研究室案内 - 近畿大学薬学部

病態薬理学研究室
研究室構成員 教員3名:川畑篤史教授、関口富美子准教授、坪田真帆助教
研究員 4 名(製薬会社研究員 1 名、医師 2 名、研究技術員 1 名)
、薬学専攻博士課程大学
院生2名、薬科学専攻博士後期課程大学院生3名、薬科学専攻博士前期課程大学院生 2 名、
医療薬学科 6 年生 8 名・5 年生 7 名・4 年生 11 名、創薬科学科 4 年生 2 名
実験内容 動物を用いた in vivo 実験あるいは動物から取出した組織や細胞を用いた in vitro 実験を行う人、
がん細胞、胎児由来細胞、マクロファージなどの培養細胞を使って実験する人、両方の実験を行う人が
います。研究室配属後、2 週間程度の体験期間を経て、各自の希望を考慮して研究テーマを決めます。
主な研究テーマ
1)Cav3.2 T 型カルシウムチャネルを標的とした新規難治性疼痛治療薬の研究:我々は Cav3.2 チャネルが結
腸痛、膵臓痛、膀胱痛などの内臓痛に関与することを世界で初めて証明し、このチャネルが過敏性腸症
候群、急性・慢性膵炎、間質性膀胱炎・下部尿路機能障害などに伴う痛みの治療標的分子になりうると
考えて研究を進めています。さらに、Cav3.2 チャネルはがん化学療法、糖尿病などにより誘起される神
経障害性疼痛の病態にも深く関与することが明らかとなりました。そこで、これら難治性疼痛の治療へ
の応用を目指して新しい Cav3.2 チャネル阻害薬の共同開発プロジェクトを製薬会社とともに推進して
いるほか、我々が発見した天然物由来のシード化合物から臨床応用可能な新規 Cav3.2 チャネル阻害薬
を新たに合成するべく、近畿大学や富山大学の複数のグループとともに共同研究を進めています。
2)傷害された神経の軸索の再生、前立腺がんのホルモン療法抵抗性、脳梗塞への Cav3.2 チャネルの関与に関
する研究:Cav3.2 の機能を高める薬が傷害された神経線維の再生を促進する一方、Cav3.2 阻害薬は前立
腺がんのホルモン抵抗性の克服や脳梗塞の治療に応用できる可能性について検討を進めています。
3)HMGB1 およびトロンボモジュリンに関する研究:核内タンパクである HMGB1 は、細胞が傷害されたり刺
激されたりすると細胞外に放出され、炎症反応などを誘起することが知られています。我々は、炎症時、
末梢組織において細胞外に放出された HMGB1 が痛みを誘起することを世界に先駆けて明らかにしまし
た。さらに、トロンボモジュリンを製剤化した遺伝子組換え体が、HMGB1 を吸着・分解することで、
炎症性疼痛、内臓痛、がん化学療法に伴う神経障害性疼痛を抑制することを証明し、現在、その分子作
用メカニズム解析と臨床応用を目指して製薬会社と共同研究を進めています。
4)生体内亜鉛とビタミン C による疼痛制御に関する研究:亜鉛やビタミンCが Cav3.2 T 型カルシウムチャ
ネルを抑制することが最近判明しました。また、亜鉛はマクロファージの活性調節にも関与します。そ
こで、亜鉛やビタミンCを欠乏させた動物で痛みの情報伝達やマクロファージの機能がどのように変化
するかを検討しています。
5)内因性ガス情報伝達物質硫化水素に関する研究:硫化水素が痛みの情報伝達を促進することを世界で
初めて報告し、現在さらに硫化水素の多様な機能を解析しています。
6)その他:上記以外に、免疫抑制薬の標的分子であるカルシニューリンの知覚神経細胞における役割、
ストレスと痛みに関する研究も行っています。
研究時間 9:30~17:30 がコアタイムで、あとは実験次第です。
就職先(内定含む)
[研究職] 小野薬品工業、千寿製薬、扶桑薬品工業、アステラス・リサーチテクノロジー、佐藤製薬、日本医科器械、藤本製薬 [開発・
学術・CRO] 小野薬品工業、扶桑薬品工業、マルホ、ACRONET、クインタイルズ、インテリウム [品質管理] ニプロファーマ、[MR]
第一三共、キョーリン、イーライリリー、グラクソスミスクライン、旭化成ファーマ [病院] 近畿大学附属堺病院、京都大学附属病院、
大阪医科大学附属病院、岡山大学附属病院、国立循環器病センター、奈良市立病院、多根総合病院、桂病院、田辺中央病院、第二岡本
総合病院、医真会八尾総合病院、大阪大学付属病院研修生、和歌山日赤病院、済生会中津病院、海南医療センター、吹田市民病院、[薬
局] スギ薬局その他、[公務員等] 大阪市職員、日本公定書協会
教授からのメッセージ薬理学は医療薬学科と創薬科学科の両方で最も重要なコア科目です。当研究室では、
病気の治療に直結する薬理学研究を行っていますので、将来どのような職業に就く場合にも学んだこと
が役立ちます。世界で戦える研究を行い続けることが私の信念で、学生さんにもグローバルな感覚を持
ってもらい、将来、世界を舞台に活躍する人が育ってほしいと願っています。ですから、プレゼンテー
ション能力やディスカッション能力の養成に力を入れており、薬学部と理工学部生命科学科の 6 研究室
で隔月で行う「ライフサイエンスセミナー」、研究室内での研究成果発表会、学会・卒論発表前の発表
練習、教員・大学院生中心の合同勉強会、学会参加後に行う学会報告会など、発表・ディスカッション
能力を鍛える多数の機会を設けているほか、学部学生による学会発表も行います。これらの経験は、就
職の面接時に役立つ上、創薬・医療両学科の卒論発表優秀賞に当研究室所属学生が毎年多数選出される
結果にも繋がっています。お楽しみ?行事として、10 月の 3 年生歓迎会(ポットラックパーティー)、
11 月末の忘年会、1 月の新年会(おでん)、3 月の創薬卒論打上・送別会(涙・涙---)
、6 月の医療卒論
打上・国試勉強壮行会、8 月の CBT 勉強壮行会などがあります。医療薬学科、創薬科学科の皆さん、是
非、私たちと一緒に「楽しく」
「充実した」「実りある」研究室生活を過ごしましょう。
准教授からのメッセージ薬理学の講義や実習で「なんかおもしろいな」と感じたことがあれば、病態薬理
学研究室での研究内容はもっとその好奇心をくすぐってくれるものになるはずです。実験をするからに
は厳しいことも辛いこともありますが、だからこそ得られる達成感は大きいです。研究室でお待ちして
います!
助教からのメッセージ実験には失敗はつきものです。失敗した時、原因・改善点などを考えることで自分
自身の成長につながっていきます。研究者になる・ならないにかかわらず、研究することで得られるこ
とは非常に大きいと思います。一緒に研究し、スキルアップをしましょう☆
大学院生からのメッセージ研究室選びの基準はひとによって異なるとは思いますが、これから研究室中心
の生活に変わります。病態薬理学研究室に興味がある人は是非一度見学に来てください。聞いておきた
いこと何でも質問してください。自分の実験を持ちたい人、学会発表してみたい人、英語が好きな人は
特におすすめです!
医療薬学科学生からのメッセージ動物実験と細胞実験があるので希望にそった実験ができ、実験のテーマ
が多いので興味のあることがきっと見つかると思います。実験が難しいと思うこともありますが、先生
や先輩方にアドバイスをもらいながら充実した実験生活が送れています。また楽しいイベントがいろい
ろあり、学年をこえた交流ができます。ぜひ見学に来て下さい♪
創薬科学科学生からのメッセージ基本的に実験計画は自分でたてて実行するので、自分に合ったスケジュ
ールで実験を進めていけます。実験の進行次第では学会にでる機会もあり、発表練習の場も多く、プレ
ゼンテーションの技術が上がります。将来院生を考えている人はいろんな技術が身につくので、ここを
選んで間違いはないと思います。興味があるなら一度見学に来てください。
国際学会で
発表!いい
経験になり
ました☆
学会を主催し
ました。
大変だったけ
ど、一致団結
して頑張りま
した☆