経営情報ニュース 2015.8.31(月)発行 被用者一元化後の遺族年金 平 成 27 年 10 月1日施行の被用者年金の一元 化により、遺族厚生年金のしくみについて、 長期要件と短期要件かにより多少異なる部 分がありますので、事例で解説します。 ■厚生年金10年の老齢厚生年金と国家公務員30年 の退職共済年金を受給中の80歳の方が施行後死亡■ 老齢給付受給者の死亡は「長期要件」に該当します。 改正前は、遺族厚生年金と遺族共済年金の請求をそれ ぞれの窓口に行い、それぞれの期間毎の遺族厚生年金 と遺族共済厚生年金が決定され、年金証書の発行や支 給もそれぞれから行われました。 改正後は、遺族共済年金ではなく遺族厚生年金と言い、 それぞれの期間毎に計算された二つの遺族厚生年金が 決定されます。それ以外は改正前と同様に、それぞれ の実施機関から年金証書の発行や支給が行われます。 ただし、遺族が自身の老齢厚生年金を受給している場 合はその額を、二つの遺族厚生年金の合算額から差し 引いて、最終的な遺族厚生年金の額とし、その最終的 な遺族厚生年金の額を、それぞれの加入期間毎に按分 計算し、最後はそれぞれの実施機関から支給されます。 上記の請求手続きはワンストップサービスにより、両 方を日本年金機構へ行うこともできますが、共済年金 には恩給期間や職域加算が別途ある場合もあり、その 部分はワンストップサービス外ですので、共済窓口へ の請求手続きが必要となることに注意が必要です。 ■国家公務員期間 10 年、その後民間会社で厚生年金5 年加入中、37 歳で施行日以降死亡■ 改正前は、遺族共済年金は期間が 25 年未満のため請 求ができず、厚生年金加入中の死亡のため、遺族厚生 年金の「短期要件」に該当、厚生年金期間のみの平均 標準報酬額により 300 月みなしで計算されました。 改正後は、原則、共済年金と厚生年金それぞれの期間 にかかる平均標準報酬額でそれぞれ計算した遺族年金 額を合算後、300 月みなしで計算した一つの遺族厚生 年金となります。この短期要件では、死亡日に係る実 施機関、本例では日本年金機構が年金証書の発行や支 給を行います。つまり、民間会社在職中の死亡であっ ても、それ以前の公務員期間も遺族厚生年金の額に反 映されることになります。 【編集協力 有限会社ビジネスサポートセンター】 職場の問題に関する悩み相談 日 本産業カウンセラー協会は、2014 年度の「働く 人の悩みホットライン」の相談件数を発表しまし た。これによると、対面による相談件数は 4,454 件(男 性 2,264 件、女性 2,190 件) 、 無料電話相談は、 5,323 件(男性 2,234 件、女性 3,089 件)で、前年と比較 して 24%の増加となっています。 年代別の内訳は、30 代が 28.4%、40 代 が 29.4%とこの世代を合わせて約6割が 占めており、また、相談内容は、 「職場の問 題」が 50.1%で、そのうち、 「人間関係」が 46.1%と なっています。今年 12 月からストレスチェックが始ま ります。企業側も労働者が何にストレスを感じているか を把握し、早めの対応が望まれるところでしょう。 B to E B to E とは、Business to Employee の略で、企 業の従業員(Employee)向けに提供されるサー ビスのことです。企業間取引を指す B to B(Business to Business)や企業と一般消費者との取引である B to C(Business to Consumer)などと同様、商取引の 形態を表し、企業が企業の従業員との間に商取引を交わ すビジネス形態を「B to E」と呼びます。一般に、企業 の福利厚生の一環として実施されることが多く、この場 合は使用者が窓口となり、従業員は自社が契約した企業 から提供されるサービスを必要に応じて利用します。取 り扱う範囲は各種製品の他、旅行や保険など多岐にわた り、社内教育や研修、業務支援などのサービスもBtoE に含まれることがあります。 NEWS ダイジェスト ● 「女性管理職ゼロ企業」が5割超 帝国データバンクが実施した女性の登用に対する 企業の意識調査で、女性の管理職はゼロと回答した 企業が、2015 年7月時点で 50.9%に上ることが わかった。社長を含む女性役員が不在の企業も 60%を超えるなど、動きが鈍いことが浮き彫り。 ● 景気回復で雇用調整助成金の支給が大幅減 厚労省は、2014 年度の雇用調整助成金の支給につ いて、前年度から 87%減の約 69 億円だったと発 表した。直近の完全失業率が 18 年ぶりの低い水準 となるなど、景気回復に伴い企業業績や雇用情勢が 改善したことがその背景にある。
© Copyright 2024 ExpyDoc