2007年11月ランニング講習会 in 筑波 ウクライナの世界選手 権でフィジカルの差を見せ付けられた私 たち に、 村越さんか ら110m ハードル の 第 一人 者で、現在は筑波大 学にお勤めの 谷川聡氏をご紹介 いただきました 。その 谷川 先生 を講師 に迎えオリエン ティ アのためのラン ニン グ講習 会を 開きま した 。 谷川先生の言葉を借りながら内容 についてまとめまし た。 最後に谷川先生もおっしゃていましたが、 本人がどう解釈するか が 重 要になってくるの で、なる べく 主 観を入 れず 、 私が理解 している 範囲でまとめたつもりです 。 ご指摘や追加情報 、 あるいは より詳細に知 りたいと いう方 は小泉ま で お知らせください。 概要・プログラム 日時: 2 007年11月23日(金 ・祝日) 場所:筑波大 学 参加者:30 歳前後( WOC代表選手)6人、 20代半 ば(WOC・ユニバー 選 手)5人、 20代前半( 学 生・OB)10人 • 事前 に下記 データの 提出を求めた。 ①普段、 どのようなトレー ニングを行っている のか ②なにが 、勝負 を分けているのか ③パー ソナルデータ (身長 ・体重 ・500 0/3000mタイ ム・スポ ーツ 歴・オリエンテー リング歴 ・ ケガ歴) • 講習会プログラム (巻末参照) • 事前学習資料( 巻末参照) 講師紹介 谷川 聡(たにがわ さとる)氏 日本の陸上競技選手 で、 現在は筑波大学体育専門学群専任講 師。 研 究テーマは 「人 のビ ヘイビア が 競技パ フォー マン スにどのよ うに 関係す るか」。 110 mハードルの第一 人者 で、アテネオリンピ ック代表 。東京都 出身 。 引用:フリー 百科 事典 『 ウィキペディア(Wik ipedi a)』より 午前の部 午前中は各種運動デ ータを取った。 最初に谷川先生にオリエ ンテーリン グの様子を知ってもらうため筑波 大 学 内で短 いスプリン トOを行った。( こ のスプリントの 結果 は後ほどデー タに使えるこ とになったが、多 くの 選 手がタイ ムを取っていなかったためもっ たいないこ とをした 。) 次に各種 ジャンプを 計測し、筋力 を測定した。測定 したデータ は下記の5つ。垂 直 跳び では写真のよ うな装置を 用いて 跳躍高・滞空時間・接地時 間を測定 した 。 • 垂直跳 び 反動なし/腕振込みなし (しゃがん だ状態からそのま ま上へジャンプ、 手は腰 に) • 垂直跳 び 反動あり/腕振 込みなし (しゃがん で反動をつけジ ャン プ、手 は腰に) • 垂直跳 び 反動なし/腕振込みなし (しゃがん で反動をつけジ ャン プ、腕 も使ってよい ) • 垂直跳 び 連続5回 (しゃがん で反動をつけジ ャン プ、手 は腰に) • 立ち幅跳 び (助走をつけず幅跳 び) • 立ち三段跳 び(助走 をつけず三段跳び) 最後に300 0mのタイムトライア ルをトラックで行った。 ランチセッション 午前中のデ ータを 基にRDJ i ndexなどを 計算し、各種 デー タの分析 を行 った。データ は 表 1の 通り。 表1.ランニング講習 会運動データ Name SJ CMJ CMJwA in dex ON AIR SL J SL J3 Dist OL NT男子 1 25 .4 33 .8 40 .8 2.1 92 16 6 36 .4 23 0 66 5 63 0 45 5 NT男子 2 36 .3 37 .6 46 .5 2.4 11 15 2 36 .7 24 0 67 0 58 1 50 5 NT男子 3 42 .4 42 .8 46 .2 2.1 29 16 9 36 24 0 69 3 59 4 42 5 NT男子 4 25 .2 30 ,1 34 .5 1.3 32 17 8 23 .7 21 0 63 0 61 0 46 0 ユニバ男子 22 .3 22 24 1.4 72 17 0 25 18 3 58 2 60 0 45 0 学生男子 1 29 .3 34 .8 37 .2 1.4 53 17 0 25 .7 21 1 56 8 71 1 61 0 学生男子 2 41 .8 45 .7 55 2.3 33 16 7 39 24 2 68 0 60 5 45 0 学生男子 3 35 .6 38 .7 39 1.7 75 16 2 28 .9 24 8 64 6 78 7 78 0 学生男子 4 35 .9 35 .1 40 .6 1.5 05 16 7 25 .1 22 7 62 3 90 0 85 0 学生男子 5 38 .3 42 .1 42 .8 1.7 8 19 4 34 .5 22 8 60 8 78 0 87 0 学生男子 6 34 .9 34 .7 40 .8 1.7 75 16 3 28 .9 22 0 61 6 61 8 47 0 NT女子 1 23 .2 27 .3 28 .2 1.6 43 15 3 25 .1 18 0 53 8 70 0 -- NT女子 2 25 .1 22 .5 25 1.4 26 14 8 21 .1 19 2 54 0 70 8 -- NT女子 3 21 .6 22 .5 27 .3 1.2 38 19 5 24 .1 17 0 52 5 77 7 -- ユニバ女子1 22 .3 25 .8 29 .1 1.4 65 15 9 23 .3 17 8 53 0 79 2 -- ユニバ女子2 20 .1 21 .2 22 .4 1.0 5 19 8 20 .8 17 6 49 8 71 7 -- ユニバ女子3 20 .1 23 .6 23 .5 1.1 87 18 2 21 .6 19 8 54 2 71 7 -- 学生女子 1 29 .1 32 .4 38 .7 1.7 26 13 0 22 .4 20 2 56 5 88 0 -- 学生女子 2 24 .8 24 .9 29 .9 2.0 1 14 1 28 .3 18 8 54 2 87 6 -- 学生女子 3 21 .4 21 .5 23 .9 1.2 65 16 6 21 18 4 51 5 75 0 -- 学生女子 4 26 .5 28 .2 29 .9 1.4 09 18 4 25 .9 18 7 58 0 89 3 -- SJ:垂直跳び (反 動なし腕振なし),CMJ:垂直跳び(反動あり腕 振なし),CMJwA:垂直跳び (反 動あり 腕振あ り),i ndex:RDJ i nde x,O N:接地 時間,AIR:滞空時間,SL J:立 ち幅跳び,S LJ3:立ち3段 跳び,Di st:3000 mTT (se c) ,OL:Sp rin tO(sec) 垂直跳び (反動なし /腕振 込みなし )が純粋なジャンプ力(筋力)を表 す とする と、それを 基に垂直跳 び(反動 あり/腕振 込みなし )からは 反動的な筋力を、 垂直跳び(反動 なし/腕振込みなし )からは コーデ ィネーシ ョン 能力 を 見ることができる 。 立ち 幅跳び と立ち三段跳 び を比較 した 場合、 三段跳び の結果が幅跳 びの 結 果の3倍以下 ならばジャンプ力 が途中で潰れている とみられる 。 原因が足首の問題 である 可 能性が 高い。また 2. 5倍以下ならばスライドに問 題があると指摘 できる 。 ま た垂直跳 び(反動 あり腕振 あり )はひ ざの 力( A) 、立 ち 幅 跳び は股関節 の力( B) を 示し 、A/Bの値 が高 いと 膝の力が発達していると 言える。 R DJ ind exは筋力 を測る数値として各競技で測定が行わ れている。垂 直跳 びで測定 した 滞空(空中)時間 ・ 接地時間 を 基に計算す る。 RD J inde x は足関節の強さも 示す。 値が 高いとバネがある ということで 能力 が 使 える点では有利だ が、 力が余っていてケガをしやす い傾向にある。 一般的にラン ニングと 筋力の相関はあまりないという研究成果 が多 い。ただ弾 める(バ ネのある)選 手 の方が 運動能力 が高い、 というデ ータもある。 以上のデー タを踏まえ、 垂直跳び ・幅跳びのデー タを見るとオリエン ティアは 長距離選 手 に近 い数値 を出して いる 。またランナーに比べ股関節よ り膝優位 の傾向 が強く、膝 を使 って走っている 人が 多いのではと 指摘 され た。 R DJ ind exはスプリンターや跳躍 の選手ほどではないが、中∼長距離選手 よ りはや や高く、球技 や スキ ーの 選手 に近い筋力を持っている 傾向にある(図2 -1)。 図2-1(図中赤丸 が小泉 の 値) ま た各デ ータとの相関を見ると 、筋力( RDJ in dex)と 走力(トラックのタ イム)と の相関 はほと んどなか ったが (図2 -2)、 筋力 とオリエンテー リング(スプリントタイ ム)には 若 干の相関 が発 生する (図2- 3) 。ま た走力 とオリエ ンテー リングには 大きな相関が見られた (図2-4)。 図2-4 のグラフで近 似曲 線よ り左上 にいる選 手は不整地 の 走りが遅い・ナビ がうまくない、右下 にいる選手はラン ニングが遅い、という可能性 が高 い。 図2 -2 RDJinde x- 30 00m( Men) 図2-3 RDJindex- Sprint( Men) 図2-3 Sprint -3000 m(M en) さらに世代別に見ると 競技 経験 が長い選手 のほうが 上記 の相関 性が 強く、競 技 経 験の浅 い選手は ばらつき がある ことから、競技開始初期段階 ではフィジカルパフォーマンスよりもナビ ゲーシ ョン 能力の影響 が 強く、 経 験が深ま るほどフィジ カルが総合パフォーマンスに影響す ること を確認 した 。 以上のデー タより、まずナビ ゲー ション 能力 を高める、次 にやるこ とはラン ニン グ能力 を鍛 えるの が近 道に見 える。筋力 ア ップよ りもランニングに重点を 置いた トレーニングを方向 付 けす る必要 がある 。またそれを 確認す るた めには 自分 の特性を知っておく必要 がある 。どの 方向にトレーニン グ指 針を持っていくか は 賭けである 。 相関性がま ったく ないわけではないので 、 ランニン グパフォーマンスに壁 を感じたら 筋力を鍛える よう方向 付 けるこ とも一つの賭けである。 ただ し立ち幅跳 びや 垂直跳 びを繰 り返 し て筋力を鍛 えるのでは なく、オリエン テ ーリン グに 近い状態で筋力 を 上げる べきだろう。例 えばウエ イトをつけて 山 を登るなど。 ある いは別の角度、例 えば 脚の回転を高める といった様々 なア プローチが ある が 、いずれにしても何をどこま でやるか 、 そしてどうやってオリエ ンテーリン グに戻してくるか 、 が重要 になる 。 オリエンテ ィアの走りを見ると 脚だけで走っている 選手が多い。脚 が後 ろに流 れている。トップランナーは 上体 を 腰に乗せて走る、 真下に力が伝わるよ うな走りをす る。脚 を前に出すの では なく 、胴体 を 前に運ぶよ うなイメ ージ 。特 に下りでその 走りができる人ほどうまい走りと 言える 。速 く走 る ためにはまずはそ のあたり、 フォームの 改善 などを考えるのがよいという考察に至った 。 ところでオリエン ティアはケガがたいへん多い。 ケ ガをしやすいのはトレーニン グの量 ま たは質のどち らかを 高めた ときで、 前者の場合であればフォームなど技術的な問題 、後者 の 場 合はフィジカル が弱い、という可能 性が指摘 できる 。 トレー ニングは波のあるプランを 立て、実行する 。 ターゲットレースに向けて期 間を区切 りテー マを明確にす る 。その 中で上記のような新しい試みを いれていくこ とが 求められる。 午後の部1 ラン チセッショ ンの分析を踏まえてラン ニン グの改善 につながる 様 々な動 きを体感し、練習を 行った 。 ま ず平地 ・登り・下りを走り、 お互いのフォー ムを確認した。多くの 人 が脚 先 行の走 り( 図3 -1a,2a )になってい る 。 上体を先行 させた走り(図3-1b,3 -2b )の方が力を使わない。脚 を運ぶのではなく 胴体 を運 ぶ。前傾をする のではなく 、脚が先行 しないように前進す る。 午後の部1 ラン チセッショ ンの分析を踏まえてラン ニン グの改善 につながる 様 々な動 きを体感し、練習を 行った 。 ま ず平地 ・登り・下りを走り、 お互いのフォー ムを確認した。多くの 人 が脚 先 行の走 り( 図3 -1a,2a )になってい る 。 上体を先行 させた走り(図3-1b,3 -2b )の方が力を使わない。脚 を運ぶのではなく 胴体 を運 ぶ。前傾をする のではなく 、脚が先行 しないように前進す る。 (a) (b) 図3-1 登り 脚先行 の走り( a)と 上体先 行の走 り(b) (a) (b) 図3-2 下り 脚先行 の走り( a)と 上体先 行の走 り(b) 次に上向 きに 登り、拍手 の合図で上向 きのまま 下る、また 合図 で登 る、下 るを 繰り返した 。同 じく 下向きに下 り、合 図で下向 きのまま 登る 、 下る を繰り返した 。 一連の動きを 見 てどういうときに姿勢 を 崩すかを 観察 し た。 合図でブレーキ をかけるときに上体が前向 きに崩れてしま う。 腰を 引いて、頭 と 脚だけを前に出している人が多い。 自分の 足 元が前 に見 えていてはだめ。脚 (かか と ) 、 腰、 頭 の距離 を 短くする 。つまり体を くの字に曲げないで、直 線 状に並べる こと で 上体が安定 する 。 3点を 直線状に乗せて安定 した 状態を体感 するために、後 ろに倒れ 、 前に押し返 し てもらう動きを行 い、 前に 戻っていく動きのまま前に動き出す 感覚を覚えた (図3- 3)。 (a) (b) 図3-3 後ろに倒れて( a )、 前に押 し出 す( b) 次に押し相撲 をした 。お互い押し合い、バランスを崩したほ うが負 け。 何も意識 せずに行うと力勝負になるが 、 脚(膝下 から踵のライン )を支点 に腰・頭を固定 すると 、力 を入 れ ない でも押してくる 相手の力を止めるこ とができる (図3-4 )。膝を落 と すようにして前 に倒 れ れば、力 を入 れ ずとも相 手を崩すこ とができる。またその 際に上体を前にねじらない。骨盤 を 正面にむけるように意識 する (図 3- 5) 。 図3 -4 膝下を支点に前へ倒れる (左) 図3- 5 骨盤を前 面へ向 ける 以上の動きを覚えた まま、再度下 りの 走りを練習。力 を入れ ずリラックスした状 態で上 体を脚に乗せて走 る。 世界 のトップオリエ ンティア の 映像を見ても、身体 のコン トロール を頭 の動 きだけではなく、上体(腰 か ら上)全 体で行っている。日本 のオリエ ンティア の多くは 止まるよ うな 動 き( 身体をくの 字に曲 げて)で走 っている ため効 率が悪いよ うに見える 。 続いて平地から登り、下 りから平地、 の走りも練習。傾斜 によってフォームを変 えるのではなく、上 体の 位 置を コン トロールして 同じ感覚で走り続ける。一連 の動作のなか で登る 、 下る、走 るを 行う。 図3- 6 一通 りの 動きを確認 したあと 再度 下 りの走 り 続いてバランススティック(BS) を使ってのエクササイズを 行った。 BSと は平 均台上での 運 動を安 全に行 うた めの 用具で、 こ れを用いてバランスの 取り方、つま りフォームの改善を目指 す。 ま ず4∼5人 で輪になって BS上を歩き、右回 り・左回 りと 繰り返す 。 次に片足 でケ ンケ ンをし ながら右・左と 回 る (図3- 7)。次に全員で合図してBS上を ジャンプして飛び移 る(図3- 8) 。こ れも両 回転 行う。 図3- 7 バラン ススティック(BS) ケ ンケン 図3 -8 BS ジ ャン プ 続いて一人でBS上で片足立 ち をしてもう片方の足を前後に動かし バランスを取 る(図3- 9)。 さらにBS上で半回転・1回転ジ ャン プ(図3- 10)。 図3- 9 BS 片足 図 3-10 BS 回 転 今度はBSをライン 上に沿ってランダ ムに配置し、その 上を渡しながら走 る(図3- 1 1)。 脚 を持っていくのでは なく、身体 が行く場所へ足を置くイメー ジ 。 前に進むときに、どこに足 をつけよ うか なと走 る のではなく、 と りあえ ず前に身体を持って行き、着地できそうなところに足を着く 。 一歩 ずつが 大切 なのではなく、前 に行くこ とが 大 切。 同じよ うに BSを並べて上り・下りを練習(図3-12,13) 。 BSの練習 は技術トレー ニン グである。 自分の身体をいかに放り込 めるか が鍵となる 。 様子を見ている とうまい人うまく ない 人がいるが 、技術 ははや らなきゃうまく ならない。しかし 技術 トレーニング は一度できるよ うになったら技術トレーニングではない。例 えばラダ ーを使 った反 復練 習など。 スピードや間隔 に変化を付けられる、今回 のBSを使ったトレーニン グなどの工 夫が オリエン テーリングには必 要になるの では ないだ ろうか 。 図3 -11 B S 平地 図3- 12 BS 下り 図3- 1 3 BS 登り 午後の部2 続いて筋力トレー ニン グ・ストレッチの実践を行い、最後 の まとめへ と移った 。 筋トレは 身体を まっす ぐ安定 させるためのものを紹介 していただいた。 ま ず腹筋。身体 を 抱え込む腹筋(図3- 14a )が一般的 だが、上体 をまっすぐにし て胸を広 げた状態 で行 う(図 314b )。 こ のとき反動 をつけてしまうと 腰を痛める原因となる。 (a) (b) 図3 -14 一般的な腹筋(a) と上 体を固 定し た腹筋 ( b) 続いて背筋。 一般的な背筋 は頭から持ち上げるが(図3 -15a )、お腹 か ら持ち 上げるよ うにする (図3- 15 b)。 その 際に脚を支えている 人が脚から反発を 受ければ OK。ポイントは 脚 全体をま っすぐにし て持ち 上げる 感 覚 で行うこと。 (a) (b) 図3 -15 一般的な背筋(a) と上 体を固 定し た背筋 ( b) こ の腹筋・背筋 は腸腰筋・中臀筋・大臀筋・ハムストリングスを 使 えるようにする ためのもである。この 腹筋 ・ 背筋 を 2回ずつ行って立ち 上がる と腰が入った感覚を得られる 。 今日はち ゃん と 立てられていないと いう日には トレーニングの 前に行うとよい姿勢 で行える 。 次にラン ジ (図3-16a,b )。まず骨盤を正面 に向ける。後 ろの 膝を落 と し、 前の膝 は正面 を向 ける。 前足の 踵と 膝を同じライ ン上に垂直に立てる。その 状態から後足を前上 方 へ持 ち上げる 。 持ち上げる 際に支 えている足は 前に出さないでまっすぐに 、内臀筋 を 使って持ち上げる。 上体もま っす ぐ固定 したまま 行 う。 そ れができたら交互 に足を 変えながら連続して行う。注意 す べきは、 前傾しないで上体をま っす ぐにす ること と 、 骨盤・膝を正面 に向けるこ と。 普通のスクワットよりもこ ちらの 方がオリエンテ ーリングの 動きに近いのでは ないだ ろうか 。 (a) (b) 図3- 1 6 ランジ 一通りエ クササイズ を行い最後にストレッチを行った 。 午前 中の準備運動 を見 ていると みんなストレッチの時 間が少ない。 もっとした ほうがよ いのでは?と 指摘された 。 様々なストレッチを紹介 していただいたが 、ここ では 股関節を伸ばす 2つのストレッチを 紹介す る(図 317a ,b )。 (a) (b) 図3-17 股関節を 伸ばす ストレッチ 最後にまとめと質疑応答。 「大 きなレー スに向けて近づ くほどできることは少なく なってく る。 その時期 にはコ ンディシ ョン がよけれ ばトレー ニングはやらない方向 にもっていってよい。 やることも大事 だが 。 。。 ジャンプもやれば 効果 が あるかもし れな いが 、やらなく てもよいかもしれない。どう自分 で解釈する かになってくる。 」 Q1.陸上選手 はストレッチにどれくらい 時間をかけるのか? A1.究極的 にはコ ンディシ ョン がよければやらなくてもよ い。 時間を かけてウォームアップをする のは自分 のコ ンディシ ョン を確 かめるため。よく 伸びるか ら、 力が入 る から よい 、というのではない。 レースに持っていくた めに「これくらいなら大丈夫」と確認 する ことが 目的。 とはいえ一般的 にはレ ース前に10分く らいはストレッチを する。ジョ グなどをして 体 を温 めて、その あと ストレ ッチをしたほうが 感覚的には分かりやすい。 速い選手 がこ うやっている 、といってもそれが 正しい、自分 に合 っている かは分 か らない。 Q2. ベストな走りをした ときの 感覚はどんなものだった? A2.手足 がなくなった ような感覚になる。 た だ立っていて手足 が 勝 手に動 いているような感 じ。 歩いて朝食 に行 くときにその 日の調子 が分かった 。 レー スでそういう状態になるためにトレーニングをしていく。こうすればここ が 直る 、エラーが 減る 、といった対 処療法的なトレ ーニングは 最後のほうでよ い。長 い時間を かけてす るの は、ここを こうしたい 、こ のイ メージにも って行きた い、といったことに対していろいろ試すトレーニン グ。楽 し みながらトレーニングをす る。 Q3.止 まる 、左右 に曲がるといった動きも登り・ 下りでやった 動きと 同じ 考えでよいか ? A3.止まる というのは 頭が遅れる、 というこ とである。止 まりたいときは 頭 を後ろにもっていくこ とを 基本動 作に すれば 効率はよい。 しゃがんで体を丸めるよ うに止まるのはロ スが 多 い。ある いは 高い位 置に頭があるなら、 それを落とすことで止まる 、という手段 もある 。 有酸素運動は続けていけば 運動経験がない人でも上がる。でもそういう人はジ ャン プ能力 は 高くない 。その 種のトレーニングをしてきた人が高いパフォーマン スを 示す 。 理想のイメージ と自分の姿を合わせて行く 。 別人にはなれ ない 。 2007 年 11 月 23 日 ランニング講習会 in 筑波 プログラム ■概要 日時:2007 年 11 月 23 日(金・祝日) 会場:総合体育館 1 階実習室 集合時間:10:30(厳守) 体育館内は土足禁止です。足元が寒い人は上履きを用意してください。 荷物を会場において陸上競技場に集まってください。 ■スケジュール 10:30∼ あいさつ、準備運動 11:00∼ スプリントO @陸上競技場 11:30∼ ジャンプテスト @陸上競技場 12:00∼ 3,000m TT @陸上競技場 12:30∼ ランチセッション@総合体育館 13:00∼ 具体的なトレーニング指南@陸上競技場 15:00 頃 解散予定 ■講師 谷川 聡(たにがわ さとる)氏 ■内容詳細 ①スプリント 目的:オリエンテーリング競技における走りの特性を見る。 内容:使用するマップは縮尺 1:4000、等高線間隔 2.5m で、コース距離 1.6km、ウイニング7∼8分くらい の短いコースです。ISSOM ではないですが、それっぽい地図です。精度は粗いですが、細かいところは 気にしないでください。立体交差など複雑な建造物群がありますが、くぐれる場所を渡河点で示してい ます。谷川先生にも選手の観察をお願いしています。 ②ジャンプテスト 目的:オリエンティアの筋力特性を知る。 内容:3 種類のジャンプテスト(スクワットジャンプ・カウンタームーブメントジャンプ・リバウンドジ ャンプ)です。測定版のようなマットの上で行います。一人数分でできます。谷川先生のパソコンに随 時入力し、分析していただきます。 *一般的に、筋力と持久力とは相関がありますが、ジャンプ力やそのスタイルとの相関もあるようです。 長距離・短距離選手においても有効な指標とされており、シーズンのトレーニングメニューを細かく決 めていく指標ともされています。今回は参加者の経験幅も広いので、競技レベルが上がるにつれて、ど のような要素が関連してくるのかを見ることもできます。 足首や膝・腰に不調のある人は、控えたほうが良いとのことです。特に 3 つ目のテスト。 ③3000m タイムトライアル 目的:オリエンティアの走力の実態を知る 内容:男女を問わず同時にスタートします。ジャンプテストとの記録と合わせ、分析することができます。 ④ランチセッション 目的:今後のトレーニングを考えるにあたり、何が必要かを考えた上で、谷川先生からのアドバイスを参 考に、自分に取り込む。 内容:WOC2006 の映像を見ながら、参加者から「何がどう違うのか」 「その違いを縮めるには何が必要か、 何をすればよいか」について意見交換。自分から考える姿勢を忘れずに。谷川先生の視点と我々の視点 とのギャップを知ることで、より効果的に午後のメニューにも取り組めます。 ⑤具体的なトレーニング 目的:普段のトレーニングにおける具体的なメニューを考え実践する。 内容:坂を利用したメニュー、平均台(板)を走るメニュー、ラダーを利用したメニューなどを行う予定 です。 2007 年 11 月 23 日 ランニング講習会 in 筑波 事前学習資料 ■筋力とランニング 筋力と有酸素能力の相関はあり、それは走る能力の高さとなる。 筋力トレーニングをしてから走ることの有効性、速筋を刺激してから遅筋を動かすことの意義について どこまで理解があるか?疲れてくると速筋を使おうとする。さらにフォームが悪いと、走ることで消耗し、 悪循環に陥る可能性ある。 1 時間のトレーニング時間のうち、半分は筋トレだっていいだろう。時間のない人こそ、筋肉トレは効 果的。減量のためにも、鍛えるにも。 ちなみに、オリエンティアは、照準の大会に向けて、減量することはある? ■ダウンヒル・体幹 下りの能力は、有酸素能力を高めることと相反する。 有酸素能力を高めるために、長時間走る、そして疲れてくると押す力で走ろうとする。しかし下りは押 すのではなく、反発する力を使う。 下りを走れることは登りを速く走ることよりも難しい。登りは筋力で走る、下りは足の運びや体重移動 など、根本的な原理を駆使して走る必要があるから。下りのうまい・速い人は、平地でも速い。陸上競技 選手も一緒。なぜなら、体重移動・受ける力で足を運ぶことができているから。 具体的なトレーニングとしては、 、 、 ・斜面のけんけん下り 片足でのジャンプ(ほっぴんぐ)は最もバランス不安定の状態。下りで速く走るには、接地した瞬間に 次の足を出さなければならない。その状態で、どの方向へ、どのタイミングで、どこに足を着けるのかの 判断が迫られる。次の足を強制的に出させない状況下で、片足でのバランス感覚を養うと共に(体のバラ ンスなど)次の足を速く出すことを感じるように訓練する。 ・ヨーヨーテスト 斜面を使い、笛の合図で登り・そのままの姿勢で下る、を繰り返す。頭で走る。頭で取る重心をうまく 移動させながら走ることが求められるが、その際に体幹(腰)の動きを修正することもできる。 ・ジャンプ力と筋力のクロストレの必要性も感じる ・体幹の強さを求めるというよりは、その使い方である。 ■トレーニング トレーニングメニューのプランニングの必要性があるのでは?フルタイムワーカーが多いので、短い時 間で行えるメニューがよいのではないかと考える。 代表選手レベルになると、個人的な問題や課題は共通しているのだろうか、知りたい。 トレーニングは、自分の特性(その人の持ち味)に傾けていくこと。つまり、ある一定のレベル以上に なると、何かを鍛えたら何かは劣るが(たとえば、有酸素能力と無酸素能力) 、そこで自分が何を高めよう とするのかをきちんと知っておくことが必要。 ■オリエンテーリング、オリエンティアの分析 オリエンテーリングの現状について。トレーニングを始めて、3 年間くらいは有酸素能力を高めること に時間を費やす。その後 4 年目くらいから筋力トレの必要性を感じ、有酸素能力を高めることと並行する。 さて、そのあと、どうすればいいんだろう。こういう状態にいるのではないか。走りの型の前に、有酸素 能力のために走り始めてしまっている現状にあるのでは。 オリエンティアは座った状態で走っているように見える。つまり、重心が低い。本来走りは重心を高い 位置に持って、下半身に乗せて動くイメージ。脚で走るのではない。 ■負荷のあるトレーニング 障害物を超えるという動作、私たちのジャンプとは、静止状態からではなく、動きの中で行うもの。動 きの中で跳び、着地しても可能な限り減速せずに、走りだせることを求められている。 陸上の世界でも、平地はアジア・日本人は白人よりも速い(マラソン・長距離・短距離) 。しかし、負荷 の加わる走り(障害)はケニア勢が圧倒的。 日本人も、もっと負荷の加わる走りをしっかりトレーニングすることで、さらに可能性がある。これは オリエンテーリングも一緒では?単に、トレーニング時間や環境の問題で北欧勢との違いを受けるのでは なく、その質を考える必要があるし、それ次第ではこれからの可能性は大きい。負荷の変動に対する感覚 を得ることが求められる。 日本の陸上界では、負荷を加えたトレーニング指導者もおらず、選手も怪我を怖がりなかなか実践しな い。でも、怪我を恐れていたら、トレーニングにはならないよ。
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