無放流型、家畜し尿処理施設における 水分蒸散量測定に関する実証試験研究 An experimentally river type disposition study on moisture equipment of evaporation livestock’s feces 沢田 正剛 (北見工業大学工学部土木開発工学科) 鈴木 輝之 (北見工業大学工学部土木開発工学科) Seigou SAWADA Teruyuki Key test SUZUKI words:moisture (Kitami (Kitami evaporation, Institute Institute of of from non loose and urine Technology) Technology) livestock’s urine、environment pollution 1.緒言 酪農地域における家畜糞尿の処理は、環境問題に対する社会的要請から緊急に対処しな ければならない問題である。本研究対象施設は、生物処理後の水分を蒸発させることによ って処理水を環境中に放出することなく処理を完了できるシステムである。しかし、水分 蒸散量は様様な気象条件に左右されるため、寒冷地においてそのシステムの有効性を実証 する必要がある。 本研究では小型施設を設置し、通年の水分蒸散量の測定法の開発とシステムの実証試験 を行った。 2.水分蒸散量の測定法の開発 まず最初に本研究室にある水分計によって土中水分の減少のしかたを測定して、土から の水分の蒸発量を求めようとしました そこで、15cm×38cm×18cmのアクりル製入れ物に試料土を入れてほぼ飽和状態にして 水分減少量を測定したところ、570cm2の面から 24 時間の間に 0.5 ㍑程度の蒸発がみられ た。これは 1m2当たりにするとやく.8.8kgということになりますが、外気温、土の温度、 日射、風速、飽和度などの条件によって テムで用いている土は、一般の土とはかなり かけ離れた誘電率を持ったものであり、本研究室の地中水分計では正確な水分蒸発量は測 定出来ないことが明らかになった。さらに、土が凍結したときにはこの水分計では正確な 値が得られないということも分かった。図-1 に参考までに地中水分計およびテストデ−タ を示す。 図-1 水分計 および テストデ−タ そこで、最終的には大きな入れ物に飽和した土を入れて、1 日ごとの重量の変化から、蒸 発量を測定する方法にした。重量の測定には、1 トン用のロ−ドセルを4個用いた。 ロ−ドセルの測定精度は 10g程度以下なので蒸発量を十分正確に測定出来ることになる。 3.測定方法 図-2 に示すような、1000mmx1000mmx700mmの箱型入れ物に、蒸発水分を測定す る特殊な土を一杯に入れて、毎日表面から一定の深さに土中水位を調節して一日毎の重量 の変化を測定して軽くなった分を蒸発量とした。重量の測定には、4 個のロ−ドセルの値 の差を 2 時間毎に自動測定したものを積算して、1 日の蒸発量とした。 2002 年 9 月の測定例を図−3 に示す。 このときは、土の温度は徐々に下がりつつある ときであったが、比較的天候のよい日が続き、 順調に蒸発が行われていた。 はじめの予定ではあまり長期間の測定を考え ていなかったが、途中から通年での測定デ−タ が必要となり、降雪のある厳冬期の測定をする ために箱型土槽に、ロ−ドヒ−ティング用ヒ− タ−を巻きつけて、約60V の電圧で温度調節 しようとしたが、箱の外からではあまり温度は 上がらず思ったようには水分の蒸発が見られな かった。 図−2 箱型土槽 厳冬期の土の表面からの水 32 分蒸発現象を考えるときに 30 Amount of Evaporation ( kg/day/ m 2 ) は、 28 26 日射、風速、積雪、土壌凍結、 24 Average=9.55kg/day/ m2 地形、地下水面深さ、地下水の 22 20 供給方法、表面土の毛管上昇力、 18 水温、気温、それに伴う水蒸気 16 14 圧など、種種の要因を考慮して、 12 どのような要因が結果に大き 10 8 く影響し、より大きな蒸発量を 6 4 得るためには、どのような工夫 2 が必要か総合的に判断するこ 0 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 図-3 4. とが重要である。 9月の蒸発量 測定結果 1月、2月、3月の日毎の蒸発量を棒グラフにまとめたものを次の図-4以下に示す。 1月は、積雪が多く、さらにヒ−タ−による温度調節が不調のため、土槽から蒸発する量 よりも、土槽に入る雪の量が多く、平均値がマイナスとなっている。 2月は、やや蒸発が進み、3月も2月と大差ない状態であった。 Amount of Evaporation (kg/day/m2) 4 2 0 -2 -4 -6 Average=-1.18kg/day/ m2 -8 -10 -12 -14 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 2003,Janry 図−4 2003 年1月 Amount of Evaporation (kg/day/ m2) 2 1 0 -1 Average= 0.612kg/day/m2 -2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 図−5 2003,February 2003 年 2 月 5 Amount of Evaporation (kg/day/ m2) 4 Average=0.6625kg/day/ m2 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 2003,March 図−6 2003 年 3 月 5.終わりに 本研究は秕政 14 年度「民間機関等との共同研究」として平成マテリアル(有)より共 同研究経費を受けて実施したものである。
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