胸痛ホットラインのお知らせ

March
3月
2015
No.49
表紙記事
特集 2
胸痛ホットラインのお知らせ
特集 1
めまいの診断と治療
特集 3
カテーテルアブレーション治療のご案内
放射線科のご案内
胸痛ホットラインのお知らせ
特集 1
循環器科
内科 科長
さとう
ゆ
り
こ
佐藤 由里子
医師
卒業年度 : 2001 年
卒業大学 : 獨協医科大学
主な専門分野
循環器
認定専門医
日本循環器学会専門医
日本血管インターベーション治療学会認定医
日本内科学会認定医
JATEC
身体障害者福祉法指定医
▲
細動も持続期
間が短い方で
あればカテー
テルアブレー
ション治療が
可能な場合も
あ り ま す。 発
作性に比べ、や
アブレーション 3D mapping 画像
や成功率がさがるのでご相談ください。
河北総合病院心臓病センターでは、2015 年 1 月
10 日に不整脈治療用の最新型のシステムが導入さ
れました。今後さらに多くの患者さんに治療を行っ
ていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いし
ます。
アブレーション
モニタリング画面
カテーテルアブレー
ション風景
▲
今回は、カテーテルアブレーション治療に関して
のお話です。心臓のカテーテル治療というと、心筋
梗塞、狭心症などを治療する冠動脈造影検査、経
皮的冠動脈形成術(PCI: Percutaneous Coronary
Intervention)が有名ですが、カテーテルアブレー
ションは不整脈(頻脈性不整脈)に対するカテーテ
ル治療です。
頻脈性不整脈に対する治療としては、内服治療、
外科的治療が以前から知られています。内服治療は、
比較的手軽に行えますが発作の停止と予防しかでき
ず根治はできません。さらに副作用の問題もありま
す。外科的治療としては心房細動に対する Maze 手
術などがあり、根治が可能ですが開胸手術となり侵
襲は大きく、適応も限られます。
カテーテルアブレーション治療は、静脈からカ
テーテルを心臓内まで挿入し、カテーテル先端から
高周波電流を流すことで不整脈の原因となっている
心筋を焼灼することにより根治させるものです。胸
を切らなくてよいため、治療後数日で退院できます。
対象疾患として、ほぼ全ての頻脈性不整脈(発作
性上室性頻拍症、心房粗動、心房細動、心房頻拍、
心室頻拍、期外収縮など)が治療可能です。
特に心房粗動は、薬物での洞調律化が非常に難し
く、しばしば電気的な除細動が必要になる不整脈
で、原因回路が右心房内にあることが分かっており
カテーテルアブレーション治療で高い根治率が期待
できます。
また、
発作性上室性頻拍症は頻拍時の症状が強く、
若い患者さんも多いので薬を飲まなくてすむように
なる根治率の高いカテーテルアブレーション治療が
良い適応です。
今般心房細動に対しても、カテーテルアブレー
ション治療での根治が可能になりました。
1)75 歳以下
2)薬剤抵抗性
3)発作時の自覚症状が強い
4)抗凝固療法(ワーファリン、NOAC)が可能
5)左房径が 50mm 以下
であればカテーテルアブレーション治療が可能です。
発作性心房細動では成功率も高く、持続性心房
特集 2
めまい、とひとことで言ってもグルグル回る回転性
のめまいやフワフワするめまい、歩行時のふらつきと
症状は多彩です。またその原因も緊急性を要する脳血
管障害による中枢性めまい、三半規管などの内耳に由
来する末梢性めまい、加齢による下肢筋力低下、起立
時の血圧低下による起立性調節障害などさまざまな原
因で起こります。
このように多彩な症状、多彩な原因でおきるめまい
に対して、緊急性の有無、中枢性か内耳性か、それと
もほかの原因があるのか、を鑑別し治療を行っていき
ます。
耳鼻いんこう科 科長
しのはら
ひろし
篠原 宏
医師
卒業年度 : 1989 年
卒業大学 : 旭川医科大学
主な専門分野
めまい平衡神経
顔面神経
嚥下
認定専門医
日本耳鼻咽喉科学会専門医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
当科での取り組み
このような「めまい」を訴える患者に対して当科で
は①詳細な病歴聴取でめまいの性状から診断の予想を
つける② Barre 検査、鼻指鼻試験などの神経学的検査
で中枢疾患の除外③聴力検査、重心動揺計、眼振と
いった神経耳科学的検査④姿勢変化で血圧に変動がな
いかを調べるシェロン試験⑤必要に応じて MRI や頸動
脈エコーなどの画像診断などで診断を行っています。
「病歴でめまいの診断の 8 割はつく」と言われるくら
い病歴は重要です。回転性めまいか浮動性めまいなの
か、長時間の起立や姿勢の変化などめまいをおこす誘
因はあるのか、めまいの持続時間は秒単位の短いもの
なのか数時間続くのか、難聴を伴うのか、といったこ
とを聞いていきます。
めまいがひどいときは嘔吐も激しく患者は非常に苦
しいため、眼を開けるのもつらい状態ですが、まずは
脳血管障害との鑑別が必要ですので神経学的検査、眼
振検査を行ったうえで入院して経過観察としていま
す。めまいとして当科を受診した患者で年間、数例の
小脳梗塞がみつかり当院の神経内科に治療を依頼して
います。
代表的疾患について
頻度が高いのは良性発作性頭位めまい症とメニエー
ル病です。良性発作性頭位めまい症は内耳の三半規管
の管内に耳石が迷入することが原因でおきるめまいで
す。良性発作性頭位めまい症は、臥位から起き上がっ
た時や寝返りをうったとき、洗濯物を干すときに首を
進展したとき、など頭位を変えたときにだけ激しいめ
まいが短時間おきるという特徴があります。診断は、
頭位を変えながら眼振を観察することで、どの半規管
に耳石が迷入したのかがわかります。耳石の位置がわ
かると、迷入した耳石を半規管から排出するエプリー
法を代表とする理学療法を行うことができます。6 割
以上の良性発作性頭位めまい症の患者は、理学療法を
行った直後から劇的にめまいが消失または軽快し、QOL
は大幅に改善します。多くの患者は理学療法を行わな
くても 2 ~ 3 週間で自然治癒が期待できますが、数か
月に及ぶことも珍しくありません。当科ではエプリー
法、レンパート法といった理学療法を積極的に行って
おり、良好な結果を得ています。またクプラ結石とい
う難治性の良性発作性頭位めまい症に対して頭部振動
療法という新しい治療法を試み、良好な治療成績を出
しています。
メニエール病はくり返す回転性めまいが特徴です。
原因は不明ですが、内耳の中の内リンパという液体過
剰になる内リンパ水腫が起きることで、回転性めまい
や難聴をきたします。めまいの頻度は数年に 1 回から
数週間に 1 回までさまざまですが、多くは内服薬や経
過観察で軽快します。頻繁に繰り返すめまいによって
生活に支障が出る場合は、鼓膜換気チューブ留置術や
鼓室内ゲンタマイシン注入などを行っています。
当科では以上のように中枢性、末梢性を問わず、め
まい全般に関して幅広く診療を行っておりますのでお
気軽にご相談いただければ幸いです。
特集 3
河北総合病院放射線科では一部核医学検査も含
め、主に CT,MRI などの画像診断を行っています。
CT はシーメンス社製の 64 列の装置を中心に、予
約外の検査には 16 列の装置も用い、2台体制で行
っていますので、緊急の検査にも対応できます。
MRI は 1.5 Tの装置が中心ですが、閉所恐怖症の
方などにはオープンタイプの低磁場の装置も使用し
ています。
常勤医は 3 名、全員が画像診断の専門医で、診断
が困難な症例については週一回非常勤の東京女子医
大画像診断核医学科の教授にも相談しております。
核医学検査については週一回木曜日、非常勤の核医
学専門医が報告書を作成しています。検査には医師
が立ち会い、きめの細かい検査を心掛けています。
また報告書は検査翌日までには作成できているよ
うに努力しています。地域からの検査依頼は地域医
療室経由でお受けしています。
当院の特徴としては、検査を医師がモニターして
いるため、緊急に治療が必要な病変を発見した場合
に即座に対応できる点があります。
予想外の病変が見つかった場合には地域医療室を介
しご依頼の施設に報告をし、当院での診療のご希望
があれば検査後に該当する科を受診していただいて
おります。
この検査部門から臨床部門への引き継ぎが簡便に
行われることが、当院のような中規模病院の利点と
考えています。
放射線科 部長
はやの
ち
え
早野 千恵
卒業年度 : 1986 年
医師 卒業大学 : 東京女子医科大学
主な専門分野
画像診断
認定専門医
放射線診断専門医
主には院内の検査を行っているため、検査予約の
取りやすさなどの面では、画像診断会社のたぐいに
はかなわない部分がありますが、かかりつけでない
方にも安心して受けられる丁寧な検査を目指してお
ります。
MRI: 独 シ ー メ ン ス 社 製
▼「MAGNETOM Avanto 1.5T」
▲ CT: 独 シ ー メ ン ス 社 製 「SOMATOM Definition Edge」
診察・検査の 当院に専門外来診療・検査ご依頼をご希望される方は、別紙の「診察・検査予約依頼書
ご 依 頼 は (FAX 用)」をご利用下さい。
杉並医療連携セミナーのご案内
開催日時
開催名称
科目名
内容
演者
会場名
『糖尿病性足病変
河北フットケアチーム /
第1回足病・フットケアカンファ
2015 年 3 月 17 日 ( 火 )
循環器科
へのアプローチ』透析・糖尿病合併症対策 新東京会館
レンス
チーム
~診療連携の重要性~
お申し込み・お問い合わせ:地域医療室
TEL:03-3339-2378(直通)FAX:03-3339-2986 受付時間:平日(月~土)08:30 ~ 17:00
シグマ [Sigma] 3 月 March
2015 年 2 月 20 日発行
発行責任者:清水 利夫 発行:社会医療法人 河北医療財団 河北総合病院 広報制作室
〒 166-8588 東京都杉並区阿佐谷北 1-7-3
TEL:03-3339-2121(代)
FAX:03-3339-2928 ホームページ : http://kawakita.or.jp