BiCMOS プロセスにより作製した n-MOSFET の陽子線、 γ線照射効果

BiCMOS プロセスにより作製した n-MOSFET の陽子線、γ線照射効果
Proton and γ-ray irradiation effect of n-MOSFET fabricated by BiCMOS process
○高倉健一郎1、上田麻美1、大山英典1、中林正和2、葉山清輝1、小林一博3、E.Shimoen4、C.Claeys4
1)熊本電波高専、2)三菱電機、3)NEC マイクロシステム、4)IMEC
○K.Takakura1, A.Ueda1, H.Ohyama1, M.Nakabayashi2, K.Hayama1, K.Kobayashi3, E.Shimoen4, C.Claeys4
1)Kumamoto National College of Technology, 2)Mitsubishi Electric Corporation, 3)NEC Micro System, 4)IMEC
e-mail: [email protected]
Nit [×1011cm-2]
ID [A]
はじめに 宇宙空間で用いられている集積回路には、放射線耐性の強い素子が求められる。BiCMOS 素子は、バイポーラトランジスタの高速性及
び、CMOS プロセスによる高集積、低消費電力性を合わせ持つため、宇宙用素
-6
子としての利用も期待され、耐放射線性を調べることは重要である。そこで本研
1.6
10
究では、BiCMOS 素子における n-MOSFET 領域での放射線損傷について調べた。
20-MeV
Protons
-7
1.4
n-MOSFETs
10
試料は、
三菱電機にて BiCMOS 技術により作製された n-MOSFET(ゲート長0.8µm,
14
2
1×10 p/cm
ゲート厚 18nm)を用いた。また日本原子力研究所・高崎研究所のコバルト 60 照
1.2
-8
VDS=0.1 V
10
射施設にてγ線(106-108rad(Si))を、AVF サイクロトロン(TIARA)にて陽子線(20MeV,
1.0
-9
1012-1014p/cm2)をそれぞれ照射した。照射後、IDS-VGS 特性にて試料を評価した。
10
さらに、焼鈍による特性改善を調べるために N2 雰囲気中 100-300˚C、15 分間の
0.8
-10 After irradiation
等時焼鈍を行った。
10
20-MeV Protons
0.6
結果と考察 図 1 に陽子線(1×1014p/cm2)照射前後及び焼鈍後の IDS-VGS 特性を示す。
n-MOSFETs
-11
10
200˚C annealing
1×1014 p/cm2
照射によりドレイン電流は増加し、閾値電圧は減少した。照射後の試料を焼鈍す
0.4
ると、ドレイン電流と閾値電圧は照射前の値に近付いた。そして、300˚C 焼鈍に
300˚C annealing
-12
10
0.2
よりドレイン電流は、照射前と比べ 80%程度まで回復した。図 2 に McWhorter
Before irradiation
-13
らの行った方法により 1)、IDS-VGS 特性から求めた Si/SiO2 界面準位密度 Nit を示す。
0.0
10
0
100
200
300
-0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8
Nit は焼鈍によって減少した。従って、IDS の増加は照射により Si/SiO2 界面に準位
Temperature [˚C]
VGS [V]
が形成されたことが原因と考えられる。発表当日は、γ線照射の結果等について
図 1:等時焼鈍による IDS 回復特性
図 2:等時焼鈍による界面準位密度
も議論する。参考文献:1)P.J.McWhorter and P.S.Winokur;Appl.Phys.Lett.48(1986)133.