放射性モリブデンの製造方法及び装置(特許第5522563号)

13410[G21G:G21K:H05H]
独立行政法人 日本原子力研究開発機構保有特許
出願番号2009-270457
放射性モリブデンの製造方法及び装置(特許第5522563号)
医用放射性同位元素(RI)の放射性モリブデン(99Mo)を製造する際、100Moを含む原料ターゲットに、加
速器からの高速中性子を照射して核反応を起させ、99Moを生成する。これにより、濃縮ウラン(235U)を
使用せず、燃料廃棄物を低減し、効率よく廉価に99Moを製造できる。
発明の効果
加速器からの高速中性子を用いるので、原子炉施設や濃縮235Uを使用せず、半減期の長い高強度燃
料廃棄物発生を低減させ、効率良く廉価に放射性モリブデンの安定供給ができる。
本特許の活用用途
99Moのベータ崩壊で得られるテクネチウム99(99mTc)は、各種医療検査・治療など、医療現場での利用
が中心であるが、医薬品開発、(生)化学工業などへの適用も考えられる。
(1)病院・保健所・研究所等医療機関 (2)医薬品メーカ (3)生命科学機関 (4)(生)化学工業
ご相談は下記まで御連絡ください
〒319-1195
茨城県那珂郡東海村白方白根2-4
TEL:029-282-6467
FAX:029-284-3679
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
研究連携成果展開部
加速器からの高速中性子照射により、濃縮ウランを使用せず、
効率良く放射性モリブデンを製造できる
技術的特長
13410[G21G:G21K:H05H]
更に詳しくは、次のような特許内容、特長を有しています。
特 許 内 容
従来の問題点
1.原子炉で濃縮235Uや98Moの熱中性子捕獲反応を
利用する方法は、生成核廃棄物や製造場所、製
造効率等の問題がある。
2.加速器からの陽子や重イオンビームを用いる方
法は、軽核種RIにしか対応できず、重核種RI用に
は高エネルギー化と装置大型化が必要になる。
本特許の具体的内容
1.【図1】の製造装置において、100Moをターゲット核と
して含む原料ターゲットに、加速器からの高速中
性子を照射して(n, 2n)反応*を起させ、99Moを生成
する。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
(a)
(b)
高電圧電源
電源ケーブル
加速器ターミナル
加速管
重陽子輸送ライン
高速中性子発生部
冷却管
冷却系
Moターゲット
ターゲット支持枠
ターゲット支持台あるいは試料容器
ターゲット保管庫
原料ターゲットと高速中性子発生部が密着
原料ターゲットと高速中性子発生部が離間
【図1】99Moの製造装置(模式図)
*1個の中性子を照射して2個の中性子を放出する
反応[100Mo+n→99Mo+2n]
2.濃縮235Uの核分裂反応で生成された廃棄物100Mo
を、ターゲット核として用いることにより、生成効
率向上と、燃料廃棄物の有効利用を図る。
3.【図2】(a)は99Moのβ崩壊に伴って放出される739
keVガンマ線、(b)はβ崩壊で励起される99mTcか
ら放出される141 keVガンマ線測定データであり、
14MeVの高速中性子で99Moが生成されることを
示している。
【図2】99Mo及び99mTcから放出されるガンマ線の測定データ