日本道徳性発達実践学会第 15 回同志社大会 第 32 回道徳性発達研究会 同志社大会テーマ 道徳教育の展開――「道徳科」に照準を定めて―― 日時 2015 年 9 月 5 日 13:00 ~/ 2015 年 9 月 6 日 9:30 ~ 会場 同志社大学今出川キャンパス良心館 3 階 後援 京都府教育委員会 会費 正会員・賛助会員 2000 円 非会員 3000 円 大学院生 1000 円 学部生 無料 京都市教育委員会 【同志社大会趣旨】 文部科学省は、 2015 年 3 月 27 日付で、学校施行規則の一部を改正する省令と、小学校 学習指導要領および中学校学習指導要領の一部を改正する告示とを出しました。これらに よって、「特別の教科 道徳」が学習指導要領のなかに正式に現れることになりました。 学習指導要領第 3 章の表題も「特別の教科 道徳」に変わり、その略記として「道徳科」 が使えるようになります。 「道徳科」のねらいは、「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的 諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き 方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育て る」ところにあります。この叙述からすれば、学習指導要領は、「道徳性」に関連させて、 まずは「道徳的な判断力」を置き、そのあとに、「心情」、「実践意欲と態度」を続けて います。これを素直に受けとめれば、学習指導要領は、いっそう明示的に「道徳的な判断 力」に目を向けるようになっている、と言えるでしょう。 「道徳科」では、「自他の生命を尊重する心」にも力点を置いて、子どもたちが「法や きまりの意義の理解」を深め「主体的に社会の形成に参画」できるように指導しなければ なりません。すなわち、子どもたちは、「道徳科」の学びを通じて、「道徳的な判断力」 を養いながら、実際の場面でそれを具体的に行使し行為に結びつけられるようになってい くのです。そのための方略として、学習指導要領は、「悩みや葛藤(かっとう)等の心の 揺れ,人間関係の理解等の課題を積極的に取り上げ,自己の生き方についての考えを一層 深められるよう指導を工夫すること」を挙げています。その意味では、たがいに対立しあ う道徳的価値のなかで道徳的判断の統合的な理知的形成をめざすモラルジレンマは、これ -1- から「特別の教科」として展開していくことになる道徳の授業にたいして、一定の指針を 示せるのではないでしょうか。 今回の改正は、従前の枠組みもあいかわらず残しています。それだけではありません。 評価をどのように行うのかについても、具体的な方策は、いまだわたしたちの手元にはあ りません。それにとどまらず、「道徳科」の教科書にかんしても、その見通しは十分では ないでしょう。このように、わたしたちは、明確な形では「道徳科」のあり方を描きだせ ないでいます。しかし、そうであるからと言って、「道徳科」にたいして消極的になる必 要はありません。むしろ、それの進むであろう方向に道徳教育の将来的な姿を求めていく 積極的な態度もわたしたちの選択肢の一つであります。 昨年度の立命館大会では、わたしたちは、「道徳科」が誕生する段階を、道徳教育が戦 後に迎える第二の「大きな変化の波」として位置づけ、「これからの道徳教育をどう発展 させていくのかについて、『未来』を見据えた議論」の必要性を訴えました。本年度の同 志社大 会で も、 その精 神を 継い で、同 志社大会の テーマを「 道徳教育の展 開――「道徳 科」に照準を定めて――」としました。このテーマのもと、基調講演では、「これからの 道徳教育、道徳科の在り方について」と題して、文部科学省が「道徳科」として推しすす めていこうとする道徳教育をどのようにみすえていくのか、わたしたちに許される範囲で、 道徳教育の将来を描く地平に照準を定めます。基調講演をとおして、道徳教育の将来的な あり方を描出するときの方向性を探りたいと考えております。 そのような知見を視野に納めながらも、シンポジウムでは、「「道徳科」における道徳 の授業」を標題として掲げ、どのような授業を「道徳科」で構想できるのか、その見通し を検討します。①まず、「道徳科」の要点を明らかにして、学校の現場に、いったい、な にが求められているのか、「道徳科」に基づく道徳教育のあり方を考察します。②すでに 指摘したように、どんな教科であっても、子どもたちの取組みにたいする評価が問題にな ります。それでは、そのような評価について、「道徳科」ではどういった可能性があるの でしょうか 。③しかしな がら、「道 徳科」が教科 である以上、やはり、わたしたちは、 「道徳科」の授業を組みたてなければなりません。「道徳科」の授業づくりにたいして、 モラルジレンマの視点は、なにを提起できるのでしょうか。 symposium ということばは、 古代ギリシャでは、饗宴を意味していました。シンポジウムでは、「道徳科」を巡って、 自由な発想のもとで闊達に意見を交換しあい、「これからの道徳教育をどう発展させてい くのか」を考えるきっかけの一つにしたいと思っています。 同志社大会では、基調講演とシンポジウムのほかに、ラウンドテーブルとワークショッ プを企画いたしました。ラウンドテーブルでは、「魅力的な道徳科授業等のために必要な 理論と実践の力――大学の道徳教育カリキュラムを検討する――」と題して、大学で「道 徳科」にかかわる講義をどのように組みたてればよいのか、指導の方法とかシラバスのあ り方とかも含めて、さまざまな考えを聞く機会とします。一方、本学会の会員が中心にな って、子どもたちの主体性と道徳的判断力に重点を置いた『私たちの道徳』題材別ワーク シート集の出版が実現しました。これから、道徳の授業にたいして、新たな提案と試みが 出てくるで しょう。ワー クショップ は、それを主題としています。「『わたしたちの道 徳』をこう指導する」という提題のもとで、小学校と中学校の実践を検討していきます。 -2- 【スケジュール】 第 1 日 9 月 5 日(土) 11:50 ~ 12:50 理事会 良心館 316 番教室 12:00 ~ 受付 良心館 305 番教室まえ 13:00 ~ 13:20 開会式 良心館 303 番教室 日本道徳性発達実践学会理事長挨拶 同志社大会準備委員長挨拶 13:30 ~ 15:00 15:15 ~ 16:45 良心館 303 番教室 基調講演会 講師 植田 和也(香川大学) 演題 これからの道徳教育、道徳科の在り方について ラウンドテーブル 良心館 302 番教室 魅力的な道徳科授業等のために必要な理論と実践の力――大 学の道徳教育カリキュラムを検討する―― 企画 林 泰成(上越教育大学) 竹田 敏彦(広島国際大学) 荒木 寿友(立命館大学) 野本 玲子(吹田市立青山台中学校) 良心館 301 番教室 ワークショップ 『私たちの道徳』をこう指導する 企画 17:00 ~ 17:30 総会 18:00 ~ 20:00 懇親会 松尾 廣文(大田区立大森第六中学校) 堀田 泰永(石川県珠州市立若山小学校) 良心館 303 番教室 Hamac de Paradis 会費 一般 4000 円/学部生・大学院生 2000 円 第 2 日 9 月 6 日(日) 09:00 受付 良心館 305 番教室まえ 09:30 ~ 11:55 個人研究発表 良心館 303 番教室 司会 本間 優子(新潟青陵大学) 新 茂之(同志社大学) -3- ① 09:30 ~ 9:55 ジョン・デューイの教育論における情報的知識の役割 阿部 ② 10:00 ~ 10:25 「習慣」の発想に基づく他者理解の基礎 宮﨑 ③ 10:30 ~ 10:55 康平(同志社大学大学院) 宏志(岡山大学) 児童期後期における役割取得能力が学校適応に影響を及ぼすプ ロセス ④ 11:00 ~ 11:25 本間 優子(新潟青陵大学) 内山 伊知郎(同志社大学) モラルジレンマ集会の充実化に向けた取組について――資料作 りを通して見えてきたもの―― ⑤ 11:30 ~ 11:55 長尾 貴志(四国少年院) 相賀 啓太郎(四国少年院) 道徳性の発達段階を意図した道徳授業の工夫――道徳的葛藤の 場の設定と教師のパイロット役―― 竹田 敏彦(広島国際大学) 角谷 昌則(広島国際大学) 12:00 ~ 13:00 休憩 13:00 ~ 15:35 シンポジウム テーマ 「道徳科」における道徳の授業 シンポジスト 澤田 浩一(国立教育政策研究所) 安田 曜 荒木 寿友(立命館大学) 新 茂之(同志社大学) 司会 15:45 ~ 16:00 良心館 303 番教室 (京都市立七条第三小学校) 良心館 303 番教室 閉会式 日本道徳性発達実践学会理事長挨拶 同志社大会準備委員長挨拶 2016 年 度開催 校代表挨拶 同志社大会準備委員会 〒 602-8580 京都市上京区今出川通東入ル 同志社大学文学部新茂之研究室気付 TEL: 075-251-3381 (研究室直通) Email: [email protected] -4-
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