地域連携室だよりNo.152(平成27年2月15日発行)

◆ 発行日
平成27年2月15日
152
No.
富山県立中央病院
〒 930-8550 富山市西長江 2-2-78 TEL 076(424)1531 http://www.tch.pref.toyama.jp/
春寒の候、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
今月の各部・各診療科の紹介は、内科(循環器)と放射線治療科です。
内科(循環器)
【A. 診療体制】
臼田和生部長のもと、富山県の循環器疾患
の高度医療の充実を目指し皆で協力して診療
にあたっております。
内科循環器部門の現在のスタッフは、臼田
和生部長、永田義毅部長、丸山美知郎部長、
平澤元朗医長、油谷伊佐央医長、木下正樹医師、
徳久英樹医師、本道俊一郎医師の計8人で構
成されています。今年度は、常時 2 〜 3 名の
初期臨床研修医とともに診療にあたります。
内科(循環器)スタッフ
後列左から 中村研修医、田中研修医、高相研修医、本道医師、徳久医師、木下医師
前列左から 油谷医長、永田部長、臼田部長、丸山部長、平澤医長、
看 護 部 の 紹 介
外来初診は、下表のように火、木、金曜日に循環器スタッフが担当しています。
曜 日
月
初 診
再 診(13 診)
火
水
丸 山
油 谷
薬 剤 部 の 紹 介
木
金
永 田
臼 田
永 田
平 澤
平 澤
油 谷
永 田
臼 田
丸 山
再 診(15 診)
丸 山
臼 田
ペースメーカ外来(午後)
木 下
徳 久
再診は原則として予約診療で行っております。
緊急患者については 24 時間対応しておりますので、内科外来または救命救急センターまでご連絡ください。
同時に、循環器全般にわたり診療能力を発揮し得る専門医と指導医の養成および研修医の育成を行っています。
栄養管理科の紹介
【B. 平成 25 年診療実績】
平成 25 年1月から 12 月までの1年間に当部門で行われた心臓カテーテル検査・治療の総件数は 1184 件
でした。このうち施設基準が設定されているカテーテル手術およびペースメーカ植込み手術について、1年間
の診療実績を示します。昨年は冠動脈インターベンションの治療手技成功率が 97% でした。緊急で経皮的冠
動脈インターベンションを行った急性冠症候群は 81 例でした。
地域の先生方から多くの症例をご紹介いただき(紹介率 79.5%)、豊富な経験を積ませていただいた結果、
−1−
スタッフの熟練度がより一層高まりました。ありがとうございました。また患者さんの退院後の管理を、お引
き受けくださり(逆紹介率 88.6%)、いつもありがとうございます。
心臓病教室を年3回(7月、10月、2月)開催しております。退院後の患者さんへ、心臓病の解説、食事
療法、運動療法の紹介を行っています。情報交換会では、医療スタッフと患者さんが小グループに分かれてコ
ミュニケーションをとっております。当院から紹介した患者さんの中で、心臓病教室への参加を希望される方
がおられましたら、ご連絡ください。
今年度もよろしくお願いいたします。
表
経皮的冠動脈形成術
337 件(緊急 105 件、待機 232 件)
経皮的冠動脈ステント植込み術
299 件
高速回転式経皮経管アテレクトミー(ロータブレーター)
17 件
経皮的カテーテル心筋焼灼術
86 件
ペースメーカ植込み手術
64 件(うち交換 24 件)
両室ペースメーカ植込み手術
埋込み型除細動器移植術
18 件(うち交換 6 件)
両心室ペーシング機能付き埋込み型除細動器移植術
大動脈バルーンパンピング法 (IABP)
5 件(うち交換 3 件)
7 件(うち交換 3 件)
44 件
経皮的心肺補助 (PCPS)
6件
経皮的血管形成術、経皮的腎動脈形成術
31 件
肺塞栓カテーテル治療、下大静脈フィルター留置術
30 件
経皮的僧帽弁拡張術、経皮的大動脈弁拡張術
3件
【C. 循環器疾患治療の進歩と新たなる時代への進化
~11年間、県民の命を守ってくれた心臓血管造影装置に感謝~】
富山県立中央病院の循環器内科は、心血管疾患に対するカテーテル治療において高い技術と実績を誇っていま
す。冠動脈インターベンションは、慢性完全閉塞や石灰化している複雑病変などに対しても、ロータブレーター
などの高度な技術を幅広く取り入れた手技を行うことにより治療を成功させています。カテーテルアブレーショ
ンは心房細動に対しても行われるようになり、一層必要性が高まっています。低心機能、腎不全、癌など、心臓
のみならず他の臓器に問題を抱えている症例であっても、総合病院の強みを生かし、各科の専門医と協力して治
療することが可能です。急性心筋梗塞に対する緊急冠動脈インターベンションは年間 80 〜 150 件行っています。
ショック状態や急性腎不全を伴っているような重症例も存在しますが、循環器内科のチームワークと高度な手技
を駆使し、高い治療成功率のみならず、合併症を低く抑えています。
私たち循環器内科医の治療には、心臓血管造影装置が欠かせません。当院の冠動脈インターベンションは
図1 冠動脈インターベンション件数
図2 循環器内科血管造影検査処置件数
−2−
1983 年に始まり、年々件数が増加しています(図1)。その後、冠
動脈ステントの登場やカテーテルアブレーションの導入により、心
血管カテーテル治療は適応範囲が急速に拡大しています。
現在の心臓血管造影装置は 2004 年に設置されました。故障して
装置が動かなくなることも度々ありましたが、放射線技師の方々の
努力により、いつもフル稼働していました。雪が降る真冬に故障し
たときも、メーカーの方が大阪から部品を取り寄せ、翌朝には稼働
していました。私たち循環器内科医が最大限の能力を発揮できるよ
う、心臓血管造影装置は常に稼働してくれました。現在の装置への
更 新 後 に、 心 血 管 造 影 検 査・ 処 置 は 約 300 件 / 年 増 加 し、 約
13,000 件の検査と治療を行いました(図2)。大勢の県民が、この
装置のお陰で命を救われました。11 年間働いてくれた心臓血管造影
装置には本当に感謝しています。
2015 年、この心臓血管造影装置が更新増設されます。1月に新し
い心臓血管造影装置が稼働し(図3)、4月からはもう1台も運用が
図3 新しい心臓血管造影装置
開始されます。当院の血管造影装置は、既存の腹部脳血管用を含めて合計3台となります。循環器内科が使用
できる心臓血管造影装置が2台体制となることにより、緊急患者に対して、より迅速に対応することが可能と
なります。急性心筋梗塞患者の来院から治療までの door to balloon time を短縮し、予定している検査が急
患により遅延することが避けられます。時間のかかる難易度の高い症例の治療中であっても、ドクターヘリ運
用と併せて広域からの急性心筋梗塞の治療依頼を引き受けることができます。新しい装置では、画質が改善し、
被爆線量が低減するため、患者さんにやさしく安心できる治療を提供できます。
2004 年の心臓血管造影装置設置後、心血管カテーテル治療の分野は大きく発展しました。高度な技術と知
識を必要とする治療も増えましたが、現在もさらに進化を続けています。2015 年の心臓血管造影装置2台体
制への発展により、当院の循環器疾患治療がどのように進化するのか大変楽しみです。私たち循環器内科医は、
この新しい装置を使いこなし、より一層高い技術を身につけて県民の信頼に応えたいと考えています。
(文責:永田)
放射線治療科
【A. 診療体制】
当科は放射線治療担当常勤医 2 名、放射線治
療担当技師 5 名、放射線治療品質管理士 3 名(技
師兼任)、医学物理士 1 名(技師兼任)、放射線
治療担当看護師 3 名、受付 1 名のスタッフ体
制で診療に当たっております。放射線治療機器
は Clinac iX 2 台、micro Selectron 1 台、
X-knife 1 式を配備しております。
放射線治療科スタッフ
後列左より 堀田技師、桝谷技師、北川技師、岡田技師、酒井技師、
野村技師、金山事務員
前列左より 小竹看護師、今村医長、豊嶋部長、布村看護師、
江川看護師
看護部 の 紹 介
−3−
曜 日
月
火
初 診
豊 嶋
豊 嶋
初 診
再 診
今 村
今 村
水
今 村
木
金
豊 嶋
豊 嶋
今 村
今 村
豊 嶋
【B. 診療内容】
平成 25 年度に当院で施行した放射線治療数は新規患者数で 551 人、治療件数で 619 件でした。その内、
66 名の方は地域連携室を通じて御紹介いただいた患者さんです。御紹介有り難うございました。高精度放射
線治療に関しては IMRT( 強度変調放射線治療 ) を前立腺癌に対して 67 名、頭頸部癌に対して 26 名、その他
の部位に対し 16 名、体幹部定位放射線治療を肺疾患に対して 18 名、肝疾患に対して 2 名施行いたしました。
【C. 温存乳房寡分割照射法】
早期乳癌に対する標準治療法としては腫瘍摘出術と術後乳房への照射からなる乳房温存療法が確立していま
す。術後温存乳房に対する照射法としては 1 回線量 2 グレイ、25 回照射、総線量 50 グレイの処方線量が広
く用いられております。この線量と分割は放射線治療が 2 グレイを 1 回辺りの標準照射量として長く施行され
てきた歴史に基づいて設定されており、治療成績も良好であるためガイドラインでも推奨されています。しか
しながらこの照射法では計 25 回の通院が必要となり、その時間的負担は少なくありませんでした。この問題
を解決すべく、照射回数を減らす臨床試験が国外で行われた結果、寡分割照射と通常分割照射との間で治療成
績や副作用の発生に差が無いことが報告され、実臨床でも採用されるようになりました。一方、我が国では乳
癌に対する治療の評価は長期に渡って確認しなければならないことや、また日本人と欧米人では乳房の形状に
も差があることからその推奨には慎重でありました。しかしながら近年、国内からの報告も蓄積されてきたこ
とから、症例選択や治療計画に注意すれば本邦でも寡分割照射は許容できるという旨が最新のガイドラインに
記載されるようになり、また平成 26 年度の診療報酬改定では寡分割照射の項目も追加収載されました。この
ような状況を鑑み、当院でも今年度から各々の症例をよく検討した上で、温存乳房に対する放射線治療法とし
て、通常の分割照射に加えて寡分割照射も採用することにいたしました。分割回数には種々の報告があります
が、観察期間が長く、報告数も比較的多い総線量 42.56 グレイ /1 回線量 2.66 グレイの処方線量を主体に採
用していきます。原病巣が小さいことや全身化学療法を受けていないことなどの幾つかの検討項目があります
が、寡分割照射が採用された場合には通常の 25 回から 16 回へと通院回数が減り、時間的負担はかなり軽減
されます。なお寡分割照射としての算定は、放射線治療専門常勤医の配置など幾つかの条件を満たした施設で
治療した場合にのみ可能となっております。
【D. 機器更新に関して】
当院では放射線治療機器を更新することになり、平成 27 年秋より工事に入る予定です。
機器更新は現機器が設置されている場所での入れ替えとなりますので、入れ替え工事期間中は現在の外照射
機器 2 台体制から1台体制に縮小しての診療となります。できるだけ受け入れ体制に支障が無いようにするた
め、診療時間の延長などの対策を講じて参りますが、それでも治療できる患者さんの人数は現在より減少する
ことは避けられないことが予想されます。治療機器入れ替え期間中はご迷惑をかけることになりますがご了承
ください。
全ての入れ替えが終わるのは平成 29 年春の予定となっております。
−4−
【E. 温存乳房への放射線治療計画例】
乳房は山のような形状で乳頭側が小さいので、単純に側方から均一に照射した場合には乳頭側が高線量にな
り皮膚炎が重度になってしまいます。
その問題を解決するため通常はウェッジと呼ばれる楔状の金属板の使用や Field in field 法という照射技術
を用いて治療します。
左図 単純に均一に照射した時の線量分布図(乳頭側が高線量となっている)
右図 field in field 法を用いた計画の線量分布図(重ね合わせて照射することにより、乳頭側の高線量が解消されている)
(文責:豊嶋)
1
連携談話会・症例検討会のご案内について
★第 74 回 富山県立中央病院消化器キャンサーボード
日 時:平成 27 年 3 月 5 日(木)18 時から
場 所:富山県立中央病院 5階 ホール
小児科症例検討会
日 時:平成 27 年 3 月 26 日(木)19 時から
場 所:富山県立中央病院 2階 24 会議室
★中央病院病診連携談話会
日 時:平成 27 年 3 月 9 日(月)19 時から
場 所:富山県立中央病院 5階 ホール
★がん看護事例検討会
日 時:平成 27 年 3 月 3 日(火)17 時 45 分から
場 所:富山県立中央病院 医療交流棟 3 階 32 会議室
富山県皮膚科病診連携症例検討会(二木会)
日 時:平成 27 年 3 月 12 日(木)19 時から
場 所:富山県立中央病院 2 階 24 会議室
★糖尿病療養指導のための講習会
日 時:平成 27 年 3 月 27 日(金)17 時 30 分から
場 所:富山県立中央病院 2 階 24 会議室
講 義:「地域医療と医療連携」
問題演習:「血糖値に影響を及ぼす薬剤」
実技またはロールプレイ:「フットケア指導の実際」
看 護 部 の 紹 介
★第 43 回 中央病院歯科口腔外科病診連携症例検討会
日 時:平成 27 年 3 月 13 日(金)19 時から
場 所:富山県立中央病院 2 階 24 会議室
★肝炎診療に携わる医療従事者研修会
日 時:平成 27 年 3 月 11 日(水)19 時から
場 所:富山県立中央病院 5階 ホール
胸部レントゲンカンファレンス
日 時:平成 27 年 3 月 19 日(木)19 時から
場 所:富山県立中央病院 2 階 24 会議室
薬 剤 部 の 紹 介
★漢方症例検討会
日 時:平成 27 年 3 月 20 日(金)19 時から
場 所:富山県立中央病院 2階 24 会議室
★…医療機関スタッフの方々の公開学習の場と
しています。お気軽にご参加ください。
栄養管理科の紹介
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2
感染症疑い患者さんのご紹介について
1.インフルエンザやノロウイルス感染症疑い、HIV疑いあ
るいは外国帰りの輸入感染症疑いの患者さんの診療の際に
は、感染の拡大を防ぐ必要性やプライシーの問題より待合
室や診療時間に工夫が必要です。当院の診療時間の予約を
取られる際に、受付の者に御教示いただくか、感染症内科
医に御一報いただきますよう、宜しくお願いいたします。
3
2.肺結核が疑われる場合も同様に感染の拡大を防ぐため、診
療時間の予約を取られる際に、肺結核が疑われる旨を受付
の者に御教示いただくか、当院の呼吸器内科医に御一報い
ただきますよう、宜しくお願いいたします。
総合地域連携部長 清水 康一 3月の外来診療に関する医師不在日は、下記のとおりです。
(不在日につきましては、代わりの医師が対応いたします。)
科 名
医 師 名
不 在 日
科 名
医 師 名
不 在 日
内 科
奥村医師
6日
(金)
整形外科
中村医師
12日(木)、13日(金)、16日(月)、
17日(火)、19日(木)
神 経 内 科
青木医師
10日(火)、23日(月)~27日(金)、
30日(月)、31日(火)
眼
科
高田医師
6日
(金)
、16日
(月)
、30日
(月)
、
31日
(火)
心臓血管外科
星野医師
3日
(火)
、5日
(木)
、6日
(金)
耳鼻いんこう科
達富医師
6日
(金)
、9日
(月)
外 科
加治医師
6日
(金)
放射線診断科
阿保医師
19日
(木)
、20日
(金)
3
患者さん、ご家族を対象とした肝臓病教室のご案内
当院内科(消化器)では富山県の肝疾患診療連携拠点病院として県下肝疾患患者さんへの情報提供を行い、相談
窓口も設けています。肝臓病に対する正しい知識や食事療法、薬物療法の理解を深める肝臓病教室を開催しています。
つきましては、当院を退院され、かかりつけ医である先生のところに通院されている患者さん方にお知らせ頂けれ
ば幸いに存じます。今回は下記の通りです。
日 時:平成 27 年3月 12 日(木)14:30 ~ 16:30
酒井部長
場 所:富山県立中央病院 5階ホール
内 容:①肝硬変から肝がんへ
…酒井内科部長
④情報交換・質疑応答 …内科医師、看護師、
②肝硬変の日常生活について
…看護師
管理栄養士、薬剤師
③肝硬変の食事について(パート 2) …管理栄養士
申し込み方法:富山県立中央病院 地域連携室まで参加されます患者さんの氏名、中央病院の診察券番号をお知らせ下さい。
*肝臓病教室に関する詳細は、内科外来担当看護師 古川市子まで御連絡下さい。
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救急患者搬送時のお願いについて
地域の先生方には、日頃から多大なご協力をいただき感謝しております。
2次・3次救急医療をよりスムーズに行うために、先生方から当院へご紹
介いただく際には、事前にご一報をお願いいたします。
※患者さんの病状により、緊急性がない場合は地域連携室でのご予約をお願
いします。
※平日の日中は救急輪番体制ではありませんのでよろしくお願いします。
平日
8:30∼17:00
救急車搬送 …救命救急センターへご連絡ください。
TEL:076(491)7165 FAX:076(491)7141
救急車搬送以外 …地域連携室へご連絡ください。
TEL:076(424)1531/内線3177 FAX:076(491)7109
「地域連携室だより」の送付を希望されない
場合は下記までご連絡下さい。
富山県立中央病院 地域連携室
代表電話 076
(424)
1531/内線3177
予約専用 076
(491)
7160
F A X 076
(491)
7109
編集後記
春の訪れが待ち遠しい
季 節 を 迎 え て おります
が、先生方にはますます
ご健勝のこととお喜び申
し上げます。
この冬は、寒波が次々に南下し、12月の気温は平年
に比べかなり低く、また降雪量も平年に比べ多くなり、
この先一体どうなるのかと一寸ハラハラさせられまし
たが、大寒だというのに、梅の花が立春かと勘違いして
咲き始めるほどの暖かさとなっております。このまま、穏
やかで平穏な春になればと願います。 (医事課 神谷)
がん診療に関する相談支援センター
ホームページアドレス http://www.tch.pref.toyama.jp/
地域連携室(医療機関向け)電話076−424−1531/内線3177
メールアドレス [email protected]
医療相談室(患者・ご家族向け)電話076−424−1531/内線9130・9307
メールアドレス [email protected]
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