携帯電話解約違約金条項使用差止請求訴訟に対する平成26年12月11日付 最高裁判所上告不受理決定に対する声明 当団体は,消費者の権利利益の擁護を目的として,消費者,消費者団体,消 費生活相談員,学者,司法書士,弁護士らで構成された特定非営利活動法人で あるが,平成22年6月以降,大手携帯電話会社三社の設定する解約違約金条 項(契約期間を2年間とし,その間に解約した場合には原則として税込み9975 円を徴収する「囲い込み」制度)は消費者の権利を不当に制約するものであっ て消費者契約法に反するとの立場から,その使用差止等を求めて,各社に対す る訴訟を追行してきた。 これまで6つの下級審判例が積み重ねられ,消費者の権利を不当に侵害する として一部の使用差止を認めた京都地裁判決(平成24年7月19日)が下さ れたほか,これを有効としたその他の判決も,解約違約金の法的性質や事業者 に生ずる損害として算定された額は大きく異なっていた。損害に関する事業者 側の主張を無批判に受け入れることなく,いずれの判決もその内容を厳しく吟 味し,これを一部無効と判断した判決も出たことは,携帯電話に限らず様々な 消費者契約で導入が進められている同種の囲い込み契約について,安易な解約 料の設定に警鐘を鳴らしたものと評価することができる。 それだけに,下級審判例の集大成として下された最高裁決定が,損害の法的 性質や損害額の統一を放棄し,実質的判断を何らすることなく上告不受理とし たことは極めて不当といわざるを得ない。2014年5月には,総務省が携帯 電話の2年縛りを検討することを発表したように,事業者の囲い込みを防止し て消費者の権利を護るという要請は時代の流れとなっている。その中で,司法 の最高府としてその責務を放棄した最高裁判所の責任は,極めて重大である。 当団体は,今後も事業者による消費者の囲い込みを防ぎ,消費者の権利を護 るために,適格消費者団体として全力をつくす所存である。 2015年1月14日 適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワーク 1
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