「人はみな、 表現者である」 福岡女学院の美術教育 21世紀の現在、次々と生まれる新しい技術とともに、教育の現場にも様々な 美術の授業では作品を途中で終えることをよしとしません。必ず、 すべての生徒 デジタル教材が導入されています。 しかし、福岡女学院は、創立130周年を迎え の作品を最後まで完成させます。 なぜなら、作品は自分の中から生まれたもう一 た今だからこそ、初心を忘れずに、 たとえアナログと言われても、音楽教育と美 人の自分であると考えるからです。作品を途中で放り出すことは、 自分自身から逃 術教育を大切にしたいと考えています。 げることにも通じます。 だからこそ、私たち教師は生徒一人一人が作品を完成さ こどもたちにとって中学・高校の6年間というのは、 その後の人生を豊かにす せるまで、放課後でも、休みの日でもとことん寄り添います。作品を完成させる過 るか否かを決める大事な時期と言えます。 だからこそ、 その6年間の学びそのもの 程を通じて、 自分と向き合い、 自分とは何かを考えていく。 その経験を、中学・高校 が豊かでなければなりません。豊かな学びとは、単に知識を得るだけではなく、 の時期にこどもたちにしてもらいたいと考えているからです。 そのため、教師自らもこの大きなテーマの中で授業を創り出し、実践していくこ 自ら考え、五感を研ぎ澄ませ、 自身の心や感情と向き合うものであると考えます。 とが問われています。生徒に何を伝えたいのか、 自らの信念がぶれていないか、 それを実践していくために美術の授業では、 「自然と自分」の中にその主題を 求めます。 なぜなら、 自然こそが私たち人間が生きて行く上で根源的なものであ 美術の授業の持つ意義はどこにあるのか。教師も、 日々の授業に臨むことで、 自 り、表現とはその中で自分が心で感じたものから生まれると考えるからです。授 分自身と向き合っているのです。 業では、 「道具」 としての手をつくることから始めます。 そして、 自分の目を見つめ、 「アナログ」 とは、情報を連続した量として扱うことを意味します。 こどもたちの人 空を見上げ、土を描き、草や木に触れ、水をテーマに絵本を制作し、石や木の 生には、意味のない瞬間は存在しません。 すべての時間がつながり、大切な意味 風景と向き合い、海や風をメッセージにし、土を焼く。 そんな風に自分自身と周 を持っています。福岡女学院の草創期の文献には、今で言う 「美術」 を表す 「画 囲の関係性を常に問い続ける濃密な時間。 それが、福岡女学院の「美術」の 学」 という授業が存在していたことが記されています。 その想いを、130年経った 授業です。 今も変わらず大切にしていきます。 福岡女学院中学校・高等学校 美術科 中学1年生から高校3年生までの授業作品だけを展示。作品とともに、長い歴史の中で創り出されてきた独創的な授業の数々をご覧ください。 中学3年 「水の絵本」 中学1年 「生きる手」 中学1年 「自分を見つめる」 中学2年 「土を描く」 高校1年 「石を描く」 高校1年 「ウィリアム・モリスから学ぶ ̶ 模写とアレンジ」 高校3年 「身体考 ̶ 手」 卒業生と教師の作品展 同時開催 記念 講演 「21世紀型の学校における芸術教育の意味」 8月15日 土 9:40開場 10:00∼12:00 どなた様もご参加いただけます。事前申込み不要。 ※席数には限りがあります。予めご了承下さい。 講師プロフィール 1951年生まれ。学習院大学文学部教授・東京大学名誉教授。教育学博士(東京大学)。三重大学教育学部助教授、東京大学教 育学部助教授、東京大学大学院教育学研究科教授を経て2012年より現職。東京大学大学院教育学研究科長(2004年̶2006 年)。 エル・コレヒオ・デ・メヒコ招聘教授(2001年)、 ハーバード大学客員教授(2002年)、 ニューヨーク大学客員教授(2002年)、 ベル リン自由大学招聘教授(2006年)。全米教育アカデミー (NEA)会員。 日本学術会議第一部(人文社会科学)前部長。 日本教育学会 前会長。 アメリカ教育学会(AERA)名誉会員。 アジア出版大賞(APA) ノンフィクション部門大賞次賞(2012年)。 主な著書 さ とう まなぶ 佐藤 学 Manabu Sato お問い合わせ 『米国カリキュラム改造史研究』 東京大学出版会 1990年 『学び・その死と再生』 太郎次郎社 1995年 『教育方法学』 岩波書店 1996年 『授業研究入門』 (稲垣忠彦との共著) 1996年 『カリキュラムの批評̶公共性の再構築へ』 世織書房 1996年 『教師というアポリア̶反省的実践へ』世織書房 1997年 『学びの快楽̶ダイアローグへ』世織書房 1999年 『教育改革をデザインする』岩波書店 1999年 『学びから逃走する子どもたち』 岩波書店 1999年 『習熟度別指導の何が問題か』岩波書店 2002年 『教師たちの挑戦̶授業を創る・学びが変わる』小学館 2003年 『子どもたちの想像力を育む̶アート教育の思想と実践』 (今井康雄と共編) 東京大学出版会 2003年 『学校の挑戦̶学びの共同体の創造』小学館 2005年 『教師花伝書̶専門家として成長するために』小学館 2008年 『教育の方法』 (放送大学叢書)左右社 2010年 『学校改革の哲学』東京大学出版会 2012年 『学校見聞録』小学館 2012年 『学校を改革する̶学びの共同体の構想と実践』岩波書店 2012年 他、多数 福岡女学院中学校・高等学校 事務室 〒811-1313 福岡市南区曰佐3丁目42-1 TEL(092)575-2470
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