大学生を対象としたストレスマネジメントプログラムの効果

〔東京家政大学研究紀要〕第55集 ⑴,2015,pp.113~121〕
大学生を対象としたストレスマネジメントプログラムの効果
─知識・スキルの理解および実行の観点から─
三浦 正江*・細田 幸子**
(平成 27 年 1 月 7 日査読受理日)
Effects of Stress Management Program for University Students from
the Perspective of the Understanding and Practice of Knowledge and Skills
Miura, Masae Hosoda, Sachiko
(Accepted for publication 7 January 2015)
キーワード:大学生,ストレスマネジメントプログラム,漸進的筋弛緩法,
ストレスマネジメントに関する知識・スキルの日常生活における実行
Key words:university students, stress management program, progressive muscle relaxation,
using knowledge and skills about stress management in daily life
問 題
を行った結果,プログラム後には否定的自動思考,抑うつ
近年,大学生の留年,長期休学,あるいは退学といった
不適応やメンタルヘルスの問題が指摘されている
1 )2 )
.こ
スキーマおよび抑うつ感情が軽減したとしている.
これに対して,ストレスマネジメントプログラム(以下,
のような問題の原因の一つとして,大学生活のストレスに
STM とする)の枠組みから行われている実践研究もみら
関する研究が行われ,大学生は学業活動や友人関係をはじ
れる
めとした多様なストレッサーを日常的に経験していること
問題解決スキルに関する 90 分間のセミナーおよびワーク
が明らかにされている
3 )4 )5 )
.
12)13)
12)
.たとえば,堀・島津
はストレスの基礎知識と
ブックへの任意の記入から構成されたプログラムを行って
また,大学生は“自己の不確かさ”といった青年期特有
いる.プログラム前後の変化量を待機群と比較した結果,
の問題を抱える時期にあり,精神的に不調をきたしやすい
ストレスに関する知識が有意に増加し,問題解決への自信
ことや抑うつ傾向の高さが指摘されている
2 )6 )
.うつ状態
の増加やストレス反応の減少に有意傾向がみられたと報告
がうつ病の重要な予測因子になり得ること
7)
や大学生の退
している.しかし一方で,問題解決への積極性や統制感に
学理由の一つとして精神的疲労があげられるといった指
は変化が見られず,フォローアップ時点での効果の維持は
摘
8)
を踏まえると,大学生に対する何らかの支援が期待さ
みられていない.
れよう.また,多様なストレッサーの経験や高い抑うつ傾
また,STM の諸技法の中でリラクセーション技法に焦
向といった特徴が大学生の一般的傾向であることから,疾
点化した検討もみられる.たとえば,宮松・祖父江・松田・
患や不適応等の問題に陥った大学生に対する治療的介入だ
早川・上羽
けでなく,広く大学生全般を対象とした予防的介入プログ
緩法,伊達・樫塚・北島・田嶋・永井・網野・伊達・三
ラムの実施が必要であるといえる.
村
大学生を対象としたこのような試みの一つとして,認知
眠障害や認知的評価のバランスの改善,リラックス感の増
療法や認知行動療法の考え方に基づいた抑うつ予防プログ
大,あるいは心身のストレス反応の軽減などがみられてい
ラムがあげられる
14)
15)
は自律訓練法,山田・今別府
は漸進的筋弛
9 )10)11)
16)
.たとえば,及川・坂本
10)
は女子
は呼吸法をそれぞれ大学生に対して実施した結果,睡
17)
る.また,大澤
18)
や細田・三浦
は自律訓練法,漸進的筋
大学生 26 名を対象に,認知の変容を主な内容とした計 7
弛緩法,呼吸法の 3 技法による効果の違いに着目した検討
回の授業を行っている.その結果,統制群に比べて抑うつ
を行っている.
対処に対する自己効力感が高まったこと,一方でストレス
このように我が国の大学生を対象とした介入プログラム
反応などの適応指標には差がみられなかったことを報告し
は複数みられるものの,その多くは認知,問題解決スキル
11)
ている.また,白石
は,大学生 62 名を対象にセルフ・
モニタリングのホームワークを含めた 3 週間のプログラム
などのコーピング,あるいはリラクセーション技法など,
ストレス理論における一部の変数のみを扱っている.しか
し,Lazarus & Folkman
19)
は個人のストレス反応の規定因
* 心理カウンセリング学科 健康心理研究室
として出来事への認知的評価とコーピングの 2 変数の重要
** 東京都・さいたま市スクールカウンセラー
性を指摘している.また,リラクセーション技法はストレ
( 113 )
三浦 正江・細田 幸子
ス反応軽減を目的とした効果的なコーピングの一つとして
グ),および(2)リラクセーション技法(漸進的筋弛緩法)
位置づけられよう.したがって,ストレッサーに対する認
であった.本プログラムでは 100 名程度の大学生集団に対
知的評価,コーピング,および効果的なコーピングの一つ
して一斉指導を行うこと,比較的短期間のプログラムであ
としてのリラクセーション技法の全てを含めた STM プロ
ることを考慮し,どのような学生にも理解しやすく習得も
グラムを実施することで,ストレスマネジメント能力の向
容易である
上やストレスによって生じる諸問題の予防がより促進され
ション技法については,講義中に実施方法を指導した後,
ると考えられる.しかし,我が国における包括的な STM
自宅で毎日実施することをホームワークとした(2 週間).
プログラムの実践は児童生徒を対象としたものが比較的多
各回の講義内容を Table 1 に示す.
25)
漸進的筋弛緩法を用いた.なお,リラクセー
20)21)
,大学生を対象としたものはあまり見られない.
く
ところで,心理的介入の効果検証として,従来の多くの
Table 1 SMT プログラムの内容
研究ではプログラム実施前後やフォローアップ時点で認
回
内 容
知・行動変数やストレス反応等の測定尺度を実施し,得点
1
心理的ストレス理論,日常的なストレッサーに関する講義
に有意な変化がみられたかどうかを検討している.しか
2
ストレス反応,リラクセーション技法に関する講義
(ホームワーク:リラクセーション技法の自宅実施 2 週間)
し,STM で扱うストレッサーに対する認知,コーピング,
ストレス反応が変容するまでには,①リラクセーション技
法を含めた STM に関する知識やスキルについて十分に理
解する,②理解した知識やスキルを日常生活で活用し,そ
3
認知的評価に関する講義
4
コーピングの種類に関する講義
5
効果的にコーピングを行うポイントに関する講義
れによってストレスを軽減できたという成功体験を積み重
ねる,③個人の認知・行動的傾向やストレス反応が変容す
調査内容
るといった段階があると想定される.
本プログラムの効果を検討するため,以下に関する質問
しかしながら,これまでの心理的介入プログラムに関す
紙調査を実施した.
る研究では,上記③における効果検証が重視されており,
ストレス反応 鈴木・嶋田・三浦・片柳・右馬埜・坂
①②における検討はあまり注目されていない.細田・三
野
22)
23)
が作成した SRS-18 を用いた.これは大学生や一般成
が小学生を対象とした STM プログラム効果の一つと
人を対象としたストレス反応尺度であり,3 下位尺度計 18
して,知識やスキルの理解度とそれらの日常生活での実行
項目(不機嫌・怒り:怒りっぽくなる等;抑うつ・不安:
度を取り上げているものの,大学生を対象とした研究では
悲しい気分だ等;無気力:根気がない等)から構成されて
ほとんど見当たらない.実施したプログラムの効果を適切
いる.α係数の算出および再検査法による十分な信頼性,
に検証するためには,①②を含めた上記プロセスを踏まえ
健常群と臨床群を用いた弁別的妥当性が確認されている.
た検討を行うことが必要であるといえよう.
各項目に対して,“全くちがう(0 点)”から“そのとおり
そこで本研究では,大学生を対象に,包括的な STM プ
だ(3 点)”の 4 件法で回答を求めた.
ログラムを実施する.なお,先行研究では,女性は男性
認知的評価 鈴木・坂野
浦
に比べてストレス反応
高いこと
23)
や 20 歳以上のうつ病の有病率が
24)
が報告されている.そのため,本研究では大学
26)
が大学生を対象に作成した
CARS を用いた.α係数の算出および諸変数との関連性の
検討によって,十分な信頼性と妥当性が確認されている.
生の中でも女子大学生を取り上げることとする.そして,
4 下位尺度計 8 項目(コミットメント:この状況を改善す
STM に関する知識・スキルの理解およびそれらの日常生
るために一生懸命努力しようと思う等;影響性:この状況
活での活用といった点に着目した上で,プログラムの効果
は私自身に影響を与えるものだと思う等;脅威性:この状
を検証することを目的とした.
況は私を危機に陥れることだと思う等;コントロール可能
性:この状況に対して,どのように対処したらよいかわ
方 法
かっている等)に対して,
“そう思わない(0 点)”から“全
対象者
くそう思う(3 点)”までの 4 件法で回答を求めた.
首都圏の私立大学に在籍する女子大学生 100 名を対象と
コーピング 神村・海老原・佐藤・戸ヶ崎・坂野 が大
した.なお,2 回の質問紙調査に有効回答が得られた計 96
学生を対象に作成した TAC-24 を用いた.これは,“情報
名を分析対象とした.
収集(詳しい人から自分に必要な情報を収集する等)”“放
STM プログラムの内容
棄・あきらめ(自分では手に負えないと考え,放棄する
本研究では,1 回 90 分× 5 回から成るプログラムを実
等)”“肯定的解釈(悪い面ばかりでなく,よい面を見つけ
施した.内容は,(1)心理的ストレス理論に関する心理教
ていく等)”“計画立案(原因を検討し,どのようにしてい
育(ストレッサー,ストレス反応,認知的評価,コーピン
くべきか考える等)”“回避的思考(そのことをあまり考え
27)
( 114 )
大学生を対象としたストレスマネジメントプログラムの効果
ないようにする等)”“気晴らし(友達とお酒を飲んだり好
ト)を実施した.そして,翌週から毎週 1 回 90 分の講義
物を食べたりする等”“カタルシス(誰かに愚痴をこぼし
を 5 回実施し,最終回の講義終了 1 週間後に,ストレス反
て,気持ちをはらす等)”“責任転嫁(責任を他人に押し付
応,認知的評価,コーピング,本プログラムの理解度,お
ける等)”の 8 下位尺度計 24 項目から構成されており,α
よび本プログラムの活用度に関する質問紙調査(ポストテ
係数の算出によって十分な信頼性が確認されている.嫌な
スト)を実施した.
出来事に対して,普段どのように考えたり行動しているか
プログラムの講義内容と回数は事前にシラバスで周知し
について,“これまでにそうしたことはないし,今後も決
た上で大学の講義の一部として行われた.そこで質問紙調
してないだろう(1 点)”から“いつもしたし,今後もそ
査実施前に,講義の成績とは無関係であること,質問紙調
うするだろう(5 点)”の 5 件法で回答を求めた.
査への回答は強制ではなく途中で中止できること,調査に
STM に関する理解度 本プログラムの受講によって,
協力しないことによる不利益は全く生じないこと,データ
STM についてどの程度理解したかを確認するため,独自
は安全に管理されること等を紙面および口頭で十分に説明
に 6 項目(ストレッサーの理解:どのような出来事がスト
した上で,無記名式による調査を実施した.
レスとなるか理解できた;ストレス反応の理解:ストレス
なお,プレテスト測定時に,プレテストで回答する調査
を感じると心や身体に様々な反応が現れることを理解でき
用紙とポストテストで回答する調査用紙を 1 セットにして
た;認知的評価の理解:どのような考えがストレスを大き
同時に配布した.各セットの調査用紙には同一の番号を小
くするのか理解できた;コーピングの多様性の理解:スト
さく印字しておき,同一個人のプレテストデータとポスト
レス対処法の種類について理解できた;効果的なコーピン
テストデータを対応させられるようにした.そして,プレ
グ使用の理解:効果的に対処するポイントについて理解で
テストの調査用紙はその時点で回収し,残りの調査用紙は
きた;リラクセーション技法の理解:リラクセーション技
5 回目の講義終了 1 週間後に持参するよう指示し,ポスト
法について理解できた)を設定した.各項目に対して,
“そ
テスト測定時に回答させて回収した.
う思わない(0 点)”“あまりそう思わない(1 点)”“少し
そう思う(2 点)”“全くそう思う(3 点)”の 4 件法で評定
結 果
を求めた.
STM の理解度および日常生活における活用
STM に関する知識およびスキルの活用 本プログラム
STM に関する理解の程度 STM への理解の程度を検
で学習した STM に関する知識やスキルを日常生活で活用
討するため,設定した 6 項目への回答を集計した(Table
している程度を確認するため,独自に 5 項目(ストレス状
2).その結果,“全くそう思う”と“少しそう思う”を合
態への意識:自分がストレスを感じているかどうか,意識
わせると,いずれの内容についても 80-90%程度の受講生
してみた;リラクセーション技法:リラクセーション技法
が“理解できた”と回答した.特に,ストレス反応につい
を行った;新しいコーピングの使用:ストレスを感じたと
ては 7 割近くが“全くそう思う”と答えており,多くの受
き,新しい対処法を試した;多様なコーピングの使用:ス
講生が十分に理解できたと感じている.
トレスを感じたとき,色々な対処法を行うようにした)を
STM に関する知識やスキルを日常生活で活用した程度 設定した.各項目に対して,“全くちがう(0 点)”“いく
プログラムで学んだ知識やスキルを活用した程度を検討す
らかそうだ(1 点)”
“まあそうだ(2 点)”
“そのとおりだ(3
るため,設定した 5 項目への回答を集計した(Table 3).
点)”の 4 件法で回答を求めた.
その結果,“そのとおりだ”あるいは“まあそうだ”と回
手続きおよび倫理的配慮
答した受講生の割合は,“自分のストレス状態への意識”
まず,プログラム実施 1 週間前に,ストレス反応,認知
と“リラクセーション技法”では約 6 割,“認知的評価の
的評価,およびコーピングについて質問紙調査(プレテス
検討”では半数程度であった.一方,“新しいコーピング
Table 2 プログラム内容を理解した程度(n=96)
全くそう思う
少しそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
ストレッサー
29.17
68.75
2.08
0.00
ストレス反応
67.71
31.25
1.04
0.00
認知的評価
40.63
52.08
7.29
0.00
コーピングの種類
37.50
56.25
6.25
0.00
効果的なコーピング
19.79
60.42
18.75
1.04
リラクセーション技法
33.33
61.46
4.17
1.04
単位%
( 115 )
三浦 正江・細田 幸子
Table 3 プログラム内容を活用した程度(n=96)
そのとおりだ
まあそうだ
いくらかそうだ
全く違う
自分のストレス状態への意識
18.75
44.79
27.08
9.38
リラクセーション技法の実施
21.88
37.50
30.21
10.42
新しいコーピングの実施
7.29
17.71
47.92
27.08
多様なコーピングの使用
6.25
21.88
47.92
23.96
10.42
35.42
43.75
10.42
認知的評価の検討
単位%
Table 4 プログラム内容の理解度から活用度への重回帰分析結果(n=96)
プログラム内容の活用
ストレス状
態への意識
リラクセー
ション技法
新しいコー
ピング
多様なコー
ピング
認知的評価
の検討
β
プログラム内容の理解
ストレッサー
ストレス反応
-.02
.29**
*
.20
.18
.09
-.11
.13
-.17
-.01
.15
*
認知的評価
.26
.12
.21
.23
コーピングの種類
.06
-.02
-.06
-.06
効果的なコーピング
リラクセーション技法
R
2
F
**
.33**
.00
**
.09
.12
.37
.36
.10
-.24*
-.06
.18
.11
.05
**
*
**
**
.23
.13
.32
.26
4.03
2.30.
7.08
5.14
.15*
2.70
*
p<.05,**p<.01
の使用”と“多様なコーピングの使用“については,全く
する理解”,“認知的評価の検討”と“認知的評価に関する
活用していないものが 24-27%程度いた.
理解”との間に,それぞれ有意な正の関係が認められた.
プログラムの理解度,活用度,および各変数の関連
プログラムの活用度とストレス反応の変化の関係 プロ
STM プログラムの効果のプロセスを考えると,①プロ
グラム活用度に関する 5 項目を説明変数,ストレス反応の
グラム内容を十分に理解することによって,②学習した知
各下位尺度における変化量(ポスト得点-プレ得点)をそ
識やスキルを日常生活で適切に活用し,③活用による成功
れぞれ基準変数とした重回帰分析を行った(Table 5).その
体験を積み重ねることで,日常のストレス反応が軽減した
結果,いずれにおいても有意な決定係数は得られなかった.
り,認知的評価やコーピングの傾向が変容するといった流
標準偏回帰係数をみると,“抑うつ”と“自己のストレス状
れが想定できる.そのため,本プログラムの効果について,
態を意識すること”との間に有意な正の関係,
“リラクセー
上記に基づいた検討を行った.
ション技法の実施”との間に有意な負の関係が示された.
プログラムの理解度と活用度の関連 プログラム理解
プログラムの活用度と認知的評価の変化の関係 プログ
度に関する 6 項目を説明変数,プログラム活用度に関す
ラム活用度を説明変数,認知的評価の各下位尺度の変化量
る 5 項目をそれぞれ基準変数とした重回帰分析を行った
を基準変数とした重回帰分析を行った結果,
“コミットメン
(Table 4).その結果,全ての活用度項目において有意な
決定係数が示された.
ト”と“脅威性”においてのみ有意な決定係数が示された
(Table 6).標準偏回帰係数をみてみると,“コミットメン
標準偏回帰係数をみてみると,“自己のストレス状態を
ト”の評価と“新しいコーピングの実施”,
“影響性”の評価
意識すること”では,
“ストレス反応に関する理解”と“認
と“リラクセーション技法の実施”との間にそれぞれ有意
知的評価に関する理解”との間に有意な正の関係,“リラ
な正の値が示された.逆に,
“脅威性”の評価と“多様なコー
クセーション技法の理解”との間に有意な負の関係が示さ
ピングの実施”との間には有意な負の関係が得られた.
れた.また,
“新しいコーピングの実施”と“効果的なコー
プログラムの活用度とコーピングの変化の関係 プログ
ピングに関する理解”,“多様なコーピングの実施”と“認
ラム活用度を説明変数,コーピングの各下位尺度の変化量
知的評価に関する理解”および“効果的なコーピングに関
を基準変数とした重回帰分析を行った結果,“気晴らし”
( 116 )
大学生を対象としたストレスマネジメントプログラムの効果
Table 5 プログラム内容の活用度からストレス反応の変化量への重回帰分析結果(n=96)
ストレス反応
抑うつ・不安
不機嫌・怒り
無気力
β
プログラム内容の活用
.25*
.11
.17
リラクセーション技法
-.25*
-.12
.01
新しいコーピング
-.10
-.08
.14
ストレスへの意識
多様なコーピング
.13
.16
-.21
考え方の検討
-.11
-.01
-.17
2
.11
.03
.08
2.15
.50
R
F
.18
*
p<.05,**p<.01
Table 6 プログラム内容の活用度から認知的評価の変化量への重回帰分析結果(n=96)
認知的評価
コミットメント
影響性
脅威性
コントロール
β
プログラム内容の活用
ストレスへの意識
-.02
リラクセーション技法
.09
**
.17
.33
**
新しいコーピング
.37
-.11
多様なコーピング
-.16
.00
.06
-.06
考え方の検討
R
2
.15
F
*
3.15
.14
-.17
.14
.09
.19
.12
-.45**
.08
-.03
-.04
*
.10
.12
.06
2.08
2.48
1.05
*
p<.05,**p<.01
Table 7 プログラム内容の活用度からコーピングの変化量への重回帰分析結果(n=96)
コーピング
情報収集
放棄・諦め
肯定的解釈
計画立案
回避的思考
気晴らし
カタルシス
責任転嫁
β
プログラム内容の活用
.32**
.32**
ストレスへの意識
.13
.04
-.06
.03
リラクセーション技法
.07
-.17
.01
.14
-.18
.15
-.01
.26
-.21
-.20
.07
.00
新しいコーピング
多様なコーピング
*
-.09
-.07
.23
.14
-.15
-.28
.07
-.11
.05
.02
.12
.19
R2
.03
.06
.04
.04
.11
.12**
F
.47
1.21
.72
.76
2.28
考え方の検討
3.66
.29**
-.02
-.01
-.03
-.17
-.02
.11
.11
-.06
-.16
.03
.03
.47
.47
*
**
p<.05,
p<.01
にのみ有意な決定係数が示された(Table 7).標準偏回帰
考 察
係数をみてみると,“回避的思考”“気晴らし”および“カ
本研究では,女子大学生を対象に包括的な STM プログ
タルシス”と“自己のストレス状態を意識すること”との
ラムを実施し,プログラムを受講することで STM に関す
間に有意な正の値がみられた.また,“気晴らし”と“多
る知識やスキルを十分に理解し,それらを日常生活で活用
様なコーピングの実施”との間に負の関係が示された.
することによって,ストレス反応,認知的評価,および
( 117 )
三浦 正江・細田 幸子
コーピングの傾向が変容するといったプロセスにそった効
けでなく,ストレス状態を意識することや多様なコーピン
果の検討を行った.
グの実践にも関与する可能性が示唆された.認知的評価に
STM に関する知識・スキルの理解および日常生活におけ
関する講義では,ストレッサーをどのように認知するかに
る活用の状況
よってストレス反応が高くも低くもなることを取り上げ
プログラム内容ごとに理解度を検討した結果,いずれも
た.そのため,日常場面で自分自身の考え方を意識するよ
80-90%の学生が理解できたと回答した.したがって,多
うになることで,自然と自己のストレス状態への意識も高
くの大学生がプログラム受講によって,STM の様々な構
まることが予想される.また,コーピングの中にはネガ
成要素について全般的な理解を深めることができたといえ
ティブな認知を再検討するといった方略も含まれており,
12)
る.堀・島津
はストレス理論についてのセミナーを実施
このような認知的コーピングの活用を促進する側面がある
した結果,ポストテストでストレスに関する基礎知識が有
と解釈できよう.
意に高まったと報告している.本プログラムに限らず,ス
一方,リラクセーション技法に関する知識と自分のスト
トレスに関する基本的な知識を習得することは,大学生に
レス状態への意識の間には負の関係が示された.リラク
とってそれほど難しくないことが推察される.
セーション技法以外の講義では,自分自身のストレス状態
これに対して,得られた知識やスキルを日常生活でどの
や認知・行動の傾向を振り返るワークなどを取り入れた.
程度活用したかについては,構成要素によって異なる特徴
一方で,リラクセーション技法に関する講義ではこのよう
がみられた.比較的活用が多かった内容は,自分のストレ
なワークは行わず,予防的観点から,現在のストレス状態
ス状態を意識すること(自分がストレスを感じているかど
の高低にかかわらず誰もが日常生活にリラクセーション技
うか意識してみた)やリラクセーション技法であった.本
法を取り入れることを推奨した.そのため,参加者が“ス
プログラムでは,自分自身のストレス状態やストレス場面
トレスへの対応を個人の状態に関係なく行うもの”として
における認知・行動を振り返り,認識するためのワークを
とらえ,その結果として生活場面で自己のストレス状態へ
実施した.そのため,日常生活の中で自己のストレス状態
の意識が低下してしまった可能性が考えられる.
を意識する態度が形成されたと考えられる.
ただし,本研究ではリラクセーション技法を理解したか
また,リラクセーション技法は,プログラム中のホーム
どうかのみを尋ねており,参加者がどのようなものとして
ワークとして 2 週間の自宅練習を行った.就寝前の 5 分程
理解したかまでは不明である.今後は,理解した内容がど
度で実施する内容であり,これによってホームワーク期間
のようなものであるか,あるいは正しく理解しているかど
終了後もリラクセーション技法を継続する学生が比較的多
うかといった点まで測定することが必要だといえよう.
かったと考えられる.
知識・スキルを日常生活で活用することがストレス反応の
これらに対して,これまでの自分のコーピングレパート
表出や認知的評価およびコーピングの傾向に及ぼす影響
リーにない新しいコーピングや様々な種類のコーピングを
プログラムで得た STM の知識・スキルを活用した程度
行うことについては,全く行わないと回答した学生が 3 割
からストレス反応,認知的評価,コーピングへの重回帰分
程度いた.ストレス状況下,すなわちストレスを感じ精神
析の結果,一部に関連性が示された.
的にゆとりのない状況で,従来の自分のコーピングパター
具体的には,新しいコーピング方略の活用がストレッ
ンと異なる対処方略を用いることは容易ではないと推察さ
サーに対するコミットメントの評価を高める可能性が示さ
れる.また,使用するコーピングの選択肢は多様であり,
れた.すなわち,プログラムによって学んだ新しい対処方
その中で状況に応じた適切なコーピングを選択することは
略を日常場面で積極的に用いることで,ストレス場面に対
簡単とは言い難い.そのため,プログラムで得たコーピン
して“何とか改善したい”“改善のため一生懸命努力しよ
グに関する知識を日常生活場面で活用する割合が低くなっ
う”などと積極的に取り組む姿勢が促進されることが示唆
た可能性が考えられよう.
される.
STM に関する知識・スキルの理解が日常生活での活用に
また,多様なコーピングを活用することがストレッサー
及ぼす影響
への脅威性評価を軽減することが示された.本プログラム
各プログラム内容の理解度から活用度への重回帰分析の
では,効果的なコーピングのポイント(第 5 回の内容)と
結果,いくつかの組み合わせで有意な関連性が認められ
して,ストレス場面に直面した際には単一の対処方略だけ
た.これらの多くは,たとえばコーピングに関する知識が
でなく様々な対処方略を組み合わせて行うことを取り上げ
コーピングの実践活用を高めるなど,それぞれのテーマに
た.このポイントを踏まえた多様な対処を実践することに
関する知識の習得が日常場面での実践を促進しているとい
よって,ストレッサーは脅威的な出来事だという認知が和
える.
らぐ可能性が示唆される.脅威性評価は“ストレッサーは
その中で,認知的評価に関する理解は,認知の再検討だ
自分にとって危機的で生活を脅かすものだ”という認知で
( 118 )
大学生を対象としたストレスマネジメントプログラムの効果
あり,ストレス反応を高める機能を持つとされている.そ
の変容の間にはほとんど関連が示されなかった.さらに,
のため,本結果はストレス耐性の向上に結び付くものであ
様々な知識やスキルの活用は日常のストレス反応の軽減
るといえよう.
にはあまり関与しないという結果であった.この理由とし
一方,多様なコーピングを活用することと気晴らしコー
て,以下の 2 点が考えられる.
ピングの間に負の関係性が示された.本プログラムでは,
第一に,知識やスキルを日常生活で活用した期間,およ
効果的なコーピングのポイントとして,前述したコーピン
びポストテストの測定時期の問題である.本研究のポスト
グの組み合わせの中でも,気晴らし等の情動焦点型コーピ
テストは,認知的評価に関する講義から 3 週間後,コーピ
ングとストレッサー自体を解決する問題焦点型コーピング
ングに関する講義(最終回)から 1 週間後であり,講義で
を組み合わせることの重要性について説明した.一般的
得た知識やスキルを日常生活で活用する期間は限定的で
に,気晴らしコーピングは比較的用いやすいコーピングで
あった.個人の認知・行動の傾向が変容するには,もう少
あり,大学生の使用頻度も高いと予想される.そのため,
し長い期間が必要であると考えられる.今後は,フォロー
気晴らし以外の様々なコーピングを行おうとした場合に,
アップ測定を行うことで,もう少し長い期間にわたって日
相対的に気晴らしコーピングの実施が少なくなった可能性
常生活で知識やスキルを活用することの効果について検討
が考えられよう.
する必要がある.
次に,リラクセーション技法の活用については,抑う
第二に,個人の認知・行動の傾向が変容するためには,
つ・不安反応との間に負,ストレッサーに対する影響性評
“学んだ知識・スキルによってストレスを軽減できた”と
価との間に正の関連が示された.すなわち,毎日の生活に
いう体験が重要である点があげられる.実際に自分のスト
リラクセーション技法を取り入れることで,抑うつ感情や
レス反応を低減できたという成功体験を積み重ねること
不安を低減できる可能性が示唆される.一方,影響性評価
で,新しい考え方やコーピングが自分自身のものとして定
が高まった理由については,独立変数として設定したリラ
着すると考えられる.しかし本研究では,この部分に関す
クセーション技法の活用をむしろ従属変数と捉えることで
る測定が行われていないため,日常生活で活用してみた
解釈可能だと考えられる.すなわち,本プログラムの受講
が,成功体験が持てずに認知的評価やコーピングの変容に
によって,ストレス状況は重要な出来事だという認知が強
至らなかった可能性も考えられる.
くなった学生は,自分の生活にリラクセーション技法を積
細田・三浦
極的に取り入れるようになった可能性が考えられる.前述
新しいコーピングやリラクセーション技法を日常生活で実
のとおり,本プログラムでは効果的なコーピングの一つ
行したかどうか,実行した際にはストレス反応が低減した
としてリラクセーション技法を取り上げ,2 週間のホーム
かどうかについて尋ねている.その結果,新しいコーピ
ワークを行っている.そのため,ストレス・コントロール
ングについては 65%程度の児童が実行し,そのうちの約
に対するモチベーションが高い学生にとって,リラクセー
79%が効果を実感していた.同様に,リラクセーション技
ション技法は効果的で新しい対処方略として生活に取り入
法については 72%程度が実行し,そのうちの約 77%の児
れ易かったことが推察される.
童がストレス低減効果を報告している.今後は,大学生に
最後に,生活の中で自分がストレスを感じているかどう
対してもこのような測定を行うことが課題であるといえよ
か意識してみることは,抑うつ・不安反応や“回避的思
う.
考”“気晴らし”“カタルシス”といったコーピングを促進
また,このような成功体験を重視したプログラム構成を
することが示された.これらの対処方略はいずれもスト
行うことも考えられる.知識やスキルを日常生活で活用す
レッサーによって生じたストレス反応を軽減する情動焦点
ること,あるいは適切に活用して成功体験が得られるよう
型コーピングである.すなわち,日頃から自分のストレス
にサポートすることを要素として盛り込むことで,より効
状態に目を向けることで,自身がストレスを感じているこ
果的なプログラムになることが考えられる.たとえば,白
とへの気づきが高まり,その結果としてストレス反応を軽
石 は大学生を対象として,日常の活動記録や非機能的思
減するコーピングを積極的に実施する傾向が高まったと解
考記録などのホームワークの実施とそれに基づいた話し合
釈できる.
いから構成されたプログラムを実施し,認知や感情の変容
ところで,上記のように,STM に関する知識やスキル
を報告している.このように,STM プログラム参加者に
の活用がストレス反応,認知的評価,コーピングに及ぼす
ストレス記録を実施してもらい,適切な考え方やコーピン
影響は一部に認められたものの,全般的にはそれほど大き
グを実施できるような助言や適切な実行に対する承認・賞
な影響力は示されなかった.また,ストレス状況下で自分
賛のコメントを記入して返却するなどの工夫も考えられよ
の認知を検討することと認知的評価の変容,あるいは新し
う.今後は,このようなプログラム内容の改訂や測定時
いコーピングや多様なコーピングの活用とコーピング傾向
期・方法などの改善を行うことで,大学生を対象とした包
22)
は小学生を対象とした STM 教育を行い,
11)
( 119 )
三浦 正江・細田 幸子
括的 STM プログラムに関するより詳細な検討を行うこと
14)宮松直美・祖父江育子・松田宣子・早川和生・上羽康
が期待される.
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( 120 )
大学生を対象としたストレスマネジメントプログラムの効果
Abstract
The purpose of this study was to investigate the effects of a stress management program for university students from
the perspective of the understanding and practice of stress management in daily life. The program consisted of teaching
students about stress management and training them in progressive muscle relaxation. In order to assess the effects of the
program, 96 female university students were asked to complete 5 scales (on stress responses, cognitive appraisal, stress
coping, understanding about stress management, and practical use of knowledge and skills of stress management) before
and after the program. Following the program, 80-90% of the students stated that they better understood about stress
management, and 30-60% of them claimed that they used the knowledge and skills of stress management in daily life.
The results of multiple regression analyses were as follows: (1) using new learning stress coping with daily life increased
“commitment” appraisal for stressors; (2) using various coping in daily life decreased “threat” appraisal for stressors and
“distractive recreation” coping; (3) using the progressive muscle relaxation in daily life increased “effect” appraisal for
stressors and decreased “depression-anxiety” responses; and (4) self-monitoring of stress increased “depression-anxiety”
responses, and coping with “avoidance-like thinking”“distractive recreation” and “catharsis.”
( 121 )