12912[B01D:C01B] 独立行政法人 日本原子力研究開発機構保有特許 レーザーによる酸素18の分離・濃縮法(特許第4953196号) 技術的特長 *単位面積当たりのレーザー光エネルギー(累積照射量ともいう) 発明の効果 18Oを含有する環状不飽和エーテル原料から高濃縮の 【化1】 18Oを小型の装置で大量に効率よく生産することが可能に なった。 本特許の活用用途 酸素18は、医療診断用試薬の原料など医薬品利用が主体 であるが、その他、酸素同位体比分析((18O/16O)SMOW)に基 づく気候変動分析、生体のエネルギー消費量診断用DLW (Doubly Labeled Water:二重標識水)、食品業界における産 地情報識別や原材料判別などにも適用される。 (1)医薬品メーカ (2)病院・保健所・研究所等医療機関 (3)気象観測・環境研究機関 (4)食品業界 ご相談は下記まで御連絡ください 〒319-1195 茨城県那珂郡東海村白方白根2-4 TEL:029-284-3415 FAX:029-284-3679 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 産学連携推進部 [2,3-ジヒドロピラン(C5H8)] [エチレン(C2H4)] [2-プロペナール(C3H4O)] ( 18Oが濃縮される分解生成物) 医療診断用等工業的需要の大きい酸素 同位体を、 小型の装置で大量に生産 ~環状不飽和エーテル原料へのパルスレーザー照射で 高効率分離・濃縮~ 酸素18(以下、18Oと略記)は陽電子断層撮影用検査試薬の原料として利用されるなど工業的需要の大きい 同位体である。この18Oを大量に効率よく生産するため、分解反応機構が単純で、かつ分解生成物の種類 が少ない作業分子(環状不飽和エーテル等の原料)を用いて、低いレーザーフルエンス*で高い分離係数と 収率が得られる18Oの分離・濃縮法を考案した。 18 12912[B01D:C01B] 更に詳しくは、次のような特許内容、特長を有しています。 特 許 内 容 従来の問題点 従来の非環状飽和エーテルを原料とする方法では、分解反応 機構が複雑で、分解生成物の種類も多いため、18Oを効率的に 濃縮・分離することが困難であった。 本特許の具体的内容 1.本発明の同位体分離・濃縮方法の原理・特徴 協奏反応(1)が生じる環状不飽和エーテルの同位体選択的 赤外多光解離(2)を利用し、分解生成物中に18Oを濃縮する。 すなわち、【化1】に示すように、 (1)レーザー照射により、18O を含む環状不飽和エーテル(2,3ジヒドロピラン(C5H8))から、「C-O及びC-C結合の切断」と 「C=O及びC=C二重結合の生成」が同時に起こり(協奏反応) 2-プロペナール(C3H4O)とエチレン(C2H4)が生成する。 (2)天然の16Oを含む環状不飽和エーテルの吸収ピークの波数 よりも低いレーザー光照射により、18O含有環状不飽和エー テルを選択的に分解し、分解生成物*中に18Oを濃縮する。 [*本例では2-プロペナール(C3H4O)] 1:原料保存容器 2:ガスクロマトグラフ質量分析計 3:照射試料回収システム 4:真空排気装置 5:照射セル 6:レーザーシステム 7:赤外用窓 8:レンズ 9:CaF2板 10:ビームスプリッタ 11:パワーメータ 【図1】同位体分離・濃縮実験装置ブロック図 2.実施例-同位体の分離・濃縮実験結果 (1) 2,3-ジヒドロピラン原料を【図1】に示す実験装置内の照射セ ル5に封入し、レーザー波数及びフルエンスを表1の範囲で 変化させた炭酸ガスレーザーを1000パルス数照射。 (2)【表1】の結果より、① 18O含有分解生成物生成量の点でレー ザー波数は1045㎝‐1より低い波数が好ましい、②高濃縮の 18O を得るためには、1040㎝‐1より低い波数が好ましい。 [結論]:2J/cm2程度の低レーザーフルエンスで18O含有原料を 選択的に分解でき、分解生成物に18Oを高濃縮できる。 【表1】同位体分離・濃縮実験結果
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