多重共線性と偏相関という現象について説明します。

問題を理解するために、まず、多重共線性と偏相関という現象について説明します。
たとえば、大人から子供まで体の大きさの異なる人を集めて、体重と足の速さの関係を調
べると、多分、相関が出てきます。その相関はかなり高いでしょうね。でもこれは見せか
けの相関です。この結果から、体重の重い人は足が速いなどという結論を出してはいけま
せん。こういう時、体の大きさに関するもう一つのデータ(たとえば身長あるいは年齢)
を加えて偏相関分析をするのです。偏相関係数とは、この3者の関係で、体の大きさの影
響を取り除いた相関係数のことです。それぞれの偏差を図示すと次のようになるでしょう。
a が足の速さの偏差、b が体重の偏差、c が身長の偏差です。それぞれかなり単相関係数は
高いでしょう。ベクトルの方向はかなり一致しています。
𝜃𝜃 ′
a
c
b
θ
この例では、ベクトル a,b が作る平面では、a,b の相関が高く、体重と足の速さには相関が
𝜋𝜋
あるように見えます。θ < 2 なので、cos 𝜃𝜃 > 0ですから、a,b の単相関係数は正です。c を取
り除いた偏相関係数は、ベクトル a,c が作る平面と、ベクトル b,c が作る平面のなす角度で
𝜋𝜋
す。𝜃𝜃 ′ > なので、cos 𝜃𝜃 < 0です。つまり偏相関係数は負で逆相関になります。つまり、体
2
重が増えると遅くなるという妥当な結論が出ます。
θ
θ’
つまり、地面に師直な平面に、図に太線矢印で示した棒がコンパスのように一点で地面に
接してθの角度で広がって立っていたものが、強い力で平面に直角の方向に引っ張られた
ので倒れてしまい、それだけ角度が小さくなってお互いの矢印の角度がθ’になってしまっ
𝜋𝜋
𝜋𝜋
たということです。相関係数 r とはcos 𝜃𝜃のことですから、2 < θ < π, 0 < θ′ < 2 ならば、
r < 0, r′ > 0となります。多重共線性とはこういうことで、𝑟𝑟 = cos 𝜃𝜃の方が偏相関係数、
𝑟𝑟 = cos 𝜃𝜃′の方が単相関です。
多重共戦性を理解するには、このような空間イメージを描くことが大切です。
このことは意外に深刻な問題です。3個以上の説明変数どうしが単相関していた場合、解
釈できないおかしな結果が導かれることがあるということです。
この空間図形としての説明からわかるように、いくつかの変数が高い相関性を持っていた
場合、2つの可能性があります。単相関も偏相関も高い正の値だという場合です。つまり
矢印のコンパスはもともと小さい角度で開いていた。その程度にもよりますが、この場合
は、すべての説明変数が同じ方向を向いているのです。だったら、これは多重共線性とは
言わないのではないかと思います。代表的なものを一つ選ぶか、全部束ねて扱うために相
関するすべての変数を使って合成変数を創ればよいでしょう。単純には足し算とか掛け算
とかが考えられます。面倒ならば全部使っても、大した問題は起こらないでしょう。
そうではなくて、偏相関が負の場合に、代表的なもの一つを選ぶと、重要な情報が失われ
てしまうことになります。こういう時は何か工夫が必要です。考えられるのは、偏相関し
ている変数1つとそれと相関している変数の間で、何か適当な合成変数を作ることです。
引き算とか割り算とかです。例に挙げた足の速さと体重と背の高さであれば、体重を身長
の3乗で割って肥満度を計算しそれを説明変数に使うという手があるでしょう。肥満度な
らば身長とはほとんど独立でしょう(というか、太っている程度を身長と独立に表すため
に肥満度という指標を作った。本当は肥満度は身長と弱い逆相関性がある。
)。これでやれ
ば、肥満度と足の速さの関係、足の速さと身長の関係をほぼ独立して論ずることができる
でしょう。この場合、数学的知識を使っているのではなくて、肥満度という生物学的知識
を使っているのです。ためしに、足の速さと体重を使ってうまい合成変数を考えてみまし
た。どうもうまくいきません。短い距離で加速力を比較するのならば、力=重さ×加速度
だから、何かやれそうな気がするのですが、筆者は物理学を知らないので、うまい手を思
いつきません。つまり、どうすればよいのかは数学的な問題ではなくて、解析をしている
研究者の専門分野の知識に依存するのです。数学的に解決ができるのは、高い相関が、束
にして扱ってよいに似たような説明変数の塊なのか、あらたな独立変数を考えるべき多重
共線性なのかということです。
ただし、この方法は常に有効ではありません。多重共線性がある場合でも、それらの相関
性を高めて全体をある方向に引っ張っている要因が実際のデーターとしてとられていない
ことがあるからです。そういうケースでは偏相関係数が計算できません。必要なもう一本
の軸がないので、空間の中でどっち向きに倒れているのかわからないのです。これは統計
学の問題ではありません。もう一度データーを取り直すか。補足的なデーターをとって、
偏相関を見つけて、妥当な説明変数になるようにデータを構築してください。
さて偏相関係数の求め方です。
これは結構大変です。大そんなに難しい話ではないのですが、式が複雑で、数学的な記号
を使って、わかりやすく記述する方法を思いつかないのです。ネットで調べてみたのです
が、どれもわかる人にはわかるという記述になっています。どうすればよいのか考えたの
ですが、まず、答えを示します。その後、相関行列の逆行列の因子を使った記述の仕方を
紹介します。
まず、例によってもっとも簡単な例について考えます。
変数が 3 つある場合の偏相関を考えます。
𝒙𝒙 = �𝑥𝑥1,⋯ 𝑥𝑥𝑛𝑛 �
𝒚𝒚 = �𝑦𝑦1,⋯ 𝑦𝑦𝑛𝑛 �
𝒛𝒛 = �𝑧𝑧1,⋯ 𝑧𝑧𝑛𝑛 �
一つのつのサンプルについて 3 つの属性が観測されているという条件で、𝒛𝒛 の影響を取り
除いた、𝒙𝒙と𝒚𝒚の偏相関を考えます。
𝒛𝒛の値から𝒙𝒙の推定値を求めるには回帰係数を𝒛𝒛乗ずればよいので。𝒛𝒛の影響を取り除いた𝒙𝒙の
値𝑥𝑥̅ は下式によって求められます。
𝑥𝑥̅ = 𝑥𝑥 − β𝑥𝑥/𝑧𝑧 𝑧𝑧 = 𝑥𝑥 −
y� = 𝑦𝑦 − β𝑦𝑦/𝑧𝑧 𝑧𝑧 = 𝑦𝑦 −
𝑥𝑥と𝑦𝑦の偏相関とは𝑥𝑥̅ とy� の単相関だから
r𝑥𝑥𝑥𝑥/𝑧𝑧 = 𝑟𝑟𝑥𝑥̅ 𝑦𝑦� =
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥̅ 𝑦𝑦�
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥̅ 𝑥𝑥̅ �𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦�𝑦𝑦�̇
r𝑥𝑥𝑥𝑥/𝑧𝑧 は、3つの説明変数のうち𝑧𝑧の影響を取り除いた𝑥𝑥とyの偏相関という意味です。
𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥̅ 𝑦𝑦� = � �𝑥𝑥𝑘𝑘 −
𝑘𝑘=1
𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑧𝑧𝑘𝑘 � �𝑦𝑦𝑘𝑘 −
𝑧𝑧 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑘𝑘
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥̅ 𝑥𝑥̅ = � �𝑥𝑥𝑘𝑘 −
𝑘𝑘=1
𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦�𝑦𝑦� = � �𝑦𝑦𝑘𝑘 −
𝑘𝑘=1
とりあえず、𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥̅ 𝑦𝑦� から片づけるとして、
𝑛𝑛
𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥̅ 𝑦𝑦� = � �𝑥𝑥𝑘𝑘 −
𝑛𝑛
𝑘𝑘=1
2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑧𝑧𝑘𝑘 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑧𝑧𝑘𝑘 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑧𝑧𝑘𝑘 � �𝑦𝑦𝑘𝑘 −
𝑧𝑧 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑘𝑘
𝑛𝑛
𝑛𝑛
𝑘𝑘=1
𝑘𝑘=1
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
= � 𝑥𝑥𝑘𝑘 𝑦𝑦𝑘𝑘 − �
𝑦𝑦𝑘𝑘 𝑧𝑧𝑘𝑘 − �
𝑥𝑥𝑘𝑘 𝑧𝑧𝑘𝑘 + �
𝑧𝑧𝑘𝑘
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 2
𝑘𝑘=1
𝑘𝑘=1
= 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 +
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
−
−
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
= 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 −
𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥̅ 𝑥𝑥̅ = � �𝑥𝑥𝑘𝑘 −
𝑘𝑘=1
2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑧𝑧𝑘𝑘 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑛𝑛
= � 𝑥𝑥𝑘𝑘
𝑘𝑘=1
2
𝑛𝑛
𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 2 2
−2�
𝑧𝑧𝑘𝑘 𝑥𝑥𝑘𝑘 + �
𝑧𝑧𝑘𝑘
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 2
𝑘𝑘=1
= 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 − 2
2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
+
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
= 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 −
同様にして
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦�𝑦𝑦�
r𝑥𝑥𝑥𝑥/𝑧𝑧 = 𝑟𝑟𝑥𝑥̅ 𝑦𝑦� =
𝑘𝑘=1
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 2
= 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 −
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 −
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
2
𝑆𝑆𝑆𝑆 2
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 �𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 − 𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
r𝑥𝑥𝑥𝑥/𝑧𝑧 = 𝑟𝑟𝑥𝑥̅ 𝑦𝑦� =
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 2 �𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 2
式 100
答えはこれで良いのですが、少し複雑に見えます。また、観測される属性が増えてきたら
複雑で書けなくなります。
属性が 4 個以上の n 個の場合について考えます。あまり自信はないけれどとにかくやって
みます。
𝒙𝒙1 = �𝑥𝑥11, ⋯ 𝑥𝑥1𝑘𝑘 ⋯ 𝑥𝑥1𝑛𝑛 �
𝒙𝒙𝟐𝟐 = �𝑥𝑥21, ⋯ 𝑥𝑥2𝑘𝑘 ⋯ 𝑥𝑥2𝑛𝑛 �
⋮
𝒙𝒙𝒏𝒏 = �𝑥𝑥n1, ⋯ 𝑥𝑥𝑛𝑛𝑛𝑛 ⋯ 𝑥𝑥1𝑛𝑛 �
𝑛𝑛
𝑥𝑥
����
1𝑘𝑘 = 𝑥𝑥1𝑘𝑘 − � α𝑙𝑙 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙
𝑙𝑙=3
𝑛𝑛
𝑥𝑥
�����
2𝑘𝑘 = 𝑥𝑥2𝑘𝑘 − � β𝑙𝑙 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙
𝑙𝑙=3
のように、それぞれを𝒙𝒙1 𝒙𝒙𝟐𝟐以外の説明変数で予測できるものとする
���と𝑥𝑥
𝑥𝑥1 と𝑥𝑥2 の偏相関とは𝑥𝑥
1 ���の単相関だから
2
r12/𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟 = 𝑟𝑟𝑥𝑥���1�𝑥𝑥�����
=
2𝑘𝑘
𝑚𝑚
𝑛𝑛
𝑘𝑘=1
𝑙𝑙=3
𝑆𝑆𝑆𝑆�𝑥𝑥��1�𝑥𝑥���2�
�𝑆𝑆𝑆𝑆�𝑥𝑥��1�𝑥𝑥���1� �𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥2′𝑥𝑥̇ 2 ′
𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥1 ′𝑥𝑥2′ = � �𝑥𝑥1𝑘𝑘 − � α𝑙𝑙 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙 � �𝑥𝑥2𝑘𝑘 − � β𝑙𝑙 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙 �
𝑙𝑙=3
𝑚𝑚
𝑛𝑛
𝑚𝑚
𝑘𝑘=1
𝑙𝑙=3
𝑘𝑘=1
𝑛𝑛
𝑚𝑚
𝑛𝑛
𝑚𝑚
𝑙𝑙=3
𝑘𝑘=1
𝑙𝑙=3
𝑘𝑘=1
= � 𝑥𝑥1𝑘𝑘 𝑥𝑥2𝑘𝑘 − � β𝑙𝑙 � 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙 𝑥𝑥1𝑘𝑘 − � α𝑙𝑙 � 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙 𝑥𝑥2𝑘𝑘 + � α𝑙𝑙 β𝑙𝑙 � 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙 𝑥𝑥𝑙𝑙𝑙𝑙
𝑙𝑙
とやっていけばよいはずですが、こんな面倒な作業を間違えずにやるのはほとんど不可能
でしょう。実際やってみましたけれど恐ろしく時間がかかり、間違えてばかりで答えにた
どり着きませんでした。しかし、慎重かつ丁寧にやれば答えにたどり着くでしょう。つま
り、答えは出るはずなのだけれど、私にはそれを実行できないということです。なんか悔
しい。ちょっと不満です。何か工夫が必要です。そこで、二つのアイデアを導入します。
一つはこのシリーズでしばしば登場するローカルルールの記述法、
𝑎𝑎11 ⋯ 𝑎𝑎1𝑛𝑛
⋮ �
𝑨𝑨 = � ⋮
𝑎𝑎𝑛𝑛1 ⋯ 𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛
𝑎𝑎11 𝑎𝑎12 ⋯ 𝑎𝑎1𝑗𝑗 ⋯ 𝑎𝑎1𝑛𝑛
𝑎𝑎21 𝑎𝑎22
⋮
⋮
⎛ ⋮
⎞
1
⋱
⋮
-1
𝑨𝑨
=
⎜
⎟
|𝐴𝐴| ⎜𝑎𝑎𝑖𝑖1
𝑎𝑎𝑖𝑖𝑖𝑖
𝑎𝑎𝑖𝑖𝑖𝑖 ⎟
⋮
⋱
⋮
⎝ 𝑎𝑎𝑛𝑛1 𝑎𝑎𝑛𝑛2 ⋯ 𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛 ⋯ 𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛 ⎠
を使います。もう一つの工夫は、行列をいくつかの小行列に分けてまとめて取扱う方法を
考えるということです。これがうまく作れれば、面倒な計算をしなくて済みます。やり方
を説明します。
まず、次のような、 部分行列からなる行列を考えます。
𝑨𝑨 = �
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏
�
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐
次にこの行列の逆行列を考え、それを𝑩𝑩として次のように表します
つまり、下記のようなことです。
𝑎𝑎11
⋮
⎛ 𝑎𝑎
𝑝𝑝1
𝑨𝑨 = ⎜𝑎𝑎
⎜ 𝑝𝑝+11
⋮
𝑎𝑎
⎝ 𝑛𝑛1
⋯
𝑎𝑎1𝑞𝑞
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 ⋮
⋯
𝑎𝑎𝑝𝑝𝑝𝑝
⋯ 𝑎𝑎𝑝𝑝+11
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 ⋮
⋯
𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛
𝑎𝑎11
Δ
⎛ ⋮
⎜ 𝑎𝑎𝑝𝑝1
⎜ Δ
𝑩𝑩 = ⎜𝑎𝑎𝑝𝑝+11
⎜ Δ
⎜ ⋮
⎝
𝑩𝑩
𝑨𝑨−𝟏𝟏 = 𝑩𝑩 = � 𝟏𝟏𝟏𝟏
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑎𝑎𝑛𝑛1
Δ
⋯
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏
⋯
⋯
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
⋯
𝑎𝑎1𝑞𝑞
Δ
⋮
𝑎𝑎𝑝𝑝𝑝𝑝
Δ
𝑎𝑎𝑝𝑝+1𝑞𝑞
Δ
⋮
𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛
Δ
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏
�
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑎𝑎1𝑞𝑞+1
⋮
𝑎𝑎𝑝𝑝𝑝𝑝+1
𝑎𝑎𝑝𝑝+1 𝑞𝑞+1
⋮
𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛+1
𝑎𝑎1𝑞𝑞+1
Δ
⋮
𝑎𝑎𝑝𝑝 𝑞𝑞+1
Δ
𝑎𝑎𝑝𝑝+1𝑞𝑞+1
Δ
⋮
𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛+1
Δ
⋯
𝑎𝑎1𝑛𝑛
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 ⋮
⋯
𝑎𝑎𝑝𝑝𝑝𝑝 ⎞
⋯ 𝑎𝑎𝑝𝑝+1 𝑞𝑞+1 ⎟
⎟
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 ⋮
⋯
𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛 ⎠
⋯
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏
𝑎𝑎1𝑛𝑛
Δ
⋮ ⎞
⎟
⋯
Δ ⎟
𝑎𝑎𝑝𝑝+1𝑛𝑛 ⎟
⋯
Δ ⎟
⋮ ⎟
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
⋯
𝑎𝑎𝑝𝑝𝑝𝑝
𝑎𝑎𝑛𝑛𝑛𝑛
Δ
⎠
Δ = |𝑨𝑨|
ここで
𝑨𝑨𝑨𝑨 = 𝑨𝑨𝑨𝑨−𝟏𝟏 = 𝑰𝑰
𝑰𝑰は n 次の単位行列
ですから、これを今決め小行列の記述法に従って書くと
�
となって、実際に計算すると
だから
�
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏
��
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏
1 0
�=�
�
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
0 1
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
1 0
�=�
�
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
0 1
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 1
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 1
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 0
となります。
を使うと
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 0
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 0
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = −𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 = −𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏
−𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 1
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 1+𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏
(この変形、あわてないで左から逆行列をかけてください。割り算ではありません。スカ
ラーでの割り算に相当するものは両辺に逆行列をかけることです。右側からか左側からか
はよく考えてください。行列演算では交換法則が成り立ちません。)
これを
に代入すると
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 1
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �−𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 � = 1
これ の両辺に右側から𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏をかけると
左右を移項して
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 − 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 = 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 = 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 − 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = �𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 − 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 �
−𝟏𝟏
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 0と𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = 1について、同じことをすると
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = −𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 = 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 − 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏
全部を整理すると
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = �𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 − 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = �𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 − 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 �
−𝟏𝟏
−𝟏𝟏
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 = 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 − 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = −𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = −𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = �𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 − 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �
−𝟏𝟏
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 −1 = 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 − 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏
無理に行列式として書けば
𝑨𝑨
� 𝟏𝟏𝟏𝟏
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐
−𝟏𝟏
�𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 − 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 �
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −1
� =�
−𝟏𝟏
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐
−𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 �𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 − 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 �
−𝟏𝟏
−𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 − 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �
−𝟏𝟏
�𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 − 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �
�
と書けなくもないのですが、かえって複雑ですね。行列表現の前の形の方が理解しやすい
でしょう。
さて、これで計算を記述していくのですが𝑖𝑖と𝑗𝑗が真ん中に位置していると、小行列に分ける
のが面倒になるので、先頭に持ってきてしまいましょう。𝑖𝑖 = 1, 𝑗𝑗 = 2の場合を考えます。
順番がどこでも構わないでしょう。どうしても必要ならばあとから動かせばよいのですか
ら。その上で平方和(SS)の行列を書くと次のようになります。
𝑆𝑆𝑆𝑆11
𝑆𝑆𝑆𝑆21
𝑺𝑺 = �
⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛1
𝑆𝑆𝑆𝑆12
𝑆𝑆𝑆𝑆22
⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛2
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑛𝑛
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆2𝑛𝑛
�
⋮
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛
記号を使いすぎて、どのように記号を配分すればよいのかわからなくなってきましたが、
とりあえず、行列𝑺𝑺を次のように小行列に分割します。
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 = � 11
𝑆𝑆𝑆𝑆21
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 = � 13
𝑆𝑆𝑆𝑆23
となります。
𝑆𝑆𝑆𝑆12
�
𝑆𝑆𝑆𝑆22
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑛𝑛
�
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆2𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆31 𝑆𝑆𝑆𝑆32
⋮ �
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 = � ⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛1 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛2
𝑆𝑆𝑆𝑆33 ⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆3𝑛𝑛
⋮ �
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 = � ⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛3 ⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 = � 11
𝑆𝑆𝑆𝑆21
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 = � 13
𝑆𝑆𝑆𝑆23
𝑆𝑆𝑆𝑆12
�
𝑆𝑆𝑆𝑆22
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑛𝑛
�
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆2𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆31 𝑆𝑆𝑆𝑆32
⋮ �
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 = � ⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛1 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛2
𝑆𝑆𝑆𝑆33 ⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆3𝑛𝑛
⋮ �
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 = � ⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛3 ⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛
11
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = �𝑆𝑆𝑆𝑆 21
𝑆𝑆𝑆𝑆
13
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = �𝑆𝑆𝑆𝑆 23
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑆𝑆𝑆𝑆12 �
𝑆𝑆𝑆𝑆 22
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑛𝑛 �
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 2𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆 31 𝑆𝑆𝑆𝑆 32
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = � ⋮
⋮ �
𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛1 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛2
𝑆𝑆𝑆𝑆 33 ⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 3𝑛𝑛
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 = � ⋮
⋮ �
𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛3 ⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛𝑛𝑛
私たちが立てた予測は
r𝑖𝑖𝑖𝑖/𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟 =
ですから、この場合は
です。これならば、部分集合
r12/𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟 =
−�𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑖𝑖𝑖𝑖 �
√𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑖𝑖𝑖𝑖 √𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
−(𝑆𝑆𝑆𝑆12 )
√𝑆𝑆𝑆𝑆11 √𝑆𝑆𝑆𝑆 22
11
𝑩𝑩𝟏𝟏𝟏𝟏 = �𝑆𝑆𝑆𝑆 21
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑆𝑆𝑆𝑆12 �
𝑆𝑆𝑆𝑆 22
必要になるので、念のために確認しておきますが、先ほど証明した、
𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 −1 = 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 − 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏
は、よろしいですね。これを変形すると
これを使います。
−1
𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 −1 = �𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 −1 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �
まずやらなければならないのは、𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐の行列を使って、���
𝒙𝒙𝟏𝟏、���(観測地と予測値の差)を求め
𝒙𝒙𝟐𝟐
ることです。
まず、予測値です。これを𝑥𝑥1́ 、𝑥𝑥2́ とします。
𝑥𝑥1́ 、𝑥𝑥2́ を𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐を使って重回帰分析によって求めます。
ローカルルールを使って、重回帰分析の回帰係数(変回帰係数)の公式を書くと、次のよ
うになります。
重回帰の項で説明した公式は
𝑆𝑆𝑆𝑆11 𝑆𝑆𝑆𝑆12
𝑆𝑆𝑆𝑆 21 𝑆𝑆𝑆𝑆 22
1 ⎛ ⋮
⋮
𝒃𝒃 =
⎜ 𝑗𝑗1
[𝑺𝑺] ⎜
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗2
𝑆𝑆𝑆𝑆
⋮
⋮
⎝ 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛1 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛2
この場合にあてはめると
同様に
面倒だから、
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 1𝑛𝑛
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 2𝑛𝑛
⋮ ⎞ 𝒚𝒚
⎟
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗 ⎟
⋱
⋮
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛𝑛𝑛 ⎠
𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑦𝑦
𝑏𝑏1
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑏𝑏
⎛ 2𝑦𝑦 ⎞
⎛ 2⎞
⋮
⋮
ただし、𝒃𝒃 = ⎜ 𝑏𝑏 ⎟, 𝐲𝐲 = ⎜ 𝑆𝑆𝑆𝑆 ⎟
⎜ 𝑗𝑗 ⎟
⎜ 𝑗𝑗𝑗𝑗 ⎟
⋮
⋮
⎝𝑏𝑏𝑛𝑛 ⎠
𝑆𝑆𝑆𝑆
⎝ 𝑛𝑛𝑛𝑛 ⎠
𝒃𝒃𝟏𝟏 =
だから、
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑖𝑖
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 2𝑖𝑖
⋱
⋮
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
⋮
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑛𝑛𝑛𝑛
1
𝑨𝑨 −𝟏𝟏 𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏
[𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 ] 𝟐𝟐𝟐𝟐
𝑏𝑏13
𝑆𝑆𝑆𝑆13
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑏𝑏14
⎛ ⎞
⎛ 14 ⎞
⋮
⋮
ただし、𝒃𝒃 = ⎜ 𝑏𝑏 ⎟, 𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 = ⎜ 𝑆𝑆𝑆𝑆 ⎟
⎜ 1𝑗𝑗 ⎟
⎜ 1𝑗𝑗 ⎟
⋮
⋮
⎝𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑛𝑛 ⎠
⎝𝑏𝑏1𝑛𝑛 ⎠
𝒃𝒃𝟏𝟏 =
1
−1
�𝑩𝑩 −1 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 � 𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏
[𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 ] 𝟐𝟐𝟐𝟐
𝒃𝒃𝟐𝟐 =
1
−1
�𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 −1 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 � 𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐
[𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 ]
𝑏𝑏23
𝑆𝑆𝑆𝑆23
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑏𝑏24
⎛ ⎞
⎛ 24 ⎞
⋮
⋮
ただし、𝐛𝐛𝟐𝟐 = ⎜ 𝑏𝑏 ⎟, 𝑺𝑺𝑺𝑺 𝟐𝟐 = ⎜ 𝑆𝑆𝑆𝑆 ⎟
⎜ 2𝑗𝑗 ⎟
⎜ 2𝑗𝑗 ⎟
⋮
⋮
⎝𝑆𝑆𝑆𝑆2𝑛𝑛 ⎠
⎝𝑏𝑏2𝑛𝑛 ⎠
𝒁𝒁 =
1
−1
�𝑩𝑩𝟐𝟐𝟐𝟐 −1 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �
[𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 ]
𝒁𝒁 =
1
−1
�𝑩𝑩 −1 + 𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 −𝟏𝟏 𝑨𝑨𝟏𝟏𝟏𝟏 �
[𝑨𝑨𝟐𝟐𝟐𝟐 ] 𝟐𝟐𝟐𝟐
これを定数のような機能をする行列と置いてしまう。
𝒃𝒃𝟏𝟏 = 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏
だから
𝒃𝒃𝟐𝟐 = 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐
𝑥𝑥3𝑘𝑘
𝑥𝑥4𝑘𝑘
𝑥𝑥
����
1𝑘𝑘 = 𝑥𝑥1𝑘𝑘 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 � ⋮ �
𝑥𝑥𝑛𝑛𝑛𝑛
𝑥𝑥3𝑘𝑘
𝑥𝑥4𝑘𝑘
𝑥𝑥
�����
2𝑘𝑘 = 𝑥𝑥2𝑘𝑘 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐 � ⋮ �
𝑥𝑥𝑛𝑛𝑛𝑛
とすると、
𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏はもともと
ですから
𝑥𝑥3𝑘𝑘
𝑥𝑥4𝑘𝑘
𝒛𝒛 = � ⋮ �
𝑥𝑥𝑛𝑛𝑛𝑛
����
𝑥𝑥
1𝑘𝑘 = 𝑥𝑥1𝑘𝑘 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 𝒛𝒛
𝑥𝑥
�����
2𝑘𝑘 = 𝑥𝑥2𝑘𝑘 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐 𝒛𝒛
𝑥𝑥3𝑘𝑘
𝑥𝑥4𝑘𝑘
� 𝑥𝑥1 � ⋮ �
𝑘𝑘=3
𝑥𝑥𝑛𝑛𝑛𝑛
𝑚𝑚
𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 𝒛𝒛 = 𝑺𝑺𝑺𝑺𝒛𝒛 𝒙𝒙𝟏𝟏
𝑥𝑥
����
1𝑘𝑘 = 𝑥𝑥1𝑘𝑘 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 𝑥𝑥1𝑘𝑘 = 𝑥𝑥1𝑘𝑘 (1 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 )
これを使えば
𝑥𝑥
�����
2𝑘𝑘 = 𝑥𝑥2𝑘𝑘 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐 𝑥𝑥2𝑘𝑘 = 𝑥𝑥2𝑘𝑘 (1 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐 )
2
2
𝑆𝑆𝑆𝑆�������
𝑥𝑥1 𝑥𝑥1 = 𝑥𝑥1𝑘𝑘 (1 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 )
2
2
𝑆𝑆𝑆𝑆�������
𝑥𝑥2 𝑥𝑥2 = 𝑥𝑥2𝑘𝑘 (1 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐 )
𝑆𝑆𝑆𝑆�������
𝑥𝑥1 𝑥𝑥2 = 𝑥𝑥1𝑘𝑘 (1 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟏𝟏 )𝑥𝑥2𝑘𝑘 (1 − 𝒁𝒁𝑺𝑺𝑺𝑺𝟐𝟐 )
r𝑥𝑥�������/𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟
=
1 𝑥𝑥2
と一応、答えは出せることがわかります。
𝑆𝑆𝑆𝑆�������
𝑥𝑥1 𝑥𝑥2
�𝑆𝑆𝑆𝑆�������
𝑥𝑥1 𝑥𝑥1 �𝑆𝑆𝑆𝑆�������
𝑥𝑥2 𝑥𝑥2
しかし、これでは不便なので、簡便な答えの記述法を示します。
の逆行列を考えます。
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑺𝑺 = � 𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝐒𝐒−𝟏𝟏 =
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆
� 𝑦𝑦𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
1
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
�
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
⎛
⎜− �𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 ⎜ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
⎜
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
�
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 ⎝ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 2
1
�−𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 + 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝐒𝐒−𝟏𝟏 =
|𝑺𝑺|
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
ここで偏相関係数の式を見ると、
r𝑥𝑥𝑥𝑥/𝑧𝑧 =
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
� −�
� �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆
� � 𝑥𝑥𝑥𝑥
� −�
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
𝑥𝑥𝑥𝑥
� − �𝑆𝑆𝑆𝑆
� �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
−𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 + 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
2
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
−𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 + 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
�
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧
⎞
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 ⎟
�
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 ⎟
⎟
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥
�
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 ⎠
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
−𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 + 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 �
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦
−�−𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 + 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 �
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 2�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑧𝑧𝑧𝑧 − 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑦𝑦𝑦𝑦 2
赤と青と緑で書いたところが一致しています。𝑧𝑧 と𝑥𝑥、𝑧𝑧と𝑦𝑦でもやってもらうとわかります
が、逆相関係数の行列のなかで、分母のルートの中は、偏相関を計算するそれぞれの説明
変数のところの対角の因子で、分子は偏相関を計算する一方を行、もう一方を列に取った、
のところの因子です。だからどうしたと言われても困るのですが、ひょっとして、これを
一般的な説明変数が n 個のケースにまで拡張して一般的な解の形を導くことができるので
はないかという考えが浮かびます。
これは実際そうなのですが、それを証明するのは手間がかかるので、ここでは便利な解法
として、そういうものだと飲み込んでおいてください。
それ以上に、必要なことは以下のことです。
解析ソフトにもよるのですが、上記の説明では、各変数間の平方和のマトリックスが示さ
れていないのではないかと思います。多分、その代わりに単相関の相関係数が示されてい
るのが普通だと思います。もちろん、そこから平方和を計算して、上記の計算をすればよ
いのですが、直接に単回帰の回帰係数のマトリックスから計算したいのではないでしょう
か。その方法を示します。
相関係数のマトリックスを行列で示すと下の式のようになります。
𝑟𝑟11
𝑟𝑟21
𝑹𝑹 = � ⋮
𝑟𝑟𝑛𝑛1
𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖 は説明変数𝒙𝒙𝒊𝒊と𝒙𝒙j の単相関係数
𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖 =
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖
𝑟𝑟12
𝑟𝑟22
⋮
𝑟𝑟𝑛𝑛2
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖 �𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
⋯ 𝑟𝑟1𝑛𝑛
⋯ 𝑟𝑟𝑛𝑛1
⋱
⋮ �
⋯ 𝑟𝑟𝑛𝑛𝑛𝑛
, 𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖 = 1
SS は平方和
𝑥𝑥𝑖𝑖𝑖𝑖
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖 = 𝑥𝑥𝑖𝑖 𝑇𝑇 𝑥𝑥𝑗𝑗 = (𝑥𝑥𝑖𝑖1
𝑥𝑥𝑗𝑗1
𝑛𝑛
𝑥𝑥
⋯ 𝑥𝑥𝑖𝑖𝑖𝑖 ) � 𝑗𝑗2 � = � 𝑥𝑥𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑥𝑥𝑗𝑗𝑗𝑗
⋮
𝑘𝑘=1
𝑥𝑥𝑗𝑗𝑗𝑗
𝐴𝐴𝑇𝑇 は𝐴𝐴の転置行列
という約束にすると、
𝑆𝑆𝑆𝑆11 𝑆𝑆𝑆𝑆12
𝑆𝑆
𝑆𝑆𝑆𝑆22
⎛ 21
⋮
⋮
X𝑋𝑋 𝑇𝑇 = 𝑺𝑺 = ⎜
𝑆𝑆
𝑆𝑆𝑆𝑆
⎜ 𝑖𝑖1
𝑖𝑖2
⋮
⋮
⎝ 𝑆𝑆𝑛𝑛1 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛2
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑗𝑗
⋮
⋱
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑛𝑛
⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖
⎞
⎟
⎟
⋱
⋮
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛 ⎠
⋯ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛
これをそれぞれ因子をそれぞれの対角成分の積の平方根で割る。
1
⎛
⎜ 𝑆𝑆𝑆𝑆21
⎜
�𝑆𝑆𝑆𝑆22 𝑆𝑆𝑆𝑆11
⎜
⋮
⎜
𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑗𝑗
⎜
𝑹𝑹 = ⎜ �𝑆𝑆𝑆𝑆11 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
⎜
⋮
⎜ 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖1
⎜ �𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑖𝑖𝑖𝑖 11
⎜
⋮
⎜ 𝑆𝑆𝑆𝑆
𝑛𝑛1
⎝�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛 𝑆𝑆𝑆𝑆11
だから
𝑆𝑆𝑆𝑆12
�𝑆𝑆𝑆𝑆11 𝑆𝑆𝑆𝑆22
1
⋮
⋯
⋯
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛2
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛 𝑆𝑆𝑆𝑆22
𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖 =
1 𝑟𝑟12
𝑟𝑟21 1
⎛
⋮
⋮
𝑹𝑹 = ⎜ 𝑟𝑟
𝑟𝑟
⎜ 𝑗𝑗1 𝑗𝑗1
⋮
⋮
⎝𝑟𝑟𝑛𝑛1 𝑟𝑟𝑛𝑛2
⋯
𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑗𝑗
�𝑆𝑆𝑆𝑆11 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
⋮
⋱
⋯
⋮
1
⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
⋮
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
⋯
�𝑆𝑆𝑆𝑆11 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛 ⎞
𝑆𝑆𝑆𝑆2𝑛𝑛 ⎟
⎟
�𝑆𝑆𝑆𝑆22 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑛𝑛𝑛𝑛
⎟
⋮
⎟
⎟
⎟
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖1 ⎟
⎟
⋱ �𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑆𝑆𝑆𝑆11 ⎟
⋮
⎟
⎟
⋯
1
𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖
�𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑗𝑗𝑗𝑗
⋯ 𝑟𝑟1𝑖𝑖
⋯ 𝑟𝑟2𝑖𝑖
⋱ ⋮
⋯
⋮
⋯ 𝑟𝑟𝑛𝑛𝑛𝑛
⋯ 𝑟𝑟1𝑛𝑛
𝑟𝑟1𝑛𝑛
⋮ ⎞
⎟
⋯ 𝑟𝑟𝑗𝑗𝑗𝑗 ⎟
⋱ ⋮
⋯ 1 ⎠
ここまでが準備段階です。この行列の逆行列を考えます。
ここからが、ローカルルールなのですが。この逆行列を
1 𝑟𝑟12
𝑟𝑟 21 1
1 ⎛ ⋮
-1
=
𝑹𝑹
⎜ 𝑖𝑖1
|𝑅𝑅| ⎜
𝑟𝑟
⋮
⎝𝑟𝑟 𝑛𝑛1 𝑟𝑟 𝑛𝑛2
⋯ 𝑟𝑟 𝑖𝑖𝑖𝑖
⋮
⋱
⋯ 𝑟𝑟 𝑛𝑛𝑛𝑛
𝑆𝑆𝑆𝑆1𝑛𝑛
⋯ 𝑟𝑟1𝑛𝑛
⋮
⋮ ⎞
⎟
𝑟𝑟 𝑖𝑖𝑖𝑖 ⎟
⋱ ⋮
⋯ 1 ⎠
⎠
と書くことにします。ここが困ったところです。𝑟𝑟 𝑖𝑖𝑖𝑖 は逆行列の各因子を表します。混同し
ないように赤で書いて添え字を右上に書くことにしました。n=3 の時について書くと
1
𝑹𝑹𝟑𝟑 = �𝑟𝑟21
𝑟𝑟31
𝑹𝑹𝟑𝟑 −1
𝑹𝑹𝟑𝟑
−1
なので
1
�
𝑟𝑟23
⎛ 𝑟𝑟
12
= ⎜− �𝑟𝑟
32
⎜
𝑟𝑟12
�
⎝ 1
𝑟𝑟12
1
𝑟𝑟32
𝑟𝑟13
𝑟𝑟23 �
1
𝑟𝑟21 𝑟𝑟23
𝑟𝑟23
𝑟𝑟21
� − �𝑟𝑟
1 � �𝑟𝑟31
1
31
𝑟𝑟13
1 𝑟𝑟13
1
1 � �𝑟𝑟31 1 � − �𝑟𝑟31
𝑟𝑟13
1
1 𝑟𝑟13
𝑟𝑟23 � − �𝑟𝑟21 𝑟𝑟23 � �𝑟𝑟21
𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖 = 𝑟𝑟𝑗𝑗𝑗𝑗 ですから
1 − 𝑟𝑟23 2
= �−𝑟𝑟12 + 𝑟𝑟13 𝑟𝑟23
−𝑟𝑟13 + 𝑟𝑟12𝑟𝑟23
−𝑟𝑟12 + 𝑟𝑟13 𝑟𝑟23
1 − 𝑟𝑟13 2
−𝑟𝑟23 + 𝑟𝑟12 𝑟𝑟13
1
�
𝑟𝑟32
⎞
𝑟𝑟12
�⎟
𝑟𝑟32 ⎟
𝑟𝑟12
�
1 ⎠
−𝑟𝑟13 + 𝑟𝑟12 𝑟𝑟32
−𝑟𝑟23 + 𝑟𝑟12 𝑟𝑟31 �
1 − 𝑟𝑟12 2
𝑟𝑟11 = 1 − 𝑟𝑟23 2
𝑟𝑟 22 = 1 − 𝑟𝑟13 2
𝑟𝑟 33 = 1 − 𝑟𝑟12 2
𝑟𝑟12 = −𝑟𝑟12 + 𝑟𝑟13 𝑟𝑟23
𝑟𝑟13 = −𝑟𝑟13 + 𝑟𝑟12 𝑟𝑟32
𝑟𝑟 23 = −𝑟𝑟23 + 𝑟𝑟12 𝑟𝑟31
ということです。
n=4 ならば
𝑹𝑹𝟒𝟒 −1
1
�𝑟𝑟32
⎛
𝑟𝑟
⎜ 42
⎜ 𝑟𝑟12
⎜− �𝑟𝑟32
⎜ 𝑟𝑟42
= ⎜ 𝑟𝑟
12
⎜ �1
⎜
⎜ 𝑟𝑟42
⎜ 𝑟𝑟12
−� 1
⎝ 𝑟𝑟32
𝑟𝑟23
1
𝑟𝑟43
𝑟𝑟13
1
𝑟𝑟43
𝑟𝑟13
𝑟𝑟23
𝑟𝑟43
𝑟𝑟13
𝑟𝑟23
1
1
𝑟𝑟21
𝑹𝑹𝟒𝟒 = �𝑟𝑟
31
𝑟𝑟41
𝑟𝑟21
𝑟𝑟24
𝑟𝑟
𝑟𝑟34 � − � 31
𝑟𝑟41
1
𝑟𝑟14
1
𝑟𝑟34 � �𝑟𝑟31
1
𝑟𝑟41
𝑟𝑟14
1
𝑟𝑟24 � − �𝑟𝑟21
1
𝑟𝑟41
𝑟𝑟14
1
𝑟𝑟24 � �𝑟𝑟21
𝑟𝑟34
𝑟𝑟31
𝑟𝑟23
1
𝑟𝑟43
𝑟𝑟13
1
𝑟𝑟43
𝑟𝑟13
𝑟𝑟23
𝑟𝑟43
𝑟𝑟13
𝑟𝑟23
1
𝑟𝑟12
1
𝑟𝑟32
𝑟𝑟42
𝑟𝑟13
𝑟𝑟23
1
𝑟𝑟43
𝑟𝑟14
𝑟𝑟24
�
𝑟𝑟34
1
𝑟𝑟24
𝑟𝑟21
𝑟𝑟34 � �𝑟𝑟31
1
𝑟𝑟41
1
𝑟𝑟14
𝑟𝑟34 � − �𝑟𝑟31
𝑟𝑟41
1
1
𝑟𝑟14
𝑟𝑟24 � �𝑟𝑟21
𝑟𝑟41
1
𝑟𝑟14
1
𝑟𝑟24 � − �𝑟𝑟21
𝑟𝑟34
𝑟𝑟31
1
𝑟𝑟32
𝑟𝑟42
𝑟𝑟12
𝑟𝑟32
𝑟𝑟42
𝑟𝑟12
1
𝑟𝑟42
𝑟𝑟12
1
𝑟𝑟32
𝑟𝑟21
𝑟𝑟24
𝑟𝑟34 � − �𝑟𝑟31
𝑟𝑟41
1
1
𝑟𝑟14
𝑟𝑟34 � �𝑟𝑟31
𝑟𝑟41
1
𝑟𝑟14
1
𝑟𝑟24 � − �𝑟𝑟21
𝑟𝑟41
1
1
𝑟𝑟14
𝑟𝑟24 � �𝑟𝑟21
𝑟𝑟34
𝑟𝑟31
1
𝑟𝑟32
𝑟𝑟42
𝑟𝑟12
𝑟𝑟32
𝑟𝑟42
𝑟𝑟12
1
𝑟𝑟42
𝑟𝑟12
1
𝑟𝑟32
𝑟𝑟23
1�
⎞
𝑟𝑟43
⎟
𝑟𝑟13 ⎟
1� ⎟
𝑟𝑟43 ⎟
𝑟𝑟13 ⎟
𝑟𝑟23 �⎟
⎟
𝑟𝑟43 ⎟
𝑟𝑟13 ⎟
𝑟𝑟23 �
1 ⎠
これを一つも間違えずに変形する自信はないので、以下のように略記するということです。
𝑹𝑹𝟒𝟒 −1
𝑟𝑟11
21
= �𝑟𝑟 31
𝑟𝑟
𝑟𝑟 41
𝑟𝑟12
𝑟𝑟 22
𝑟𝑟 32
𝑟𝑟 42
𝑟𝑟13
𝑟𝑟 23
𝑟𝑟 33
𝑟𝑟 43
𝑟𝑟14
𝑟𝑟 24 �
𝑟𝑟 34
𝑟𝑟 44
このような約束事に従って偏相関係数を書くと以下のようになります。
𝑟𝑟12/34 =
−𝑟𝑟12
√𝑟𝑟11 𝑟𝑟 22
左辺の意味は、4 個の説明変数のうち、𝑥𝑥3 , 𝑥𝑥4 の影響を取り除いた𝑥𝑥1 , 𝑥𝑥2 の偏相関係数とい
う意味です。
一般的には、次のように書けます。
𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖/𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟 =
−𝑟𝑟 𝑖𝑖𝑖𝑖
√𝑟𝑟 𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑟𝑟 𝑗𝑗𝑗𝑗
式 101
左辺の意味は、n 個の説明変数のうち、残りの変数の影響を取り除いた𝑥𝑥𝑖𝑖 , 𝑥𝑥𝑗𝑗 の偏相関係数
という意味です。
偏相関分析は、多重共線性の検出以上に効果的な使い方がありそうな気がします。隠れた
因果関係の検出という機能があるので、意外に多くの使い道があるのではないかと思いま
す。