新しい部品仕様 「カニピス」 「アルピス」 「テフピス」 のご紹介 株式会社 大安製作所 これまでの歩みとその後の取り組み 真鍮に無電解 Ni-P めっきを施すことで精密部品を製作する技術については、 これを「カニピス」という名称で呼び、これまでに数多くの採用事例があります。 特に近年では、製品の「軽薄短小化」により、機能部品に求められる加工精度が 高くなり、これにお応えできる「カニピス」は、市場でも大変にご好評をいただ いております。 私共では、今後もさらに精密加工と表面処理で、皆様のお役に立てるようにと、 「カニピス」 の分野では微小送りねじの製品実現を、また、主として軽量化を 実現するために新開発の「アルピス」を、さらに摺動性能を追求した「テフピス」 を完成させました。 ここに「カニピス」の採用事例と累計納入数量をまとめます。 それでは順に各々の特徴などを、ご紹介させていただきます。 - 1 - 「 カ ニ ピ ス 」 と は ? 仕 様 : 真鍮+無電解Ni-Pめっき 被削性に優れた真鍮材の加工では、工具は摩耗や欠損から保護されます。 それゆえ、加工部品の寸法や面粗度の変化を極めて小さく抑えることが可能です。 むく しかし、そのままの状態では耐摩耗性能や耐食性に欠けるため、真鍮材を無垢の ままで機能部品として使用することは、非常に困難でした。 この弱点を無電解Ni-Pめっきで克服したものが「カニピス」です。 キズ・ ダコン ・めっきツブを発生させない、 特殊なめっき処理法と 、めっき処理前の 特殊な事前処理が、カニピスの中核をなす技術です。 カニピスでは±0.3μmで膜厚をコントロールすることで、精密加工部品の精度を 維持しながら、表層硬度はステンレス材を凌ぐHv400 (通常処理)を有します。 これにより、従来はステンレス材でなければと考えられていた機能部品に、 カニピスが代替として採用され、多数の採用実績で、その性能を証明をしています。 - 2 - 「カニピス」応用事例 その1 カニピス仕様の部品精度をご覧下さい。 この部品は高精度軸受に使用されるフランジです。 サブミクロンの切削加工技術と、表面処理技術の集大成として、量産でこの部品 精度を実現しています。 もちろん、研削による寸法仕上げの工程はありません。 このようにカニピスは、研削加工でも量産が困難な、極めて要求精度の高い部品 にも、スムーズに対応が可能なのです。 カニピスで量産化に成功した部品の概要 部品が小さくなればなるほど、研削加工は困難になりますが、カニピスは部品が 小さいほど、その精度が高くなり、コストは低くなるという特徴があります。 - 3 - 「カニピス」の応用事例 その2 最近、携帯電話やデジタルカメラに使用される微小ねじは、従来よりもさらに サイズダウンし、外径はφ1.7、内径としてφ0.7~φ0.8の穴が明いているパター ンの形状に移行しています。 同時に全長も短くなり、これまで転造で加工対応してきたメーカーは、部品に要 求される精度に追従できなくなりつつあります。 それらの微小ねじは、特に内径に対するねじの振れ量や、ねじの送り精度が非常に 重要であり、従来の転造による工法では部品精度を確保できなくなってきました。 「カニピス」は、すでにこれらの微小ねじに対して、ご要求の精度をフルスペックで 満たすことが可能です。 もちろん、量産への移行にも、即時に対応が可能です。 2品共に外径φ1.7、ピッチ0.2~0.25 であり、φ0.7の内径はレンジ6μmを実現し、 内径とねじの振れ量は10μm以下に収めています。 極小の内径に対しても、カニピスは均等な膜厚を得られます。 (要貫通穴) また、ねじのピッチ精度も群を抜く実力を持ち、 ・単一ピッチ誤差 ・累積ピッチ誤差 ±2.5μm(レンジ0.005㎜)以下 ±5.0μm(レンジ0.010㎜)以下 このようなご要求にも、カニピスなら今日、お応えできます。 これらの技術は微小ねじだけでなく、ウォームギアにも同様に適応できます。 - 4 - 「 ア ル ピ ス 」 ここまでに説明させていただいたカニピス技術において、素材をアルミニウムに 変化させたものが「アルピス」です。 め っ き 仕 様 : 膜厚5μm(0.005㎜) 共通) (カニピス アルピス 表層硬度Hv400 制御範囲 ±0.3μm(±0.0003㎜) 最大の特徴は完成品の軽さにあります。 これにより、ユニットの軽量化や慣性力の低減、また高速応答性能の向上に、 絶大な効果を発揮します。 実際に、2種類のDVD用リードスクリューについて、アルピス仕様で試作して みました。 その質量比を下に示します。 アイテム名 サンプルA 現行仕様 2.560g (SUS303製) アルピス 質量比 0.955g 1:0.38 0.545g 1:0.34 1.601g サンプルB (真鍮+ 無電解Ni-Pめっき) 例えば、ノートパソコン用のDVD用リードスクリューを「アルピス」で製作すれば、 ユニットの軽量化の他、駆動モータの回転反応を向上させ、バッテリーの消費を 抑えることが可能です。 《軽いという事》 ・・・ これはあらゆる分野で要求のある、 重要な部品要素であると考えます。 - 5 - 「テフピス」 (カニフロンA仕様※) 「テフピス」はニッケルめっき層の中に、テフロンの微粒子を均一に分散共析 させたものです。 め っ き 仕 様 : 膜厚5μm(0.005㎜) 表層硬度Hv350 (カニピス・アルピスより少し低い) 制御範囲 ±0.3μm(±0.0003㎜) 「テフピス」は表面にテフロンコーティングをしているのと異なり、ニッケルの 被膜中にテフロン微粒子が均等に分散しています。 これにより、ニッケルで保持されたテフロン微粒子は非常に強固な密着性を有し ます。 主に摺動性能が特徴であり、その摩擦係数は、下のグラフに示す通り、通常の 無電解Ni-Pめっきの35%しかありません。 カニフロンA (0.08) もし、駆動用の機能部品に、「テフピス」を用いれば、モーター側の負荷を大幅に 減少させることが可能です。 これにより、消費電力を小さく抑えられる他、消音効果も生み出します。 ※ カニフロンは日本カニゼン(株)殿の商標です。 - 6 - 「カニピス」 今、「 ア ル ピ ス 」がお薦めです! 「テフピス」 真鍮+無電解Ni-Pめっき処理で、高精度の加工部品をご提供 させていただく「カニピス」技術なら、かゆいところに手が 届く、うれしい改善内容が盛りだくさん! 特にデジタルカメラ・DVD用のリードスクリューシャフトや、 モーターの動圧軸受用部品に最適です。 たとえば、こんな内容が改善・合理化・実現できます。 ① 転造ネジから切削ネジへの変更で、試作時の納期の短縮と転造ダイス費の削減! ② 切削ネジだから、設計変更によるネジ部の仕様変更も迅速・安価に対応できます。 ③ 転造加工がしにくい、全長の短いネジほどカニピスは大得意! 今後、パッケージの小型化によって、どんどん部品は小さくなって行きます。 ④ ステンレスでなければ・・・。いいえ、耐摩耗性・摺動性能・耐食性は抜群です! ⑤ 内径穴がある製品でも、ネジと内径は同時に一発加工! だから振れ量が極小です。 ⑥ 内径精度が安定している上、材質の展性を活かしてスムーズな圧入が可能である上、 充分な抜けトルクが得られます。 ⑦ 素材が真鍮なので、工具の摩耗による寸法や面粗度のバラツキが極めて小さい。 表面処理後の完成品でも、レンジ数ミクロン(μm)の精度を実現できます。 ⑧ 超高精度の加工部品・・・、内径と外径の振れ量や、直角度、真円度、平坦度など、 シビアなご要求には、工程を分離せずに加工できるカニピスがベストマッチ! 研削加工でさえ、精度を確保できなかった加工部品でも、カニピスならOK! 試作から量産まで、あらゆるニーズにお応えします!! - 7 - 最 後 に ・ ・ ・ ここまで 、「カニピス 」・「 アルピス 」・「 テフピス」について、ご説明をさせて いただきました。 ご質問などがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。 私共が提供させていただけるのは、加工と表面処理の技術です。 その技術は部品など形に姿を変えないと評価していただくことができません。 何かお役に立ちそうな具体的な案件がございましたら、是非、お声掛け下さい。 量産を前提にしてご評価いただける場合には、実際に試作品を製作して、提出を させていただきます。(★) お忙しい中、お目通しいただき、どうもありがとうございました。 ★ 試作品は外径φ12以下で全長100㎜以下に限らせていただきます。 さらに外径×全長が300を越える場合も、対応が困難です。 カニピス・アルピス・テフピスは、小径・小物でなければ、その実力を発揮で きないからです。 また、図面検討において、対応不能となる場合もございます。 予めご了承下さい。 ご連絡・お問い合わせ先 株式会社大安製作所 代表取締役 専務 フジタ カズヤ 藤田 和也 〒511-0264 三重県いなべ市大安町石榑東字畑鴫1840 Tel. : (0594)78-1881 Fax. : (0594)78-1882 E-mail : [email protected] - 8 -
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