春休み号(PDF:279.2KB)

白樺
学校だより
北本市立東小学校
平成27年春休み号
℡(048)592-2050
http://higashi.city.kitamoto.
saitama.jp
やさしい子・かんがえる子・たくましい子
気持ちをカタチに
「くちびるに歌を」 只今上映中!
校長 安 野 正 人
美しい長崎県五島列島を舞台にした映画が、今公開されています。宣伝をするわけではありませ
んが、ぜひ観に行きたい!と思っている映画です。ガッキーが主演だからとか、いつか五島に移住
したいと、私が密かに思っているからではなく、原作が大変感動的な物語だからです。
私がこの作品に出会ったのは、小学校高学年の児童が読めるいい本がないか探していた時でした。
その時はまだ、映画化は決まっていなかったと思います。作者は中田永一。聞いたことがないと思
っていたのですが、後で調べてみると乙一の別名でした。ちょっと期待を持って読み始めると、も
う止まらず、引き込まれてしまいました。
舞台は五島列島の中学校。産休に入る音楽の先生の代わりに、東京から自称ニートで美貌のピア
ニストがやってきます。それを目当てに、女子ばかりだった合唱部に男子が押し寄せ、練習態度を
巡って軋轢が生じます。一方で、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓
十五の君へ~」にちなみ、15 年後の自分に向かって手紙を書く課題が出されます。提出は任意な
がら、そこには誰にも話すことのできない等身大の悩みが綴られていました。
今、この稿を書いている校長室に、体育館から卒業式練習の歌声が響いてきます。音楽っていい
ものだなぁと、つくづく思います。作中、不純な動機で入部した男子部員が、練習を重ねるうち、
こんな感想を抱くようになります。「ひとりひとりの声が寸分違わずにぴたりと重なり、渾然一体
となって場を支配する瞬間があった。入部当初はなかなかその瞬間に出会うことができなかったけ
れど、最近になってすこしずつ、ラジオのチューニングが合うかのようにその瞬間が訪れる。奇跡
的に声が合わさり、ほんの短い時間だけその感覚につつまれる。そのとき自分の声が、自分の声で
なくなるような気がした」。練習を重ね、佐世保市で開かれた長崎大会の当日。それまで張り巡ら
され、絡み合っていた伏線が、一気にほどけていきます。もちろん、大団円だけでなく、ほろ苦い
思いも残るのですが…。書きたいけど書けない!感動的なシーンです。
私はこう思うのです。大人も子どもも、みんなが悩みを抱えています。簡単に解決できるものば
かりではありません。しかし、
「くちびるに歌を持て、ほがらかな調子で」。私たちの世代には、山
本有三の訳で知られるこの言葉が、前を向かせてくれます。学校も同じです。課題があっても、そ
れをみんなで解決する方法を学んでいく、社会に出る前の社会。それが学校なのだと思います。今
年度も、保護者の皆様のおかげで年度末を迎えることができました。様々な面でのご協力ありがと
うございました。また来年度もよろしくお願いします。
外部評価の結果をお知らせします
保護者の皆様からいただいたアンケート及び職員アンケート、現地調査等の結果を踏まえ、外部
評価委員会の皆様から評価結果をいただきました。次ページから、お知らせします。ご指摘いただ
いたことを、来年度からの学校運営に生かしてまいります。大変ありがとうございました。