェニック遺伝子座(ランダムに配置された
ive
with a
range
of antig
)を有するように操作されたマウスについて部分的にな
ens
on the
basis
of VH CDR
された。これらのマウスは、有用な高親和性抗体を作製
3 and
するには何らかの点で最適に満たなかったが、免疫グロ
to
ブリン遺伝子座についての特定の機能的な解析を容易と
e region,Clin.Exp.Immunol
した。これらのマウスのうちの一部は、2つもしくは3
.123:1−5参照)に部分的に起因して、多様性の
つ程度、なおまたは単一の重鎖可変遺伝子だけという少 30
制限を呈示する(したがって、有用性の制限も呈示する
数の重鎖可変遺伝子を有した。
)。同様に、ヒトμ定常遺伝子を含有する導入遺伝子内
【0318】
に、ヒトDH 遺伝子およびヒトJH 遺伝子と共に2つの
ランダムに挿入された導入遺伝子(および無能とした内
VH 遺伝子(3−23および6−1)を保有し(Bru
因性免疫グロブリン遺伝子座)上のヒトμ定常遺伝子お
ggemannら、1991,Human
よびヒトγ1定常遺伝子と共に、単一のヒトVH 5−5
ody
1遺伝子および10のヒトDH 遺伝子および6のヒトJ
ic
H
遺伝子に由来する完全ヒト免疫グロブリン重鎖を発現
するマウスが報告されている(Xu
and
s,2000,Diversity
in
the
DR3
Is
Suffi 40
Region
cient
for
of
Most
VH
Davi
Antibody
pecificities,Immunity
C
S
13:
human
in transgenic
antibodies
residues
the heavy
production
of the
human
1
IgH loc
てそれらを発現するマウスは、誤対合によるレパートリ
ーの制限を呈示し得る(Mackworth−Youn
gら、2003,The
in the
role
e human
lin
Jλ1またはVλ2−Jλ2のみ)と共に発現され、κ
region
軽鎖を発現することができない(これらのマウスは、I
nol.134:420−425)。
である)。これらのマウスは、B細胞の発生
from
−1326)、マウス軽鎖を有するヒトIgM鎖におい
る2つの完全マウスλ軽鎖だけのうちの1つ(Vλ1−
−
antib
us,Eur.J.Immmunol.21:1323
ン重鎖は大半が、内因性マウスλ軽鎖遺伝子座に由来す
/
react
intransgen
en
−
miceg
intrinsic
mice:expression
00kb
gene
chainvariabl
37−45)。これらのマウスの完全ヒト免疫グロブリ
gκ
heavy ch
region
V3−23
heavy
of antig
selection
of
th
immunoglobu
chain variable
gene,Clin.Exp.Immu
【0320】
および抗体の発現において重度に異常な機能不全を呈示
また、ゲノム内にランダムに挿入されたヒト導入遺伝子
する。報告によれば、B細胞数が野生型の5∼10%で 50
からVH が限定された完全ヒト重鎖を発現する他のトラ
( 43 )
JP
83
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A
2015.7.9
84
ンスジェニックマウスであって、ランダムに挿入された
遺伝子セグメント(例えば、V遺伝子)の生殖細胞系配
完全ヒト導入遺伝子から発現するヒトλレパートリーが
列におけるバリエーションは、ヒトにおける抗体応答の
制限されたトランスジェニックマウスも報告されている
多様性に寄与する。V遺伝子配列の差違に起因する多様
(例えば、Taylorら、1992,A
trans
性に対する相対的寄与は、V遺伝子間で変化する。多型
expresse
の程度は、遺伝子ファミリーにわたって変化し、ヒト集
of
human
se
団における近縁個体と非近縁個体とのVH ハプロタイプ
and
light
ch
の差違において観察されるさらなる多様性を生成するこ
immunoglobulins,Nucle
とが可能な複数のハプロタイプ(共遺伝多型(coin
genic
s
a
ic
that
diversity
quence
ain
mouse
heavy
Acids
Res.20(23):6287−
herited
polymorphism)を有する
6295;Wagnerら、1994,Antibod 10
配列のストレッチ)に反映される(例えば、Souro
ies
ujonら、1989,Polymorphisms
generated
form
immunoglobulin
n
transgenic
Acids
human
miniloci
i
in
mice,Nucleic
Human H
Genes
from
Chain
V
Region
the VH III Gen
Res.22(8):1389−139
e Family,J.Immunol.143(2)
3参照)。しかし、マウスゲノムにランダムに組み込ま
:706−711参照)。特に、多型ヒトVH 遺伝子フ
れた導入遺伝子から完全ヒト抗体を発現させ、内因性遺
ァミリーに由来するデータに基づき、一部の研究者は、
伝子座の損傷を含むトランスジェニックマウスは、野生
生殖細胞系におけるハプロタイプの多様性が、ヒト集団
型マウスと比較した免疫応答の実質的な差違であって、
におけるVH 遺伝子の異質性に対する主要な寄与因子で
かかるマウスから得ることができる抗体可変ドメインの
あり、これが、ヒト集団にわたる異なる生殖細胞系VH
多様性に影響を及ぼす差違を呈示することが公知である 20
遺伝子の大きな多様性に反映されることを示唆している
。
(Sassoら、1990,Prevalence
【0321】
nd
一部の実施形態において、ヒト抗体可変ドメインを、限
VH 3
定されたVH 遺伝子レパートリーならびに1つ以上のD
):2751−2757参照)。
遺伝子および1つ以上のJ遺伝子から発現する、多様な
【0324】
B細胞集団を生成する有用な非ヒト動物は、十分に多様
ヒト集団は、広範な多型に起因して、VH 遺伝子レパー
な再構成可変領域遺伝子レパートリーを生成することが
トリーに対して、ハプロタイプの大きな多様性を提示す
可能であることが好ましい。様々な実施形態において、
るが、ヒト集団内で観察される高頻度の(すなわち、保
多様性は、接合部の多様性、体細胞超変異、およびVH
存的な)対立遺伝子には、特定の多型が反映される(S
遺伝子配列内の多型的多様性(VH 遺伝子が多型形態で 30
assoら、1990)。VH の多型は、2つの主要形
存在する実施形態の場合)を包含する。組み合わせの(
態において記載され得る。第一の形態は、同じ遺伝子セ
combinatorial)多様性は、VH 遺伝子が
グメントの対立遺伝子の間のヌクレオチド配列間におけ
複数の同種のヒト軽鎖可変ドメイン(様々な実施形態に
る差違に関連する対立遺伝子バリエーションから生じる
おいて、接合部の多様性および/または体細胞超変異を
バリエーションである。第二の形態は、免疫グロブリン
含む)のうちの1つと対合するときに生じる。
重鎖遺伝子座において生じた多数の複製、挿入、および
【0322】
/または欠失から生じる。これは、複製により同一の遺
様々な実施形態において、限定されたヒトVH 遺伝子レ
伝子から派生するVH 遺伝子が、それらの各々の対立遺
パートリーおよび完全または実質的に完全なヒトVL 遺
伝子と、1つ以上のヌクレオチド置換により異なる固有
伝子レパートリーを含む非ヒト動物は、接合部の多様性
の状況を結果としてもたらしている。これはまた、重鎖
(例えば、VDJ、VJ接合、P付加、N付加)、組み 40
遺伝子座におけるVH 遺伝子のコピー数にも直接影響す
合わせの多様性(例えば、VH が限定された同種のヒト
る。
重鎖、ヒト軽鎖)、および体細胞超変異など、多様性の
【0325】
様々な供給源を反映するB細胞集団を生成する。VH レ
ヒト免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメント(VH 遺
パートリーの、1つのヒトVH 遺伝子への限定を含む実
伝子)の多型対立遺伝子は、大部分が遺伝子セグメント
施形態において、この1つのヒトVH 遺伝子は、2つ以
の挿入/欠失およびコーディング領域内の単一のヌクレ
上の変異体において存在し得る。様々な実施形態におい
オチド差違の結果であり、これらのいずれもが、免疫グ
て、VH 遺伝子の2つ以上の多型形態が存在することに
ロブリン分子に対して機能的結果を及ぼす潜在性を有す
より、B細胞集団の可変ドメインの多様性が富化される
る。表1は、ヒトVH 遺伝子ファミリーにより列挙され
。
る機能的VH 遺伝子およびヒト免疫グロブリン重鎖遺伝
【0323】
50
Polymorphism
of
a
Human
Genes,J.Immunol.145(8
子座における各VH 遺伝子について同定された対立遺伝
( 44 )
JP
85
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A
2015.7.9
86
子の数を示す。多型VH 遺伝子は、例えば、関節リウマ
全長タンパク質配列を、それぞれ、配列番号4および配
チなど、特定の疾患に対する感受性に関与していること
列番号5に示す。図5および図6はそれぞれ、VH 1−
を示唆する知見も存在するが、他の場合には、VH と疾
69について報告される13の対立遺伝子のDNAアラ
患との連関がそれほど明瞭ではない。この多義性は、異
イメントおよびタンパク質アライメントを示す。VH 1
なるヒト集団における様々な対立遺伝子のコピー数およ
−2遺伝子の代表的なDNA配列およびタンパク質配列
び存在に帰せられている。実際、幾つかのヒトVH 遺伝
を、それぞれ、配列番号63および配列番号64に示す
子(例えば、VH 1−2、VH 1−69、VH 2−26
。図8および図9はそれぞれ、VH 1−2について報告
、VH 2−70、およびVH 3−23)は、コピー数の
される5つの対立遺伝子のDNAアライメントおよびタ
変動を示している。様々な実施形態において、限定され
ンパク質アライメントを示す。
たVH レパートリーを有する本明細書に記載のヒト化マ 10
図7および図10はそれぞれ、ヒトVH 1−69につい
ウスは、個別のVH ファミリーメンバーの複数の多型変
て報告される13の対立遺伝子およびヒトVH 1−2に
異体を含む(例えば、内因性マウス遺伝子座におけるす
ついて報告される5つの対立遺伝子に対応する、アライ
べてのまたは実質的にすべての機能的マウスVH セグメ
ンメントされたタンパク質配列についての同一性/類似
ントを置換する、VH 1−2、VH 1−69、VH 2−
性のパーセントマトリクスを示す。様々な実施形態にお
26、VH 2−70、またはVH 3−23の2つ以上の
いて、本発明の改変遺伝子座は、表1から選択される2
多型変異体)。特定の実施形態において、本明細書に記
コピー以上の数で存在するVH 遺伝子を含み、コピー数
載のマウスの2つ以上の多型変異体は、表1の対応する
は、表1に示される対立遺伝子の数以下のコピー数およ
VH ファミリーメンバーについて示される数以下の数お
び表1に示される対立遺伝子の数を含めたコピー数を包
よびこの数を含めた数(例えば、VH 1−69には13
含する。1つの実施形態において、本発明の改変遺伝子
の変異体があり、VH 1−2には5つの変異体があるな 20
座は、表2から選択される2コピー以上の数で存在する
ど)である。
VH 1−69またはVH 1−2遺伝子を含み、コピー数
【0326】
は、表1に示される対立遺伝子の数以下のコピー数およ
当該技術分野においては、特定のヒトVH 遺伝子の一般
び表1に示される対立遺伝子の数を含めたコピー数を包
に観察される変異体が公知である。例えば、VH 遺伝子
含する。
座において最も複雑な多型のうちの1つは、VH 1−6
【表1−1】
9遺伝子に属する。ヒトVH 1−69遺伝子には、13
の対立遺伝子が報告されており(Sassoら、199
3,A
fetally
unoglobulin
ngs
to
a
expressed
VH 1 gene
complex
lleles,Journal
l
set
of
Investigation
imm
belo
of
a 30
Clinica
91:2358−2
367;Sassoら、1996,Expressio
n
ofthe
gene
l
to
py
immunoglobulin
51p1
its
is
proportiona
germline
number,Journal
ical
VH
Investigation
gene
of
co
Clin
97(9):
2074−2080)、ヒトVH 1−69遺伝子は、V
H
1−69遺伝子の複製を保有する少なくとも3つのハ 40
プロタイプであって、所与の遺伝子座においてこのVH
遺伝子の複数コピーを結果としてもたらすハプロタイプ
で存在する。これらの多型対立遺伝子は、相補性決定領
域(CDR)に差違を包含し、これは、抗原の特異性に
劇的に影響し得る。表2は、ヒトVH 1−69およびヒ
トVH 1−2遺伝子について報告される対立遺伝子なら
びに成熟重鎖可変領域のDNA配列およびタンパク質配
列の配列番号を示す。
【0327】
VH 1−69遺伝子の代表的なゲノムDNA配列および 50
( 45 )
JP
87
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2015.7.9
88
20
【表2】
抗原依存性重鎖可変遺伝子の使用
【表1−2】
【0328】
VH 遺伝子の抗原依存性の優先的使用を、臨床的に有意
義な抗原を標的とするヒト治療剤を開発するのに利用す
40
ることができる。特定のVH 遺伝子を用いて抗体可変ド
メインレパートリーを生成することができれば、ヒト治
療剤において用いるための高親和性の抗体可変ドメイン
の探索に大きな利点をもたらすことができる。ナイーブ
マウスおよび抗体可変ドメインにおけるヒトVH 遺伝子
の使用についての研究は、大半の重鎖可変ドメインが、
特定の単一のVH 遺伝子にも、主として用いられるVH
遺伝子にも由来しないことを明らかにする。他方、特定
の抗原に対する抗体応答についての研究は、場合によっ
て、特定の抗体応答は、免疫後のB細胞レパートリーに
50
おける特定のVH 遺伝子の偏った使用を提示することを
( 46 )
JP
89
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2015.7.9
90
明らかにする。
)。VH 4ファミリーでは、メンバー4−59および4
【0329】
−4b(同上)のほか、4−39および4−34が比較
ヒトVH レパートリーは、極めて多様であるが、VH 遺
的高頻度であることが見出された(Brezinsch
伝子のランダムな選択を仮定するある推定値によれば、
eckら、1997,Analysis
所与の任意のVH 遺伝子使用の予測される頻度は、約2
Human
VH
of the
Gene Repertoire
%である(Brezinschekら、1995,An
,J.Clin.Invest.99(10):248
alysis
of
the
HeavyChain
8−2501)。他の報告は、活性化した重鎖レパート
of
Human
Perip
リーが、VH 5の高度な発現およびVH 3の低度な発現
B Cells
Using
Singl
を利するように偏っていることを仮定している(Van
Repertoire
heral
e−Cell
Polymerase
ChainRe 10
Dijk−Hard
and Lundkvist,
action,J.Immunol.155:190−
2002,Long−term
202)。しかし、ヒトの末梢B細胞におけるVH の使
fadult
用は、偏ったものである。一研究では、機能的V遺伝子
ertoires,Immunology
の存在度は、VH 3>VH 4>VH 1>VH 2>VH 5
36−144)。他の研究は、成人ヒトレパートリーに
>VH 6というパターンに従った(Davidkova
おいて最も一般的に用いられるVH 遺伝子が、VH 4−
ら、1997,Selective
59に続いて、VH 3−23およびVH 3−48である
VH
Genes
in
Lymphocyte
Usage
Adult
of
Human
human
kinetics
antibody
o
rep
107:1
ことを主張している(Arnaoutら、2001,H
Repertoires,Sc
igh−Resolution
and.J.Immunol.45:62−73)。初
n of
期の一研究では、VH 3ファミリーの使用頻度が約0. 20
Repertoires
65であるのに対し、VH 1ファミリーの使用頻度は約
S ONE
0.15であることが推定され、これらの観察および他
は、比較的小さな試料数に基づき、したがって、大きな
の観察は、ヒトVH レパートリーの生殖細胞系の複雑性
分散を呈示するが、まとめると、研究は、V遺伝子の発
は、正常の生殖細胞系VH レパートリーを有するヒトの
現が、純粋に確率論的ではないことを示唆する。実際、
末梢B細胞区画では正確には反映されないという、マウ
特定の抗原による研究は、ある場合には、発現の状況は
スにおいて観察される状況(すなわち、VH 遺伝子発現
、特定の使用には全く不利であり、他の使用には有利で
は非確率論的であるという状況)と類似する状況を示唆
あることを確立している。
する(Zouali
【0330】
Probing
and
VH
ilization
eral
These,1991,
Gene−Family
in
B Cells
Ut
Antibody
Descriptio
Heavy−Chain
in Humans,PLo
6(8):108)。使用についての研究
徐々に、特定の抗原に応答して生成したヒト重鎖可変ド
Human
Periph 30
メインについて観察されるレパートリーは、高度に限定
by
Situ
H
されることが明らかとなった。一部の抗原は、有効な中
ybridization,J.Immunol.14
和抗体は1つのVH 遺伝子のみに本質的に由来するとい
6(8):2855−2864)。一報告によれば、ヒ
う意味で、ほとんどもっぱらある特定のVH 遺伝子のみ
トにおけるVH 遺伝子使用は、最大から最小の順にVH
を有する中和抗体と会合する。臨床的に重要な多数のヒ
3>VH 4>VH 1>VH 5>VH 2>VH 6であり、
ト病原体についても同じことが当てはまる。
末梢B細胞における再構成は、VH 3ファミリーの使用
【0331】
は、生殖細胞系VH 3遺伝子の相対数に基づき予測され
VH 1−69に由来する重鎖は、治療的に有意義である
る使用より高度であることを明らかにする(Brezi
多様な抗原特異的抗体レパートリーにおいて観察されて
nschekら、1995)。別の報告によれば、ヒト
いる。例えば、VH 1−69は、アトピー性疾患を有す
におけるVH 使用は、ヨウシュヤマゴボウのマイトジェ 40
る幼齢小児における末梢血リンパ球のIgEレパートリ
ンにより活性化させた末梢の小型免疫応答性B細胞の解
ーの重鎖転写物において高頻度で観察された(Band
析(Davidkovaら、1997,Selecti
oら、2004,Characterization
ve
of
Usage
dult
of
Human
VH
In
Genes
in
BLymphocyte
A
Re
VH ε
PBL
gene
expressed
from children
pertoires,Scand.J.Immunol
opic
.45:62−73)に基づくパターンVH 3>VH 5
f homologous
>VH 2>VH 1>VH 4>VH 6に従う。一報告は、
ed
最も高頻度で用いられるVH 3ファミリーメンバーの中
in
with at
diseases:detection
VH 1−69
transcripts
unrelated
from
o
deriv
three
patients,Immun
には、3−23、3−30、および3−54があること
ology
Letters
94:99−106)。
を主張している(Brezinschekら、1995 50
B細胞リンパ腫ではまた、高度の体細胞超変異を有する
( 47 )
JP
91
cell
ed
cutaneous
lymphoma
with
riable
use
is
B−
virus
rained
and
of VH 1−69
and
Dermatology
va
frequent
segments,British
of
hyper
immunoglobulin
genes
VH 4−59
Journal
162:611−6
on
drives
unology
al
virus
い)一部のVH 1−69に由来する重鎖が観察されてい
ure
る(Posら、2008,VH 1−69
Biology
m
type II
model
lymph
of Imm
174:6532−6539;Wan
Palese,2009,Univers
epitopes
of influenza
hemagglutinins?,Nat
Structural&Molecular
16(3):233−234;Sui
ら、2009,Structural
and fun
towards
ADAMTS13
in
ctional
broad−s
patientswith
acquired
th
pectrum
ected
rombotic
thrombocytopenic
purpura,Journal
bosis
dir
in
infection−driven
体細胞超変異がわずかである∼体細胞超変異がみられな
antibodies
expansi
omagenesis,Journal
中では、本質的に生殖細胞系配列を有する(すなわち、
encoded
unconst
B cells
g and
germli
the
monoclonal
cryoglobulinemia:A
of
C
of VH 1−69−expressing
emory
18)一方、血液障害を有する患者における自己抗体の 10
ne
2015.7.9
rbonariら、2005,Hepatitis
associat
somatically
mutated
A
92
VH 1−69に由来する重鎖が生じる(Perezら、
2009,Primary
2015-519076
and
of
Throm
Haemostasis
7:4 20
avian
a A
bases
for
neutralization
and
human
viruses,Nature
ural&Molecular
of
influenz
Struct
Biology16(
21−428)。
3):265−273;Marascaら、2001,
【0332】
Immunoglobulin
さらに、HIV、インフルエンザウイルス、およびC型
ions
肝炎ウイルス(HCV)などのウイルス抗原に対する中
VH 1−69
和抗体であって、生殖細胞系のVH 1−69に由来する
s in
配列および/または体細胞変異させたVH 1−69に由
itive
来する配列を使用する中和抗体も見出されている(Mi
us−Negative
klosら、2000,Salivary
l Zone
mucosa−associated
id
tissue
globulin
equent
lymphoma
VH
use
distinctive
,Blood
genes
of
gland
and
VH 4−34
Hepatitis
and
Segment
CVirus−Pos
Hepatitis
Nodal
B−Cell
Mutat
Use of
C
Vir
Margina
Lymphoma,Am
lympho
.J.Pathol.159(1):253−261)
immuno 30
。
show
V1−69
CDR3
Gene
and Frequent
fr
with
【0333】
VH 使用の偏向はまた、ヒトにおけるb型Haemop
features
hilus
influenzae(Hib
PS)に
95(12):3878−3884;K
対する体液性免疫応答においても観察される。研究は、
unertら、2004,Characterizat
VH IIIファミリー(VH IIIbサブファミリー、
ion
特に、VH 9.1)が、多様なD遺伝子およびJ遺伝子
of
molecular
features
,antigen−binding,and
itro
d
properties
IgM
variants
anti−HIV
ing
typeI
monoclonal
idsResearch
roviruses
of
of
B
normal
g
to
C
cell
antibody,A
and Human
gene
used
B
Ret
is
by he
virus−associate
lymphomas
the
,Blood
4E10,an
20(7):755−762;C
preferentially
d
v
neutraliz 40
hanら、2001,VH 1−69
patitis
in
IgG an
cells
E2
and by
respondin
viral
antigen
97(4):1023−1026;Ca 50
と共に、Hib
PSに対するヒト体液性応答をもっぱ
ら特徴づけることを示唆する(Addersonら、1
991,Restricted
V
Gene Usage
n Antibody
emophilus
b
Ig
in
H Chain
the Huma
Response
to
influenzae
Capsular
Ha
Type
Polysaccharid
e,J.Immunol.147(5):1667−1
674;Addersonら、1993,Restri
cted
age
Immunoglobulin
and VDJ
n the
Human
aemophilus
e b
VH
Us
Combinationsi
Response
influenzae
Capsular
to
H
Typ
Polysacchari
( 48 )
JP
93
2015-519076
A
2015.7.9
94
de,J.Clin.Invest.91:2734−
skiら、1996)。さらに、VH 遺伝子は一般に、
2743)。ヒトJH 遺伝子もまた、偏向性の使用を提
個体においてすべての多型形態では存在せず、特定の集
示し、JH 4およびJH 6は、ヒトの末梢B細胞中の約
団内の特定の個体が1つの変異体を保有するのに対し、
38∼41%で観察されている(Brezinsche
他の集団内の個体は異なる変異体を保有する。したがっ
kら、1995)。
て、様々な実施形態において、単一のVH 遺伝子および
【0334】
その変異体に限定された生物系が利用可能であれば、限
HIV−1に感染したヒトにおけるVH 使用は、VH 3
定されたVH 遺伝子に基づき抗体の可変領域(例えば、
使用に対して不利に偏向し、VH 1およびVH 4遺伝子
ヒト重鎖および軽鎖の同種のドメイン)を生成するため
ファミリーに有利である(Wisnewskiら、19
の、これまで利用されなかった多様性の供給源がもたら
96,Human
Antibody
される。
e
Gene
Region
−1
Variabl 10
Usagein
HIV
Infection,J.Acquired
mmune
Deficiency
s&Human
【0337】
I
限定されたVH 遺伝子セグメントを使用してヒト重鎖可
Syndrome
変領域を発現する遺伝子改変マウスは、接合部が多様で
Retroviology
11(1
あり、組み合わせが多様であり、体細胞変異させた、高
):31−38)。しかし、罹患した患者に由来する骨
親和性ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域の比較的大きな
髄のcDNA解析は、機能的B細胞レパートリーでは発
レパートリーを、他の点では限定されたレパートリーか
現しない有意なVH 3使用を明らかにし、そこでは、V
ら生成するのに有用である。この場合、限定されたレパ
vitroにおけ
ートリーは、予め選択されたV遺伝子以外のいかなるV
る有効なHIV−1の中和を呈示した(同上)。HIV
遺伝子に由来する再構成重鎖遺伝子も形成できないマウ
−1感染に対する体液性免疫応答はおそらくVH におけ 20
スを結果としてもたらす、生殖細胞系遺伝子の所定の制
る限定に起因して減衰するので、本明細書に記載の改変
限を指す。予め選択されたV遺伝子は使用するが、予め
非ヒト動物(HIV−1により感染可能でない)は、本
選択されたD遺伝子および/またはJ遺伝子は使用しな
明細書に記載の遺伝子改変動物において存在する特定の
い実施形態において、レパートリーは、V遺伝子の正体
VH 遺伝子に由来するが、罹患したヒトの限定されたレ
に関しては限定されるが、D遺伝子および/またはJ遺
パートリーにおいて観察されるVH 遺伝子とは異なるV
伝子の正体に関しては限定されない。予め選択されたV
遺伝子に由来する中和抗体ドメインを生成するのに有
遺伝子(ならびに任意の予め選択されたD遺伝子および
H
H
3使用を反映するFabが、in
用となり得ることを仮定し得る。
/またはJ遺伝子)の正体は、いかなる特定のV遺伝子
【0335】
にも制限されない。
したがって、例えば、HIV−1で免疫された、VH が
【0338】
限定されたマウス(例えば、VH 3ファミリーメンバー 30
マウスが、単一のVH 遺伝子(単一のセグメントまたは
およびその(1つ以上の)多型に限定されたマウス)に
変異体のセットとして存在する)を、多様なヒトDおよ
おいて、高親和性ヒト抗体可変ドメインを生成すること
びJ遺伝子セグメント(例えば、DH セグメントおよび
ができれば、かかる免疫したマウスの限定された(例え
JH セグメント)と共に再構成するように、マウスをデ
ば、VH 3ファミリーメンバーまたはその(1つ以上の
ザインすることにより、in
)変異体に限定された)レパートリーを徹底的に発掘す
部多様性/組み合わせ多様性/体細胞超変異の並べ替え
ることにより、HIV−1を中和する有効なヒト治療剤
機構であって、結果として得られる再構成重鎖可変領域
をデザインするための豊富な資源を提供し得る。
配列(場合によって、例えば、V/D/JまたはV/J
【0336】
)における変異を繰り返すのに用いられ得る並べ替え機
ヒト抗体応答の、特定の病原体への限定は、抗体の可変
構がもたらされる。かかるマウスでは、単一の予め選択
領域であって、病原体に対する高親和性の中和抗体をデ 40
されたVH 遺伝子(またはその変異体)に基づくクロー
ザインするための足がかりとして機能し得る可変領域を
ン選択工程を行って、対象となる抗原に結合する適切な
、罹患したヒトから得る可能性を低減し得る。例えば、
可変領域を選択する。マウスのクローン選択成分は、単
HIV−1感染に対するヒト免疫応答は、HIV−1感
一の予め選択されたVH 遺伝子セグメントに基づく選択
染を通じて、かつ、AIDSへの進行においてクローン
に使われる(dedicated)ため、バックグラウ
的に限定される(Mullerら、1993,B−ce
ンドノイズは大部分が根絶される。VH 遺伝子セグメン
ll
abnormalities
stable
icted
HIV−1
and
vivoにおける、接合
in
AIDS:
トを慎重に選択することにより、クローン的に選択され
clonally
restr
る比較的多数の抗原特異的抗体を、Vセグメントの多様
antibodyresponse
in
infection,Scand.J.
Immunol.38:327−334;Wisnew 50
性が大きなマウスによる場合より短い期間でスクリーニ
ングすることができる。
【0339】
( 49 )
JP
95
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A
2015.7.9
96
様々な実施形態において、マウスを予め選択して単一の
鎖配列に関してヘテロ接合性の雄を用いて、上記置換に
Vセグメントに限定することにより、V/D/J接合部
関してホモ接合性の雌と交配させて、上記限定されたヒ
を、D領域およびJ領域で組み換えるためのVセグメン
ト重鎖可変配列に関してヘテロ接合性の後代を産生し、
トが単一ではなくて最高40以上あるマウスにおいて観
その後、それらからホモ接合型マウスを繁殖させる。上
察される速度より速い速度で並べ替えるための系がもた
記雄マウスの妊性の喪失についての可能性のある原因は
らされる。他のVセグメントを除去することにより、遺
、ホモ接合型雄マウスにおいて機能的ADAM6タンパ
伝子座は、予め選択されたVセグメントに対して、他の
ク質が存在しないことによると本発明者らは決定した。
Vセグメントを除去しない場合に観察されるV/D/J
【0342】
の組み合わせより多くのV/D/Jの組み合わせを形成
様々な態様において、損傷した(すなわち、非機能的ま
するように解放される。予め選択されたVの、複数のD 10
たはわずかに機能的な)ADAM6遺伝子を含む雄マウ
セグメントのうちの1つおよび複数のJセグメントのう
スは、妊性の低減または除去を示す。マウス(および他
ちの1つによる組換えから生じる転写物数が増大すると
の齧歯動物)ではADAM6遺伝子が免疫グロブリン重
、これらの転写物は、プレB細胞の形態にあるクローン
鎖遺伝子座にあるため、本発明者らは、ヒト化された免
選択系に供給され、このため、クローン選択系は、予め
疫グロブリン重鎖遺伝子座を含むマウスを繁殖させるた
選択されたV領域を発現するB細胞の循環に使われる。
めに、または該マウスの系統を作り、維持するために、
このようにして、予め選択されたVセグメントに由来す
様々な改変交配または繁殖スキームを利用することを決
るV領域であって、所与の時間量において他の形で可能
定した。ヒト化免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座
となるより固有性の高い領域を、生物体を介してスクリ
に関してホモ接合性の雄マウスの低い妊性または不妊性
ーニングすることができる。
は、マウス系統のかかる改変の維持を困難にする。様々
【0340】
20
な実施形態において、上記系統の維持は、上記ヒト化重
様々な態様では、予め選択されたV領域についての、接
鎖遺伝子座に関してホモ接合性の雄マウスによって示さ
合部におけるV/D組換えの多様性を増強するマウスが
れる不妊問題の回避を含む。
記載される。なぜなら、免疫グロブリン重鎖可変遺伝子
【0343】
座のすべてのまたは実質的にすべての組換えは、かかる
1つの態様では、本明細書に記載のマウスの系統を維持
マウスにおいて配置される、予め選択されたVセグメン
するための方法を提供する。マウスの上記系統は、異所
トおよびDセグメントおよびJセグメントの組換えであ
性ADAM6配列を含む必要がなく、様々な実施形態に
るためであるしたがって、マウスは、ベースのVH 遺伝
おいて、マウスの上記系統は、ADAM6のノックアウ
子レパートリーまたは限定されたVH 遺伝子レパートリ
ト(例えば、機能的ノックアウト)に関してホモ接合性
ーを用いて、CDR3セグメントの多様性を生成するた
またはヘテロ接合性である。
めの方法をもたらす。
30
【0344】
マウスADAM6のゲノムの場所および機能
上記マウス系統は、雄マウスにおいて妊性の低減または
【0341】
喪失を生じさせる結果となる内因性免疫グロブリン重鎖
いずれかの機能的ADAM6タンパク質を発現する能力
遺伝子座の改変を含む。1つの実施形態において、上記
が無い雄マウスは、驚くべきことに、交配して子孫を産
改変は、ADAM6遺伝子の調節領域および/またはコ
生する該マウスの能力の欠陥を示す。これらのマウスに
ーディング領域の欠失を含む。特定の実施形態において
は、すべてのまたは実質的にすべてのマウス免疫グロブ
、上記改変は、その改変を含む雄マウスの妊性を低減さ
リン可変領域遺伝子セグメントをヒト可変領域遺伝子セ
せるまたは除去する内因性ADAM6遺伝子(調節領域
グメントで置換することによって機能的ADAM6タン
および/またはコーディング領域)の改変を含む;特定
パク質を発現する能力が無い。ADAM6遺伝子座が、
の実施形態において、上記改変は、その改変に関してホ
DH 遺伝子セグメントの上流にあるVH 遺伝子セグメン 40
モ接合性である雄マウスの妊性を低減させるまたは除去
ト遺伝子座の3’末端の近位の、上記内因性マウス免疫
する。
グロブリン重鎖可変領域遺伝子遺伝子座の領域内にある
【0345】
ため、このADAM6機能の喪失が生ずる結果となる。
1つの実施形態において、上記マウス系統は、ADAM
すべてのまたは実質的にすべての内因性マウス重鎖可変
6遺伝子のノックアウト(例えば、機能的ノックアウト
配列の、限定されたヒト重鎖可変配列による置換に関し
)または欠失に関してホモ接合性またはヘテロ接合性で
てホモ接合性であるマウスを交配させるために、それぞ
ある。
れが該限定されたヒト重鎖配列に関してホモ接合性であ
【0346】
り、生産的交配を待つ雄と雌を供給することは、一般に
1つの実施形態では、上記改変に関してホモ接合性また
厄介なアプローチである。好結果の同腹子は、頻度が低
はヘテロ接合性であるマウスから細胞を単離すること、
く、サイズが小さい。その代り、上記限定されたヒト重 50
および宿主胚において上記ドナー細胞を用いること、お
( 50 )
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よび代理母において上記宿主胚およびドナー細胞を妊娠
交配させて、上記系統において上記遺伝子改変を維持す
させること、および上記遺伝子改変を含む後代を上記代
る方法を提供する。
理母から得ることによって、上記マウス系統を維持する
特定の実施形態において、上記系統は、ホモ接合性雄と
。1つの実施形態において、上記ドナー細胞は、ES細
野生型雌、または上記遺伝子改変に関してホモ接合性も
胞である。1つの実施形態において、上記ドナー細胞は
しくはヘテロ接合性の雌とのいずれの交配によっても維
、多能性細胞、例えば導入多能性細胞である。
持されない。
【0347】
【0352】
1つの実施形態では、上記改変に関してホモ接合性また
上記ADAM6タンパク質は、ディスインテグリンおよ
はヘテロ接合性であるマウスから、上記改変を含む核酸
びメタロプロテアーゼ(A
配列を単離すること、および上記核酸配列を宿主核に導 10
And
入すること、および好適な動物において上記核酸配列お
)タンパク質ファミリーのメンバーであり、これは、細
よび上記宿主核を含む細胞を妊娠させることによって、
胞接着をはじめとする多様な機能を有するタンパク質の
上記マウス系統を維持する。1つの実施形態では、上記
ラージファミリーである。ADAMファミリーの一部の
核酸配列を宿主卵母細胞の胚に導入する。
メンバーは、精子形成および受精に関与する。例えば、
【0348】
ADAM2は、精子−卵子相互作用に関与するタンパク
1つの実施形態では、上記改変に関してホモ接合性また
質ファーティリンのサブユニットをコードする。ADA
はヘテロ接合性であるマウスから核を単離すること、お
M3、すなわちシリテスチンは、透明帯への精子の結合
よび上記核を宿主細胞に導入すること、および好適な動
に必要であるようである。ADAM2またはADAM3
物において上記核および宿主細胞を妊娠させて、上記改
いずれかの不在は不妊性を生じさせる結果となる。AD
変に関してホモ接合性またはヘテロ接合性である後代を 20
AM2、ADAM3およびADAM6は、マウス精子細
得ることによって、上記マウス系統を維持する。
胞の表面で複合体を形成すると仮定されている。ヒト免
【0349】
疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH 遺伝子セグ
1つの実施形態では、上記遺伝子改変を含む雄マウスか
メントVH 1−2とVH 6−1の間で通常見出されるヒ
らの精液を用いる、雌マウス(野生型、上記改変に関し
トカウンターパート遺伝子(ヒトADAM6)は、偽遺
てホモ接合性、または上記改変に関してヘテロ接合性)
伝子であるようである。マウスには2つのADAM6遺
のin
Disintegrin
Metalloprotease)(ADAM
vitro受精(IVF)を用いることによっ
伝子−ADAM6aおよびADAM6b−があり、これ
て、上記マウス系統を維持する。1つの実施形態におい
らは、マウスVH 遺伝子セグメントとDH 遺伝子セグメ
て、上記雄マウスは、上記遺伝子改変に関してヘテロ接
ントの間の遺伝子間領域において見出され、上記マウス
合性である。1つの実施形態において、上記雄マウスは
において、ADAM6a遺伝子およびADAM6b遺伝
、上記遺伝子改変に関してホモ接合性である。
30
子は、周囲の免疫グロブリン遺伝子セグメントのものと
【0350】
は反対の転写配向に配向する。マウスの場合、正常な受
1つの実施形態では、上記遺伝子改変に関してヘテロ接
精には機能的ADAM6遺伝子座が明らかに要求される
合性である雄マウスを雌マウスと交配させて、上記遺伝
。そこで、機能的ADAM6遺伝子座または配列は、内
子改変を含む後代を得ること、上記遺伝子改変を含む雄
因性ADAM6遺伝子座が欠けているまたは非機能的内
および雌後代を同定すること、および上記遺伝子改変に
因性ADAM6遺伝子座を有する雄マウスにおいて示さ
関してヘテロ接合性である雄を、野生型である、上記遺
れる大幅に低減された受精を補うまたはレスキューする
伝子改変に関してホモ接合性であるまたはヘテロ接合性
ことができる、ADAM6遺伝子座または配列を指す。
である雌との交配に用いて、上記遺伝子改変を含む後代
【0353】
を得ることによって、上記マウス系統を維持する。1つ
ADAM6aおよびADAM6bをコードする、マウス
の実施形態では、上記遺伝子改変に関してヘテロ接合性 40
における上記遺伝子間配列の位置が、内因性マウス重鎖
の雄と、野生型雌、上記遺伝子改変に関してヘテロ接合
を改変するとき該遺伝子間配列に改変を受けやすくさせ
性の雌、または上記遺伝子改変に関してホモ接合性の雌
る。VH 遺伝子セグメントを欠失させるもしくは置換す
とを交配させる工程を繰り返して、上記マウス系統での
るとき、またはDH 遺伝子セグメントを欠失させるもし
上記遺伝子改変を維持する。
くは置換するとき、結果として得られるマウスは重度の
【0351】
妊性欠損を示す確率が高い。この欠損を補償するために
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子
、内因性マウスADAM6遺伝子座の改変に起因するA
遺伝子座の、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖配列に
DAM6活性の喪失を補うタンパク質をコードするヌク
よる置換を含むマウス系統を維持するための方法であっ
レオチド配列を含むようにマウスを改変する。様々な実
て、上記マウス系統を交配させて、ヘテロ接合型雄マウ
施形態において、補足性ヌクレオチド配列は、妊性欠損
スを産生する工程を含み、上記ヘテロ接合性雄マウスを 50
をレスキューするマウスADAM6a、マウスADAM
( 51 )
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6b、またはそのホモログもしくはオルソログもしくは
された1つの種からの免疫グロブリン配列を、その宿主
機能的断片をコードするものである。あるいは、上記マ
種からのCD19遺伝子(B細胞特異的遺伝子)のプロ
ウスADAM6遺伝子座に隣接する内因性免疫グロブリ
モーター配列と作動可能に連結させる。免疫グロブリン
ン重鎖配列が機能的内因性重鎖可変領域をコードするよ
が発現する正確な発生段階でのB細胞特異的発現が実現
うに再構成できないようにしながら、内因性ADAM6
される。
遺伝子座を保持する適切な方法を用いることができる。
【0357】
例示的な代替方法は、上記内因性免疫グロブリン重鎖可
挿入されたヌクレオチド配列の頑強な発現を実現するた
変領域遺伝子座を配置するマウス染色体の大部分が、内
めのさらにもう1つの方法は、構成的プロモーターの利
因性重鎖定常遺伝子に作動可能に連結された機能的重鎖
用である。例示的構成的プロモーターとしては、SV4
可変領域をコードするように再構成できないように、そ 10
0、CMV、UBC、EF1A、PGKおよびCAGG
れらを操作することを含む。様々な実施形態において、
が挙げられる。同様に、所望のヌクレオチド配列を選択
上記方法は、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメン
された構成的プロモーターと作動可能に連結させ、それ
トを含有するマウス染色体断片の逆位および/または転
により、該ヌクレオチド配列によってコードされている
座を含む。
タンパク質(単数または複数)の高い発現レベルが得ら
【0354】
れる。
妊性をレスキューする上記ヌクレオチド配列を任意の好
【0358】
適な位置に配置することができる。上記配列を上記遺伝
用語「異所性」は、自然界で通常は遭遇しない位置への
子間領域に配置することができ、またはゲノム内の任意
転位または配置(例えば、核酸配列の、該核酸配列が野
の好適な位置に(すなわち、異所的に)配置することが
生型マウスにおいて見出されるのと同じ位置でない位置
できる。1つの実施形態では、上記ヌクレオチド配列を 20
への配置)を含むことを意図したものである。様々な実
、マウスゲノムにランダムに組み込む導入遺伝子に導入
施形態において、この用語は、その対象がその正常なま
することができる。
たは正しい位置外にあるという意味で用いられる。例え
1つの実施形態では、上記配列をエピソームで、すなわ
ば、「...をコードする異所性ヌクレオチド配列」と
ちマウス染色体上ではなく別々の核酸上で、維持するこ
いう句は、マウスでは通常遭遇しない位置に出現するヌ
とができる。好適な位置としては、転写許容性または活
クレオチド配列を指す。例えば、マウスADAM6タン
性である位置、例えば、ROSA26遺伝子座(Zam
パク質(または雄マウスに対して同じまたは同様の妊性
browiczら、1997、PNAS
USA 94
の恩恵をもたらすそのオルソログもしくはホモログもし
:3789−3794)、BT−5遺伝子座(Mich
くは断片)をコードする異所性ヌクレオチド配列の場合
aelら、1999、Mech.Dev.85:35−
、該配列は、野生型マウスにおいて通常見出される位置
47)またはOct4遺伝子座(Wallaceら、2 30
とは異なるマウスのゲノム内の位置に配置されることが
000、Nucleic
Res.28:
ある。かかる場合、野生型マウスにおける位置とは異な
1455−1464)が挙げられる。転写活性遺伝子座
Acids
るマウスのゲノム内の位置に上記配列を配置することに
へのヌクレオチド配列のターゲティングは、例えば米国
より、マウス配列の新規配列接合部を生み出すこととな
特許第7,473,557号明細書に記載されている。
る。マウスADAM6の機能的ホモログまたはオルソロ
【0355】
グは、ADAM6
あるいは、妊性をレスキューする上記ヌクレオチド配列
喪失(例えば、交配により子孫を産生する雄マウスの能
を誘導性プロモーターとカップリングさせて、適切な細
力の喪失)のレスキューをもたらす配列である。機能的
胞および/または組織、例えば生殖組織、での最適な発
ホモログまたはオルソログは、ADAM6aのアミノ酸
現を促進することができる。例示的誘導性プロモーター
配列に対しておよび/またはADAM6bのアミノ酸配
としては、物理的手段によって活性化されるプロモータ 40
列に対して少なくとも約89%以上の同一性、例えば9
ー(例えば、熱ショックプロモーター)および/または
9%以下の同一性を有するタンパク質、ならびにADA
化学的手段によって活性化されるプロモーター(例えば
M6aおよび/またはADAM6bの欠失またはノック
、IPTGもしくはテトラサイクリン)が挙げられる。
アウトを含む遺伝子型を有するマウスの首尾よく交配す
【0356】
る能力を補うまたはレスキューすることができるタンパ
さらに、上記ヌクレオチド配列の発現を他の遺伝子に関
ク質を含む。
連づけて、特定の発生段階または特定の組織内での発現
【0359】
を実現することができる。かかる発現は、上記ヌクレオ
上記異所位置は、(例えば、マウスADAM6配列を含
チド配列を、特定の発生段階で発現する遺伝子のプロモ
有する導入遺伝子のランダム挿入の場合のように)どこ
ーターと作動可能に連結させることによって実現するこ
でもよく、または例えば、野生型マウスにおける(例え
とができる。例えば、宿主種のゲノムへと工学的に作製 50
ば、改変内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座内だがそ
−
/
−
マウスにおいて観察される妊性
( 52 )
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の天然の位置の上流または下流のいずれか、例えば、改
た(異所性)マウスADAM6配列の接合により作られ
変免疫グロブリン遺伝子座内だが、異なる遺伝子セグメ
る、結果として生ずる配列接合部は、野生型マウスのゲ
ント間、またはマウスV−D遺伝子間配列内の異なる位
ノム内の同じまたは同様の位置と比較して新しいものに
置における)その場所に近い(しかし、正確に同じでは
なる。
ない)位置であってもよい。異所性配置の一例は、上記
【0361】
周囲の内因性重鎖遺伝子セグメントが、内因性重鎖定常
様々な実施形態において、ADAM6またはそのオルソ
領域を含有する機能的重鎖をコードするように再構成で
ログもしくはホモログが無い非ヒト動物を提供し、この
きるようにしながら、野生型マウスにおいて上記内因性
欠如が該非ヒト動物を不妊性にするか、該非ヒト動物の
免疫グロブリン重鎖遺伝子座内に通常見出される位置を
妊性を実質的に低減させる。様々な実施形態において、
維持することである。この例では、例えば、上記可変領 10
上記ADAM6またはそのオルソログもしくはホモログ
域遺伝子座に隣接する位置に配置された操作された部位
欠如は、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変に起
特異的組換え部位を使用して、上記内因性免疫グロブリ
因する。妊性の実質的低減は、例えば、妊性(例えば、
ン重鎖可変遺伝子座を含有する染色体断片の逆位によっ
交配頻度、同腹子あたりの子、1年あたりの同腹子、な
て、これを達成することができる。したがって、組換え
ど)の約50%、60%、70%、80%、90%また
の際に、上記内因性重鎖可変領域遺伝子座を上記内因性
は95%またはそれより多くの低減である。様々な実施
重鎖定常領域遺伝子から遠距離に配置することにより、
形態では、非ヒト動物の雄において機能的であるマウス
内因性重鎖定常領域を含有する機能的重鎖をコードする
ADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモロ
再構成を防止する。本開示を読むことにより、および/
グもしくは機能的断片を上記非ヒト動物に補充し、この
または当該技術分野において公知の方法と組み合わせて
補充されたADAM6遺伝子またはそのオルソログもし
、当業者であれば、機能的ADAM6遺伝子座を維持し 20
くはホモログもしくは機能的断片により、妊性低減の全
ながら、上記内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝
部または実質的部分がレスキューされる。妊性の実質的
子座の機能的サイレンシングを達成する他の例示的な方
部分のレスキューは、例えば、上記非ヒト動物が、非改
法が明らかである。上記内因性重鎖遺伝子座のかかる配
変(すなわち、ADAM6遺伝子またはそのオルソログ
置により、上記内因性ADAM6遺伝子は維持され、上
もしくはホモログへの改変を有さない動物)重鎖遺伝子
記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座は機能的にサイレ
座と比較して少なくとも70%、80%または90%ま
ンシングされる。
たはそれより多い妊性を示すような妊性の回復である。
【0360】
【0362】
異所性配置の別の例は、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝
様々な実施形態において、上記遺伝子改変動物(すなわ
子座内への配置である。例えば、1つ以上の内因性VH
ち、例えば免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変に起因し
遺伝子セグメントの、単一のヒトVH 遺伝子セグメント 30
て、機能的ADAM6またはそのオルソログもしくはホ
による置換であって、内因性ADAM6配列を除去する
モログが無い動物)に付与する配列は、ADAM6遺伝
置換を含むマウスを、マウスADAM6配列が、上記単
子またはそのオルソログもしくはホモログから選択され
一のヒトVH 遺伝子セグメントとヒトDH 遺伝子セグメ
る。例えば、マウスにおけるADAM6機能の喪失は、
ントとの間にある遺伝子間配列内に配置されるように操
1つの実施形態では、マウスADAM6遺伝子の付加に
作することができる。異所性配置の別の例は、上記マウ
よってレスキューされる。1つの実施形態において、マ
スADAM6配列が、上記ヒトVH 遺伝子セグメントに
ウスにおけるADAM6機能の喪失は、マウス、例えば
対して(単一のヒトVH 遺伝子セグメントの転写方向に
齧歯動物、に対して近縁の種、例えば、異なる系統また
対して)5’の位置にある配置である。上記単一のヒト
は種のマウス、任意の種のラット、齧歯動物、のオルソ
VH遺伝子セグメントに対する5’の位置は、上記ヒト
ログまたはホモログを付加することによってレスキュー
VH 遺伝子セグメントに対して、例えば数百塩基対∼数 40
され、この場合、上記マウスのオルソログまたはホモロ
kbにごく接近しているか、または例えば数kb∼数百
グの付加により、ADAM6機能の喪失またはADAM
kbもしくはさらにメガ塩基以上離れている場合がある
6遺伝子の喪失に起因する妊性の喪失がレスキューされ
。結果として得られる改変は、ヒト遺伝子配列内にまた
る。他の種からのオルソログおよびホモログは、様々な
はそれに隣接してまたはさらにそれと同じ染色体上に(
実施形態において系統発生的に関連した種から選択され
異所性)マウスADAM6配列を生じさせることとなり
、および様々な実施形態において、約80%以上、85
、このヒト遺伝子配列内へのマウスADAM6配列の(
%以上、90%以上、95%以上、96%以上または9
異所性)配置は、マウスADAM6配列の位置(すなわ
7%以上である内因性ADAM6(またはオルソログ)
ち、V−D遺伝子間領域内)に近い場合がある。マウス
との同一性パーセントを示し、およびADAM6に関連
の生殖細胞系内のヒト遺伝子配列(例えば、免疫グロブ
したまたは(非マウスの場合は)ADAM6オルソログ
リン遺伝子配列)内にまたは該ヒト遺伝子配列に隣接し 50
に関連した妊性喪失をレスキューする。例えば、ADA
( 53 )
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M6機能が無い遺伝子改変雄ラット(例えば、ヒト免疫
もしくはホモログまたはその機能的断片は、ネズミ上科
グロブリン重鎖可変領域で置換された内因性免疫グロブ
(superfamily
リン重鎖可変領域を有するラット、またはラット免疫グ
ものである。1つの実施形態において、上記遺伝子改変
ロブリン重鎖領域のノックアウトを有するラット)の場
動物は、ネズミ上科からのものであり、上記ADAM6
合、そのラットの妊性の喪失は、ラットADAM6の付
オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は、
加によって、または一部の実施形態ではラットADAM
トビネズミ上科からのものである。
6のオルソログ(例えば、別のラット系統もしくは種か
【0365】
らの、または1つの実施形態ではマウスからの、ADA
1つの実施形態において、上記遺伝子改変動物は齧歯動
M6オルソログ)の付加によってレスキューされる。
【0363】
Muroidea)からの
物である。1つの実施形態において、上記齧歯動物は、
10
ネズミ上科から選択され、上記ADAM6オルソログま
このように、様々な実施形態において、ADAM6タン
たはホモログは、ネズミ上科内の異なる種からのもので
パク質(またはそのオルソログもしくはホモログ)をコ
ある。1つの実施形態において、上記遺伝子改変動物は
ードする核酸配列、または該核酸配列と作動可能に連結
、カンガルーハムスター科(Calomyscidae
された調節領域の改変に起因して妊性を示さないまたは
)(例えば、カンガルーハムスター)、キヌゲネズミ科
妊性の低減を示す遺伝子改変動物は、妊性の喪失を補う
(Cricetidae)(例えば、ハムスター、新世
または回復させる核酸配列を含み、この場合、妊性の喪
界ラットおよびマウス、ハタネズミ)、ネズミ科(Mu
失を補うまたは回復させる核酸配列は、同じ種の異なる
ridae)(純種のマウスおよびラット、アレチネズ
系統からのものであるか、系統発生的に類縁の種からの
ミ、トゲマウス、タテガミネズミ)、アシナガマウス科
ものである。様々な実施形態において、上記補足性核酸
(Nesomyidae)(キノボリマウス、イワマウ
配列は、ADAM6オルソログもしくはホモログまたは 20
ス、オジロキヌゲネズミ、マダガスカルラットおよびマ
その機能的断片である。様々な実施形態において、上記
ウス)、トゲヤマネ科(Platacanthomyi
補足性ADAM6オルソログもしくはホモログまたはそ
dae)(例えば、トゲヤマネ)およびメクラネズミ科
の機能的断片は、妊性の欠陥を有する遺伝子改変動物に
(例えば、デバネズミ、タケネズミおよびモグラネズミ
近縁である非ヒト動物からのものである。例えば、上記
)から選択される科からのものであり;および上記AD
遺伝子改変動物が特定の系統のマウスである場合、AD
AM6オルソログまたはホモログは、同じ科の異なる種
AM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断
から選択される。特定の実施形態において、上記遺伝子
片を、別の系統のマウスから得ることができ、類縁種の
改変齧歯動物は、純種のマウスまたはラット(ネズミ科
マウスから得ることができる。
)から選択され、上記ADAM6オルソログまたはホモ
1つの実施形態において、上記妊性の欠陥を含む遺伝子
ログは、アレチネズミ、トゲマウス、またはタテガミネ
改変動物が齧歯目(order
ズミから選択される種からのものである。1つの実施形
Rodentia)の 30
ものである場合、上記ADAM6オルソログもしくはホ
態において、上記遺伝子改変マウスは、ネズミ科のメン
モログまたはその機能的断片は、齧歯目の別の動物から
バーからのものであり、および上記ADAM6オルソロ
のものである。1つの実施形態において、上記妊性の欠
グまたはホモログは、ネズミ科の異なる種からのもので
陥を含む遺伝子改変動物は、ネズミ亜目(subord
ある。特定の実施形態において、上記遺伝子改変齧歯動
er
Myomoropha)(例えば、トビネズミ(
物は、ネズミ科のマウスであり、および上記ADAM6
jerboas)、ジャンピングマウス(jumpin
オルソログまたはホモログは、ネズミ科のラット、アレ
g
チネズミ、トゲマウスまたはタテガミネズミからのもの
mice)、カンガルーハムスター、ハムスター、
新世界ラットおよびマウス、ハタネズミ、純種のマウス
である。
およびラット(true
【0366】
mice
and
rat)
、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ、キノボ 40
様々な実施形態において、1つの科の中の齧歯動物の1
リマウス、イワマウス、オジロキヌゲネズミ、マダガス
つ以上の齧歯動物ADAM6オルソログもしくはホモロ
カルラットおよびマウス、トゲヤマネ、デバネズミ、タ
グまたはその機能的断片は、ADAM6オルソログまた
ケネズミ、モグラネズミ)のものであり、上記ADAM
はホモログが無い同じ科(例えば、キヌゲネズミ科(例
6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は
えば、ハムスター、新世界ラットおよびマウス、ハタネ
、齧歯目の動物、またはネズミ亜目の動物から選択され
ズミ);ネズミ科(例えば、純種のマウスおよびラット
る。
、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ))の遺
【0364】
伝子改変齧歯動物に妊性を回復させる。
1つの実施形態において、上記遺伝子改変動物は、トビ
【0367】
ネズミ上科(superfamily
様々な実施形態において、ADAM6オルソログ、ホモ
Dipodoi
dea)からのものであり、上記ADAM6オルソログ 50
ログおよびその断片を、該オルソログ、ホモログまたは
( 54 )
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断片が、ADAM6活性が無い遺伝子改変雄非ヒト動物
(BAC)の開発により、今や、比較的大きいゲノム断
(例えば、ADAM6またはそのオルソログのノックア
片の組換えが可能である。BAC工学は、マウスES細
ウトを含む齧歯動物、例えばマウスまたはラット)に妊
胞に大きな欠失および大きな挿入を施すことをできるよ
性を回復させるかどうか確認することにより、機能性に
うにした。
ついて評価する。様々な実施形態において、機能性は、
【0371】
内因性ADAM6またはそのオルソログもしくはホモロ
ヒト抗体を作るマウスは、ここしばらくの間に利用可能
グが無い遺伝子改変動物の精子の、遺伝子改変動物の同
になった。これらのマウスは、ヒト治療用抗体の開発の
じ種の卵管を移動して卵子を受精させる能力と定義され
重要な前進の代表であるが、その有用性を制限する多数
る。
【0368】
の重大な異常を提示する。例えば、これらのマウスは、
10
損なわれたB細胞発生を提示する。この損なわれた発生
様々な態様において、マウスADAM6(例えば、雄マ
は、トランスジェニックマウスと野生型マウスの間の様
ウスにおいて機能的であるそのオルソログまたはホモロ
々な相違に起因し得る。
グまたは断片)に同様の妊性の恩恵をもたらすタンパク
【0372】
質をコードする異所性ヌクレオチド配列を含有する、内
ヒト抗体は、成熟、増殖、またはクローン選択中の生存
因性重鎖可変領域遺伝子座またはその部分の欠失または
についてのシグナルを伝達するマウス細胞の表面のマウ
置換を含むマウスを作製することができる。上記異所性
スプレB細胞受容体またはB細部受容体と最適に相互作
ヌクレオチド配列としては、異なるマウス系統または異
用しない可能性がある。完全ヒト抗体は、マウスFc受
なる種、例えば異なる齧歯動物種、のADAM6ホモロ
容体系と最適に相互作用しない可能性があるし、マウス
グまたはオルソログ(またはその断片)であるタンパク
は、ヒトFc受容体との1対1の対応を提示しないFc
質をコードするヌクレオチド配列であって、妊性の恩恵 20
受容体を発現する。
、例えば、指定された期間にわたっての同腹子数の増加
結局、完全ヒト抗体を作る様々なマウスは、野生型B細
、および/または同腹子あたりの子の数の増加、および
胞発生に要求され得るすべての真正マウス配列を含まな
/またはマウス卵管を通り抜けてマウス卵子を受精させ
い、例えば、下流エンハンサー要素および他の遺伝子座
る雄マウスの精子細胞の能力、を付与するヌクレオチド
制御要素を含まない。
配列が挙げられる。
【0373】
【0369】
完全ヒト抗体を作製するマウスは、何らかの形で無能化
1つの実施形態において、上記ADAM6は、マウスA
されている内因性免疫グロブリン遺伝子座を一般に含み
DAM6タンパク質と少なくとも89%から99%同一
、可変および定常免疫グロブリン遺伝子セグメントを含
である(例えば、マウスADAM6aまたはマウスAD
むヒト導入遺伝子が、そのマウスゲノム内のランダムな
AM6bと少なくとも89%から99%同一である)ホ 30
場所に導入される。内因性遺伝子座が、機能的免疫グロ
モログまたはオルソログである。1つの実施形態におい
ブリン遺伝子を形成するように遺伝子セグメントを再構
て、上記異所性ヌクレオチド配列は、マウスADAM6
成できないほど無能化されている限り、たとえB細胞発
aと少なくとも89%同一のタンパク質、マウスADA
生が損なわれていたとしても、かかるマウスにおいて完
M6bと少なくとも89%同一のタンパク質、およびそ
全ヒト抗体を作製するという目的を達成することができ
の組み合わせから独立して選択される1つ以上のタンパ
る。
ク質をコードする。1つの実施形態において、上記ホモ
【0374】
ログまたはオルソログは、マウスADAM6aおよび/
ヒト導入遺伝子遺伝子座から完全ヒト抗体を作製せざる
またはマウスADAM6bと同一であるまたはマウスA
を得ないのだが、マウスにおけるヒト抗体の産生は、好
DAM6aおよび/またはマウスADAM6bと約89
ましくない過程であるようである。一部のマウスでは、
%以上同一であるように改変されているラット、ハムス 40
この過程は、トランススイッチの機序によりキメラヒト
ター、マウス、またはモルモットタンパク質である。1
可変/マウス定常重鎖(軽鎖ではなく)が形成される結
つの実施形態において、上記ホモログまたはオルソログ
果をもたらすには好ましいものではない。この機序によ
は、マウスADAM6aおよび/またはマウスADAM
り、完全ヒト抗体をコードする転写産物は、ヒトアイソ
6bと同一であるか、マウスADAM6aおよび/また
タイプからマウスアイソタイプへとトランスでアイソタ
はマウスADAM6bと少なくとも90%、91%、9
イプスイッチされる。完全ヒト導入遺伝子は、マウス重
2%、93%、94%、95%、96%、97%、98
鎖定常領域遺伝子の非損傷コピーを保持する内因性遺伝
%または99%同一である。
子座から離れた場所にあるため、この過程はトランスで
【0370】
の過程となる。かかるマウスではトランススイッチが容
ヒト化重鎖マウスにおける異所性ADAM6
易に分かるが、この現象はB細胞発生のレスキューにや
遺伝子ターゲティングの進展、例えば、細菌人工染色体 50
はり不十分であり、B細胞発生は明らかに害されたまま
( 55 )
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である。いずれにせよ、トランススイッチ現象は軽鎖に
はない――明らかにそれらはそうではない。しかし、そ
関して起こらないので、かかるマウスにおいてトランス
の遺伝子座は、すべてのVH 、DH およびJH 遺伝子セ
スイッチされた抗体は、完全ヒト軽鎖を保持する;おそ
グメントを含有する約300万塩基対の連続するマウス
らく、トランススイッチは、シスでの正常なアイソタイ
配列を、限定されたヒト重鎖遺伝子座を含有する連続す
プスイッチに(それとは異なるにせよ)用いられる内因
るヒトゲノム配列で置換することによって重鎖可変遺伝
性遺伝子座におけるスイッチ配列に依存する。したがっ
子遺伝子座におけるヒト化を達成することができるほど
て、完全ヒト抗体を作製するように工学的に作製された
に類似する。
マウスが、マウス定常領域を有する抗体を作製するため
【0378】
にトランススイッチ機序を選択する場合であっても、そ
一部の実施形態では、一定のマウス定常領域遺伝子配列
の戦略は、正常B細胞発生のレスキューにやはり不十分 10
の、ヒト遺伝子配列でのさらなる置換(例えば、マウス
である。
CH 1配列の、ヒトCH 1での置換、およびマウスCL
【0375】
配列の、ヒトCL 配列による置換)により、結果として
抗体ベースのヒト治療薬、例えば抗病原体抗体の作製に
、例えば完全ヒト抗体断片、例えば完全ヒトFabの作
おける主な関心事は、特定のエピトープを特異的に認識
製に好適な、ヒト可変領域および部分ヒト定常領域を有
し、望ましい親和性で、通常は−常にではないが−高い
する抗体を作製するハイブリッド免疫グロブリン遺伝子
親和性で、そのエピトープに結合する有用な可変ドメイ
座を有するマウスが得られる。ハイブリッド免疫グロブ
ンを同定することである。マウス免疫グロブリン重鎖可
リン遺伝子座を有するマウスは、正常な可変遺伝子セグ
変領域の、内因性マウス遺伝子座における限られた数の
メント再構成、正常な体細胞超変異頻度および正常なク
ヒト免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメントでの正確
ラススイッチを示す。これらのマウスは、野生型マウス
な置換を含有する本明細書に記載のマウスは、ほぼ野生 20
と区別できない体液性免疫系を示し、および、マウスに
型のB細胞発生を示し、免疫に応答して生成される可変
ヒト可変領域遺伝子セグメントの完全レパートリーが無
領域は完全にヒトのものであり、上記重鎖は単一のヒト
い場合でさえ、正常な細胞集団をすべてのB細胞発生段
VH 遺伝子セグメントに由来する。したがって、かかる
階で提示し、正常なリンパ器官構造を提示する。これら
マウスは、所与の抗原、例えば、病原性ウイルスへの結
のマウスを免疫することにより、多種多様な重鎖CDR
合に特異的に指向性を有する重鎖相補性決定領域(CD
および軽鎖可変遺伝子セグメントの使用を示す頑強な体
R)のパネルを作製するためのプラットホームを提供す
液性応答が得られる。
る。
【0379】
【0376】
マウス生殖細胞系可変領域遺伝子セグメントの正確な置
本明細書に記載のマウスは、内因性遺伝子座におけるマ
換により、部分ヒト免疫グロブリン遺伝子座を有するマ
ウス免疫グロブリン重鎖(IgH)の生殖細胞系可変遺 30
ウスの作製が可能になる。部分ヒト免疫グロブリン遺伝
伝子遺伝子座の、限定されたヒト免疫グロブリン重鎖可
子座は、再構成し、超変異し、正常にクラススイッチす
変遺伝子座での、および免疫グロブリン軽鎖(例えば、
るため、ヒト可変領域を含むマウスでは部分ヒト免疫グ
κ軽鎖、Igκ)の、等価のヒト免疫グロブリンκ軽鎖
ロブリン遺伝子座により抗体が産生される。その可変領
可変遺伝子遺伝子座での正確な大規模置換を含有する。
域をコードするヌクレオチド配列を同定し、クローニン
この正確な置換により、結果として、ヒト可変領域とマ
グして、選ばれた任意の配列、例えば、特定の用途に好
ウス定常領域とを有する重鎖および軽鎖を作製するハイ
適な任意の免疫グロブリンアイソタイプと(例えばin
ブリッド免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスが得ら
vitro系において)融合させ、その結果、全部が
れる。マウスVH −DH −JH およびVκ−Jκセグメ
ヒト配列に由来する抗体または抗原結合タンパク質を得
ントの正確な置換は、隣接するマウス配列をインタクト
ることができる。
なままおよび機能的なままハイブリッド免疫グロブリン 40
【0380】
遺伝子座に残す。上記マウスの体液性免疫系は、野生型
リコンビニアリング法による大規模ヒト化を用いてマウ
マウスのものと同様に機能する。B細胞発生はいかなる
ス胚性幹(ES)細胞を改変して、マウスVH 、DH お
重要な点でも妨害されず、抗原チャレンジすると上記マ
よびJH 遺伝子セグメントの本質的にすべてを含む3メ
ウスにおいてヒト重鎖CDRの体細胞変異パネルが産生
ガ塩基以下のマウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座を、単
される。
一のヒトVH 遺伝子セグメント、27のヒトDH 遺伝子
【0377】
セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子セグメントを含む
本明細書に記載のマウスは、重鎖およびκ軽鎖について
限定されたヒト重鎖遺伝子座を含有するヒトゲノム配列
の免疫グロブリン遺伝子セグメントがヒトおよびマウス
で正確に置換した。本質的にすべてのヒトVκおよびJ
において同様に再構成するので実現可能であるのだが、
κ遺伝子セグメントをコードする2つのリピートの一方
その遺伝子座は同じまたはほぼ同じであるというわけで 50
を含むヒトゲノムの二分の一メガ塩基以下のセグメント
( 56 )
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を使用して、マウスVκおよびJκ遺伝子セグメントの
【0384】
本質的にすべてを含有するマウス免疫グロブリンκ軽鎖
マウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくは
遺伝子座の3メガ塩基セグメントを置換した。
ホモログもしくは機能的断片を含む異所性配列を有する
【0381】
機能的ADAM6遺伝子座を欠いているマウスを補足す
かかる置換免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスは、
る現象は、非機能的なまたは最小機能的な内因性ADA
マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の最も3’側のVH
M6遺伝子座を有する任意のマウスのレスキューに適用
遺伝子セグメントと最も5’側のDH 遺伝子セグメント
できる一般的な方法である。それ故、免疫グロブリン重
の間で通常は見出される内因性マウスADAM6遺伝子
鎖遺伝子座のADAM6破壊改変を含む非常に多数のマ
座の破壊または欠失を含み得る。この領域の破壊は、内
ウスを本発明の組成物および方法でレスキューすること
因性マウスADAM6遺伝子座の機能性の低減または除 10
ができる。したがって、本発明は、内因性ADAM6機
去をもたらし得る。
能を含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多種多様な改変
ヒト重鎖レパートリーの最も3’側のVH 遺伝子セグメ
を有するマウスを含む。一部の(非限定的)例を本明細
ントの一方または両方を限定されたヒト重鎖遺伝子座の
書に提供する。記載するVELOCIMMUNE(登録
構築に使用すると、ヒトADAM6偽遺伝子であるよう
商標)マウスに加えて、ADAM6に関する組成物およ
に見える偽遺伝子を含有する遺伝子間領域がこれらのV
び方法を非常に多くの用途に、例えば、重鎖遺伝子座を
H
遺伝子セグメント間、すなわち、ヒトVH 1−2とV
多種多様な方法で改変するときに用いることができる。
H
1−6との間に存在する。しかし、このヒト遺伝子間
【0385】
配列を含む雄マウスは、妊性の低減を示す(米国特許出
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質(または
願第13/404,075号参照)。
そのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)
【0382】
20
をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは
上記の限定されたヒト重鎖および等価のヒトκ軽鎖遺伝
実質的にすべてのマウスVH 遺伝子セグメントの、1つ
子座を含み、マウスADAM6をコードする異所性核酸
のVH 遺伝子セグメントによる置換と、すべてのまたは
配列も含むマウスであって、本質的に正常な妊性を示す
実質的にすべてのマウスDH 遺伝子セグメントおよびJ
マウスを記載する。1つの実施形態において、上記異所
H
性核酸配列は、改変内因性重鎖遺伝子座におけるヒトV
びヒトJH 遺伝子セグメントによる置換とを含むマウス
遺伝子セグメントの、ヒトDH 遺伝子セグメントおよ
1−69とヒトDH 1−1との間に配置されたマウス
であって、CH 1領域および/またはヒンジ領域が無い
ADAM6a配列および/またはマウスADAM6b配
マウスを提供する。1つの実施形態において、上記マウ
列またはその機能的断片を含む。1つの実施形態におい
スは、(a)ヒトVH −マウスCH 1−マウスCH 2−
て、上記異所性核酸配列は、改変内因性重鎖遺伝子座に
マウスCH 3;(b)ヒトVH −マウスヒンジ−マウス
おけるヒトVH 1−69とヒトDH 1−1のと間に配置 30
CH 2−マウスCH 3;および(c)ヒトVH −マウス
された配列番号77である。配列番号77のADAM6
CH 2−マウスCH 3から選択される免疫グロブリン鎖
遺伝子の転写方向は、周囲のヒト遺伝子セグメントの転
の二量体である単一可変ドメイン結合タンパク質を作製
写方向に関して逆である。1つの実施形態において、上
する。
記異所性核酸配列は、改変内因性重鎖遺伝子座における
【0386】
ヒトVH 1−2遺伝子セグメントの上流(または5’)
1つの態様では、1つ以上のマウス免疫グロブリン重鎖
に配置されたマウスADAM6aおよび/もしくはマウ
可変遺伝子セグメント(mVH 、mDH および/または
スADAM6b配列またはその機能的断片を含む。1つ
mJH )の、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖可変遺
の実施形態において、上記異所性核酸配列は、改変内因
伝子セグメント(hVH 、hDH および/またはhJH
性重鎖遺伝子座におけるヒトVH 1−2遺伝子セグメン
)での置換を有するマウスであって、1つ以上のマウス
トの上流(または5’)に配置された配列番号73であ 40
免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメント(mVκお
る。配列番号73のADAM6遺伝子の転写方向は、周
よび/またはmJκ)の、1つ以上のヒト免疫グロブリ
囲のヒト遺伝子セグメント(例えば、ヒトVH 1−2遺
ンκ軽鎖可変遺伝子セグメント(hVκおよび/または
伝子セグメント)の転写方向に関して逆である。
hJκ)での置換をさらに含むマウスにおいて、妊性を
【0383】
レスキューするヌクレオチド配列をヒト免疫グロブリン
本明細書における例は、示されるヒト遺伝子セグメント
重鎖可変領域配列の上流(または5’)(例えば、ヒト
間に異所性配列を配置することによる妊性のレスキュー
VH 1−2またはVH 1−69遺伝子セグメントの上流
を示すが、マウスゲノム内の任意の好適な転写許容遺伝
)に配置する。
子座への(またはさらには染色体外に)異所性配列の配
【0387】
置が雄マウスの妊性を同様にレスキューすると予想され
1つの態様では、1つ以上のマウス免疫グロブリン重鎖
H
ることは、当業者であれば認める。
50
可変遺伝子セグメント(mVH 、mDH および/または
( 57 )
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mJH )の、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖可変遺
のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントの間に配置する
伝子セグメント(hVH 、hDH および/またはhJH
。特定の実施形態において、上記2つのヒト免疫グロブ
)での置換を有するマウスであって、1つ以上のマウス
リン遺伝子セグメントは、重鎖遺伝子セグメントである
免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメント(mVκお
。1つの実施形態において、上記ヌクレオチド配列をヒ
よび/またはmJκ)の、1つ以上のヒト免疫グロブリ
トVH 1−69遺伝子セグメントとヒトDH 1−1遺伝
ンκ軽鎖可変遺伝子セグメント(hVκおよび/または
子セグメントとの間に配置する。1つの実施形態におい
hJκ)での置換をさらに含むマウスにおいて、妊性を
て、上記ヌクレオチド配列をヒトVH 12遺伝子セグメ
レスキューするヌクレオチド配列をヒト免疫グロブリン
ントとヒトDH 1−1遺伝子セグメントとの間に配置す
重鎖可変領域配列内(例えば、ヒトVH 1−69または
る。1つの実施形態において、そのように改変されたマ
ヒトVH 1−2遺伝子セグメントとヒトDH 1−1遺伝 10
ウスは、単一のヒトVH 遺伝子セグメント、27のヒト
子セグメントとの間)に配置する。
DH 遺伝子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子セグメ
【0388】
ントでのマウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメン
1つの実施形態において、上記1つ以上のマウス免疫グ
トの置換、および少なくとも40のヒトVκ遺伝子セグ
ロブリン重鎖可変遺伝子セグメントは、約3メガ塩基の
メントおよび5のヒトJκ遺伝子セグメントでのマウス
マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む。1つの実施
免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントの置換を含
形態において、上記1つ以上のマウス免疫グロブリン重
む。
鎖可変遺伝子セグメントは、マウス免疫グロブリン重鎖
【0391】
遺伝子座の少なくとも89のVH 遺伝子セグメント、少
1つの態様において、機能的マウスADAM6遺伝子座
なくとも13のDH 遺伝子セグメント、少なくとも4の
(またはそのオルソログもしくはホモログもしくはその
JH 遺伝子セグメントまたはその組み合わせを含む。
20
機能的断片)は、内因性重鎖定常領域を含有する機能的
1つの実施形態において、上記1つ以上のヒト免疫グロ
重鎖をコードするように再構成できない内因性マウス重
ブリン重鎖可変遺伝子セグメントは、ヒト免疫グロブリ
鎖可変領域遺伝子座に存在するマウス遺伝子セグメント
ン重鎖遺伝子座の限られた数の(例えば、1つ、2つま
の中央に存在する。1つの実施形態において、上記内因
たは3つの)VH 遺伝子セグメント、少なくとも27の
性マウス重鎖遺伝子座は、少なくとも1つ、かつ89以
DH 遺伝子セグメント、少なくとも6のJH 遺伝子セグ
下のVH 遺伝子セグメント、少なくとも1つ、かつ13
メントまたはその組み合わせを含む。特定の実施形態に
以下のDH 遺伝子セグメント、少なくとも1つ、かつ4
おいて、上記限られた数のヒトVH 遺伝子セグメントは
以下のJH 遺伝子セグメント、およびその組み合わせを
1つである。
含む。様々な実施形態において、機能的マウスADAM
【0389】
6遺伝子座(またはそのオルソログもしくはホモログも
1つの実施形態において、上記1つ以上のマウス免疫グ 30
しくはその機能的断片)は、上記マウスにおいて機能的
ロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは、約3メガ塩基
である1つ以上のADAM6タンパク質をコードし、上
のマウス免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含む。1つの
記1つ以上のADAM6タンパク質は、配列番号1、配
実施形態において、上記1つ以上のマウス免疫グロブリ
列番号2および/またはその組み合わせを含む。
ンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは、マウス免疫グロブリ
【0392】
ンκ軽鎖遺伝子座の少なくとも137のVκ遺伝子セグ
1つの態様において、機能的マウスADAM6遺伝子座
メント、少なくとも5のJκ遺伝子セグメントまたはそ
(またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能
の組み合わせを含む。1つの実施形態において、上記1
的断片)は、内因性マウス遺伝子セグメントを置換する
つ以上のヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメン
ヒト遺伝子セグメントの中央に存在する。1つの実施形
トは、約二分の一メガ塩基のヒト免疫グロブリンκ軽鎖
態において、少なくとも89のマウスVH 遺伝子セグメ
遺伝子座を含む。特定の実施形態において、上記1つ以 40
ントを除去し、1つ、2つまたは3つのヒトVH 遺伝子
上のヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは
セグメントで置換し、およびマウスADAM6遺伝子座
、ヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の(免疫グロブリ
は、ヒトVH 遺伝子セグメントの3’末端に直ぐ隣接し
ンκ定常領域に関して)近位リピートを含む。1つの実
て存在するか、2つのヒトVH 遺伝子セグメント間に存
施形態において、上記1つ以上のヒト免疫グロブリンκ
在する。1つの実施形態において、少なくとも89のマ
軽鎖可変遺伝子セグメントは、ヒト免疫グロブリンκ軽
ウスVH 遺伝子セグメントを除去し、単一のヒトVH 遺
鎖遺伝子座の少なくとも40のVκ遺伝子セグメント、
伝子セグメントで置換し、およびマウスADAM6遺伝
少なくとも5のJκ遺伝子セグメントまたはその組み合
子座は、ヒトVH 遺伝子セグメントの3’末端に直ぐ隣
わせを含む。
接して存在する。特定の実施形態において、上記マウス
【0390】
ADAM6遺伝子座は、挿入されたヒトVH 遺伝子セグ
1つの実施形態において、上記ヌクレオチド配列を2つ 50
メントの3’末端の約20キロ塩基(kb)から約40
( 58 )
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キロ塩基(kb)以内のVH 遺伝子セグメントの3’に
該ヒトVH 1−2遺伝子セグメントの5’末端から約3
存在する。特定の実施形態において、上記マウスADA
2,833bpであり、および該ADAM6遺伝子座の
M6遺伝子座は、挿入されたヒトVH 遺伝子セグメント
3’末端は、該ヒトVH 1−2遺伝子セグメントの5’
の3’末端の約29kbから約31kb以内のVH 遺伝
末端から約18,078bpである。特定の実施形態に
子セグメントの3’に存在する。特定の実施形態におい
おいて、上記マウスADAM6遺伝子座は、マウスの細
て、上記マウスADAM6遺伝子座は、挿入されたヒト
胞内にADAM6機能を付与する配列番号3またはその
VH 遺伝子セグメントの3’末端の約30kb以内に存
断片を含む。特定の実施形態において、上記マウスAD
在する。特定の実施形態において、上記マウスADAM
AM6遺伝子座は、マウスの細胞内にADAM6機能を
6遺伝子座は、挿入されたヒトVH 遺伝子セグメントの
3’末端の約30,184bp以内に存在する。
付与する配列番号73またはその断片を含む。特定の実
10
施形態において、上記マウスADAM6遺伝子座は、マ
【0393】
ウスの細胞内にADAM6機能を付与する配列番号77
特定の実施形態において、上記置換は、ヒト遺伝子セグ
またはその断片を含む。そこで、特定の実施形態におい
メントVH 1−69およびDH 1−1を含み、上記マウ
て、ヒト遺伝子セグメントの構成は、以下のものである
スADAM6遺伝子座は、該VH 1−69遺伝子セグメ
(ヒト遺伝子セグメントの転写方向に関して上流から下
ントの下流かつ該DH 1−1遺伝子セグメントの上流に
流に):マウスADAM6遺伝子座−ヒトVH 1−2−
存在する。特定の実施形態において、上記マウスADA
ヒトDH 1−1。1つの実施形態において、転写方向に
M6遺伝子座は、ヒトVH 1−69遺伝子セグメントと
関して、マウスADAM6遺伝子座のマウスADAM6
ヒトDH 1−1遺伝子セグメントとの間に存在し、この
aおよびマウスADAM6bのうちの1つ以上の配向は
場合、該マウスADAM6遺伝子座の5’末端は、該ヒ
、ヒト遺伝子セグメントについての配向と比較して逆で
トVH 1−69遺伝子セグメントの3’末端から約25 20
ある。あるいは、マウスADAM6遺伝子座は、単一の
8bpであり、および該ADAM6遺伝子座の3’末端
ヒトVH 遺伝子セグメントに対して3’またはその下流
は、該ヒトDH 1−1遺伝子セグメントの約3,263
に存在する。
bp5’側に存在する。特定の実施形態において、上記
【0395】
マウスADAM6遺伝子座は、マウスの細胞内にADA
同様に、すべてのまたは実質的にすべての内因性マウス
M6機能を付与する配列番号3またはその断片を含む。
VH 遺伝子セグメントを置換する、上記1つ以上のヒト
特定の実施形態において、上記マウスADAM6遺伝子
VL 遺伝子セグメント(例えば、VκまたはVλセグメ
座は、マウスの細胞内にADAM6機能を付与する配列
ント)で改変されるマウスは、上に記載したように、例
番号73またはその断片を含む。特定の実施形態におい
えばマウスADAM6遺伝子座もしくはその機能的断片
て、上記マウスADAM6遺伝子座は、マウスの細胞内
を含む下流ホモロジーアームを有するターゲティングベ
にADAM6機能を付与する配列番号77またはその断 30
クターを利用することにより、内因性マウスADAM6
片を含む。そこで、特定の実施形態において、ヒト遺伝
遺伝子座を維持するように改変することができ、あるい
子セグメントの構成は、以下のものである(ヒト遺伝子
は2つのヒトVL 遺伝子セグメント間に、またはヒトV
セグメントの転写方向に関して上流から下流に):ヒト
L
VH 1−69−マウスADAM6遺伝子座−ヒトDH 1
トであろうとマウスであろうと、例えば、Vλ+m/h
−1。1つの実施形態において、転写方向に関して、マ
DH )もしくはJ遺伝子セグメントとの間(ヒトであろ
ウスADAM6遺伝子座のマウスADAM6aおよびマ
うとマウスであろうと、例えば、Vκ+JH )に位置す
ウスADAM6bのうちの1つ以上の配向は、ヒト遺伝
る異所配列で損傷マウスADAM6遺伝子座を置換する
子セグメントについての配向と比較して逆である。ある
ように改変することができる。1つの実施形態において
いは、マウスADAM6遺伝子座は、単一のヒトVH 遺
、上記置換は、2つ以上のヒトVL 遺伝子セグメントを
伝子セグメントに対して5’またはその上流に存在する 40
含み、および上記マウスADAM6遺伝子座またはその
。
機能的断片は、2つの最も3’側のVL 遺伝子セグメン
【0394】
ト間に存在する。そこで、特定の実施形態において、ヒ
特定の実施形態において、上記置換は、ヒト遺伝子セグ
トVL 遺伝子セグメントの構成は、以下のものである(
メントVH 1−2およびDH 1−1を含み、上記マウス
ヒト遺伝子セグメントの転写方向に関して上流から下流
ADAM6遺伝子座は、該VH 1−2遺伝子セグメント
に):ヒトVL 3’−1−マウスADAM6遺伝子座−
の上流かつ該DH 1−1遺伝子セグメントの上流に存在
ヒトVL 3’。1つの実施形態において、転写方向に関
する。特定の実施形態において、上記マウスADAM6
して、マウスADAM6遺伝子座のマウスADAM6a
遺伝子座は、ヒトVH 1−2遺伝子セグメントとヒトD
およびマウスADAM6bのうちの1つ以上の配向は、
1−1遺伝子セグメントの上流または5’に存在し、
ヒトVL 遺伝子セグメントの配向と比較して逆である。
H
この場合、該マウスADAM6遺伝子座の5’末端は、 50
遺伝子セグメントとDH 遺伝子セグメントとの間(ヒ
あるいは、マウスADAM6遺伝子座は、最も3’側の
( 59 )
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ヒトVL 遺伝子セグメントと最も5’側のDH 遺伝子セ
の遺伝子改変を行うための方法は当業者に公知である。
グメントの間の遺伝子間領域に存在する。
【0399】
最も5’側のDH セグメントがマウスであろうと、ヒト
マウスADAM6タンパク質をコードする異所性配列ま
であろうとこのとおりであるはずである。
たはマウスADAM6タンパク質の妊性の恩恵をもたら
【0396】
す実質的に同一もしくは同様のタンパク質をコードする
1つの態様では、1つ以上の内因性マウスVH 遺伝子セ
異所性配列を含有するマウスは、内因性マウスADAM
グメントの置換を有する、および少なくとも1つの内因
6配列を破壊するかまたは欠失させるマウス免疫グロブ
性マウスDH 遺伝子セグメントを含むマウスを提供する
リン重鎖可変遺伝子遺伝子座への改変に関連して特に有
。かかるマウスにおいて、上記内因性マウスVH 遺伝子
用である。ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する
セグメントの改変は、最も5’側のDH 遺伝子セグメン 10
抗体を発現するマウスに関連して主として記載したが、
トではなく、最も3’側のVH 遺伝子セグメントの1つ
かかるマウスは、内因性マウスADAM6遺伝子を破壊
以上についての改変を含み得、この場合、上記1つ以上
する任意の遺伝子改変に関連して有用である。これが、
の最も3’側のVH 遺伝子セグメントの改変が、上記内
マウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座の改変を
因性マウスADAM6遺伝子座を破壊しないようにまた
含有する多種多様な遺伝子改変マウスを包含することは
は非機能的にしないように注意する。例えば、1つの実
、当業者であれば認める。これらには、例えば、マウス
施形態において、上記マウスは、すべてのまたは実質的
免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントのすべてまたは一
にすべての内因性マウスVH 遺伝子セグメントの、1つ
部分の欠失または置換を、他の改変にかかわらず有する
のヒトVH 遺伝子セグメントによる置換を含み、および
マウスが含まれる。非限定的な例を下に記載する。
上記マウスは、1つ以上の内因性DH 遺伝子セグメント
【0400】
および機能的内因性マウスADAM6遺伝子座を含む。 20
一部の態様では、マウスにおいて機能的な異所性マウス
【0397】
、齧歯動物または他のADAM6遺伝子(またはオルソ
もう1つの実施形態において、上記マウスは、最も3’
ログもしくはホモログもしくは断片)と1つ以上のヒト
側の内因性マウスVH 遺伝子セグメントの改変、および
免疫グロブリン可変および/または定常領域遺伝子セグ
1つ以上の内因性マウスDH 遺伝子セグメントの改変を
メントとを含む遺伝子改変マウスを提供する。様々な実
含み、該改変は、内因性ADAM6遺伝子座が機能的な
施形態において、マウスにおいて機能的である他のAD
ままである程度まで該内因性マウスADAM6遺伝子座
AM6遺伝子オルソログまたはホモログまたは断片は、
の完全性が維持されるように行う。一例では、かかる改
ウシ、イヌ、霊長類、ウサギまたは他の非ヒト配列を含
変を二工程で行う:(1)上流ホモロジーアームと、機
み得る。
能的マウスADAM6遺伝子座のすべてまたは部分を含
【0401】
む下流ホモロジーアームとを有するターゲティングベク 30
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質をコード
ターを利用して、最も3’側の内因性マウスVH 遺伝子
する異所性ADAM6配列と、すべてのまたは実質的に
セグメントを1つのヒトVH 遺伝子セグメントで置換す
すべてのマウスVH 遺伝子セグメントの、1つのヒトV
る工程;(2)次に、マウスADAM6遺伝子座のすべ
H
てまたは機能的部分を含む上流ホモロジーアームを有す
的にすべてのマウスDH 遺伝子セグメントの、1つ以上
るターゲティングベクターで内因性マウスDH 遺伝子セ
のヒトDH 遺伝子セグメントによる置換と、すべてのま
グメントを置換する工程。
たは実質的にすべてのマウスJH 遺伝子セグメントの、
【0398】
1つ以上のヒトJH 遺伝子セグメントによる置換とを含
様々な態様において、改変が内因性マウスADAM6の
むマウスを提供する。
機能を破壊する場合、マウスADAM6タンパク質また
【0402】
はそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的ホモ 40
1つの実施形態において、上記マウスは、マウスCH 1
ログをコードする異所性配列を含有するマウスの利用は
ヌクレオチド配列の、ヒトCH 1ヌクレオチド配列によ
有用である。内因性マウスADAM6機能を破壊する確
る置換をさらに含む。1つの実施形態において、上記マ
率は、マウス免疫グロブリン遺伝子座への改変を行うと
ウスは、マウスヒンジヌクレオチド配列の、ヒトヒンジ
き、特に、マウス免疫グロブリン重鎖可変領域および周
ヌクレオチド配列による置換をさらに含む。1つの実施
囲の配列を改変するときに高い。したがって、かかるマ
形態において、上記マウスは、免疫グロブリン軽鎖可変
ウスは、全部もしくは一部が欠失している、全部もしく
遺伝子座(VL およびJL )の、ヒト免疫グロブリン軽
は一部がヒト化されている、または全部もしくは一部が
鎖可変遺伝子座での置換をさらに含む。1つの実施形態
(例えば、VκもしくはVλ配列で)置換されている免
において、上記マウスは、マウス免疫グロブリン軽鎖定
疫グロブリン重鎖遺伝子座を有するマウスを作製すると
常領域ヌクレオチド配列の、ヒト免疫グロブリン軽鎖定
きに特に有益である。下に記載するマウスに対して記載 50
常領域ヌクレオチド配列による置換をさらに含む。特定
遺伝子セグメントによる置換と、すべてのまたは実質
( 60 )
JP
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の実施形態において、上記VL 、JL およびCL は、免
成の発生が可能になるように、組換え認識配列を改変す
疫グロブリンκ軽鎖配列である。特定の実施形態におい
る。
て、上記マウスは、ヒトヒンジおよびヒトCH 1配列と
【0406】
融合したマウスCH 2およびマウスCH 3免疫グロブリ
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質(または
ン定常領域配列を含むので、該マウス免疫グロブリン遺
そのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)
伝子座が再構成して、(a)ヒト可変領域、ヒトCH 1
をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは
領域、ヒトヒンジ領域ならびにマウスCH 2およびマウ
実質的にすべてのマウスVH 遺伝子セグメントの、1つ
スCH 3領域を有する重鎖と、(b)ヒト可変ドメイン
以上のヒトVL 遺伝子セグメントによる置換と、すべて
およびヒト定常領域を含む免疫グロブリン軽鎖をコード
のもしくは実質的にすべてのDH 遺伝子セグメントおよ
する遺伝子とを含む結合タンパク質をコードする遺伝子 10
びJH 遺伝子セグメントの、ヒトJL 遺伝子セグメント
を形成する。
による置換とを含むマウスであって、CH 1および/ま
【0403】
たはヒンジ領域が無いマウスを提供する。
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質をコード
【0407】
する異所性ADAM6配列と、すべてのまたは実質的に
1つの実施形態において、上記マウスにはCH 1ドメイ
すべてのマウスVH 遺伝子セグメントの、1つ以上のヒ
ンをコードする配列が無い。1つの実施形態において、
トVL 遺伝子セグメントによる置換と、必要に応じて、
上記マウスにはヒンジ領域をコードする配列が無い。1
すべてのもしくは実質的にすべてのDH 遺伝子セグメン
つの実施形態において、上記マウスにはCH 1ドメイン
トおよび/もしくはJH 遺伝子セグメントの、1つ以上
およびヒンジ領域をコードする配列が無い。
のヒトDH 遺伝子セグメントおよび/もしくはヒトJH
【0408】
遺伝子セグメントによる置換と、または必要に応じて、 20
特定の実施形態において、上記マウスは、マウスCH 3
すべてのもしくは実質的にすべてのDH 遺伝子セグメン
ドメインに結合しているマウスCH 2ドメインに融合し
トおよびJH 遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトJL
ているヒト免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(λまたは
遺伝子セグメントによる置換とを含むマウスを提供する
κ)を含む結合タンパク質を発現する
。
【0409】
【0404】
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質(または
1つの実施形態において、上記マウスは、すべてのまた
そのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)
は実質的にすべてのマウスVH 、DH およびJH 遺伝子
をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは
セグメントの、1つ以上のVL 、1つ以上のDH 、およ
実質的にすべてのマウスVH 遺伝子セグメントの、1つ
び1つ以上のJ遺伝子セグメント(例えば、Jκまたは
以上のヒトVL 遺伝子セグメントによる置換と、すべて
Jλ)での置換を含み、これらの遺伝子セグメントは、 30
のもしくは実質的にすべてのマウスDH およびJH 遺伝
内因性マウスヒンジ領域に作動可能に連結されており、
子セグメントの、ヒトJL 遺伝子セグメントによる置換
該マウスは、転写方向に5’から3’へと、ヒトVL −
とを含むマウスを提供する。
ヒトまたはマウスDH −ヒトまたはマウスJ−マウスヒ
【0410】
ンジ−マウスCH 2−マウスCH 3を含有する再構成免
1つの実施形態において、上記マウスは、CH 1領域、
疫グロブリン鎖遺伝子を形成する。1つの実施形態にお
ヒンジ領域、CH 1およびヒンジ領域、またはCH 1領
いて、上記J領域は、ヒトJκ領域である。1つの実施
域およびヒンジ領域およびCH 2領域をコードする免疫
形態において、上記J領域は、ヒトJH 領域である。1
グロブリン重鎖定常領域遺伝子配列の欠失を含む。
つの実施形態において、上記J領域は、ヒトJλ領域で
【0411】
ある。1つの実施形態において、上記ヒトVL 領域は、
ヒトVλ領域およびヒトVκ領域から選択される。
1つの実施形態において、上記マウスは、以下のものか
40
ら選択されるホモ二量体を含む単一可変ドメイン結合タ
【0405】
ンパク質を作製する:(a)ヒトVL −マウスCH 1−
特定の実施形態において、上記マウスは、マウスまたは
マウスCH 2−マウスCH 3;(b)ヒトVL −マウス
ヒト定常領域と、ヒトVκ、ヒトDH およびヒトJκ;
ヒンジ−マウスCH 2−マウスCH 3;(c)ヒトVL
ヒトVκ、ヒトDH およびヒトJH ;ヒトVλ、ヒトD
−マウスCH 2−マウスCH 3。
H
およびヒトJλ;ヒトVλ、ヒトDH およびヒトJH
【0412】
;ヒトVκ、ヒトDH およびヒトJλ;ヒトVλ、ヒト
1つの態様では、無能化または欠失された内因性マウス
DH およびヒトJκに由来する可変領域とを有する、単
ADAM6遺伝子座を含む、無能化された内因性重鎖免
一可変ドメイン抗体を発現する。特定の実施形態では、
疫グロブリン遺伝子座を有するマウスであって、ヒトま
列挙したV、DおよびJ遺伝子セグメント間でのまたは
たはマウスまたはヒト/マウスもしくは他のキメラ抗体
列挙したVおよびJ遺伝子セグメント間での生産的再構 50
を発現する核酸配列を含むマウスを提供する。1つの実
( 61 )
JP
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施形態において、上記核酸配列は、組み込まれた導入遺
形態において、上記マウスまたはラットは、キヌゲネズ
伝子上に存在し、該導入遺伝子は、マウスゲノムにラン
ミ科およびネズミ科から選択される。1つの実施形態に
ダムに組み込まれている。1つの実施形態において、上
おいて、上記キメラ抗体は、ヒト重鎖可変ドメインと、
記核酸配列は、野生型マウスでは見出さないエピソーム
ヒト軽鎖可変ドメインと、マウスおよびラットから選択
(例えば、染色体)上にある。
される齧歯動物由来の定常領域配列とを含み、この場合
【0413】
のヒト重鎖可変ドメインおよびヒト軽鎖は同種のもので
1つの実施形態において、上記マウスは、無能化された
ある。特定の実施形態において、同種のものとしては、
内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座をさらに含む。特定
ヒト重鎖およびヒト軽鎖可変ドメインが、該ヒト軽鎖可
の実施形態において、上記内因性免疫グロブリン軽鎖遺
変ドメインと該ヒト重鎖可変ドメインを一緒に発現して
伝子座は、カッパ(κ)およびラムダ(λ)軽鎖遺伝子 10
その可変ドメインを個々のB細胞の表面に一緒に提示す
座から選択される。特定の実施形態において、上記マウ
る単一B細胞からのものである、同種のものが挙げられ
スは、無能化された内因性κ軽鎖遺伝子座および無能化
る。
されたλ軽鎖遺伝子座を含み、この場合のマウスは、ヒ
【0417】
ト免疫グロブリン重鎖可変ドメインおよびヒト免疫グロ
1つの実施形態において、上記キメラ抗体を免疫グロブ
ブリン軽鎖ドメインを含む抗体を発現する。1つの実施
リン遺伝子座から発現させる。
形態において、上記ヒト免疫グロブリン軽鎖ドメインは
1つの実施形態において、上記キメラ抗体の重鎖可変ド
、ヒトκ軽鎖ドメインおよびヒトλ軽鎖ドメインから選
メインを再構成内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座から
択される。
発現させる。1つの実施形態において、上記キメラ抗体
【0414】
の軽鎖可変ドメインを再構成内因性免疫グロブリン軽鎖
1つの態様では、キメラ抗体を発現する遺伝子改変動物 20
遺伝子座から発現させる。1つの実施形態において、上
であって、該遺伝子改変動物において機能的であるAD
記キメラ抗体の重鎖可変ドメインおよび/または上記キ
AM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモロ
メラ抗体の軽鎖可変ドメインを再構成導入遺伝子(例え
グを発現する遺伝子改変動物を提供する。
ば、内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝子座の、
【0415】
動物のゲノムに組み込まれている非再構成核酸配列から
1つの実施形態において、上記遺伝子改変動物は、マウ
誘導された再構成核酸配列)から発現させる。1つの実
スおよびラットから選択される。1つの実施形態におい
施形態において、上記キメラ抗体の軽鎖可変ドメインを
て、上記遺伝子改変動物はマウスであり、上記ADAM
再構成導入遺伝子(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝
6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログは
子座以外の遺伝子座の、動物のゲノムに組み込まれてい
、該遺伝子改変動物とは異なる系統であるマウス系統か
る非再構成核酸配列から誘導された再構成核酸配列)か
らのものである。1つの実施形態において、上記遺伝子 30
ら発現させる。
改変動物は、キヌゲネズミ科の齧歯動物(例えば、ハム
【0418】
スター、新世界ラットまたはマウス、ハタネズミ)であ
特定の実施形態において、上記導入遺伝子を転写活性遺
り、および上記ADAM6タンパク質オルソログまたは
伝子座、例えば、ROSA26遺伝子座、例えばネズミ
ホモログは、ネズミ科の齧歯動物(例えば、純種のマウ
(例えばマウス)ROSA26遺伝子座から発現させる
スおよびラット、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミ
。
ネズミ)からのものである。1つの実施形態において、
【0419】
上記遺伝子改変動物は、ネズミ科の齧歯動物であり、上
1つの態様では、非ヒト動物であって、ヒト化免疫グロ
記ADAM6タンパク質オルソログまたはホモログは、
ブリン重鎖遺伝子座を含み、該ヒト化免疫グロブリン重
キヌゲネズミ科の齧歯動物からのものである。
【0416】
鎖遺伝子座が非ヒトADAM6配列またはそのオルソロ
40
グもしくはホモログを含む、非ヒト動物を提供する。
1つの実施形態において、上記キメラ抗体は、ヒト可変
【0420】
ドメインと齧歯動物の定常領域配列とを含む。1つの実
1つの実施形態において、上記非ヒトADAM6オルソ
施形態において、上記齧歯動物は、キヌゲネズミ科の齧
ログまたはホモログは、マウスADAM6配列とオルソ
歯動物およびネズミ科の齧歯動物から選択される。特定
ロガスおよび/または相同性である配列であり、そのオ
の実施形態において、上記キヌゲネズミ科およびネズミ
ルソログまたはホモログは、非ヒト動物において機能的
科の齧歯動物は、マウスである。特定の実施形態におい
である。
て、上記キヌゲネズミ科およびネズミ科の齧歯動物は、
【0421】
ラットである。1つの実施形態において、上記キメラ抗
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、マウス、
体は、ヒト可変ドメインと、マウスまたはラットから選
ラットおよびハムスターから選択される齧歯動物である
択される動物からの定常ドメインとを含む;特定の実施 50
。
( 62 )
JP
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【0422】
、V遺伝子セグメントに並置されている。1つの実施形
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、マウス、
態において、上記非ヒトADAM6配列は、2つのV遺
ラットおよびハムスターから選択され、上記ADAM6
伝子セグメント間に位置する。1つの実施形態において
オルソログまたはホモログは、マウス、ラットおよびハ
、上記非ヒトADAM6配列は、V遺伝子セグメントと
ムスターから選択される非ヒト動物からのものである。
D遺伝子セグメントとの間に並置されている。1つの実
特定の実施形態において、上記非ヒト動物はマウスであ
施形態において、上記マウスADAM6配列は、V遺伝
り、上記ADAM6オルソログまたはホモログは、異な
子セグメントとJ遺伝子セグメントとの間に位置する。
るマウス種、ラットおよびハムスターから選択される動
1つの実施形態において、上記マウスADAM6配列は
物からのものである。特定の実施形態において、上記非
、D遺伝子セグメントとJ遺伝子セグメントとの間に並
ヒト動物はラットであり、上記ADAM6オルソログま 10
置されている。
たはホモログは、異なるラット種、マウスおよびハムス
【0427】
ターから選択される齧歯動物からのものである。特定の
1つの態様では、免疫グロブリン遺伝子座からヒトVL
実施形態において、上記非ヒト動物はハムスターであり
ドメインと同種のヒトVH ドメインを発現するB細胞を
、上記ADAM6オルソログまたはホモログは、異なる
含む遺伝子改変非ヒト動物であって、該免疫グロブリン
ハムスター種、マウスおよびラットから選択される齧歯
遺伝子座から非免疫グロブリン非ヒトタンパク質を発現
動物からのものである。
する遺伝子改変非ヒト動物を提供する。1つの実施形態
【0423】
において、上記非免疫グロブリン非ヒトタンパク質は、
特定の実施形態において、上記非ヒト動物は、ネズミ亜
ADAMタンパク質である。特定の実施形態において、
目からのものであり、上記ADAM6配列は、トビネズ
上記ADAMタンパク質は、ADAM6タンパク質また
ミ上科の齧歯動物およびネズミ上科の齧歯動物から選択 20
はそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片
される動物からのものである。特定の実施形態において
である。
、上記齧歯動物は、ネズミ上科のマウスであり、上記A
【0428】
DAM6オルソログまたはホモログは、ネズミ上科のマ
1つの実施形態において、上記非ヒト動物は、齧歯動物
ウスまたはラットまたはハムスターからのものである。
(例えば、マウスまたはラット)である。1つの実施形
【0424】
態において、上記齧歯動物は、ネズミ科のものである。
1つの実施形態において、上記ヒト化重鎖遺伝子座は、
1つの実施形態において、上記齧歯動物は、ネズミ上科
単一のヒトVH 遺伝子セグメント、1つ以上のヒトDH
のものである。特定の実施形態において、上記ネズミ上
遺伝子セグメントおよび1つ以上のヒトJH 遺伝子セグ
科の齧歯動物は、マウスおよびラットから選択される。
メントを含む。特定の実施形態において、ヒトVH 遺伝
【0429】
子セグメント、1つ以上のヒトDH 遺伝子セグメントお 30
1つの実施形態において、上記非免疫グロブリン非ヒト
よび1つ以上のヒトJH 遺伝子セグメントは、1つ以上
タンパク質は、齧歯動物タンパク質である。1つの実施
のヒト、キメラおよび/または齧歯動物(例えば、マウ
形態において、上記齧歯動物は、ネズミ科のものである
スもしくはラット)定常領域遺伝子に作動可能に連結さ
。1つの実施形態において、上記齧歯動物は、ネズミ上
れている。1つの実施形態において、上記定常領域遺伝
科のものである。特定の実施形態において、上記齧歯動
子はマウスである。1つの実施形態において、上記定常
物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される
領域遺伝子はラットである。1つの実施形態において、
。
上記定常領域遺伝子はハムスターである。1つの実施形
【0430】
態において、上記定常領域遺伝子は、ヒンジ、CH 2、
1つの実施形態において、上記ヒトVH およびVL ドメ
CH 3およびその組み合わせから選択される配列を含む
インは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に直接または
。特定の実施形態において、上記定常領域遺伝子は、ヒ 40
リンカーによって結合する。特定の実施形態において、
ンジ、CH 2およびCH 3配列を含む。
上記定常ドメイン配列は、ヒンジ、CH 2、CH 3およ
【0425】
びその組み合わせから選択される配列を含む。特定の実
1つの実施形態において、上記非ヒトADAM6配列は
施形態において、上記ヒトVL ドメインは、Vκまたは
、ヒト免疫グロブリン重鎖配列に隣接する。1つの実施
Vλドメインから選択される。
形態において、上記非ヒトADAM6配列は、ヒト免疫
【0431】
グロブリン重鎖配列内に位置する。特定の実施形態にお
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物であって、その
いて、上記ヒト免疫グロブリン重鎖配列は、V、Dおよ
生殖細胞系にヒト免疫グロブリン配列を含み、雄非ヒト
び/またはJ遺伝子セグメントを含む。
動物の精子がin
【0426】
伝子改変非ヒト動物を提供する。1つの実施形態におい
1つの実施形態において、上記非ヒトADAM6配列は 50
て、上記in
vivo移動欠陥を特徴とする、遺
vivo移動欠陥は、上記雄非ヒト動物
( 63 )
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の精子が同じ種の雌非ヒト動物の子宮から卵管を通って
において、上記単一のVH 遺伝子セグメントは、VH 1
移動することができないことを含む。1つの実施形態に
−69である。
おいて、上記非ヒト動物には、ADAM6タンパク質ま
【0436】
たはその機能的断片をコードするヌクレオチド配列が無
様々な実施形態において、上記VH 遺伝子セグメントは
い。特定の実施形態において、上記ADAM6タンパク
、VH 6−1、VH 1−2、VH 1−3、VH 2−5、
質またはその機能的断片は、ADAM6aおよび/もし
VH 3−7、VH 1−8、VH 3−9、VH 3−11、
くはADAM6bタンパク質またはその機能的断片を含
VH 3−13、VH 3−15、VH 3−16、VH 1−
む。1つの実施形態において、上記非ヒト動物は齧歯動
18、VH 3−20、VH 3−21、VH 3−23、V
物である。特定の実施形態において、上記齧歯動物は、
マウス、ラットおよびハムスターから選択される。
H
10
1−24、VH 2−26、VH 4−28、VH 3−3
0、VH 4−31、VH 3−33、VH 4−34、VH
【0432】
3−35、VH 3−38、VH 4−39、VH 3−43
1つの態様では、ADAM6タンパク質またはそのオル
、VH 1−45、VH 1−46、VH 3−48、VH 3
ソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコードす
−49、VH 5−51、VH 3−53、VH 1−58、
る非ヒト配列に隣接するヒト免疫グロブリン配列を含む
VH 4−59、VH 4−61、VH 3−64、VH 3−
非ヒト動物を提供する。1つの実施形態において、上記
66、VH 1−69、VH 2−70、VH 3−72、V
非ヒト動物は齧歯動物である。特定の実施形態において
H
、上記齧歯動物は、マウス、ラットおよびハムスターか
【0437】
ら選択される。
様々な実施形態において、上記VH 遺伝子セグメントは
【0433】
表1から選択され、5つ以上の対立遺伝子によって天然
1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン配列 20
ヒトレパートリーで表される。特定の実施形態において
は、免疫グロブリン重鎖配列である。1つの実施形態に
、上記VH 遺伝子は、VH 1−2、VH 1−69、VH
おいて、上記免疫グロブリン配列は、単一のVH 遺伝子
2−5、VH 2−70、VH 3−15、VH 3−23、
セグメントを含む。1つの実施形態において、上記ヒト
VH 3−30、VH 3−33、VH 3−49、VH 3−
免疫グロブリン配列は、1つ以上のDH 遺伝子セグメン
64、VH 4−4、VH 4−28、VH 4−30−2、
トを含む。1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロ
VH 4−30−4、VH 4−31、VH 4−34、VH
ブリン配列は、1つ以上のJH 遺伝子セグメントを含む
4−39、VH 4−59、VH 4−61、VH 5−51
。1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン配
およびVH 7−4−1から選択される。
列は、単一のVH 遺伝子セグメント、1つ以上のDH 遺
【0438】
伝子セグメントおよび1つ以上のJH 遺伝子セグメント
1つの実施形態において、上記非ヒト動物はマウスであ
を含む。
30
3−73およびVH 3−74から選択される。
り、該マウスは、内因性マウスVH 遺伝子セグメントの
【0434】
、単一のヒトVH 遺伝子セグメントによる置換を含み、
1つの実施形態において、上記免疫グロブリン配列は、
該ヒトVH 遺伝子セグメントはマウスCH 領域遺伝子に
天然ヒトレパートリーにおける多型に関連づけられた単
作動可能に連結されているので、該マウスは、ヒトVH
一のVH 遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態にお
遺伝子セグメントを再構成し、およびヒトVH ドメイン
いて、上記単一のVH 遺伝子セグメントは、ヒトVH 1
とマウスCH とを含む逆キメラ免疫グロブリン重鎖を発
−2、VH 1−69、VH 2−26、VH 2−70また
現する。1つの実施形態において、非再構成マウスVH
はVH 3−23から選択される。もう1つの特定の実施
遺伝子セグメントの90∼100%が、1つの非再構成
形態において、上記単一のVH 遺伝子セグメントは、V
ヒトVH 遺伝子セグメントで置換されている。特定の実
1−2である。もう1つの特定の実施形態において、
施形態において、上記内因性マウスVH 遺伝子セグメン
H
上記単一のVH 遺伝子セグメントは、VH 1−69であ 40
トのすべてまたは実質的にすべてが、1つの非再構成ヒ
る。
トVH 遺伝子セグメントで置換されている。1つの実施
【0435】
形態において、上記置換は、非再構成ヒトVH 1−69
1つの実施形態において、上記免疫グロブリン配列は、
遺伝子セグメントでのものである。1つの実施形態にお
天然ヒトレパートリーにおける複数のコピー数に関連づ
いて、上記置換は、非再構成ヒトVH 1−2遺伝子セグ
けられた単一のVH 遺伝子セグメントを含む。特定の実
メントでのものである。1つの実施形態において、上記
施形態において、上記単一のVH 遺伝子セグメントは、
置換は、非再構成ヒトVH 2−26遺伝子セグメントで
ヒトVH 1−2、VH 1−69、VH 2−26、VH 2
のものである。1つの実施形態において、上記置換は、
−70またはVH 3−23から選択される。もう1つの
非再構成ヒトVH 2−70遺伝子セグメントでのもので
特定の実施形態において、上記単一のVH 遺伝子セグメ
ある。1つの実施形態において、上記置換は、非再構成
ントは、VH 1−2である。もう1つの特定の実施形態 50
ヒトVH 3−23遺伝子セグメントでのものである。
( 64 )
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【0439】
実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は
1つの実施形態において、上記マウスは、すべてのマウ
、少なくとも16のVκ遺伝子セグメントおよび5つの
スDH およびJH セグメントの、少なくとも1つの非再
Jκ遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において
構成ヒトDH セグメントおよび少なくとも1つの非再構
、上記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、少なくとも30
成ヒトJH セグメントによる置換を含む。1つの実施形
のVκ遺伝子セグメントおよび5つのJκ遺伝子セグメ
態において、上記少なくとも1つの非再構成ヒトDH セ
ントを含む。特定の実施形態において、上記ヒト免疫グ
グメントは、1−1、1−7、1−26、2−8、2−
ロブリン軽鎖配列は、少なくとも40のVκ遺伝子セグ
15、3−3、3−10、3−16、3−22、5−5
メントおよび5つのJκ遺伝子セグメントを含む。様々
、5−12、6−6、6−13、7−27およびその組
な実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列
み合わせから選択される。1つの実施形態において、上 10
は、非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えばマウス、ラ
記少なくとも1つの非再構成ヒトJH セグメントは、1
ットまたはハムスター)の生殖細胞系における定常領域
、2、3、4、5、6およびその組み合わせから選択さ
と作動可能な連結状態にある。1つの実施形態において
れる。
、上記定常領域は、ヒト、キメラヒト/齧歯動物、マウ
【0440】
ス、ラットまたはハムスター定常領域である。特定の実
様々な実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン配列
施形態において、上記定常領域は、マウスまたはラット
は、非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えばマウス、ラ
定常領域である。特定の実施形態において、上記定常領
ットまたはハムスター)の生殖細胞系における定常領域
域は、マウスκ定常(mCκ)領域またはラットκ定常
と作動可能な連結状態にある。1つの実施形態において
(rCκ)領域である。
、上記定常領域は、ヒト、キメラヒト/マウスまたはキ
【0443】
メラヒト/ラットまたはキメラヒト/ハムスター、マウ 20
1つの実施形態において、上記非ヒト動物はマウスであ
ス、ラットまたはハムスター定常領域である。1つの実
り、該マウスは、すべてのまたは実質的にすべてのVκ
施形態において、上記定常領域は、齧歯動物(例えば、
およびJκ遺伝子セグメントの、少なくとも6のヒトV
マウスまたはラットまたはハムスター)定常領域である
κ遺伝子セグメントおよび少なくとも1つのJκ遺伝子
。特定の実施形態において、上記齧歯動物は、マウスま
セグメントによる置換を含む。1つの実施形態では、す
たはラットである。様々な実施形態において、上記定常
べてのまたは実質的にすべてのVκおよびJκ遺伝子セ
領域は、少なくともCH 2ドメインおよびCH 3ドメイ
グメントが、少なくとも16のヒトVκ遺伝子セグメン
ンを含む。
ト(ヒトVκ)および少なくとも1つのJκ遺伝子セグ
【0441】
メントで置換されている。1つの実施形態では、すべて
1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン重鎖
のまたは実質的にすべてのVκおよびJκ遺伝子セグメ
配列は、非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えばマウス 30
ントが、少なくとも30のヒトVκ遺伝子セグメントお
、ラットまたはハムスター)の生殖細胞系における免疫
よび少なくとも1つのJκ遺伝子セグメントで置換され
グロブリン重鎖遺伝子座にある。1つの実施形態におい
ている。1つの実施形態では、すべてのまたは実質的に
て、上記ヒト免疫グロブリン重鎖配列は、非ヒト動物の
すべてのVκおよびJκ遺伝子セグメントが、少なくと
生殖細胞系における非免疫グロブリン重鎖遺伝子座にあ
も40のヒトVκ遺伝子セグメントおよび少なくとも1
り、この非重鎖遺伝子座は、転写活性遺伝子座である。
つのJκ遺伝子セグメントで置換されている。1つの実
特定の実施形態において、上記非重鎖遺伝子座は、RO
施形態において、上記少なくとも1つのJκ遺伝子セグ
SA26遺伝子座である。
メントは、2、3、4または5つのヒトJκ遺伝子セグ
【0442】
メントを含む。
様々な態様において、上記非ヒト動物は、該非ヒト動物
【0444】
の生殖細胞系にヒト免疫グロブリン軽鎖配列(例えば、 40
1つの実施形態において、上記ヒトVκ遺伝子セグメン
1つ以上の非再構成軽鎖VおよびJ配列、または1つ以
トは、Vκ4−1、Vκ5−2、Vκ7−3、Vκ2−
上の再構成VJ配列)をさらに含む。特定の実施形態に
4、Vκ1−5およびVκ1−6を含む。1つの実施形
おいて、上記免疫グロブリン軽鎖配列は、免疫グロブリ
態において、上記Vκ遺伝子セグメントは、Vκ3−7
ンκ軽鎖配列である。1つの実施形態において、上記ヒ
、Vκ1−8、Vκ1−9、Vκ2−10、Vκ3−1
ト免疫グロブリン軽鎖配列は、1つ以上のVL 遺伝子セ
1、Vκ1−12、Vκ1−13、Vκ2−14、Vκ
グメントを含む。1つの実施形態において、上記ヒト免
3−15およびVκ1−16を含む。1つの実施形態に
疫グロブリン軽鎖配列は、1つ以上のJL 遺伝子セグメ
おいて、上記ヒトVκ遺伝子セグメントは、Vκ1−1
ントを含む。1つの実施形態において、上記ヒト免疫グ
7、Vκ2−18、Vκ2−19、Vκ3−20、Vκ
ロブリン軽鎖配列は、1つ以上のVL 遺伝子セグメント
6−21、Vκ1−22、Vκ1−23、Vκ2−24
および1つ以上のJL 遺伝子セグメントを含む。特定の 50
、Vκ3−25、Vκ2−26、Vκ1−27、Vκ2
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−28、Vκ2−29およびVκ2−30を含む。1つ
、VH 1−45、VH 1−46、VH 3−48、VH 3
の実施形態において、上記ヒトVκ遺伝子セグメントは
−49、VH 5−51、VH 3−53、VH 1−58、
、Vκ3−31、Vκ1−32、Vκ1−33、Vκ3
VH 4−59、VH 4−61、VH 3−64、VH 3−
−34、Vκ1−35、Vκ2−36、Vκ1−37、
66、VH 1−69、VH 2−70、VH 3−72、V
Vκ2−38、Vκ1−39およびVκ2−40を含む
H
。
トVH 遺伝子セグメントを含むヒト重鎖可変ドメインに
【0445】
対して特異的であるか、またはこれに結合することがで
特定の実施形態において、上記Vκ遺伝子セグメントは
きる。
、Vκ4−1からVκ2−40までのヒト免疫グロブリ
【0450】
ンκ軽鎖遺伝子座にわたる連続したヒト免疫グロブリン 10
特定の実施形態において、上記抗イディオタイプ抗体は
κ遺伝子セグメントを含み、上記Jκ遺伝子セグメント
、VH 1−2、VH 1−69、VH 2−5、VH 2−7
は、Jκ1からJκ5までのヒト免疫グロブリンκ軽鎖
0、VH 3−15、VH 3−23、VH 3−30、VH
遺伝子座にわたる連続した遺伝子セグメントを含む。
3−33、VH 3−49、VH 3−64、VH 4−4、
【0446】
VH 4−28、VH 4−30−2、VH 4−30−4、
1つの実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン軽鎖
VH 4−31、VH 4−34、VH 4−39、VH 4−
配列は、非ヒト動物の生殖細胞系における免疫グロブリ
59、VH 4−61、VH 5−51およびVH 7−4−
ン軽鎖遺伝子座にある。特定の実施形態において、上記
1から選択される再構成ヒトVH 遺伝子セグメントを含
非ヒト動物の生殖細胞系における免疫グロブリン軽鎖遺
むヒト重鎖可変ドメインに対して特異的であるか、また
伝子座は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座である。1つ
はこれに結合することができる。
の実施形態において、上記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列 20
【0451】
は、転写活性である非ヒト動物の生殖細胞系における非
特定の実施形態において、上記抗イディオタイプ抗体は
免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にある。特定の実施形態に
、Vκ4−1、Vκ5−2、Vκ7−3、Vκ2−4、
おいて、上記非免疫グロブリン遺伝子座は、ROSA2
Vκ1−5、Vκ1−6、Vκ3−7、Vκ1−8、V
6遺伝子座である。
κ1−9、Vκ2−10、Vκ3−11、Vκ1−12
【0447】
、Vκ1−13、Vκ2−14、Vκ3−15、Vκ1
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物の細胞に
−16、Vκ1−17、Vκ2−18、Vκ2−19、
おいて、コードされている1つ以上の可変領域核酸配列
Vκ3−20、Vκ6−21、Vκ1−22、Vκ1−
に由来する可変ドメインを含むヒト抗体を作製する方法
23、Vκ2−24、Vκ3−25、Vκ2−26、V
を提供する。
κ1−27、Vκ2−28、Vκ2−29、Vκ2−3
【0448】
30
3−73およびVH 3−74から選択される再構成ヒ
0、Vκ3−31、Vκ1−32、Vκ1−33、Vκ
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物の細胞に
3−34、Vκ1−35、Vκ2−36、Vκ1−37
おいて、コードされている1つ以上の可変領域核酸配列
、Vκ2−38、Vκ1−39およびVκ2−40から
に由来する可変ドメインを含む抗イディオタイプ抗体を
選択される再構成ヒトVκ遺伝子セグメントを含むヒト
作製する方法であって、本明細書に記載の非ヒト動物を
軽鎖可変ドメインに対して特異的であるか、またはこれ
、ヒト可変ドメインを含む抗体に曝露することを含む方
に結合することができる。
法を提供する。1つの実施形態において、上記抗イディ
【0452】
オタイプ抗体は、ヒト重鎖可変ドメインに対して特異的
特定の実施形態において、上記抗イディオタイプ抗体は
であるか、またはこれに結合することができる。1つの
、再構成ヒトVκ1−39遺伝子セグメントを含むヒト
実施形態において、上記抗体は、ヒト軽鎖可変ドメイン
軽鎖可変ドメインに対して特異的であるか、またはこれ
に対して特異的であるか、またはこれに結合することが 40
に結合することができる。
できる。
【0453】
【0449】
特定の実施形態において、上記抗イディオタイプ抗体は
特定の実施形態において、上記抗イディオタイプ抗体は
、Vλ3−1、Vλ4−3、Vλ2−8、Vλ3−9、
、VH 6−1、VH 1−2、VH 1−3、VH 2−5、
Vλ3−10、Vλ2−11、Vλ3−12、Vλ2−
VH 3−7、VH 1−8、VH 3−9、VH 3−11、
14、Vλ3−16、Vλ2−18、Vλ3−19、V
VH 3−13、VH 3−15、VH 3−16、VH 1−
λ3−21、Vλ3−22、Vλ2−23、Vλ3−2
18、VH 3−20、VH 3−21、VH 3−23、V
5、Vλ3−27、Vλ3−32、Vλ2−33、Vλ
1−24、VH 2−26、VH 4−28、VH 3−3
2−34、Vλ1−36、Vλ1−40、Vλ7−43
H
0、VH 4−31、VH 3−33、VH 4−34、VH
、Vλ1−44、Vλ5−45、Vλ7−46、Vλ1
3−35、VH 3−38、VH 4−39、VH 3−43 50
−47、Vλ5−48、Vλ9−49、Vλ1−50、
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Vλ1−51、Vλ5−52、Vλ10−54、Vλ1
いて、上記抗体は、上記非ヒト動物から単離された1つ
1−55、Vλ6−57、Vλ4−60、Vλ8−61
以上の可変領域核酸配列に由来する1つ以上の可変ドメ
およびVλ4−69から選択される再構成ヒトVλ遺伝
インを含む。特定の実施形態において、上記可変領域核
子セグメントを含むヒト軽鎖可変ドメインに対して特異
酸配列は、免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントを含む
的であるか、またはこれに結合することができる。
。特定の実施形態において、上記可変領域核酸配列は、
【0454】
免疫グロブリン軽鎖遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態において、単一のヒトVH 遺伝子セグメ
【実施例】
ント、27のDH 遺伝子セグメントおよび6のJH 遺伝
【0458】
子セグメントを含む限定された免疫グロブリン重鎖遺伝
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の作製およ
子座を含む非ヒト動物の細胞において、コードされてい 10
び使用の仕方を当業者に説明するために提供するもので
る1つ以上の可変領域核酸配列に由来する可変ドメイン
あり、本発明者らが自分達の発明とみなすものの範囲を
を含む抗イディオタイプ抗体であって、再構成ヒトVH
制限することを意図したものではない。別の指示が無い
1−69遺伝子セグメントを含むヒト重鎖可変ドメイン
限り、温度は摂氏で示し、圧力は大気圧または大気圧近
に対して特異的であるか、またはこれに結合することが
くである。
できる抗イディオタイプ抗体を作製する方法であって、
実施例1
上記非ヒト動物を、上記再構成ヒトVH 1−69遺伝子
限定されたヒト化IgH遺伝子座の構築
セグメントを含む抗体に曝露すること、および上記非ヒ
【0459】
ト動物から上記抗イディオタイプ抗体を単離することを
すべてのヒトDH 遺伝子セグメントおよびヒトJH 遺伝
含む方法を提供する。特定の実施形態において、上記単
子セグメントの上流にある単一のヒトVH 遺伝子セグメ
一のヒトVH 遺伝子セグメントは、ヒトVH 1−2およ 20
ントを含有する、固有に操作されたヒト重鎖遺伝子座を
びヒトVH 1−69遺伝子セグメントから選択される。
、細菌人工染色体(BAC)DNAを用いる相同組換え
【0455】
により構築することができる。かかる免疫グロブリン重
1つの実施形態において、単一のヒトVH 遺伝子セグメ
鎖遺伝子座の構築に用いられる例示的なヒトVH 遺伝子
ント、27のDH 遺伝子セグメントおよび6のJH 遺伝
セグメントとしては、コピー数の変動に関連づけられた
子セグメントを含む限定された免疫グロブリン重鎖遺伝
多型VH 遺伝子セグメントおよび/またはVH 遺伝子セ
子座を含む非ヒト動物の細胞において、コードされてい
グメント、例えばVH 1−2、VH 1−69、VH 2−
る1つ以上の可変領域核酸配列に由来する可変ドメイン
26、VH 2−70およびVH 3−23などが挙げられ
を含む抗イディオタイプ抗体であって、再構成ヒトVκ
る。数個のターゲティング構築物を使用して単一のVH
1−39遺伝子セグメントを含むヒト軽鎖可変ドメイン
を含有する重鎖遺伝子座を作るために、VELOCIG
に対して特異的であるか、またはこれに結合することが 30
ENE(登録商標)遺伝子操作技術を用いることができ
できる抗イディオタイプ抗体を作製する方法であって、
る(例えば、米国特許第6,586,251号、および
上記非ヒト動物を、上記ヒトVκ1−39遺伝子セグメ
Valenzuela,D.M.ら、2003,Hig
ントを含む抗体に曝露すること、および上記非ヒト動物
h−throughput
から上記抗体を単離することを含む方法を提供する。特
f the
定の実施形態において、上記単一のヒトVH 遺伝子セグ
d with
メントは、ヒトVH 1−2およびヒトVH 1−69遺伝
pression
子セグメントから選択される。
Biotechnology
【0456】
59参照)。
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物から単離
【0460】
された1つ以上の可変領域核酸配列に由来する抗体また 40
ヒトVH 1−69の限定されたIgH遺伝子座の例示的
は抗体断片を含むポリペプチドを含む薬学的組成物を提
な構築戦略(図1)。第一の工程では、VH 1−69、
供する。
上流選択カセット(例えば、ハイグロマイシン)、およ
1つの実施形態において、上記ポリペプチドは抗体であ
び5’マウスホモロジーアームを含む複数の遠位側(5
る。1つの実施形態において、上記ポリペプチドは、重
’)ヒトVH 遺伝子セグメントを含有する改変ヒトBA
鎖のみの抗体である。1つの実施形態において、上記ポ
Cを、やはり改変組換えシグナル配列を含有する第二の
リペプチドは、一本鎖可変断片(例えば、scFv)で
選択カセット(例えば、スペクチノマイシン)による相
ある。
同組換えによってターゲティングした(工程1、図1)
【0457】
。この改変組換えシグナル配列(RSS)により、ヒト
1つの態様では、抗体を作製するための、本明細書に記
VH 1−69遺伝子の3’RSS領域内に2つの点変異
載の非ヒト動物の使用を提供する。様々な実施形態にお 50
(TからAへの変異およびGからAへの変異)を導入し
mouse
engineeringo
genome
couple
high−resolution
ex
analysis.Nature
21(6):652−6
( 67 )
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132
、RSS九量体を最適なコンセンサス配列に変化させた
流の約8kbのマウスゲノム配列を含有する3’ホモロ
。したがって、工程1の結果、改変3’RSS、RSS
ジーアームを含有していた(図1)。
の約180bp下流の固有AsiSI制限部位、および
【0464】
スペクチノマイシンカセットを有するヒトVH 1−69
ヒトVH 1−2の限定されたIgH遺伝子座の例示的な
遺伝子セグメントを含有するヒトゲノム断片が得られた
構築戦略(図2)。同様に、他の多型VH 遺伝子セグメ
。
ントをマウス重鎖定常領域との関連で使用して、限られ
【0461】
た数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)
工程2には、Frt部位が隣接するネオマイシン(Ne
の免疫グロブリン重鎖Vセグメントを有する一連のマウ
o)カセットを使用して、選択カセット(ハイグロマイ
スであって、上記VセグメントがV遺伝子ファミリーメ
シン)およびさらに上流(5’)ヒトVH 遺伝子セグメ 10
ンバーの多型変異体であるマウスを構築する。例示的な
ントを欠失させることが含まれていた。相同組換えによ
多型VH 遺伝子セグメントは、例えば、VH 1−2、V
ってヒトVH 1−69遺伝子セグメントに対して5’に
H
この改変をターゲティングして、ヒトVH 1−69の約
たヒトVH 遺伝子セグメントに由来する。かかるヒトV
8.2kbのプロモーター領域および5’マウスホモロ
H
ジーアームをインタクトにした。
ス上で利用可能な配列を用いてde
【0462】
えば、Blue
工程3には、固有操作制限部位(例えば、PI−Sce
gy,Bothell,WA)により得られる。したが
IおよびAsiSI)が隣接する別の選択カセット(ス
って、一部の実施形態において、各VH 遺伝子をコード
ペクチノマイシン)を相同組換えによってターゲティン
するDNA断片は、本明細書に記載のターゲティングベ
グして、最初の3つの機能的ヒトVH 遺伝子セグメント 20
クターへの組み込みとは独立に生成される。このように
ならびにすべてのヒトDH 遺伝子セグメントおよびヒト
、マウス重鎖定常領域との関連では、限られた数のVH
JH 遺伝子セグメントを含有するヒトゲノム断片にする
遺伝子セグメントを含む複数の改変免疫グロブリン重鎖
ことが含まれていた(図1)。ヒトゲノム断片は、ネオ
遺伝子座を操作する。ヒトVH 1−2遺伝子セグメント
マイシンカセットによる相同組換えによって予めターゲ
、27のヒトDH 遺伝子セグメント、および6のヒトJ
ティングされ、3’イントロンエンハンサーおよびIg
H
M遺伝子を含む内因性重鎖遺伝子座の5’および3’に
伝子座を作るための例示的なターゲティング戦略を図2
マウスゲノム配列を含有する5’ホモロジーアームおよ
に示す。
び3’ホモロジーアームを含有していた。この改変によ
【0465】
り、5’マウスゲノム配列およびヒトVH 遺伝子セグメ
簡単に言うと、3つのヒトVH 遺伝子セグメント(VH
ントを欠失させ、ヒトDH 1−1遺伝子セグメントの上 30
6−1、VH 1−2、VH 1−3)、27のヒトDH 遺
流の約3.3kbのVH −DH 遺伝子間領域、ヒトDH
伝子セグメント、および6のヒトJH 遺伝子セグメント
セグメントおよびヒトJH セグメントのすべて、ならび
を含有する改変ヒトBACクローン(2012年2月2
に3’イントロンエンハンサーおよびIgM遺伝子を含
4日に出願された米国特許出願第13/404,075
有する3’マウスゲノム断片がもたらされた(図1)。
号参照)を用いて、ヒトVH 1−2遺伝子セグメントを
【0463】
含有する限定されたヒト化重鎖遺伝子座を作る。この改
固有制限部位(上記)を使用して工程2および工程3か
変BACクローンは、上記のヒト重鎖遺伝子セグメント
らの2つの改変BACを切断し、続いてライゲーション
を、マウスイントロンエンハンサーおよびIgM定常領
することによって工程4を行い、最終ターゲティング構
域と機能的に連結する。限定されたヒトVH 1−2ベー
築物を得た。ES細胞内にヒトVH 1−69遺伝子セグ
スの重鎖遺伝子座は、上記の改変ヒトBACクローンを
メント、すべてのヒトDH 遺伝子セグメントおよびすべ 40
用いて2回の相同組換えにより達成する。第一の相同組
てのヒトJH 遺伝子セグメントを含有する改変重鎖遺伝
換えでは、改変ヒトBACクローン内の205bpのヒ
子座を作るための最終ターゲティング構築物は、5’か
トVH 6−1遺伝子セグメント(エクソン1内のVH 6
ら3’に向けて、内因性重鎖遺伝子座の上流に約20k
−1開始コドンの約10bp上流(5’)からエクソン
bのマウスゲノム配列を含有する5’ホモロジーアーム
2の開始部の約63bp下流(3’)まで)を、固有P
、5’Frt部位、ネオマイシンカセット、3’Frt
I−SceI制限部位が隣接するスペクチノマイシン(
部位、約8.2kbのヒトVH 1−69プロモーター、
aadA)カセットを用いて細菌性相同組換えにより欠
改変3’RSSを有するヒトVH 1−69遺伝子セグメ
失させる(図2、BHR1)。これにより、限定された
ント、27のヒトDH 遺伝子セグメント、6のヒトJH
重鎖遺伝子座内の他のヒト遺伝子セグメントを破壊せず
セグメント、ならびに3’イントロンエンハンサーおよ
に、続いてaadAカセットを除去することが可能とな
びIgM遺伝子を含むマウスJH 遺伝子セグメントの下 50
る。第二の相同組換えでは、ヒトVH 1−3遺伝子セグ
2−26、VH 2−70、およびVH 3−23を含め
遺伝子セグメントは、例えば、公開されたデータベー
Heron
novo合成(例
Biotechnolo
遺伝子セグメントを含有する限定されたヒト化重鎖遺
( 68 )
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2015.7.9
134
メントの全体およびこの遺伝子セグメントの約60bp
有する限定された重鎖遺伝子座を保有するマウスを確認
下流(3’)を含む改変ヒトBACクローンの5’末端
するために用いられるプライマーおよびプローブを示す
を、隣接する5’AsiSI制限部位および3’Asc
。
I制限部位を含有するハイグロマイシンカセットを用い
【0469】
て相同組換えにより欠失させる(図2、BHR2)。上
ターゲティングベクターにより導入されるFrtを組み
記の通り、ヒトVH 1−2遺伝子セグメントに隣接する
込んだあらゆるネオマイシンカセットであって、例えば
2つのヒトVH 遺伝子セグメントの欠失を含め、最終タ
、ES細胞期でも胚でも除去されない該ネオマイシンカ
ーゲティングベクターの確認後に、スペクチノマイシン
セットを除去するために、単一のヒトVH 遺伝子セグメ
カセットを必要に応じて除去する(図2、下)。例示的
ントを含有する操作された重鎖遺伝子座を保有するマウ
なヒトVH 1−2ターゲティングベクターを配列番号7 10
スを、FLPe欠失マウス系統へと繁殖させることがで
5に示す。
きる(例えば、Rodriguez,C.I.ら、(2
【0466】
000)High−efficiency
限定された免疫グロブリン重鎖遺伝子座において多型V
er
mice show
that
FLPe is
遺伝子セグメントを使用することは、抗体、抗体集団
an
、および単一のヒトVH 遺伝子セグメントに由来する多
xP.
様なCDRを有する重鎖を有する抗体を発現するB細胞
9−140参照)。必要に応じて、ネオマイシンカセッ
集団を生成するための新規アプローチの代表的なもので
トは、マウスにおいて保持される。
ある。宿主動物の体細胞超変異機構を、再構成ヒト免疫
【0470】
グロブリン軽鎖可変ドメインと組み合わせて共に利用す
子を遺伝子型解析し、免疫グロブリン重鎖レパートリー
ることにより、遺伝子改変動物の免疫レパートリーを拡 20
を特徴づけるために、内因性マウス免疫グロブリン定常
張し、ヒト病原体に対して特異的な中和抗体を作製する
遺伝子に作動可能に連結された単一のヒトVH 遺伝子セ
ためのプラットホームとして特に有用なヒト治療薬を作
グメント、すべてのヒトDH セグメントおよびヒトJH
製するための次世代プラットホームとしてのそれらの有
セグメントを含有するヒト化重鎖遺伝子座についてヘテ
用性を増強する固有の重鎖および固有のVH /VL 対の
ロ接合性の子を選択する。
操作がもたらされる。
【表3】
H
alternative
delet
Nature
to
Genetics
Cre−lo
25:13
【0467】
最終的な所望の遺伝子座構造に基づいて、所望のヒトV
H
遺伝子セグメントを含有するヒトBACクローンを使
用して、他のヒトVH 遺伝子セグメントの1つを同様に
置換することができる。したがって、さらなる多型VH
30
遺伝子セグメントおよび/または他の多型VH 遺伝子セ
グメントをマウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座に組み込
むための上記戦略を用いることにより、別の方法では宿
主免疫系を有効に回避し得るヒト病原体を中和するのに
用いられる新規抗体レパートリーの生成が可能となる。
【0468】
上記ターゲティングES細胞をドナーES細胞として用
いて、VELOCIMOUSE(登録商標)法(上掲)
により8細胞期のマウス胚に導入する。マウス免疫グロ
ブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された単一のヒ 40
トVH 遺伝子セグメント、すべてのヒトDH 遺伝子セグ
メントおよびヒトJH 遺伝子セグメントを含有するヒト
化重鎖遺伝子座を保有するマウスは、ネオマイシンカセ
実施例2
ット、ヒトVH 遺伝子セグメント、ならびにヒトDH 遺
限定されたヒト化IgH遺伝子座へのADAM遺伝子の
伝子セグメントおよびヒトJH 遺伝子セグメント内の領
リエンジニアリング
域、ならびに内因性重鎖配列の存在を検出する対立遺伝
【0471】
子アッセイ(Valenzuelaら、上掲)の変法を
内因性可変領域遺伝子セグメント(VDJ)が置換およ
用いて遺伝子型解析により同定する。表3は、単一のヒ
び/または欠失されたヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子
トVH 1−69遺伝子セグメント、27のヒトDH 遺伝
座を有するマウスは、内因性ADAM6遺伝子の発現を
子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子セグメントを含 50
欠く。特に、かかるヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座
( 69 )
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を含む雄マウスは、妊性の低減を示す。したがって、通
セットによる細菌性相同組換えによって別々にターゲテ
常の交配法を使用して改変マウス系統を持続させるため
ィングした(図3、左上)。この工程の後、限定された
に、ヒト化(しかし制限的)重鎖遺伝子座を有するマウ
ヒト化重鎖遺伝子座、ネオマイシンおよびスペクチノマ
スにADAM6発現能をリエンジニアリングした。
イシンカセットを含有する改変ゲノム断片、ならびにA
【0472】
DAM6遺伝子、ハイグロマイシンおよびスペクチノマ
ヒトVH 1−69の限定されたIgH遺伝子座へのAD
イシンカセットを含有する改変マウス断片をI−Ceu
AM6遺伝子のリエンジニアリング(図3)。すべての
IおよびAscI制限酵素で別々に消化して、ライゲー
ヒトDH およびJH 遺伝子セグメントの上流にある単一
ション用の改変ゲノム断片を作った(図3、中央)。工
のヒトVH 1−69遺伝子セグメントを含有する限定さ
程5では、消化した適切なゲノム断片を精製および共に
れた免疫グロブリン重鎖遺伝子座を、マウスADAM6 10
ライゲーションして、単一のヒトVH 遺伝子セグメント
aおよびADAM6b(配列番号77)をコードするゲ
、27のヒトDH 遺伝子セグメント、6のヒトJH 遺伝
ノム断片を含有するように、BAC
DNAを使用して
子セグメント、ならびにネオマイシンおよびハイグロマ
相同組換えによってリエンジニアリングした。VELO
イシン耐性を有するADAM6aおよびADAM6bを
CIGENE(登録商標)遺伝子操作技術(上掲)によ
コードする組み込まれたマウスゲノム断片を含有するリ
って、マウスおよびヒト配列を含有するBAC
DNA
エンジニアリングヒト化重鎖遺伝子座を得た。最後の工
の改変を含む一連の6の工程(これにより、マウス重鎖
程(工程6)では、AsiSI消化によってハイグロマ
定常領域およびマウスADAM6遺伝子に隣接する限定
イシンカセットを欠失させ、続いて適合性末端を再ライ
されたヒト化重鎖遺伝子座を含有する最終ターゲティン
ゲーション(relegation)した。
グベクターが得られた)において、これを達成した。
【0475】
【0473】
20
この工程により、マウスADAM6aおよびADAM6
第一に、マウスADAM6遺伝子周囲の独自位置の制限
b配列を限定されたヒト化重鎖遺伝子座に再挿入するた
部位に様々な選択カセットをもたらす一連の3回の細菌
めの最終ターゲティングベクターであって、5’から3
性相同組換えによって、単一のVH 遺伝子セグメントを
’に向けて、内因性重鎖遺伝子座の上流に約20kbの
含有するヒト化重鎖遺伝子座への挿入のために、マウス
マウスゲノム配列を含有する5’ホモロジーアーム、5
ADAM6aおよびADAM6bをコードするマウスゲ
’Frt部位、ネオマイシンカセット、3’Frt部位
ノム断片を調製した(図3、工程1∼3)。第一の工程
、約8.2kbのヒトVH 1−69プロモーター、改変
では、マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の一部を含有
3’RSSを有するヒトVH 1−69遺伝子セグメント
するマウスBAC
DNAを、組換え部位に隣接するネ
、マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子(配列
オマイシンカセット(固有AsiSI制限部位を含有す
番号77)を含む約17711bpのマウスゲノム配列
るようにこれを操作したもの)でターゲティングした。 30
を含有するマウスゲノム断片、27のヒトDH および6
次いで、第二の工程では、マウスADAM6遺伝子およ
のヒトJH 遺伝子セグメントを含有するヒトゲノム断片
びネオマイシンカセットを含有する改変マウス断片をタ
、ならびにイントロンエンハンサーおよびIgM定常領
ーゲティングして、マウスDH およびJH 遺伝子セグメ
域遺伝子を含む内因性重鎖遺伝子座の下流に約8kbの
ントを欠失させ、選択遺伝子の5’に位置する固有As
マウスゲノム配列を含有する3’ホモロジーアームを含
cI制限部位を含有するスペクチノマイシンカセットで
有する最終ターゲティングベクターを生産した(ヒトV
それらを置換した。第三の工程では、マウスADAM6
H
遺伝子とスペクチノマイシンカセットとの間に位置する
4;図3、下)。
ネオマイシンカセットを含有する二重改変マウス断片を
【0476】
ターゲティングして、ネオマイシンカセットをハイグロ
ヒトVH 1−2の限定されたIgH遺伝子座へのADA
マイシンカセットに交換した。単一のVH 遺伝子セグメ 40
M6遺伝子のリエンジニアリング(図4)。
ントを含有するヒト化重鎖遺伝子座に適合性ゲノム断片
【0477】
をライゲーションすることによって、ADAM6遺伝子
すべてのヒトDH およびJH 遺伝子セグメントの上流に
を含有する改変マウスゲノム断片を挿入することができ
ある単一のヒトVH 1−2遺伝子セグメントを含有する
るように、これを行った。
限定された免疫グロブリン重鎖遺伝子座を、マウスAD
【0474】
AM6aおよびADAM6b(配列番号73)をコード
工程4では、ヒトVH 1−69遺伝子セグメント、27
するゲノム断片を含有するように、BACDNAを使用
のヒトDH 遺伝子セグメントおよび6のヒトJH 遺伝子
して相同組換えによってリエンジニアリングする。VE
セグメントを含有するヒト化重鎖遺伝子座を、それぞれ
LOCIGENE(登録商標)遺伝子操作技術(上掲)
カセットの5’および3’の場所に固有I−CeuIお
によって、マウスおよびヒト配列を含有するBACDN
よびAscI制限部位を含有するスペクチノマイシンカ 50
Aの改変を含む一連の工程(これにより、マウス重鎖定
1−69/A6ターゲティングベクター、配列番号7
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常領域およびマウスADAM6遺伝子に隣接する限定さ
bpのオーバーラップを含有し、ADAM6遺伝子を含
れたヒト化重鎖遺伝子座を含有する最終ターゲティング
有する改変マウスBACクローンのNotI部位および
ベクターが得られた)において、これを達成した。
隣接3’配列と30bpのオーバーラップを含有する。
【0478】
3’結合オリゴは、ADAM6遺伝子、AscI部位を
ハイグロマイシンカセットが5’に隣接しスペクチノマ
含有する改変マウスBACクローンのAscI部位の5
イシンカセットが3’に隣接する単一のヒトVH 1−2
’配列と26bpのオーバーラップを含有し、ヒトVH
遺伝子セグメント、27のヒトDH 遺伝子セグメント、
1−2を含有する改変ヒトBACクローンのAscI部
6のヒトJH 遺伝子セグメント、マウス重鎖イントロン
位の3’配列と35bpのオーバーラップを含有する。
エンハンサー、およびマウスIgM定常領域を含有する
アセンブリ反応物を大腸菌にトランスフォームし、カナ
改変ヒトBACクローン(実施例1において上記)を、 10
マイシンおよびスペクチノマイシン選択を用いて正しい
マウスADAM6遺伝子をコードするゲノム断片を含有
生成物を選択する。最終ターゲティングベクターを作る
するように改変した。これは、本明細書ではオリゴ媒介
ために、スペクチノマイシンカセットをPI−SceI
等温アセンブリ(oligo−mediated
消化によって除去し、続いて再ライゲーションする。
othermal
is
assembly)と称される改良
【0480】
等温DNAアセンブリ法によって達成されるが、この方
最終ターゲティングベクターは、5’から3’に向けて
法は、Gibsonら、(2009,Enzymati
、20kbの遠位マウスIgHホモロジーアーム、マウ
c
スADAM6a遺伝子、5’Frt部位、ネオマイシン
es
assembly
up
to
of
DNA
molecul
several
hundred
カセット、3’Frt部位、マウスADAM6b遺伝子
kilobases,Nature
Methods
、約18kbのヒトゲノム断片、ヒトVH 1−2遺伝子
6(5):343−345)に記載されている方法に基 20
セグメント、約46.6kbのヒトゲノム断片、不活性
づくものである。この改良法は、ライゲーションされる
化ヒトVH 6−1遺伝子セグメント、27のヒトDH 遺
断片間の配列同一性を必要としない。代わりに、2つの
伝子セグメント、6のヒトJH 遺伝子セグメント、なら
断片を結合する働きをするオリゴによって配列同一性が
びにマウスIgHイントロンエンハンサーおよびIgM
付与される。さらに、上記オリゴは、上記断片の一方の
定常領域を含有する8kbの3’マウスホモロジーアー
末端に配列同一性を与える鋳型として働く。延長された
ムを含有する(配列番号76)。
断片により、第二の断片とのハイブリダイゼーションが
【0481】
可能になる。具体的には、オリゴ媒介等温アセンブリを
各最終ターゲティングベクター(上記)を使用して、欠
用いて、20kbの遠位マウスIgHホモロジーアーム
失した内因性遺伝子座を含有するマウスES細胞をエレ
、マウスADAM6a遺伝子、Frt部位が隣接するネ
クトロポレートして、限定されたヒト化重鎖遺伝子座内
オマイシンカセット、およびマウスADAM6b遺伝子 30
にマウスADAM6aおよびADAM6b配列を含む、
を含有するNotI−AscI断片でハイグロマイシン
異所に配置されたマウスゲノム配列を含む改変ES細胞
カセットを置換した。
を作製した。ヒト化重鎖遺伝子座内に異所性マウスゲノ
【0479】
ム断片を含有する陽性ES細胞を、TAQMAN(商標
簡単に言うと、限定されたヒトVH 1−2重鎖遺伝子座
)プローブを使用する定量的PCRアッセイ(Liea
を含有する改変ヒトBACクローン(図4、左上)をA
nd
siSIおよびAscIで消化してハイグロマイシンカ
ces
セットを除去し、マウスADAM6遺伝子を含有する改
echnology:5’nuclease
変マウスBAC(図4、右上)をNotIおよびAsc
ys,Curr
Iで消化して、5’マウスアームを含有する断片を除去
(1):43−48)によって同定した。
し、ネオマイシンカセットに隣接するマウスADAM6 40
【0482】
遺伝子を放出させる。続いて、消化した2つのBAC断
上に記載した標的ES細胞をドナーES細胞として使用
片を5’および3’結合(joiner)オリゴヌクレ
し、VELOCIMOUSE(登録商標)マウスの操作
オチドと共に混合し、アセンブリ反応混合物(T5エキ
方法(例えば、米国特許第7,6598,442号、同
ソヌクレアーゼ、Phusion
DNAポリメラーゼ
第7,576,259号および同第7,294,754
DTT、5%PE
号参照)により8細胞期マウス胚に導入した。マウスA
、TaqDNAリガーゼ、10mM
G8000(w/v)、1mM
dNTP、10mM
NAD、0.2mM
MgCl2 および100mM
Petropoulos,1998,Advan
in quantitative
Opin
PCR
t
assa
Biotechnol
9
DAM6aおよびADAM6b配列を含む限られた数の
T
ヒト遺伝子セグメントおよび異所性マウスゲノム配列を
ris−HCl)中、50℃で1時間インキュベートす
含有するヒト化重鎖遺伝子座を保有するマウスを、上記
る。5’結合オリゴは、ヒトVH 1−2を含有する改変
限定されたヒト化重鎖遺伝子座およびヒト重鎖配列内の
ヒトBACクローンのAsiSI部位の5’配列と38 50
マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子の存在を
( 71 )
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検出する対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら
M6b配列を含む異所性マウスゲノム断片を含有する限
、2003)の改良法を用いる遺伝子型解析によって同
定されたヒト化重鎖遺伝子座についてヘテロ接合性の子
定した。
を、マウスADAM6遺伝子発現および妊性を特徴づけ
【0483】
るために選択する。
子を遺伝子型解析し、マウスADAM6aおよびADA
【図1】
【図3】
【図4】
【図2】
( 72 )
【図5】
JP
【図7】
【図6】
【図8】
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( 73 )
【図9】
JP
【図10】
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( 74 )
【配列表】
2015519076000001.app
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( 75 )
【国際調査報告】
JP
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( 76 )
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2015.7.9
( 77 )
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( 78 )
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( 79 )
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( 80 )
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( 81 )
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2015-519076
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( 82 )
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フロントページの続き
(81)指定国
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,T
M),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,R
S,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,
BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,H
U,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI
,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,
US,UZ,VC
(72)発明者
マクドナルド,
リン
アメリカ合衆国
ニューヨーク
10605,
ホワイト
プレインズ,
ニューヨーク
10591,
タリータウン,
ニューヨーク
10570,
プレザントビル,
ゲッドニー ウェイ
16
(72)発明者
ミクウィルター,
アメリカ合衆国
ジョン
クレッセント
ドライブ
21
52
(72)発明者
ツー,
ナクシン
アメリカ合衆国
ワシントン
アベニュー
5
ストリート
3
14
(72)発明者
スティーブンズ,
アメリカ合衆国
55
(72)発明者
ショーン
カリフォルニア
94158,
サンフランシスコ,
ベリー
ナンバー413
マーフィー,
アメリカ合衆国
アンドリュー
ジェイ.
ニューヨーク
10520,
クロトン−オン−ハドソン,
ト 10
Fターム(参考) 4B024 AA01
AA10
AA20
BA41
CA01
DA02
4B064 AG27
CA10
CA19
CA20
CC24
DA01
4B065 AA91X AA91Y AA93Y AB01
AB05
AC20
EA04
GA11
HA01
BA02
CA25
CA44
ニュートン
コー